JP3897996B2 - 合成樹脂製パレット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷物が載置される載置部の下面に、複数の脚部が形成されている片面使用の合成樹脂製パレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、載置部の下面の4つの角部に形成された、複数の上方が開放され、且つ、有底なコップ状の脚部からなる隅部脚部群と、隅部脚部群の中間に形成された、同じく複数のコップ状の脚部からなる中間部脚部群と、載置部の下面の中央部に形成された、同じく複数のコップ状の脚部からなる中央部脚部群とを有し、隅部脚部群と中間部脚部群との間及び中間部脚部群と中央部脚部群との間に、フォーク挿入空間が形成されている合成樹脂製パレットが知られている(例えば、特許第2886822号公報、特開平6−329156号公報等)。
【0003】
上述した合成樹脂製パレットは、上に位置する合成樹脂製パレットと、下に位置する合成樹脂製パレットとを、同じ向きに配置した場合には、下に位置する合成樹脂製パレットの上方が開放され、且つ、有底なコップ状の脚部に、上に位置する合成樹脂製パレットの脚部の略全部が挿入され、複数の合成樹脂製パレットを、高さの低いコンパクトな状態に積み重ねることができ、また、上に位置する合成樹脂製パレットを、平面的に、180度回転させると、上に位置する合成樹脂製パレットの脚部の一部が、下に位置する合成樹脂製パレットの脚部に挿入されて、上に位置する合成樹脂製パレットと下に位置する合成樹脂製パレットとの間に、フォークが挿入可能な間隙が形成されるように構成されている。
【0004】
なお、以下においては、上述したような、上に位置する合成樹脂製パレットの脚部の略全部が、下に位置する合成樹脂製パレットの脚部に挿入されるような積み重ねを、フルネスティングと称し、また、上に位置する合成樹脂製パレットの脚部の一部が、下に位置する合成樹脂製パレットの脚部に挿入されて、上に位置する合成樹脂製パレットと下に位置する合成樹脂製パレットとの間に、フォークが挿入可能な間隙が形成されるような積み重ねを、ハーフネスティングと称する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の合成樹脂製パレットにおいては、隅部脚部群、中間部脚部群及び中央部脚部群をそれぞれ構成する有底なコップ状の脚部間に間隙が存在するために、合成樹脂製パレットを、ローラーコンベヤーからなるラインに載置して搬送する際に、ローラーコンベヤーを構成するローラーが、脚部間に入り込み、合成樹脂製パレットがライン上で停止したり、或いは、合成樹脂製パレットに上下方向のガタツキが発生し、ライン上での走行安定性が悪いという問題があった。
【0006】
また、上述したフルネスティング及びハーフネスティングが可能な従来の合成樹脂製パレットにおいては、フルネスティング及びハーフネスティングした際に、上に位置する合成樹脂製パレットの下に位置する合成樹脂製パレットに対する水平方向の移動量が大きく、従って、安定した状態で、多数の合成樹脂製パレットをフルネスティング及びハーフネスティングすることができないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の合成樹脂製パレットが有する課題を解決するとともに、取り扱い性の優れた合成樹脂製パレットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、載置部の4つの角部に形成された、複数の脚部からなる隅部脚部群と、載置部の短辺側に位置する隅部脚部群の中間に形成された、1個の脚部からなる中間部脚部と、載置部の長辺側に位置する隅部脚部群の中間に形成された、複数の脚部からなる中間部脚部群と、載置部の中央部に形成された、複数の脚部からなる中央部脚部群とを有する合成樹脂製パレットであって、前記隅部脚部群が、載置部の長辺側に配置された1個の脚部と中間部脚部側に配置された1個の脚部とから構成されているとともに、脚部の長側壁が、共に、載置部の長辺と略平行になるように配置されており、また