JP3900788B2 - 移動体使用の搬送設備 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レール装置と、このレール装置に支持案内されて一定経路上で移動自在な移動体とを有し、この移動体により被搬送物を支持して搬送を行う移動体使用の搬送設備に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の搬送設備としては、たとえば特開平７−２５４４１号公報に見られる構成が提供されている。すなわち、レールに支持案内されて一定経路上を移動自在な移動体（可動体）の本体は、連結装置を介して相対回動自在に連結された三本のフレーム体により形成されている。そしてフレーム体は、一定経路の方向に長い四角状体からなるとともに、その側面が受動面に形成されている。中間部のフレーム体には、被搬送物支持部と、レールに支持案内される被案内装置とが設けられ、また前後端の両フレーム体には、レールに支持案内される被案内装置が設けられている。
【０００３】
この従来形式によると、送り装置から制動装置の間で複数台の移動体が、その前後端間に隙間を生じめることなく密に後押し状態で整列されて移動される駆動形式とし得る。その際に送り装置は、フレーム体の側面に形成された受動面に対して送り装置の送りローラを圧接させることで、移動体に移動力を付与する形式である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した従来の構成においては、送り装置から制動装置の間で複数台の移動体を密に後押し状態で移動し得るが、これら移動体を所定間隔置きで間欠的または連続的にピッチ送りすることはできない。なお、送り装置を所定間隔置きに配置したときには、移動体のピッチ送りが可能になるが、この場合、モータや送りローラなどからなる送り装置を多数配置しなければならず、設備全体が複雑かつ高価になる。
【０００５】
そこで本発明のうち請求項１記載の発明は、構造簡単かつ安価にして移動体のピッチ送りを可能にした移動体使用の搬送設備を提供することを目的としたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項１記載の移動体使用の搬送設備は、レール装置に支持案内されて一定経路上で移動自在な移動体側には、レール装置に支持案内される複数の被案内装置と被搬送物の支持部が設けられるとともに、受動面が形成され、前記一定経路中の所定経路部分で一側方には、前記受動面に当接回転作用して移動体に移動力を付与する摩擦式送り手段が設けられ、この摩擦式送り手段は、所定間隔置きに配設された送り装置を有し、これら送り装置には、駆動軸に連動される摩擦回転体が設けられ、隣接した送り装置の駆動軸間が連動軸により連動連結されるとともに、一部の連動軸は回転駆動装置に連動連結され、連動軸から各摩擦回転体への回転伝達経路中にそれぞれクラッチ手段が介在され、これらクラッチ手段は、検出手段による下手の送り装置の部分の空状態の検出に基づいて接続して、間欠的な送りを自動的に行うように構成されていることを特徴としたものである。
【０００７】
したがって請求項１の発明によると、摩擦式送り手段における回転駆動装置の駆動によって連動軸を常時回転させており、このような状態で適宜の検出手段によって下手の送り装置の部分が空状態であることを検出したとき、その検出に基づいてクラッチ手段を接続させて、連動軸の回転を駆動軸に伝達し得、以て受動面に当接させた摩擦回転体を駆動回転し得る。これにより、送り装置によって移動体に移動力を付与することになって、この移動体を自動的に送り移動し得る。そしてクラッチ手段の分断による摩擦回転体の非回転によって、送り装置の位置において移動体を停止し得る。このようにして、一定経路中の所定経路部分では、一側方に設けた摩擦式送り手段により移動体を、送り装置の配設ピッチの置きに、すなわち所定間隔置きで間欠的にピッチ送りし得る。
【００１０】
そして本発明の請求項２記載の移動体使用の搬送設備は、上記した請求項１記載の構成において、移動体の本体が、連結装置を介して相対回動自在に連結された複数本の部材により形成され、これら部材に受動面が形成されていることを特徴としたものである。
【００１１】
したがって請求項２の発明によると、部材群により本体を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部において各部材は、連結装置を介して相対的に回動した姿勢となり、しかも、各部材を使用して受動面を容易に形成し得る。
【００１２】
さらに本発明の請求項３記載の移動体使用の搬送設備は、上記した請求項１または２記載の構成において、摩擦回転体が、受動面に対して弾性的に当接付勢されていることを特徴としたものである。
【００１３】
したがって請求項３の発明によると、弾性的な当接付勢作用によって、移動体の本体の振れや設計誤差などに関係なく、受動面に対して摩擦回転体を常に好適に当接し得る。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、床側走行形式に採用した状態として図に基づいて説明する。
【００１５】
図１〜図６において、床１側からの機枠１０の上部にレール装置１１が配設されている。このレール装置１１は、チャンネル状のレール１２を、その開放部を相対向して左右一対に配設することで構成されている。これらレール１２の開放部側の上縁部には、その上縁から上方へ曲げ成形することでガイド部１２ａが形成されるとともに、その下縁部には、その下縁から下方へ曲げ成形することで垂下部１２ｂが形成されている。
【００１６】
前記レール装置１１により一定経路５を形成するものであり、ここで一定経路５は平面視において、たとえば平行した一対の直線状経路部５ａと、これら直線状経路部５ａの始終端間を接続したカーブ経路部５ｂとにより無端状に形成されている。
【００１７】
前記レール装置１１に支持案内されて一定経路５上を移動自在な移動体２０が設けられる。この移動体２０の本体２１は、連結装置（後述する。）を介して相対回動自在に連結された三本（複数本）のフレーム体（部材の一例）２２，２３，２４により形成されている。
【００１８】
ここで各フレーム体２２，２３，２４は、一定経路５の方向に長い四角筒状体（四角棒状体）２２Ａ，２３Ａ，２４Ａと、これら四角筒状体２２Ａ，２３Ａ，２４Ａの前端に一体化された前端部材２２Ｂ，２３Ｂ，２４Ｂと、後端に一体化された後端部材２２Ｃ，２３Ｃ，２４Ｃとにより形成されている。そして少なくとも一側面、すなわち、たとえば無端状の一定経路５における内側に向いた側面が、全長または大部分に亘っての受動面２５に形成されている。
【００１９】
前部フレーム体２２と中間部フレーム体２３との間、ならびに中間部フレーム体２３と後部フレーム体２４との間が、それぞれ連結装置２７を介して相対回動自在に連結されている。ここで両連結装置２７は、前部フレーム体２２の後端部材２２Ｃと中間部フレーム体２３の前端部材２３Ｂとの間、ならびに中間部フレーム体２３の後端部材２３Ｃと後部フレーム体２４の前端部材２４Ｂとの間を、それぞれ縦方向軸２８を介して左右方向に相対回動自在に連結することで構成されている。
【００２０】
前記移動体２０は、複数の被案内装置３０を介してレール装置１１に支持案内されることで、一定経路５上を移動自在に構成されている。その際に、各被案内装置３０は同様なトロリ形式に構成されている。
