JP3901337B2 - 下水圧送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、貯水タンクに集めた家庭汚水等を下水本管や下水処理場まで圧送する下水圧送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各家庭から集めた下水を下水本管や下水処理場まで圧送する都市下水システムとして、個別に発生する下水を一旦各地区毎に貯水槽に集め、一定量集水すれば電動式水中ポンプや真空式排水ポンプで上記下水本管や下水処理場へ排水するものが一般的に採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の下水管路の充実とともに貯水タンクの配置個所も次第に増加しており、排水ポンプなどの排水設備もそれに伴って増加し、設備費やその運転コストも高騰化している問題がある。
また、上記排水ポンプ等の排水設備は、下水と直接接して稼動されるので、稼動部に下水中に混入している各種異物が詰まる事故が生じ易く、このため保守点検が面倒となるといった問題もあった。
この発明は、上記問題点を解消することを目的としてなされたものであり、各家庭から集水された下水を下水本管や下水処理場へ排水する場合、電動水中ポンプ等の高価な装置を要せず、しかも汚物の詰まりなどの事故も少ない経済的に運転の可能な下水圧送装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の下水圧送装置は、分岐された下水流入管の末端が開閉弁を介して気密状態に接続された複数の密封タンクと、前記それぞれの密封タンク内底部から前記密封タンクの最高水位より高い位置を経て排出制御弁を介して外部下水管に接続された下水排出管と、前記それぞれの密封タンクの上部空間を連通した連通管と、該連通管内の気流を正逆何れの方向にも付勢できる送気ポンプと、前記複数の密封タンクの内いずれかの上限水位を検知して該密封タンクの流入管の開閉弁を閉じると共に排出制御弁を開き、他方側のタンクの下水流入管の開閉弁を開き、かつ前記送気ポンプの送気付勢方向を上限水位に達した密封タンク方向に制御する制御装置とを備えて構成されている。
【0005】
この下水圧送装置によれば、複数の密封タンクへの下水流入と排出を密封タンクの上部空間を連通する連通管を介して交互に送気される気圧を利用して排出でき、動力を下水中に浸すことなく排出可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1
図1はこの発明の下水圧送装置の実施の形態1に係る構造説明図である。
【0007】
図1において、1は下水流入管を示し、ここから分岐された下水流入管2A、2Bはそれぞれ開閉弁3A、3Bを介して二つの密封タンク4A、4B(以下総称する時は4という)に接続されている。上記開閉弁3A、3Bは電磁弁など遠隔開閉制御可能な弁とされ図示は省略するが開閉のための駆動装置が設けられている。
【0008】
7A、7B(以下総称する時は7という)は下水排出管を示し、二つの密封タンク4の内底部から前記密封タンクの最高水位より高い位置(図示例は天井5A、5B)を経て外部へ導出され、密封タンク4A、4Bからの排出方向の流れのみを許す逆止弁8A、8B(以下総称する時は8という)を介して密封タンク4より低位の外部下水管6に合流されている。
【0009】
この逆止弁8は図2に示すように上下方向に配置した膨出管8C内にボール弁体8Dを配置し、逆方向の流れがある場合はボール弁体8Dが膨出管8C内の弁座8Dに密着して逆方向の流れを遮断するように構成したものが使用される。
【0010】
9は連通管を示し、二つの密封タンク4A、4Bの上部空間を連通するもので図示例の場合、タンクの天井面5A、5Bで連通して取り付けられている。
10は送気ポンプを示し、連通管9内の気流を正逆何れの方向にも強制送気できる構造とされている。
【0011】
この送気ポンプ10はルーツ型送風機など正逆転により強制送気方向が逆転する送風機が好適に使用される。なお、図示は省略したが、上記回転圧縮機には駆動モータが連結されている。
