JP3298225B2 - 空気調和機 - Google Patents

空気調和機

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JP3298225B2
JP3298225B2 JP09411493A JP9411493A JP3298225B2 JP 3298225 B2 JP3298225 B2 JP 3298225B2 JP 09411493 A JP09411493 A JP 09411493A JP 9411493 A JP9411493 A JP 9411493A JP 3298225 B2 JP3298225 B2 JP 3298225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空気調和機に係り、特に
地球環境に対する影響が少ない塩素を含まない冷媒を作
動媒体とする空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒ−トポンプ型の空気調和機は、冷房時
には室内熱交換器を蒸発器、室外熱交換器を凝縮器とし
て用い、暖房時には室内熱交換器を凝縮器、室外熱交換
器を蒸発器として用いる。前記室内外熱交換器として
は、例えば特公平4−45753号公報に示されるよう
に、複数のフィンを所定の間隔をおいて並置し、これに
直行するように複数の伝熱管を全体として千鳥状になる
ように貫通して構成されたいわゆるクロスフィンチュ−
ブ型の熱交換器が使用され、伝熱管としては例えば特開
平4−260792号公報に示されるように、内面に溝
加工等を施した内面溝付管が多用されている。冷媒は単
一冷媒であるHCFC22(ハイドロクロロフルオロカ
−ボンの略)が用いられ、熱交換器の外形寸法や冷媒通
路断面積等はHCFC22に対して効率が最も良くなる
ように設定されている。
【0003】すなわち、上記従来技術は、熱交換の過程
で沸点が変化しない単一冷媒HCFC22を対象とした
運転方法であるため、定格能力点での圧力損失を抑える
ように冷媒通路断面積が設定されている。例えば、暖房
時に蒸発器として作動する室外熱交換器の冷媒質量速度
Gは、100〜200kg/m ・s程度と比較的小さ
く、能力当りの管内通路断面積は0.2〜0.4cm2
/kW程度に設定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年問題となっている
オゾン層保護のため、従来の空気調和機で使用される冷
媒HCFC22の代替冷媒として非共沸混合冷媒を用い
た場合、非共沸混合冷媒の特性として凝縮器内では、ま
ず入口側で沸点の高い冷媒成分の凝縮が始まり出口側に
向かって沸点の低い冷媒成分の凝縮が進行するので、凝
縮温度は伝熱管内を通過する間にかなり低下する。蒸発
器内では最初に沸点の低い冷媒成分の多い液相冷媒が蒸
発し、さらに加熱されると沸点の高い液冷媒成分も蒸発
するというように、蒸発温度が出口側に向かって高くな
るように冷媒の蒸発が進行するので、管内の蒸発温度は
熱交換器入口で最も低い温度となる。
【0005】このため、非共沸混合冷媒を上記したよう
な小さい冷媒質量速度で運転すると、伝熱管内での凝縮
過程においては、沸点の低い冷媒蒸気層が沸点の高い凝
縮液膜を囲むように壁面に沿って発達してしまい凝縮熱
伝達率が顕著に低下する。また、蒸発過程においては、
沸点の高い冷媒蒸気層が沸点の低い沸騰液膜を囲むよう
に壁面に沿って発達するので沸騰熱伝達率も顕著に低下
する。
【0006】すなわち、上記従来技術は、凝縮および蒸
発過程において成分の偏りによって壁面に沿って生じる
伝熱を阻害する蒸気層の発達による伝熱特性低下という
非共沸混合冷媒特有の問題点につては配慮されていな
い。また、非共沸混合冷媒では、冷媒流れ方向に沿って
蒸発温度が上昇するので熱交換器入口部の蒸発温度が特
に低くなり暖房運転時に室外熱交換器が局所的に着霜し
易くなる点についても配慮されていないため、単一冷媒
HCFC22を用いた従来の運転方法そのままでは、熱
交換器の伝熱性能が著しく低下し、ヒートポンプ型空気
調和機の冷房能力や暖房能力を発揮できないという問題
があった。
【0007】本発明の第1の目的は、HCFC22の代
替冷媒として非共沸混合冷媒を用いても熱交換器の伝熱