【００２１】
すなわちトロリ本体３１には、前後方向の中央部分に上方で開放された四角状凹部３１Ａが形成されている。そしてトロリ本体３１の上下中間位置には前後一対の横方向ピン３２が貫通して固定され、これら横方向ピン３２の両突出部分に、前記レール装置１１におけるレール１２に嵌合して支持案内される被支持ローラ３３が遊転自在に取り付けられている。またトロリ本体３１の上部にはそれぞれ縦方向ピン３４が貫通して固定され、これら縦ピン３４の下端部分に、前記レール１２のガイド部１２ａに対向して案内される被ガイドローラ３５が遊転自在に取り付けられている。
【００２２】
これにより各被案内装置３０は、そのトロリ本体３１の両側にそれぞれ前後一対の被支持ローラ３３が設けられるとともに、その上部に前後一対の被ガイドローラ３５が設けられて構成されている。そして被案内装置３０は、両縦方向軸２８、ならびに前端部材２２Ｂや後端部材２４Ｃに設けられた縦方向軸２９の端部に相対回動自在に連結されている。
【００２３】
すなわち、縦方向軸２８，２９の下部は四角状部２８Ａ，２９Ａに形成され、これら四角状部２８Ａ，２９Ａが前記四角状凹部３１Ａに挿入され、そしてトロリ本体３１に通される横方向ピン３８，３９が各四角状部２８Ａ，２９Ａに貫通されている。これにより縦方向軸２８，２９の端部と被案内装置３０との連結は、四角状部２８Ａ，２９Ａを貫通する横方向ピン３８，３９を介して、前後方向で相対回動自在に行われる。
【００２４】
図２〜図５、図７において、前記移動体２０側には受動体４０が設けられている。すなわち、前から２番目（少なくとも１箇所）の被案内装置３０において、そのトロリ本体３１の下前部には横ピン４１を介して受動体４０が上下揺動自在に設けられている。この受動体４０には、下部で後方に向く受動面４０ａと、中間部で上方に向く受け面４０ｂと、上部で後方に向くストッパ面４０ｃとが形成されている。ここでストッパ面４０ｃがトロリ本体３１側に当接されたとき、受動面４０ａは垂直状の受動姿勢になるように構成されている。
【００２５】
そしてトロリ本体３１の下部かつ後部には、横ピン４３を介して惰走防止体４２が上下揺動自在に設けられている。この惰走防止体４２には、下部で前方に向く惰走防止面４２ａと、中間部で下方に向く当て面４２ｂと、上部で前方に向くストッパ面４２ｃと、下方かつ後方に向くカム面４２ｄとが形成されている。ここでストッパ面４２ｃがトロリ本体３１側に当接されたとき、惰走防止面４２ａは垂直状の受動面４０ａに対向されるとともに、当て面４２ｂが受け面４０ｂに上方から当接される姿勢になるように構成されている。
【００２６】
図１、図３〜図６において、前記移動体２０には被搬送物Ｗの支持部４５が設けられている。すなわち、前記フレーム体２２，２３，２４のうち中間部フレーム体２３には、被搬送物Ｗの支持部４５が設けられている。この支持部４５は、前記中間部フレーム体２３における四角筒状体２３Ａと前端部材２３Ｂまたは後端部材２３Ｃとの上面間から立設された前後一対の縦材４６と、これら縦材４６の上面間に設けられた前後材４７と、この前後材４７の前後端面にそれぞれ固定された左右材４８と、これら左右材４８上に設けられた被搬送物Ｗの支持具４９などにより構成されている。
【００２７】
前記支持部４５の部分には遊転輪（ガイドローラ）５０が取り付けられている。すなわち、左右材４８から左右一対のブラケット５１が連設され、これらブラケット５１から左右外方へ突設された軸５２に前記遊転輪５０が取り付けられている。そして、前記遊転輪５０を下方から支持案内する一対のガイドレール６が、前記一定経路５に沿って配設されている。
【００２８】
なおガイドレール６は一定経路５の全長に沿って設けてもよく、また主として被搬送物Ｗを支持して作業を行う直線状経路部５ａの全長もしくは所望の箇所に設けてもよい。さらにガイドレール６の部分にはカバー体７が設けられており、ここでカバー体７により遊転輪５０を下方から支持案内する形式であってもよい。そして遊転輪５０は、図１の仮想線に示される４輪形式のほか、１輪形式、片持ち状の２輪形式、３輪形式、４輪以上の複数輪形式などであってもよい。
【００２９】
図２〜図４、図７に示されるように、前記一定経路５において、たとえば一方の直線状経路部５ａは被搬送物Ｗの乾燥炉（処理部の一例）５５に貫通されている。そして、この乾燥炉５５に対応して前記移動体２０に移動力を付与する無端回動式送り装置６０が設けられている。
【００３０】
すなわち無端回動式送り装置６０は、乾燥炉５５の出口部分に設けられた駆動歯輪６１と、乾燥炉５５の入口部分などに設けられた従動歯輪６２群と、駆動歯輪６１に連動された駆動装置６３と、両歯輪６１，６２間に巻回されたチェーン６４などにより、その一例が構成されている。ここでチェーン６４は、一対の上下リンク体６５群と一対の左右リンク体６６群とを、チェーンピン体６７により交互に連結することで無端状に構成され、そしてチェーンピン体６７による連結は、上下ならびに左右に相対回動自在とされている。
【００３１】
前記一対の上下リンク体６５間には、縦ピン６８を介して横ガイドローラ６９が遊転自在に設けられ、そして一対の左右リンク体６６の外側には、横ピン７０を介して上下ガイドローラ７１が遊転自在に設けられている。さらに、適所の左右リンク体６６間には前記受動体４０に対して相対的に係合可能な伝動体７２が設けられ、ここで伝動体７２は、上位の経路部分において上方へ突出するように構成されている。
【００３２】
この上位の経路部分で移動されるチェーン６４を支持案内するために、前記レール装置１１の下方にはチェーンガイド装置１４が設けられている。すなわちチェーンガイド装置１４は、機枠１０の下部にチャンネル状のレール１５を、その開放部を相対向して左右一対に配設することで構成されている。
【００３３】
図１、図２、図５、図６において、前記一定経路５中の所定経路部分には、前記受動面２５に当接回転作用して移動体２０に移動力を付与する摩擦式送り手段８０が設けられている。この摩擦式送り手段８０は、所定間隔置きに配設された送り装置８１を有し、その際に送り装置８１の配設ピッチＰは、移動体２０の全長Ｌに対して短く、すなわちＰ＜Ｌに設定されている。
【００３４】
各送り装置８１は、ボックス状の装置本体８２を有し、この装置本体８２には縦方向の駆動軸８３が回転自在に支持されている。そして前記装置本体８２の内側面部分にはブラケット８４が固定され、このブラケット８４に縦ピン８５を介して設けられた揺動体８６は一定経路５の方向に揺動自在に設けられている。
【００３５】
この揺動体８６の遊端部分には受動軸８７が設けられ、この受動軸８７に固定された受動輪体８８と前記駆動軸８３に固定された駆動輪体８９とが、無端回動体９０により連動連結されている。ここで輪体８８，８９と無端回動体９０との組み合せとしては、プーリとＶベルトや、歯輪とチェーンなどが採用される。
【００３６】
前記受動軸８７には送りローラ（摩擦回転体の一例）９１が設けられ、この送りローラ９１は、たとえば外周部分がウレタン製とされている。そして送りローラ９１は、輪体８８，８９や無端回動体９０などを介して前記駆動軸８３に連動されている。前記ブラケット８４と揺動体８６との間には圧縮ばね９２が設けられ、以て送りローラ９１は、受動面２５に対して弾性的に当接付勢されている。
