JP3900789B2 - モータの速度・加速度決定方法、加減速生成方法、加減速制御方法、加減速制御装置及びモータ制御装置 - Google Patents

モータの速度・加速度決定方法、加減速生成方法、加減速制御方法、加減速制御装置及びモータ制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの加減速制御に関し、特に短い距離の移動指令が与えられた場合に、ロボットマニピュレータ等の制御対象に与える振動を抑制することが可能な加減速カーブの生成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、マニピュレータは、ユーザにより指定された教示点から次の教示点へとエンドエフェクタを移動させる動作を繰り返しながら作業を行っている。このような教示点から教示点への動作においては、マニピュレータの関節を駆動するサーボモータに対して加減速制御が行われており、与えられた最大速度に至るまで所定の加減速カーブに従って加速し、所定の定速期間を経て加速時と同様に所定の加減速カーブに従って減速することによってエンドエフェクタが次の教示点で停止する動作が実現されている。このようなサーボモータの加減速制御において、台形状の加減速カーブが用いられることがあるが、この加減速カーブにおいては、加速開始時や加速終了時等の速度切替え点において加速度が不連続になることから、この時点おいてマニピュレータに与える衝撃や振動が大きくなる。そこで、これを回避するために、加減速カーブをその始点から最大速度を経て終点に至るまでの全域に亘って滑らかに変化させ、加速度の連続性を保証した加減速制御が提案されている。
【0003】
しかしながら、このような加減速制御においては、指令されたモータの移動量が、動作速度及び動作加速度が指令値に達するのに必要な最小移動量より小さい場合(以下、これを微少移動と定義する)に、マニピュレータの振動が大きくなるという問題があった。このような微少移動時における振動の問題を解決するために、特願平2−22559号公報には、予めシュミレーションを行って補正用のデータテーブルを作成し、その補正テーブルに基づいて最適な最高速度、加速時間及び減速時間を決定し、これらの値によって速度曲線を補正して振動を抑えるようにした方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補正テーブル内のデータはシミュレーションの結果求められたものであり、所定のアルゴリズムに従って決定されたものではなく、補正テーブルの作成にあたって試行錯誤を繰り返すことになる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、加速度の連続性が保たれた加減速制御において微少移動に相当する移動量が指令された場合に、機械系に与える振動を抑制することが可能な加減速カーブを生成するための最大速度及び最大加速度を決定する方法、該方法により決定された最大速度及び最大加速度に基づき加減速カーブを生成する加減速生成方法、該方法を用いた加減速制御方法、該方法を適用した加減速制御装置及びモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の一つの態様に係るモータの速度・加速度決定方法は、速度を連続的に変化させて加速又は減速する加減速制御において、指令されたモータの指令移動量が、モータの移動が与えられた最大速度及び最大加速度に達するに必要な最小移動量より小さい場合のモータ加減速カーブを生成するためのモータの速度・加速度決定方法であって、加速度制御を行うための最大加速度は与えられた最大加速度をそのまま使用し、この制御のための最大速度を指令移動量に応じて新たに求める第1の処理と、加速度の微分値である躍動絶対値の最大値を一定の値からなる所定値に一致するように躍動制御を行うための最大速度及び最大加速度を指令移動量に応じて求める第2の処理とを有し、指令移動量が切り替え基準移動量(後述の実施の形態では切替ポイントと称する)より大きい場合には第1の処理に基づいて最大速度及び最大加速度を決定し、指令移動量が切り替え基準移動量以下の場合には、第2の処理に基づいて最大速度及び最大加速度を決定するものである。
【0007】
(2)本発明の他の態様に係るモータの速度・加速度決定方法は、躍動制御における所定値が、第1の処理で指令移動量を切り替え基準移動量に置き換えて求めた最大速度と、与えられた最大加速度とにより特定される躍動絶対値の最大値であるものである。
