JP3896943B2 - 電気式産業車両の走行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気式産業車両の走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、一対の左右駆動輪と1つの操舵輪とを備えた三輪型のカウンタバランスフォークリフトには、車両旋回時に、操舵輪の操舵角に基づいて左側駆動輪及び右側駆動輪を駆動する各駆動モータの回転数を個々に制御するものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
これは、車両旋回時に、各駆動輪の旋回中心からの回転半径に差ができ、各駆動輪の移動速度に差ができるためである。従って、このような車両では、例えば操舵輪の位置を車速を定める基準位置(所定部位)とし、この基準位置がアクセル開度に応じた目標値の車速となるように、アクセル開度及び操舵角に応じて左側駆動輪及び右側駆動輪の移動速度を個々に制御する速度制御が行われている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−069613号公報
【特許文献2】
米国特許第5487437号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アクセル開度に応じた車速となるように制御する基準位置を、例えば操舵輪の位置とする場合には、先ずアクセル開度に応じた車速の目標値を設定し、操舵輪がこの目標値をとるために必要な左側駆動輪及び右側駆動輪の各移動速度の目標値を求める。
【0006】
そして、外側駆動輪及び内側駆動輪の移動速度の各検出値と、それぞれの目標値との偏差に基づいてPID制御等のフィードバック制御を行い、外側駆動輪及び内側駆動輪の各移動速度をそれぞれの目標値に制御する。
【0007】
このとき、外側駆動輪及び内側駆動輪の各移動速度は、PID制御によって、目標値に向かって加減速制御される。このときの加減速度は、例えばアクセル開度の変化状態に応じてPID制御のゲインを調節することで設定されていた。
【0008】
具体的には、アクセル開度の変化状態に対する加減速度は、アクセル操作が多用される車両直進時において最適な加減速制御が行われるように設定されていた。例えば、車両停止状態でアクセルペダルを急激に踏み込み操作してアクセル開度を「0」から全開にしたときに、車両が所定距離を所定時間で走行するときの加減速度に設定されている。
【0009】
ところが、車両を急旋回させるために速い操舵が行われて操舵角が急激に変化したときには、アクセル開度が一定のままであっても、操舵輪の移動速度を目標値に維持するために必要な各駆動輪の目標速度が大きく変化する。
【0010】
このとき、車両直進時に最適な加減速が行われるように設定されている加減速度が適用されるため、外側駆動輪及び内側駆動輪の移動速度が、急旋回時の操舵角に応じた目標値の変化に追従できず、目標値に制御されるまでの時間が長くなり過ぎる。従って、速い操舵を行ったときには、各駆動輪の移動速度はそれぞれの目標値に対して追従性が低下する。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、所定の所定部位の移動速度がアクセル開度に応じた目標値となるように駆動輪の移動速度を制御する電気式産業車両の走行制御装置において、操舵に伴って変化する目標値に対する駆動輪の移動速度の追従性を向上させることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、機台の所定部位の移動速度を、アクセル開度を含む操作量に応じた目標値に一致させるように、前記操作量と、操舵輪の操舵角とに基づき、駆動輪の移動速度の目標値を定め、該駆動輪の移動速度を、前記目標値に一致させるように該駆動輪を速度制御する制御手段を備えた電気式産業車両の走行制御装置である。前記制御手段は、前記駆動輪の移動速度を前記目標値に向かって速度制御する際の加減速度を、前記操舵輪の操舵速度に応じて変化させる加減速度制御手段を備え、前記加減速度制御手段は、前記操作量の変化に基づく加減速度より、操舵速度に基づく加減速度が大きかったときにのみ、操作量の変化に基づく加減速制御に代えて、操舵速度に基づく加減速制御を行う。ここで、機台の所定部位とは、駆動輪の移動速度に対し、その移動速度が操舵角に応じて変化するところである。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、操舵が行われずにアクセル操作やブレーキ操作が行われたときには、駆動輪の移動速度がその目標値に向かって操作量の変化状態に応じた加減速度で加減速制御され、所定部位の移動速度がその目標値に向かって加減速制御される。一方、操舵が行われたときには、その操舵速度がより速いほど、駆動輪の移動速度が、操舵角変化後の目標値に向かってより大きな加減速度で加減速制御される。その結果、操舵時において、駆動輪の移動速度の目標値に対する追従性を向上することができる。また、アクセル操作等を行うときに相対的に遅い操舵を行ったときには、アクセル開度等の変化状態に応じた加減速度で駆動輪の移動速度が加減速制御される。このため、操舵に伴う駆動輪の移動速度の追従性がそれほど問題とならないときには、アクセル操作に応じた加減速度で車両が加減速する。また、相対的に速い操舵を行うときにアクセル操作を行ったときには、操舵速度に応じた加減速度で駆動輪の移動速度が加減速制御される。このため、操舵に伴う駆動輪の移動速度の追従性が問題となるときには、操舵に応じた駆動輪の移動速度の追従性が向上する。このとき、アクセル操作に応じて加減速制御されないので、機台が安定して旋回する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記駆動輪の移動速度を検出する速度検出手段と、前記所定部位の移動速度の目標値に対応する駆動輪の移動速度の目標値と、駆動輪の移動速度の検出値とに基づき、駆動輪の移動速度を目標値に制御する速度制御手段とを備えている。