、前記中間部脚部群が、載置部の長辺側に配置された複数の脚部と中央部脚部群側に配置された複数の脚部とから構成されているとともに、前記載置部の長辺側に配置された脚部の長側壁が、全て、載置部の長辺と略平行になるように配置されており、且つ、前記中央部脚部群側に配置された脚部を、載置部の長辺側から見て、前記載置部の長辺側に配置された脚部に跨がるように配置することにより、合成樹脂製パレットを、載置部の長辺方向に沿ってライン走行させた際に、複数の脚部からなる隅部脚部群及び中間部脚部群には、ライン走行方向に対して直角な方向から見て、直線的な間隙が存在しないように構成されており、更に、前記中央部脚部群を構成する複数の脚部の長側壁を、全て、載置部の長辺と略平行になるように配置したものである。
【0009】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0010】
1は、荷物載置面を形成する平面形状が方形状の板状の載置部であり、2は、板状の載置部1の4つの角部に形成された隅部脚部群である。隅部脚部群2の中間には、それぞれ、中間部脚部3’及び中間部脚部群3”が形成されており、また、載置部1の中央部には、中央部脚部群4が形成されている。
【0011】
次に、隅部脚部群2、中間部脚部3’、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4を構成する脚部A、B、Cについて説明する。
【0012】
図3及び図4に示されている脚部Aは、平面形状が長方形の上部開口を有する有底で先細り状のコップ状に形成されており、相対する長側壁a1と相対する短側壁a2と底部a3とを有している。相対する一方の長側壁a1には、長側壁a1を全高に亘たって内側に膨出させることにより、内部が縦長の略円錐台形状の空洞で、天板a4aを有する垂直突条部a4が形成されており、この垂直突条部a4は、もう一方の長側壁a1に当接することなく、該長側壁a1と垂直突条部a4の先端a4bとの間には、所定の間隙が形成されているとともに、相対する短側壁a2の中間に位置するのではなく、一方の短側壁a2(図3において、右側に位置する短側壁a2)に偏在して(近寄って)配置されている。脚部Aの内部空間は、垂直突条部a4を挟んで、小空間部S1と大空間部S2とに区画されており、大空間部S2側に位置する底部a3には、垂直突条部a4が形成されている長側壁a1側に位置する底部a3を部分的に上方に膨出させることにより、略台形状の凸部a5が形成されている。この凸部a5は、相対する短側壁a2と対面する上り坂状の傾斜壁a5aと、垂直突条部a4が形成されていない長側壁a1と対面する上り坂状の傾斜壁a5bと、天板a5cとから形成されており、傾斜壁a5a、a5b及び天板a5cとにより、垂直突条部a4が形成されている長側壁a1側が開放された、嵌合凹部a6が形成されている。
【0013】
なお、a7は、傾斜壁a5bと垂直突条部a4が形成されていない長側壁a1との間の間隙を架橋するように、底部a3に形成された縦リブであり、a8は、垂直突条部a4と垂直突条部a4が形成されていない長側壁a1との間の間隙を架橋するように、底部a3に形成された同様の縦リブである。a9は、内部が空洞の垂直突条部a4を形成する相対する内壁面a4cの上部に、相対する内壁面a4cを架橋するように形成された板状で、略垂直状に配置されたガタトメリブであり、ガタトメリブa9の下端部には、下方に行くにしたがって、内壁面a4c方向に徐々に接近する傾斜面a9aに形成されている。このようなガタトメリブa9は、必ずしも、全ての脚部Aに設ける必要はなく、1つの脚部Aにだけ設けることもできる。
【0014】
図5に示されている脚部Bは、平面形状が長方形の上部開口を有する有底で先細り状のコップ状に形成されており、相対する長側壁b1と相対する短側壁b2と底部b3とを有している。b4は、相対する長側壁b1を架橋するように、底部b3に形成された上述した縦リブa7、a8と同様の縦リブであり、所定の間隔をおいて、2個形成されている。
【0015】
