JP3897204B2 - 光学補償シート、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透明支持体上に、配向膜、および配向された状態で固定されているディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層を、この順に有する光学補償シート、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板および液晶セルと偏光板との間に設けられる光学補償シート(位相差板)からなる。
液晶セルは、棒状液晶性化合物、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性化合物に電圧を加えるための電極層からなる。封入した棒状液晶性化合物を配向させるため、二枚の基板には配向膜(両面配向膜)が設けられる。液晶セルの配向膜は、一般に、ポリイミドやポリビニルアルコールのような高分子薄膜を基板上に設け、布で一様にこする(ラビングする)ことにより得られている。光学補償シートは、液晶画面の着色を取り除く機能を有する複屈折フイルムである。光学補償シートとしては、延伸により複屈折率を高めた樹脂フイルムが普通に用いられている。
【0003】
光学補償シートとして、複屈折率の延伸フイルムの代わりに、液晶性化合物の配向形態を固定して得られる光学的異方性素子を使用することが提案されている。液晶性化合物には、様々な配向形態がある。従って、液晶性化合物の配向形態を固定化することで、複屈折率の延伸フイルムでは得ることができない光学的性能を有する光学的異方性素子を得ることができる。
特開平3−87720号公報には、ねじれネマティック配向させた膜を用いる液晶表示装置の光学補償シートが開示されている。同公報記載の光学補償シートに使用する液晶性化合物は、液晶セルで使用している化合物と類似の棒状液晶性化合物である。特開平5−215921号公報には、配向処理された基板二枚の間に、硬化時に液晶性を示す棒状化合物を封入した光学補償シートが開示されている。
【0004】
しかし、光学補償シートにおいて要求されている液晶性化合物と配向膜の性質は、液晶セルにおける要求とは全く異なる。
例えば、液晶セルに用いられている棒状液晶性化合物では、光学補償シートに要求される視野角の改善効果が不充分である。また、光学補償シートでは、液晶性化合物を配向した状態で固定して使用する必要がある。液晶セルに用いられている棒状液晶性化合物は、配向状態の安定性が乏しい。さらに、液晶セルに用いられている棒状液晶性化合物は、一枚の基板(支持体)上に設けられた配向膜(片面配向膜)の上に塗布するだけでは、充分に配向しない。液晶セルでは、二枚の基板の間に棒状液晶性化合物を封入するため、二枚の基板にそれぞれ配向膜(両面配向膜)を設けることができる。特開平5−215921号公報に記載されているように、光学補償シートにも、液晶セルに類似の両面配向膜の構造を採用すると、液晶表示装置の総重量が増加する。
以上の理由から、光学補償シートに使用する液晶性化合物と配向膜は、液晶セルに用いる液晶性化合物と配向膜から独立して、研究および開発が進められるようになった。
【0005】
液晶性化合物について、最近の光学補償シートでは、棒状液晶性化合物に代えて、ディスコティック液晶性化合物を使用することが提案されている。ディスコティック液晶性化合物を光学補償シートに用いると、液晶表示装置の視野角を著しく改善することができる。また、ディスコティック液晶性化合物は、棒状液晶性化合物と比較して、配向状態の安定性も優れている。特開平8−27284号公報には、ディスコティック液晶性化合物に重合性基を導入し、重合反応によって配向状態を、さらに安定に固定化することが提案されている。
光学補償シートの配向膜については、ディスコティック液晶性化合物の使用を前提として、片面配向膜のみで液晶性化合物の配向を制御する方法が提案されている。特開平7−146409号公報には、ラビングして得られる配向膜の代わりに、SiO斜方蒸着膜を片面配向膜として用いる技術が開示されている。特開平7−281028号公報には、ラビングしたポリイミド膜を片面配向膜として用いる技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平7−146409号公報に記載のSiO斜方蒸着膜を片面配向膜として用いると、ラビング屑が生じないため、配向欠陥が少ない(光学的純度が高い)光学補償シートが得られる。しかし、SiO斜方蒸着膜は、大量生産に適していない。光学補償シートを量産する場合、長尺状の透明支持体の上に、連続して配向膜を形成する必要がある。蒸着膜を長尺状に連続して形成することは、技術的に難しい。
また、長尺状に形成した光学補償シートは、光軸方向に沿って裁断して使用する。そのため、光軸方向が長尺状シートの長手方向と一致しないと、裁断により廃棄する部分が生じる。光軸方向と長手方向との角度の差が拡大すると、廃棄部分の面積が大きくなる。従来の光学補償シートに用いられていた配向膜では、光軸方向の厳密な調整が非常に難しかった。
本発明の目的は、光学的純度が高く、大量生産に適し、さらに光軸方向の厳密な調整が容易な光学補償シート、その製造方法およびそれを用いた液晶表示装置を提供することである。
【0007】
