JP3898828B2 - 被印刷材の拭き取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻取紙等の被印刷材の表面から紙粉等の汚れを除去するための拭き取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷用の巻取紙の表面には紙粉、ごみ、埃等の異物が付着している場合があり、印刷用の樹脂フイルムの表面には、エクストルージョンコート機で塗膜を作る際に散布するパウダー、可塑剤の溶出物等の異物が付着している場合がある。このように被印刷材に異物が付着していると、印刷インキの着きが悪くなり、印刷品質が低下する。オフセット印刷の場合はブランケット胴に異物が堆積し、印刷品質の低下の原因となる。
【0003】
また、巻取紙や樹脂フィルムには静電気が生じている場合があり、この静電気量が多くなると、印刷品質が低下し、また排紙部で印刷物の不揃い等のトラブルを生じるおそれがある。特に、グラビア印刷の場合は、静電気により火災が発生するおそれがある。
【0004】
従来そのような不都合を回避するため、被印刷材の表面を印刷に先立ち水で濡らした布等で拭き取るようにする場合がある。被印刷材の拭き取り装置としては、特開平5−193112号、特開平6−320711号、特開平7−256862号で開示されるようなものがある。特開平5−193112号の拭き取り装置は、ダイアフラムを印刷紙に対向させ両者間に布を介在させてなるもので、ノズルから水を噴射して布を湿らせ、ダイアフラムを膨脹させて該布を印刷紙に押し付け、この布で印刷紙を拭くようになっている。特開平6−320711号の拭き取り装置は、回転するクロムメッキローラの表面にノズルから水を噴射してローラ表面に水の皮膜を形成し、この水の皮膜の形成されたローラに不織布を接触させると共にこの不織布を走行する印刷紙の表面に押し付けるようにしている。特開平7−256862号の拭き取り装置は、クロムメッキローラを水舟中の水に浸漬して回転させ、ローラ表面に形成された水皮膜を不織布に転移させると共にこの不織布を走行する印刷紙の表面に押し付けるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−193112号の拭き取り装置はノズルから水を供給するので、布の湿り具合がその幅方向で不均一になり易く、紙粉等の除去具合が紙面の幅方向で異なってくるのみならず、印刷紙の湿り具合もその幅方向で異なってくる。また、水の供給量は印刷紙の走行速度の変化に応じて変える必要があるが、ノズルによる給水方式ではそのようなコントロールは極めて難しく、そのため印刷品質が低下するという問題を生ずる。
【0006】
特開平6−320711号、特開平7−256862号の各拭き取り装置はクロムメッキローラの親水性表面上に均一な厚さの水皮膜を形成し、この水皮膜で布を幅方向で均一に濡らそうというものであるが、クロムメッキローラの表面の状態により給水量が変化するという問題を有する。すなわち、水の中の不純物の存在により、また汚れ、手の脂等がローラ表面に付着することにより、給水量に多い所と少ない所が生じる。また、特開平7−256862号の拭き取り装置は、印刷速度が大きくなるに連れて給水量を増やすべくクロムメッキローラの回転数を増やす必要がある。例えば印刷速度が200m/min〜600m/minの範囲で変化するものとすると、これに比例するようにクロムメッキローラの回転数を10rpm〜30rpmの範囲で変化させるようにする。しかし、クロムメッキローラの表面の水膜が薄く必要水量を確保するためには上記回転数では不足気味である。そのため、印刷速度の全範囲に亘りより多く回転させる必要があるが、回転数が増大するとそれだけ不織布の伸びや弛みが大きくなり、かつ水が遠心力で周りに飛散する等の不都合が生じるので、クロムメッキローラの回転数を一律に上げるのは好ましくない。
【0007】