特性の低下を抑えることができる空気調和機を提供する
ことにある。
【0008】又、本発明の第2の目的は、低外気温時に
暖房能力を発揮できる空気調和機を提供することにあ
る。
【0009】又、本発明の第3の目的は、非共沸混合冷
媒の混合割合が大きくずれて性能が低下したまま運転す
ることを防止できる空気調和機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は室内熱交換器、室外熱交換器、圧縮機、四
方弁、膨張機構からなる空気調和機において、作動媒体
として非共沸混合冷媒を用いるとともに、圧縮機回転数
が定格能力回転数のとき、冷媒質量速度が200〜40
0kg/m・sとなるように室内熱交換器、室外熱交
換器のパス数や伝熱管の内径を設定し、前記室内熱交換
器の冷媒通路断面積を室外熱交換器の冷媒通路断面積に
比べて小さくなるように設定したものである。
【0011】又、室内熱交換器、室外熱交換器、圧縮
機、四方弁、膨張機構からなり、前記圧縮機の回転数を
制御する制御装置を備え、作動媒体として非共沸混合冷
媒を用いた空気調和機であって、前記室外熱交換器の入
口側及び出口側に冷媒温度検出用センサを備え、前記室
外熱交換器が蒸発器として作用するときの前記室外熱交
換器の入口側冷媒温度が出口冷媒温度に比べて許容値よ
り低いと判断されたときは前記制御装置により圧縮機回
転数を増す方向に制御するものである。
【0012】さらに、上記のものにおいて、室外熱交換
器の周囲に外気温度センサを設け、外気温が5℃以下に
なったら、室外熱交換器の入口側及び出口側の冷媒温度
が等しくなるように圧縮機回転数を上げるものである。
【0013】上記のものにおいて、室外熱交換器の出口
側に冷媒蒸発温度の検出用センサを備え、該センサによ
り検出される冷媒温度が蒸発器として作用するときの熱
交換器の出口側スーパーヒート量の許容値より大きいと
判断されたときは冷媒漏れの警報を出力することが望ま
しい。
【0014】上記のものにおいて、室内熱交換器の冷媒
通路断面積を室外熱交換器の冷媒通路断面積に比べて小
さくなるように設定したことが望ましい。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】上記のように圧縮機回転数が定格能力回転
数のとき、冷媒質量流量が200〜400kg/m
となるように室内熱交換器、室外熱交換器のパス数や
伝熱管の内径を設定、つまり、冷媒質量速度を高めにす
るので、非共沸混合冷媒特有の凝縮および蒸発過程にお
ける成分の偏りによって壁面に沿って形成される伝熱阻
害蒸気層と主流との混合が促進される結果、伝熱特性低
下が抑えられて熱交換効率が良くなり空気調和の性能
を大幅に向上できる。
【0019】
【0020】
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図5に
基づいて説明する。図1は本実施例に係るヒ−トポンプ
型の空気調和器の冷凍サイクル構成図、図2は室外熱交
換器の側面図、図3は室内熱交換器5の側面図、図4は
管内を流れる冷媒の質量速度を変えたときの凝縮熱伝達
率の変化を示す図、図5は冷凍サイクル内を循環してい
る冷媒の状態変化をTS線図上で模式的に示した図であ
る。
【0022】図1に示すように冷凍サイクルは、インバ
ータ駆動の圧縮機を搭載した冷媒圧縮機1、四方弁2、
室外熱交換器3、減圧器4および室内熱交換器5を冷媒
配管で接続して内部を冷媒が循環するように構成されて
いる。冷媒圧縮機1は、チャンバに内包された例えばD
Cブラシレスモータなどの可変速モータ1aによって駆
動される。暖房運転時の冷媒の流れ方向は破線の矢印1
9(冷房運転時の冷媒の流れ方向は実線の矢印18で示
される)で示されるが、その時の室外熱交換器3の冷媒
入口位置には温度センサ101が、冷媒出口位置には温
度センサ102が各々設けられており、室外ユニット2
00内には外気温を検出するための温度センサ103が
設けられている。これらの温度センサ101、102、
103の出力は制御装置100に入力されており、この
制御装置100により圧縮機1の回転数をフィードバッ
ク制御するように構成されている。なお、温度センサ1
01及び102の代わりに圧力センサ(図示せず)を設
