JP3899460B2 - 回路基板の電気めっき方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路基板のめっき方法に係り、特に、プリント配線基板に電気めっきを施す際に行うめっき液の撹拌方法で、多層配線板の電気めっきや、プリント配線基板の製造に際して行う無電解めっきに対しても適用可能な電気めっき技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化・高性能化に対する要求はますます大きくなっており、このような動向に対応して、種々の電子デバイスを実装するプリント配線板に対しても、配線の高密度化・高集積化と高接続信頼性に対する要求が一段と強くなっている。
【0003】
このような要求にこたえるべく、ベース基板上にフルアディティブプロセスもしくはセミアディティブプロセスを経て、導体層と絶縁層を交互に積層して3次元の微細回路を形成する、いわゆるビルドアップと呼ばれる工法が広く用いられるようになっている。
【0004】
このような微細な配線を形成する方法の一例としては、電気絶縁性樹脂層の表面にスパッタリング等によって銅の薄膜を析出させ、次いでこの上に所望のレジストパターンを形成した後、電気銅めっきを施す方法がよく用いられる。
【0005】
この方法においては、絶縁性層の下部に存在する導体層と、この上部に設ける導体層の間の電気的接続を確保する手段として、ビアホールと呼ばれる連絡孔を設けた後、この孔の壁面に導体めっきを施すか、あるいは該孔の全体を導体で満たす方法が採られるのが一般的である。
【0006】
すなわち、該絶縁性層の連絡路あるいは導通路となるべき部位に、炭酸ガスレーザービームを照射したり、あるいはドリルによる機械的手段などによって絶縁性層を穿孔し、ついで、該穿孔部の壁面に銅などの導体めっきを施すことによって、導体層と導体層の間の電気的接続をとることが可能であり、当業者において広く採られている手段である。
【0007】
しかしながら、最も好ましくは、該ビアホールの壁面のみに導体めっきを施すのではなく、該ビアホール全体を電気めっきにより導体で充填することであり、そうすることによって電気的接続の信頼性が飛躍的に向上する。
【0008】
電気メッキによるビアホールの充填のさらなる利点は、絶縁性層を介して3層以上の導体層を利用する際に、第1の導体層と第2の導体層の間のビアホールを、第2の導体層と第3の導体層の間のビアホールの直上に配置することが可能になることである。
【0009】
その結果、ビアホールを設けるために割かれるスペースが全体として減少し、より高密度な実装が可能になるわけである。このようなビアホールの寸法としては、配線の微細化を反映して通常数十μm程度の直径のものが多く用いられる。
【0010】
このようなビアホールを充填する電気めっきに際しては、予め電気導体めっきを施すべき部分の表面に、無電解銅めっきなどにより薄く導体の膜を形成しておく必要がある。
【0011】
また、これに引き続いて行なわれる電気導体めっきでは、ビアホール内をめっきにより導体で充填するために、特別な工夫が必要である。すなわち、導体回路を形成すべき表面には、ビアホール以外の平坦な上部表面とビアホールの凹部とが共存することになる。
【0012】
そうすると、直感的に理解できるように、ビアホールを完全に電気めっきにより導体で充填しようとすれば、上記上部表面に過度の導体めっき膜が形成されてしまう恐れが生じる。逆に、この上部表面上に適度の厚さの導体膜を、電気めっきにより形成しようとすれば、ビアホールの充填が不充分になってしまうことになる。
【0013】
このような困難を回避して、ビアホール部を、電気めっきにより導体を充填しつつ、上部表面にも適度の厚さの導体膜を電気銅めっきなどにより形成する目的で、数種の添加剤を添加した電気めっき浴が広く用いられている。
【0014】
このようなビアホールを、好適に充填するために調合された電気銅めっき浴の例としては、例えば、MES2000(第10回マイクロエレクトロニクスシンポジウム、2000年11月)の予稿集第39頁に、松浪らにより述べられている。
【0015】
それによると、めっき液には、ポリマー成分、レベリング成分、ブライトナー成分の3種の物質が添加剤として用いられており、このような3種の添加剤によるビアホール充填の手法はすでに広く認識されているところである。