従って、本発明は、拭き取り用シートを液体で均一に湿らせ且つローラの回転数を高めることなく液量を需要に応じて供給することができる紙面拭き取り装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、以下の手段を採用する。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、水(17)を貯留する器(16)と、該器(16)上で回転しつつ表面の多孔体層(14a)で水を吸収して運搬する押付けローラ(14)と、上記押付けローラ(14)の多孔体層(14a)に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラ(14)による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材(3)の表面に接触する拭き取り用シート(4,18)と、上記押付けローラ(14)の上記被印刷材(3)への対応位置から外れた両側部(20)から余剰の水を除去するドクター(21,23)とを有した被印刷材の拭き取り装置を採用する。
【0010】
請求項2に係る発明は、水(17)を貯留する器(16)と、該器(16)上で回転しつつその表面で水を運搬する元ローラ(19)と、該元ローラ(19)に接して回転しつつ表面の多孔体層(14a)で元ローラ(19)の表面から水を受け取り運搬する押付けローラ(14)と、上記押付けローラ(14)の多孔体層(14a)に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラ(14)による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材(3)の表面に接触する拭き取り用シート(4,18)と、上記押付けローラ(14)の上記被印刷材(3)への対応位置から外れた両側部(20)から余剰の水を除去するドクター(21,23)とを有した被印刷材の拭き取り装置を採用する。
【0011】
請求項3に係る発明は、水(17)を貯留する器(16)と、該器(16)上で回転しつつ親水性表面(14b)により水を運搬する押付けローラ(14)と、上記器(16)内の水(17)を上記押付けローラ(14)の頂部へと補給する補給手段(22)と、上記押付けローラ(14)の親水性表面(14b)に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラ(14)による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材(3)の表面に接触する拭き取り用シート(4,18)、上記押付けローラ(14)の上記被印刷材(3)への対応位置から外れた両側部(20)から余剰の水を除去するドクター(21,23)とを有した被印刷材の拭き取り装置を採用する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施例について説明する。
【0014】
実施の形態1
図1に示されるように、この被印刷材の拭き取り装置は、水を貯留する器である水舟16と、該水舟16上で回転しつつ表面の多孔体層14aで水を吸収して運搬する押付けローラ14と、上記押付けローラ14の多孔体層14aに接触して湿潤状態になり、該押付けローラ14による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材である印刷用紙3の表面に接触する拭き取り用シート4とを有している。この拭き取り装置は、巻取紙印刷装置の給紙部から印刷部に至る間に印刷用紙3の表用と裏用に二組設置され、印刷装置の図示しない左右のフレーム上に左右の固定フレーム1(図1では片方のみ示す。)を介して取り付けられている。
【0015】
印刷装置の左右の固定フレーム1、1間には、二本のガイドローラ2a,2bが印刷装置の他の各種ローラと平行になるように掛け渡され、印刷用紙3の両面に夫々接触するようになっている。印刷用紙3は、ガイドローラ2a,2bに接しつつ、例えば200〜600m/分程度の速度で矢印方向に走行し、印刷装置の印刷部に至り印刷に付される。
【0016】
上記二本のガイドローラ2a,2b間を通る印刷用紙3の一方の表面側には、該表面を拭き取るための拭き取り用シート4が接するようになっている。拭き取り用シート4は帯状であり、その繰出ロール5とそこから繰り出された拭き取り用シート4を巻き取って回収する回収ロール6とが左右の固定フレーム1,1間に支軸7,8を介し軸支されている。両ロール5,6は各々支軸7,8に対して着脱自在である。繰出ロール5の支軸7は図示しない摩擦クラッチを介して固定フレーム1に軸支されている。回収ロール6は、図示しないが、モータの動力がスプロケットホイール、チェーン、摩擦クラッチ等を介して伝達され、駆動されるようになっている。
【0017】