図6及び図7に示されている脚部Cは、平面形状が略正方形の上部開口を有する有底で先細り状のコップ状に形成されており、一方の相対する側壁c1ともう一方の相対する短側壁c2と底部c3とを有している。一方の相対する側壁c1の中央付近を、側壁c1の全高に亘たって内側に膨出させることにより、上述した脚部Aに形成された垂直突条部a4と同様の内部が縦長の略円錐台形状の空洞で、天板c4aを有する一対の互いに所定の間隔を置いて対向する垂直突条部(以下、対向垂直突条部という。)c4が形成されている。一対の対向垂直突条部c4は、もう一方の相対する側壁c2の中間に位置するのではなく、一方の側壁c2(図6において、左側に位置する側壁c2)に偏在して(近寄って)配置されている。脚部Cの内部空間は、一対の対向垂直突条部c4を挟んで、小空間部S3と大空間部S4とに区画されており、大空間部S4側に位置する側壁c2には、側壁c2を全高に亘たって内側に膨出させることにより、上述した脚部Aに形成された垂直突条部a4と同様の内部が縦長の略円錐台形状の空洞で、天板c5aを有する垂直突条部c5が形成されており、この垂直突条部c5は、一方の相対する側壁c1の中間に位置するのではなく、一方の側壁c1(図6において、右側に位置する側壁c2)に偏在して(近寄って)配置されており、従って、大空間部S4は、垂直突条部c5により、副小空間部S4’と副大空間部S4”とに区画されている。垂直突条部c5は、対向垂直突条部c4に当接することなく、一方の対向垂直突条部c4と垂直突条部c5との間には、所定の間隙が形成されている。大空間部S4を構成する副大空間部S4”側の底部c3には、垂直突条部c5が形成されている側壁c2側に位置する底部c3を部分的に上方に膨出させることにより、上述した脚部Aに形成された凸部a5と同様の略台形状の凸部c6が形成されている。この凸部c6は、相対する側壁c1と対面する上り坂状の傾斜壁c6aと、対向垂直突条部c4と対面する上り坂状の傾斜壁c6bと、天板c6cとから形成されており、傾斜壁c6a、c6b及び天板c6cとにより、垂直突条部c5が形成されている側壁c2側が開放された、嵌合凹部c7が形成されている。なお、c8は、側壁c2と一対の対向垂直突条部c4とを架橋するように、小空間部S3側の底部c3に形成された上述した縦リブa7、a8、b4と同様の縦リブであり、所定の間隔をおいて、2個形成されている。c9は、一方の対向垂直突条部c4と垂直突条部c5とを架橋するように、底部c3に形成された同様の縦リブであり、c10は、もう一方の対向垂直突条部c4と凸部c6の傾斜壁c6bとを架橋するように、底部c3に形成された同様の縦リブである。
【0016】
図1及び図2に示されているように、載置部1の4つの角部に形成された隅部脚部群2は、1個の脚部Aと1個の脚部Bとから構成されており、脚部Aが、載置部1の長辺1a側で、垂直突条部a4が形成されている長側壁a1が、長辺1a側に位置し、且つ、長辺1aと略平行になるように配置されている。また、脚部Bは、中間部脚部3’側に配置されており、その長側壁b1が、脚部Aの垂直突条部a4が形成されていない長側壁a1と略平行になるように配置されている。また、脚部Aの長側壁a1と脚部Bの長側壁b1とは、略同じ大きさで、脚部Aと脚部Bとは、長辺1a方向から見て重なるように配置されており、横方向にずれないように配置されている。更に、4つの隅部脚部群2の4つの脚部Aの垂直突条部a4は、全て、図1において、右側に位置する短側壁a2に偏在するように配置されている。
【0017】
載置部1の短辺1b側に配置された中間部脚部3’は、1個の脚部Cで構成されており、1対の対向垂直突条部c4が、短辺1bと略平行に位置するとともに、垂直突条部c5が形成された側壁c2が、中央部脚部群4側に位置するように配置されている。また、相対する中間部脚部3’の垂直突条部c5は、載置部1の短辺1bから見て重なるように配置されている。
【0018】
