JP3900716B2 - ダンパ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可動体に加わる負荷に応じて可動体の動作特性(ダンパ特性)を制御するダンパ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、可動体の動作を制御するダンパ装置は、図9に示すような構造のものが一般的であった。すなわち、ケーシング1内に可動体2を配設し、可動体2と連結した軸体の連係部材3は、ケーシング1の外部に突出して設けられている。また、オイル等の作動流体4をケーシング1内に封入しており、ケーシング1と可動体2の間はシール部材5によりシールされている。また、可動体2には、可動体2の移動に伴って作動流体4の通過するオリフィス孔6が設置されており、一般的には金属材料等の剛体に形成されている。
【0003】
上記構成において、連係部材3を介して可動体2に力がAの方向に作用すると、可動体2に設けたオリフィス孔6を通過して作動流体4は4a側から4b側へ流れ、可動体2はAの方向に移動する。作動流体4がオリフィス孔6を流れる際の抵抗力によって可動体2はAとは逆の方向への抵抗力を受け、動作速度はゆっくりとなる。これによりダンパ効果が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダンパ装置では、オリフィス孔は剛体に設けられており、変形しないため、どの荷重においてもその面積は一定である。このため、ダンパ装置に作用する負荷に応じてオリフィス孔の面積を変化させ、ダンパ装置の動作特性を制御することはできなかった。
【0005】
例えば、図10に示すラック昇降式の収納装置(例えば特開平9−238756号公報)のように、収納ラック7を引き降ろす際に収納ラック7がゆっくりと降下するようにダンパ装置8は作用する。しかし、収納装置では、収納物の重量が一定していないため、上記従来の技術として説明したような特性のダンパ装置8を用いた場合には、収納物の重量が重い時には収納ラックの降下速度が速くなり、危険に感じる恐れがあり、逆に収納物の重量が軽い場合には収納ラックの降下速度が遅く、じれったく感じたりするという課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、ケーシングと、前記ケーシング内に配した可動体と、前記ケーシング内に封入した作動流体と、前記可動体の移動に伴って前記作動流体が流れるオリフィス孔を設けた弾性体と、前記弾性体を設置し、その内側面をテーパ形状とした弾性体装着部とで構成され、前記弾性体装着部は、前記オリフィス孔と連通した装着部流路を有し、かつ作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としたものである。
【0007】
上記発明によれば、可動体に力が作用すると作動流体の圧力が増加することから弾性体が変形し、その弾性体に設けたオリフィス孔の形状や面積も自動的に変化する。また、可動体に加わる力が変化すれば、オリフィス孔の形状や面積も変化することになる。つまり、可動体に作用する力に応じてオリフィス孔の面積、すなわちダンパ特性を変化させることができる。たとえば、可動体に作用する力の大きさが変化しても、可動体の動作速度を略一定に保つこともできる。また、弾性体の装着方法や弾性体装着部の形状などによっては、オリフィス孔の変形が一定せず、正常なダンパ特性が得られない場合がある。しかし、本発明では、作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としており、常に一定の圧力が弾性体に作用するため、安定したダンパ特性を得ることができる。さらに、弾性体装着部の内側面がテーパ形状であり、円柱形状の弾性体を用いた場合には、弾性体の側面と弾性体装着部の内側面は接触しない。したがって、常に弾性体の側面全面から作動流体の圧力が作用するため、常に一定の条件で弾性体は圧縮される。また、内側面はテーパ状であることから圧力が作用した状態ではオリフィス孔と装着部流路との位置関係は略一定となり、より安定したダンパ特性を得ることができる。また、弾性体に多少の寸法誤差があっても、ダンパ特性に影響を与えることがない。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は請求項1に記載のように、ケーシングと、前記ケーシング内に配した可動体と、前記ケーシング内に封入した作動流体と、前記可動体の移動に伴って前記作動流体が流れるオリフィス孔を設けた弾性体と、前記弾性体を設置し、その内側面をテーパ形状とした弾性体装着部とで構成され、前記弾性体装着部は、前記オリフィス孔と連通した装着部流路を有し、かつ作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としたものである。