【００３７】
前記装置本体８２内にはクラッチ手段９３が設けられ、このクラッチ手段９３の一方側に前記駆動軸８３が連動されている。なお、揺動体８６は２分割されており、連結具９４を介して連結されるとともに、その連結の際に無端回動体９０の張力を調整自在に構成されている。以上の８２〜９４などによって送り装置８１の一例が構成される。
【００３８】
隣接した送り装置８１の駆動軸８３間が連動軸９５により連動連結され、その際に前記クラッチ手段９３の他方側に連動軸９５が連動されている。したがって、連動軸９５から送りローラ９１への回転伝達経路中にクラッチ手段９３が介在されることになる。これにより複数（所定数）の送り装置８１が連動軸９５を介して相互に連動され、そして一端（一部）の連動軸９５は、回転駆動装置の一例である減速機付きのインダクションモータ９６に連動連結されている。
【００３９】
上記した摩擦式送り手段８０は、各送り装置８１において駆動回転される送りローラ９１を、圧縮ばね９２の弾性反発力により受動面２５に対して当接作用させることで、移動体２０に移動力を付与し得る。なお、送り装置８１群やインダクションモータ９６などからなる摩擦式送り手段８０として、一定経路５の方向において複数がセットされているが、これは所定経路部分の長さによっては単数がセットされる形式であってもよい。
【００４０】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
図１、図２、図５、図６に示されるように、一定経路５中で乾燥炉５５の部分を除いた所定経路部分では、移動体２０が摩擦式送り手段８０によりピッチ送りされる。すなわち、インダクションモータ９６の駆動によって連動軸９５が常時回転されている。そして、下手の送り装置８１の部分が空状態のときに間欠的な送り（ピッチ送り）が自動的に行われるように、適宜の検出手段による検出に基づいてクラッチ手段９３が接続される。
【００４１】
この接続によって連動軸９５の回転が、クラッチ手段９３を介して駆動軸８３に伝達され、そして駆動輪体８９、無端回動体９０、受動輪体８８を介して受動軸８７に伝達され、以て受動面２５に当接している送りローラ９１を駆動回転される。これにより、送り装置８１によって移動体２０に移動力が付与されることになって、この移動体２０は送り移動される。
【００４２】
すなわち、送り装置８１による移動体２０の移動は、その送りローラ９１が、前部フレーム体２２の受動面２５から中間部フレーム体２３の受動面２５、ならびに後部フレーム体２４の受動面２５へと順次作用されることで行われる。
【００４３】
その際に、送りローラ９１が前部フレーム体２２に作用しているとき、中間部フレーム体２３と後部フレーム体２４は連結装置２７を介して引っ張り移動され、また中間部フレーム体２３の受動面２５に作用しているとき、前部フレーム体２２は連結装置２７を介して押し移動されるとともに後部フレーム体２４は連結装置２７を介して引っ張り移動され、さらに後部フレーム体２４の受動面２５に作用しているとき、中間部フレーム体２３と前部フレーム体２２は連結装置２７を介して押し移動されることになる。
【００４４】
上述したように移動体２０の移動は、送り装置８１の配設ピッチＰの置きに間欠的に行われる。そして送り装置８１の位置において、クラッチ９３の分断による送りローラ８２の非回転によって移動体２０を停止させるとともに、適宜の位置決め手段によって位置決めを行った状態で、床１上の作業者や本体２１上に乗り移った作業者が、支持部４５に支持されている被搬送物Ｗに対して各種の作業を遂行する。
【００４５】
そして、このような移動（走行）の際に各被案内装置３０は、各被支持ローラ３３を介してレール装置１１の両レール１２に支持案内され、そして各被ガイドローラ３５がガイド部１２ａに当接して案内される。これにより移動体２０の移動は、ガタ付いたり横倒れしたりすることなく安定して行われ、以て被搬送物Ｗに対する各種作業や被搬送物Ｗの積み降ろしは、常に正確に行える。
【００４６】
前記移動体２０の移動は、カーブ経路部５ｂでも同様にして行われる。その際にカーブ経路部５ｂでは、図８に示されるように、各フレーム体２２，２３，２４は、平面視において連結装置２７における縦方向軸２８を介して相対的に屈折した姿勢で移動されることになる。
【００４７】
このようにしてカーブ経路部５ｂを移動した移動体２０は乾燥炉５５の入口部に達し、その受動体４０を無端回動式送り装置６０の作用経路に突入して停止される。ここで乾燥炉５５の部分では無端回動式送り装置６０が作動されている。
【００４８】
すなわち、駆動装置６３により両歯輪６１，６２を介してチェーン６４が移動されている。そして、チェーン６４と一体移動される伝動体７２は、作用経路の始端部分から受動体４０に向って移動され、まず惰走防止体４２のカム面４２ｄに当接して、この惰走防止体４２は、図４の仮想線に示すように横ピン４３の周りに上方へ揺動され、以て伝動体７２は惰走防止体４２の部分で通過される。そして伝動体７２は、図４の実線に示すように受動体４０の受動面４０ａに当接され、これにより移動体２０は一体状に移動される。
【００４９】
このようにして移動体２０を乾燥炉５５内で移動させながら、支持部４０に支持している被搬送物Ｗに対して、乾燥手段（図示せず。）により乾燥作業が遂行される。その際に無端回動式送り装置６０は、乾燥炉５５内でチェーン６４のみが移動することから、熱などに強い送り構成とし得、以て長期に亘っての安定した動作を期待し得る。
【００５０】
なお、伝動体７２を受動体４０の受動面４０ａに当接させての移動体２０の移動中に、この移動体２０が惰走（暴走）しようとしたとき、惰走防止体４２の惰走防止面４２ａが伝動体７２に当接して、その惰走を防止し得る。
【００５１】
移動体２０が乾燥炉５５の出口部分に達すると、たとえばチェーンガイド装置１４のレール１５を下降傾斜状に形成することにより、受動体４０に対して伝動体７２が下降動され、以て受動体４０に対する伝動体７２の係合が外れる。これにより、無端回動式送り装置６０による送り力が開放され、それ以降は、前述した摩擦式送り手段８０により移動力が付与される。
【００５２】
なお、乾燥炉５５の部分から出たのち適宜の箇所において、作業済みの被搬送物Ｗが支持部４０から降ろされるとともに、支持部４０に新たな被搬送物Ｗが積み込まれる。このようにして移動体２０は、一定経路５上において、循環移動される。
【００５３】
一定経路５中に、側面視において上方（または下方）へのカーブ経路部が形成されている場合は、縦方向軸２８，２９に対して被案内装置３０が横方向ピン３８，３９の周りに相対回動されることで、レール１２の上下方向のカーブに沿って向きを自動的に変更しながら円滑に移動される。
【００５４】
上述した構成においては、摩擦式送り手段８０におけるインダクションモータ９６の駆動によって連動軸９５を常時回転させており、適宜の検出手段による検出に基づいてクラッチ手段９３を接続させることで、連動軸９５の回転を駆動軸８３に伝達し得、以て受動面２５に当接させた送りローラ９１を駆動回転し得る。これにより、送り装置８１によって移動体２０に移動力を付与することになって、この移動体２０を送り移動し得る。そしてクラッチ手段９３の分断による送りローラ９１の非回転によって、送り装置８１の位置において移動体２０を停止し得る。
