JP3896836B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房モード時に圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を室内熱交換器(蒸発器)に直接導入することにより、室内熱交換器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガス暖房機能を発揮する車両用空調装置において、特に、暖房モード時に室内熱交換器で凝縮水が蒸発して窓ガラスが曇ることを防止するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−272817号公報等において、ホットガスヒータサイクルにより暖房機能を発揮できる車両用空調装置が提案されている。この従来装置では、エンジン始動時のごとく温水温度が所定温度より低いときには、圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器をバイパスして蒸発器に導入して、蒸発器でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、補助暖房機能を発揮できるようにしている。すなわち、上記の従来装置おいては、空調ケース内に設置された1つの室内熱交換器である蒸発器を冷房モード時の冷却器および暖房モード時の放熱器として切替使用している。
【0004】
ところで、車両用空調装置では冬期暖房時に汚染外気の導入防止のため内気モードを設定する場合がある。この場合は、窓ガラスの曇り止めのために、蒸発器の冷却、除湿作用を発揮する必要が生じるので、外気温が0°C付近に低下するまで、冷凍サイクルを冷房モードで使用することがある。
【0005】
従って、外気温=0°C付近において、窓ガラスの曇り止めのために、冷凍サイクルを冷房モードで運転させた後に、暖房能力の向上のために冷凍サイクルをホットガスヒータサイクル(暖房モード)に切り替える場合が生じる。また、冷凍サイクルの前回の冷房モード運転後、冷凍サイクルを一旦停止し、その後、冷凍サイクルを今度はホットガスヒータサイクル(暖房モード)で起動する場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような場合には、冷凍サイクルの冷房モード時に発生した凝縮水が室内熱交換器の表面に残存しているので、冷凍サイクルを暖房モードで起動すると、室内熱交換器が冷媒ガスの放熱器として作用し、室内熱交換器の温度が急上昇する。このため、室内熱交換器表面の凝縮水が蒸発して高湿度の空気が車室内へ吹き出して、車両窓ガラスが曇るという不具合が発生する。
【0007】
また、冷房モードの運転により室内熱交換器で一度発生した凝縮水は冬期の低外気温時では蒸発しにくく、長期間残存することがあるので、冷房モードから暖房モードへの切替直後でなくても、冷凍サイクルの暖房モードの起動により車両窓ガラスの曇りを発生させることがある。
【0008】
そこで、本発明者らは、先に、特開平12−219034号公報においてホットガス暖房機能を発揮する車両用空調装置において、暖房モード時に室内熱交換器で凝縮水が蒸発して窓ガラスが曇ることを防止することを目的とした発明を提案している。
【0009】
この従来技術では、窓ガラスの温度や窓ガラス付近の室内空気湿度に関連する物理量を検出し、この物理量に基づいて窓ガラスが曇る状態か否かを判定し、窓ガラスが曇る状態であると判定されたときは、室内熱交換器の温度、具体的には室内熱交換器の吹出空気温度を抑制するように冷凍サイクルを制御し、これにより、室内熱交換器での凝縮水の蒸発を抑え、窓ガラスの曇りを防止するようにしている。
【0010】
しかし、上記従来技術について具体的に実験検討してみると、窓ガラスが曇る状態か否かを、窓ガラスの温度や窓ガラス付近の室内空気湿度に関連する物理量に基づいて間接的に判定(推定)する方式であるので、室内熱交換器での凝縮水の保持量(本明細書では保水量という)の実態から離れた温度制御をしてしまう場合が生じる。
【0011】
すなわち、上記従来技術では、室内熱交換器での保水量を直接、判定していないので、室内熱交換器に凝縮水が保持されていない場合、つまり、実際には保水量がなくて窓ガラスの曇り防止の制御が不要となる場合にも、室内熱交換器の吹出空気温度を抑制して、ホットガス暖房モードの暖房能力を無駄に制限してしまう場合が生じる。