載置部1の長辺1a側に配置された中間部脚部群3”は、2個の脚部Aと3個の脚部Bとにより構成されており、脚部Aが、載置部1の長辺1a側で、長側壁a1が、長辺1aと略平行になるように配置され、また、垂直突条部a4が形成されている長側壁a1が、中央部脚部群4側に位置するように配置されている。また、脚部Bは、脚部Aに対して、中央部脚部群4側に配置され、中央に位置する脚部Bは、長辺1a側から見て、2個の脚部Aに跨がるように配置され、更に、2個の脚部Aと3個の脚部Bとは、長辺1a側から見て、重なるように配置されており、横方向にずれないように配置されている。脚部Aの垂直突条部a4は、全て、上述した隅部脚部群2を構成する脚部Aと同様に、垂直突条部a4が、右側に位置する短側壁a2に偏在して配置されている。
【0019】
中央部脚部群4は、4個の脚部Aで構成されており、4個の脚部Aは、その長側壁a1が、載置部1の長辺1aに略平行になるように、且つ、2列に配置されてる。また、2個ずつ2列に配置された脚部Aは、長辺1a及び短辺1b側から見て、いずれも重なるように、且つ、垂直突条部a4が形成されている長側壁a1が、中間部脚部群3”側に位置するように配置されている。また、脚部Aの垂直突条部a4は、全て、上述した隅部脚部群2を構成する脚部Aや中間部脚部群3”を構成する脚部Aと同様に、垂直突条部a4が、右側に位置する短側壁a2に偏在して配置されている。
【0020】
1cは、載置部1の周縁に、載置部1を囲むように垂設された垂直フランジであり、図8に示されているように、載置部1の角部領域1c1においては、適当な幅に亘たって、他の部分より、その高さが高く形成されており、その外表面には、バーコードやラベル等の標識が貼付可能な凹み部5が形成されている。なお、より大きな標識が貼付可能なように、図2等に示されているように、中間部脚部3’を構成する脚部Cの短側壁c2や中間部脚部群3”を構成する脚部Aの長側壁a1に、バーコードやラベル等の標識が貼付可能な凹み部5を形成することもできる。6は、垂直フランジ1cの角部領域1c1に穿設された透孔であり、荷物緊諦用のロープRの先端部を挿通したり、ロープRの先端部に取着されたフックを引っ掛けるように構成されている。また、7は、垂直フランジ1cの角部領域1c1に形成された舌片であり、舌片7の先端部付近には縦スリット7aが形成されており、また、舌片7の上部には、縦スリット7aに連結された水平スリット7bが形成されており、荷物緊諦用のロープRの先端部に形成された輪r1を、舌片7に引っ掛けることができるように構成されている。
【0021】
上述した透孔6及び舌片7は、載置部1の角部領域1c1以外にも形成することができる。例えば、図2及び図14に示されているように、載置部1の長辺1aの中央部に位置する垂直フランジ1c及び短辺1bの中央部に位置する垂直フランジ1cに、それぞれ、所定の間隔をおいて一対の縦スリット7aを形成するとともに、一対の縦スリット7aの上端部から、互いに接近する方向に延在する一対の水平スリット7bを形成することにより、2個の舌片7を形成することもできる。そして、一対の縦スリット7a間に位置する垂直フランジ1cには、1個の透孔6が穿設されている。なお、透孔6と舌片7とを、両方、形成することも、何方か一方のみ形成することもできる。
【0022】
上述したように、載置部1を囲むように垂設された垂直フランジ1cの角部領域1c1や、載置部1の長辺1aの中央部及び短辺1bの中央部に位置する垂直フランジ1cに、荷物緊諦用のロープRを、緊諦したり、引っ掛けたり或いはロープRの先端に取着されたフックを引っ掛け可能な透孔6や舌片7を形成したので、載置部1に載置された荷物が、落下したり移動しないように、簡単に、且つ、迅速に、ロープで緊諦することができ、従って、荷物の緊諦作業の作業性が向上する。
【0023】
また、本実施例においては、載置部1の裏面には、図2等に示されているように、縦横に延びる交差リブ1dが形成されており、また、隅部脚部群2と中間部脚部3’、中間部脚部群3”との間及び中間部脚部3’、中間部脚部群3”と中央部脚部群4との間には、フォークが挿通可能なフォーク挿入空間Fが形成されている。
【0024】