拭き取り用シート4が繰出ロール5から回収ロール6に至る間には、繰出ロール5から拭き取り用シート4を繰り出すための駆動ローラ9及びこれに接する押えローラ10、印刷用紙3に接触した後の拭き取り用シート4を回収ロール6へと案内する遊びローラ11が配置されている。駆動ローラ9は、図示しないが例えばその軸端に固着されたアームがエアシリンダで往復駆動されることにより間欠回転し、拭き取り用シート4を繰出ロール5から回収ロール6の方に少しずつ送るようになっている。押えローラ10は、該押えローラ10を支えるアーム12と固定フレーム1との間に介装された図示しないスプリング等により駆動ローラ9の方に常時付勢されるようになっている。
【0018】
これにより、拭き取り用シート4は駆動ローラ9と押えローラ10とで挟まれて一定長さずつ繰出ロール5から回収ロール6の方へと送られる。また、駆動ローラ9が停止している間は回収ロール6の支軸8への入力部が摩擦クラッチの箇所で空回りすることから、回収ロール6は一定の大きさの力で拭き取り用シート4を常時引っ張り、その弛みを防ぐこととなる。
【0019】
その他、固定フレーム1には、拭き取り用シート4等からの落下物を受け止めるための受け板13が取り付けられている。
【0020】
上記駆動ローラ9と遊びローラ11との間には、拭き取り用シート4を印刷用紙3の表面に押し付ける押付けローラ14が配置されている。該押付けローラ14は、上記ガイドローラ2a,2b間を走行する印刷用紙3に拭き取り用シート4を適度な力で押し付けることができるよう少しばかりローラ2a,2b間を印刷用紙の反対面側に入り込んでいる。該押付けローラ14は、図示しないがチェーン及びスプロケットホイールを介して駆動源に繋がれ、例えば、5〜15rpmで矢印方向に低速回転するようになっている。押付けローラ14の回転数は印刷用紙3の走行速度の変化に追従させるようにし、水の消費量に応じて水の供給量を増やすようにする。押付けローラ14は、回収ロール6の支軸8の延長部を支点にして揺動可能なアーム15に回動可能に軸支され、該アーム15と固定フレーム1との間に介装された図示しないエアシリンダの駆動で回動し水を含んで静止した拭き取り用シート4を印刷用紙3に対し接触させたり、離反させたりする。
【0021】
押付けローラ14は、その表面が多孔体層14aで覆われた回転駆動されるローラである。多孔体層14aは、比較的硬くて腰のあるローラ本体の表面に薄い表面層として形成され、水が染み込み易く、かつ拭き取り用シート4に押し付けられると水が滲出し易い性質を有する。多孔体層14aの表面は拭き取り用シート4との間で大きな摩擦力を生じないよう平滑に仕上げられている。
【0022】
押付けローラ14は、例えば硬質ゴムを下地に巻いたローラの表面に2mm〜5mm程度の厚さのゴムシート又は高重合度の塩化ビニル樹脂等の樹脂シートを巻き付け、このゴムシート又は樹脂シートを連泡発泡させることにより作られる。この発泡個所が多孔体層14aとなる。また、多孔体層14aはゴムローラ、金属ローラ等の表面に保水性のある樹脂製のスリーブを被せたり、木綿等の繊維で出来た布や紐を巻き付けること等によっても形成することができる。
【0023】
押付けローラ14の下方には水17を貯留した器である水舟16が配置され、押付けローラ14は水舟16の水17の中にその一部が浸漬されている。水舟16内の水17は一定水位でオバーフローするようになっている。
【0024】
拭き取り用シート4は、保水性のある例えば不織布で作られる。拭き取り用シート4は、押付けローラ14から供給される水を含んだ状態で印刷用紙3の表面に接触し、該表面から紙粉等を拭き取る。不織布として網目状のものを採用する場合は、その網目内に紙粉等の異物を取り込むことができる。不織布の生地としては、例えば、セルロース系のものを用いることができる。また、不織布に代えて綿布、寒冷紗等を用いることもできる。
【0025】
上記押付けローラ14から拭き取り用シート4に供給される水は、印刷用紙3に対応する個所で消費されるが、対応しない個所では消費されず、その対応しない個所への水の供給が過剰になる。このため、印刷用紙3や拭き取り用シート4の両側に水が過剰に付着し、印刷用紙3や拭き取り用シート4が変形したりするおそれがある。また、余剰の水が遠心力で周囲に飛散するおそれもある。これを防止するため、図2及び図3に示されるように、押付けローラ14の印刷用紙3に対応しない両側部20にドクターとしての絞りローラ21が夫々接触している。絞りローラ21は押付けローラ14の周面に接して連れ回りしながら、押付けローラ14の多孔体層14aを押圧しその部分が吸収した水を絞り出し、印刷用紙3や拭き取り用シート4に水が過剰に供給されないようにする。絞りローラ21は真鍮等の金属、樹脂、ゴム等で作られる。
