JP3898597B2 - 偏光子および偏光子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は偏光子に関し、特に光アイソレータや光サーキュレータ、光アッテネータ、半導体レーザの偏波制御などに用いられる近赤外の透過型偏光子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信技術の発展とともに、例えば半導体レーザの信頼性向上のため、半導体レーザチップへの戻り光を遮断するための光アイソレータが使用される。この光アイソレータは、1つの偏波成分を通過させ、それと直交する偏波成分は遮断する偏光子、偏波を非相反に回転させるファラデー回転子よりなる。
【0003】
従来、前記偏光子としては、例えばアルミノホウ珪酸ガラス表面層に細長い銀粒子を配向させた偏光ガラス(例えば米国特許第6,221,480号、日本国特許第2,885,655号)が用いられている。これらのものは、光を遮断する消光性能が50dB程度と極めて高く、透過方向の光の挿入損失が無反射コートをすると0.1dB未満と低損失である。しかし、一方でこのような偏光ガラスから成る偏光子は高価であり、このような偏光ガラスを用いる光アイソレータ等の製品も高価となるという問題がある。
【0004】
また、他の偏光子として金属グリッドを基板上に配列させるグリッド偏光子が有る。例えば、米国特許第4,049,944号、第4,289,381号、第5,748,368号には、半導体パターン形成技術を使用した偏光子が開示されている。
【0005】
米国特許第4,049,944号では、(i)レジストを塗布、(ii)干渉パターンを露光し選択域のレジストを除去、(iii)イオンビームで部分エッチングする、以上の工程を含むウエーハの表面形状をコントロールするプロセスが開示されている。
米国特許第4,289,381号では(i)金属層を形成し、(ii)フォトリソにより金属グリッドを形成、(iii)その上に絶縁層形成、(iv)第2の金属層形成、(v)無反射コート形成、(vi)フォトリソにより第2の金属グリッドを形成する薄膜偏光子の製造方法が開示されている。
【0006】
また、米国特許第5,748,368号には、波長0.4〜1.0μmの光を入射光として、基板上に形成される複数の金属グリッドの断面形状が、0.2<h/d<0.9、0.5<b/d<0.9、70°<s<100°(hは金属の厚み、bは金属グリッド厚みの中点での金属グリッド幅、dは金属グリッドの周期、sは基板と金属グリッド側面の角度)を満たす偏光光学素子が開示されている。
【0007】
また、Optics Letters March 15,1997/Vol.22 No.6 pp.416-421(H.Tamada et.al)には石英基板にE−B(電子ビーム)直接描画及びリフトオフ法により形成されたAlワイヤーグリッド偏光子が示されている。この公知例には、Alグリッドと空隙の幅の合計が0.39μmでAlグリッドの高さが268.3nmであるAlワイヤーグリッド偏光子は、波長0.78μmで、一例としてグリッドに対し垂直な偏波を入射した時、すなわちS偏光の透過率Tsが80%(ロス1dB)、S偏光とP偏光の比Ts/Tp=30(逆方向ロス14.8dB)が得られていることが示されている(同文献p.420)。
これらのグリッド偏光子は、偏光機能を有するものの消光性能が上記偏光ガラスにくらべ劣り、光挿入損失がやや大きいという問題がある。
【0008】
また、米国特許第5,772,905号には200nm以下のピッチを持つモールドを基板上のフィルムに押し付けてパターンを転写し、転写後、膜の薄くなった部分を除去するプロセスを含むリソグラフィー法が開示されている。同特許の図7の図説で100nm幅で膜厚Ti5nm,Au15nmがリフトオフにより形成されており、この時基板上に形成された金属グリッドの幅と高さの比(金属幅/高さ)が0.25である公知例が開示されている。
【0009】
この技術を用いれば、上記の様なグリッド周期が短く、金属グリッドの幅に比べて高さが高い金属グリッドを作製し、偏光子の消光性能、挿入損失を向上させることができると考えられる。しかし、この方法では、例えば6インチ以上の大面積で金属グリッドを形成することは難しく、偏光子の生産性が低くなる欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、前述した従来技術の問題点を解決して、消光性能が優れ、挿入損失が小さい安価な透過型偏光子を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、透過型偏光子であって、少なくとも、基板上に周期pが0.3μm以下で溝が線状に形成され、該溝の深さhは溝の幅wに対しh>wであり、前記溝にAu、Ag、Cu、Ta、Al、Cr、Moから選択される金属もしくはこれらの金属を含む複合金属が埋め込まれているものであることを特徴とする透過型偏光子である。