本発明者は、従来の光学補償シートに用いられていた配向膜とは全く異なる、光照射によって配向機能が付与される配向膜に着目した。光照射による配向膜は、液晶セルに設ける配向膜として提案されている(高分子論文集、第47巻、10号、771頁(1990);Langmuir, vol. 8, No. 3, page 1007 (1992) ;Liquid Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (1993);特公平7−92567号、同7−101264号の各公報)。
しかし、光照射によって配向機能が付与される配向膜には、配向機能が弱く不安定であるとの問題がある。そのため、液晶セルにおいても、光照射による配向膜は、未だに研究段階であって、実用的な段階に達していない。むしろ、配向機能の不安定さ(可逆性)を逆に利用して、光照射による配向膜を有する液晶セルを、書き換え可能な光記録媒体として利用することが提案されている(特開平5−241151号公報記載)。
光学補償シートでは、液晶性化合物の配向状態を固定して使用するため、原則として、液晶セルの場合よりも、配向機能の安定性が要求される。また、光学補償シートは、片面配向膜の構成が望ましいため、原則として、両面配向膜の構成を有する液晶セルの場合よりも、強い配向機能が要求される。以上の原則からみて、液晶セルでも実用化されていない光照射による配向膜を、光学補償シートに転用することは全く考慮されていなかった。
しかし、本発明者が研究を進めたところ、驚くべきことに、光照射によって配向機能が付与される配向膜を、光学補償シートにおいて有利に利用できることが判明した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(5)の光学補償シート、下記(6)の光学補償シートの製造方法および下記(7)の液晶表示装置を提供する。
(1)透明支持体上に、感光性ポリマーを含む配向膜、および配向された状態で固定されているディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層を、この順に有する光学補償シートであって、
上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリマーであり、かつ上記配向膜が、単一方向からの光照射によって配向機能が付与された膜であることを特徴とする光学補償シート。
(2)上記ディスコティック液晶性化合物が重合により配向された状態で固定されている(1)に記載の光学補償シート。
(3)上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリビニルアルコールであり、ポリビニルアルコールとフォトクロミック化合物との結合が下記式で表される(1)に記載の光学補償シート:
Ph−CO−O−Pl
式中、Phはフォトクロミック化合物であり、Plはポリビニルアルコールの主鎖である。
(4)上記ディスコティック液晶性化合物が、ディスコティックネマティック相の状態で固定されている(1)に記載の光学補償シート。
(5)フォトクロミック化合物がC=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造と、その両側に存在する環状構造からなる(1)に記載の光学補償シート。
【0009】
(6)透明支持体上に、フォトクロミック化合物を化学的に結合させた感光性ポリマーを含む膜を設ける工程;フォトクロミック化合物を化学的に結合させた感光性ポリマーを含む膜に、単一方向から光を照射して配向膜を形成する工程;配向膜の上に、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層を設ける工程;そして、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層に光を照射して、光学的異方性層を形成する工程からなる光学補償シートの製造方法。
(7)液晶セル、偏光板および液晶セルと偏光板との間に設けられる光学補償シートからなる液晶表示装置であって、
光学補償シートが、透明支持体上に、感光性ポリマーを含む配向膜、および配向された状態で固定されているディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層を、この順に有し、上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリマーであり、かつ上記配向膜が、単一方向からの光照射によって配向機能が付与された膜であることを特徴とする液晶表示装置。
【0010】
【発明の効果】
本発明者の研究の結果、ディスコティック液晶性化合物を使用すれば、光照射による配向膜の配向機能が弱く不安定であっても、液晶性化合物を配向した状態で固定できることが判明した。ディスコティック液晶性化合物は、配向機能が弱い片面配向膜の構成であっても、充分に配向する。そして、配向膜側の配向機能が不安定であっても、ディスコティック液晶性化合物の配向状態の安定性が優れているため、光照射により配向させてから固定するまでの短時間であれば、配向状態を維持することができる。なお、液晶性化合物の配向状態を固定すると、配向した液晶性化合物により配向膜の配向機能が保たれている。