【0026】
上記ガイドローラ2a,2b間における印刷用紙3の他方の表面側には、上記拭き取り用シート4の接触箇所からはずれた箇所において該他方の表面を拭き取るための他の拭き取り用シート18が接している。この拭き取り用シート18は上記一方の拭き取り用シート4と同様にして供給されるようになっており、同様な構成部分は同一の符号をもって示しその詳しい説明は省略する。
【0027】
次に、上記拭き取り装置の作用について説明する。
【0028】
印刷装置の始動により、印刷用紙3が走行を開始し、所定の走行速度、例えば50m/分程度まで上昇すると、押付けローラ14が図示しないモータの駆動により矢印方向に回転する。この押付けローラ14は水舟16内で回転しつつその表面の多孔体層14aで水を吸い込み、拭き取り用シート4,18に接触して各拭き取り用シート4,18に水を転移させる。多孔体層14aは水を押付けローラ14の全幅に亘り均一な厚さで吸い込むので、拭き取り用シート4,18はその幅方向で均等にむらなく水分を含むことになる。また、多孔体層14aはその厚さ及び面積に応じ比較的多くの水を吸着するので、印刷用紙3の走行速度が大きくなっても押付けローラ14の回転数をさほど上げることなく適正量の水を拭き取り用シート4,18に供給することができる。例えば、印刷用紙3の走行速度が200m/min〜600m/minであるとすると、押付けローラ14の回転速度はこれに比例するように5rpm〜15rpmの範囲で変えられる。
【0029】
また、絞りローラ21が、押付けローラ14上の多孔体層14aの両側部20から、消費に与らない余剰の水分を絞り取る。絞り取られた水は再び水舟16内に流下する。
【0030】
次いで、エアシリンダの作動でアーム15が回動し、押付けローラ14が鎖線位置から実線位置へと移動して拭き取り用シート4,18を印刷用紙3に押し付ける。これにより、印刷用紙3の表面は拭き取り用シート4,18で拭われ、該表面に付着した紙粉等の異物が吸着除去され、また適度な水分を与えられる。すなわち、拭き取り用シート4,18が押付けローラ14の多孔体層表面から吸収された水は該拭き取り用シート18の全幅に均等に浸透する。拭き取り用シート4,18の湿り具合がその幅方向で均一になることから、印刷用紙3が該拭き取り用シート4,18により擦られると紙粉等はむらなく除去され、また印刷用紙3はむらなく湿る。拭き取り用シート4,18又は印刷用紙3への給水量の調整は、押付けローラ14,14の回転量を変化させることにより行う。
【0031】
印刷用紙3をむらなく湿らせることは、印刷見当精度を高める点でも有意義である。すなわち、印刷用紙3である巻取用紙は、通常5%程度の含水率になっており、巻きほぐされていくにつれ、外気中の水分を吸収し、時間の経過と共に徐々に伸びる。また、オフセット印刷の場合、印刷部において例えば黒、赤、藍、黄の各色が順次刷り重ねられると、各色ユニットで湿し水が順次印刷用紙に付着し、上記外気中の水分の吸収と相俟って、印刷用紙3は徐々に伸びる。このため、色ズレを生じ印刷品質が低下する。本発明においては、印刷部に至る前に印刷用紙3に水を付着せしめ、予め印刷用紙3を平衡状態にすることができるので、印刷見当の狂いを防止することができる。
【0032】
拭き取り用シート4,18は、その染み込んだ水を介して印刷用紙3の表面の紙粉等を吸着する。紙粉等は水を含んで泥状になり、拭き取り用シート4,18の繊維又は網目に捕捉され、回収ロール6,6の方に運ばれ、回収される。
【0033】
紙粉等を除去された印刷用紙3は、印刷装置の印刷部に到達し、印刷される。
【0034】
なお、印刷の中断等により印刷用紙3のスピードが低下し又は停止した場合は、エアシリンダの作動により、押付けローラ14及び拭き取り用シート4,18が印刷用紙3の表面から引き離されると共に押付けローラ14の回転が止められる。これにより、水の供給が遮断され、印刷用紙の破断、拭き取り用シート4,18の湿し過ぎ等が防止される。
【0035】
印刷用紙3の片面にのみ印刷するような場合は、片方の押付けローラ14等のみを作動させることもできる。また、紙面拭き取り装置を一基のみ設けるようにすることもできる。
【0036】
実施の形態2
