JP3897333B2 - 草刈機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機を搭載した機体外から操作者が前記機体を制御するためのハンドルを有する草刈機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
前記の如き草刈機においては、前記ハンドルを前記機体に対して直接取着するのが一般的である。さらに、前記ハンドルと前記機体との相対的な位置関係を、必要に応じて変更することができるようにせしめれば、作業現場の状況や個々の操作者の好みに応じて、前記機体を操作し易いように、該機体に対する前記ハンドルの位置を適宜に選択することができて、好適である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記ハンドルが前記機体に対して直接取着されていると、該機体に対する前記ハンドルの相対位置を変化させることによって、必然的に、前記機体に搭載された前記原動機に対する前記ハンドルの相対位置も三次元的に大きく変化してしまうことになる。このため、前記原動機を制御するための原動機制御操作部材を前記ハンドル側に設けている場合には、前記原動機制御操作部材と前記原動機との間の制御操作系に無理がかかってしまう場合がある。
【0004】
本発明は、前記の如き事情に鑑みてなされたもので、機体に対するハンドルの相対位置が変化した場合でも、該ハンドル側に配設された原動機制御操作部材と、前記機体に搭載された原動機と、の間の制御操作系に悪影響が及ばない、草刈機を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る草刈機は、刈刃と、該刈刃を駆動する原動機と、該原動機を支持する機体と、操作者が前記機体外から該機体を制御するためのハンドルと、を備え、前記原動機が前記機体に対して回動自在かつ任意の回動角度位置に固定自在に支持されるとともに、前記ハンドルが前記原動機側に連結されている草刈機であって、前記原動機を前記機体に対して任意の回動角度位置に固定する原動機固定手段と、該原動機固定手段を遠隔操作するための原動機固定手段操作部材と、を備え、該原動機固定手段操作部材が、前記ハンドルのグリップ部から前記操作者の手が届く位置に配設され、前記ハンドルが、原動機側ハンドル要素と、該原動機側ハンドル要素に相対伸縮自在に連結されたグリップ部側ハンドル要素と、を備え、該グリップ部側ハンドル要素の伸縮に応じて前記ハンドルに沿って伸縮する伸縮ロッドをその軸線を中心として回動自在に前記ハンドルに支持させ、前記原動機固定手段操作部材の操作により前記伸縮ロッドが回動するようにそれらを作動上互いに連結するとともに、該伸縮ロッドの回動により前記原動機固定手段が操作されるようにそれらを作動上互いに連結したことを特徴としている(請求項1)。
【0007】
本発明によれば、前記操作者は、前記機体に対する前記ハンドルの位置が前記機体を制御し易い位置となるように、該機体に対する前記原動機の回動角度位置を適宜に変更し固定して、作業を行うことができる。よって、操作性が良く、作業性も良好となる。加えて、前記機体に対する前記ハンドルの位置が大きく変わっても、該ハンドルと前記原動機との相対位置は、少なくとも一平面内では常に一定不変であるので、該原動機を制御するための原動機制御操作部材を前記ハンドル側に配設した場合でも、該原動機制御操作部材と前記原動機との間の制御操作系に不都合は生じない。よって、該制御操作系が破損することもなく、その取り回し性もよい。
【0008】
また、前記操作者は、前記ハンドルの前記グリップ部を把持した状態で、前記原動機固定手段操作部材を操作することができるので、作業を中断することなく、前記機体に対する前記原動機の回動角度位置、すなわち、前記機体からの前記ハンドルの延び出し方向を変更することができる。よって、作業性が一層向上する利点がある。さらに、本発明によれば、前記操作者が、前記原動機固定手段操作部材を操作すると、前記伸縮ロッドが前記軸線を中心に回動して、前記原動機固定手段に操作力が伝達される。前記伸縮ロッドは、前記原動機側ハンドル要素に対する前記グリップ部側ハンドル要素の相対伸縮に応じて前記ハンドルに沿って伸縮するので、該ハンドルをどのような長さとした場合でも、邪魔になることがない。
【0009】
