JP3900777B2 - 自動販売機の冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、HFC系冷媒又はHFC系冷媒を含む混合冷媒からなる冷媒と、この冷媒と相互溶解性の無い又は少ない圧縮機の潤滑油とを冷却回路内に封入してなる自動販売機の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりある自動販売機の冷却装置について図3、図5、図6、図7を用いて説明する。図3は従来よりある冷却装置10の冷却回路図である。この冷却装置10は、圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4等と、それらを接続する冷媒配管5を備えて構成されている。そして蒸発器4は、自動販売機に用いられるものにおいては、省スペース化の目的から蒸発器4をよりコンパクトに構成すべく、図5に示すように蒸発管40が前後方向に複数列、上下方向に複数段で、なおかつ側面断面千鳥状に配設されて形成されている。
【0003】
そして、この蒸発器4は、図5(b)に示すように最前列の最上段に冷媒入口41を設け、最後列の最下段に冷媒出口42を設けて形成され、図6の矢印に示す如く、冷媒入り口41から流れ込んだ冷媒がアップダウンを繰り返しつつ下部に形成された冷媒出口42へと流れるように蒸発管路400が形成されているものが一般的であった。
【0004】
また、配管部品の共通化から蒸発器4の蒸発管40と凝縮器2の凝縮管20(図7参照)とは同径の銅管が用いられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年オゾン層保護の目的から、こうした冷却装置に用いる冷媒が、CFC系冷媒からHFC系冷媒へ順次移行されているが、CFC系冷媒で用いていた従来の潤滑油(鉱物油やアルキルベンゼン系油等)は、塩素基を含まないHFC系冷媒との相互溶解性(以下「相溶性」とする)が少なく、こうした従来の潤滑油とHFC系冷媒の組み合わせにて冷却装置10を運転させた場合には、圧縮機1から吐出した潤滑油は冷媒と分離した状態で冷却回路を流れるため、冷却回路途中の配管の内面に接触した潤滑油がスムーズに流れずに圧縮機1に戻らないという不具合を生じてしまう。
【0006】
特に、蒸発器4では、液体で流入した冷媒がその蒸発管路400を流れる過程で雰囲気と熱交換することにより気体となって流出するが、冷媒と分離して蒸発管40内面に付着した潤滑油は気体冷媒では押し流されにくいため、図6に示す従来の蒸発管路400のように配管経路400の後半に冷媒が上方に向かって流れる上向き管路410が形成されている場合、冷媒がほぼ気体状態でこの上向き管路410を通過する。このとき分離した状態で配管経路400を流下してきた潤滑油はこの上向き管路を上って通過することができず、結果的に上向き管路410の下端部分に滞留してしまう。そして、この滞留量が多くなった場合には圧縮機1が潤滑不良に至る可能性がある。
【0007】
また、凝縮器2では、冷媒が液状態で流れるケースが多いが、図3に示すように、凝縮器2の下流には膨張弁3が堰を成しているために、凝縮管20内では流れる冷媒の速度が非常に遅い。したがって、冷媒が液状態であるにも係わらず、分離した潤滑油を流しきれずに滞留させてしまうという不具合を有している。
【0008】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、冷媒と相互溶解性の無いまたは少ない潤滑油を用いても、潤滑油が蒸発器や凝縮器に大量に滞留することなく圧縮機へ戻る冷却装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る冷却装置は、圧縮機、凝縮器、蒸発器等を冷媒配管等により接続して冷却回路を形成し、HFC系冷媒又はHFC系冷媒を含む混合冷媒からなる冷媒と、当該冷媒と相互溶解性の無い又は少ない前記圧縮機の潤滑油とを前記冷却回路内に封入してなる自動販売機の冷却装置において、前記蒸発器は、前後方向に3列、上下方向に複数段でなおかつ側面断面千鳥状に配設された蒸発管とこの蒸発管を連結する連結管とによって冷媒通路を形成する蒸発管路を備え、当該蒸発管路は、下方の蒸発管から上方の蒸発管に向かって前記冷媒が流れる上向き管路と、上方の蒸発管から下方の蒸発管に向かって前記冷媒が流れる下向き管路とを有し、最前列の最下段の蒸発管に冷媒入口を形成されるとともに前記上向き管路は最前列、および最上段配管に向かう蒸発管にのみ形成されていること特徴とする。