【0012】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、ホットガス暖房モード時における、車両窓ガラスの曇り防止効果を確保すると同時に、窓ガラスの曇り防止制御の必要有無を的確に判定して、ホットガス暖房モードの暖房能力を有効に発揮できるようにすることを目的とする。
【0013】
また、本発明は、車両窓ガラスの曇り防止効果とホットガス暖房モードの暖房能力発揮の優先度を車速変化に対応して切り替えることを他の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、冷房用減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷房用冷凍サイクル(C)と、圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)をバイパスさせて、室内熱交換器(18)を通して圧縮機(10)に戻すことで、室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
室内熱交換器(18)を、車室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、冷房用冷凍サイクル(C)により室内熱交換器(18)で冷却された空気を車室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、ホットガスヒータサイクル(H)により室内熱交換器(18)で加熱された空気を車室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
更に、室内熱交換器(18)における保水量の有無を判定する判定手段(S20)と、前記暖房モード時に、判定手段(S20)にて保水量があると判定されたときに、前記室内熱交換器(18)の吹出空気の目標温度として、前記空調ケース(22)からの吹出空気が車両窓ガラスにより冷却されても露点に到達しないようにする曇り止め目標温度を設定し、前記室内熱交換器(18)の吹出空気温度を前記曇り止め目標温度以下となるように制御する制御手段(S40、S30、S50)とを備え、曇り止め目標温度を低車速時には高車速時よりも高温側に補正することを特徴とする。
【0015】
これによると、暖房モード時に保水量があると判定されたときは空調ケース(22)からの吹出空気が車両窓ガラスにより冷却されても露点に到達しない範囲に室内熱交換器(18)の吹出空気温度を制御するから、ホットガス暖房モード時における車両窓ガラスの曇り防止効果を発揮できる。
【0016】
しかも、室内熱交換器(18)における保水量の有無を直接判定し、暖房モード時に保水量があると判定されたときに、室内熱交換器(18)の吹出空気温度を抑制する制御を行って、室内熱交換器(18)に保水量がない場合は室内熱交換器(18)の吹出空気温度の抑制制御を行わない。その結果、防曇制御の必要ないときにも室内熱交換器(18)の吹出空気温度を抑制することが無くなり、ホットガス暖房モードの暖房能力を有効に発揮できる。
【0017】
更に、曇り止め目標温度を低車速時には高車速時よりも高温側に補正することにより、次の効果が得られる。
【0018】
すなわち、低車速時は高車速時に比較して運転者にとって運転操作の余裕があるので、車両窓ガラスに部分的に曇りが発生してからでも、窓ガラスの曇り除去操作、例えば、吹出モードのデフロスタモードへの切替等の操作を行って、窓ガラスの曇り除去を行う時間的余裕がある。
【0019】
これに反し、高車速時は運転者にとって運転操作の余裕がなく、且つ、車両窓ガラスの部分的な曇りであっても、運転視界の狭まりによって危険をもたらす可能性がある。そこで、高車速時では窓ガラスの曇り止めを確実に行う必要がある。つまり、高車速時は窓ガラスの曇り止めを優先し、低車速時は窓ガラスの曇り止めよりも暖房性能の向上を優先した方がよい。
【0020】
請求項1では、上記点に鑑みて、曇り止め目標温度を低車速時には高車速時よりも高温側に補正することにより、室内熱交換器(18)の吹出空気温度を高めてホットガス暖房能力を向上できる。これに反し、高車速時は、室内熱交換器(18)の吹出空気温度を低車速時よりも低い曇り止め目標温度に制御して、窓ガラスの曇り止めをより確実に行うことができ、高車速時の視界確保に貢献できる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、高車速時に曇り止め目標温度を車両窓ガラスと同等の温度に決定し、低車速時は、曇り止め目標温度を高車速時より所定値高い温度に補正することを特徴とする。