【0008】
(3)本発明の他の態様に係るモータの速度・加速度決定方法は、切り替え基準移動量が、ユーザが任意に設定変更可能であるものである。
【0009】
(4)本発明の他の態様に係るモータの速度・加速度決定方法は、切り替え基準移動量が、最小移動量に対する割合である無次元化されたパラメータで指定されるものである。
【0010】
(5)本発明の他の態様に係るモータの速度・加速度決定方法は、躍動制御が、制御対象の振動を抑制して位置決めするためのものである。
【0011】
(6)本発明の一つの態様に係るに加減速生成方法は、上記(1)〜(5)の何れかのモータの速度・加速度決定方法によって決定された最大速度及び最大加速度によってモータ加減速カーブを生成するものである。
【0012】
(7)本発明の一つの態様に係る加減速制御方法は、上記(1)〜(5)の何れかのモータの速度・加速度決定方法によって決定された最大速度及び最大加速度を用いてモータ加減速カーブを生成し、モータ加減速カーブに基づいて加減速制御を行うものである。
【0013】
(8)本発明の一つの態様に係る加減速制御装置は、モータの加速度を連続的に変化させて加速又は減速する加減速制御を行う加減速制御装置であって、上記(1)〜(5)の何れかのモータの速度・加速度決定方法によって最大速度及び最大加速度を決定する速度・加速度決定手段と、速度・加速度決定手段によって求められた最大速度及び最大加速度に基づいて位置指令値を生成して出力する指令値生成手段とを備えたものである。
【0014】
(9)本発明に係るモータ制御装置は、上記(8)の加減速制御装置から出力された位置指令値を入力し、位置指令値に応じて少なくとも1つのモータを制御するものである。
【0015】
上記(1)、(6)〜(9)によれば、躍動絶対値の最大値を一定の値からなる所定値に一致させるようにして、大きな値を取らないように制限したので、モータにより駆動される機械系に与える振動を抑制することが可能となる。
また、指令移動量に応じて躍動一定制御と加速度一定制御とを切り替えるようにしたので、移動時間の短縮化及び振動抑制の両方を考慮したシステムを構築することが可能となる。
【0016】
また、上記(2)によれば、躍動一定制御における所定値を、第1の処理で指令移動量を切り替え基準移動量に置き換えて求めた最大速度と、与えられた最大加速度とにより特定される躍動絶対値の最大値としたので、指令移動量を連続的に変化させた場合に、求められる速度・加速度及び移動時間が連続的に変化し、全体として自然な動作が得られる。
【0017】
また、上記(3)によれば、切り替え基準移動量を、ユーザが任意に設定変更可能なため、構築するシステムに要求される精度や振動の許容範囲などに応じて最適な切替ポイントを設定することができる。
【0018】
また、上記(4)によれば、切り替え基準移動量を、最小移動量に対する割合である無次元化されたパラメータで指定できるので、移動量を意識せずに設定することができる。
【0019】
また、上記(5)によれば、躍動一定制御を行うことによって、制御対象の振動を抑制して位置決めすることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の説明をする前に、加減速制御において求められる要件について説明する。一つは、従来技術の説明において述べたように機械系に与える振動を抑制するいう点で、もう一つは移動時間(位置決め時間)の短縮化を図るという点である。後者を微少移動時において満足するための方法の一つに、加速度一定制御という方法が考えられる。この方法は、最大加速度については与えられた最大加速度を使用して、最大速度を減少させることで指令移動量の動作を可能にした制御方法である。しかしながら、加速度の連続性を満足した加減速カーブにおいてこの方法を採用した場合、マニピュレータの動作が振動的になるという傾向が見られた。
【0021】
図2はこの場合のマニピュレータの振動を説明するための説明図で、加速度一定制御時における移動量と躍動値の最大値との関係((a)で示す曲線)を示したものであり、横軸及び縦軸には移動量及び躍動値の最大値をそれぞれ基準値で割って無次元化したパラメータを取っている。なお、(b)については後述する。
【0022】
図2においてS は指令移動量、Sminは動作速度及び動作加速度が与えられた最大速度及び最大加速度に達するのに必要な最小移動量(与えられた最大速度及び最大加速度で動作可能な最小移動量)である。J は指令移動量S における最大躍動値、Jmaxは微少移動でない場合(すなわち指令移動量S がSmin以上)の最大躍動値である。