【0010】
この構成によれば、上向き管路はすべて前記蒸発管路の中間よりも上流側に形成されているため、分離した潤滑油は、液体あるいは気液2相の状態にある冷媒によって確実に上向き管路を押し上げられる。そして、蒸発管路の中間よりも下流側で冷媒が気体となっても、潤滑油は自然落下によって下向き管路を下るので、蒸発器4内で潤滑油が滞留してしまうことがない。
【0012】
また、この構成によれば、蒸発管が側面断面千鳥状に配設された蒸発管路であっても、蒸発管路の下流側はすべて下向き管路となるので、蒸発管路の下流側で潤滑油が滞留してしまうことがない。
【0014】
また、この構成によれば、蒸発管が前後3列で側面断面千鳥状に配設された蒸発管路において、上向き管路を蒸発管路の上流側に短く形成することができるの
で、下向き管路の長さが長くなり、いっそう潤滑油の滞留をなくすことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来の技術で説明した構成と同様のものについては同一符号を付している。
【0018】
図3に示すように、本発明の自動販売機の冷却装置10は従来の冷却装置と同様に、圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁3と、蒸発器4と、それらを接続する冷媒配管5により冷却回路が形成され、この冷却回路内には、例えばR407cのように塩素基を含まないHFC系冷媒が封入されている。一方、この冷却回路の圧縮機1には潤滑油が用いられているが、安全性およびコスト的な問題から、HAB油のようにHFC系冷媒(以下「冷媒」とする)と相溶性の少ない潤滑油が用いられている。
【0019】
冷却回路内に封入された冷媒は、圧縮機1の運転により図3の矢印に示す如く、凝縮器2、膨張弁3、蒸発器4を順に経由して圧縮機1に戻るように構成されており、このとき、潤滑油の一部が冷媒とともに冷却回路内を流れ、冷却回路を経由して圧縮機1に戻るように構成されている。
【0020】
次に、このような冷却装置10を自動販売機に用いた例を基に、各構成について詳細に説明する。
【0021】
図4は自動販売機6の側面断面図である。図4に示すように自動販売機6は本体60と、本体60の前面を開閉する扉61とを備えている。この本体60には上部に断熱材で覆われ販売商品を収納保温する収納庫62が形成され、その下部には機械室63が形成されている。
【0022】
収納庫62には販売商品を保持するとともに図示しない搬出装置により保持した販売商品を1つづつ落下搬出可能なラック64と、このラック64の下方に配設され、ラック64から落下搬出された商品を扉61の商品取出口66に導くシュート65と、このシュート65の下方に配設され、収納庫62内を冷却するための蒸発器4と、蒸発器4と雰囲気との熱交換を促進させるとともに、収納庫62内で空気を循環させるための蒸発器ファン67と、減圧装置として作用する膨張弁3とが構成されており、また、機械室63から断熱材を貫通して延びた冷媒配管5の一部が膨張弁3および蒸発器4に接続されている。なお、減圧装置として膨張弁3の代わりにキャピラリーパイプを用いてもよい。
【0023】
機械室63には、圧縮機1と、凝縮器2と、送風により凝縮器2と雰囲気との熱交換を促進させる凝縮器ファン68とが配設されており、圧縮機1と凝縮器2とは前述した収納庫6内に延びる冷媒配管5に接続されている。
【0024】
このように構成された自動販売機6の冷却装置10は、図示しない制御装置によって、収納庫62内に配設された温度検出装置69にて検出した温度に基づき圧縮機1の運転制御がなされ、収納庫62内が5℃程度の所定温度に維持されるように冷却回路内で冷媒が循環するように構成されている。
【0025】
そして、こうした自動販売機6では、販売商品の収容数を増やす目的から、収納庫62に対してラック64の体積をより大きくするように設計されているため、シュート65の下部の空間が狭く制約されている。このため、自動販売機6に用いられる蒸発器4の多くは、そのスペースを有効利用するために、従来より図5に示すように、蒸発管40が前後複数列で上下複数段なおかつ側面断面千鳥状に配列され、複数のアルミフィン45を貫通する状態で形成されている。