【0022】
ところで、ホットガス暖房モード時に凝縮水が蒸発しても室内熱交換器(18)に強制通風されているので、室内熱交換器(18)の吹出空気の相対湿度は通常、80〜90%程度である。従って、窓ガラス近傍の空気が窓ガラスにより冷却され窓ガラスと同一温度になっても、請求項2によると、窓ガラス近傍の空気の相対湿度は室内熱交換器吹出空気と同じ80〜90%程度に上昇するだけであり、窓ガラスの曇りを生じることはない。
【0023】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、車両窓ガラスの温度を、外気温と、空調ケース(22)からの吹出空気による温度上昇分とに基づいて算出することを特徴とする。
【0024】
これにより、窓ガラス温度検出用の専用の温度センサを必要とせずに、既存のセンサ信号を利用して窓ガラス温度を算出できる。
【0025】
請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、圧縮機(10)の吐出能力を制御することにより室内熱交換器(18)の吹出空気温度を制御すればよい。ここで、圧縮機(10)の吐出能力は、より具体的には圧縮機作動の断続制御、圧縮機吐出容量の可変制御、圧縮機回転数の可変制御等により制御することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、少なくとも、冷房モード時における室内熱交換器(18)での凝縮水量と、暖房モード時における室内熱交換器(18)での凝縮水の蒸発量と、圧縮機(10)が停止状態にある放置時における空調ケース(22)の排水口(22a)からの凝縮水の排水量とに基づいて保水量を算出することを特徴とする。
【0027】
これにより、冷房モード時の凝縮水量から暖房モード時の蒸発量と放置時の排水量を減算することにより、保水量を正確に算出できる。
【0028】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、圧縮機(10)は車両エンジン(12)により駆動され、空調ケース(22)内において、室内熱交換器(18)の下流側に車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器(24)を配置することを特徴とする。
【0029】
これにより、室内熱交換器(18)で加熱した空気を更に温水式熱交換器(24)で加熱して車室内へ吹き出して車室内暖房性能を向上できる。本発明はこのように、室内熱交換器(18)の補助暖房作用と温水式熱交換器(24)の主暖房作用とを組み合わせるものにおいて好適に実施される。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は第1実施形態による車両用空調装置の全体構成を例示している。圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して水冷式の車両エンジン12により駆動されるもので、例えば、固定容量型の斜板型圧縮機から構成される。
【0032】
圧縮機10の吐出側は冷房用電磁弁13を介して凝縮器14に接続され、この凝縮器14の出口側は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める受液器15に接続される。凝縮器14は圧縮機10等とともに車両エンジンルームに配置され、電動式の冷却ファン14aにより送風される外気(冷却空気)と熱交換する室外熱交換器である。
【0033】
そして、受液器15の出口側は冷房用減圧装置をなす温度式膨張弁16に接続されている。この温度式膨張弁16の出口側は逆止弁17を介して蒸発器18に接続されている。蒸発器18の出口側はアキュームレータ19を介して圧縮機10の吸入側に接続されている。
【0034】
上記した圧縮機10の吐出側から冷房用電磁弁13→凝縮器14→受液器15→温度式膨張弁16→逆止弁17→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により通常の冷房用冷凍サイクルCが構成される。
【0035】
温度式膨張弁16は周知のごとく通常の冷凍サイクル運転時(冷房モード時)に蒸発器18出口冷媒の過熱度が所定値に維持されるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。アキュームレータ19は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒を圧縮機10側へ吸入させるとともに、底部付近の液冷媒に溶け込んでいるオイルを圧縮機10側へ吸入させる。