【0023】
ここで、躍動値とは加速度の微分値であり、振動の傾向を知る目安となるもので、躍動値が大きい場合には振動も大きくなることが一般的な傾向として知られている。このことを念頭において図2を参照すると、S/Sminが0に近づけば近づくほど躍動値が大きくなっており、すなわち指令移動量が小さくなればなるほど振動が大きくなることが予想される。
【0024】
以上のことを整理すると、移動時間の短縮化を図るべく、加速度一定制御を行った場合において、微少移動時に振動が大きくなることになる。
【0025】
そこで、本発明は、図2の(b)に示すように、加速度一定制御のままでは大きくなる一方である最大躍動値を、あるポイントXを境に所定値以下又は所定値に一定となるように制限(制御)することで、残留振動を抑えようとするものである。以下、この躍動一定制御を行う加減速カーブを生成するための最大速度及び最大加速度の決定方法について詳述する。
【0026】
ところで、この躍動一定制御は、振動を抑えるという点では非常に効果が期待できるが、前述の加速度一定制御に比較して移動時間が長くなるという点がある。逆に加速度一定制御は、振動は大きくなってしまうものの移動時間を短くすることができる。マニピュレータの作業には、充分な精度が欲しい作業(残留振動を嫌う作業)と、精度は多少劣っても速度を優先させたい作業とが存在し、その作業の目的にあった制御方法が選択できるようにすることが望ましい。このようなことから、本実施の形態においては、加速度一定制御と躍動一定制御とを切替え可能とし、その切替えポイントはユーザが任意に設定可能な構成とした。
【0027】
図1は本発明の一実施の形態の加減速制御装置の構成を示すブロック図である。
図において、加減速生成手段1は、速度・加速度決定手段2と、指令値生成手段3とを備えた構成であり、速度・加速度決定手段2は、指令移動量と、与えられたモータの最大速度及びモータの最大加速度とから、その指令移動量に応じた新たな最大速度・最大加速度を演算し、その結果を出力する手段で、指令値生成手段3は、速度・加速度決定手段2から出力された速度・加速度に基づいて位置指令値(目標位置又は目標位置との差分)を逐次生成して出力する手段である。
【0028】
サーボモータ制御装置4は加減速生成手段1からの位置指令値を入力し、これをトルク指令値に変換して該トルク指令値に基づきサーボモータ5を動かすように制御する。指令値生成手段3は一定の周期Tsampleにて繰り返し動作し、運動軌道を軌道開始点から軌道終点まで形成して動作終了時刻Tendで動作を終了し、サーボモータ制御装置4は常にサーボモータ5の位置を指令値生成手段3から出力される位置指令に追従するようにフィードバック制御を行う。
【0029】
設定手段6は、加速度一定制御と躍動一定制御とを切り替える切替ポイントを設定するためのユーザが操作可能な手段である。なお、この切替ポイントの設定にあたってユーザから入力されるデータは、最小移動量Sminに対する割合(パラメータC)であり、1〜100で指定される。この設定手段6を通じて入力されたパラメータCに基づいて、装置側が切替ポイントに設定する移動量Sx(以下、切替ポイントSxという)をSx=C×Smin/100によって求め、これを図示しないメモリに格納することで設定される。なお、このパラメータCは、ユーザがその値そのものを入力するようにしても良いし、選択させるようにしてもよく、また、装置側が固定値として予め設定しておくようにしてももちろん良い。
【0030】
図3〜図5はそれぞれ加速度の連続性を満足した加速度カーブの例を示す図で、順に、加速度関数を、(1)三角関数(正弦関数)で構成した場合(以下、sin カーブ)、(2)三角関数(正弦関数)における加速開始と加速終了との間に等加速区間を設けた場合(以下、変形sin カーブ)、(3)一次関数で構成した場合(以下、その形状から三角形状カーブ)を示している。なお、各図には、簡単のため加速時も減速時も同一の最大加速度Amaxが使われる場合を例示しているが、もちろん別々に設定してもよい。また、以下の説明においては加速時(すなわち0≦t≦T(T:加速時間))について説明し、減速時についてはその説明を省略する。
【0031】
以下、本実施の形態の動作を図面を参照しながら説明する。