け、その検出した圧力値から冷媒物性値により換算して
温度を求めてもよい。
【0023】室外熱交換器3は、図2に示す構造となっ
ている。図2において、矢印20は熱交換器3に対する
空気の通過方向を示す。8は所定の間隔をおいて並置さ
れた複数の伝熱フィンで、伝熱フィン8は、図2に示す
ように中間部には分離するスリット80が設けられ、こ
のスリット80を挟んで、伝熱管挿入用の円孔の列が長
手方向に沿って穿たれている。9は、この伝熱フィン8
に直角に円孔に挿入接合された内部を冷媒が流動する冷
媒管、10は冷媒管を接続するベンドで、このベンド1
0によって接続された伝熱管9群によって、U字型の冷
媒回路が上下に2回路構成されており、熱交換器3の入
口、出口に設けられたY字型の冷媒分流器12によって
夫々の回路に冷媒を分流させる。
【0024】室内熱交換器5は、図3に示す構造となっ
ている。図3において、矢印21は熱交換器5に対する
空気の通過方向を示す。図3において図2と符号が同じ
ものは図2と共通のものであり説明を省略する。熱交換
器5の中間部には冷媒を分流させるT字型冷媒分流器1
1が配置されており、このT字型冷媒分流器11を介し
て熱交換器内部ではU字型冷媒回路が上下に2回路構成
されている。なお、通常室外熱交換器の伝熱管は、室内
伝熱管より太いものが使われている。
【0025】室内熱交換器5および室外熱交換器3にお
いて、2回路合わせた冷媒通路断面積は、圧縮機回転数
が定格能力回転数に設定されたとき管内冷媒質量速度G
が比較的大きく、例えばG=200〜400kg/m
・s程度であって、蒸発器として作用するときの冷媒通
路圧損が、図2に示す熱交換器出入口間での蒸発温度上
昇量を打ち消す程度となるように設定されていれば良
く、この条件を満足できるように、パス数や伝熱管の内
径を設定している。
【0026】パス数や伝熱管の内径をこのように設定す
る理由は、次の理由による。管内を流れる冷媒の質量速
度を変えたときの凝縮熱伝達率の変化を図4に示す。図
4には単一冷媒としてはHFC32(ハイドロフルオロ
カ−ボン22の略)とHFC134aを用い、非共沸混
合冷媒としてはHFC32とHFC134aを質量分率
を30/70wt%の割合で混合した非共沸混合冷媒
(HFC32/HFC134a)を用いた場合を示して
いる。平滑管の場合、単一冷媒HFC134aの凝縮熱
伝達率は、図4から分かるように全体的に質量速度Gの
減少に従って低下し、質量速度が200kg/m ・s
以下になるとほぼ一定になるのに対して、非共沸混合冷
媒の場合は、直線的に低下する傾向が認められる。
【0027】これに対して、溝付管の場合、単一冷媒H
FC32、HFC134aの凝縮熱伝達率は、質量速度
によらずほぼ一定の値となっているのに対して、非共沸
混合冷媒の凝縮熱伝達率は、図4から分かるように質量
速度の減少にともなって大幅な低下がみられる。
【0028】このように非共沸混合冷媒の熱伝達率が単
一冷媒の場合に比べて、特に質量速度が小さいところで
大幅に低下するのは、非共沸混合冷媒では凝縮過程にお
いて沸点の高い凝縮液膜を囲むように生じた沸点の低い
冷媒蒸気層が、管中心部で発達してしまい凝縮熱伝達率
が顕著に低下するからであり、質量速度を上げて管内流
れを乱すことによって高い熱伝達率が得られることを示
している。
【0029】図4に示す結果から、従来の単一冷媒の場
合は、質量速度が200kg/m ・s以下にしても熱
伝達率の低下は僅かであり、むしろ質量速度をこれより
小さく設定することによって圧力損失が抑えられて熱交
換効率が改善されるため、従来は、質量速度が大略20
kg/m ・s以下になるように冷媒通路断面積が設
定されている。
【0030】ところが非共沸混合冷媒の場合は、従来の
単一冷媒とは違って質量速度を下げると熱伝達率が大幅
に低下してしまうので熱交換効率は逆に低下してしまう
ため、熱交換効率を改善するためには、従来の単一冷媒
を用いた空気調和機での質量速度(大略200kg/m
・s以下)より大きく設定することが必要である。し
かし、冷媒質量速度が高くなると熱伝達率の改善される
一方で、圧力損失が増加して悪影響も生じるので大略4
00kg/m ・sが上限となり、本実施例では200
〜400kg/m ・sに設定するのが好ましい。