図9に示されているように、上に位置する合成樹脂製パレットPaと下に位置する合成樹脂製パレットPbとが、同じ向きになるように配置した場合、即ち、上に位置する合成樹脂製パレットPaの隅部脚部群2や中間部脚部群3”や中央部脚部群4を構成する脚部Aの垂直突条部a4及び脚部Cの対向垂直突条部c4と垂直突条部c5と、下に位置する合成樹脂製パレットPbの隅部脚部群2や中間部脚部群3”や中央部脚部群4を構成する脚部Aの垂直突条部a4及び脚部Cの対向垂直突条部c4と垂直突条部c5とが、平面的に見て、重なるように配置した場合には、このような状態で、下に位置する合成樹脂製パレットPbの上に、上に位置する合成樹脂製パレットPaを重ねると、図10にその一部が示されているように、上に位置する合成樹脂製パレットPaの隅部脚部群2を構成する脚部A及び脚部Bが、下に位置する合成樹脂製パレットPbの隅部脚部群2を構成する脚部Aの内部空間及び脚部Bの内部空間に、それぞれ、嵌合され、また、上に位置する合成樹脂製パレットPaの中間部脚部3’を構成する脚部Cが、下に位置する合成樹脂製パレットPbの中間部脚部3’を構成する脚部Cの内部空間に嵌合され、更に、上に位置する合成樹脂製パレットPaの中間部脚部群3”を構成する脚部A及び脚部Bが、下に位置する合成樹脂製パレットPbの中間部脚部群3”を構成する脚部Aの内部空間及び脚部Bの内部空間に、それぞれ、嵌合され、更にまた、上に位置する合成樹脂製パレットPaの中央部脚部群4を構成する脚部Aが、下に位置する合成樹脂製パレットPbの中央部脚部群4を構成する脚部Aの内部空間に嵌合されて、図10に示されているように、下に位置する合成樹脂製パレットPbの上に、上に位置する合成樹脂製パレットPaが、フルネスティング状態に積み重ねられることになる。この際、図11に示されているように、上に位置する合成樹脂製パレットPaの適当な脚部Aの垂直突条部a4を形成する相対する内壁面a4cに形成されたガタトメ突起a9の傾斜面a9aに、上に位置する合成樹脂製パレットPaの垂直突条部a4の内部空洞に挿入された下に位置する合成樹脂製パレットPbの脚部Aを構成する垂直突条部a4の天板a4aの相対する角部が当接し、上に位置する合成樹脂製パレットPaと下に位置する合成樹脂製パレットPbとのガタを防止することができる。
【0025】
上述したフルネスティング状態から、一方の合成樹脂製パレットを、平面的に、180度回転させて(本実施例においては、上に位置する合成樹脂製パレットPaを180度回転させている。)、下に位置する合成樹脂製パレットPbを下降させると、図13にその一部が示されているように、下に位置する合成樹脂製パレットPbの隅部脚部群2、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4を構成する脚部Aの垂直突条部a4の上部が、上に位置する合成樹脂製パレットPaの隅部脚部群2、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4を構成する脚部Aの底部a3に形成された嵌合凹部a6に入り込み、上に位置する合成樹脂製パレットPaの凸部a5を構成する天板a5cと下に位置する合成樹脂製パレットPbの垂直突条部a4の天板a4aとが当接するように構成されている。また、下に位置する合成樹脂製パレットPbの中間部脚部3’を構成する脚部Cの垂直突条部c5の上部が、上に位置する合成樹脂製パレットPaの中間部脚部3’を構成する脚部Cの底部c3に形成された嵌合凹部c7に入り込み、上に位置する合成樹脂製パレットPaの凸部c6を構成する天板c6cと下に位置する合成樹脂製パレットPbの垂直突条部c5の天板c5aとが当接するように構成されている。このように、下に位置する合成樹脂製パレットPbの脚部Aの垂直突条部a4の上部が、上に位置する合成樹脂製パレットPaの脚部Aの底部a3に形成された嵌合凹部a6に入り込み、更に、下に位置する合成樹脂製パレットPbの脚部Cの垂直突条部c5の上部が、上に位置する合成樹脂製パレットPaの脚部Cの底部c3に形成された嵌合凹部c7に入り込んだ状態で、図13に示されているような、ハーフネスティング状態となる。このハーフネスティング状態においては、フォーク挿入空間Fに位置する上に位置する合成樹脂製パレットPaの載置部1と下に位置する合成樹脂製パレットPbの載置部1との間には、フォークが挿入可能な開口F’が形成されることになる。従って、ハーフネスティング状態に段積みされた合成樹脂製パレットを取り出す場合には、この開口F’に、フォークを挿入し、その後、フォークを上昇させて、上に位置する合成樹脂製パレットPaと下に位置する合成樹脂製パレットPbとのハーフネスティング状態を解除して、上に位置する合成樹脂製パレットPaを適当な箇所に運搬することになる。