好適な実施の一形態として、前記伸縮ロッドの回動を前記原動機固定手段に伝達するボーデンケーブルを備え、該ボーデンケーブルのインナーワイヤを、前記伸縮ロッドの前記軸線方向に沿って相対移動自在に、且つ、前記伸縮ロッドの回動に応じて前記インナーワイヤが引き操作されるように、前記伸縮ロッドに作動上連結し、前記ボーデンケーブルのアウターチューブの伸縮ロッド側端部を、前記原動機側ハンドル要素に止着することもできる(請求項2)。この場合、前記操作者が、前記グリップ部の近くに配設されている前記原動機固定手段操作部材を操作すると、前記伸縮ロッドが前記軸線を中心に回動して、前記ボーデンケーブルの前記インナーワイヤが引かれて、前記原動機固定手段に操作力が伝達される。前記インナーワイヤは、前記伸縮ロッドの前記軸線方向に沿って相対移動自在となるように前記伸縮ロッドに対して連結されているので、前記ハンドルの長さ調節に応じて前記伸縮ロッドが伸縮しても、前記インナーワイヤと前記伸縮ロッドとの連結部は、所定位置にとどまることができる。よって、前記グリップ部側ハンドル要素を収縮させた場合でも前記ボーデンケーブルにたるみが生じないように、該ボーデンケーブルを前記原動機側ハンドル要素に沿って必要最小限の長さに配設することができる。
【0010】
本発明の好適な一実施の形態として、前記ハンドルを、前記原動機の回動軸線と交差する方向へ延びる軸線を中心として揺動自在となるように、前記原動機側に連結することもできる(請求項3)。このようにすれば、前記機体に対する前記ハンドルの角度位置を、互いに交差する方向へ延びる前記原動機回動軸線と、前記ハンドル揺動軸線と、を中心として、三次元的に多様に変化させることができるので、作業条件の変化等に対するきめ細かな対応が可能となり、操作性および作業性が一層向上する。
【0011】
さらに、前記ハンドルを長さ調節自在に構成すれば(請求項4)、作業現場の状況や自分の好み等に応じて、前記操作者が、前記機体を制御し易い長さに前記ハンドルの長さを適宜変更することができるので、操作性および作業性がなお一層向上して、好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な一実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係る草刈機の全体斜視図、図2は、図1の草刈機の使用方法の一例を示す斜視図である。まず、これらの図面を参照して、本発明の一実施の形態に係る草刈機の構成および使用方法を、概略的に説明する。
【0019】
図1において、本発明の一実施の形態に係る草刈機1は、作業部材としての刈刃2と、該刈刃2を駆動する原動機としての小型空冷二サイクル内燃エンジン3と、該内燃エンジン3を支持する機体4と、操作者Mが前記機体4外から該機体4を制御するためのハンドル5と、を備えている。そして、前記内燃エンジン3は、前記機体4に、縦方向に延びるエンジン回動軸線Xを中心として回動自在かつ任意の回動角度位置に固定自在に支持され、前記ハンドル5は、前記エンジン回動軸線Xと交差する方向へ延びるハンドル揺動軸線Yを中心として上下揺動自在に、前記内燃エンジン3側に連結されている。さらに、前記ハンドル5は、長さ調節自在(伸縮自在)に構成されている。
【0020】
なお、前記内燃エンジン3は、刈草等の吸入・付着を防止するために、網籠状カバー3aでその全体を覆われている。
【0021】
前記機体4は、車台6と、該車台6を地面G上で前後移動可能に支持する接地部材としての遊転輪7,7,8,8と、を備えている。このため、前記操作者(作業者)Mは、前記ハンドル5を押したり引いたりすることにより、前記機体4を、前記地面G上で、前記遊転輪7,7,8,8の向きに沿った前後方向F−Rへと移動させることができる。
【0022】
前記刈刃2は、前記車台6の下面と前記地面Gとの間に配置されている。該刈刃2は、前記内燃エンジン3で駆動されて、前記地面Gと平行な面S内で回転する。前記車台6の前後には、草刈取口9f,9rが形成されている。このため、前記内燃エンジン3を作動させて、前記刈刃2を回転させながら、前記ハンドル5を操作して、前記機体4を草刈り地面G上で前後方向F−Rへ移動させると、自動的に前記刈刃2によって草が刈り取られる。
【0023】
既に述べたように、前記内燃エンジン3は、前記機体4上において、地面Gに対して垂直な前記エンジン回動軸線Xを中心として回動自在であり、かつ、前記機体4に対し、前記エンジン回動軸線Xを中心とした任意の回動角度位置に、固定自在とされている。このため、前記操作者Mは、前記内燃エンジン3側に連結された前記ハンドル5を、前記エンジン回動軸線Xを中心として水平方向(地面Gと平行)に回動させ、草刈作業現場の地形や自分の好みに応じて、前記機体4からの前記ハンドル5の延び出し方向を、自在に設定することができる。このため、操作性および作業性が向上する。
【0024】
例えば、前記ハンドル5を、前記遊転輪7,7,8,8の向きに沿った前後R方向F−Rへ延びるように固定して、前記操作者Mが前記機体4の真後ろに立って、該機体4を前方へ押しながら歩行すれば、長い水平面の草刈りを行うことができる。
