JP3914595B2 - 合成樹脂製パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の物品を運搬する際に使用されるフォーク差し込み口を有する合成樹脂製パレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の合成樹脂製パレットのフォーク差し込み口の一部切断部を含む斜視図である図3に示されているように、フォーク差し込み口1の底部2及び天部3を、フォーク差し込み口1側の板状部分2a、3aと、該板状部分2a、3aの裏面に縦横に垂設されたリブ部分2b、3bとにより形成した合成樹脂製パレットが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の合成樹脂製パレットを射出成形すると、冷却速度が、肉薄の板状部分2a、3aに比べて、縦横に垂設された肉厚のリブ部分2b、3bが遅いために、板状部分2a、3aとリブ部分2b、3bが均等に収縮せずに、リブ部分2b、3bがより大きく収縮して、フォーク差し込み口の底部2及び天部3が、従来の合成樹脂製パレットの正面図である図4に示されているように、底部2が上方に、また、天部3が下方に湾曲することになる。このような、合成樹脂の冷却時の収縮差に基づく、底部2及び天部3の上下方向への湾曲傾向は、リブ部分2b、3bの肉厚に比べて、板状部分2a、3aの肉厚が薄いほど顕著になる。
【0004】
上述したように、底部2が上方に、また、天部3が下方に湾曲すると、フォーク差し込み口1の間口の高さ(h)が低くなり、フォークの差し込み作業に支障を来すことになる。特に、フォークの先端部付近の下面に車輪が配設されているハンドフォークリフトを使用する場合には、底部2が上方に、また、天部3が下方に湾曲して、フォーク差し込み口1の間口の高さ(h)が低くなると、ハンドフォークリフトのフォークが、フォーク差し込み口1に挿入しにくくなったり、或いは、挿入できない等の問題が生ずる。このような問題を解決するために、フォーク差し込み口1の間口の高さ(h)を高くすることもできるが、間口の高さ(h)を高くすると、合成樹脂製パレット全体の高さが増すことになり、従って、合成樹脂製パレットの重量が増加したり、或いは、合成樹脂製パレットの保管スペースの増大化を惹起することになる。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の合成樹脂製パレットが有する課題を解決するとともに、成形性の良好な合成樹脂製パレットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、フォーク差し込み口の天部及び底部を、フォーク差し込み口の奥行き方向に沿った垂直断面が波形に形成された波板部材で構成した合成樹脂製パレットにおいて、前記波板部材を、上部水平部と、下部水平部と、前記上部水平部と前記下部水平部とを連結する傾斜部とにより構成するとともに、前記上部水平部の肉厚と前記下部水平部の肉厚とを同じとし、且つ、前記傾斜部の肉厚を、前記上部水平部及び下部水平部の肉厚より、厚くし、更に、前記天部に形成された凹溝及び前記底部に形成された凹溝に連結リブを配設したものである。
【0007】
【実施例】
以下に、本発明の合成樹脂製パレットの一部切欠部を含む全体斜視図である図1及び本発明の合成樹脂製パレットのフォーク差し込み口の一部切断部を含む斜視図である図2を用いて、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0008】
Pは、表面デッキボードp1と裏面デッキボードp2とを、溶着等により接合することにより形成された合成樹脂製パレットであり、表面デッキボードp1は、隅部に位置する4つの隅桁10、隅部10の中間に位置する4つの中間桁11及び中央に位置する1つの中央桁12とを有しており、また、裏面デッキボードp2も、同様に、隅部に位置する4つの隅桁10’、隅部10’の中間に位置する4つの中間桁11’及び中央に位置する1つの中央桁とを有している。そして、表面デッキボードp1と裏面デッキボードp2の隅桁10、10’同士、中間桁11、11’同士及び及中央桁12同士を、溶着等により接合することにより、合成樹脂製パレットPが形成される。合成樹脂製パレットPの各側面の隅桁10、10’と中間桁11、11’との間には、それぞれ、2つのフォーク差し込み口13が形成されている。なお、表面デッキボードp1と裏面デッキボードp2とは、それぞれ、射出成形機等により、一体に成形されることが好ましい。
【0009】