【0009】
可動体に力が作用すると作動流体の圧力が増加することから弾性体が変形し、その弾性体に設けたオリフィス孔の形状や面積も自動的に変化する。可動体に加わる力が変れば、オリフィス孔の形状や面積も変化する。ダンパ装置の特性は主にオリフィス孔の形状や断面積に依存していることから、本発明のダンパ装置では可動体に作用する力に応じてダンパ作用そのもの特性を変化させることができる。しかも構成は弾性体にオリフィス孔を設けるという非常に簡単なものであり、容易に上記効果を得ることができる。たとえば、可動体に作用する力の大きさが変化しても、可動体の動作速度を略一定に保つこともできる。
【0010】
また、弾性体の装着方法や弾性体を装着する弾性体装着部の形状などによっては、弾性体に作用する圧力状態が一定せず、オリフィス孔の変形が不定となり、正常なダンパ特性が得られない場合がある。しかし、本発明では、作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としており、常に一定の圧力が弾性体に作用するため、ばらつきの少ない安定したダンパ特性を得ることができる。さらに、弾性体装着部の内側面がテーパ形状であり、円柱形状の弾性体を用いた場合には、弾性体の側面と弾性体装着部の内側面は接触しない。したがって、常に弾性体の側面全面から作動流体の圧力が作用するため、常に一定の条件で弾性体は圧縮される。また、内側面はテーパ状であることから圧力が作用した状態ではオリフィス孔と装着部流路との位置関係は略一定となり、より安定したダンパ特性を得ることができる。また、弾性体に多少の寸法誤差があっても、ダンパ特性に影響を与えることがない。
【0011】
また、請求項2に記載のダンパ装置は、弾性体装着部は、弾性体が少なくともオリフィス孔の軸方向に遊びを有する構成としたものである。ダンパに力が加わり、作動流体の圧力が弾性体に作用する際に、弾性体の正面(オリフィス軸と垂直な面)の全面が、常に作動流体と接する構造であり、オリフィス孔の軸方向に関しては常に一定の条件で弾性体は圧縮され、オリフィス孔は変形することになる。これにより、より安定したダンパ特性が得られる。
【0015】
また、請求項3に記載のダンパ装置は、装着部流路は、弾性体と接する入り口側に角アールを設けたものである。弾性体は、装着部流路の入り口側と接するため、圧力が作用した際に弾性体に亀裂等の損傷が生じる恐れがある。この損傷により、ダンパ特性に影響を与える可能性があり、またダンパの破損につながる恐れもある。装着部流路の入り口側に角アールを設けることにより、弾性体に作用する応力、特にせん断力を小さくし、破損の発生を抑制することができ、耐久性も向上する。また、角アールの大きさが変わると、オリフィス孔の変形特性も変化することから、角アールを設けることによりダンパ特性変更を行うことができる。
【0016】
また、請求項4に記載のダンパ装置は、角アールは、0.5mm以上としたものである。角アール0.5mm以下では、大きな荷重が作用した場合に十分な効果は得られないためであり、これ以上の大きさとすることにより安定したダンパ特性と、装置の耐久性を確保することができる。
【0017】
また、請求項5に記載のダンパ装置は、装着部流路の直径は、オリフィス孔の最小部直径の5倍以下としたものである。装着部流路の直径が大きすぎると、弾性体の変形量が大きくなり、オリフィス孔が閉塞したり、弾性体が小刻みに伸縮を繰り返す振動現象(いわゆるびびり現象)などの異常現象を発生する恐れがあるが、オリフィス孔の最小部直径の5倍以下とすることによりこの発生を抑制できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0019】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1のダンパ装置の断面図、図2(a)、(b)は同ダンパ装置の部分拡大断面図である。
【0020】
図1、図2において、円筒状のケーシング1の内部には、そのケーシング1の内側に沿って動く樹脂や金属等の剛体からなる可動体2があり、可動体2にはケーシング1の一部を貫通した軸体である連係部材3が連結してある。ケーシング1内にはオイル等の作動流体4が封入されており、OリングやXリング等のシール材5はケーシング1の内面と可動体2の外面との隙間をシールしている。また、可動体2に設けた弾性体装着部9にはゴム等の弾性体10が装着してあり、この弾性体10を貫通してオリフィス孔11が設けられている。ここで弾性体10は円柱形状としているが、特にこの形状に限定するものではない。また、弾性体装着部9にもオリフィス孔11と連通して作動流体4を通過させるための装着部流路12が形成されている。また、弾性体装着部9は、弾性体10が少なくともオリフィス孔11の軸方向に遊びを有する構成であり、弾性体装着部9の内側面13はテーパ形状としている。なお、遊びとは、弾性体10がわずかに移動できる程度のすき間Cのことである。また、弾性体10と接する入り口側には角アール14を設けている。