【0026】
図1は本発明の蒸発器4の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。図1に示されるように本発明の蒸発器4は、前後方向に3列の蒸発管列が形成され、この蒸発管列にはそれぞれ前列5段、中列5段、後列6段の蒸発管40が配設されている。そして、この蒸発管40は図4(b)に示すように側面断面千鳥状に配列され蒸発器4の幅方向に多数並べられたアルミフィン45に貫通した状態で保持されている。
【0027】
そして、隣接する蒸発管40はその端面同士がUベンド43(連結管)によって接続されることにより連結され、冷媒が流れる蒸発管路400(図2参照)が形成されている。
【0028】
本発明の蒸発器4は、側面断面千鳥状に配設された蒸発管40が図4(b)に示す如くUベンド43によって連結されている。詳細には、前列最下段の蒸発管40から前列最上段の蒸発管40までを順次真上に向かって接続する。そして前列最上段の蒸発管40と中列最上段の蒸発管40とを接続し、この中列最上段の蒸発管40と後列最上段の蒸発管40とを接続する。さらに、後列最上段の蒸発管40と後列2段目の蒸発管40とを接続し、以降は後列最下段の蒸発管40、すなわち冷媒出口42まで、後列の蒸発管40と中列の蒸発管40とを順次接続して蒸発管路400が形成されている。
【0029】
このように蒸発管40が接続されることで形成された蒸発管路400は、図2に矢印に示す冷媒経路となり、すなわち、冷媒入り口41から流入した冷媒が、まず最前列の蒸発管40を上向きに流れ(上向き管路410)、前列の最上段の蒸発管40に至ると、冷媒は中列最上段の蒸発管40へと一旦下向きに流れ(下向き管路420)、その後、後列最上段の蒸発管40へと再度上向きに流れる(上向き管路410)。そして後列最上段の蒸発管40を過ぎた冷媒は、冷媒出口42まで下向きに流れる経路(下向き管路420)となる。
【0030】
そして、こうした蒸発管路400を形成する蒸発管40およびUベンド43は内径9.52mmで形成されている。
【0031】
一方、凝縮器2も図7に示す側面図のように、多数のアルミフィン25を貫通した状態で凝縮管20が側面断面千鳥状に配設されており、冷媒入り口21の凝縮間20から冷媒出口22の凝縮管20までUベンド23によって順次接続され、矢印で示す凝縮管路200が形成されている。
【0032】
そして、こうした凝縮管路をなす凝縮管20およびUベンド23は本発明では内径7.94mmで形成しており、蒸発器4の蒸発管40およびUベンド43よりも1.6mm程度細く形成している。
【0033】
次に、このような蒸発器4および凝縮器2とを備えた冷却装置10の運転状態について説明する。図4に示す温度検出装置69によって収納庫62内の温度が設定上限値に達したことが検出されると、図示しない制御装置によって圧縮機1が駆動され、この圧縮機1の動作によって封入された冷媒が冷却回路内を図3に示す矢印方向に流れる。すなわち、圧縮機1から送り出された冷媒は、凝縮器2にて高圧状態となり、凝縮器ファン68により送風された外気と熱交換して液化する。液化した冷媒は膨張弁3を通過することにより減圧し蒸発器4にて蒸発器ファン67により送風された庫内空気と熱交換して気化する。そして、気化した冷媒は冷媒配管5を通り、再び圧縮機1に戻る。この際、圧縮機1の潤滑油も冷媒の流れによって圧縮機1から押し出されて冷媒とともに循環するが、冷媒と相溶性の低い潤滑油は、循環途中で分離し配管内面との接触抵抗によりスムーズに流れにくい。このため、配管長の長い凝縮器2や蒸発器4での滞留が懸念される。特に凝縮器2では冷媒が液状態で流れるケースが多いため、冷媒流速が遅くなり分離した潤滑油が溜まりやすい。
【0034】
しかしながら、本発明の構成では上述の如く、まず凝縮器2においては、凝縮管20の内径を蒸発管40の内径よりも1.6mm程度細く形成しているため、図3に示す冷却回路において凝縮管20を流れる冷媒の流速が早くなり、凝縮管20の内面に接触した潤滑油も冷媒の勢いに伴って流されやすく、滞留しにくい。
【0035】
また、蒸発器4においては、図2に示す如く、その蒸発管路400において上向き管路410は、蒸発管路400の中間位置Bよりも上流側の一部、詳細には、蒸発管路400の最前列と最上段に存在するのみであり、それ以降はすべて下向き管路420で構成されている。