フォーク差し込み口13の天部14は、フォーク差し込み口13の奥行き方向に沿った垂直断面が波形で、その肉厚が略均一な波板部材14aを有しており、従って、天部14の下面14’には、フォーク差し込み口13の間口の幅方向に沿って複数の凹溝14a’が形成されている。また、フォーク差し込み口13の間口の幅方向に沿って天部14の上面14”に形成された複数の凹溝14a”には、該凹溝14a”と直交する方向に延在する連結リブ14bが、所定の間隔で形成されている。連結リブ14bの上面は、図2に示されているように、天部14の上面14”と面一に形成することも、また、天部14の上面14”より低くすることもできる。また、波板部材14aのフォーク差し込み口13の入口部分には、外側に向かって上方に傾斜した傾斜面14cを形成する。必要に応じて、波板部材14aのフォーク差し込み口13の最奥部分には、合成樹脂製パレットPの内側に向かって上方に傾斜した傾斜面14dを形成することもできる。
【0010】
フォーク差し込み口13の底部15は、水平面を挟んで、上述した天部14と面対象に形成されている。即ち、フォーク差し込み口13の底部15は、フォーク差し込み口13の奥行き方向に沿った垂直断面が波形で、その肉厚が略均一な波板部材15aを有しており、従って、底部15の上面15’には、フォーク差し込み口13の間口の幅方向に沿って複数の凹溝15a’が形成されている。また、フォーク差し込み口13の間口の幅方向に沿って底部15の下面15”に形成された複数の凹溝15a”には、上述した天部14の上面14”に形成された凹溝14a”に配設された連結リブ14bと同様の連結リブ(図示されていない。)が、所定の間隔で形成されている。また、波板部材15aのフォーク差し込み口13の入口部分には、外側に向かって下方に傾斜した傾斜面15cを形成する。必要に応じて、波板部材15aのフォーク差し込み口13の最奥部分には、合成樹脂製パレットPの内側に向かって下方に傾斜した傾斜面15dを形成することもできる。なお、上記の底部15の上面15’に形成された凹溝15a’の幅wは、フォーク差し込み口13に挿入されるハンドフォークリフトの車輪が落ち込んで、その脱出が困難とならないような幅に形成する。
【0011】
上述したフォーク差し込み口13の天部14及び底部15を、波板部材14aで形成したことにより、連結リブ14bを肉厚にしなくても、天部14及び底部15の強度が充分確保できるので、天部14及び底部15を構成する波板部材14aと連結リブ14bを略同じ肉厚とすることができ、従って、合成樹脂の冷却時の収縮差に基づく変形が、天部14及び底部15に生じることが防止できる。また、フォーク差し込み口13の天部14及び底部15を、波板部材14aで形成したことにより、フォーク差し込み口13の強度が充分な場合には、天部14及び底部15に形成された連結リブ14bを省略することができるので、合成樹脂の冷却時の収縮差に基づく変形が、より少なくなる。反対に、天部14及び底部15の強度をより増大する必要がある場合には、天部14の下面14’に形成された凹溝14a’及び底部15の上面15’に形成された凹溝15a’に、上述したような連結リブを形成することもできる。
【0012】
上述した実施例においては、天部14の上面14”に形成された複数の凹溝14a”に、該凹溝14a”と直交する方向に延在する連結リブ14bを、所定の間隔で形成した場合を説明したが、該上面14”に形成された凹溝14a”に連結リブ14bを形成する代わりに、天部14の下面14’に形成された凹溝14a’に、同様の連結リブを形成することも、また、天部14の上面14”に形成された凹溝14a”及び天部14の下面14’に形成された凹溝14a’の両方の凹溝14a’、14a”に連結リブを形成することもできる。
【0013】
同様に、底部15の下面15”に形成された凹溝15a”に連結リブを形成する代わりに、底部15の上面15’に形成された凹溝15a’に、連結リブを形成することも、また、底部15の下面15”に形成された凹溝15a”及び底部15の上面15’に形成された凹溝15a’の両方の凹溝15a’、15a”に連結リブを形成することもできる。
【0014】
上述した実施例においては、フォーク差し込み口13の奥行き方向に沿った垂直断面が波形に形成された波板部材14aの肉厚が、略均一な場合について説明したが、波板部材14aを、上部水平部14eと、下部水平部14fと、上部水平部14eと下部水平部14fとを連結する傾斜部14gとにより構成した場合に、上部水平部14eの肉厚と下部水平部14fの肉厚とを同じとし、傾斜部14gの肉厚を、上部水平部14eと下部水平部14fの肉厚より、厚くすることが好ましい。このように、傾斜部14gの肉厚を、上部水平部14eと下部水平部14fの肉厚より、厚くすることにより、天部14の強度を増大させることができるとともに、上部水平部14eの肉厚と下部水平部14fの肉厚とを同じとすることにより、合成樹脂の冷却時の収縮差に基づく、天部14の湾曲変形を防止することができる。
【0015】