【0036】
一方、圧縮機10の吐出側と蒸発器18の入口側との間に、凝縮器14等をバイパスするホットガスバイパス通路20が設けてあり、このバイパス通路20には暖房用電磁弁21および絞り21aが直列に設けてある。この絞り21aは暖房用減圧装置をなすものであり、オリフィス、キャピラリチューブ等の固定絞りで構成することができる。圧縮機10の吐出側から暖房用電磁弁21→絞り21a→蒸発器18→アキュームレータ19を経て圧縮機10の吸入側に戻る閉回路により暖房用のホットガスヒータサイクルHが構成される。
【0037】
車両用空調装置の空調ケース22は車室内へ向かって空気が流れる空気通路を構成するもので、この空調ケース22内を電動式の空調用送風機23により空気が送風される。空調用送風機23は、図示の簡略化のために軸流式で示しているが、実際は、遠心式ファンを持つ遠心式送風機であり、この空調用送風機23は送風機駆動回路により制御されるブロワモータ23aにより回転駆動される。なお、本実施形態の送風機23の送風量は、ブロワモータ23aに印加するブロワ制御電圧を調整することにより、連続的または段階的に切り替え可能になっている。
【0038】
また、空調用送風機23の吸入側には、外気(車室外空気)を吸い込むための外気吸込口70、内気(車室内空気)を吸い込むための内気吸込口71、および内外気切替ドア(内外気切替手段)72が設けられている。なお、内外気切替ドア72は、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動されて、外気吸込口70から外気を吸い込む外気モードと内気吸込口71から内気を吸い込む内気モードとを少なくとも切り替える。
【0039】
蒸発器18は空調ケース22内に設置される室内熱交換器であって、冷房モード時には冷房用冷凍サイクルCにより冷媒が循環して、蒸発器18での冷媒蒸発(吸熱)により空調用送風機23の送風空気が冷却される。また、暖房モード時には、蒸発器18はホットガスバイパス通路20からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0040】
なお、空調ケース22において蒸発器18の下方部位には、蒸発器18で発生する凝縮水を排水する排水口22aが設けられ、この排水口22aに接続される図示しない排水パイプを通して凝縮水は車室外へ排水される。
【0041】
空調ケース22内において蒸発器18の空気下流側には、車両エンジン12からの温水(エンジン冷却水)を熱源として送風空気を加熱する温水式の暖房用熱交換器24が設置されている。この暖房用熱交換器24への温水回路には温水流れを制御する温水弁25、および車両エンジン12により駆動される温水ポンプ(図示せず)が備えられている。これにより、エンジン駆動の温水ポンプ(図示せず)の作動により温水が温水弁25を介して暖房用熱交換器24に循環する。
【0042】
ところで、温水式の暖房用熱交換器24は、車室内の暖房のための主暖房手段をなすものであり、これに対して、ホットガスヒータサイクルHによる放熱器をなす蒸発器(室内熱交換器)18は補助暖房手段を構成する。
【0043】
一方、空調ケース22の最も空気下流側には、車両フロント窓ガラスの内面に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのデフロスタ(DEF)吹出口31と、車両乗員の顔部(上半身)に向けて空調風(主に冷風)を吹き出すためのフェイス(FACE)吹出口32と、車両乗員の足元部(下半身)に向けて空調風(主に温風)を吹き出すためのフット(FOOT)吹出口33が設けられている。更に、これらの各吹出口31〜33を選択的に開閉する複数個のモード切替ドア34〜36が回動可能に設けられている。なお、このモード切替ドア34〜36は吹出モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介してサーボモータ等のアクチュエータにより駆動される。
【0044】
空調用電子制御装置(以下ECUという)26は、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、電磁弁13、21の開閉およびその他の電気機器(11、14a、23、25等)の作動を制御する。
【0045】