【0025】
同様に、前記ハンドル5を、前記遊転輪7,7,8,8の向きに沿った前後方向F−Rへ延びるように固定した状態で、前記ハンドル5を所定の前後ストロークで押し引き操作しながら、前記機体4の位置を少しずつ左右いずれかの横方向へずらすようにすれば、所定幅で横方向へ草刈りを行うことができる。
【0026】
前記ハンドル5は、前記ハンドル揺動軸線Yを中心として上下揺動自在であり、前記機体4と前記ハンドル5との間の上下の角度変化が許容されるので、前記機体4の押し引き操作を円滑に行うことができる。
【0027】
さらに、前記ハンドル5を、前記機体4の前後方向F−Rに対して斜め横向きに延びるように固定することにより、前記操作者Mの歩行位置から横にずれた位置の草刈りを行うことも可能となる。このため、図2に示したように、例えば高畔等、上下方向の距離が長い傾斜面G1の草刈りを、安全かつ省力的に行うことができる。
【0028】
すなわち、前記操作者Mは、前記機体4を、その前後方向F−Rが前記傾斜面(法面)G1の等高線の向きに一致するようにして該傾斜面G1上に配置し、該傾斜面G1の上縁に連続する平面G2上を歩行しながら、前記ハンドル5で、前記機体4を前記傾斜面G1の等高線に沿って前方Fへ移動させる。このとき、前記エンジン回動軸線Xを中心として、前記機体4に対して前記内燃エンジン3を回動させ、前記機体4の進行方向Fに対する前記ハンドル5の向きを、前記傾斜面G1の傾斜角度や、前記傾斜面G1における草刈り等高線の高さ位置等に応じて、前記操作者Mが操作し易い適宜の角度位置に固定しておくことにより、前記機体4の操作性が向上し、草刈り作業性も向上する。
【0029】
前記機体4が前記傾斜面G1の終点に到達したら、前記操作者Mは、前記ハンドル5の操作で、前記機体4の向きはそのままにして、その位置のみを前記傾斜面G1上で刈り幅分だけ下にずらす。そして、前記操作者Mは、前記平面G2上を戻り歩行しながら、前記機体4をそれまでとは逆方向Rへと移動させ、それまでより一段低い等高線に沿った草刈りを行う。この場合にも、前記エンジン回動軸線Xを中心として前記機体4上で前記内燃エンジン3を回動させ、前記ハンドル5の向きを、例えば、それまでとは前後逆にして固定する等、前記機体4に対して前記操作者Mが操作し易い適宜の角度位置に固定すれば、円滑な草刈り作業を継続することができる。
【0030】
前記ハンドル5は、前記ハンドル揺動軸線Yを中心として上下揺動自在であるので、前記操作者Mは、前記傾斜面G1の傾斜角度の大きさにかかわらず、常に自分が前記機体4の移動を制御しやすいハンドル角度で作業を行うことができる。
【0031】
また、前記ハンドル5は、長さ調節自在であるので、前記操作者Mは、前記傾斜面G1の長い上下距離に対応して、広範囲に渡る草刈りを確実に行うことができる。
【0032】
なお、図2の例では、前記ハンドル5を前記機体4の進行方向Fに対して斜め横前方へ引き出し、前記ハンドル5で、前記機体4を引っ張り移動させながら草刈りを行っているが、これとは逆に、前記ハンドル5を前記機体4の進行方向Fの斜め横後方へ引き出し、前記ハンドル5で、前記機体4を斜め後ろから押しながら草刈りを行うようにすることもできる。
【0033】
次に、図1に加えて図3乃至図5を参照して、前記草刈機1の具体的な構成について、詳細に説明する。図3は、前記機体4と前記内燃エンジン3との結合関係を示す、エンジン載置部の縦断面図、図4は、図1のA矢視部の一部切欠拡大平面図、図5は、図1のB矢視部の拡大斜視図である。
【0034】
図1に示すように、前記機体4の前記車台6は、前記遊転輪7,7,8,8による移動方向F−Rの前後中央部に水平に形成されたエンジン載置部10と、該エンジン載置部10の前後でそれぞれ斜め上向きに延びるとともにそのそれぞれが前記草刈取口9f,9rを画成する傾斜板11f,11rと、を備えている。前記車台6の全体形状は、その前後も左右も、互いに対称な形状となっている。このため、前記車台6を前進Fさせても後進Rさせても、同じように草刈りを行うことができる。
【0035】
前記車台6の前後には、複数枚の短冊状のゴム板からなる保護カバー12が付設されている。該保護カバー12は、前記草刈取口9f,9rに垂れ下がり、前記車台6の真下で回転する前記刈刃2から、前記操作者Mのつま先等を保護するとともに、前記刈刃2の回転による刈り草等の飛散も防止する。
【0036】