図6は本発明の一実施の形態の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ユーザから与えられた最大速度Vmaxと最大加速度Amaxで動作可能な最小移動量Sminを計算する(S1)。以下、この計算について加減速カーブ毎にそれぞれ説明する。
【0032】
(1) sinカーブの場合
加速度a、速度v、移動量sを時間tの式で表した各関数は以下のようになる。
【0033】
【数1】
Figure 0003900789
【0034】
なお、加速時間Tは、その加速時間Tで速度vが指定されたVmaxになることから、T=πVmax/2Amaxで求められる。
【0035】
最小移動量Sminは、時刻0から加速時間Tまでの速度vの積分値を2倍(減速時の移動量を加算するため)した値であり、次式で求められる。
【0036】
Smin=πVmax2/2Amax ・・・ (4)
【0037】
他の加減速カーブについても同様にして求められ、各加減速カーブ毎にそれぞれ以下の(5)〜(8)式、(9)〜(12)式で求められる。
(2)変形sin カーブの場合
【0038】
【数2】
Figure 0003900789
【0039】
(3)三角形状カーブの場合
【0040】
【数3】
Figure 0003900789
【0041】
そして、ユーザから指令されたモータの移動量(指令移動量)S と最小移動量Sminとを比較し(S2)、指令移動量S が最小移動量Sminよりも小さい場合、更に指令移動量S と切替ポイントSxと比較する(S3)。なお、切替ポイントSxは、ユーザから入力されたパラメータCに基づいて予め設定されている。これらの比較結果に応じて(I)〜(III)の3つのケースに分けられ、各ケースに応じた最大速度及び最大加速度が求められる。なお、(II)、(III)のケースが微少移動に相当する。
【0042】
以下、最大速度及び最大加速度の決定方法について各ケース毎に説明する。
まず、(I)の場合は、微少移動ではなく、指定された最大速度Vmaxと最大加速度Amaxでの動作が可能なため、これらの値をそのまま加減速動作の最大速度及び最大加速度として決定する。
【0043】
(II)の場合(加速度一定制御)
最大加速度については与えられた最大加速度Amaxをそのまま使用し、最大速度のみを再計算する(S4)。ここで再計算される最大速度Vaは、最大加速度Amaxで指令移動量S を動作するときの最大速度値であることから、加減速カーブ毎にそれぞれ上記(4)、(8)、(12)のSminを指令移動量S に置き換え、最大加速度Amaxはそのままにして以下の式によって求められる。
【0044】
(1)sin カーブの場合
Va=(2・Amax・S/π)1/2
【0045】
(2)変形sinカーブの場合
Va=((π+2)・Amax・S/2π)1/2
【0046】
(3)三角形状カーブの場合
Va=(Amax・S/2)1/2
【0047】
(III)の場合(躍動一定制御)
この場合は、最大速度Va・最大加速度Aaの両方を新たに求める。まず最初に切替ポイントSxにおける最大躍動値Jxを求め(S5)、次いで、躍動値の最大値がJxとなるように最大速度Va及び最大加速度Aaを再計算する(S6)。なお、Jxの演算に先だってJmaxと、最大速度Vmax及び最大加速度Amaxとの関係式を求める。
図7〜図9は、それぞれ図4〜図6に示した加減速カーブにおける躍動カーブを示す図である。
【0048】
(1)sin カーブの場合
躍動関数は、前記(1)式の加速度関数を微分したものであり、
【0049】
【数4】
Figure 0003900789
【0050】
で表され、従って次式で示す関係式が得られる。
Jmax = 2Amax2/Vmax
【0051】
(2)及び(3)の加減速カーブについても同様にして求められ、以下のようになる。
(2)変形sinカーブの場合
【0052】
【数5】
Figure 0003900789
【0053】
(3)三角形状カーブの場合
J = Amax2/Vmax (0≦t<T/2)
J = -Amax2/Vmax (T/2≦t≦T)
Jmax = Amax2/Vmax
【0054】
以上の関係式に基づき、最大躍動値Jxは、切替ポイントSxにおける最大速度Vxと最大加速度Amaxとにより、以下の式で求められる。なお、最大速度Vxは各加減速カーブ毎にそれぞれ上記(4)、(8)、(12)式においてAmaxはそのままにしてSminをSxに置き換えることにより求められる。
【0055】
(1)sin カーブの場合
Jx = 2Amax2/Vx