光照射による配向膜を用いると、配向欠陥のない光学的純度が高い光学補償シートを得ることができる。また、光照射は、大きな面積に対して同時に実施できるため、大量生産にも適している。さらに、光照射は正確な方向から実施することができるため、光学補償シートの光軸方向の厳密な調整も容易である。
以上の理由から、光照射によって配向機能が付与される配向膜は、光学補償シートにおいて有利に利用できる。
なお、ディスコティック液晶性化合物の固定化は、一般に光重合開始剤を用いる光重合反応により実施する。光照射による配向膜を用いると、配向機能を付与する光照射と、光重合反応のための光照射との関係が問題になる。この二回の光照射は、上記(6)の製造方法の処理手順を採用することで、問題なく実施することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[層構成および製造手順]
光学補償シートの基本的な層構成および製造手順について、図面を引用しながら説明する。
光学補償シートは、透明支持体上に、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜を設ける第1工程;フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜に、単一方向から光を照射して配向膜を形成する第2工程;配向膜の上に、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層を設ける第3工程;そして、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層に光を照射して、光学的異方性層を形成する第4工程により製造することが好ましい。
図1は、第1工程が終了した状態を示す断面模式図である。
図1に示すように、透明支持体(1)の上に、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜(2)を設ける。この膜(2)は、そのままでは配向機能を有していない。
【0012】
図2は、第2工程が終了した状態を示す断面模式図である。
図2に示すように、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜(2)に、単一方向から光(3)を照射することで、膜(2)に配向機能が付与される。
図3は、第3工程が終了した状態を示す断面模式図である。
図3に示すように、配向膜(2)の上に、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層(4)を設ける。ディスコティック液晶性化合物は、ディスコティックネマティック液晶相を示す温度において、配向膜(2)により配向する。ただし、その配向状態は固定化されていない。
図4は、第4工程が終了した状態を示す断面模式図である。
図4に示すように、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層(4)に光(5)を照射して、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化する。
【0013】
[透明支持体]
透明支持体としては、プラスチックフイルム、ガラス(石英ガラス)板または金属フイルムが用いられる。液晶表示装置の総重量を軽量化するため、プラスチックフイルムが好ましく用いられる。プラスチックフイルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンが含まれる。大量生産のため、透明支持体は長尺状(ロール状)に形成することが好ましい。
透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体と配向膜との間に、親水性ポリマー(例、ゼラチン、ポリビニルアルコール)を含む下塗り層を設けてもよい。
下塗り層の厚さは、0.1乃至2μmであることが好ましく、0.2乃至1μmであることがさらに好ましい。
【0014】
[配向膜]
単一方向からの光照射によって配向機能が付与される配向膜は、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを用いて形成する。
フォトクロミック化合物は、光の作用で化学構造に変化が生じ、それにより光に対する挙動(例えば色調)も変化する化合物である。一般に、それらの変化は可逆的である。
液晶セルについて従来提案されたフォトクロミック化合物には、アゾベンゼン化合物(K. Ichimura et al., Langmuir, vol. 4, page 1214 (1988);K. Aoki et al., Langmuir, vol. 8, page 1007 (1992);Y. Suzuki et al., Langmuir, vol. 8, page 2601 (1992);K. Ichimura et al., Appl. Phys. Lett., vol. 63, No. 4, page 449 (1993);N. Ishizuki, Langmuir, vol. 9, page 3298 (1993) ;N. Ishizuki, Langmuir, vol. 9, page 857 (1993))、ヒドラゾノ−β−ケトエステル化合物(S. Yamamura et al., Liquid Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (1993))、スチルベン化合物(市村國宏他、高分子論文集、第47巻、10号、771頁(1990))およびスピロピラン化合物(K. Ichimura et al., Chemistry Letters, page 1063 (1992) ;K. Ichimura et al., Thin Solid Films, vol. 235, page 101 (1993) )が含まれる。