前記車台6は、そのそれぞれが円滑に遊転する前記遊転輪7,7,8,8で支持されているので、該遊転輪7,7,8,8の向きにしたがって、小さな人力で、その前後方向F−Rに移動せしめることができる。限定はされないが、本実施の形態では、前記車台6の前後移動方向F−Rの中央部の左右両側と、前記車台6の前後部の前記傾斜板11f,11rの幅方向中央とに、一輪ずつ、前記遊転輪7,7,8,8を配設している。このようにすれば、前記左右一対の遊転輪8,8が、前記刈刃2の左右の真横に位置しているので、前記車台6の走行路面に凹凸がある場合でも、前記刈刃2が前記走行路面に接触してしまうことがない。また、前記車台6に、前記前後一対の遊転輪7,7が配設されているので、前記ハンドル5による前記車台6の操向操作も容易となる。
【0037】
なお、前記遊転輪7,7,8,8に代えて、そり状部材を接地部材として採用し、前記ハンドル5を介して前記機体4を草刈り面上で滑走させるように制御しながら、草刈りを行うようにすることもできる。
【0038】
前記車台6において、前記エンジン載置部10の水平な上面の中央部には、前記内燃エンジン3が、前記エンジン回動軸線Xを中心として回動自在に支持されている。
【0039】
すなわち、図3に示すように、前記エンジン載置部10の中央部には、円形の貫通孔13が形成され、該貫通孔13の内周には、上下両端部に抜け止め用のフランジ14,14を有する適数(例えば、四つ)のローラ15が、隣接するもの同士の間に均等な角度間隔をおいて、回動自在に係合している。そして、前記エンジン載置部10を上下から挟むように、いずれも円形の回動テーブル16と下プレート17とが同心に配置され、これら同士の間に、前記適数のローラ15のそれぞれが、支軸18で回動自在に支持されている。
【0040】
前記内燃エンジン3には、その図示しないクランク軸に、それ自体周知の構成の遠心式クラッチ装置19を介して、下向きの刈刃駆動軸20が連結されている。前記内燃エンジン3は、前記回動テーブル16と前記下プレート17のそれぞれの中央部に同心に形成された円形の貫通孔21,22の中心位置に前記刈刃駆動軸20を挿通して、前記回動テーブル16に対して固定されている。前記刈刃駆動軸20は、前記エンジン載置部10の前記円形貫通孔13と同心に位置しており、これにより、前記内燃エンジン3は、前記刈刃駆動軸20の中心軸線を前記エンジン回動軸線Xとして、前記機体4に対して回動自在に支持されていることになる。
【0041】
前記刈刃駆動軸20の下端部には、前記刈刃として、短冊板状の回転刈刃2が、その長さ方向の中央部において固着されている。
【0042】
なお、図示簡略化のため、前記回転刈刃2を一枚使用した例を図示したが、互いに若干高さを変えて、二枚の刈刃を十文字状に装着せしめると、一層好適である。
【0043】
図3に示すように、前記回動テーブル16と、前記エンジン載置部10と、の間には、それらの間にごみが入り込むことを防止するため、スポンジ等からなるリング状の防塵シール23が介装されている。
【0044】
固定部側となる前記車台6の前記エンジン載置部10と、回動部側となる前記回動テーブル16と、の間には、前記内燃エンジン3を前記機体4に対して前記エンジン回動軸線Xの回りで任意の回動角度位置に固定するための、エンジン固定手段24が設けられている。
【0045】
具体的には、前記エンジン載置部10に、多数のロックピン受入孔25が、前記エンジン回動軸線Xを中心とした円弧に沿うように、隣接するもの同士の間に所定角度間隔をおいて形成されている。一方、前記回動テーブル16には、前記多数のロックピン受入孔25に対応する位置に、前記エンジン固定手段としての単一のロックピン24が、その軸線に沿って上下動自在に支持されている。該単一のロックピン24は、前記回動テーブル16上に上下方向に延びるように固着されたロックピン支持筒26内に上下摺動自在に収容され、同じく該ロックピン支持筒26内に収容された付勢手段としてのロックピン付勢用圧縮コイルばね27で、前記多数のロックピン受入孔25に突入する下方向へと常時付勢されている。このため、前記ロックピン24は、常時は、前記回動テーブル16に形成されたロックピン挿通孔28を通して、前記多数のロックピン受入孔25のいずれかに係入している。よって、前記ロックピン24を、前記ロックピン受入孔25から上方へ離脱させた後に、前記エンジン回動軸線Xを中心として前記内燃エンジン3を回動させ、別のロックピン受入孔25に前記ロックピン24を係入させるようにすることにより、前記内燃エンジン3を、前記機体4に対して、任意の回動角度位置に固定することができる。
【0046】