図2は第1実施形態の電気制御ブロック図であり、ECU26には、車両エンジン12の水温センサ27a、外気温センサ27b、蒸発器18の吹出空気温度センサ27c、圧縮機吐出圧力の圧力センサ27d、内気温センサ27e、車室内への日射量を検出する日射センサ27f、車両の走行速度を検出する車速センサ27g等のセンサ群から検出信号が入力される。
【0046】
また、車室内計器盤付近に設置される空調操作パネル28から以下の操作スイッチ群の操作信号がECU26に入力される。すなわち、エアコンスイッチ29aは冷凍サイクルの圧縮機10の起動または停止を指令するものであり、冷房モードを設定する冷房スイッチの役割を果たす。ホットガススイッチ29bはホットガスヒータサイクルHによる暖房モードを設定するもので、暖房スイッチの役割を果たす。
【0047】
更に、空調操作パネル28には、空調の吹出モードを切り替える吹出モード切替スイッチ29c、車室内の温度を所望の温度に設定する温度設定スイッチ(温度設定手段)29d、送風機23のオン、オフおよび風量切替を指令するブロワスイッチ29e、外気モードと内気モードの切替を指令する内外気切替スイッチ29f等が設置されている。
【0048】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。まず、最初に、冷凍サイクル部分の作動を説明すると、エアコンスイッチ29aが投入され、冷房モードが設定されると、ECU26により冷房用電磁弁13が開状態とされ、暖房用電磁弁21が閉状態とされる。従って、電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジン12にて駆動されると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は開状態の冷房用電磁弁13を通過して凝縮器14に流入する。
【0049】
凝縮器14では、冷却ファン14aにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。そして、凝縮器14通過後の冷媒は受液器15で気液分離され、液冷媒のみが温度式膨張弁16で減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。
【0050】
次に、この低圧冷媒は逆止弁17を通過して蒸発器18内に流入して送風機23の送風する空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器18で冷却された空調空気は車室内へ吹き出して車室内を冷房する。蒸発器18で蒸発したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0051】
冬期においてホットガススイッチ29bが投入され、ホットガスヒータサイクルHによる暖房モードが設定されると、ECU26により冷房用電磁弁13が閉状態とされ、暖房用電磁弁21が開状態とされ、ホットガスバイパス通路20が開通する。このため、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が開状態の暖房用電磁弁21を通って絞り21aで減圧された後、蒸発器18に流入する。つまり、圧縮機10からの過熱ガス冷媒(ホットガス)が凝縮器14等をバイパスして蒸発器18に直接導入される。
【0052】
このとき、逆止弁17はホットガスバイパス通路20からのガス冷媒が温度式膨張弁16側へ流れるのを防止する。従って、冷凍サイクルは、圧縮機10の吐出側→暖房用電磁弁21→絞り21a→蒸発器18→アキュームレータ19→圧縮機10の吸入側に戻る閉回路(ホットガスヒータサイクルH)にて運転される。
【0053】
そして、絞り21aで減圧された後の過熱ガス冷媒が蒸発器18にて送風空気に放熱して、送風空気を加熱する。ここで、蒸発器18にてガス冷媒から放出される熱量は、圧縮機10の圧縮仕事量に相当するものである。蒸発器18で放熱したガス冷媒はアキュームレータ19を介して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0054】
なお、エンジン12の始動直後のように温水温度が低いときは空調用送風機23は低風量で始動するようにウォームアップ制御される。温水式の暖房用熱交換器24に温水弁25を介して温水を流すことにより、蒸発器18で加熱された送風空気を熱交換器24において更に加熱することができる。従って、寒冷時においても、蒸発器18と温水式の暖房用熱交換器24の両方で加熱された、より温度の高い温風を車室内へ吹き出すことができる。