【0015】
C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造を含むフォトクロミック化合物が、特に好ましい。二重結合構造を有するフォトクロミック化合物は、下記(1)および(2)の必須要素と、下記(3)〜(5)の任意要素からなる。
(1)C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造
(2)上記(1)の結合の両側に(直結しなくてもよく)存在する環状構造
(3)任意の(1)と(2)との間の連結基
(4)任意の(1)の炭素原子の置換基
(5)任意の(2)の環状構造の置換基
上記(1)の二重結合構造は、シス型よりもトランス型が好ましい。二重結合構造は、分子内に二つ以上存在していてもよい。複数の二重結合構造は、共役の関係にあることが好ましい。
上記(2)の環状構造の例には、ベンゼン環、ナフタレン環および含窒素複素環(例、ピリジニウム環、ベンゾピリジニウム環)が含まれる。含窒素複素環の場合、環を構成する(窒素原子ではなく)炭素原子が(1)の二重結合構造の炭素原子または窒素原子と結合することが好ましい。ベンゼン環が特に好ましい。
【0016】
上記(3)の連結基の例には、−NH−および−CO−が含まれる。ただし、(3)の連結基がなく、(1)と(2)とが直結していることが好ましい。
上記(4)の置換基の例には、アリール基(例、フェニル)およびシアノが含まれる。ただし、(4)の置換基がなく、二重結合構造に含まれる炭素原子が、(2)との結合以外は無置換(−CH=CH−または−CH=N−)であることが好ましい。
上記(5)の置換基の例には、アルコキシ基(例、メトキシ、ヘキシルオキシ)、シアノ、アルキル基(例、ブチル、ヘキシル)およびアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ)を挙げることができる。(2)の環状構造がベンゼン環の場合、パラ位に置換基が結合することが好ましい。なお、後述するように、フォトクロミック化合物をポリマーに化学的結合させて使用する場合は、ポリマーに化学的結合させるための官能基を、(5)の置換基としてフォトクロミック化合物に導入する。
【0017】
配向膜の形成において、フォトクロミック化合物は、何らかの手段を用いて支持体表面に対して固定して使用する必要がある。フォトクロミック化合物の固定手段としては、(a)ポリマーとフォトクロミック化合物の混合物塗布による固定、(b)フォトクロミック化合物のポリマーへの化学的結合、(c)フォトクロミック化合物の支持体表面への吸着および(d)フォトクロミック化合物の支持体表面への化学的結合がある。
液晶セルでは、(c)または(d)の手段を用いて、液晶セルの基板である石英ガラス表面に、フォトクロミック化合物を吸着または結合させる手段が普通に用いられていた。しかし、光学補償シートでは、液晶表示装置の軽量化のため、ガラス板よりもプラスチックフイルムを支持体として用いることが好ましい。そのため、光学補償シートでは、(a)または(b)の手段を用いることが好ましい。本発明では、フォトクロミック化合物を安定に固定するため、(b)の手段を用いる。
【0018】
(a)または(b)の手段に使用するポリマーは、親水性ポリマー(例、ゼラチン、ポリビニルアルコール)であることが好ましい。ポリビニルアルコールが特に好ましく用いられる。
(b)の手段における、フォトクロミック化合物とポリマーとの反応は、ポリマーの種類(特に官能基の種類)に応じて決定する。ポリビニルアルコールのような水酸基を有するポリマーの場合は、酸ハライドと水酸基との反応を利用して、フォトクロミック化合物をポリマーと結合させることができる。具体的には、ハロゲン化アシル基(−COX、Xはハロゲン)を、フォトクロミック化合物に置換基として導入し、ハロゲン化アシル基とポリマーの水酸基との反応(Ph−COX+HO−Pl→Ph−CO−O−Pl+HX、Phはフォトクロミック化合物、Plはポリマーの主鎖)により化学的に結合させる。
【0019】
感光性ポリマーは、光異性化ポリマー、光二量化ポリマーおよび光分解ポリマーに分類できる。光異性化ポリマーとしては、上記のようにフォトクロミック化合物を結合させたポリマーが代表的(実質的には同義)である。光二量化ポリマーの例には、ポリビニルシンナメートが含まれる。光分解ポリマーの例には、ポリイミドが含まれる。光分解型ポリイミドについては、特開平5−34699号、同6−289399号、同8−122792号の各公報および第22回液晶討論会講演予稿集、1672頁A17(1996)に記載がある。
フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜は、適当な溶媒を用いた溶液または分散液の塗布により、透明支持体上に形成することができる。なお、配向膜の構成成分は、液晶としての性質を示さないことが好ましい。
配向膜の厚さは、0.1乃至5μmであることが好ましく、0.2乃至2μmであることがさらに好ましい。
以上のようにフォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜を形成してから、単一方向からの光照射により膜に配向機能を付与する。照射する光は、X線、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)が用いられる。紫外線を用いることが特に好ましい。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)あるいはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が好ましく用いられる。
【0020】
光は、可能な限り単一方向に揃えて膜に照射する。この単一方向とは、膜平面(光の方向を膜平面に投影した向き)において単一の方向であることを意味し、膜平面に対して水平または垂直の方向も含む。光照射の方向は、製造される光学補償シートの光軸が、ロール状シートの長手方向と一致するように調整することが好ましい。そのためには、光照射の方向は、一般にロール状シートの長手方向とは異なる角度になる。具体的な角度は、配向膜とディスコティック液晶性化合物の種類によって決定される。
なお、液晶セルに関する従来技術では、両面配向膜の間に液晶層を設けてから、光照射を実施していた。そのため、従来は、基板(支持体)通して光を照射していた。これに対して、光学補償シートの作成では、液晶性化合物を含む層を設ける前に、光照射を実施することが可能であり、かつ好ましい。よって、透明支持体側からではなく、直接、フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜に対して光を照射できる。また、液晶セルに関する従来技術では、一般に、直線偏光を照射していたが、光学補償シートの作成では、偏光していない自然光を照射してもよい。
露光量は、2000乃至6000mJ/cm2 であることが好ましく、3000乃至5000mJ/cm2 であることがさらに好ましく、4000mJ/cm2 程度であることが最も好ましい。短時間で膜に配向機能を付与するためには、加熱しながら光を照射することが好ましい。加熱温度は、40乃至250℃であることが好ましい。
【0021】
[光学的異方性層]
光学的異方性層は、上記配向膜によってディスコティック液晶性化合物を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性化合物を固定することによって形成する。ディスコティック液晶性化合物は、重合反応により固定することが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0022】
(I)
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LP(またはPL)は、二価の連結基(L)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがさらに好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。
【0030】
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(C)に結合する。
L1:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−
L2:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
L3:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−アルキレン−
L4:−アルキレン−CO−O−アルキレン−
L5:−O−アルキレン−O−CO−
L6:−O−アルキレン−O−
L7:−O−アルキレン−O−CO−NH−アルキレン−
L8:−O−アルキレン−S−アルキレン−
L9:−O−アルキレン−
L10:−CO−アリーレン−O−アルキレン−O−CO−
L11:−CO−アリーレン−O−アルキレン−
L12:−CO−アリーレン−O−アルキレン−O−
L13:−CO−NH−アルキレン−
L14:−NH−アルキレン−O−CO−
L15:−NH−アルキレン−O−
L16:−S−アルキレン−S−アルキレン−
L17:−S−アルキレン−
L18:−S−アルキレン−O−
L19:−O−CO−アリーレン−アルキレン−O−CO−
【0031】
重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8)またはエポキシ基(P6)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8)であることが最も好ましい。
式(I)において、4乃至12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