【0026】
また、脚部Aの垂直突条部a4の天板a4aと、底部a3に形成された凸部a5を構成する天板a5cの裏面とは、略同じ大きさに形成されているので、従って、上に位置する合成樹脂製パレットPaの脚部Aの底部a3に形成された嵌合凹部a6に対して、該嵌合凹部a6に嵌合している下に位置する合成樹脂製パレットPbの脚部Aの垂直突条部a4が、水平方向に移動するようなことがない。また、同様に、脚部Cの垂直突条部c5の天板c5aと、底部c3に形成された凸部c6を構成する天板c6cの裏面とは、略同じ大きさに形成されているので、従って、上に位置する合成樹脂製パレットPaの脚部Cの底部c3に形成された嵌合凹部c7に対して、該嵌合凹部c7に嵌合している下に位置する合成樹脂製パレットPbの脚部Cの垂直突条部c5が、水平方向に移動するようなことがない。従って、多数の合成樹脂製パレットを、安定した状態で、ハーフネスティングすることができる。
【0027】
図14及び図15に示されている実施例には、載置部1の脚部A、B、C以外の殆どの部分、特に、フォーク挿入空間Fの上方に位置する部分を、長手方向に対して垂直な断面が縦長の略長方形状の交差リブ1eで形成した例が示されている。この実施例では、上方に行くにしたがって、先細りに形成されている交差リブ1e1と、下方に行くにしたがって、先細りに形成されている交差リブ1e2とが適当に混ざり合って、載置部1の交差リブ1eが形成されている。このように構成することにより、合成樹脂製パレットを射出成形等で一体成形し、その後の冷却過程において、載置部1の上部と下部との冷却時間が、略同じになり、従って、冷却過程での載置部1の反り変形が防止できる。
【0028】
コップ状の脚部A、B、Cと、脚部A、B、Cの上端部に形成された載置部1とから構成されている一体成形された合成樹脂パレットの場合には、脚部A、B、Cの下端を連結するような梁やリブがないので、載置部1の冷却過程の際のひけ変形により、載置部1が大きく反って変形することになるが、上述したように、上方に行くにしたがって、先細りに形成されている交差リブ1e1と、下方に行くにしたがって、先細りに形成されている交差リブ1e2とを、適所に、且つ、適当な配合で混ぜることにより、冷却過程での載置部1の反り変形を防止しすることができる。
【0029】
フォーク挿入空間Fの上方に位置する交差リブ1eのうち、載置部1の長辺1aに平行で、且つ、長辺1aと略同じ長さ(即ち、長辺1aに沿ったフォーク挿入空間Fの略全長)に亘たって延在する交差リブ1e及び載置部1の短辺1bに平行で、且つ、短辺1bと略同じ長さ(即ち、短辺1bに沿ったフォーク挿入空間Fの略全長)に亘たって延在する交差リブ1eを、適当本数ずつ、先細りに形成されている交差リブ1e1と、下方に行くにしたがって、先細りに形成されている交差リブ1e2とで形成することが好ましい。図15には、短辺1bに平行で、且つ、短辺1bと略同じ長さに亘たって延在する交差リブ1eのうち、中央部に位置する3本の交差リブ1eを、下方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e2で形成し、中央部に位置する3本の交差リブ1eを挟んで、その両側に位置する2本の交差リブ1eを、上方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e1で形成した例が示されている。この場合には、同様に、長辺1aに平行で、且つ、長辺1aと略同じ長さに亘たって延在する交差リブ1eのうち、中央部に位置する適当数の交差リブ1eが、下方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e2で形成され、また、その両側に位置する適当数の交差リブ1eが、上方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e1により形成されている。