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、駆動輪の移動速度を検出し、この検出値と目標値とに基づいて駆動輪の移動速度をフィードバック制御する産業車両において、前記請求項1に記載の発明の作用が得られる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記駆動輪は、左右一対の左側駆動輪及び右側駆動輪であり、前記操舵輪は、前記両駆動輪の中間に対応する位置に配置された産業車両に用いられるものである。ここで、「両駆動輪の中間に対応する位置」とは、両駆動輪の中央位置と、両駆動輪の間において中央位置を外れた位置とを含み、中央に限定されるものではない。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、操舵角が例えば90°まで大きく操舵され、駆動輪の移動速度に対する所定部位の移動速度の速度比が大きくなる産業車両において請求項1又は請求項2に記載の発明の作用が顕著となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を、三輪型カウンタバランス式フォークリフトの走行制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、電気式で三輪型のカウンタバランス式フォークリフト(産業車両。以下、単にフォークリフトという。)10は、その車体11の前部に左側駆動輪12及び右側駆動輪13を備え、同じく後部に操舵輪14を備えている。また、車体11の前側にはマスト装置15を備え、同じく両駆動輪12,13と操舵輪14との間には運転席16を備えている。運転席16には、座席17が設けられている。
【0024】
左側駆動輪12及び右側駆動輪13は、共通の固定軸線上に左右一対をなすように配置されている。
操舵輪14は、左側駆動輪12及び右側駆動輪13との中央(中間)に対応する位置に配置されている。
【0025】
運転席16には、アクセルペダル18、ブレーキペダル19、ディレクションレバー20、ステアリングホイール21、荷役レバー22が設けられている。
次に、本実施形態の電気的構成を図4に従って説明する。
【0026】
フォークリフト10は、アクセル開度センサ23、操舵角センサ24、左輪速度センサ25、右輪速度センサ26及びディレクションスイッチ27を備えている。また、フォークリフト10は、コントローラ28、左モータ駆動装置29、右モータ駆動装置30、左輪駆動モータ31及び右輪駆動モータ32を備えている。
【0027】
本実施形態では、コントローラ28、左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30が制御手段、加減速度制御手段及び速度制御手段を構成する。また、左輪速度センサ25及び右輪速度センサ26が速度検出手段である。
【0028】
アクセル開度センサ23は、アクセルペダル18の踏み込み量に対応したアクセル開度(操作量)THを検出し、その検出値をコントローラ28に出力する。
操舵角センサ24は、操舵輪14の操舵角θを検出し、その検出値をコントローラ28に出力する。なお、操舵輪14は、車両が直進するときの操舵角θ=0°から、右操舵時には操舵角θ=90°まで、また、左操舵時には操舵角θ=−90°まで操舵される。
【0029】
左輪速度センサ25は、左側駆動輪12の移動速度である左輪速度Vlを検出し、その検出値Vl(det)をコントローラ28及び左モータ駆動装置29に出力する。同様に、右輪速度センサ26は、右側駆動輪13の移動速度である右輪速度Vrを検出し、その検出値Vr(det)をコントローラ28及び右モータ駆動装置30に出力する。
【0030】
ディレクションスイッチ27は、ディレクションレバー20によって中立位置、前進位置及び後退位置のいずれが選択されているかを検出し、その選択位置をコントローラ28に出力する。
【0031】
コントローラ28は、図示しないマイクロコンピュータを用いて構成されている。コントローラ28は、アクセル開度センサ23からアクセル開度THの検出値を取得する。また、操舵角センサ24から操舵角θの検出値を取得する。また、左輪速度センサ25から左輪速度Vlの検出値Vl(det)を取得し、右輪速度センサ26から右輪速度Vrの検出値Vr(det)を取得する。さらに、ディレクションスイッチ27から、運転者が選択した選択位置を取得する。
【0032】
コントローラ28は、アクセル開度TH、操舵角θ、検出値Vl(det),Vr(det)及び選択位置に基づき、左輪駆動モータ31及び右輪駆動モータ32を制御するための指令信号を生成して左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30に出力する。そして、左輪速度Vl及び右輪速度Vrを制御し、操舵輪(機台の所定部位)14の移動速度である操舵輪速度Vstをアクセル開度THに応じた目標値Vst(tar)に制御する速度制御を行う。
【0033】
コントローラ28は、左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30に対し、指令信号として、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vl(tar),Vr(tar)と、加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtとを出力する。
【0034】