図4に示されるように、この被印刷材の拭き取り装置は、水17を貯留した器である水舟16と、該水舟16上で回転しその表面で水を運搬する元ローラ19と、該元ローラ19に接して回転しつつ表面の多孔体層14aで元ローラ19の表面から水を受け取り運搬する押付けローラ14と、上記押付けローラ14の多孔体層14aに接触して湿潤状態になり、該押付けローラ14による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材である印刷用紙3の表面に接触する拭き取り用シート4,18とを有している。
【0037】
元ローラ19は水舟16内の水に浸漬されている。元ローラ19の回転数は調整可能であり、印刷機の速度すなわち印刷速度、印刷用紙の紙質や乾燥状態等に応じて変えることができるようになっている。また、元ローラ19と押付けローラ14とのニップも変更可能であり、上記印刷速度等に応じて変えることができる。元ローラ19は親水性表面19aを有し、該表面19aは例えばゴム、クロムメッキ、硬質樹脂で形成されている。元ローラ19は押付けローラ14と同じ周速度で異方向に回転させてもよく、周速差を生じるよう同方向に回転させてもよい。押付けローラ14は元ローラ19に接して回転しつつその表面の多孔体層14aで元ローラ19の表面19a上の水を吸着する。
【0038】
このような構成の拭き取り装置において、元ローラ19が水舟16内で回転すると、水舟16内の水17は元ローラ19の表面上で一定の被膜となって押付けローラ14の表面へと運搬される。押付けローラ14へと運搬された水はその多孔体層14aに染み込んで押付けローラ14の幅方向上で均一な被膜となり、拭き取り用シート4,18に転移する。
【0039】
なお、この実施例において、実施例1におけると同様な構成部分については同一符号をもって示す。
【0040】
実施の形態3
図5に示されるように、この被印刷材の拭き取り装置は、水17を貯留する器である水舟16と、各水舟16上で回転しつつ親水性表面14bにより水を運搬する押付けローラ14と、水舟16内の水17を押付けローラ14の頂部へと補給する補給手段と、押付けローラ14の親水性表面14bに接触して湿潤状態になり、該押付けローラ14による押圧作用で走行中の連続状の被印刷材である印刷用紙3の表面に接触する拭き取り用シート4,18とを有する。
【0041】
押付けローラ14は、表面がクロムメッキで覆われることにより親水性が与えられている。親水性はクロムメッキに限らず、アルミニウム、ステンレススチール等によっても与えることができる。また、水舟16内の水17に印刷品質に支障のない低濃度のアルコ−ル、海面活性剤、アラビアゴム等を混入することによって押付けローラ14の表面14aの親水性を高めることができる。
【0042】
補給手段は、毛細管現象を利用してなるもので、不織布等の吸水性布22を押付けローラ14に巻き付けることで構成される。吸水性布22は押付けローラ14の回転方向に見て上手側の一端が水舟16内に漬けられると共に固定され、下手側の他端が押付けローラ14の頂部を少しばかり超した個所に至っている。吸水性布22としては毛細管現象に優れた織物、綿布、樹脂繊維等の布が用いられる。
【0043】
押付けローラ14の印刷用紙3への対応位置から外れた両側部20(図2及び図3参照)に付着する水は消費されず余剰水となるので、これを押付けローラ14上で除去するべく押付けローラ14の両側部20にドクターであるゴム等で出来たブレード23が設けられている。ブレード23に代えて実施の形態1,2におけるようなローラ21を設けてもよい。押付けローラ14の親水性表面14bの両側部20に付着した水はブレード23により掻き落とされる。
【0044】
このような構成の拭き取り装置において、押付けローラ14が水舟16内で回転すると、その親水性表面14bの上で水が均一皮膜を形成し、拭き取り用シート4,18に転移する。拭き取り用シート4,18は適度に湿った状態で印刷用紙3に押し付けられその表面から紙粉等を拭き取る。押付けローラ14は印刷速度に応じて回転数を変えられるが、印刷速度が高い場合に押付けローラ14の回転数を上げるとこれに接触する拭き取り用シート4,18が伸びてしまうおそれがある。しかし、この実施の形態では印刷速度の全範囲において押し付けローラ14の回転数を上げなくとも、吸水性布22からなる補給手段が水を押付けローラー14の表面14bに補給するので、水が不足することは回避される。例えば、印刷速度が200m/min〜600m/minであるとして、これに比例して押付けローラー14の回転数を上げようとする場合であっても例えば5rpm〜15rpm程度の範囲内で足りる。この補給手段によれば、水舟16内の水17が吸水性布22により吸い上げられ、押付けローラ14の頂部へと供給される。吸水性布22の先端は頂部を多少乗り越えているので、先端から滲み出る水は拭き取り用シート4,18の方へと流れ落ちる。