【0031】次に、以上のように構成された本実施例の
空気調和機の作動について説明する。まず、冷房運転の
場合について説明する。冷房運転時には、圧縮機1から
吐出される高温高圧の冷媒ガスは実線矢印18で示すよ
うに、四方弁2を通って凝縮器として作用する室外側熱
交換器3へ送られ、室外ファン6によって送風された空
気によって冷され、高圧、低温の冷媒となり、減圧器4
によって断熱膨張され低圧、低温の冷媒となって蒸発器
として作用する室内側熱交換器5へ流入し、室内ファン
7によって送風された空気によって加熱されて蒸発した
後、四方弁2を通って圧縮機1に戻り再び圧縮されて循
環する。この時冷却された空気を室内に放出して冷房す
る。
【0032】冷房運転の場合、圧縮機1から吐出された
高温高圧のガス冷媒18は、入口パイプ16を通って室
外熱交換器へ流入する。室外熱交換器へ流入した冷媒
は、Y字型の冷媒分流器12を介して上下2つのU字型
の冷媒回路内を分流する。この時、凝縮器内の非共沸混
合冷媒は、単一冷媒とは違って混合比によって決まる露
点温度まで冷却されると、沸点の高い冷媒成分の凝縮が
始まり、凝縮の進行につれて沸点の低い冷媒成分の凝縮
割合が多くなり、ついには混合比によって決まる液相温
度まで冷却されて全て凝縮する。したがって、U字型の
冷媒回路を構成している伝熱管内での冷媒凝縮温度は伝
熱管内を通過する間にかなり低下する。このため、スリ
ット80を挟む風上側の伝熱管と風下側伝熱管との間の
温度差を生じるが伝熱フィンの風上側半部分及び風下側
半部分とをスリット80によって熱的に分離した構成と
したので、フィンを介して両伝熱管での不必要な熱移動
現象が生じるのを防ぐことができるので、凝縮器として
の熱交換性能が改善される。
【0033】凝縮液化された冷媒は、減圧器4を通って
膨張し低温低圧の霧状の気液2相状態の冷媒となって蒸
発器として作用する室内熱交換器5へ流入する。室内熱
交換器中央部に配置された冷媒入口パイプ11から流入
した気液2相状態の冷媒は、熱交換器内に設けられたT
字型分流器11を介して上下2方向に分流し、U字型の
冷媒回路を構成している伝熱管群内へ流入する。蒸発器
として作用する室内熱交換器内では、単一冷媒とは違っ
て沸点の低い冷媒成分の多い液相の冷媒が蒸発し、さら
に加熱されると沸点の高い液冷媒成分も蒸発するように
なり、混合比によって決まる露点温度まで加熱されると
全て気相状態の冷媒となる。
【0034】このように非共沸混合冷媒は、単一冷媒と
は違って凝縮あるいは蒸発の過程で成分の偏りが起こる
ため、質量速度が比較的小さく設定されている従来の室
内、室外熱交換器では、熱伝達率が大幅に低下してしま
う。
【0035】また、図5に一点鎖線で示すように、蒸発
器として作用する室内熱交換器出入口(図5中にCDで
示す)間で冷媒の蒸発温度はかなり上昇する。図5は、
冷凍サイクル内を循環している冷媒の状態変化を示す。
図5において横軸は冷媒のエントロピS、縦軸は温度T
を示している。ここで、Tcは凝縮器内圧力に対応した
凝縮温度であり、Teは蒸発器内圧力に対応した蒸発温
度である。又、A、Bは各々凝縮器として作用する熱交
換器の入口、出口を、C、Dは各々蒸発器として作用す
る熱交換器の入口、出口を示す。図5中の破線及び一点
鎖線は従来の空気調和機に於ける冷媒の状態変化を示し
ており、破線は単一冷媒HCFC22を用いた場合、一
点鎖線は非共沸混合冷媒を用いた場合である。本実施例
の非共沸混合冷媒を用いた空気調和機の場合は、実線で
示されている。
【0036】本実施例の室内熱交換器5は前記したよう
に、冷媒通路断面積を、管内冷媒質量速度Gが比較的大
きく、例えばG=200〜400kg/m ・s程度と
なるように設定してあるので、図4から分かるように、
高い熱伝達率が得られサイクル効率が改善されるととも
に、蒸発器として作用するときの冷媒通路圧損が、冷媒
質量速度Gが200kg/m ・s以下に設定されてい
る従来の熱交換器に比べて大きくなる。このため蒸発器
入口温度が上がり入口蒸発温度も上昇するので図5に実
線で示すように、熱交換器出入口(図5中にCDで示
す)間で冷媒の蒸発温度はほぼ一定となる。したがっ
て、冷房時の吐気温度の分布も一様になり室内ユニット
の吹出しグリル等への露付きや、水滴の飛び出し等の問