【0012】
11A、11Bは上部水位センサを示し、密封タンク4A、4B内の上限水位を検出するためのものである。
また、13A、13Bは下部水位センサを示し、密閉タンク4A、4Bの下限水位を検出するためのものである。
【0013】
制御装置12は水位センサ11A…13Bの水位情報により開閉弁3A、3Bの開閉及び送気ポンプ10の正逆運転を制御するためものである。
図3はこの制御装置12のフローチャートを示し、上限水位センサ11A、11Bにより水位の上限が検知されたか否かを判断する判断1〜2と下限水位センサ13A、13Bにより水位の下限が検知されたか否かを判断する判断3〜4と判断結果に従い開閉弁の開閉操作等を行なう処理1〜3とからなる。
【0014】
次に、この下水圧送装置の稼動状態を図3のフローチャート及び図4以下の各プロセスを示す図を用いて説明する。
なお、以下図中に示された管系及び弁を示す記号において、実線が下水が流れている管系、点線が下水が流れていない管系、黒く表示した弁記号が開、白く抜いた弁記号が閉を示すものとする。
【0015】
まず、図4に示すように、一方の密封タンク4Aが上限水位、他方の密封タンク4Bがほぼ下限水位となったとする。なお、この時に至るまでは、図示のように開閉弁3Aが開、開閉弁3Bが閉、送気ポンプ10の送気方向は密封タンク4Aから同4B方向とされ、下水Wは下水流入管1から分岐管2Aを通じて密封タンク4Aに流入し、密封タンク4B内の下水Wは送気ポンプ10から送気される気圧を受けて下水排出管7Bから外部下水管6へ排出されている。
【0016】
密封タンク4Aの上限を検知したセンサ11Aの情報により、図3の判断1が肯定結果となり、処理1が実行され、図5に示すように開閉弁3Aが閉、開閉弁3Bが開となり、送気ポンプ10の送気方向が密封タンク4Bから同4A方向に切り替わる。
【0017】
従って、下水は下水流入管1から分岐管2Bと開閉弁3Bを介して今度は密封タンク4Bへ流入し、密閉タンク4B内の水位が点線で示すように上昇する。そして密封タンク4B内の空気は連通管9を通じ送気ポンプ10により密封タンク4Aに強制的に圧送される。
【0018】
密封タンク4A内の満水状態の下水Wはタンク上部に圧送される空気圧に押され、逆止弁8Aを通じ下水排出管7Aから外部下水管6へと排出される。
また、この実施の形態1の場合、外部排水管6が密閉タンク4A、4Bより低位とされているので、下水Wが外部配水管6に流入し始めればサイフォン管現象により自然流出が始まり、送気ポンプ10の負荷は殆どゼロとなる。
【0019】
そして密封タンク4B内の下水Wの水位が上昇し図6に示すように水位センサ11Bにより上限が検知されれば、図3の判断2の判断結果に基づいて処理2が実行され、図7に示すように開閉弁3Aが開、開閉弁3Bが閉、送気ポンプ10の送気方向が密封タンク4Aから同4B方向に切り替えられ、タンク4Aからタンク4Bへの送気圧力によりタンク4Bの下水が下水排出管7Bから排出される。
【0020】
そして、タンク4A内の水位が上限に達すれば再び図4の状態に戻り図3の判断1、処理1が行なわれ、図5以下同じ操作が繰り返されて下水は密閉タンク4A、4Bから交互に排出されていく。
【0021】
以上が通常状態の運転を示すが、排出側の密閉タンク4が下限水位になったにも係わらず他方の密閉タンク4が上限水位に達しない場合などは下水流入が非常に少なくなったか中断している場合であるから、判断3、4の肯定的結果で送気ポンプ10が間欠的または一定期間停止され、動力の無駄が防止される。
【0022】
以上説明したように、この下水圧送装置によれば、二つの密閉タンクを交互に利用して、動力ポンプを水中に浸すことなく下水を排出できるため、保守管理が非常に省力化され、また、構造も簡単なため安価に設置でき、多数に分散化した下水集水タンクの下水圧送装置として非常に有益となる。
実施の形態2
図8は実施の形態2の構造説明図である。なお、実施の形態1と同じ構造のものは同一符号を付すことにより、説明に代える。
【0023】