【0021】
なお、可動体2の両側の作動流体4は4a(上流側)、4b(下流側)とし、弾性体10はオリフィス孔11と垂直な面を正面10a、円柱形の円周部を側面10bとしている。
【0022】
次に動作、作用について説明すると、軸体である連係部材3をケーシング1に押し込む力(Bの方向に作用する力)が加わると、その力は連係部材3を介して可動体2に加わり、作動流体4aを圧縮する。弾性体10に設けたオリフィス孔11および装着部流路12を通過して作動流体4は4a側から4b側へ流れる。この流れに伴って可動体2はBの方向に移動するが、作動流体4がオリフィス孔11を流れる際の抵抗力によって可動体2はBと反対の方向への抵抗力を受け、動作速度はゆっくりとなる。これがダンパ効果である。なお、可動体2の移動速度はオリフィス孔11の形状や断面積などに依存する。
【0023】
可動体2により作動流体4aが圧縮されると、弾性体10にもこの作動流体4の圧力が作用する。このため、力が作用した時には、図2(b)に示すように弾性体10は圧縮され、この弾性体10に設けられているオリフィス孔11の形状や面積も変化する。また、可動体2に加わる力が変化すれば、弾性体2に加わる圧力も変化することから、荷重に応じてオリフィス孔11の面積を自動的に変化することができ、ダンパ特性も自動的に荷重に応じて変化させることができる。
【0024】
図2の構成では、可動体2に作用する力が増加すれば、弾性体10の圧縮量つまりオリフィス孔11の変形量も増加し、オリフィス孔11の断面積は減少する傾向にある。つまり、ダンパの特性を示すダンパ負荷(可動体に作用する力)と可動体2の動作速度との関係は、一般の剛体に設けた固定オリフィスでは図3のDのような関係であるのに対して、本開発のダンパ装置ではEの方向に移動した特性が得られる。したがって、負荷が大きくなった場合でも可動体の移動速度を抑えるように作用し、可動体2の動作速度を一定の安全な速度以下に安定して保つことができる。
【0025】
なお、図3のEに示したようなダンパ装置の特性は、弾性体10の変形特性やオリフィス孔11の形状、断面積等のさまざまな要素によって決まるため、条件の変更により任意の特性を得ることができる。例えば、図3のFに示すような特性、つまりある値以上の負荷であれば、負荷が変動しても可動体の移動速度を略一定に保つことも可能である。
【0026】
また、弾性体装着部9は、弾性体10が少なくともオリフィス孔11の軸方向に遊びCを有する構成であり、この遊びのために弾性体10の正面10aは全面に作動流体4の圧力が作用する。また、弾性体装着部9の内側面13をテーパ状にしていることから、弾性体10の側面10b全体にも作動流体4の圧力が作用する。したがって、作動流体4の圧力は常に弾性体10の正面10aおよび側面10bから作用し、弾性体10およびオリフィス孔11の変形状態が常に一定となり、安定したダンパ特性を得ることができる。また、弾性体10のまわりに空間が存在するため、弾性体10の外径や弾性体装着部9の多少の寸法誤差はダンパ特性に影響を与えない。たとえば、図4に示したように、弾性体装着部9と弾性体10が同一寸法の場合、寸法誤差によっては、弾性体10の側面10bに作動流体4の圧力が作用する場合としない場合があり、弾性体10の変形状態は一定しない。また、弾性体10の寸法が多少大きい場合などは、装着時にすでに弾性体10は圧縮されオリフィス孔11は狭められている状態にあり、特性に影響を与えてしまう。
【0027】
また、弾性体10は、装着部流路12の入り口側と接触するため、圧力が作用した際に、弾性体10に亀裂等の損傷が生じる恐れがある。例えば、図5(a)のような場合には、圧力が作用した時には図5(b)のように弾性体10のGの部分に大きなせん断力が作用し、亀裂を生じる可能性がある。この損傷により、ダンパ特性は影響を受け、またダンパの破損につながる恐れもある。装着部流路12の入り口側に角アール14を設けることにより、弾性体10に大きなせん断応力が作用することを抑制し、破損の発生を防止し、特性変動を抑え、耐久性の高いダンパ装置が得られる。また、角アール14の大きさが変わると、オリフィス孔11の変形特性も変化することから、角アール14を設けることによりダンパ特性変更を行うことができる。しかし、角アール14が小さすぎると、充分な効果が得られず、弾性体10に破損を与える恐れがあるので、角アール14は、0.5mm以上としている。好ましくは1mm以上であることがが望ましい。