前記ロックピン24は、操作力伝達手段としての、引き操作自在なロックピン制御用ボーデンケーブル29を介して、後述するロックピン操作レバー30に作動上連結されている。すなわち、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29のインナーワイヤ31の一端部31aが、前記ロックピン支持筒26内で前記ロックピン24に接続され、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29のアウターチューブ32の一端部32aが、適宜の固定部、すなわち、前記ロックピン支持筒26に固着されたアウターチューブ支持柱33に対して固定されている。
【0047】
このため、前記操作者Mが、前記ロックピン24の前記ロックピン受入孔25からの引き抜き操作方向へと前記ロックピン操作レバー30を揺動操作すると、前記インナーワイヤ31が引かれて、前記ロックピン付勢用圧縮コイルばね27の付勢力に抗して、前記ロックピン24が、前記ロックピン受入孔25から引き抜かれ、前記内燃エンジン3が、前記機体4に対して回動自在となる。そして、前記操作者Mが、それまで前記ロックピン操作レバー30に加えていた操作力を解除すると、前記ロックピン付勢用圧縮コイルばね27の付勢力によって、前記ロックピン24が、前記ロックピン受入孔25へと係入して、前記内燃エンジン3が、前記機体4に対して回動不能に固定される。
【0048】
次に、前記ハンドル5について説明する。該ハンドル5は、図1を参照して既に述べたように、前記エンジン回動軸線Xと交差する(水平)方向へ延びるハンドル揺動(水平)軸線Yを中心として上下揺動自在となるように、前記機体4側ではなく、前記内燃エンジン3側に連結されている。さらに、前記ハンドル5は、長さ調節自在に構成されている。
【0049】
図1に示すように、前記回動テーブル16には、斜め下向き開口コ字状のハンドル支持フレーム34が固着されている。前記ハンドル5は、その左右一対の脚部35a,35aのそれぞれの下端部を、同一水平線Y上に位置する枢止軸36,36を介して、前記ハンドル支持フレーム34に枢止されている。その結果、前記ハンドル5は、前記ハンドル揺動軸線Yを中心として、前記操作者Mのグリップ部37bとなる上端部側が、上下揺動自在となっている。
【0050】
前記ハンドル5は、斜め下向き開口コ字状の原動機側ハンドル要素35と、該原動機側ハンドル要素35に相対伸縮自在に嵌挿連結された、斜め下向き開口コ字状のグリップ部側ハンドル要素37と、を備えている。前記原動機側ハンドル要素35は、その左右一対の脚部35a,35aのそれぞれの下端部を、前記ハンドル支持フレーム34に枢止され、前記グリップ部側ハンドル要素37は、その左右一対の脚部37a,37aを、前記原動機側ハンドル要素35の前記左右一対の脚部35a,35aに、相対伸縮自在に嵌挿連結されている。前記グリップ部側ハンドル要素37において、その前記左右一対の脚部37a,37aの上端部同士を互いに連結する連結バー部が、前記グリップ部37bとして使用される。
【0051】
前記原動機側ハンドル要素35と、前記グリップ部側ハンドル要素37と、の間には、前記ハンドル5の最大伸長量を規制するストッパ装置38が介装されている。
【0052】
該ストッパ装置38は、図4に示すように、外筒となる前記原動機側ハンドル要素35の前記脚部35aの上端部側に配設されたストッパピン39を備えている。一方、内筒となる前記グリップ部側ハンドル要素37の前記脚部37aの下端部側には、単一のストッパピン受入孔40が形成されている。
【0053】
前記ストッパピン39は、前記原動機側ハンドル要素35の前記脚部35aの外周面に直角に固着されたストッパピン支持筒41内に、その軸線方向に摺動自在に収容され、同じく前記ストッパピン支持筒41内に収容された付勢手段としてのストッパピン付勢用圧縮コイルばね42で、前記ストッパピン受入孔40に突入する方向へと常時付勢されている。このため、前記原動機側ハンドル要素35からの前記グリップ部側ハンドル要素37の引き出し時において、前記ストッパピン受入孔40が前記ストッパピン39に対応する位置に至るまでの間は、前記ストッパピン39の先端部39aが、前記原動機側ハンドル要素35に形成された貫通孔43を通して、引き出される前記グリップ部側ハンドル要素37の外表面を相対的に摺動する。そして、前記ストッパピン39は、前記ストッパピン受入孔40が前記ストッパピン39に対応する位置に至ると同時に、前記ストッパピン付勢用圧縮コイルばね42の付勢力によって、前記ストッパピン受入孔40内に自動的に突入する。これにより、前記グリップ部側ハンドル要素37の最大引き出し量が規制され、前記原動機側ハンドル要素35からの抜け出しが阻止される。
【0054】