【0012】
このような本発明の偏光子は、消光性能が優れ、挿入損失が小さな偏光子となる。さらに、本発明の偏光子は、いわゆるダマシンプロセスを含む製造方法により、簡単かつ低コストで製造することができるため、極めて安価なものとすることができる。
【0013】
この場合、前記溝の幅wが0.15μm以下であることが好ましい。
このように金属が埋め込まれた溝の幅wが0.15μm以下であれば、透過する光の損失が小さいものとなる。
【0014】
また、前記基板上には、前記線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝が形成されていることが好ましい。
このように前記線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝があれば、偏光子の消光性能は維持されたままで、透過モードの偏光子のロスが低減されたものとなる。
【0015】
また、前記基板はSiO2から成るものとすることが好ましい。
SiO2は光学的特性、および物理的・化学的安定性に優れているため、偏光子の基板材料として好ましいからである。
【0016】
そして、本発明の偏光子は、近赤外用の透過形偏光子とすることができる。
本発明の偏光子は、容易にグリッドの周期を短くすることができるため、例えば波長の短い近赤外用の透過形偏光子として特に適したものとなる。
【0017】
さらに本発明は、光アイソレータであって、本発明の偏光子を少なくとも1つ用いて成ることを特徴とする光アイソレータである。
前述のように、本発明の偏光子は消光性能に優れ、挿入損失が小さいため、これを用いて成る光アイソレータも高性能のものとすることができる。さらに、本発明の偏光子は安価なものであるため、それを用いて成る光アイソレータも安価なものとすることができる。
【0018】
また本発明は、透過型偏光子の製造方法であって、少なくとも、基板上に周期pが0.3μm以下で溝を線状に形成し、この時該溝の深さhを溝の幅wに対しh>wとし、前記基板上にAu、Ag、Cu、Ta、Al、Cr、Moから選択される金属もしくはこれらの金属を含む複合金属を形成して前記溝に金属を埋め込み、前記溝よりはみ出した金属を除去することを特徴とする透過型偏光子の製造方法である。
【0019】
このように本発明の製造方法は、いわゆるダマシンプロセスを含む工程により偏光子を製造する。そのため、従来のリフトオフ法等に比べて、幅が狭く、金属グリッドの幅と高さの比が小さい金属グリッドを簡単に作製することができ、消光性能、挿入損失に優れた偏光子を低コストで製造することができる。さらに、この方法によれば、例えば6インチ以上の大面積基板を用いて一度に大量の偏光子の作製ができるため、偏光子製造の生産性を向上させることができる。
【0020】
この場合、前記基板に形成する溝は、溝の幅wを0.15μm以下とすることが好ましい。
このような溝の幅wとすることにより、透過する光の損失を小さくすることができる。
【0021】
この場合、前記基板上に溝を形成する際に、前記線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝を形成することが好ましい。
このように、線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝を形成することにより、消光性能を維持したまま偏光子のロスを低減することができる。
【0022】
また、前記基板にはSiO2から成る基板を用いることが好ましい。
このように基板としてSiO2から成る基板を用いれば、SiO2は光学特性、および物理的・化学的安定性にすぐれているため、高品質の偏光子を簡単に製造することができる。
【0023】
また、前記溝よりはみ出した金属の除去は研磨により行うことが好ましい。
研磨であれば、溝からはみ出した金属を容易に除去できるし、除去後の形状もきわめて高精度のものとすることができる。
【0024】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、ダマシンプロセスを含む工程により作製された偏光子が、消光性能が優れ、挿入損失が小さい安価な近赤外用の偏光子を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
【0025】
前述したように、従来は、リソグラフィ法によりパターンを形成した後、リフトオフ法により金属グリッドを形成する方法等により、透過型グリッド偏光子は製造されていた。しかし、このような方法は、グリッド幅を狭くし、グリッド幅に比べてグリッドの高さを高くして、消光性能に優れた偏光子を低コストで生産することが難しかった。
【0026】