【００５５】
このようにして、一定経路５中の所定経路部分では、摩擦式送り手段８０により移動体２０を、送り装置８１の配設ピッチの置きに間欠的に移動し得、以て構造簡単かつ安価にして移動体２０のピッチ送りが可能となる。
【００５６】
またフレーム体２２，２３，２４群により本体２１を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部５ｂにおいて各フレーム体２２，２３，２４は、連結装置２７を介して相対的に回動した姿勢となり、以てカーブ経路部５ｂでの移動体２０の走行を円滑に行える。しかも、各フレーム体２２，２３，２４を使用して受動面２５を容易に形成し得る。
【００５７】
そして弾性的な当接付勢作用によって、移動体２０の本体２１の振れや設計誤差などに関係なく、受動面２５に対して送りローラ９１を常に好適に当接し得、以て移動体２０のピッチ送りは、より確実に行える。
【００５９】
上記した実施の形態では、圧縮ばね９２の弾性反発力によって、送りローラ９１が受動面２５に対して弾性的に当接付勢されているが、この送りローラ９１は定置式であってもよい。
【００６０】
上記した実施の形態では、本体２１の一側面に受動面２５を形成し、この受動面２５に作用する摩擦式送り手段８０を設けた形式を示しているが、これは本体２１の他側面に作用される受けローラを設けて、本体２１を両側から挟みつけて強い摩擦力を得、以て充分な走行力を与え得る形式であってもよい。
【００６１】
上記した実施の形態では、移動体２０の本体２１として、三本のフレーム体（部材）２２，２３，２４からなる形式を示したが、これは前部のフレーム体２２の前方や後方、後部のフレーム体２４の前方や後方に単数または複数のフレーム体を連結した三本以上の形式や、中間部フレーム体１３を複数本とした三本以上の形式などであってもよい。またフレーム体２２，２３，２４のうちいずれかを省略した二本形式であってもよい。
【００６２】
上記した実施の形態では、フレーム体２２，２３，２４の連結を行う縦方向軸２８を介して被案内装置３０を配設しているが、これは被案内装置を、フレーム体２２，２３，２４間や前後のフレーム体２２，２４の外方に配設して隣接間を連結した形式であってもよい。この場合には、被案内装置におけるトロリ本体の側面にも受動面が形成される。さらに、フレーム体２２，２３，２４間で連結された被案内装置間に支持部を設けた形式であってもよく、この場合には、カーブ経路などの円滑な走行のために、中間部フレーム体２３として伸縮構造が採用される。
【００６３】
上記した実施の形態では、床１側からの機枠１０にレール装置１１やチェーンガイド装置１４を配設しているが、これは床面下のピット内にレール装置１１やチェーンガイド装置１４を配設した構成であってもよい。これによると、移動体２０を含めた全体の高さを低く形成できる。
【００６４】
上記した実施の形態では、床１側を走行自在な移動体２０を示したが、これは天井側に配設したレールに支持案内されて移動自在な移動体であってもよい。
上記した実施の形態では、被案内装置３０として、レール１２のガイド部１２ａに案内される被ガイドローラ３５を有する形式が示されているが、これは垂下部１２ｂに案内される被ガイドローラをも有する形式の被案内装置であってもよい。
【００６５】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項１によると、摩擦式送り手段における回転駆動装置の駆動によって連動軸を常時回転させており、このような状態で適宜の検出手段によって下手の送り装置の部分が空状態であることを検出したとき、その検出に基づいてクラッチ手段を接続させることで、連動軸の回転を駆動軸に伝達できて、受動面に当接させた摩擦回転体を駆動回転できる。これにより、送り装置によって移動体に移動力を付与することになって、この移動体を自動的に送り移動できる。そしてクラッチ手段の分断による摩擦回転体の非回転によって、送り装置の位置において移動体を停止できる。このようにして、一定経路中の所定経路部分では、一側方に設けた摩擦式送り手段により移動体を、送り装置の配設ピッチの置きに、すなわち所定間隔置きで間欠的にピッチ送りでき、以て構造簡単かつ安価にして移動体のピッチ送りを可能にできる。
【００６７】
そして上記した本発明の請求項２によると、部材群により本体を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部において各部材は、連結装置を介して相対的に回動した姿勢となり、以てカーブ経路部での移動体の走行を円滑に行うことができる。しかも、各部材を使用して受動面を容易に形成できる。
【００６８】
さらに上記した本発明の請求項３によると、弾性的な当接付勢作用によって、移動体の本体の振れや設計誤差などに関係なく、受動面に対して摩擦回転体を常に好適に当接でき、以て移動体のピッチ送りを、より確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の一例を示し、移動体使用の搬送設備における移動体部分の一部切り欠き平面図である。
【図２】同移動体使用の搬送設備における一定経路の部分の概略平面図である。
【図３】同移動体使用の搬送設備における移動体部分の一部切り欠き側面図である。
【図４】同移動体使用の搬送設備における移動体の要部の一部切り欠き側面図である。
【図５】同移動体使用の搬送設備における移動体の要部の一部切り欠き平面図である。
【図６】同移動体使用の搬送設備における摩擦式送り手段を配設した部分での縦断正面図である。
【図７】同移動体使用の搬送設備における無端回動式送り装置を配設した部分での縦断正面図である。
【図８】同移動体使用の搬送設備における左右のカーブ経路部での平面図である。
【符号の説明】
５ 一定経路
５ａ 直線状経路部
５ｂ カーブ経路部
１１ レール装置
１２ レール
１４ チェーンガイド装置
２０ 移動体
２１ 本体
２２ 前部フレーム体（部材）
２３ 中間部フレーム体（部材）
２４ 後部フレーム体（部材）
２５ 受動面
２７ 連結装置
２８ 縦方向軸
３０ 被案内装置
３１ トロリ本体
３３ 被支持ローラ
３５ 被ガイドローラ
４０ 受動体
４２ 惰走防止体
４５ 支持部
４９ 支持具
５０ 遊転輪
５５ 乾燥炉（処理部）
６０ 無端回動式送り装置
６４ チェーン
７２ 伝動体
８０ 摩擦式送り手段
８１ 送り装置
８２ 装置本体
８３ 駆動軸
８６ 揺動体
８７ 受動軸
８８ 受動輪体
８９ 駆動輪体
９０ 無端回動体
９１ 送りローラ（摩擦回転体）
９２ 圧縮ばね
９３ クラッチ手段
９５ 連動軸
９６ インダクションモータ（回転駆動装置）
Ｐ 摩擦式送り装置の配設ピッチ
Ｌ 移動体の全長
Ｗ 被搬送物
【発明の属する技術分野】
本発明は、レール装置と、このレール装置に支持案内されて一定経路上で移動自在な移動体とを有し、この移動体により被搬送物を支持して搬送を行う移動体使用の搬送設備に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の搬送設備としては、たとえば特開平７−２５４４１号公報に見られる構成が提供されている。すなわち、レールに支持案内されて一定経路上を移動自在な移動体（可動体）の本体は、連結装置を介して相対回動自在に連結された三本のフレーム体により形成されている。そしてフレーム体は、一定経路の方向に長い四角状体からなるとともに、その側面が受動面に形成されている。中間部のフレーム体には、被搬送物支持部と、レールに支持案内される被案内装置とが設けられ、また前後端の両フレーム体には、レールに支持案内される被案内装置が設けられている。