【0016】
これら3種の添加剤のうち、レベラ−成分としては有機色素が用いられることが多い。電気銅めっきによるビア充填に際して、これら3種の添加剤成分が作用する機構については未だ十分には理解されていないが、これら3種の添加剤のうち、レベラー成分がビア内外の銅析出速度を制御する働きを持つとの考えが広く受け入れられており、これについては以下のような説明がなされている。
【0017】
すなわち、レベラー成分を構成する分子は、電気銅めっきされる基板表面に吸着して電気銅めっきを阻害するが、電極(めっきされる基板表面)において電気化学的に分解されるか、あるいはめっき膜中に取り込まれて消費される。
【0018】
一方、この消費に対応して、濃度が一定と考えられるめっき液バルクから、レベラー成分の分子がめっき基板表面まで拡散することになり、このレベラー成分の拡散速度がめっき速度に影響を与えることになるわけである。
【0019】
しかし、レベラー成分として用いられる物質は、一般に比較的大きい分子量を有するため、ある程度以上早いめっき速度を採用すると、めっき液バルクから基板表面に到る経路(拡散層)にレベラー成分の濃度勾配が生じることになる。
【0020】
ところが、ビアホール凹部では、そうでない平坦な部分に比較してより長い拡散距離を必要とするため、ビアホール底部には、ビアホールを含まない平坦な上部表面に比較して、レベラー成分の拡散量が少なくなる。
【0021】
このような効果によって、ビアホール底部の表面では、平坦部表面に比較して定常的により小さい濃度のレベラー成分しか存在しないこととなり、結果としてビアホール底部の銅めっき膜の成長が、平坦部表面に比較して早くなることになる。
【0022】
このようなメカニズムにより、ビアホールの電気銅めっきによる充填が行なわれるものと理解されている。このような事情から、レベラー分子のような、その拡散速度がめっき膜の成長に決定的に作用する成分を含有する場合には、めっき液の撹拌状態が決定的に重要となるわけである。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
電気めっきに際しては、めっきされる基板表面における成分濃度を一定に保つ上から、めっき液の撹拌が極めて重要である。これによって、めっきの進行につれて消費される成分を、めっき液バルクから基板表面に速やかに補給することができる。
【0024】
特に、その拡散速度がめっき膜の形成に重要な因子であるような添加剤成分を含む場合には、めっき液の撹拌状態は、できあがるめっき膜の性質を支配することにもなる。
【0025】
従来、電気めっきに際しては、液撹拌の目的でチューブ等により空気を吹き込んで気泡を発生させるいわゆるエアリング法が広く採用されてきた。この方法は、気泡が上昇するに従って減圧し、体積が大きくなることをともないつつ起こる非直線的な上昇運動の効果により、めっき液が著しくかき乱されることを利用したものである(例えば、特開平6−158396号公報参照)。
【0026】
このような撹拌方法は、比較的簡便且つ安価な方法であることから、当業者間で広く実際に供されるところとなっている。しかしながらこのような方法は、基板表面が概ね平坦である場合には有効であるものの、微小なビアホールを有するめっき基板に採用すると、満足すべきめっき膜が得られないばかりか、しばしば種々の不具合に直面することが明らかとなった。
【0027】
すなわち、ビアホールの充填が不充分になることが多くなるとともに、ビアホール周辺部のめっき膜の成長が、ビアホールの中心に対して対称でなくなり、結果として、めっき膜の膜厚が基板上の位置により大きく異なるといった欠陥も観察された。
【0028】
また、めっき液が過度に当たる部分において、導体めっき膜が薄くなくなるといった不具合も観察されている。さらに、ビアホール充填の程度や膜厚などについて、しばしば再現性が低くなるという問題も露呈していた。
【0029】
ビアホール部の電気めっきにおいては、その後のさらなる絶縁層/導電層の積層や電子部材の好適な実装の上から、でき上った表面は平坦であることが必要であり、もし十分に平坦でない場合には、研磨等により平坦化するプロセスを付加する必要が生じてしまう。
【0030】