液晶相状態や配向温度の調節、あるいは重合の抑制または促進の目的で、棒状のネマティック液晶、非液晶性の低分子または高分子化合物をディスコティック液晶性化合物と混合して用いてもよい。ただし、混合物中のディスコティック液晶性化合物の割合は、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性化合物を含む層は、ディスコティック液晶性化合物および必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
ディスコティック液晶性化合物を含む層の厚さは、0.5乃至100μmであることが好ましく、0.5乃至30μmであることがさらに好ましい。
【0038】
ディスコティック液晶相は、ディスコティックコアが分子間力で柱状に積み重なった柱状相(columnar phase)、ディスコティックコアの光軸を揃えて、重心の位置が不規則に凝集したディスコティックネマティック相、棒状液晶分子のコレステリック相に相当するカイラルディスコティックネマティック相に分類される。光学補償シートにおいては、ディスコティックネマティック相となることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物を光学補償シートに用いるためには、分子全体を統計的に一方向に並べる必要がある。ディスコティック液晶性化合物は、微視的には特定の方向性を持った配向領域(ドメイン)で構成され、巨視的には光学的異方性を示さない(熱力学的に安定な)マルチドメインを形成する。従って、等方性の支持体上では、ディスコティック液晶性化合物は、光学的異方性を示さない。ディスコティック液晶性化合物のモノドメイン性を促進する要素が、前述した配向膜である。
ディスコティック液晶性化合物が、配向膜の機能によりディスコティックネマティック液晶相になる温度は、一般に70℃以上(好ましくは70乃至300℃、さらに好ましくは70乃至170℃)である。従って、ディスコティック液晶性化合物を配向させるためには、一般には、70℃以上の加熱が必要である。加熱は、ディスコティック液晶性化合物を含む層の表面が自由界面を有する状態(完全に乾燥していない状態)で実施することが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物は、平面状の単一方向に配向する。ただし、配向の向きは、極方向(厚み方向)には異なっていてもよい。例えば、配向膜に接する光学的異方性層の下部から表面にかけて、垂直方向に配向が徐々に変化するハイブリッド配向であってもよい。
【0039】
配向させたディスコティック液晶性化合物を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0040】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性化合物の重合のための光照射は、配向膜の形成のための光照射と同様に、紫外線を用いることが好ましい。ただし、配向膜の場合と異なり、単一方向から照射する必要はなく、ディスコティック液晶性化合物を含む層の全面に、重合反応に必要とされるエネルギー量の光を照射すればよい。
照射エネルギーは、20乃至5000mJであることが好ましく、100乃至800mJであることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
【0041】
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板および液晶セルと偏光板との間に設けられる光学補償シートから構成される。
液晶セルは、棒状液晶性化合物(TN、STN、IPSあるいはOCB型)、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性化合物に電圧を加えるための電極層からなる。封入した棒状液晶性化合物を配向させるため、二枚の基板には配向膜(両面配向膜)が設けられる。なお、前述したように、液晶セルにおける光照射による配向膜は、研究段階であって、まだ問題点が多い。従って、液晶セルの配向膜は、従来の方法で、ポリイミドやポリビニルアルコールのような高分子薄膜を布で一様にこする(ラビングする)ことにより得ることが好ましい。
光学補償シートの光学的異方性層の表面を、液晶セルの基板の表面に接着する。
【0042】
【実施例】
[参考例1a]
下記式で表わされるスピロピランを、アミノプロピルトリエトキシシアン(ATS)と、氷冷下、ジクロロメタン中、DCC存在下でカップリング反応させた。沈澱物を濾過後、エタノールを加えて、石英基板表面へ結合させるためのシリル化溶液を調製した。この溶液に、洗浄した12×35mmの石英基板を室温で10分間浸漬し、120℃で3分間加熱し、クロロホルム中で超音波洗浄後、乾燥した。このようにして、石英基板表面に、スピロピラン(フォトクロミック化合物)を化学的に結合させた。
【0043】
【化12】
【0044】
500Wの高圧水銀灯から365nmの直線偏光を取り出し、基板表面に対して、入射角80度、方位角0度で5分間光照射した。この上に、下記のディスコティック液晶性化合物と光重合開始剤(イルガキュア907)の混合物の10重量%2−ブタノン溶液を塗布し、乾燥後90℃で5分間放置し、その状態で再度500W高圧水銀灯からの365nmの光を5秒間照射して冷却した。