【０００３】
この従来形式によると、送り装置から制動装置の間で複数台の移動体が、その前後端間に隙間を生じめることなく密に後押し状態で整列されて移動される駆動形式とし得る。その際に送り装置は、フレーム体の側面に形成された受動面に対して送り装置の送りローラを圧接させることで、移動体に移動力を付与する形式である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した従来の構成においては、送り装置から制動装置の間で複数台の移動体を密に後押し状態で移動し得るが、これら移動体を所定間隔置きで間欠的または連続的にピッチ送りすることはできない。なお、送り装置を所定間隔置きに配置したときには、移動体のピッチ送りが可能になるが、この場合、モータや送りローラなどからなる送り装置を多数配置しなければならず、設備全体が複雑かつ高価になる。
【０００５】
そこで本発明のうち請求項１記載の発明は、構造簡単かつ安価にして移動体のピッチ送りを可能にした移動体使用の搬送設備を提供することを目的としたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項１記載の移動体使用の搬送設備は、レール装置に支持案内されて一定経路上で移動自在な移動体側には、レール装置に支持案内される複数の被案内装置と被搬送物の支持部が設けられるとともに、受動面が形成され、前記一定経路中の所定経路部分で一側方には、前記受動面に当接回転作用して移動体に移動力を付与する摩擦式送り手段が設けられ、この摩擦式送り手段は、所定間隔置きに配設された送り装置を有し、これら送り装置には、駆動軸に連動される摩擦回転体が設けられ、隣接した送り装置の駆動軸間が連動軸により連動連結されるとともに、一部の連動軸は回転駆動装置に連動連結され、連動軸から各摩擦回転体への回転伝達経路中にそれぞれクラッチ手段が介在され、これらクラッチ手段は、検出手段による下手の送り装置の部分の空状態の検出に基づいて接続して、間欠的な送りを自動的に行うように構成されていることを特徴としたものである。
【０００７】
したがって請求項１の発明によると、摩擦式送り手段における回転駆動装置の駆動によって連動軸を常時回転させており、このような状態で適宜の検出手段によって下手の送り装置の部分が空状態であることを検出したとき、その検出に基づいてクラッチ手段を接続させて、連動軸の回転を駆動軸に伝達し得、以て受動面に当接させた摩擦回転体を駆動回転し得る。これにより、送り装置によって移動体に移動力を付与することになって、この移動体を自動的に送り移動し得る。そしてクラッチ手段の分断による摩擦回転体の非回転によって、送り装置の位置において移動体を停止し得る。このようにして、一定経路中の所定経路部分では、一側方に設けた摩擦式送り手段により移動体を、送り装置の配設ピッチの置きに、すなわち所定間隔置きで間欠的にピッチ送りし得る。
【００１０】
そして本発明の請求項２記載の移動体使用の搬送設備は、上記した請求項１記載の構成において、移動体の本体が、連結装置を介して相対回動自在に連結された複数本の部材により形成され、これら部材に受動面が形成されていることを特徴としたものである。
【００１１】
したがって請求項２の発明によると、部材群により本体を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部において各部材は、連結装置を介して相対的に回動した姿勢となり、しかも、各部材を使用して受動面を容易に形成し得る。
【００１２】
さらに本発明の請求項３記載の移動体使用の搬送設備は、上記した請求項１または２記載の構成において、摩擦回転体が、受動面に対して弾性的に当接付勢されていることを特徴としたものである。
【００１３】
したがって請求項３の発明によると、弾性的な当接付勢作用によって、移動体の本体の振れや設計誤差などに関係なく、受動面に対して摩擦回転体を常に好適に当接し得る。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、床側走行形式に採用した状態として図に基づいて説明する。
【００１５】
図１〜図６において、床１側からの機枠１０の上部にレール装置１１が配設されている。このレール装置１１は、チャンネル状のレール１２を、その開放部を相対向して左右一対に配設することで構成されている。これらレール１２の開放部側の上縁部には、その上縁から上方へ曲げ成形することでガイド部１２ａが形成されるとともに、その下縁部には、その下縁から下方へ曲げ成形することで垂下部１２ｂが形成されている。
【００１６】
前記レール装置１１により一定経路５を形成するものであり、ここで一定経路５は平面視において、たとえば平行した一対の直線状経路部５ａと、これら直線状経路部５ａの始終端間を接続したカーブ経路部５ｂとにより無端状に形成されている。
【００１７】
前記レール装置１１に支持案内されて一定経路５上を移動自在な移動体２０が設けられる。この移動体２０の本体２１は、連結装置（後述する。）を介して相対回動自在に連結された三本（複数本）のフレーム体（部材の一例）２２，２３，２４により形成されている。
【００１８】
ここで各フレーム体２２，２３，２４は、一定経路５の方向に長い四角筒状体（四角棒状体）２２Ａ，２３Ａ，２４Ａと、これら四角筒状体２２Ａ，２３Ａ，２４Ａの前端に一体化された前端部材２２Ｂ，２３Ｂ，２４Ｂと、後端に一体化された後端部材２２Ｃ，２３Ｃ，２４Ｃとにより形成されている。そして少なくとも一側面、すなわち、たとえば無端状の一定経路５における内側に向いた側面が、全長または大部分に亘っての受動面２５に形成されている。
【００１９】
前部フレーム体２２と中間部フレーム体２３との間、ならびに中間部フレーム体２３と後部フレーム体２４との間が、それぞれ連結装置２７を介して相対回動自在に連結されている。ここで両連結装置２７は、前部フレーム体２２の後端部材２２Ｃと中間部フレーム体２３の前端部材２３Ｂとの間、ならびに中間部フレーム体２３の後端部材２３Ｃと後部フレーム体２４の前端部材２４Ｂとの間を、それぞれ縦方向軸２８を介して左右方向に相対回動自在に連結することで構成されている。
【００２０】
前記移動体２０は、複数の被案内装置３０を介してレール装置１１に支持案内されることで、一定経路５上を移動自在に構成されている。その際に、各被案内装置３０は同様なトロリ形式に構成されている。
【００２１】
すなわちトロリ本体３１には、前後方向の中央部分に上方で開放された四角状凹部３１Ａが形成されている。そしてトロリ本体３１の上下中間位置には前後一対の横方向ピン３２が貫通して固定され、これら横方向ピン３２の両突出部分に、前記レール装置１１におけるレール１２に嵌合して支持案内される被支持ローラ３３が遊転自在に取り付けられている。またトロリ本体３１の上部にはそれぞれ縦方向ピン３４が貫通して固定され、これら縦ピン３４の下端部分に、前記レール１２のガイド部１２ａに対向して案内される被ガイドローラ３５が遊転自在に取り付けられている。