このようなプロセスの付加は製造コストを引き上げる要因となるが、フレキシブル基板のごとき柔軟な基板を用いた場合には、この研磨工程も適用できないため、めっき膜が平坦でない場合には十分な性能を保証できなくなる恐れが生じることになる。
【0031】
本発明者らは、これらめっき膜の不具合の発生要因を詳細に分析した結果、ビアホール周辺部においてめっき液の流れが著しく乱れていることに起因していることが明らかとなった。
【0032】
これは、ビアホールの辺縁部でめっき液の流れが著しく乱される結果、めっき液の流れによって供給される添加剤成分の量に、大きな空間的バラツキが生じることが一因であることが分かった。
【0033】
また、エアリングによる気泡のサイズが、基板のめっき加工サイズに比較して著しく大きいため、めっき液の流れの再現性が原理的に低いものとなってしまうことも要因の一つである。
【0034】
このような基板表面近傍でのめっき液の乱れは、レベラー成分のようなめっき膜の成長が、その拡散性に著しく依存しているような添加剤を含有する場合に、より深刻な結果をもたらすことが分かった。
【0035】
これは、基板上の特定の部位に供給されるレベラー成分の量が、めっき液の乱れによって過剰になったり、あるいは過少になったりすることによるもので、同様な原因による不具合は、パターンめっきなどにおけるめっきレジストの辺縁部でも見出されている。
【0036】
このような部位は、元々めっき液の流れが不均一となりやすい上に、エアリングなどによる乱れためっき液の流れによって、めっき膜成長の乱れが増幅されたことによるものである。
【0037】
LSI等の高集積度半導体基板においても、近年電気銅めっきによる配線法がとられるようになったが、ここにおいては、電気銅めっきによって、ビアや溝を銅で充填して配線を形成した後、過剰に析出された銅膜を研磨等により除いて平坦にすることが広く行なわれている。
【0038】
このような高集積度半導体基板における電気銅めっきに際しては、めっき液を該基板に垂直に噴射して、基板表面に平衡な放射状の液流を生じせしめて行う方法が一般に知られている。
【0039】
しかしながらこの方法よれば、基板面に吹付けられためっき液が、基板面に沿って放射状に流れるため、基板面に並行なめっき液の流れが形成されることになる。
【0040】
しかしながら、液を基板面に対してほぼ垂直に吹付けるため、吹付けられた場所およびその近傍においては、基板面に並行な液の流れは形成されておらず、これが原因でビアの充填などに不具合を生じたり、あるいはめっき膜厚に偏りを生じる原因となっていた。
【0041】
本発明の目的は、表面にビアホールやレジストなどの凹凸の存在する回路基板に電気導体めっきを施す際、良好なビア充填性や再現性の高いめっき工程を実現する回路基板のめっき方法を提供することである。
【0042】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回路基板にめっきを施すことにより電気回路を形成する回路基板の電気めっき方法において、前記めっき液をめっき槽の底面に配置した板体に噴射して一様に並行な反射流を生じさせ、該反射流の中に、該回路基板をめっき槽壁面より離して、陰極側回路基板の基板面と陽極とを、該反射流の方向と並行になるように構成して配置することを特徴とするものである
【0043】
その際、回路基板および陽極をめっき槽の壁面から離して、該回路基板の両面が該反射流に接するように配置することが良好な反射流を維持しつつ好適なめっきを行う上で重要である。また、前記反射流の流入側とは反対側の流出側に、該反射流を吸い込む吸込口を設けることも基板面に並行なめっき液流を維持する上で極めて有効である。これは、単にめっき槽内のめっき液量を一定に保つ目的で行なわれるばかりでなく、反射流の流れを助ける作用も有していることに拠っている。
【0044】
本発明によれば、めっき液の流れを、基板面に並行な反射流にすることができるので、表面に凹凸の存在する回路基板に電気導体めっきを施す際、均一で一様なめっきを基板の両面に施すことができる。
【0045】
本発明者らは、上記したようなエアリングによってめっき液を撹拌した場合に起こる種々の問題の解決法を鋭意検討した結果、めっき液の流れが該基板面に沿って常に並行且つ一様な流れとなるように撹拌を行うことによって、上記したような問題を解決できることが分かった。
