JP2948790B2 - クリーニング布への給水加湿方法 - Google Patents

クリーニング布への給水加湿方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリーニング布へ
の給水加湿方法に関し、詳しくは、印刷用紙紙粉除去装
置におけるクリーニング布への給水加湿方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来のクリーニング布への給水加
湿方法を適用した印刷用紙紙粉除去装置(以下、クリー
ニング装置という。)を示すものである(特開平7−2
56862号公報参照)。このクリーニング装置は、未
汚染の帯状のクリーニング布1を巻回した未汚染布巻回
ロール2と、該未汚染布巻取りロールからクリーニング
布1を繰出すための繰出しローラ3と、クリーニング布
1を挟む態様で繰出しローラ3に接する押えローラ4
と、未汚染布巻回ロール2から繰り出されるクリーニン
グ布1を走行中の印刷用紙5に当接させる水付けローラ
6と、該水付けローラを浸漬させる水7を溜めた水舟8
と、印刷用紙5に接触した後のクリーニング布1を巻取
る汚染布巻取りロール9と、該クリーニング布を汚染布
巻取りロール9へ案内するガイドローラ10とを備えた
構成となっている。上記クリーニング装置では、水付け
ローラ6が回転することによって水7がクリーニング布
1に転移され、該クリーニング布を印刷用紙5の表面に
当接させることによって、該印刷用紙表面の紙粉が取り
除かれる。
【0003】クリーニング布1としては、単位面積当た
りの印刷用紙5の表面に付着している紙粉等のその他の
汚染粒子の捕獲量を多くするため、保水適性のある不織
布を使用している。繰出しローラ3は、間欠回転して、
クリーニング布1を汚染布巻取りロール9の方へ少しず
つ送るようになっている。水付けローラ6は、繰出しロ
ーラ3とガイドローラ10との間に配設され、常時水舟
8内の水7に浸漬され、矢印方向に低速回転しつつ、ク
リーニング布1を印刷用紙5に押付ける。水付けローラ
6は、その回転によってその表面に形成した水被膜を通
じてクリーニング布1に給水加湿する。水付けローラ6
は、その回転数を変化させて、クリーニング布1への給
水量を増減させることができる。巻取りロール9は、図
示しないトルクリミターを介して図示しないモータによ
り常時巻取力を付与されている。
【0004】図7は同じく従来のクリーニング布への給
水加湿方法を適用したクリーニング装置の他の例を示す
ものである(特開平5−193112号公報参照)。な
お、説明の便宜上、図7において、図6に示した要素と
同一機能を有するものについては同一符号を付してい
る。このクリーニング装置は、ノズル21によって水を
クリーニング布1に噴霧して給水するようにしたもので
ある。なお、図7において、22は圧縮空気源、23は
圧縮空気源22から圧力空気が供給されることによって
クリーニング布1を印刷用紙5に押当てるダイヤフラム
である。
【0005】上記した両クリーニング装置のように、給
水加湿されたクリーニング布1を走行中の印刷用紙5に
接触させて、紙粉やその他汚染粒子を拭き取るタイプの
ものでは、クリーニング1布の印刷用紙5への接触面
は、該印刷用紙の幅方向全般に亘って、(1)平坦形状
で、且つ均一であること、(2)含水率が均一であるこ
と、の二点が必要条件である。ところで、クリーニング
布1として使用した不織布は、一般的に、水を与えると
伸びが生じ、且つ弾力性が著しく低下するので、上記し
た両クリーニング装置には次のような不具合があった。
【0006】すなわち、図6に示したクリーニング装置
では、水付けローラ6の表面を直接クリーニング布1に
接触させて水を供給すると、水付けローラ6とクリーニ
ング布1との間に摩擦力と接着力(水7を媒体とした接
着力)とが生じるため、クリーニング布1は水付けロー
ラ6の回転方向に引っ張られて局部的に伸びが生じる。
この伸び量は、図8および図9に示すように、クリーニ
ング布1の幅方向に均一でなく、中央部付近でとくに大
きくなる。このため、クリーニング布1に、印刷用紙5
の幅方向全般に亘って、平らかで、均一な接触面を形成
できなくなった。また、繰出しローラ3によって繰出さ
れたクリーニング布1を巻取りロール9により常時巻取
っていても、時間の経過と共に、該クリーニング布の中
央付近の伸び量とその端部付近の伸び量との差が累積さ
れるので、ついには該クリーニング布が水付けローラ6
に巻付いて巻込まれてゆき、短時間の内にクリーニング
機能が不能になる不具合が生じた。さらに、印刷用紙5
の表面の紙粉や汚染粒子等の異物の付着量に対するクリ