【0028】
また、装着部流路12の直径は、オリフィス孔10の最小部直径の5倍以下としている。他の部位の寸法にもよるが、図6(a)のようにこの直径が5倍以上になると、加圧時には図6(b)に示すように、弾性体10の変形量が大きくなり、オリフィス孔11に異常な変形の起こる可能性がある。この際、オリフィス孔11が閉塞したり、弾性体10が小刻みに伸縮を繰り返すびびり現象などの異常現象を引き起こすことがある。装着部流路12の直径は、オリフィス孔11の最小部直径の5倍以下とすることにより、この現象を回避できる。
【0029】
また、軸体である連係部材3はケーシング1の内外に出入りする構成であるため、その出入りする連係部材3の体積分の逃げ場所が必要であり、一般には空気層15をケーシング内に設ける場合が多い。ダンパの設置方向によってはこの空気層がオリフィス孔に噛み込む恐れがあり、その場合はダンパ作用が得られないため、空気の噛み込まない条件で使用する必要がある。また、ケーシング内の作動流体4と空気層15を隔離する空気層隔離手段を用いた場合には、どの設置方向で使用することも可能となる。また、独立発泡ゴムなどのアキュムレーターを上記空気層15の代わりに封入した場合にも同様である。
【0030】
なお、ケーシング1内面と可動体2外面とのシールやケーシング1と係合部材3とのシールにはOリングやXリング等のシール材5を用いたが、ピストンシールやVパッキン等の他のシール手段であってもよい。
【0031】
また、この例では、可動体2が直線上を移動する形態のダンパ装置についての例を示したが回転軸の回動に対して抵抗力を作用するロータリー式のダンパ装置であってもかまわないし、それ以外の軌道であってもよい。
【0032】
(実施例2)
図7(a)は本発明の実施例2のダンパ装置の部分拡大断面図、図7(b)は同ダンパ装置の弾性体装着部周辺の拡大断面斜視図であり、図1に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与して説明は省略する。
【0033】
ダンパ装置全体の構成は実施例1と同様であるが、弾性体装着部9の内側面13に弾性体外形と接する突起部16を設けている。
【0034】
作用、効果も実施例1と同様であるが、突起部16は、弾性体10が弾性体装着部9内を移動することを防止する。このため、オリフィス孔11と装着部流路12との位置関係は常に一定となり、またオリフィス孔11の変形特性も一定となることから、特性ばらつきの少ないダンパ装置が得られる。
【0035】
また、突起部16は突起形状であるため、弾性体10との接触面積は小さく、弾性体側面10bへの圧力の作用を妨げることはほとんどない。また、実施例1と同様に、弾性体装着部9は弾性体10がオリフィス孔11の軸方向に遊びを有する構成であるため、作動流体4の圧力が常に弾性体10の正面10aおよび側面10bから作用する。このため、弾性体10およびオリフィス孔11の変形状態が常に同一であり、特性の一定したダンパ装置を得ることができる。また、寸法誤差で弾性体10が多少大きい場合でも、突起部16の接触面積は僅かであるため、オリフィス孔11の変形およびダンパ特性に影響を与えることはない。
【0036】
なお、この例では、突起部16を除いた弾性体装着部9の内側面形状は円柱形状としたが、テーパ状であっても、他の形状であってもかまわない。
【0037】
(実施例3)
図8(a)は本発明の実施例3のダンパ装置の部分拡大断面図、図8(b)は同ダンパ装置の弾性体装着部周辺の拡大断面斜視図であり、図1に示した実施例1と同じ構成要素には同一の符号を付与して説明は省略する。
【0038】
ダンパ装置全体の構成は実施例1と同様であるが、弾性体10の外側面10bに弾性体装着部9の内側面13と接する弾性体突起部17を設けたものであり、実施例2と同様の作用、効果が得られる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、弾性体にオリフィス孔を形成したものであり、可動体に作用する力に応じてオリフィス孔の形状や面積が自動的に変化し、ダンパ特性そのものを変化させることができる。たとえば、荷重が変化しても略一定の速度で動作するダンパ装置を得ることも可能である。また、作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としたことにより、常に一定の状態で弾性体に圧力が作用し、オリフィス孔の変形が一定となることから、ばらつきの少ない安定したダンパ特性を得ることができる。