題を生じない。
【0037】次に暖房運転時の動作について説明する。
暖房時には四方弁2が切り替えられて冷媒の流れ方向が
冷房運転時とは反対方向となり図1に示すように冷房運
転時とは反対に室内熱交換器は凝縮器として、室外熱交
換器は蒸発器として作用する。すなわち、暖房運転時に
は、圧縮機1から吐出される高温高圧の冷媒ガスは破線
矢印19で示すように、四方弁2を通って凝縮器として
作用する室内熱交換器5へ送られ、室内ファン7によっ
て送風された空気によって冷され、高圧、低温の冷媒と
なり、減圧器4によって断熱膨張され低圧、低温の冷媒
となって蒸発器として作用する室外側熱交換器3へ流入
し、室外ファン6によって送風された空気によって加熱
されて蒸発した後、四方弁2を通って圧縮機1に戻り再
び圧縮されて循環する。この時加熱された空気を室内に
放出して暖房する。
【0038】圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷
媒19は、入口パイプ14を通って室内熱交換器5へ流
入する。室内熱交換器へ流入した冷媒は、Y字型の冷媒
分流器12を介して上下2つのU字型冷媒回路内を分流
する。冷媒回路内の非共沸混合冷媒は、室内空気と熱交
換されることによって混合比によって決まる露点温度ま
で冷却されると、沸点の高い冷媒成分の多い凝縮が始ま
る。凝縮の進行につれて沸点の低い冷媒成分の凝縮割合
が増え、ついには混合比によって決まる液相温度まで冷
却されて全て凝縮する。したがって、U字型の冷媒回路
を構成している伝熱管内での冷媒凝縮温度は伝熱管内を
通過する間にかなり低下する。このため、冷房運転時の
室外熱交換器と同じようにスリット80を挟む風上側の
伝熱管と風下側伝熱管との間の温度差を生じるが伝熱フ
ィンの風上側半部分及び風下側半部分とをスリット80
によって熱的に分離した構成としているので、フィンを
介して両伝熱管での不必要な熱移動現象が生じるのを防
ぐことができ、凝縮器としての熱交換性能が改善され
る。2つのU字型の冷媒回路を通って凝縮された冷媒
は、T字型の冷媒分流器11を介して再び合流して質量
速度を増しながら伝熱管内でさらに冷却され過冷却液冷
媒となって出口パイプ13から流出する。このように、
合流して質量速度が上がることにより管内熱伝達率が改
善されるので凝縮器としての熱交換性能がさらに改善さ
れる。
【0039】室内熱交換器を出た液冷媒は、減圧器4を
通って膨張して低温低圧の霧状の気液2相状態の冷媒と
なって蒸発器として作用する室外熱交換器5に流入す
る。室外熱交換器中央部に配置された冷媒入口パイプ1
7から流入した気液2相状態の冷媒は、Y字型の冷媒分
流器12を介して上下2つのU字型の冷媒回路内を分流
する。このとき蒸発器として作用する室外熱交換器内で
は、空気による加熱によって最初は沸点の低い冷媒成分
が多い液相の冷媒が蒸発し、さらに加熱されると沸点の
高い液冷媒成分も蒸発するようになり、混合比によって
決まる露点温度まで加熱されると全て気相冷媒となる。
【0040】なお、暖房運転の場合も凝縮あるいは蒸発
の過程で成分の偏りが起こるという管内凝縮および蒸発
の熱伝達メカニズムは変わらないので、質量速度が比較
的小さく、G=200kg/m ・s程度以下に設定さ
れている従来の室内、室外熱交換器では、熱伝達率が大
幅に低下してしまう。また、図5に一点鎖線で示すよう
に、蒸発器として作用する室外熱交換器は入口部の蒸発
温度が最も低く、出口に向かって蒸発温度が上昇するよ
うになる。本実施例の室内熱交換器5、室外熱交換器3
は前記したように、管内冷媒質量速度Gが比較的大き
く、例えばG=200〜400kg/m ・s程度とな
るように冷媒通路断面積を設定してあり、図4に示され
るように高い熱伝達率が得られるので、凝縮器、蒸発器
としての室内外熱交換器の性能が大幅に改善される。
【0041】上記冷媒質量速度Gを満足するためには、
室内熱交換器、室外熱交換器の冷媒通路断面積As(m
2)は、以下のように定格能力Q(kW)と質量速度G
との関係式である次式を用いて設定することができる。
【0042】 Q=As×G×γ×(1+C) (1) ここで、γ(J/kg)は冷媒の潜熱、Cは凝縮器出入
口部での冷媒顕熱変化成分と潜熱の比であり、定数Cの