【0046】
言い換えれば、一様なめっき液の流れの中に、めっきされる基板を流れに並行に配置することである。このような状況を具体的に実現する手段として、本発明者はめっき液をめっき槽の底面などの壁面に噴射して反射流を生じさせ、この反射流を、基板表面近傍のめっき液撹拌に供せしめるべく配置したところ、好適なめっき膜が得られることを確認した。
【0047】
特に、電気めっきを施すべき回路基板をめっき槽壁面より離して配置し、回路基板の両面を該反射流が並行に接して流れる様にすることによって前記した良好な反射流が維持できるばかりでなく、めっきによって両面に導電回路を設けるべき基板に対しても有効にめっきを施すことができる。
【0048】
エアリング以外のめっき液の撹拌にかかわる手段としては、従来、めっきされる基板に対してめっき液を吹付ける方法が知られている。この方法では、吹付けられためっき液が基板上を放射状に拡がるため、あたかも本発明による方法と同じ効果がもたらされるものと期待される。
【0049】
しかしながら、吹付けられる場所およびその近傍では、めっき液の流れが基板に並行になっておらず、したがって、めっき基板内の限られた場所でのみ好適なめっき膜を得るのに有効ということになってしまうわけである。
【0050】
また、めっき液を基板に並行に流れさせるにしても、直接めっき基板に並行にめっき液を噴射した(直接流)場合には、明らかに本発明による方法に比較して得られるめっき膜の性状が劣る。これは、本発明の反射流を利用する方式に比較して、直接流を利用する方式が本質的に異なるものであることを示している。
【0051】
本発明の方法を用いると、めっき液を直接めっき基板に並行に噴射する(直接流)場合に比較して、均一な流れの形状と断面積を制御しやすいばかりでなく、流れの均一性そのものも高くなることを見出したことに基くものである。
【0052】
めっきすべき部位が基板の片面のみに限られているような場合には、上記反射流と基板のなす角度を完全に0度付近にする必要はかならずしもない。あくまでも、該反射流が基板のめっきを必要とする部位全体に対して均一に覆い、且つ液が基板面に沿って均一性よく流れることが必要なわけである。
【0053】
したがって、槽の構造や基板の形状によっては、基板を若干反射流と有限の角度を持たせるように配置させることも本発明の効果を発揮せしめる上で許容されるわけである。
【0054】
また、めっき槽中で反射流を起こさせた場合、これを有効にめっき基板周辺部に導かれるように、また、該反射流が好ましいサイズと形状となるようにする目的で、補助的なガイドとして板などをめっき槽中に配置することが可能である。
【0055】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の概要は、基板全体もしくはめっきすべき部位全体に対して並行な反射流を生じさせるために、めっき液中にプロペラ等を挿入して回転させ、めっき液をめっき槽の壁面や底面あるいは反射板に当てて、その反射流を生み出すようにしたことである。
【0056】
すなわち、図1に示すように、めっき槽1内に挿入したプロペラ5、6を回転(矢印12、13)させてめっき液2の下降流14を生じさせ、この下降流14をめっき槽底面に当てて反射流9、10、11を起こさせる。そして、めっき槽内に挿入した陽極板3と陰極側回路基板4とを、この反射流と並行になるように構成して配置する。
【0057】
このようにして生じるめっき液の反射流の速度は、プロペラの回転数を制御することによって容易に調節することことができ、均一性の高いめっき液の流れを得ることが可能になるわけである。なお、プロペラ5、6はテフロン製で、回転シャフト7、8はテフロンコートされている。
【0058】
また、このような方法においては、プロペラを配置する幾何学的位置関係を工夫することにより、反射流の断面形状やサイズもある程度任意に制御することが可能である。例えば、めっき槽内の辺縁部に下向きにめっき液を送り出すプロペラを複数配置した場合には、槽の中央部に反射上昇流が形成される。
【0059】
したがって、この場合には、槽の中央部にめっき基板を垂直に配置することにより、該基板全体を上昇流により包み込むことができる。基板の両面にめっきを施すプロセスを含む工法においては、このような上昇流の中へ基板を包み込ませることはとりわけ重要である。