【0040】
また、弾性体装着部は、弾性体が少なくともオリフィス孔の軸方向に遊びを有する構成とした場合には、作動流体の圧力が弾性体に作用する際に、弾性体の正面(オリフィス軸と垂直な面)の全面が、常に作動流体と接する構造とは、オリフィス孔の軸方向に関しては常に一定の条件で弾性体は圧縮され、オリフィス孔は変形することになる。これにより、より安定したダンパ特性が得られる。
【0041】
また、弾性体装着部は、その内側面をテーパ形状とした場合には、常に弾性体の側面全面から作動流体の圧力が作用するため、常に一定の条件で弾性体は圧縮される。また、内側面はテーパ状であることから圧力が作用した状態ではオリフィス孔と装着部流路との位置関係は略一定となり、より安定したダンパ特性を得ることができる。また、弾性体に多少の寸法誤差があっても、ダンパ特性に影響を与えることがない。
【0042】
また、弾性体装着部は、その内側面に弾性体外形と接する突起部を設けた場合には、弾性体装着部内を弾性体が周方向へ移動することを防止し、オリフィス孔と装着部流路との位置関係が常に一定となり、安定したダンパ特性を得ることができる。
【0043】
また、弾性体は、その外側面に弾性体装着部の内側面と接する弾性体突起部を設けた場合にも、弾性体装着部内を弾性体が周方向へ移動することを防止し、オリフィス孔と装着部流路との位置関係が常に一定となることから、安定したダンパ特性を得ることができる。
【0044】
また、装着部流路は、弾性体と接する入り口側に角アールを設けた場合には、弾性体に亀裂等の損傷が生じ、この損傷により、ダンパ特性に影響を与えたりダンパ装置が破損したりすることを防止する。これにより、安定した特性を得るとともに耐久性を向上することができる。また、角アールの大きさが変わると、オリフィス孔の変形特性も変化することから、角アールを設けることによりダンパ特性変更を行うことができる。
【0045】
また、角アールは、0.5mm以上とした場合には、ダンパに大きな荷重が作用した場合でも、より安定したダンパ特性と、装置の耐久性を確保することができる。
【0046】
また、装着部流路の直径は、オリフィス孔の最小部直径の5倍以下とした場合には、オリフィス孔が閉塞したり、弾性体が小刻みに伸縮を繰り返す振動現象(いわゆるびびり現象)などの異常現象を発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のダンパ装置の断面図
【図2】(a)同ダンパ装置の部分拡大断面図
(b)同ダンパ装置の左向きに力が作用した場合の部分拡大断面図
【図3】同ダンパ装置の負荷と可動体の動作速度の関係を表す特性図
【図4】弾性体装着部と弾性体が同一寸法であるダンパ装置の例を示す部分拡大断面図
【図5】(a)装着部流路の入り口側に角アールを設置しないダンパ装置の例を示す部分拡大断面図
(b)同ダンパ装置の左向きに力が作用した場合の部分拡大断面図
【図6】(a)装着部流路の直径がオリフィス孔の最小部直径の5倍以上であるダンパ装置の例を示す部分拡大断面図
(b)同ダンパ装置の左向きに力が作用した場合の部分拡大断面図
【図7】(a)本発明の実施例2のダンパ装置の部分拡大断面図
(b)同ダンパ装置の弾性体装着部周辺の拡大断面斜視図
【図8】(a)本発明の実施例3のダンパ装置の部分拡大断面図
(b)同ダンパ装置の弾性体装着部周辺の拡大断面斜視図
【図9】従来のダンパ装置の概略図
【図10】ダンパ装置の使用例を示す装置の概略図
【符号の説明】
1 ケーシング
2 可動体
3 連係手段
4 作動流体
9 弾性体装着部
10 弾性体
11 オリフィス孔
12 装着部流路
13 弾性体装着部の内側面
14 角アール
16 突起部
17 弾性体突起部
Claims (5)
- ケーシングと、前記ケーシング内に配した可動体と、前記ケーシング内に封入した作動流体と、前記可動体の移動に伴って前記作動流体が流れるオリフィス孔を設けた弾性体と、前記弾性体を設置し、その内側面をテーパ形状とした弾性体装着部とで構成され、前記弾性体装着部は、前記オリフィス孔と連通した装着部流路を有し、かつ作動流体の圧力が弾性体の正面および側面から作用する構成としたダンパ装置。
- 弾性体装着部は、弾性体が少なくともオリフィス孔の軸方向に遊びを有する構成とした請求項1記載のダンパ装置。
- 装着部流路は、弾性体と接する入り口側に角アールを設けた請求項1または2記載のダンパ装置。
- 角アールは、0.5mm以上とした請求項3記載のダンパ装置。
- 装着部流路の直径は、オリフィス孔の最小部直径の5倍以下とした請求項1ないし4のいずれか1項記載のダンパ装置。
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