【００２２】
これにより各被案内装置３０は、そのトロリ本体３１の両側にそれぞれ前後一対の被支持ローラ３３が設けられるとともに、その上部に前後一対の被ガイドローラ３５が設けられて構成されている。そして被案内装置３０は、両縦方向軸２８、ならびに前端部材２２Ｂや後端部材２４Ｃに設けられた縦方向軸２９の端部に相対回動自在に連結されている。
【００２３】
すなわち、縦方向軸２８，２９の下部は四角状部２８Ａ，２９Ａに形成され、これら四角状部２８Ａ，２９Ａが前記四角状凹部３１Ａに挿入され、そしてトロリ本体３１に通される横方向ピン３８，３９が各四角状部２８Ａ，２９Ａに貫通されている。これにより縦方向軸２８，２９の端部と被案内装置３０との連結は、四角状部２８Ａ，２９Ａを貫通する横方向ピン３８，３９を介して、前後方向で相対回動自在に行われる。
【００２４】
図２〜図５、図７において、前記移動体２０側には受動体４０が設けられている。すなわち、前から２番目（少なくとも１箇所）の被案内装置３０において、そのトロリ本体３１の下前部には横ピン４１を介して受動体４０が上下揺動自在に設けられている。この受動体４０には、下部で後方に向く受動面４０ａと、中間部で上方に向く受け面４０ｂと、上部で後方に向くストッパ面４０ｃとが形成されている。ここでストッパ面４０ｃがトロリ本体３１側に当接されたとき、受動面４０ａは垂直状の受動姿勢になるように構成されている。
【００２５】
そしてトロリ本体３１の下部かつ後部には、横ピン４３を介して惰走防止体４２が上下揺動自在に設けられている。この惰走防止体４２には、下部で前方に向く惰走防止面４２ａと、中間部で下方に向く当て面４２ｂと、上部で前方に向くストッパ面４２ｃと、下方かつ後方に向くカム面４２ｄとが形成されている。ここでストッパ面４２ｃがトロリ本体３１側に当接されたとき、惰走防止面４２ａは垂直状の受動面４０ａに対向されるとともに、当て面４２ｂが受け面４０ｂに上方から当接される姿勢になるように構成されている。
【００２６】
図１、図３〜図６において、前記移動体２０には被搬送物Ｗの支持部４５が設けられている。すなわち、前記フレーム体２２，２３，２４のうち中間部フレーム体２３には、被搬送物Ｗの支持部４５が設けられている。この支持部４５は、前記中間部フレーム体２３における四角筒状体２３Ａと前端部材２３Ｂまたは後端部材２３Ｃとの上面間から立設された前後一対の縦材４６と、これら縦材４６の上面間に設けられた前後材４７と、この前後材４７の前後端面にそれぞれ固定された左右材４８と、これら左右材４８上に設けられた被搬送物Ｗの支持具４９などにより構成されている。
【００２７】
前記支持部４５の部分には遊転輪（ガイドローラ）５０が取り付けられている。すなわち、左右材４８から左右一対のブラケット５１が連設され、これらブラケット５１から左右外方へ突設された軸５２に前記遊転輪５０が取り付けられている。そして、前記遊転輪５０を下方から支持案内する一対のガイドレール６が、前記一定経路５に沿って配設されている。
【００２８】
なおガイドレール６は一定経路５の全長に沿って設けてもよく、また主として被搬送物Ｗを支持して作業を行う直線状経路部５ａの全長もしくは所望の箇所に設けてもよい。さらにガイドレール６の部分にはカバー体７が設けられており、ここでカバー体７により遊転輪５０を下方から支持案内する形式であってもよい。そして遊転輪５０は、図１の仮想線に示される４輪形式のほか、１輪形式、片持ち状の２輪形式、３輪形式、４輪以上の複数輪形式などであってもよい。
【００２９】
図２〜図４、図７に示されるように、前記一定経路５において、たとえば一方の直線状経路部５ａは被搬送物Ｗの乾燥炉（処理部の一例）５５に貫通されている。そして、この乾燥炉５５に対応して前記移動体２０に移動力を付与する無端回動式送り装置６０が設けられている。
【００３０】
すなわち無端回動式送り装置６０は、乾燥炉５５の出口部分に設けられた駆動歯輪６１と、乾燥炉５５の入口部分などに設けられた従動歯輪６２群と、駆動歯輪６１に連動された駆動装置６３と、両歯輪６１，６２間に巻回されたチェーン６４などにより、その一例が構成されている。ここでチェーン６４は、一対の上下リンク体６５群と一対の左右リンク体６６群とを、チェーンピン体６７により交互に連結することで無端状に構成され、そしてチェーンピン体６７による連結は、上下ならびに左右に相対回動自在とされている。
【００３１】
前記一対の上下リンク体６５間には、縦ピン６８を介して横ガイドローラ６９が遊転自在に設けられ、そして一対の左右リンク体６６の外側には、横ピン７０を介して上下ガイドローラ７１が遊転自在に設けられている。さらに、適所の左右リンク体６６間には前記受動体４０に対して相対的に係合可能な伝動体７２が設けられ、ここで伝動体７２は、上位の経路部分において上方へ突出するように構成されている。
【００３２】
この上位の経路部分で移動されるチェーン６４を支持案内するために、前記レール装置１１の下方にはチェーンガイド装置１４が設けられている。すなわちチェーンガイド装置１４は、機枠１０の下部にチャンネル状のレール１５を、その開放部を相対向して左右一対に配設することで構成されている。
【００３３】
図１、図２、図５、図６において、前記一定経路５中の所定経路部分には、前記受動面２５に当接回転作用して移動体２０に移動力を付与する摩擦式送り手段８０が設けられている。この摩擦式送り手段８０は、所定間隔置きに配設された送り装置８１を有し、その際に送り装置８１の配設ピッチＰは、移動体２０の全長Ｌに対して短く、すなわちＰ＜Ｌに設定されている。
【００３４】
各送り装置８１は、ボックス状の装置本体８２を有し、この装置本体８２には縦方向の駆動軸８３が回転自在に支持されている。そして前記装置本体８２の内側面部分にはブラケット８４が固定され、このブラケット８４に縦ピン８５を介して設けられた揺動体８６は一定経路５の方向に揺動自在に設けられている。
【００３５】
この揺動体８６の遊端部分には受動軸８７が設けられ、この受動軸８７に固定された受動輪体８８と前記駆動軸８３に固定された駆動輪体８９とが、無端回動体９０により連動連結されている。ここで輪体８８，８９と無端回動体９０との組み合せとしては、プーリとＶベルトや、歯輪とチェーンなどが採用される。
【００３６】
前記受動軸８７には送りローラ（摩擦回転体の一例）９１が設けられ、この送りローラ９１は、たとえば外周部分がウレタン製とされている。そして送りローラ９１は、輪体８８，８９や無端回動体９０などを介して前記駆動軸８３に連動されている。前記ブラケット８４と揺動体８６との間には圧縮ばね９２が設けられ、以て送りローラ９１は、受動面２５に対して弾性的に当接付勢されている。
【００３７】
前記装置本体８２内にはクラッチ手段９３が設けられ、このクラッチ手段９３の一方側に前記駆動軸８３が連動されている。なお、揺動体８６は２分割されており、連結具９４を介して連結されるとともに、その連結の際に無端回動体９０の張力を調整自在に構成されている。以上の８２〜９４などによって送り装置８１の一例が構成される。
【００３８】
隣接した送り装置８１の駆動軸８３間が連動軸９５により連動連結され、その際に前記クラッチ手段９３の他方側に連動軸９５が連動されている。したがって、連動軸９５から送りローラ９１への回転伝達経路中にクラッチ手段９３が介在されることになる。これにより複数（所定数）の送り装置８１が連動軸９５を介して相互に連動され、そして一端（一部）の連動軸９５は、回転駆動装置の一例である減速機付きのインダクションモータ９６に連動連結されている。