ーニング布1の繰出し量の不足やその他要因で、該クリ
ーニング布にこれらの異物を十分に取込みきれず、これ
らの異物が該クリーニング布の裏面にまで抜け出ること
もあった。このような場合には、水付けローラ6の表面
に異物が付着し、水舟8内の水7を汚染した。なお、同
図において、1aは、クリーニング布1の水付けローラ
6に最後まで接触している部分を示している。加えて、
当該クリーニング装置は、水付けローラ6の回転機構
と、大きな容積の水舟8を必要するので、装置が大型化
および重量化する不具合があった。
【0007】また、図7に示したクリーニング装置で
は、ノズル11から噴出させた水によりクリーニング布
1を給水加湿するので、該クリーニング布の含水率(湿
り具合)はその幅方向で不均一になり易かった。しか
も、クリーニング布1への水の供給量は、印刷用紙5の
走行速度の変化に応じて変える必要があるが、同クリー
ニング装置のようなノズル11を用いて給水加湿する方
式では、水の供給量の制御が極めて困難であった。さら
に、当該クリーニング装置は、多数のノズル11を配設
することを要するとともに、これらのノズル11に水を
供給する図示しない水タンク等を必要とすることから、
装置が大型化および重量化する不具合があった。
【0008】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
で、クリーニング布に常時確実に給水加湿することがで
きるとともに、クリーニング布を抜け出てきた異物によ
って水舟内の水が汚染されるのを防止することができ、
しかも、適用されるクリーニング装置の小型化および軽
量化を図ることができるクリーニング布への給水加湿方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、印刷用紙に押し当てられたクリーニン
グ布に水舟内の水を給水するクリーニング布への給水加
湿方法において、上記クリーニング布を上記印刷用紙に
押し当てる押当て手段と上記クリーニング布との間に給
水シートを介在設置し、該給水シートの一端を上記水舟
内の水に浸漬し、該給水シートの毛管現象を利用して上
記水舟内の水を上記クリーニング布に給水加湿するよう
にしている。
【0010】以下、本発明に係るクリーニング布への給
水加湿方法の一実施形態を添付図面を参照しながら詳細
に説明する。図1は、本発明に係るクリーニング布への
給水加湿方法を印刷用紙のクリーニング装置に適用した
第1の実施形態を示すものである。本実施形態における
クリーニング装置は、未汚染のクリーニング布31を巻
回した未汚染布巻回ロール32と、該未汚染布巻回ロー
ルから繰り出されるクリーニング布31を走行中の印刷
用紙33に押当てる押当てパイプ34と、該押当てパイ
プとクリーニング布31との間に介在設置した給水シー
ト35と、押当てパイプ34の上部に形成したスリット
36と、押当てパイプ34内に設けた水舟37と、印刷
用紙33に接触した後のクリーニング布31を巻取る汚
染布巻取りロール38とを備えている。
【0011】押当てパイプ34は、断面略円形状のパイ
プであり、クリーニング布31の未汚染布巻回ロール3
2から汚染布巻取りロール38に至る中間部に、該クリ
ーニング布を印刷用紙33に押し当てる態様で配置され
ている。押当てパイプ34は、クリーニング布31を走
行中の印刷用紙33に接触させたり離間させたりするた
め、シリンダ39によって前後動される。本実施態様で
は、押当てパイプ34の内部空間を水舟37とし、該押
当てパイプ内に直接水を入れるようにしている。これに
より、押当てパイプ34内部の水舟37内には、常時水
40が溜められている。水舟37内の水面の高さは、液
面センサ検出等により、可変できるようになっている。
当該クリーニング装置を長時間使用しない場合は、水舟
37内の水40は外部に排出される。
【0012】スリット36は、押当てパイプ34の長手
方法に全長に亘って形成されている。給水シート35の
一端は、押当てパイプ34内の下部に取付けられて、水
舟37内の水40内に浸漬されている。給水シート35
の他端は、押当てパイプ34のスリット36から該押当
てパイプの外部に出て、該押当てパイプの外周に巻付け
られて固定されている。給水シート35の含水率は、図
2に示すように、該給水シートを鉛直方向にまっすぐに
伸ばして、一端を水舟37の水40の中に浸漬し、他端
を上方で支持した場合、水面からの高さにより変化し、
水面に近づくほど高くなる。すなわち、同図において、
35c,35b,35aの順に、給水シート35の含水
率が高くなる。給水シート35としては、この含水率が
高いものが好ましく、例えば、木綿布、羊毛布、化繊