左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30は、目標値Vl(tar),Vr(tar)と、加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtとに基づいて左輪駆動モータ31及び右輪駆動モータ32を駆動制御する。そして、左輪速度Vl及び右輪速度Vrを、現時点の検出値Vl(det),Vr(det)から、指令された加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtに応じた加減速度で目標値Vl(tar),Vr(tar)まで加減速する。
【0035】
以下、目標値Vl(tar),Vr(tar)及び加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtの求め方について説明する。まず、目標値Vl(tar),Vr(tar)の求め方について説明する。
【0036】
コントローラ28は、図1に示すように、先ず、その時点のアクセル開度THに応じた操舵輪速度Vstの目標値Vst(tar)を設定する。
コントローラ28は、図5に示すマップM1を用いて、アクセル開度THの検出値に対する操舵輪速度Vstの目標値Vst(tar)を求める。
【0037】
次に、コントローラ28は、操舵輪速度Vstの目標値Vst(tar)から、左輪速度Vlの目標値Vl(tar)と、右輪速度Vrの目標値Vr(tar)とを求める。
【0038】
コントローラ28は、図6に示すマップM2を用いて、目標値Vst(tar)に対応する両目標値Vl(tar),Vr(tar)を求める。
このマップM2は、ある操舵角θで車両が旋回するときに、操舵輪速度Vstを目標値Vst(tar)とするために必要な左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vl(tar),Vr(tar)を設定する。
【0039】
このマップM2は、操舵角θを変化させたときの、操舵輪速度Vstに対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各比の変化を直線近似したものである。
操舵輪速度Vstに対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各速度比は、実際には、同図6に2点鎖線及び1点鎖線でそれぞれ表される特性となる。
【0040】
この速度比特性は、次の各関係式(1),(2)によって表される。
Vl/Vst=(a* cosθ+h* sinθ)/a … (1)
Vr/Vst=(a* cosθ−h* sinθ)/a … (2)
この両関係式(1),(2)について説明する。
【0041】
図7は、フォークリフト10における左側駆動輪12、右側駆動輪13及び操舵輪14の位置関係を示している。図7に示すように、hは、左側駆動輪12と右側駆動輪13との車輪間距離を等分した距離である。また、aは、同じく固定軸線から操舵輪14の操舵中心軸までの距離である。すなわち、距離h,aは、いずれも機種毎に固有な値である。
【0042】
操舵輪速度Vstは、操舵角θ=0°の車両直進時には、左輪速度Vl及び右輪速度Vrとは等しいが、操舵角θが「0°」でない旋回時には、そのときの操舵角θに応じた速度差だけ左輪速度Vl及び右輪速度Vrとそれぞれ異なる。
【0043】
すなわち、車両直進時には、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vl(tar),Vr(tar)は、操舵輪速度Vstの目標値Vst(tar)と等しい値に設定される。
【0044】
また、車両旋回時には、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vl(tar),Vr(tar)は、旋回中心に対する左側駆動輪12及び右側駆動輪13の角速度が、操舵輪速度Vstが目標値Vst(tar)のときの操舵輪14の同旋回中心に対する角速度と等しくなるように設定される。
【0045】
コントローラ28は、求めた目標値Vl(tar)を左モータ駆動装置29に出力し、また、同じく目標値Vr(tar)を右モータ駆動装置30に出力する。
【0046】
前記関係式(1),(2)は、次のようにして求められる。
車両旋回時の旋回中心に対する左側駆動輪12及び右側駆動輪13の角速度は、共に操舵輪14の同角速度が等しいことから、左輪速度Vl及び右輪速度Vrと操舵輪速度Vstとの間には、次の各関係式(3),(4)が成立する。
【0047】
Vl=Vst*Ll/Lst … (3)
Vr=Vst*Lr/Lst … (4)
ここで、Llは、機台の旋回中心位置から左側駆動輪12までの距離であり、Lrは、同じく旋回中心位置から右側駆動輪13までの距離である。また、Lstは、同じく旋回中心位置から操舵輪14までの距離である。
【0048】
ここで、a,h,Ll,Lr,Lst,θの間には、次の各関係式(5),(6),(7),(8)が成立する。
Lst=a/ sinθ … (5)
M=a/ tanθ … (6)
Ll=M+h … (7)
Lr=M−h … (8)
ここで、Mは、左側駆動輪12と右側駆動輪13との中央位置から、機台の旋回中心位置までの距離である。
【0049】
この各関係式(3)〜(8)から、上記関係式(1),(2)が得られる。
なお、車両直進時には操舵角θ=0°であることから、
Vl=Vr=Vst
となる。
【0050】
次に、加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtの求め方について説明する。