【0060】
また、めっき基板として、例えばフレキシブルな長尺の連続シートが用いられることも多い。このような長尺基板を用いる場合は、通常リールによって巻かれたものが、めっき工程を経て再び別のリールによって巻き取られるような具合に連続的にめっきされるのが普通であり、一般に細長いめっき槽を用いて行なわれる。
【0061】
このようなめっき槽に対して、本発明による撹拌法を有効に適用するには、前記プロペラをめっき槽の長手軸に沿ってその両側に多数配置するのが有効である。このようにプロペラを配置することにより、めっき槽の長手軸方向の中央部には常に反射上昇流が起こり、その結果、ここを通過するフレキシブル基板の両面が終始上向きの均一性の高いめっき液の流れの中に存在することが可能となるわけである。
【0062】
このような反射流がある程度の厚みをもって形成されるようにプロペラを配置すれば、該フレキシブル基板の両面のめっきに対しても有効にその効果を発揮させることができる。
【0063】
本発明による方法は、めっき液を壁などに噴射してその反射流を利用することによりめっきされる部位にめっき液の流れを供給するものであるが、めっき液の噴射法としては、上記プロペラによる場合以外に、該めっき槽に一つもしくは複数の噴射孔を設けておき、ここからめっき液を噴射することも可能である。
【0064】
その際、噴射されるめっき液は、めっき槽のめっき液を循環して用いることも、また、別の槽に貯留しためっき液を配管を経て用いることも、本発明を有効に実施する上で可能である。めっき槽のめっき液を、配管を設けて循環して噴射する際には、その配管の過程にフィルター等を設けて、液の純化を兼ねて行うことも可能である。
【0065】
図2は、プロペラに替えて、めっき液をフレキシブル基板16の長尺シート用めっき槽に噴射した場合の例である。本例では、めっき液噴射孔18から噴射しためっき液19を、めっき槽底面17に当てて一様で基板に並行な反射流20を生じさせている。
【0066】
本発明の最も本質的な点は、めっきされる基板表面を均一なめっき液の流れにさらすことである。この目的には、これまでに述べたプロペラによる底面反射流や噴射孔からのめっき液の送液によるばかりでなく、これ以外の手段も本発明の趣旨からみて含まれるべきである。
【0067】
例えば、液を送るのではなく基板上面で吸い上げて、結果的に基板面に沿っためっき液の流れを生み出すことも可能であり、このような方法によってえられる均一流効果を利用する場合も本発明の目的に合致している。このような場合には、液の流れ方向を望ましい方向に導く目的で、板などをめっき槽中に配置することも有効である。
【0068】
また、図3に示すように、前記した反射流20を噴射するのと併せて、同時に基板16の上部に設けたチューブ21の吸込口22から、めっき液23を吸いこむ方法も可能である。このような方法は、めっきされる基板の幅が大きい場合に、基板全体に均一性の高いめっき液の流れを作り出す上で特に有効である。図4は、図3と同様の構造を、基板に平行な方向から見た断面図である。
【0069】
本発明による効果を発現させるに際して好ましい反射流の速度は、めっきされる基板の形状や大きさ、さらにはビアホールの形状やサイズ、さらには基板上に設けられためっきレジスト膜の高さや形状などによって異なる。
【0070】
そのため、絶対的な単一の尺度を挙げることは困難である。しかしながら、好適な反射流の流速は概ね、0.1mm/秒〜1000mm/秒であり、より好ましくは3mm/秒〜600mm/秒である。
【0071】
先に述べたエアリングは、めっき液の撹拌効果とともに、めっき液に常に酸素ガスを十分に溶解させておくという目的でもしばしば行なわれる。したがって、本発明による底面反射流を採用した場合にも、酸素ガスをめっき液に溶解させることが必要であれば、エアリングを行うことは本発明の趣旨に反しない。
【0072】
その際、エアリングによるめっき液の擾乱が本発明の方法による均一なめっき液の流れを乱すことがないように、めっきされる基板からある程度距離を隔ててエアリングを行うのが得策である。この場合には、エアリングはめっき液に酸素ガスを供給する目的でのみ使用されているわけである。