布、その他フェルト状のもの等の給水性および親水性の
ある布を適用することができる。
【0013】クリーニング布31としては、長尺帯状
で、幅寸法は印刷用紙33の幅よりも広い、保水適性の
ある不織布等を使用している。クリーニング布31は、
印刷用紙33に順次未汚染部が接触するように、未汚染
布巻回ロール32から汚染布巻取りロール38へ移送さ
れる。未汚染ロール32および汚染布巻取りロール38
は、図示しないモータによって回転駆動される。なお、
未汚染布巻回ロール32からクリーニング布31を繰出
すための繰出しローラと、クリーニング布31を挟む態
様で該繰出しローラに接する押えローラと、クリーニン
グ布31を汚染布巻取りロール38へ案内するガイドロ
ーラは、特に図示していないが、必要に応じて適宜設置
すれば良い(図6参照)。
【0014】次に、本実施形態におけるクリーニング装
置の作用について説明し、併せてその構成をより明らか
にする。すなわち、上記クリーニング装置では、水舟3
7内の水40は、給水シート35の毛細管現象により吸
い上げられて、該給水シートに接触しているクリーニン
グ布31に転移される。これにより、クリーニング布1
は、給水加湿された状態となり、走行中の印刷用紙33
の表面に当接することにより、該印刷用紙の表面の紙粉
や汚染物等の異物を拭き取りつつ除去する。なお、本実
施形態では、給水シート35による給水量のコントロー
ルは、次のようにして行うことができる。 (イ)基準量の増減は、給水シート35の重ね枚数、給
水シート35の厚さ、給水シート35の材質等の選択で
行なう。 (ロ)給水量の微調整は、給水ポイントと水舟37内の
水40との液面の高さを変化させる。
【0015】本実施形態では、給水シート34の毛細管
現象を利用して押当てパイプ34内の水40を吸い上げ
て、クリーニング布に給水加湿する機構としているの
で、従来用いていた水付けローラとその回転機構が不要
になり、装置の小型化、シンプル化および軽量化が可能
である。また、従来のように、水付けローラによってク
リーニング布を物理的外力で変形させることも無くなる
ため、クリーニング布31の幅方向全般に亘って、良好
なクリーニング面を形成することができる。
【0016】図3は、本発明に係るクリーニング布への
給水加湿方法を適用したクリーニング装置の第2の実施
形態を示している。同クリーニング装置は、ピンチロー
ル41,42を用いて給水シート35の給水量を調整す
るようにしたものである。すなわち、同クリーニング装
置は、押当てパイプ34の上部に幅広にスリット43を
形成し、該スリット内にピンチロール41,42を配設
し、ピンチロール41,42間で給水シート35の途中
を挟んだ構成となっており、ピンチロール41,42間
の圧縮力を変化させることによって、給水シート35に
よる給水量を微調整することができる。
【0017】図4は、本発明に係るクリーニング布への
給水加湿方法を適用したクリーニング装置の第3の実施
形態を示している。同クリーニング装置は、押当てパイ
プ34のスリット36を側部に形成し、略水平方向に移
動する印刷用紙33にその下方からクリーニング布31
を押し当てるように構成したものである。同クリーニン
グ装置では、押当てパイプ35を回動させてそのスリッ
ト36の水面からの高さを変化させることにより、クリ
ーニング布31への給水量を調整することができる。
【0018】図5は、本発明に係るクリーニング布への
給水加湿方法を適用したクリーニング装置の第4の実施
形態を示している。同クリーニング装置は、給水シート
35に供給する水40を溜めておく水舟44を、押当て
パイプ34とは別に設けたものである。同クリーニング
装置は、さらに、図3に示したものと同様に、水舟44
の上方においてピンチロール41,42間で給水シート
35の途中を挟んだ構成となっている。同クリーニング
装置では、ピンチロール41,42間の圧縮力を変化さ
せることによって、給水シート35による給水量を微調
整することができる。なお、当該装置の押当てパイプ3
4には、スリットを形成していない。同図において、4
5は未汚染布巻回ロール32からクリーニング布31を
繰出すための繰出しローラ、46はクリーニング布31
を挟む態様で該繰出しローラに接する押えローラ、47
はクリーニング布31を汚染布巻取りロール38へ案内
するガイドローラである。
【0019】なお、上記実施態様では、押当てパイプと
して断面略円形状のパイプを採用したが、本発明はこれ
に限らず、断面多角形状のものでももちろん良く、要は
筒状のものであればいかなる形状のものでも良い。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るクリ