【0036】
このとき、潤滑油は液状冷媒よりも軽いため、分離した潤滑油は、液状冷媒の上部に層状に位置するものであるが、自動販売機の冷却装置10では、冷却装置10の運転安定時、すなわち、収納庫62内が5℃程度に保たれた状態で運転している時においては、基本的に蒸発管路の中間位置Bまでは少なくとも液状、あるいは気液2相の状態で冷媒が流れるように構成されているため、この中間位置Bよりも上流の上向き管路410では液状、あるいは液体を主とした気液2相の状態で冷媒が流れる。
【0037】
よって、蒸発器4の上向き管路410にて分離した潤滑油は、液状あるいは気液2相の冷媒上に乗った状態で冷媒とともに流れるため、確実に上向き管路410を押し上げられる。そして、最高位置Aまで押し上げられた潤滑油は自然落下によって下向き管路を下るので、蒸発管路の後半で冷媒が気化しても蒸発器4内で潤滑油が滞留してしまうことがない。
【0038】
なお、本実施の形態では、冷媒にR407cを用いた例を示して説明したが、もちろん冷媒はR407cに限られたものではなくR134a等、他のHFC系冷媒でも同様の効果を奏する。また、HFC系冷媒を主体としたHFC系冷媒を含む混合冷媒の場合も同様である。
【0039】
また、圧縮機1の潤滑油は、実施の形態で示したHAB油に限られたものではなく、HFC系冷媒と相溶性の無い又は少ない鉱物油等を用いても同様の効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、上向き管路はすべて前記蒸発管路の中間よりも上流側に形成したことにより、分離した潤滑油は、液状あるいは気液2相の冷媒によって確実に上向き管路を押し上げられる。そして、蒸発管路の中間よりも下流側で冷媒が気体冷媒となっても、潤滑油は自然落下によって下向き管路を下るので、蒸発器内で潤滑油が滞留してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸発器の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明の蒸発管路の説明図である。
【図3】従来および本発明の冷却回路の回路図である。
【図4】従来および本発明の冷却装置を備えた自動販売機の側面断面図である。
【図5】従来の蒸発器の外観図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】従来の蒸発管路の説明図である。
【図7】従来および本発明の凝縮器の側面図である。
【符号の説明】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 膨張弁
4 蒸発器
5 冷媒配管
6 自動販売機
10 冷却装置
20 凝縮管
21 冷媒入り口
22 冷媒出口
23 Uベンド(連結管)
25 アルミフィン
40 蒸発管
41 冷媒入り口
42 冷媒出口
43 Uベンド
45 アルミフィン
60 本体
61 扉
62 収納庫
63 機械室
64 ラック
65 シュート
66 商品取出口
67 蒸発器ファン
68 凝縮器ファン
69 温度検出装置
400 蒸発管路
410 上向き管路
420 下向き管路
A 最高位置
B 中間位置

Claims (1)

  1. 圧縮機、凝縮器、蒸発器等を冷媒配管等により接続して冷却回路を形成し、HFC系冷媒又はHFC系冷媒を含む混合冷媒からなる冷媒と、当該冷媒と相互溶解性の無い又は少ない前記圧縮機の潤滑油とを前記冷却回路内に封入してなる自動販売機の冷却装置において、
    前記蒸発器は、前後方向に3列、上下方向に複数段でなおかつ側面断面千鳥状に配設された蒸発管とこの蒸発管を連結する連結管とによって冷媒通路を形成する蒸発管路を備え、当該蒸発管路は、下方の蒸発管から上方の蒸発管に向かって前記冷媒が流れる上向き管路と、上方の蒸発管から下方の蒸発管に向かって前記冷媒が流れる下向き管路とを有し、最前列の最下段の蒸発管に冷媒入口を形成されるとともに前記上向き管路は最前列、および最上段配管に向かう蒸発管にのみ形成されていること特徴とする自動販売機の冷却装置。
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