同様に、底部15を構成する波板部材15aを、上部水平部15eと、下部水平部15fと、上部水平部15eと下部水平部15fとを連結する傾斜部15gとにより構成した場合に、上部水平部15eの肉厚と下部水平部15fの肉厚とを同じとし、傾斜部15gの肉厚を、上部水平部15eと下部水平部15fの肉厚より、厚くすることが好ましい。このように、傾斜部15gの肉厚を、上部水平部15eと下部水平部15fの肉厚より、厚くすることにより、底部15の強度を増大させることができるとともに、上部水平部15eの肉厚と下部水平部15fの肉厚とを同じとすることにより、合成樹脂の冷却時の収縮差に基づく、底部15の湾曲変形を防止することができる。
【0016】
なお、各側面に、それぞれ、2個のフォーク差し込み口13を有する、所謂、4方差しの合成樹脂製パレットPを用いて、本発明の実施例を説明したが、2組の相対する側面のうち、一方の相対する側面にのみ、フォーク差し込み口13を形成した、所謂、2方差しの合成樹脂製パレットPに適用することもできる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏することができる。
【0018】
フォーク差し込み口の天部及び底部を、フォーク差し込み口の奥行き方向に沿った垂直断面が波形である波板部材としたので、天部及び底部の合成樹脂の冷却時の収縮差に起因する変形を防止することができるとともに、フォーク差し込み口の強度を増大することができる。
【0019】
天部の凹溝及び底部の凹溝に連結リブを配設したので、フォーク差し込み口の強度を更に増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の合成樹脂製パレットの一部切欠部を含む全体斜視図である。
【図2】図2は本発明の合成樹脂製パレットのフォーク差し込み口の一部切断部を含む斜視図である。
【図3】図3は従来の合成樹脂製パレットのフォーク差し込み口の一部切断部を含む斜視図である。
【図4】図4は従来の合成樹脂製パレットの正面図である。
【符号の説明】
P・・・・・・・・合成樹脂製パレット
p1・・・・・・・表面デッキボード
p2・・・・・・・裏面デッキボード
13・・・・・・・フォーク差し込み口
14・・・・・・・天部
14a・・・・・・波板部材
14b・・・・・・連結リブ
15・・・・・・・底部
15a・・・・・・波板部分
Claims (1)
- フォーク差し込み口の天部及び底部を、フォーク差し込み口の奥行き方向に沿った垂直断面が波形に形成された波板部材で構成した合成樹脂製パレットにおいて、前記波板部材を、上部水平部と、下部水平部と、前記上部水平部と前記下部水平部とを連結する傾斜部とにより構成するとともに、前記上部水平部の肉厚と前記下部水平部の肉厚とを同じとし、且つ、前記傾斜部の肉厚を、前記上部水平部及び下部水平部の肉厚より、厚くし、更に、前記天部に形成された凹溝及び前記底部に形成された凹溝に連結リブを配設したことを特徴とする合成樹脂製パレット。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP20902196A JP3914595B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 合成樹脂製パレット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20902196A JP3914595B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 合成樹脂製パレット |
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JPH1035671A JPH1035671A (ja) | 1998-02-10 |
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Family
ID=16565962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP20902196A Expired - Fee Related JP3914595B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 合成樹脂製パレット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3914595B2 (ja) |
-
1996
- 1996-07-19 JP JP20902196A patent/JP3914595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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