【0045】
なお、この実施例において、実施例1,2におけると同様な構成部分については同一符号をもって示した。
【0046】
【発明の効果】
請求項1,2に係る発明によれば、印刷速度の全範囲に亘り押付けローラの回転数を従来と同程度に維持し又は低減したとしても拭き取り用シートへの適正な供給水量を確保することができる。従って、拭き取り用シートに過度な伸びを生じることなく適正水量を拭き取り用シートに供給し、被印刷材から紙粉等を確実に除去することができる。
【0047】
請求項3に係る発明によれば、水の中に不純物が存在したり、押付けローラ表面に汚れが生じたり等しても、印刷速度の全範囲に亘り押付けローラの回転数を従来以上に増大することなく拭き取り用シートへの適正な供給水量を確保することができる。また、押付けローラ表面に汚れが生じたり等していない場合は、印刷速度の全範囲に亘り押付けローラの回転数を従来より低減しても拭き取り用シートへの適正な供給水量を確保することができる。従って、拭き取り用シートに過度な伸びを生じることなく適正水量を拭き取り用シートに供給し、被印刷材から紙粉等を確実に除去することができる。
【0048】
請求項1〜3に係る発明によれば、押付けローラの被印刷材への対応位置から外れた両側部からドクターが水を除去するので、被印刷材や拭き取り用シートの両端に過度に水が付着しないようにし、被印刷材や拭き取り用シートの変形、余剰水の周囲への飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る紙面拭き取り装置を示す概略側面図である。
【図2】ドクターを示す斜視図である。
【図3】図2中III−III線断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る紙面拭き取り装置を示す概略側面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る紙面拭き取り装置を示す概略側面図である。
【符号の説明】
3…印刷用紙
4,18…拭き取り用シート
14…押付けローラ
14a…多孔体層
14b…親水性表面
16…水舟
17…水
19…元ローラ
20…両側部
21…絞りローラ
22…吸水性布
23…ブレード

Claims (3)

  1. 水を貯留する器と、該器上で回転しつつ表面の多孔体層で水を吸収して運搬する押付けローラと、上記押付けローラの多孔体層に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラによる押圧作用で走行中の連続状の被印刷材の表面に接触する拭き取り用シートと、上記押付けローラの上記被印刷材への対応位置から外れた両側部から余剰の水を除去するドクターとを有したことを特徴とする被印刷材の拭き取り装置。
  2. 水を貯留する器と、該器上で回転しつつその表面で水を運搬する元ローラと、該元ローラに接して回転しつつ表面の多孔体層で元ローラの表面から水を受け取り運搬する押付けローラと、上記押付けローラの多孔体層に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラによる押圧作用で走行中の連続状の被印刷材の表面に接触する拭き取り用シートと、上記押付けローラの上記被印刷材への対応位置から外れた両側部から余剰の水を除去するドクターとを有したことを特徴とする被印刷材の拭き取り装置。
  3. 水を貯留する器と、該器上で回転しつつ親水性表面により水を運搬する押付けローラと、上記器内の水を上記押付けローラの頂部へと補給する補給手段と、上記押付けローラの親水性表面に接触して水を受け取ることにより湿潤状態になり、該押付けローラによる押圧作用で走行中の連続状の被印刷材の表面に接触する拭き取り用シートと、上記押付けローラの上記被印刷材への対応位置から外れた両側部から余剰の水を除去するドクターとを有したことを特徴とする被印刷材の拭き取り装置。
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