【0073】
本発明による効果は、比較的低コストで、電気銅めっきをはじめ、電気ニッケルめっきなどの導体電気めっきなど、多くの導体電気めっきに適用可能である。また、めっきの対象となるプリント配線板に関して、ビアホール充填以外にも、他の電気めっき一般にも十分適用できるものである。
【0074】
本発明による方法を採用することにより、電気めっきの膜質および膜厚の再現性が飛躍的に向上する。さらに、電気導体めっきに限らず、無電解めっきに際しても本発明による撹拌の効果は発揮される。また、本発明による撹拌方法は、電極による電解に限られることはなく、無電解めっきなどにおいてもめっき膜の品質向上やめっき膜の再現性の向上を達成する上からも有効である。
【0075】
前記高集積度半導体基板の場合にも、銅めっきを実施しようとする基板全体を、前記めっき液の反射流の中に並行に浸してめっきを行うことにより、ビアやトレンチを好適に埋め込んで配線を形成することが可能である。このような方法によって形成される銅配線においては、銅膜の均質性も高く、このため抵抗値異常などの問題が発生し難くなるという利点を有している。
【0076】
〔具体例1〕 表面に銅箔を有する積層板に、通常ビルドアップ工法に用いられる公知のエポキシ樹脂絶縁層を10μmの厚さでコートし、ついでこの表面に炭酸ガスレーザを照射することによって、開口部60μmφ、底部50μmφ、深さ10μmのビアホールを形成した。
【0077】
この基板を過マンガン酸溶液に浸すことによってデスミヤ処理を施したのち、公知の触媒付与処理を行って厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜を形成した。この基板を、ビアホール部を含むように60mm×60mmに裁断したのち、下記表1に示す組成のめっき液に垂直に浸して、電流密度2.0A/dmで32分間通電し、電気めっきを施した。
【0078】
【表1】
Figure 0003899460
【0079】
該電気めっきに供しためっき槽の内寸法は、幅250mm、奥行き200mm、高さ200mmであり、電気めっきに際しては、図1に示したような配置で、めっき液に垂直に挿入した径50mmの2本のプロペラを用い、スリーワンモータ(型式BLー1200)2台により、いずれも分速200回転でめっき液を撹拌した。プロペラと底面との間隔は85mmであり、プロペラの回転方向は液を下方底面に押し出す向きである。
【0080】
電気めっきにより得たビアホール部を含む基板を切断し、研磨することによってビアホール部の断面を観察した。図5に本実施形態に基いて電気銅めっきを施した基板の断面顕微鏡写真の模式図を掲げる。同図により、基板4上に設けられた下地配線層30、絶縁性樹脂層31の上の無電解めっき銅層32の凹凸が、電気めっき銅層33で均一にめっきされ、ビアホールが銅めっきにより充填されていることがわかる。
【0081】
〔比較例1〕 プロペラ撹拌に換えて、エアリングにより撹拌した点を除けば、上記具体例1と同様の手順で銅めっきとそれに続く断面観察を行った。エアリングは、微細の孔を8mm間隔で開けた内径0.8mmのテフロンチューブをめっき槽底部に這うように浸漬させて行った。通気量は0.5L/分である。
【0082】
こうしてめっきした基板の断面顕微鏡写真の模式図を図6に掲げた。同写真より、ビアホール上部に約5μm程度のくぼみがあり、ビアホールの充填が完全でないことを示している。
【0083】
〔具体例2〕 0.16μmの銅スパッタリング膜および、開口部50μmφ、底部40μmφ、深さ12μmのビアホールを両面に設け、該ビアホールの壁面にも銅薄膜を析出させた後、さらに所望の部分以外がめっきレジストによって覆われた厚さ80μm、幅300mmのポリイミドフレキシブルフィルムの両面に、表1に示した組成のめっき液により電気銅めっきを12μm施した。
【0084】
このポリイミドフレキシブルフィルムのめっき液中での移動速度(巻き取り速度)は450mm/分であり、めっきの際の電流密度は2.5A/dmであった。電気めっきに際しては、図2と同様な配置で、150mm間隔で基板の両側に設置した15mm×5mmの開口を有する各ノズルから、めっき液をめっき槽底面に向けて1.1L/分の速度で噴射し、該フレキシブル基板の両面を上昇流で包み込んだ。