加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtは、アクセル開度THの変化に伴う加減速を行うための加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtと、操舵角θの変化に伴う加減速を行うための加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtとが加算されたものである。なお、従来の加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtは加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtと同一であって、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtは本発明で新規に生成されるものである。
【0051】
先ず、加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtの求め方について説明する。
コントローラ28は、アクセル開度THが変化したときに、変化後のアクセル開度THに対する左輪速度Vlの目標値Vl(tar)と、現時点の検出値Vl(det)とから、加減速度指令値ΔVl(1)/Δtを生成する。また、同様に、右輪速度Vrの目標値Vr(tar)と、現時点の検出値Vr(det)とから、加減速度指令値ΔVr(1)/Δtを生成する。
【0052】
加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtは、例えば、車両停止状態でアクセルペダル18を最大限踏み込んだ状態でディレクションレバー20を中立位置から前進位置に切り換えたときに、車両が所定距離を所定時間で走行するときの値を基準に設定される。これは、車両直進時に、アクセルペダル18の操作に応じた加減速制御が適切に行われるようにするためである。
【0053】
次に、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtの求め方について説明する。
コントローラ28は、操舵角θが変化するときに、その操舵速度Δθ/Δtと、左輪速度Vlの検出値Vl(det)と、操舵輪速度Vstとから、加減速度指令値ΔVl(2)/Δtを生成する。また、同様に、操舵速度Δθ/Δtと、右輪速度Vrの検出値Vr(det)と、操舵輪速度Vstとから、加減速度指令値ΔVr(2)/Δtを生成する。
【0054】
加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtは、次の各式(9),(10)からそれぞれ求められる。
この両式(9),(10)は、前記両関係式(1),(2)を時間tで微分したものである。
【0055】
この各式(9),(10)は、操舵時に、ある操舵角θにおいて操舵が行われたときの操舵角θの操舵速度Δθ/Δtに対して、そのときの操舵輪速度Vstを維持するために必要な左輪速度Vl及び右輪速度Vrの加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを示している。
【0056】
つまり、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtは、操舵輪速度Vstの変化によって必要となる分の加減速度は無視して、操舵輪速度Vstが一定であると見なし、操舵角θの変化によって必要となる分の加減速度を示す値となる。
【0057】
ここで操舵輪速度Vst は、左輪速度Vl又は右輪速度Vrの操舵時の各検出値Vl(det),Vr(det)から、前記関係式(1)又は(2)を用いて求めた計算値(操舵輪速度Vstの現在値)である。また、操舵角θは、操舵時の検出値である。
【0058】
前記関係式(1),(2)は、図6に示すように、次の各式(11),(12)で直線近似できる。
この各式(11),(12)から、前記(9),(10)に相当する次の両式(13),(14)が得られる。
【0059】
コントローラ28は、操舵角センサ24から所定時間Δtが経過する毎に取得する操舵角θの変化分Δθから操舵速度Δθ/Δtを求める。そして、操舵角θ、操舵速度Δθ/Δt及び操舵輪速度Vstから、前記各式(13),(14)を用いて加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを求める。
【0060】
加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtとは別に加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを生成する理由について述べる。
加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtは、操舵角θが変化したときに、その操舵速度に応じた大きさに生成され、左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30に出力する加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtを実質的に大きくする。
【0061】
速い操舵が行われて操舵角θが急激に変化すると、そのときの操舵輪速度Vstを維持するために必要な左輪速度Vl及び右輪速度Vrの新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)がそれまでの目標値から大きく変化する。この目標値Vl(tar),Vr(tar)の変化量は、しばしば、車両直進時におけるアクセル開度THの変化に基づく変化量よりも大きくなる。一方、目標値Vl(tar),Vr(tar)が変化したときに左輪速度Vl及び右輪速度Vrを加減速するときの加減速度は、車両直進時のアクセル開度THの変化に対する加減速度が適切になるように設定されている。その結果、速い操舵が行われると、左輪速度Vl及び右輪速度Vrが新たな目標値に速やかに到達できなくなる。
【0062】
従って、操舵が行われたときに、その操舵速度に応じた加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtに加算することにより、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vl(tar),Vr(tar)に対する追従性が向上する。