【００３９】
上記した摩擦式送り手段８０は、各送り装置８１において駆動回転される送りローラ９１を、圧縮ばね９２の弾性反発力により受動面２５に対して当接作用させることで、移動体２０に移動力を付与し得る。なお、送り装置８１群やインダクションモータ９６などからなる摩擦式送り手段８０として、一定経路５の方向において複数がセットされているが、これは所定経路部分の長さによっては単数がセットされる形式であってもよい。
【００４０】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
図１、図２、図５、図６に示されるように、一定経路５中で乾燥炉５５の部分を除いた所定経路部分では、移動体２０が摩擦式送り手段８０によりピッチ送りされる。すなわち、インダクションモータ９６の駆動によって連動軸９５が常時回転されている。そして、下手の送り装置８１の部分が空状態のときに間欠的な送り（ピッチ送り）が自動的に行われるように、適宜の検出手段による検出に基づいてクラッチ手段９３が接続される。
【００４１】
この接続によって連動軸９５の回転が、クラッチ手段９３を介して駆動軸８３に伝達され、そして駆動輪体８９、無端回動体９０、受動輪体８８を介して受動軸８７に伝達され、以て受動面２５に当接している送りローラ９１を駆動回転される。これにより、送り装置８１によって移動体２０に移動力が付与されることになって、この移動体２０は送り移動される。
【００４２】
すなわち、送り装置８１による移動体２０の移動は、その送りローラ９１が、前部フレーム体２２の受動面２５から中間部フレーム体２３の受動面２５、ならびに後部フレーム体２４の受動面２５へと順次作用されることで行われる。
【００４３】
その際に、送りローラ９１が前部フレーム体２２に作用しているとき、中間部フレーム体２３と後部フレーム体２４は連結装置２７を介して引っ張り移動され、また中間部フレーム体２３の受動面２５に作用しているとき、前部フレーム体２２は連結装置２７を介して押し移動されるとともに後部フレーム体２４は連結装置２７を介して引っ張り移動され、さらに後部フレーム体２４の受動面２５に作用しているとき、中間部フレーム体２３と前部フレーム体２２は連結装置２７を介して押し移動されることになる。
【００４４】
上述したように移動体２０の移動は、送り装置８１の配設ピッチＰの置きに間欠的に行われる。そして送り装置８１の位置において、クラッチ９３の分断による送りローラ８２の非回転によって移動体２０を停止させるとともに、適宜の位置決め手段によって位置決めを行った状態で、床１上の作業者や本体２１上に乗り移った作業者が、支持部４５に支持されている被搬送物Ｗに対して各種の作業を遂行する。
【００４５】
そして、このような移動（走行）の際に各被案内装置３０は、各被支持ローラ３３を介してレール装置１１の両レール１２に支持案内され、そして各被ガイドローラ３５がガイド部１２ａに当接して案内される。これにより移動体２０の移動は、ガタ付いたり横倒れしたりすることなく安定して行われ、以て被搬送物Ｗに対する各種作業や被搬送物Ｗの積み降ろしは、常に正確に行える。
【００４６】
前記移動体２０の移動は、カーブ経路部５ｂでも同様にして行われる。その際にカーブ経路部５ｂでは、図８に示されるように、各フレーム体２２，２３，２４は、平面視において連結装置２７における縦方向軸２８を介して相対的に屈折した姿勢で移動されることになる。
【００４７】
このようにしてカーブ経路部５ｂを移動した移動体２０は乾燥炉５５の入口部に達し、その受動体４０を無端回動式送り装置６０の作用経路に突入して停止される。ここで乾燥炉５５の部分では無端回動式送り装置６０が作動されている。
【００４８】
すなわち、駆動装置６３により両歯輪６１，６２を介してチェーン６４が移動されている。そして、チェーン６４と一体移動される伝動体７２は、作用経路の始端部分から受動体４０に向って移動され、まず惰走防止体４２のカム面４２ｄに当接して、この惰走防止体４２は、図４の仮想線に示すように横ピン４３の周りに上方へ揺動され、以て伝動体７２は惰走防止体４２の部分で通過される。そして伝動体７２は、図４の実線に示すように受動体４０の受動面４０ａに当接され、これにより移動体２０は一体状に移動される。
【００４９】
このようにして移動体２０を乾燥炉５５内で移動させながら、支持部４０に支持している被搬送物Ｗに対して、乾燥手段（図示せず。）により乾燥作業が遂行される。その際に無端回動式送り装置６０は、乾燥炉５５内でチェーン６４のみが移動することから、熱などに強い送り構成とし得、以て長期に亘っての安定した動作を期待し得る。
【００５０】
なお、伝動体７２を受動体４０の受動面４０ａに当接させての移動体２０の移動中に、この移動体２０が惰走（暴走）しようとしたとき、惰走防止体４２の惰走防止面４２ａが伝動体７２に当接して、その惰走を防止し得る。
【００５１】
移動体２０が乾燥炉５５の出口部分に達すると、たとえばチェーンガイド装置１４のレール１５を下降傾斜状に形成することにより、受動体４０に対して伝動体７２が下降動され、以て受動体４０に対する伝動体７２の係合が外れる。これにより、無端回動式送り装置６０による送り力が開放され、それ以降は、前述した摩擦式送り手段８０により移動力が付与される。
【００５２】
なお、乾燥炉５５の部分から出たのち適宜の箇所において、作業済みの被搬送物Ｗが支持部４０から降ろされるとともに、支持部４０に新たな被搬送物Ｗが積み込まれる。このようにして移動体２０は、一定経路５上において、循環移動される。
【００５３】
一定経路５中に、側面視において上方（または下方）へのカーブ経路部が形成されている場合は、縦方向軸２８，２９に対して被案内装置３０が横方向ピン３８，３９の周りに相対回動されることで、レール１２の上下方向のカーブに沿って向きを自動的に変更しながら円滑に移動される。
【００５４】
上述した構成においては、摩擦式送り手段８０におけるインダクションモータ９６の駆動によって連動軸９５を常時回転させており、適宜の検出手段による検出に基づいてクラッチ手段９３を接続させることで、連動軸９５の回転を駆動軸８３に伝達し得、以て受動面２５に当接させた送りローラ９１を駆動回転し得る。これにより、送り装置８１によって移動体２０に移動力を付与することになって、この移動体２０を送り移動し得る。そしてクラッチ手段９３の分断による送りローラ９１の非回転によって、送り装置８１の位置において移動体２０を停止し得る。
【００５５】
このようにして、一定経路５中の所定経路部分では、摩擦式送り手段８０により移動体２０を、送り装置８１の配設ピッチの置きに間欠的に移動し得、以て構造簡単かつ安価にして移動体２０のピッチ送りが可能となる。
【００５６】
またフレーム体２２，２３，２４群により本体２１を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部５ｂにおいて各フレーム体２２，２３，２４は、連結装置２７を介して相対的に回動した姿勢となり、以てカーブ経路部５ｂでの移動体２０の走行を円滑に行える。しかも、各フレーム体２２，２３，２４を使用して受動面２５を容易に形成し得る。