前記ハンドル5を最大伸長状態から収縮させる場合には、前記ストッパピン39の外端部に固着された頭部つまみ44を指でつまんで、前記ストッパピン39を、前記ストッパピン付勢用圧縮コイルばね42の付勢力に抗して、前記ストッパピン受入孔40から離脱させ、前記グリップ部側ハンドル要素37を、前記原動機側ハンドル要素35内へと押し込めばよい。
【0055】
前記ハンドル5の長さ調節のための機構としては、例えば、押しねじ固定式のものを採用することができる。すなわち、外筒となる前記原動機側ハンドル要素35側に、内筒となる前記グリップ部側ハンドル要素37側へと圧接する押しねじ(図示せず)を設け、該押しねじを緩めて前記原動機側ハンドル要素35に対して前記グリップ部側ハンドル要素37を伸縮させた後に、前記押しねじを締めるようにするのである。
【0056】
しかし、本実施の形態では、前記ハンドル5の長さ調節を簡易な操作で行うことができるように、その長さ調節機構として、次のような構成を採用している。
【0057】
すなわち、図5に示すように、前記グリップ部側ハンドル要素37の一方の前記脚部37aの下側には、その長さ方向に間隔をおいて多数のロック爪受入孔45が形成されている。他方の前記原動機側ハンドル要素35には、その揺動一端部にロック部材としてのロック爪46を有するロックレバー47が、前記原動機側ハンドル要素35の長さ方向と直交する方向へ延びる枢止軸48を介して、揺動自在に枢止されている。前記ロック爪46は、前記原動機側ハンドル要素35に形成された貫通孔49を通して、前記多数のロック爪受入孔45のいずれかに係入する。前記ロックレバー47は、その揺動他端部47aと前記原動機側ハンドル要素35の前記脚部35aとの間に介装された付勢手段としてのロックレバー付勢用圧縮コイルばね50によって、前記ロック爪46が前記多数のロック爪受入孔45に係入する方向へと常時付勢されている。
【0058】
また、前記ロックレバー47には、前記操作者Mが小さな力で前記ロックレバー47を容易に揺動操作することができるように、ロックレバー操作ハンドル51が固着されている。このため、前記操作者Mは、前記ロックレバー操作ハンドル51を操作して、前記ロックレバー付勢用圧縮コイルばね50の付勢力に抗して、前記ロック爪46が前記ロック爪受入孔45から離脱する方向へと前記ロックレバー47を揺動させ、その状態で前記グリップ部側ハンドル要素37を前記原動機側ハンドル要素35に対して伸縮させ、別の前記ロック爪受入孔45に前記ロック爪46を係入させれば、前記ハンドル5を新たな長さに固定することができる。
【0059】
図1に示すように、前記ハンドル5(前記原動機側ハンドル要素35)には、前記内燃エンジン3の回転数を制御するための出力制御部材として、スロットルレバー52が取り付けられている。該スロットルレバー52は、前記操作者Mが手を離してもその操作位置に留まる、操作位置固定式のものとされている。前記スロットルレバー52は、操作力伝達部材としての押し引き操作自在なスロットル制御用ボーデンケーブル53を介して、前記内燃エンジン3に作動上連結されている。前記スロットル制御用ボーデンケーブル53は、草刈り作業の邪魔にならないように、前記原動機側ハンドル要素35に沿わせて配設されている。
【0060】
既に述べたように、前記ハンドル5は、前記機体4に対して前記エンジン回動軸線Xを中心として回動自在に支持された、前記内燃エンジン3側の前記回動テーブル16に連結されている。このため、前記内燃エンジン3を前記エンジン回動軸線Xを中心として回動させて、前記機体4に対する前記ハンドル5の引き出し方向を変更する場合にも、該ハンドル5と前記内燃エンジン3との間の水平面内での相対位置は不変である。よって、前記内燃エンジン3と、前記ハンドル5に固着された前記スロットルレバー52と、を繋ぐ前記スロットル制御用ボーデンケーブル53の取り回し性が良いほか、前記内燃エンジン3を回動させて前記機体4に対する前記ハンドル5の引き出し方向を変更する場合にも、前記スロットル制御用ボーデンケーブル53が邪魔になる等の問題がない。
【0061】
図1に示すように、前記ハンドル5には、前記スロットルレバー52の他に、前記内燃エンジン3の回動角度位置を固定するための前記ロックピン24の操作部材としての前記ロックピン操作レバー30も取り付けられている。該ロックピン操作レバー30は、図3を参照して既に述べたように、操作力伝達手段としての、引き操作自在な前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29を介して、前記ロックピン24に作動上連結されている。
【0062】
前記ロックピン操作レバー30は、前記ハンドル5の前記グリップ部37bを把持した状態で前記操作者Mがその操作を行うことができるように、前記グリップ部37bの近くに配設されている。このため、前記操作者Mは、草刈り作業をしながらでも、前記機体4からの前記ハンドル5の引き出し方向を、自在に変更することができる。