【0030】
上述したように、一体成形された合成樹脂製パレットにおいて、フォーク挿入空間Fの略全長、換言すれば、載置部1の長辺1a或いは短辺1bの略全長に亘たって延在する交差リブ1eのうち、適当本数を、下方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e2で形成し、残りを、上方に行くにしたがって先細りの交差リブ1e1により形成することにより、効果的に、載置部1の反り変形を防止することができる。
【0031】
また、合成樹脂製パレットを、載置部1の長辺1a方向(図16の矢印W方向)に、ローラーコンベヤーからなるラインに載置して搬送する場合、載置部1の短辺1b側から、隅部脚部群2、中間部脚部3’、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4を見た場合に、隅部脚部群2、中間部脚部3’、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4のいずれにおいても、隅部脚部群2、中間部脚部3’、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4を直線的に通過する間隙が存在しないように構成されている。例えば、ライン走行方向(矢印W方向)に対して前方及び後方に位置する列(図16において、左側及び左側に位置する列)を構成する脚部Aと脚部Bとからなる2つの隅部脚部群2は、脚部Aと脚部Bとの間に存在する間隙が、ライン走行方向に沿って形成されているので、ライン走行方向に対して直角な方向から見て、脚部Aと脚部B間には直線的な間隙は存在しない。また、ライン走行方向(矢印W方向)に対して中間に位置する列(図16において、中央に位置する列)を構成する2つの脚部Aと3つの脚部Bとからなる2つの中間部脚部群3”及び4つの脚部Aからなる1つの中央部脚部群4においては、中央部脚部群4を構成する脚部A間には、ライン走行方向に対して直角な方向から見て、直線的な間隙は存在するが、中間部脚部群3”を構成する2つの脚部A間のライン走行方向に対して直角な方向から見た直線的な間隙は、中央に位置する脚部Bにより、その直線的な延長が阻止されている。従って、中央に位置する列を構成する2つの中間部脚部群3”と1つの中央部脚部群4とを、ライン走行方向に対して直角な方向から見た場合に、直線的に延在する脚部A、B間の間隙は存在しない。換言すれば、中央に位置する列を構成する2つの中間部脚部群3”と1つの中央部脚部群4とを、ライン走行方向に対して直角な方向から見た場合に、中間部脚部群3”を構成する中央に位置する脚部Bに阻止されて、合成樹脂製パレットの向う側が見えないことになる。
【0032】
上述したように、合成樹脂製パレットを、ライン走行方向に対して直角な方向から見た場合に、ライン走行方向に対して直角な方向の列を形成する隅部脚部群2、中間部脚部3’、中間部脚部群3”及び中央部脚部群4には、直線的に延在する間隙が存在しないように構成されている。即ち、ライン走行方向(図16の矢印W方向)に対して前方及び後方に位置する2つの隅部脚部群2と1つの中間部脚部3’とからなる列(図16において、左側及び左側に位置する列)には、ライン走行方向に対して直角な方向から見て直線的な間隙は存在しないし、また、ライン走行方向に対して中間に位置する2つの中間部脚部群3”と1つの中央部脚部群4とからなる列(図16において、中央に位置する列)にも、ライン走行方向に対して直角な方向から見て直線的な間隙は存在しない。従って、各列において、それぞれ、いずれかの脚部の底面が、ローラーコンベヤーに当接しているので、ローラーコンベヤーを構成するローラーが、脚部A、B間に入り込み、合成樹脂製パレットがライン上で停止するようなことが防止できるとともに、ローラーコンベヤーからなるラインに載置され搬送される合成樹脂製パレットが、上下方向にガタつくことがなく、ライン上での合成樹脂製パレットの走行安定性が向上する。
【0033】