【0045】
【化13】
【0046】
この石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、シュリーレン模様は全く見られず、試料台の回転に伴って、周期的に明暗が変化した。この結果から、液晶性化合物が一方向にモノドメイン配向した状態で固定していることがわかった。さらに、石英板を3日間放置してから改めて偏光顕微鏡で観察したところ、全く同じ状態が保たれていた。
【0047】
[参考例1b]
参考例1aにおいて、500Wの高圧水銀灯からの365nmの直線偏光照射(最初の光照射)を実施しなかった以外は同様に処理を実施した。得られた石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、シュリーレン模様が全面に見られ、液晶は全く配向しないまま固定していることが分かった。
【0048】
[参考例1c]
参考例1aにおいて、二回目の液晶性化合物に対する光照射を実施せず、急冷により光学的異方性層を形成した以外は同様に処理を実施した。得られた石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、参考例1aと同様にシュリーレン模様は見えず、液晶性化合物が完全にモノドメイン配向していた。石英板を3日間放置してから改めて偏光顕微鏡で観察したところ、全面にマルチドメインの針状模様の結晶相が成長しており、光学的異方性材料としての性質が失われていた。
【0049】
[参考例2a]
下記のポリイミドを、石英基板表面に結合させた。
【0050】
【化14】
【0051】
500Wの高圧水銀灯から240〜260nmの直線偏光を取り出し、支持体面に対して、入射角80度、方位角0度で20分間光照射した。この上に、前記のディスコティック液晶性化合物と光重合開始剤(イルガキュア907)の混合物の10重量%2−ブタノン溶液を塗布し、乾燥後90℃で5分間放置し、その状態で再度500W高圧水銀灯からの365nmの光を5秒間照射して冷却した。
この石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、シュリーレン模様は全く見られず、試料台の回転に伴って、周期的に明暗が変化した。この結果から、液晶性化合物が一方向にモノドメイン配向した状態で固定していることがわかった。さらに、石英板を3日間放置してから改めて偏光顕微鏡で観察したところ、全く同じ状態が保たれていた。
【0052】
[参考例2b]
参考例2aにおいて、500Wの高圧水銀灯からの240〜260nmの直線偏光照射(最初の光照射)を実施しなかった以外は同様に処理を実施した。得られた石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、シュリーレン模様が全面に見られ、液晶は全く配向しないまま固定していることがわかった。
【0053】
[参考例2c]
参考例2aにおいて、二回目の液晶性化合物に対する光照射を実施せず、急冷により光学的異方性層を形成した以外は同様に処理を実施した。得られた石英板を偏光顕微鏡で観察したところ、参考例2aと同様にシュリーレン模様は見えず、液晶性化合物が完全にモノドメイン配向していた。石英板を3日間放置してから改めて偏光顕微鏡で観察したところ、全面にマルチドメインの針状模様の結晶相が成長しており、光学的異方性材料としての性質が失われていた。
【0054】
[実施例1]
(透明支持体の作成)
透明なポリエーテルスルホンフイルム(厚さ:170μm)を支持体として用いた。透明支持体の片面に、ゼラチン下塗り層(厚さ:0.5μm)を設けた。
【0055】
(光異性化ポリマーの合成)
完全ケン化ポリビニルアルコール(重合度:500)および4−(4−ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシアセチルクロリドを、ジメチルホルムアミドとベンゼンの混合溶媒中で5時間加熱し、ポリビニルアルコールに16重量%のアゾベンゼン単位(フォトクロミック化合物)が導入された下記の光異性化ポリマーを合成した。
【0056】
【化15】
【0057】
(配向膜の形成)
上記光異性化ポリマーに0.5重量%のグルタルアルデヒドを添加した。混合物を、水とメタノールの混合溶媒に溶解して、2.5重量%の溶液を得た。溶液をゼラチン下塗り層の上に塗布し、乾燥した。次に、85℃に加熱した状態で500W超高圧水銀灯からの365nmの平行光(非偏光)を、支持体面に対し、入射角60度、方位角45度で5分間照射した。光照射後、冷却して配向膜を形成した。
【0058】
(光学的異方性層の形成)
前記のディスコティック液晶性化合物に光重合開始剤(イルガキュア907)を0.1重量%混合した。配向膜の上に、混合物の10重量%2−ブタノン溶液を塗布し、乾燥後90℃で5分間放置し、その状態で再度500W超高圧水銀灯からの365nmの光を5秒間照射して冷却した。このようにして、光学補償シートを作成した。
【0059】
(光学補償シートの評価)