【0063】
ところで、前記グリップ部側ハンドル要素37は、前記原動機側ハンドル要素35に対して相対伸縮自在である。このため、前記グリップ部37bの近くに配設された前記ロックピン操作レバー30と、前記回動テーブル16に配設された前記ロックピン24と、の間の距離は、前記ハンドル5の長さ調節によって変化することになる。この変化を許容するためには、操作力伝達部材として前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29のみを使用する場合には、該ボーデンケーブル29の長さを、前記ハンドル5の最大伸長時に対応する長さに設定しておく必要がある。
【0064】
しかし、そのようにすると、前記ハンドル5を収縮させて草刈りを行う場合に、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29に大きなたるみが生じてしまうので、草刈り作業の邪魔になる等の問題がある。
【0065】
そこで、本実施の形態では、前記ハンドル5を収縮させた場合でも前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29にたるみが生じないように、次のような構成を採用している。
【0066】
図1に示すように、前記ハンドル5には、前記グリップ部側ハンドル要素37の伸縮に応じて前記ハンドル5の長さ方向に沿って伸縮する伸縮ロッド54が、その軸線Zを中心として回動自在に支持されている。具体的には、前記伸縮ロッド54をその前記軸線Z回りで回動自在かつ出入り自由に収容する鞘部材55が、前記原動機側ハンドル要素35の前記左右一対の脚部35a,35aの一方に沿って固定され、前記鞘部材55に対して相対摺動する前記伸縮ロッド54が、前記伸縮ロッド54の上端部54a側を回動自在に支持する軸受ブラケット56を介して、前記グリップ部側ハンドル要素37の前記左右一対の脚部37a,37aの一方に支持されている。
【0067】
前記伸縮ロッド54の前記上端部54aには、前記ロックピン操作レバー30が連結固定されていて、前記操作者Mが前記ロックピン操作レバー30を回動操作することにより、前記伸縮ロッド54が、その前記軸線Zを中心として回動するようになっている。
【0068】
また、その前記一端部31a側が前記ロックピン24に接続されている前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29の前記インナーワイヤ31の他端部31b側は、前記鞘部材55の伸縮ロッド出入口側端部55aの近傍において、前記伸縮ロッド54の前記軸線Z方向に沿って相対移動自在に、且つ、前記伸縮ロッド54の回動に応じて前記インナーワイヤ31が引き操作されるように、前記伸縮ロッド54に対する取付金具57を介して、前記伸縮ロッド54に対して接続されている。
【0069】
図5に明瞭に示すように、前記取付金具57は、一例として、断面四角形とされた前記伸縮ロッド54の外周形状に対応する四角形の伸縮ロッド受入孔57aを有し、前記伸縮ロッド54に嵌挿されて、その前記軸線Z方向に相対移動自在となっており、且つ、前記伸縮ロッド54と常に一体的に回動する。前記伸縮ロッド54の断面の外周形状と、前記取付金具57の前記伸縮ロッド受入孔57aの形状は、前記伸縮ロッド54と前記取付金具57との一体回動を保証するように互いに対応した形状であればよく、図示例のものには限定されない。
【0070】
一方、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29の前記アウターチューブ32の他端部32b側は、前記原動機側ハンドル要素35の前記左右一対の脚部35a,35aの上端部同士を互いに連結する連結バー部35bに固定されている。
【0071】
図1に示すように、前記構成において、前記操作者Mが、前記グリップ部37bの近くに配設された前記ロックピン操作レバー30を揺動操作すると、前記伸縮ロッド54が回動駆動され、前記取付金具57を介して、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29の前記インナーワイヤ31が前記グリップ部37b側へ引かれ、前記ロックピン24が、前記ロックピン付勢用圧縮コイルばね27(図3参照)の付勢力に抗して、前記ロックピン受入孔25から抜け出す。そこで、前記操作者Mは、前記グリップ部37bを水平方向に揺動させることにより、前記エンジン回動軸線Xを中心として、前記機体4上で前記内燃エンジン3を回動させ、前記機体4からの前記ハンドル5の延び出し方向を、作業に都合のよい方向へと変更する。前記ハンドル5の新たな位置が決まったところで、前記操作者Mが、それまで所定角度揺動させたままの状態で拘束していた前記ロックピン操作レバー30を解放すれば、前記ロックピン付勢用圧縮コイルばね27の付勢力によって、前記ロックピン24が新たな前記ロックピン受入孔25に係入して、前記内燃エンジン3が前記機体4に対して新たな回動角度位置に固定される。