値は通常0.3〜0.4である。又、潜熱γの値は、従
来の冷媒HCFC22の場合、約160kJ/kgであ
り、HFC32、HFC134a、HFC125等の冷
媒を2種類又は3種類混合した非共沸混合冷媒の場合は
大略180kJ/kgであることから、本実施例におい
ては、定格能力当りの冷媒通路断面積As/Qは、次の
ように設定するのが好ましい。すなわち、1/(400
×180×1.4)〜1/(200×180×1.3)
の範囲である0.1〜0.21(cm2/kW)に設定
することが好ましい。
【0043】蒸発器として作用する室外熱交換器3は、
冷媒通路圧損が従来に比べて大きく蒸発器入口圧力が上
がり蒸発温度も高くなるので冷媒流れ方向に沿う蒸発温
度の上昇が打ち消される。この結果、図5に実線で示す
ように室外熱交換器出入口(図5中にCDで示す)間で
の冷媒蒸発温度Teはほぼ一定となる。冷媒蒸発温度T
eがほぼ一定になっているので、暖房時のフィン温度も
熱交換器全体にわたって大略一様になり、従来のように
温度が低いところに偏って生じた着霜による目詰まりに
よって暖房能力が急激に低下してしまう等の問題を生じ
ない。
【0044】なお、本実施例において室内熱交換器は、
室外熱交換器に比べて蒸発器として動作するときの作動
圧力が高く、圧力損失に対する限界質量速度も高くなる
ので冷媒通路断面積としては室内熱交換器の通路断面積
を小さく設定してもよい。
【0045】又、本実施例は少なくとも定格能力発生時
に、着霜による能力低下や管内熱伝達率の低下等による
能力低下等を防止して効率の良い運転ができるように、
熱交換器の通路断面積や圧縮機の回転数を設定して比較
的大きい管内冷媒質量速度を確保できれば良く、圧縮機
回転数は運転中一定でもよいものである。
【0046】本発明の第2の実施例を図6により説明す
る。図6は本実施例に係わる運転制御方法であるフロー
チャートを示す図である。
【0047】本実施例においてもサイクル構成、室内熱
交換器、室外熱交換器は図1から図3に示す実施例と同
様に構成されているが、本実施例では、暖房運転時に蒸
発器として作用する室外熱交換器3の冷媒入口温度Tc
1、出口温度Tc2が大略同じになるように冷媒循環流
量を制御するものである。
【0048】本実施例において運転制御方法は次のよう
に行う。室外熱交換器3の冷媒入口温度Tc1、出口温
度Tc2を温度センサ101、102を用いて測定す
る。温度センサ101、102としては例えばサーミス
タ温度センサが用いられており、冷媒出口温度Tc2
は、圧縮機吸入冷媒温度がほぼ飽和温度となるように、
制御器(図示せず)を介して膨張弁4の開度を制御する
ことによってほぼ飽和温度に保たれている。このように
して測定された冷媒入口温度Tc1が、出口温度Tc2
の許容値より低ければ、図1に示すインバータ制御装置
100から回転数可変速モータに信号が送られ圧縮機1
の回転数を上げて冷媒循環流量を増やす。
【0049】このように制御することにより、冷媒質量
速度が増し圧力損失が増えるので、冷媒流れ方向に沿う
蒸発温度上昇が打ち消される。また、冷媒質量速度が増
したことによって管内熱伝達率が改善されるとともに熱
交換器の温度が全体的にほぼ一様になり、低外気温時の
着霜が抑えられ暖房能力が大幅に向上する。なお、本実
施例では、圧縮機吸入冷媒温度を介して間接的に冷媒出
口温度Tc2を制御しているが、冷媒出口温度Tc2を
直接制御するようにしてもよい。
【0050】本発明の第3の実施例を図7により説明す
る。図7は本実施例に係わる運転制御方法であるフロー
チャートを示す図である。
【0051】第2の実施例では、暖房負荷の大小にかか
わらず冷媒入口温度と出口が大略等しくなるように制御
していたのに対して、本実施例では外気温を検出し、外
気温度が大略5℃以下となって暖房負荷が大きいときに
暖房能力を発揮できるように圧縮機回転数を変えて冷媒
循環流量を制御したものである。
【0052】室外熱交換器3の周囲に配置した外気温度
センサ103を用いて外気温度を検出する。このとき、
外気温度と蒸発温度との温度差は通常7〜10℃であ
り、外気温が5〜6℃以下に低下するとフィン表面温度
も0℃以下となって空気中の水分がフィン表面に霜とな
って付着するようになる。ところが、非共沸混合冷媒を