【0063】
図1に示すように、コントローラ28は、左輪速度Vlの目標値Vl(tar)と、加減速度指令値ΔVl/Δtとを左モータ駆動装置29に出力し、また、右輪速度Vrの目標値Vr(tar)と、加減速度指令値ΔVr/Δtとを右モータ駆動装置30に出力する。
【0064】
すなわち、アクセル開度THが変化し、かつ、操舵角θが変化しないときには、変化後のアクセル開度THに対する新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)をそれぞれ出力する。また、新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)まで加減速するために生成した加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtのみからなる加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtを出力する。
【0065】
また、アクセル開度THが変化せず、かつ、操舵角θが変化したときには、変化後の操舵角θに対する新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)を出力する。また、そのときの加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtに、そのときの操舵角θの変化に追従するための加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを加算した加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtを出力する。
【0066】
さらに、アクセル開度TH及び操舵角θが共に変化したときには、変化後のアクセル開度TH及び操舵角θに対する新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)をそれぞれ出力する。また、新たな目標値Vl(tar),Vr(tar)まで加減速するために生成した加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtに、そのときの操舵角θの変化に追従するための加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを加算した加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtを出力する。
【0067】
左モータ駆動装置29は、目標値Vl(tar)及び検出値Vl(det)に基づいて左輪駆動モータ31をフィードバック制御し、左輪速度Vlを目標値Vl(tar)に一致させる速度制御を行う。フィードバック制御は、例えば公知のPID制御によって行われる。
【0068】
また、左モータ駆動装置29は、加減速度指令値ΔVl/Δtに基づいて左輪駆動モータ31を制御し、検出値Vl(det)を目標値Vl(tar)に近づけるときの加減速度を制御する。これは、例えばPID制御の各ゲインを、加減速度指令値ΔVl/Δtに基づいて調節することで行われる。
【0069】
左モータ駆動装置29は、加減速度指令値ΔVl/Δtに基づき、アクセル開度THの変化量がより大きいほど、また、操舵速度がより大きいほど、より大きな加減速度で左輪速度Vlを目標値Vl(tar)に加減速制御する。
【0070】
同様に、右モータ駆動装置30は、目標値Vr(tar)及び検出値Vr(det)に基づいて右輪駆動モータ32をフィードバック制御し、右輪速度Vrを目標値Vr(tar)に一致させる速度制御を行う。
【0071】
また、右モータ駆動装置30は、加減速度指令値ΔVr/Δtに基づいて右輪駆動モータ32を制御し、検出値Vr(det)を目標値Vr(tar)に近づけるときの加減速度を制御する。
【0072】
右モータ駆動装置30は、加減速度指令値ΔVr/Δtに基づき、アクセル開度THの変化量がより大きいほど、また、操舵速度がより大きいほど、より大きな加減速度で右輪速度Vrを目標値Vr(tar)に加減速制御する。
【0073】
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
ステアリングホイール21を操舵しない状態でアクセルペダル18をさらに踏み込み操作するか、又は、戻し操作すると、そのときのアクセル開度THの変化量に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが各目標値Vl(tar),Vr(tar)に向かって加減速制御される。このため、操舵輪速度Vstが、変化後の目標値Vst(tar)に向かって適切な加減速度で加減速制御される。その結果、車両直進時又は定常旋回時には、アクセル操作に応じて従来と同様の適切な加減速制御が行われる。
【0074】
また、アクセルペダル18を一定に維持した状態でステアリングホイール21を操舵すると、そのときの操舵角θの操舵速度に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが各目標値Vl(tar),Vr(tar)に向かって加減速制御される。このため、操舵輪14が操舵されたときには、その操舵速度がより速いほど、左輪速度Vl及び右輪速度Vrが目標値Vl(tar),Vr(tar)に向かってより大きな加減速度で加減速制御される。その結果、操舵に伴って変化する目標値Vl(tar),Vr(tar)に対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性が向上する。
【0075】