【0072】
前記ハンドル5の長さ調節を行うと、前記原動機側ハンドル要素35に対して前記グリップ部側ハンドル要素37が伸縮することに応じて、前記伸縮ロッド54が伸縮する。しかし、該伸縮ロッド54に対しては、前記取付金具57が相対摺動自在に嵌挿されているので、前記伸縮ロッド54の伸縮動作にかかわらず、前記取付金具57は、前記鞘部材55の前記伸縮ロッド出入口部側端部55aの近傍に止まっていることができる。このため、前記ロックピン制御用ボーデンケーブル29は、前記原動機側ハンドル要素35に沿って必要最小限の長さに配設しておけばよく、草刈り作業の邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る草刈機の全体斜視図である。
【図2】 図1の草刈機の使用方法の一例を示す斜視図である。
【図3】 図1の草刈機の機体と原動機との関係を示す、原動機載置部の拡大縦断面図である。
【図4】 図1のA矢視部の一部切欠拡大平面図である。
【図5】 図1のB矢視部の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 草刈機
2 刈刃
3 原動機(内燃エンジン)
4 機体
5 ハンドル
24 原動機固定手段(ロックピン)
29 ボーデンケーブル
30 原動機固定手段操作部材(ロックピン操作ハンドル)
31 インナーワイヤ
32 アウターチューブ
32b アウターチューブの伸縮ロッド側端部
35 原動機側ハンドル要素
37 グリップ部側ハンドル要素
37b ハンドルのグリップ部
54 伸縮ロッド
M 操作者
X 原動機回動軸線(エンジン回動軸線)
Y ハンドル揺動軸線
Z 伸縮ロッドの軸線
Claims (4)
- 刈刃(2)と、該刈刃(2)を駆動する原動機(3)と、該原動機(3)を支持する機体(4)と、操作者(M)が前記機体(4)外から該機体(4)を制御するためのハンドル(5)と、を備え、前記原動機(3)が前記機体(4)に対して回動自在かつ任意の回動角度位置に固定自在に支持されるとともに、前記ハンドル(5)が前記原動機(3)側に連結されている草刈機(1)であって、
前記原動機(3)を前記機体(4)に対して任意の回動角度位置に固定する原動機固定手段(24)と、該原動機固定手段(24)を遠隔操作するための原動機固定手段操作部材(30)と、を備え、該原動機固定手段操作部材(30)が、前記ハンドル(5)のグリップ部(37b)から前記操作者(M)の手が届く位置に配設され、
前記ハンドル(5)が、原動機側ハンドル要素(35)と、該原動機側ハンドル要素(35)に相対伸縮自在に連結されたグリップ部側ハンドル要素(37)と、を備え、該グリップ部側ハンドル要素(37)の伸縮に応じて前記ハンドル(5)に沿って伸縮する伸縮ロッド(54)をその軸線(Z)を中心として回動自在に前記ハンドル(5)に支持させ、前記原動機固定手段操作部材(30)の操作により前記伸縮ロッド(54)が回動するようにそれらを作動上互いに連結するとともに、該伸縮ロッド(54)の回動により前記原動機固定手段(24)が操作されるようにそれらを作動上互いに連結したことを特徴とする、草刈機。 - 前記伸縮ロッド(54)の回動を前記原動機固定手段(24)に伝達するボーデンケーブル(29)を備え、該ボーデンケーブル(29)のインナーワイヤ(31)を、前記伸縮ロッド(54)の前記軸線(Z)方向に沿って相対移動自在に、且つ、前記伸縮ロッド(54)の回動に応じて前記インナーワイヤ(31)が引き操作されるように、前記伸縮ロッド(54)に作動上連結し、前記ボーデンケーブル(29)のアウターチューブ(32)の伸縮ロッド側端部(32b)を、前記原動機側ハンドル要素(35)に止着したことを特徴とする、請求項1に記載の草刈機。
- 前記ハンドル(5)が、前記原動機(3)の回動軸線(X)と交差する方向へ延びる軸線(Y)を中心として揺動自在に、前記原動機(3)側に連結されている、請求項1又は2に記載の草刈機。
- 前記ハンドル(5)が長さ調節自在に構成されている、請求項1,2又は3に記載の草刈機。
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