ーニング布への給水加湿方法によれば、印刷用紙に押し
当てられたクリーニング布に水舟内の水を給水するクリ
ーニング布への給水加湿方法において、上記クリーニン
グ布を上記印刷用紙に押し当てる押当て手段と上記クリ
ーニング布との間に給水シートを介在設置し、該給水シ
ートの一端を上記水舟内の水に浸漬し、該給水シートの
毛管現象を利用して上記水舟内の水を上記クリーニング
布に給水加湿するようにしているので、従来のように、
上記クリーニング布が水付けローラによって引っ張られ
て、そのクリーニング機能が不能になることも無くな
る。したがって、上記クリーニング布の幅方向全般に亘
って、良好なクリーニング面を形成することができ、上
記印刷用紙上の異物を常時良好に払拭することができ
る。
【0021】また、本発明では、上記給水シートの毛管
現象を利用して上記水舟内の水を上記クリーニング布に
給水加湿するように構成するとともに、上記押当て手段
を上記クリーニング布を上記印刷用紙に押し当てる押当
てパイプとしているので、従来用いていた水付けロー
ラ,水付けローラの回転機構および大型の水舟等が不要
になり、装置の小型化、シンプル化および軽量化が可能
である。さらに、本発明では、上記押当てパイプの上部
に上記給水シートを通すスリットを形成し、上記水舟を
上記押当てパイプ内に設けた構成としているので、クリ
ーニング装置のより一層の小型化および軽量化を容易に
図ることができる。
【0022】さらにまた、本発明では、従来用いていた
水付けローラとその周辺装置が不要になったことによ
り、仮に上記印刷用紙上の異物がクリーニング布を抜け
出ても、その抜け出て来た異物が水舟内の水を汚染する
ことも無くなり、しかも、上記給水シートを上記押当て
パイプの必要な面に巻くことにより、印刷用紙がいずれ
の方向に走行する場合でも、その印刷用紙のクリーニン
グに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクリーニング布への給水加湿方法
を適用したクリーニング装置の第1の実施形態を概念的
に示す図である。
【図2】図1に示したクリーニング装置における給水シ
ートの毛管現象を説明するための図である。
【図3】本発明に係るクリーニング布への給水加湿方法
を適用したクリーニング装置の第2の実施形態を概念的
に示す図である。
【図4】本発明に係るクリーニング布への給水加湿方法
を適用したクリーニング装置の第3の実施形態を概念的
に示す図である。
【図5】本発明に係るクリーニング布への給水加湿方法
を適用したクリーニング装置の第4の実施形態を概念的
に示す図である。
【図6】従来のクリーニング布への給水加湿方法を適用
したクリーニング装置の一例を概念的に示す図である。
【図7】従来のクリーニング布への給水加湿方法を適用
したクリーニング装置の他の例を概念的に示す図であ
る。
【図8】従来のクリーニング布への給水加湿方法を適用
したクリーニング装置において、クリーニング布が局部
的に水付けローラに引っ張られている様子を示す斜視図
である。
【図9】図8におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
31 クリーニング布 32 未汚染布巻回ロール 33 印刷用紙 34 押当てパイプ 35 給水シート 36 スリット 37,44 水舟 38 汚染布巻取りロール 39 シリンダ 40 水 41,42 ピンチローラ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷用紙に押し当てられたクリーニング
    布に水舟内の水を給水するクリーニング布への給水加湿
    方法において、上記クリーニング布を上記印刷用紙に押
    し当てる押当て手段と上記クリーニング布との間に給水
    シートを介在設置し、該給水シートの一端を上記水舟内
    の水に浸漬し、該給水シートの毛管現象を利用して上記
    水舟内の水を上記クリーニング布に給水することを特徴
    とするクリーニング布への給水加湿方法。
  2. 【請求項2】 上記押当て手段が上記クリーニング布を
    上記印刷用紙に押し当てる押当てパイプであることを特
    徴とする請求項1に記載のクリーニング布への給水加湿
    方法。
  3. 【請求項3】 上記押当てパイプの上部に上記給水シー
    トを通すスリットを形成し、上記水舟を上記押当てパイ
    プ内に設けたことを特徴とする請求項2に記載のクリー
    ニング布への給水加湿方法。
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