さらに、アクセルペダル18を踏み込み操作又は戻し操作するとともにステアリングホイール21を操舵すると、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの加減速度が、アクセル開度THの変化状態に応じた加減速度と、操舵速度に応じた加減速度とで加減速制御される。このため、操舵輪速度Vstが、変化後の目標値Vst(tar)に向かって適切な加減速度で加減速制御される。同時に、操舵に伴って変化する目標値Vl(tar),Vr(tar)に対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性が向上する。
【0076】
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を列記する。
(1) コントローラ28、左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30は、操舵輪14が操舵されて操舵角θが変化したときに、その操舵速度に対して必要な左輪速度Vl及び右輪速度Vrの加減速度に応じて左輪速度Vl及び右輪速度Vrを加減速制御する。
【0077】
このため、操舵が行われずにアクセル操作が行われたときには、左輪速度Vl及び右輪速度Vrが、変化後の各目標値Vl(tar),Vr(tar)に向かって、アクセル操作に応じた加減速度で加減速制御される。一方、操舵が行われたときには、その操舵速度がより速いほど、左輪速度Vl及び右輪速度Vrが、変化後の目標値Vl(tar),Vr(tar)に向かってより大きな加減速度で加減速制御される。
【0078】
従って、アクセル操作に対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性を車両直進時及び定常旋回時に適した加減速制御が行われる状態にしながら、操舵に対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性を向上することができる。その結果、直進時及び定常旋回時の機台操縦性に加え、操舵時の機台操縦性が向上する。
【0079】
(2) コントローラ28は、アクセル開度TH及び操舵角θが共に変化したときに、アクセル開度THの変化状態に応じた加減速度と、操舵速度に応じた加減速度とを加算した加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrを加減速制御する。このため、アクセル操作と操舵とを行ったときに、アクセル操作に対する左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性と、操舵に対する追従性とを共に確保することができる。
【0080】
(3) 左モータ駆動装置29は、左輪速度Vlを、その目標値Vl(tar)と、左輪速度センサ25が検出する検出値Vl(det)との差分に基づいて目標値Vl(tar)に制御する。また、右モータ駆動装置30は、右輪速度Vrを、そのVr(tar)と、右輪速度センサ26が検出する検出値Vr(det)との差分に基づいて目標値Vr(tar)に制御する。このため、左輪速度Vl及び右輪速度Vrを検出し、この検出値と目標値とに基づいて左輪速度Vl及び右輪速度Vrをフィードバック制御するフォークリフトにおいて、上記(1)に記載した効果が得られる。
【0081】
(4) 共通の固定軸上に配置された一対の左側駆動輪12及び右側駆動輪13と、両駆動輪12,13の中央(中間)に対応する位置に配置された操舵輪14を備えた三輪型のカウンタバランス式フォークリフト10に実施した。このため、操舵角θが90°になるまで大きく操舵され、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの操舵輪速度Vstに対する速度比が0.5又は−0.5近くとなる産業車両において、上記(1),(2)に記載した効果が顕著となる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図8に従って説明する。尚、本実施形態は、前記第1実施形態におけるコントローラ28を、コントローラ40に変更したことのみが第1実施形態と異なる。従って、第1実施形態と同じ構成については、符号を同じにしてその説明を省略し、コントローラ40のみについて詳述する。
【0083】
本実施形態のコントローラ40も、前記第1実施形態のコントローラ28と同様に、加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δt及び加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを生成する。
【0084】
コントローラ40は、アクセル開度TH及び操舵角θが共に変化したときに、加減速度指令値ΔVl(1)/Δt及びΔVl(2)/Δtの大きい方を加減速度指令値ΔVl/Δtとして出力する。また、コントローラ40は、同じく加減速度指令値ΔVr(1)/Δt及びΔVr(2)/Δtの大きい方を加減速度指令値ΔVr/Δtとして出力する。
【0085】
以上のように構成された本実施形態は、次のように作用する。
アクセル開度THを変化させないままでステアリングホイール21を操舵したときには、前記第1実施形態と同様、そのときの操舵角θの操舵速度に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが加減速制御される。このため、操舵時の、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの目標値Vst(tar),Vr(tar)に対する追従性が向上する。
【0086】