【0085】
このようにして電気めっきを施されたフレキシブル基板の両面のビアホールは、いずれも過不足なく充填されていたばかりでなく、めっきレジストによって縁取られた配線パターン部の厚みもバラツキが15%以下であった。
【0086】
〔比較例2〕 ノズルからのめっき液の噴射を、めっき槽の底面に向けて行わずに、フレキシブル基板の両面に直接吹付けた以外は、具体例1と同様の操作でフレキシブル基板への両面めっきを行った。
【0087】
その結果、該フレキシブル基板のめっき液を吹付けられた部位を除いて比較的良好な電気めっきが施されていたものの、めっき液を吹付けられた部位およびその近傍では、ビアホールの充填が均等に行なわれておらず、配線部においてもめっき膜厚が最大で45%のバラツキを示した。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば、表面にビアホールやレジストなどの凹凸の存在する基板に電気導体めっきを施す際、壁面あるいは底面にめっき液を噴射したり吹付けたりして反射流を起こさせ、該反射流の中に該基板を反射流の流れ方向に並行となるよう配置することで、良好なビア充填性や再現性の高いめっき工程を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるめっき槽中に垂直に挿入されたプロペラの回転によって、めっき基板周辺に底面反射流を生じさせる様子を示した斜視図である。
【図2】本発明におけるめっき槽に複数の噴射孔からめっき液を噴射することにより、めっき液に浸したフレキシブル長尺基板の両面を底面反射流に包み込む様子を示した斜視図である。
【図3】本発明における反射流を吸い込む機構を設置して、均一な並行流を形成させる例を示した斜視図である。
【図4】図3と同様の構造を基板に平行な方向から見た断面図である。
【図5】本発明の具体例1における電気銅めっきにより銅めっき膜を充填したビアホールの断面の顕微鏡写真の模式図である。
【図6】比較例1における電気銅めっきにより銅めっき膜を充填したビアホールの断面の顕微鏡写真の模式図である。
【符号の説明】
1 めっき槽、
2 めっき液、
3 アノード、
4 めっき基板、
5 テフロン製プロペラ、
6 テフロン製プロペラ、
7 テフロンコート プロペア回転シャフト、
8 テフロンコート プロペア回転シャフト、
9 めっき液の反射流、
10 めっき液の反射流、
11 めっき液の反射流、
12 プロペラ軸の回転方向、
13 プロペラ軸の回転方向、
14 プロペラ回転によるめっき液の下降流、
15 プロペラ回転によるめっき液の下降流、
16 フレキシブルめっき基板、
17 めっき槽底面、
18 めっき液噴射孔、
19 噴射されためっき液、
20 めっき液の反射流。
21 めっき液吸い込み用チューブ
22 めっき液吸い込み口
23 吸いこまれるめっき液の流れ
30 下地配線層
31 絶縁性樹脂層
32 無電解めっき銅層
33 電気めっき銅層

Claims (4)

  1. 回路基板にめっきを施すことにより電気回路を形成する回路基板のめっき方法において、前記めっき液をめっき槽の底面に配置した板体に噴射して一様に並行な反射流を生じさせ、該反射流の中に、該回路基板をめっき槽壁面より離して、陰極側回路基板の基板面と陽極とを、該反射流の方向と並行になるように構成して配置することを特徴とする回路基板の電気めっき方法。
  2. 回路基板にめっきを施すことにより電気回路を形成する回路基板のめっき方法において、前記めっき液をめっき槽の底面に配置した板体に噴射して一様に並行な反射流を生じさせ、該反射流の中に、該回路基板をめっき槽壁面より離して、陰極側回路基板の基板面と陽極とを、該反射流の方向と並行になるように構成して配置し、該反射流の流入側とは反対側の流出側に、該反射流を吸い込む吸込口を設けることを特徴とする回路基板の電気めっき方法。
  3. 前記回路基板は、プリント配線板または半導体基板である請求項1又は2に記載の回路基板の電気めっき方法。
  4. 前記めっきは電気銅めっきまたは電気ニッケルめっきである請求項1〜のうちいずれか1項に記載の回路基板の電気めっき方法。
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