【0056】
(2)変形sinカーブの場合
Jx = (π+ 2)・Amax2/Vx
【0057】
(3)三角形状カーブの場合
Jx = Amax2/Vx
【0058】
最大躍動値Jxが求められたところで、次に最大速度Va及び最大加速度Aaを求める。この新たに算出される最大速度Va及び最大加速度Aaは、各加減速カーブ毎に以下の各3式によって求められ、何れの加減速カーブにおいても以下の(13)式、(14)式で算出される。
【0059】
(1)sin カーブの場合
Sx = π・Vx2/2Amax
S = π・Va2/2Aa
2・Amax2/Vx = 2・Aa2/Va
【0060】
(2)変形sin カーブの場合
Sx = 2π・Vx2/((π+2)・Amax)
S = 2π・Va2/((π+2)・Aa)
((π+2)・Amax2)/Vx = ((π+2)・Aa2)/Va
【0061】
(3)三角形状カーブの場合
Sx = 2Vx2/Amax
S = 2Va2/Aa
Amax2/Vx = Aa2/Va
【0062】
Va = Vx・(S/Sx)2/3 ・・・ (13)
Aa = Amax・(S/Sx)1/3 ・・・ (14)
【0063】
このようにして、微少移動に相当する指令移動量S に対して、躍動一定アルゴリズムによる加減速処理が成された最大速度Va及び最大加速度Aaが得られる。この最大速度Va及び最大加速度Aaにより加減速カーブを生成し、該加減速カーブに係る加減速制御を行う。
【0064】
これ以降の動作は、通常の位置決めの場合と同様で、動作終了時刻Tendを計算し(S7)、最大速度Va及び最大加速度Aaに基づいてサンプリングタイム(Tsample )毎の移動量を計算し、該移動量から目標位置を求め(S8〜S12)、インタロックを取りつつサーボモータ制御装置4にその位置指令値を出力する(S13,S14)。サーボモータ制御装置4は、位置指令値をトルク指令値に変換して、該トルク指令値に従ってサーボモータ5を動かすように制御する。このステップS9〜S14の処理を動作終了時刻Tendまで繰り返し、動作終了時刻Tendに達すると(S10)、動作を終了する。なお、ここでは、時刻で終了判断するようにしているが、移動量そのものでももちろん可能である。また、サーボモータ制御装置4とのインタロック方法は、この方法に限られない。
【0065】
図10は加速度一定制御を行った場合(a)と躍動一定制御を行った場合(b)の、微少移動時における機械系の残留振動特性の違いを説明するための図である。なお、横軸に時間軸を取り、縦軸に振幅を取って示したもので、定量的に厳密な図ではない。図より明らかなように躍動一定制御の方が加速度一定制御に比べ残留振動が小さくなっている。
【0066】
以上詳細に説明したように、本実施の形態においては、最大躍動値を所定値に一致させ、大きな値を取らないように制限したので、マニピュレータに与える振動を抑制することが可能となる。特に、躍動値が最大となるマニピュレータの駆動時(加速開始時)や停止時(減速終了時)等において、マニピュレータのアームを振動的にならずに駆動又は停止でき、それ故残留振動が低減されて位置決めが迅速に行え、作業速度を向上させることが可能となる。
【0067】
また、躍動一定制御では、その基準値として切替ポイントにおける最大速度から演算される最大躍動値を利用し、マニピュレータの移動量の変化に応じて速度・加速度及び移動時間が連続的に変化するので、全体として自然な動作が得られる。
【0068】
また、躍動一定制御と加速度一定制御とを切り替えられるようにしたので、移動時間の短縮化及び振動抑制の両方を考慮したシステムを構築することが可能となる。
【0069】
また、切替ポイントは、ユーザが任意に設定変更可能なため、構築するシステムに要求される精度や振動の許容範囲などに応じて最適な切替ポイントを設定することができる。
【0070】
また、その切替えポイントは、無次元化されたパラメータ(割合)によって指定できるので、移動量を意識せずに設定できる。
【0071】
なお、本実施の形態では、加速度関数を3つ例に挙げて説明したが、これらに限られたものではなく、連続性を満足する関数であれば任意に選択可能である。
【0072】
また、本実施の形態では、サーボモータ5が1つの場合を例示して説明したが、もちろん複数あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の加減速制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 加速度一定制御における移動量と躍動値との関係を無次元化したパラメータで示した図である。