用いた場合には、フィン表面温度が平均的には0℃であ
っても、従来の運転方法では冷媒流れ方向に沿う温度勾
配によって熱交換器入口部の温度が0℃以下になって、
局部的に着霜が進行して性能低下を生じるという問題が
あった。これに対して本実施例では、図7に示すよう
に、室外熱交換器3の周囲に設けられた外気温度センサ
103を用いて外気温度Toを測定する。外気温Toが
5℃以下になったら、さらに室外熱交換器3の冷媒入口
温度Tc1、出口温度Tc2を測定する。このようにし
て測定された冷媒入口温度Tc1と出口温度Tc2が大
略等しくなるように、図1に示すインバータ制御回路1
00から回転数可変速モータに信号を送り、圧縮機1の
回転数を上げて冷媒循環流量を増やす。
【0053】以上の制御により外気温度が5℃以下に低
下して暖房負荷が大きくなったとき、冷媒質量速度が増
して、冷媒流れ方向に沿う蒸発温度上昇が打ち消される
よう圧力損失を生じる。これによって管内熱伝達率が改
善されるとともに熱交換器の温度が全体的にほぼ一様に
なり、低外気温時の着霜が抑えられ暖房能力が大幅に向
上する。
【0054】上記した実施例では、熱交換器の出入口の
蒸発温度が略等しくなるように圧縮機回転数を制御する
ものであるが、熱交換器の出口に設けられた温度センサ
と圧力センサを用いて冷媒漏れを検出してもよい。この
場合、図1に示すように、冷媒入口位置には温度センサ
101が、冷媒出口位置には温度センサ102が各々設
けられるとともに、出口には圧力センサ(図示せず)が
設置されている。通常の運転時に熱交換器の出口圧力を
圧力センサにより検出し、その圧力から換算して冷媒の
飽和温度を求める。次に温度センサ102で検出した冷
媒温度との温度差として熱交換器の出口のス−パ−ヒ−
ト量を制御回路により求める。この求めたス−パ−ヒ−
ト量が所定値より大きければ、冷媒が漏れたと判断し
て、制御回路は警報信号あるいは表示するための信号を
生成し、警報あるいは表示を行うようになっている。
【0055】このようにすることにより、適正な冷媒の
混合割合から大きくずれた空気調和機の運転を防止で
き、性能が低下したまま運転することを防止できる。
【0056】以上説明したように、室内熱交換器、室外
熱交換器の冷媒通路断面積が、圧縮機回転数が定格能力
発生回転数に設定されたとき管内冷媒質量速度Gが比較
的大きく、例えばG=200〜400kg/m ・s
度となるように設定されているので、凝縮あるいは蒸発
の過程での冷媒成分の偏りによる熱伝達率の大幅な低下
が防止できる。また、蒸発器として作用するときの冷媒
通路圧損が、熱交換器出入口間の沸点上昇を打ち消す程
度となるように設定されているので熱交換器出入口間で
冷媒の蒸発温度はほぼ一定となる。
【0057】したがって、冷房時の吐気温度の分布も一
様になり、室内ユニットの吹出しグリル等への露付き、
水滴の飛び出し等の問題や、低外気温時に室外熱交換器
へ局部的な着霜を生じるという問題を生じないので、非
共沸混合冷媒用冷凍サイクルを有するヒートポンプ型の
空気調和器の性能が著しく向上する。
【0058】なお、図4から分かるように、非共沸混合
冷媒の性能変化は平滑管においても溝付管においても同
様に生じるので、平滑管を用いても溝付管をはじめとす
る内面加工管において奏するものと同様な効果を発揮す
ることができる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
凝縮あるいは蒸発の過程での冷媒成分の偏りによる熱伝
達率の大幅な低下が防止できる。
【0060】また、蒸発器として作用するときの冷媒通
路圧損が、熱交換器出入口間の沸点上昇を打ち消す程度
となるように設定されているので熱交換器出入口間で冷
媒の蒸発温度はほぼ一定となる。したがって、冷房時の
吐気温度の分布も一様になり室内ユニットの吹出しグリ
ル等への露付き、水滴の飛び出し等の問題や、低外気温
時に室外熱交換器へ局部的な着霜を生じるという問題を
生じないので、非共沸混合冷媒用冷凍サイクルを有する
ヒートポンプ型の空気調和機の性能が著しく向上する。
【0061】又、冷媒が漏れた場合でも、非共沸混合冷
媒の混合割合が大きくずれたまま運転することを防止で
きる。