この実施の形態2の下水圧送装置は、連通管9の両端がそれぞれの密閉タンク4の上面で分岐され、一方9Aが密閉タンク4の上限水位上方に開口され、他方9Bが密閉タンク4の内底方向に開口され、分岐部に空気吸入の場合は一方の分岐管9Aから、空気排出の場合は他方の分岐管9Bから排出する切り替え制御弁9Cが設けられて構成されている。
【0024】
この実施の形態の場合、下水Wを排出するための圧縮空気は下水中から供給されるので下水に散気が行なえ、嫌気性微生物による硫化水素の発生が防止できる。
実施の形態3
図9は実施の形態3の説明図である。なお、実施の形態1と同じ構造のものは同一符号を付すことにより、説明に代える。
【0025】
この実施の形態3の下水圧送装置は、外部下水管6が密閉タンク4A、4Bより高所にあり、下水排出管7A、7Bがサイホン管の現象を利用できない構造のもので、連通管9に送気ポンプ10を補助する給気ポンプ14を付設したものである。この給気ポンプ14は外気を連通管9の空気流れ方向の下流側へ開閉弁15A、15Bを介して供給し、送気ポンプ10だけによる圧力不足を補う。
【0026】
また、この給気ポンプ14からの給気を図に点線で示すように密閉タンク4の底面近くに開口させてもよく、この場合前述と同様下水中の硫化水素の発生も防止できる。
【0027】
この実施の形態3の場合、密閉タンク4内の下水排出圧力が送気ポンプ10だけでは不十分な場合に下水排出が確実になる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の下水圧送装置によれば、二つの密閉タンクを交互に使用し、一方の密閉タンク中に満たされた下水を、他方の密閉タンクからの排出空気と、送気ポンプの送気圧力によって外部へ排出するので、駆動ポンプ等は一切下水に触れることがなく、駆動ポンプの保守管理が容易となる。
【0029】
また、密閉タンク内の空気は、二つの密閉タンク間を往復するだけで、仮に密閉タンク外へ排出されることがあっても外部下水管6方向または下水流入管2方向となるので外部へ排出されることはなく臭気が漏れることがない。
【0030】
さらに、流入管や排出管の管径を大きくすることができるので、下水中の異物の詰まりによる故障も少なくできる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1の逆止弁の断面図である。
【図3】この発明の下水圧送装置の制御フローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1の稼動状態を示す説明図である。
【図5】同じく上記発明の稼動状態を示す説明図である。
【図6】同じく上記発明の稼動状態を示す説明図である。
【図7】同じく上記発明の稼動状態を示す説明図である。
【図8】実施の形態2の説明図である。
【図9】実施の形態3の説明図である。
【符号の説明】
1 下水流入管
2A、2B 分岐された下水流入管
3A、3B 開閉弁
4A、4B 密封タンク
5A、5B 密封タンクの天井
6 外部下水管
7A、7B 下水排出管
8A、8B 逆止弁
9 連通管
10 送気ポンプ
11A、11B 上部水位センサ
12 制御装置
13A、13B 下部水位センサ
W 下水

Claims (1)

  1. 分岐された下水流入管の末端が開閉弁を介して気密状態に接続された複数の密封タンクと、前記それぞれの密封タンク内底部から前記密封タンクの最高水位より高い位置を経て排出制御弁を介して外部下水管に接続された下水排出管と、前記それぞれの密封タンクの上部空間を連通した連通管と、該連通管内の気流を正逆何れの方向にも付勢できる送気ポンプと、前記複数の密封タンクの内いずれかの上限水位を検知して該密封タンクの下水流入管の開閉弁を閉じると共に排出制御弁を開き、他方側の密封タンクの下水流入管の開閉弁を開き、かつ前記送気ポンプの送気付勢方向を上限水位に達した密封タンク方向に制御する制御装置とを備えた下水圧送装置。
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