【図3】 加減速カーブの一例を示す図である(sin カーブ)。
【図4】 加減速カーブの他の例を示す図である(変形sin カーブ)。
【図5】 加速度カーブの他の例を示す図である(三角形状カーブ)。
【図6】 本発明の一実施の形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】 図4の加減速カーブにおける躍動カーブを示す図である。
【図8】 図5の加減速カーブにおける躍動カーブを示す図である。
【図9】 図6の加減速カーブにおける躍動カーブを示す図である。
【図10】 加速度一定制御を行った場合と躍動一定制御を行った場合との微少移動時における機械系の残留振動特性の違いを説明するための図である。
【符号の説明】
1 加減速生成手段
2 速度・加速度決定手段
3 指令値生成手段
4 サーボモータ制御装置
5 サーボモータ
6 設定手段

Claims (9)

  1. 加速度を連続的に変化させて加速又は減速する加減速制御において、指令されたモータの指令移動量が、該モータの移動が与えられた最大速度及び最大加速度に達するに必要な最小移動量より小さい場合のモータ加減速カーブを生成するためのモータの速度・加速度決定方法であって、
    加速度制御を行うための最大加速度は前記与えられた最大加速度をそのまま使用し、この制御のための最大速度を前記指令移動量に応じて新たに求める第1の処理と、加速度の微分値である躍動絶対値の最大値を一定の値からなる所定値に一致するように躍動制御を行うための最大速度及び最大加速度を前記指令移動量に応じて求める第2の処理とを有し、指令移動量が切り替え基準移動量より大きい場合には前記第1の処理に基づいて最大速度及び最大加速度を決定し、指令移動量が切り替え基準移動量以下の場合には、前記第2の処理に基づいて最大速度及び最大加速度を決定することを特徴とするモータの速度・加速度決定方法。
  2. 前記躍動制御における前記所定値は、前記第1の処理で前記指令移動量を前記切り替え基準移動量に置き換えて求めた最大速度と、前記与えられた最大加速度とにより特定される躍動絶対値の最大値であることを特徴とする請求項1記載のモータの速度・加速度決定方法。
  3. 前記切り替え基準移動量は、ユーザが任意に設定変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のモータの速度・加速度決定方法。
  4. 切り替え基準移動量は、前記最小移動量に対する割合である無次元化されたパラメータで指定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のモータの速度・加速度決定方法。
  5. 前記躍動制御は、制御対象の振動を抑制して位置決めするためのものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のモータの速度・加速度決定方法。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のモータの速度・加速度決定方法によって決定された最大速度及び最大加速度によってモータ加減速カーブを生成することを特徴とする加減速生成方法。
  7. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のモータの速度・加速度決定方法によって決定された最大速度及び最大加速度を用いてモータ加減速カーブを生成し、該モータ加減速カーブに基づいて加減速制御を行うことを特徴とする加減速制御方法。
  8. モータの加速度を連続的に変化させて加速又は減速する加減速制御を行う加減速制御装置であって、
    請求項1乃至請求項5の何れかに記載のモータの速度・加速度決定方法によって最大速度及び最大加速度を決定する速度・加速度決定手段と、
    該速度・加速度決定手段によって求められた最大速度及び最大加速度に基づいて位置指令値を生成して出力する指令値生成手段と
    を備えたことを特徴とする加減速制御装置。
  9. 請求項8記載の加減速制御装置から出力された位置指令値を入力し、該位置指令値に応じて少なくとも1つのモータを制御することを特徴とするモータ制御装置。
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