そこで、本発明者は、偏光子の金属グリッドの形成にダマシンプロセスを応用することを発想した。ダマシンプロセスは、基板上に作られた溝や穿孔等の凹部を金属で埋め、次に、溝や穿孔からはみ出した余分な金属を研磨等により除去する方法である。余分な金属を除去した後には、基板上に金属配線が、基板上に作られた型と同じ形のまま残ることになる。このような方法であれば、AuやCuのような軟らかい金属であっても、簡単にグリッド幅が狭く、グリッド幅に比べてグリッドの高さが高い(溝が深い)グリッド構造を形成することができる。
本発明はこのような基本思想に基づき、諸条件を検討の結果、完成したものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に関わる偏光子の製造方法のフローを図2に示す。まず、例えばSiO2基板1上にX線リソグラフィー法及び反応性イオンビームエッチング等により線状に周期pが0.08μm〜0.3μmの溝2を形成する(a)。
【0028】
溝2の周期pを0.3μm以下とするのは、周期pを近赤外域の波長よりも短くして光の回折効果を抑え、消光性能を向上させるためである。この場合、周期pが0.3μmより長いと偏光性能が劣化する。そのため、周期pはできるだけ短くすることが望ましいが、周期pを0.08μmより短くすることは、溝の加工が現段階では難しい。さらに、この溝2の深さhは、溝の幅wより大きく設定する。このようにすることにより消光性能が優れた偏光子となる。
【0029】
また、この溝2の幅wは0.03〜0.15μmとする。溝の幅wを0.15μm以下とすることにより、透過する光の損失を小さくできる。そのため、溝の幅wもできるだけ狭くすることが望ましいが、溝の幅wを0.03μmより短くすることは現段階では加工が難しい。
【0030】
次に溝加工した基板1上にスパッタ、もしくは蒸着法等によりAu、Ag、Cu、Ta、Al、Cr、Moから選択される金属もしくはこれらの金属を含む複合金属を形成して、溝2に前記金属3を埋め込む(b)。次いで該溝2よりはみ出した金属3を研磨等により除去する(c)。
【0031】
溝2に前記金属3を埋め込む他の方法としては、例えば前記金属の微粒子を分散させたペーストを溝加工した基板1に塗布し、熱処理して有機物成分を揮発させるなどの方法でも良い。あるいは、スパッタ等により金属3を堆積させた基板1を400℃程度の温度に加熱し、金属付き基板1の上面を均一にプレスして、溝2に金属3を埋め込んでもよい。
【0032】
以上のようなダマシンプロセスにより金属を埋め込んだ基板の両面に無反射コート4を例えば蒸着法により形成し(d)、基板をチップに切断して本発明による近赤外用の偏光子10を得ることが出来る(e)。上記ダマシンプロセスでは、6インチ以上の大面積の基板であっても容易に金属グリッドを形成することができるため、1枚の基板当りに製造できる偏光子は多く、偏光子を高生産性、低コストで製造することができる。
【0033】
図1(a)に示すように、このようにして製造された本発明の偏光子10は、基板1上の線状の溝2に金属グリッドが形成されたものとなる。この本発明の偏光子10は、基本的にはグリッド偏光子として機能するが、波長に対して溝2の周期を短くしたため光の回折効果を抑えることができ、この溝2の深さhは、幅wより大きく設定したことで消光性能が優れた透過型の偏光子を簡便に構成できる。さらにこの場合、金属を埋め込む溝2の幅wが0.15μm以下であることより透過する光の損失を小さくすることが出来る。
【0034】
また、図1(b)に示す偏光子100のように、前記基板上に溝を線状に形成する際には、前記線状の溝2の直交方向にも1μm以上の周期で溝20をもたせることで消光性能を維持したまま偏光子の透過モードのロスを低減することができる。ここで、前記溝20の周期が1μmより小さい場合、消光性能が急激に劣化するため好ましくなく、この溝20の周期は1μm以上とする。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
6インチのSiO2基板の表面にX線リソグラフィーによりレジストパターンを形成し、反応性イオンビームエッチングにより線状に周期pが0.2μmの溝加工を施した。この溝は幅wが0.1μm、深さhが0.2μmとなるよう加工した。
【0036】
次にスパッタ法により下地としてCrを100Å堆積させ、その後Auを1μm堆積させ、溝内部にAuを埋め込んだ。次に基板の溝上部にはみ出している金属を研磨により除去し、光学面を形成した。
【0037】
次に、Ti3O5及びSiO2からなる5層の無反射コーティングを前記基板の両面に施した。次に、この6インチ基板を前記線状の溝と平行及び垂直な方向に切断して60枚の15mm角形状の偏光子を得た。この基板の前記溝の断面を電子顕微鏡で観察したところ前記溝にAuが均等に埋め込まれていた。
【0038】