【0062】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である空気調和機の冷凍サイ
クル構成図である。
【図2】室外熱交換器の側面図である。
【図3】室内熱交換器の側面図である。
【図4】冷凍サイクルを構成する内面溝付管及び平滑管
の凝縮熱伝達実験結果を示す図である。
【図5】空気調和機の冷凍サイクルTS線図である。
【図6】本発明の第2の実施例である運転制御のフロー
チャートを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例である運転制御のフロー
チャートを示す図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、1a…可変速モータ、3…室外側熱交換
器、4…減圧器、5…室内側熱交換器、8…伝熱フィ
ン、9…内面溝付伝熱管、18…冷房時の冷媒流れ方向
を示す矢印、19…暖房時の冷媒流れ方向を示す矢印、
80…スリット部、100…インバータ制御装置、10
1、102、103…温度センサ、200…室内ユニッ
ト、201…室外ユニット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 敏彦 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 小暮 博志 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社 日立製作所 リビング機器 事業部内 (72)発明者 松嶋 弘章 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 特開 平2−97898(JP,A) 特開 平2−254269(JP,A) 特公 平4−45753(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 1/00 F25B 13/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室内熱交換器、室外熱交換器、圧縮機、四
    方弁、膨張機構からなる空気調和機において、 作動媒体として非共沸混合冷媒を用いるとともに、圧縮
    機回転数が定格能力回転数のとき、冷媒質量速度が20
    0〜400kg/m・sとなるように前記室内熱交換
    器、室外熱交換器のパス数や伝熱管の内径を設定し、前
    記室内熱交換器の冷媒通路断面積を室外熱交換器の冷媒
    通路断面積に比べて小さくなるように設定したことを特
    徴とする空気調和機。
  2. 【請求項2】室内熱交換器、室外熱交換器、圧縮機、四
    方弁、膨張機構からなり、前記圧縮機の回転数を制御す
    る制御装置を備え、作動媒体として非共沸混合冷媒を用
    いた空気調和機であって、前記室外熱交換器の入口側及
    び出口側に冷媒温度検出用センサを備え、前記室外熱交
    換器が蒸発器として作用するときの前記室外熱交換器の
    入口側冷媒温度が出口冷媒温度に比べて許容値より低い
    と判断されたときは前記制御装置により圧縮機回転数を
    増す方向に制御することを特徴とする空気調和機。
  3. 【請求項3】請求項2に記載のものにおいて、前記室外
    熱交換器の周囲に外気温度センサを設け、外気温が5℃
    以下になったら、前記室外熱交換器の入口側及び出口側
    の冷媒温度が等しくなるように圧縮機回転数を上げるこ
    とを特徴とする空気調和機。
  4. 【請求項4】請求項2に記載のものにおいて、前記室外
    熱交換器の出口側に冷媒蒸発温度の検出用センサを備
    え、該センサにより検出される冷媒温度が蒸発器として
    作用するときの熱交換器の出口側スーパーヒート量の許
    容値より大きいと判断されたときは冷媒漏れの警報を出
    力することを特徴とする空気調和機。
  5. 【請求項5】請求項2に記載のものにおいて、前記室内
    熱交換器の冷媒通路断面積を室外熱交換器の冷媒通路断
    面積に比べて小さくなるように設定したことを特徴とす
    る空気調和機。
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