また、アクセルペダル18をさらに踏み込み操作又は戻し操作するとともにステアリングホイール21を操舵したときに、そのときの操舵速度が比較的遅いときには、アクセル開度THの変化量に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが変化後の目標値に向かって加減速制御される。また、操舵速度が比較的速いときには、操舵速度に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが操舵後の目標値に向かって加減速制御される。
【0087】
このため、操舵速度が比較的低く、操舵に伴う左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性がそれほど問題にならないときには、アクセル操作に応じた適切な加減速制御が行われる。また、操舵速度が比較的高く、操舵に伴う左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性が問題になるときには、操舵に伴う左輪速度Vl及び右輪速度Vrの追従性が向上する。
【0088】
以上詳述した本実施形態が有する効果を記載する。
(5) コントローラ40は、アクセル開度TH及び操舵角θが共に変化したときに、アクセル開度THの変化量に応じた加減速度と、操舵角θの操舵速度に応じた加減速度とのいずれかより大きい方の加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrを加減速制御する。このため、速い操舵を行ったときには、その操舵速度に応じた加減速度で左輪速度Vl及び右輪速度Vrが加減速制御されるので、左輪速度Vl及び右輪速度Vrの目標値に対する追従性が向上し、旋回中の応答性が向上する。一方、速い操舵中にアクセル操作しても、アクセル開度THの変化状態に応じては左輪速度Vl及び右輪速度Vrが加減速制御されないので、機台が安定して旋回する。
【0089】
(6) アクセル開度THの変化量に対する加減速度指令値ΔVl(1)/Δtと、操舵速度に対する加減速度指令値ΔVl(2)/Δtとの大きい方を加減速度指令値ΔVl/Δtとする。同様に、加減速度指令値ΔVr(1)/Δtと加減速度指令値ΔVr(2)/Δtとの大きい方を加減速度指令値ΔVr/Δtとする。従って、操舵角θの変化に対する変化率が比較的小さい外輪速度のアクセル開度THの変化に対する追従性と、同変化率が比較的大きい内輪速度の操舵角θの変化に対する追従性とが共に向上する。
【0090】
次に、上記第1及び第2実施形態以外の実施形態を列記する。
○ 前記第1及び第2実施形態で、機台の所定部位の移動速度としての操舵輪速度に代えて、運転席の座席の移動速度や、旋回時の外輪の移動速度、あるいは、外輪及び内輪の中央位置の移動速度としてもよい。
【0091】
運転席速度Vseをアクセル開度THに応じた目標値に制御するときには、運転席速度Vseの目標値から、図9に示すマップM3を用いて左輪速度Vl及び右輪速度Vrの各目標値Vr(tar),Vr(tar)を求めることができる。このとき、実線で直線近似した速度比を用いることで、処理時間を短縮することができる。
【0092】
また、旋回時の外輪(左側駆動輪12(又は右側駆動輪13))の移動速度(左輪速度Vl(又は右輪速度Vr)を制御するときには、外輪の移動速度から、図10に示すマップM4を用いて内輪の移動速度の目標値Vr(tar)(Vl(tar))を求めることができる。
【0093】
○ 前記第2実施形態で、コントローラ40は、加減速度指令値ΔVl(1)/Δtが、加減速度指令値ΔVl(2)/Δtより大きく、かつ、加減速度指令値ΔVr(1)/Δtが、加減速度指令値ΔVr(2)/Δtより大きいか否か判定する。そして、この条件が成立するときには、加減速度指令値ΔVl(1)/Δt,ΔVr(1)/Δtのみを加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtとして出力する。一方、加減速度指令値ΔVl(1)/Δtが加減速度指令値ΔVl(2)/Δtより小さいときには、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtのみを加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtとして出力する。同様に、加減速度指令値ΔVr(1)/Δtが加減速度指令値ΔVr(2)/Δtより小さいときにも、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtのみを加減速度指令値ΔVl/Δt,ΔVr/Δtとして出力する。このような構成であっても、前記第2実施形態の(5)に記載した効果がある。
【0094】
○ 前記第2実施形態で、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtとして、前記両式(9),(10)の代わりに、次の各式(15),(16)から求まる値を採用する。ここで、各式(15),(16)は、前記両式(1),(2)においては定数とした操舵輪速度Vstを、時間tに対する関数として時間tで微分して得られる。
【0095】
そして、コントローラ28は、上記各式(15),(16)から定まる加減速度指令値dVl/dt,dVr/dtの変化率特性を直線近似したマップを用いて、加減速度指令値ΔVl(2)/Δt,ΔVr(2)/Δtを求める。
【0096】
○ 前記第1及び第2実施形態で、コントローラ28が、左輪速度Vl及び右輪速度Vrを速度制御及び加減速制御するとともに、検出値Vl(det),Vr(det)に基づき、左輪速度Vl及び右輪速度Vrを目標値Vl(tar),Vr(tar)にフィードバック制御する構成としてもよい。そして、左モータ駆動装置29及び右モータ駆動装置30は、コントローラ28が生成する指令信号に基づき、左輪駆動モータ31及び右輪駆動モータ32を単に駆動する構成とする。
【0097】
○ 第1及び第2実施形態で、コントローラ28が、操作量としてのアクセル開度THに加え、別の操作量であるブレーキ踏み力に応じて操舵輪速度Vstの目標値Vst(tar)を設定する構成としてもよい。