この偏光子の消光比と挿入損失を測定したところ、例えば波長1550nmで減衰モードの挿入損失は43dBと大きく、これと直交する偏波を偏光子に入射したときの透過モードの挿入損失は0.1dB以下と小さかった。また、この偏光子の消光性能の波長依存性を測定したところ、図3に示すように、波長1300nm〜1650nmの広い波長域において消光比約40dB,ロス0.1dBと高消光比でロスが小さな透過型の偏光子が作製できた。
【0039】
(実施例2)
6インチのSiO2基板の表面にX線リソグラフィーによりレジストパターンを形成し、反応性イオンビームエッチングにより線状に周期pが0.2μmの溝加工を施した。この溝は幅wが0.1μm、深さhが0.2μmとなるよう加工した。
【0040】
次に、基板上にスパッタ法により下地としてCrを100Å堆積させ、その後Auを1μm堆積させ、前記Auを堆積させた基板を400℃に加熱してAu付き基板の上面を均一に機械的にプレスし、溝内部にAuを埋め込んだ。次に基板の溝上部にはみ出している金属を研磨により除去し、光学面を形成した。
【0041】
次に、実施例1と同様にしてTi3O5及びSiO2からなる5層の無反射コーティングを前記基板の両面に施した。次に、この6インチ基板を前記の線状の溝と平行及び垂直な方向に切断して60枚の15mm角形状の偏光子を得た。この基板の前記溝の断面を電子顕微鏡で観察したところ前記溝にAuが均等に埋め込まれていた。
【0042】
この偏光子の消光比と挿入損失を測定したところ、例えば波長1550nmで減衰モードの挿入損失は44dBと大きく、これと直交する偏波を偏光子に入射したときの透過モードの挿入損失は0.1dB以下と小さかった。
【0043】
(実施例3)
6インチのSiO2基板の表面にX線リソグラフィーおよび反応性イオンビームエッチングにより線状に周期pが0.2μmの溝加工を施した。この溝は幅wが0.1μm、深さhが0.2μmとなるよう加工した。この実施例3では、上記周期pが0.2μmである線状の溝の直交方向にも2.5μmの周期で0.5μmの幅の溝を形成した。すなわち、上記周期pが0.2μmである線状の溝の間にある凸部は、長手方向に周期2.5μm毎に、2μmの長さは凸で残りの0.5μmは溝と同様の深さにした形状とした。それ以外は実施例1と同様に偏光子を作製した。この偏光子の特性を評価したところ消光比は実施例1と同様で、透過モードのロスは0.08dBと実施例1に比べ低減されていた。
【0044】
(実施例4)
6インチのSiO2基板の表面にX線リソグラフィーおよび反応性イオンビームエッチングにより線状に周期pが0.2μmの溝加工を施した。この溝は幅wが0.1μm、深さhが0.2μmとなるよう加工した。
【0045】
次に基板上にスパッタ法によりTaを1μm堆積させた。前記Taを堆積させた基板を400℃に加熱してTa付き基板の上面を均一に機械的にプレスし、溝内部にTaを埋め込んだ。次に基板の溝上部にはみ出している金属を研磨により除去し、光学面を形成した。
【0046】
次に、Ti3O5及びSiO2からなる5層の無反射コーティングを前記基板の両面に施した。次に、この6インチ基板を15mm角に切断して、15mm角の偏光子を60枚得た。この基板の前記溝の断面を電子顕微鏡で観察したところ前記溝にTaが均等に埋め込まれていた。
【0047】
この偏光子の消光比と挿入損失を測定したところ、例えば波長1550nmで減衰モードの挿入損失は40dBと大きく、これと直交する偏波を偏光子に入射したときの透過モードの挿入損失は0.15dB以下と小さかった。
【0048】
(実施例5)
6インチのSiO2基板の表面にX線リソグラフィーおよび反応性イオンビームエッチングにより線状に周期pが0.2μmの溝加工を施した。この溝は幅wが0.1μm、深さhが0.2μmとなるよう加工した。
【0049】
次に蒸着法によりAlを1μm堆積させた。前記Alを堆積させた基板を400℃に加熱してAl付き基板の上面を均一に機械的にプレスし、溝内部にAlを埋め込んだ。次に基板の溝上部にはみ出している金属を研磨により除去し、光学面を形成した。
【0050】
次に、Ti3O5及びSiO2からなる5層の無反射コーティングを前記基板の両面に施した。次に、この6インチ基板を15mm角に切断して、15mm角の偏光子を60枚得た。この基板の前記溝の断面を電子顕微鏡で観察したところ前記溝にAlが均等に埋め込まれていた。
【0051】
この偏光子の消光比と挿入損失を測定したところ、例えば波長1550nmで減衰モードの挿入損失は45dBと大きく、これと直交する偏波を偏光子に入射したときの透過モードの挿入損失は0.15dB以下と小さかった。
【0052】
(実施例6)
実施例1で作製した15mm角の第1の偏光子、及び実施例1と同じ方法で作製した6インチ偏光子基板の線状の溝に対して±45°ずれた方向に切断して得た15mm角形状の第2の偏光子、及び波長1550nmでファラデー回転角が45degとなるよう膜厚が調整された15mm角のファラデー回転子を各々切り出した面を揃える様にして貼り合わせた。貼り合わせにはシリコーン製接着剤を用いた。次に、第1の偏光子、ファラデー回転子及び第2の偏光子を貼り合わせた15mm角の光学素子を0.6mm角に切断し440ヶの光学素子チップを得た。この光学素子チップを円筒型のマグネット内に入れ光アイソレータを構成した。この光アイソレータ全てについて波長1550nmにおいて順方向の挿入損失と逆方向の挿入損失を評価したところ、それぞれ0.25dB、及び40dBであり、良好な値が得られた。