光学補償シートを二枚の直交偏光子の間に挿み、光の透過性を調べたところ、支持体の長尺方向と直交偏光子の軸が一致したときに最も明るく、直交偏光子の軸に対して支持体の長尺方向が45度の角度のときに、ほとんど光を透過しなかった。以上の結果から、ディスコティック液晶性化合物は、配向膜に用いたアゾベンゼンへの光照射方向に対応して配向していることがわかった。1m2 当りのゴミ由来の配向欠陥を調べたところ、平均して3個であった。さらに、光学補償シートを3日間放置してから、改めて観察したところ、全く同じ状態が保たれていた。
次に、光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に挿入して、液晶表示装置を作成した。得られた液晶表示装置は、視野角が広く、コントラストが高く、ゴミに起因する画像の歪みや色の異状が少ない優れた画像を表示した。
【0060】
[比較例1]
配向膜の配向機能を、超高圧水銀灯の光照射ではなく、ラビングにより付与した以外は、実施例1と同様に光学補償シートを作成した。得られた光学補償シートの光学特性は、実施例1と全く同等であった。ただし、1m2 当りのゴミ由来の配向欠陥は、平均して7個であった。
【0061】
[比較例2]
実施例1において、最初の光照射を実施しなかった以外は同様に処理を実施した。得られた光学補償シートを90℃(ディスコティックネマチック液晶相形成温度)で長時間放置したが、全く配向する気配はなく、この液晶性化合物に特有のシュリーレン模様が残ったままであった。
【0062】
[比較例3]
実施例1において、二回目の液晶性化合物に対する光照射を実施せず、急冷により光学的異方性層を形成した以外は同様に処理を実施した。得られた光学補償シートは、実施例1と同様にシュリーレン模様は見えず、液晶性化合物が完全にモノドメイン配向していた。光学補償シートを3日間放置してから改めて観察したところ、全面にマルチドメインの針状模様の結晶相が成長しており、光学的異方性材料としての性質が失われていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1工程が終了した状態を示す断面模式図である。
【図2】第2工程が終了した状態を示す断面模式図である。
【図3】第3工程が終了した状態を示す断面模式図である。
【図4】第4工程が終了した状態を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 透明支持体
2 フォトクロミック化合物または感光性ポリマーを含む膜(配向膜)
3 光(配向機能付与)
4 ディスコティック液晶性化合物を含む層(光学的異方性層)
5 光(重合反応開始)
Claims (7)
- 透明支持体上に、感光性ポリマーを含む配向膜、および配向された状態で固定されているディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層を、この順に有する光学補償シートであって、
上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリマーであり、かつ上記配向膜が、単一方向からの光照射によって配向機能が付与された膜であることを特徴とする光学補償シート。 - 上記ディスコティック液晶性化合物が重合により配向された状態で固定されている請求項1に記載の光学補償シート。
- 上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリビニルアルコールであり、ポリビニルアルコールとフォトクロミック化合物との結合が下記式で表される請求項1に記載の光学補償シート:
Ph−CO−O−Pl
式中、Phはフォトクロミック化合物であり、Plはポリビニルアルコールの主鎖である。 - 上記ディスコティック液晶性化合物が、ディスコティックネマティック相の状態で固定されている請求項1に記載の光学補償シート。
- フォトクロミック化合物がC=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構造と、その両側に存在する環状構造からなる請求項1に記載の光学補償シート。
- 透明支持体上に、フォトクロミック化合物を化学的に結合させた感光性ポリマーを含む膜を設ける工程;フォトクロミック化合物を化学的に結合させた感光性ポリマーを含む膜に、単一方向から光を照射して配向膜を形成する工程;配向膜の上に、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層を設ける工程;そして、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物および光重合開始剤を含む層に光を照射して、光学的異方性層を形成する工程からなる光学補償シートの製造方法。
- 液晶セル、偏光板および液晶セルと偏光板との間に設けられる光学補償シートからなる液晶表示装置であって、
光学補償シートが、透明支持体上に、感光性ポリマーを含む配向膜、および配向された状態で固定されているディスコティック液晶性化合物を含む光学的異方性層を、この順に有し、上記感光性ポリマーが、フォトクロミック化合物を化学的に結合させたポリマーであり、かつ上記配向膜が、単一方向からの光照射によって配向機能が付与された膜であることを特徴とする液晶表示装置。
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