【００５７】
そして弾性的な当接付勢作用によって、移動体２０の本体２１の振れや設計誤差などに関係なく、受動面２５に対して送りローラ９１を常に好適に当接し得、以て移動体２０のピッチ送りは、より確実に行える。
【００５９】
上記した実施の形態では、圧縮ばね９２の弾性反発力によって、送りローラ９１が受動面２５に対して弾性的に当接付勢されているが、この送りローラ９１は定置式であってもよい。
【００６０】
上記した実施の形態では、本体２１の一側面に受動面２５を形成し、この受動面２５に作用する摩擦式送り手段８０を設けた形式を示しているが、これは本体２１の他側面に作用される受けローラを設けて、本体２１を両側から挟みつけて強い摩擦力を得、以て充分な走行力を与え得る形式であってもよい。
【００６１】
上記した実施の形態では、移動体２０の本体２１として、三本のフレーム体（部材）２２，２３，２４からなる形式を示したが、これは前部のフレーム体２２の前方や後方、後部のフレーム体２４の前方や後方に単数または複数のフレーム体を連結した三本以上の形式や、中間部フレーム体１３を複数本とした三本以上の形式などであってもよい。またフレーム体２２，２３，２４のうちいずれかを省略した二本形式であってもよい。
【００６２】
上記した実施の形態では、フレーム体２２，２３，２４の連結を行う縦方向軸２８を介して被案内装置３０を配設しているが、これは被案内装置を、フレーム体２２，２３，２４間や前後のフレーム体２２，２４の外方に配設して隣接間を連結した形式であってもよい。この場合には、被案内装置におけるトロリ本体の側面にも受動面が形成される。さらに、フレーム体２２，２３，２４間で連結された被案内装置間に支持部を設けた形式であってもよく、この場合には、カーブ経路などの円滑な走行のために、中間部フレーム体２３として伸縮構造が採用される。
【００６３】
上記した実施の形態では、床１側からの機枠１０にレール装置１１やチェーンガイド装置１４を配設しているが、これは床面下のピット内にレール装置１１やチェーンガイド装置１４を配設した構成であってもよい。これによると、移動体２０を含めた全体の高さを低く形成できる。
【００６４】
上記した実施の形態では、床１側を走行自在な移動体２０を示したが、これは天井側に配設したレールに支持案内されて移動自在な移動体であってもよい。
上記した実施の形態では、被案内装置３０として、レール１２のガイド部１２ａに案内される被ガイドローラ３５を有する形式が示されているが、これは垂下部１２ｂに案内される被ガイドローラをも有する形式の被案内装置であってもよい。
【００６５】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項１によると、摩擦式送り手段における回転駆動装置の駆動によって連動軸を常時回転させており、このような状態で適宜の検出手段によって下手の送り装置の部分が空状態であることを検出したとき、その検出に基づいてクラッチ手段を接続させることで、連動軸の回転を駆動軸に伝達できて、受動面に当接させた摩擦回転体を駆動回転できる。これにより、送り装置によって移動体に移動力を付与することになって、この移動体を自動的に送り移動できる。そしてクラッチ手段の分断による摩擦回転体の非回転によって、送り装置の位置において移動体を停止できる。このようにして、一定経路中の所定経路部分では、一側方に設けた摩擦式送り手段により移動体を、送り装置の配設ピッチの置きに、すなわち所定間隔置きで間欠的にピッチ送りでき、以て構造簡単かつ安価にして移動体のピッチ送りを可能にできる。
【００６７】
そして上記した本発明の請求項２によると、部材群により本体を長く構成できるものでありながら、カーブ経路部において各部材は、連結装置を介して相対的に回動した姿勢となり、以てカーブ経路部での移動体の走行を円滑に行うことができる。しかも、各部材を使用して受動面を容易に形成できる。
【００６８】
さらに上記した本発明の請求項３によると、弾性的な当接付勢作用によって、移動体の本体の振れや設計誤差などに関係なく、受動面に対して摩擦回転体を常に好適に当接でき、以て移動体のピッチ送りを、より確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態の一例を示し、移動体使用の搬送設備における移動体部分の一部切り欠き平面図である。
【図２】同移動体使用の搬送設備における一定経路の部分の概略平面図である。
【図３】同移動体使用の搬送設備における移動体部分の一部切り欠き側面図である。
【図４】同移動体使用の搬送設備における移動体の要部の一部切り欠き側面図である。
【図５】同移動体使用の搬送設備における移動体の要部の一部切り欠き平面図である。
【図６】同移動体使用の搬送設備における摩擦式送り手段を配設した部分での縦断正面図である。
【図７】同移動体使用の搬送設備における無端回動式送り装置を配設した部分での縦断正面図である。
【図８】同移動体使用の搬送設備における左右のカーブ経路部での平面図である。
【符号の説明】
５ 一定経路
５ａ 直線状経路部
５ｂ カーブ経路部
１１ レール装置
１２ レール
１４ チェーンガイド装置
２０ 移動体
２１ 本体
２２ 前部フレーム体（部材）
２３ 中間部フレーム体（部材）
２４ 後部フレーム体（部材）
２５ 受動面
２７ 連結装置
２８ 縦方向軸
３０ 被案内装置
３１ トロリ本体
３３ 被支持ローラ
３５ 被ガイドローラ
４０ 受動体
４２ 惰走防止体
４５ 支持部
４９ 支持具
５０ 遊転輪
５５ 乾燥炉（処理部）
６０ 無端回動式送り装置
６４ チェーン
７２ 伝動体
８０ 摩擦式送り手段
８１ 送り装置
８２ 装置本体
８３ 駆動軸
８６ 揺動体
８７ 受動軸
８８ 受動輪体
８９ 駆動輪体
９０ 無端回動体
９１ 送りローラ（摩擦回転体）
９２ 圧縮ばね
９３ クラッチ手段
９５ 連動軸
９６ インダクションモータ（回転駆動装置）
Ｐ 摩擦式送り装置の配設ピッチ
Ｌ 移動体の全長
Ｗ 被搬送物
Claims (3)
- レール装置に支持案内されて一定経路上で移動自在な移動体側には、レール装置に支持案内される複数の被案内装置と被搬送物の支持部が設けられるとともに、受動面が形成され、前記一定経路中の所定経路部分で一側方には、前記受動面に当接回転作用して移動体に移動力を付与する摩擦式送り手段が設けられ、この摩擦式送り手段は、所定間隔置きに配設された送り装置を有し、これら送り装置には、駆動軸に連動される摩擦回転体が設けられ、隣接した送り装置の駆動軸間が連動軸により連動連結されるとともに、一部の連動軸は回転駆動装置に連動連結され、連動軸から各摩擦回転体への回転伝達経路中にそれぞれクラッチ手段が介在され、これらクラッチ手段は、検出手段による下手の送り装置の部分の空状態の検出に基づいて接続して、間欠的な送りを自動的に行うように構成されていることを特徴とする移動体使用の搬送設備。
- 移動体の本体が、連結装置を介して相対回動自在に連結された複数本の部材により形成され、これら部材に受動面が形成されていることを特徴とする請求項１記載の移動体使用の搬送設備。
- 摩擦回転体が、受動面に対して弾性的に当接付勢されていることを特徴とする請求項１または２記載の移動体使用の搬送設備。
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