【0053】
(比較例)
従来法である、リフトオフ法により基板上に金属グリッドを形成し、偏光子を作製した。まず、6インチのSiO2基板の表面にレジストを塗布した。次にE−B(電子ビーム)直接描画法により、線状に周期が0.6μm、グリッド幅が0.3μmのレジストパターンを形成した。その上に電子ビーム蒸着機によりCrを10nm蒸着し、その後Auを90nm蒸着して合計で高さが0.1μmのグリッドを形成した。その後、基板をレジスト剥離液中に漬してレジスト及びレジスト上の金属を除去した。
【0054】
次に、Ti3O5及びSiO2からなる5層の無反射コーティングを前記基板の両面に施した。次に、この6インチ基板を15mm角に切断して、15mm角の偏光子を60枚得た。
【0055】
この偏光子の消光比と挿入損失を測定したところ、例えば波長1550nmで減衰モードの挿入損失は15dBと小さく、これと直交する偏波を偏光子に入射したときの透過モードの挿入損失は0.3dBと大きかった。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による偏光子は特に近赤外の透過型偏光子として、光アイソレータ等の光学部品で必要とされる30dB以上の消光性能が得られ、かつ挿入損失が0.15dB以下と光学部品として充分小さく、なおかつ例えば6インチ(150mm)以上の大面積基板を用いて一括して偏光子を作製出来ることから安価な偏光子が得られる。また、この偏光子を用いた光アイソレータは、従来と同等以上の特性を示したことより、この偏光子を用いる光アイソレータ等の光学部品を高品質かつ低価格で提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光子の概略図であり、(a)は本発明の偏光子の一例を示す概略図であり、(b)は本発明の偏光子の別の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の偏光子の製造方法の一例を示すフロー図である。
【図3】本発明の偏光子の特性を示す図である。
【符号の説明】
1…基板、 2…溝、 3…金属、 4…無反射コート、
20…溝、
10,100…偏光子。
Claims (9)
- 透過型偏光子であって、少なくとも、基板上に周期pが0.3μm以下で溝が線状に形成され、該溝の深さhは溝の幅wに対しh>wであり、前記線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝が形成され、前記溝にAu、Ag、Cu、Ta、Al、Cr、Moから選択される金属もしくはこれらの金属を含む複合金属が埋め込まれているものであることを特徴とする透過型偏光子。
- 請求項1に記載の偏光子であって、前記溝の幅wが0.15μm以下であることを特徴とする偏光子。
- 請求項1または請求項2に記載の偏光子であって、前記基板はSiO2から成ることを特徴とする偏光子。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の偏光子であって、近赤外用の透過形偏光子であることを特徴とする偏光子。
- 光アイソレータであって、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の偏光子を少なくとも1つ用いて成ることを特徴とする光アイソレータ。
- 透過型偏光子の製造方法であって、少なくとも、基板上に周期pが0.3μm以下で溝を線状に形成し、この時該溝の深さhを溝の幅wに対しh>wとし、また、前記線状の溝の直交方向にも1μm以上の周期で溝を形成し、前記基板上にAu、Ag、Cu、Ta、Al、Cr、Moから選択される金属もしくはこれらの金属を含む複合金属を形成して前記溝に金属を埋め込み、前記溝よりはみ出した金属を除去することを特徴とする透過型偏光子の製造方法。
- 請求項6に記載の偏光子の製造方法であって、前記基板に形成する溝は、溝の幅wを0.15μm以下とすることを特徴とする偏光子の製造方法。
- 請求項6または請求項7に記載の偏光子の製造方法であって、前記基板にはSiO2から成る基板を用いることを特徴とする偏光子の製造方法。
- 請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の偏光子の製造方法であって、前記溝よりはみ出した金属の除去は研磨により行うことを特徴とする偏光子の製造方法。
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