【0098】
○ 本発明は、三輪型リーチ式の電気式フォークリフトであって、操舵輪を駆動輪とするとともに共通の固定軸上に配置された左右両輪を従動輪とし、操舵輪上から外れた位置の運転席の移動速度や、旋回外輪の移動速度をアクセル開度THに応じて制御する産業車両に実施することもできる。
【0099】
○ 本発明は、四輪型カウンタバランス式の電気式フォークリフトであって、前側の左右両輪を駆動輪とするとともに後ろ側の左右両輪を操舵輪とし、旋回時の外輪の移動速度や、運転席の移動速度をアクセル開度THに応じて制御する産業車両に実施することもできる。
【0100】
○ 本発明は、電気式産業車両は、フォークリフトに限らず、その他例えば、トーイングトラクタ、搬送車に実施することもできる。
以下、前記各実施形態から把握される技術的思想をその効果とともに列記する。
【0101】
(1) 機台の所定部位の移動速度に対し、アクセル開度を含む操作量に応じた目標値を設定し、車両旋回時には、前記操作量と、操舵輪の操舵角とに基づき、前記所定部位の移動速度を前記目標値に一致させるように駆動輪の移動速度を制御し、前記操作量が変化したときに、前記所定部位の移動速度を変化後の操作量に対する目標値に一致させるように前記駆動輪の移動速度を加減速する電気式産業車両の走行制御装置において、操舵角が変化したときに、その操舵速度に対して必要な駆動輪の移動速度の加減速度に応じて駆動輪の移動速度を目標値に向かって加減速制御する加減速度制御手段を備えている電気式産業車両の走行制御装置。このような構成によれば、請求項1に記載の発明の効果がある。
【0102】
(2) 前記駆動輪は、左右一対の左側駆動輪及び右側駆動輪である。
【0103】
(3) 前記操舵輪は、前記左側駆動輪と右側駆動輪との中央に対応する位置に配置されている産業車両に用いられるものである。
【0104】
(4) 車両旋回時に、前記左側駆動輪及び右側駆動輪の各移動速度を、旋回中心に対する左側駆動輪及び右側駆動輪の角速度が、操舵輪の同旋回中心に対する角速度と等しくなるように制御する旋回制御手段(コントローラ28)を備えた。
【0105】
(5) 前記加減速度制御手段は、前記加減速制御を、複数の前記駆動輪毎に行う。このような構成によれば、操舵角の変化に対する変化率が比較的小さい外輪速度の操作量の変化に対する追従性と、同変化率が比較的大きい内輪速度の操舵角の変化に対する追従性とが共に向上する。
【0106】
(6) 前記機台の所定部位は、操舵輪である。
【0107】
(7) 前記電気式産業車両の走行制御装置を備えた産業車両。
【0108】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、操舵が行われたときに、その操舵速度に応じた加減速度で駆動輪の移動速度を目標値に向かって加減速制御するので、操舵に伴って変化する目標値に対する駆動輪の移動速度の追従性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の走行制御装置を示す機能ブロック図。
【図2】 フォークリフトの模式平面図。
【図3】 同じく模式側面図。
【図4】 走行制御装置を示すブロック図。
【図5】 操舵輪速度の目標値を設定するマップ。
【図6】 左輪速度及び右輪速度の各目標値を設定するマップ。
【図7】 左右駆動輪及び操舵輪の位置関係を示す模式図。
【図8】 第2実施形態の走行制御装置を示す機能ブロック図。
【図9】 他の実施形態における左輪速度及び右輪速度の各目標値を設定するマップ。
【図10】 同じく左輪速度及び右輪速度の各目標値を設定するマップ。
【符号の説明】
10…産業車両としてのカウンタバランス式フォークリフト、12…左側駆動輪、13…右側駆動輪、14…機台の所定部位としての操舵輪、25…速度検出手段としての左輪速度センサ、26…同じく右輪速度センサ、28…制御手段、加減速度制御手段及び速度制御手段を構成するコントローラ、29…制御手段、加減速度制御手段及び速度制御手段を構成する左モータ駆動装置、30…同じく右モータ駆動装置、TH…操作量としてのアクセル開度、Vl…移動速度としての左輪速度、Vl(tar)…目標値、Vl(det)…検出値、Vr…移動速度としての右輪速度、Vr(tar)…目標値、Vr(det)…検出値、Vst…機台の所定部位の移動速度としての操舵輪速度、Vst(tar)…目標値、θ…操舵角。
Claims (3)
- 機台の所定部位の移動速度を、アクセル開度を含む操作量に応じた目標値に一致させるように、前記操作量と、操舵輪の操舵角とに基づき、駆動輪の移動速度の目標値を定め、該駆動輪の移動速度を、前記目標値に一致させるように該駆動輪を速度制御する制御手段を備えた電気式産業車両の走行制御装置において、
前記制御手段は、前記駆動輪の移動速度を前記目標値に向かって速度制御する際の加減速度を、前記操舵輪の操舵速度に応じて変化させる加減速度制御手段を備え、
前記加減速度制御手段は、前記操作量の変化に基づく加減速度より、操舵速度に基づく加減速度が大きかったときにのみ、操作量の変化に基づく加減速制御に代えて、操舵速度に基づく加減速制御を行う電気式産業車両の走行制御装置。 - 前記駆動輪の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記所定部位の移動速度の目標値に対応する駆動輪の移動速度の目標値と、駆動輪の移動速度の検出値とに基づき、駆動輪の移動速度を目標値に制御する速度制御手段とを備えている請求項1に記載の電気式産業車両の走行制御装置。 - 前記駆動輪は、左右一対の左側駆動輪及び右側駆動輪であり、前記操舵輪は、前記両駆動輪の中間に対応する位置に配置された産業車両に用いられるものである請求項1又は請求項2に記載の電気式産業車両の走行制御装置。
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