なお、上述したガタトメ突起a9は、射出成形や射出成型後の冷却による収縮を考慮して、合成樹脂製パレットの中間部脚部3’や中間部脚部群3”を構成する脚部Aに形成することが好ましい。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0035】
ローラーコンベヤーを構成するローラーが、脚部間に入り込み、合成樹脂製パレットがライン上で停止するようなことが防止できるとともに、ローラーコンベヤーからなるラインに載置され搬送される合成樹脂製パレットが、上下方向にガタつくようなことがなく、ライン上での合成樹脂製パレットの走行安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の合成樹脂製パレットの斜視図である。
【図2】図2は本発明の合成樹脂製パレットの裏面斜視図である。
【図3】図3は本発明の合成樹脂製パレットを構成する脚部の斜視図である。
【図4】図4は図3に示されている脚部の裏面斜視図である。
【図5】図5は本発明の合成樹脂製パレットを構成する他の脚部の斜視図である。
【図6】図6は本発明の合成樹脂製パレットを構成する更に他の脚部の斜視図である。
【図7】図7は図6に示されている脚部の裏面斜視図である。
【図8】図8は本発明の合成樹脂製パレットの角部付近の部分斜視図である。
【図9】図9は本発明の合成樹脂製パレットのフルネスティングを説明するための2つの合成樹脂製パレットの斜視図である。
【図10】図10は本発明の合成樹脂製パレットがフルネスティングされた状態の2つの合成樹脂製パレットの部分垂直断面図である。
【図11】図11は本発明の合成樹脂製パレットがフルネスティングされた状態の2つの合成樹脂製パレットの垂直突条部付近の部分垂直断面図である。
【図12】図12は本発明の合成樹脂製パレットのハーフネスティングを説明するための2つの合成樹脂製パレットの斜視図である。
【図13】図13は本発明の合成樹脂製パレットがハーフネスティングされた状態の2つの合成樹脂製パレットの部分垂直断面図である。
【図14】図14は本発明の別の実施例の合成樹脂製パレットの斜視図である。
【図15】図15は図14のI−I線に沿った垂直断面図である。
【図16】図16は図1に示されている合成樹脂製パレットの裏面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・載置部
2・・・・・・・・・・・隅部脚部群
3’・・・・・・・・・・中間部脚部
3”・・・・・・・・・・中間部脚部群
4・・・・・・・・・・・中央部脚部群
a4、c4・・・・・・・垂直突条部
a6、c7・・・・・・・嵌合凹部

Claims (1)

  1. 載置部の4つの角部に形成された、複数の脚部からなる隅部脚部群と、載置部の短辺側に位置する隅部脚部群の中間に形成された、1個の脚部からなる中間部脚部と、載置部の長辺側に位置する隅部脚部群の中間に形成された、複数の脚部からなる中間部脚部群と、載置部の中央部に形成された、複数の脚部からなる中央部脚部群とを有する合成樹脂製パレットであって、前記隅部脚部群が、載置部の長辺側に配置された1個の脚部と中間部脚部側に配置された1個の脚部とから構成されているとともに、脚部の長側壁が、共に、載置部の長辺と略平行になるように配置されており、また、前記中間部脚部群が、載置部の長辺側に配置された複数の脚部と中央部脚部群側に配置された複数の脚部とから構成されているとともに、前記載置部の長辺側に配置された脚部の長側壁が、全て、載置部の長辺と略平行になるように配置されており、且つ、前記中央部脚部群側に配置された脚部を、載置部の長辺側から見て、前記載置部の長辺側に配置された脚部に跨がるように配置することにより、合成樹脂製パレットを、載置部の長辺方向に沿ってライン走行させた際に、複数の脚部からなる隅部脚部群及び中間部脚部群には、ライン走行方向に対して直角な方向から見て、直線的な間隙が存在しないように構成されており、更に、前記中央部脚部群を構成する複数の脚部の長側壁が、全て、載置部の長辺と略平行になるように配置されていることを特徴とする合成樹脂製パレット。
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