【0055】
次に、第1実施形態によるホットガスヒータサイクルHの暖房モード時の能力制御を図3により具体的に説明する。図3の制御ルーチンは車両エンジン12の始動(イグニッションスイッチの投入)によりスタートし、ステップS10にて空調操作パネル28のホットガススイッチ29bが投入(ON)されているか判定する。ホットガススイッチ29bが投入(ON)されていると、すなわち、ホットガス暖房モードの設定時にはステップS20に進み、蒸発器18の保水量があるか判定する。この保水量の具体的算出方法については図5、6により後述する。
【0056】
ステップS20では、蒸発器18の保水量が0に近い所定の最小量以下になると、蒸発器18の保水量がないと判定する。蒸発器18の保水量がないときは蒸発器18がホットガスの放熱器として作用しても蒸発器18での凝縮水の蒸発が発生せず、従って、窓ガラスの曇り発生の心配がない。そこで、ステップS30に進み、電磁クラッチ11に通電して電磁クラッチ11を接続(ON)状態とする。これにより、圧縮機10は電磁クラッチ11を介して車両エンジン12により駆動され作動(ON)状態となる。
【0057】
一方、ステップS20において、蒸発器18の保水量が所定の最小量より多いと、蒸発器18の保水量があると判定され、ステップS40に進み、蒸発器吹出空気温度Teが、窓ガラスの温度Twsに基づいて決定される曇り止め目標温度TEOより高いか判定する。ここで、曇り止め目標温度TEOは後述の理由から高車速時には窓ガラスの温度Twsと同等の温度に設定され、低車速時には曇り止め目標温度TEOが窓ガラス温度Twsより所定量高い温度に切り替えられる。
【0058】
蒸発器吹出空気温度Teは温度センサ27cにより直接検出される温度であり、一方、窓ガラスの温度Twsはガラス内面温度であり、後述するように、外気温Tamと、車室内への吹出空気(温風)による温度上昇分とに基づいて算出(推定)されるものである。
【0059】
そして、Te>TEOであるときはステップS50に進み、電磁クラッチ11への通電を遮断(OFF)して圧縮機10を(OFF)させる。一方、Te≦TEOであるときはステップS30に進み、電磁クラッチ11を接続(ON)状態として圧縮機10を作動(ON)状態とする。
【0060】
以上のように圧縮機10の作動を断続制御することにより、蒸発器吹出空気温度Teを曇り止め目標温度TEO以下の温度に制御できる。高車速時は曇り止め目標温度TEO=窓ガラスの温度Twsであるから、蒸発器吹出空気温度Teを窓ガラス温度Tws以下の温度に制御することになる。そこで、最初はTEO=Twsの場合について説明する。
【0061】
ところで、暖房時には窓ガラスの曇り止めのために、通常、内外気吸入モードは絶対湿度の低い外気を導入する外気モードが選択される。そして、ホットガスヒータサイクルHの暖房モード運転を必要とする寒冷時には0℃付近の低温外気が蒸発器18に導入される。低温外気は絶対湿度が低くても相対湿度は元々高くなっている。これに加えて、蒸発器18で凝縮水の蒸発が起きると、蒸発器吹出空気の相対湿度は85%〜90%程度の高い値となる。
【0062】
蒸発器吹出空気はその後、温水式熱交換器24で加熱されて温度上昇した後、車室内へ吹き出される。この吹出空気が低温の窓ガラスに接触して蒸発器吹出空気温度Teより低い温度に冷却されると露点に到達して結露し、窓ガラスに曇りを発生することになる。
【0063】
しかし、第1実施形態によると、蒸発器18の保水量があるときに高車速時であると、上記ステップS40、S30、S50により圧縮機10の作動を断続制御して、蒸発器吹出空気温度Teを窓ガラスの温度Tws以下となるように制御するから、車室内への吹出空気が低温の窓ガラスに接触し、窓ガラスと同等の温度まで冷却されても、その相対湿度は蒸発器吹出後の値(85%〜90%程度)に上昇するだけである。
【0064】
つまり、上記ステップS40、S30、S50において、車室内への吹出空気が窓ガラスにより冷却されても露点に到達しない範囲に蒸発器吹出空気温度Teを制御できる。これにより、蒸発器18で凝縮水の蒸発が起きても、窓ガラスの曇り発生を確実に防止できる。
【0065】
図4(a)は第1実施形態によるホットガス暖房モード時の防曇効果を説明するもので、縦軸に蒸発器吹出温度Teをとり、横軸に窓ガラス温度Twsをとったものである。窓ガラス温度Twsは車室内側の内面ガラス温度である。図中の丸印はフットモードにて、窓ガラス(車両フロントガラス)が曇り始めるときの実車評価値である。ここで、フットモードはフット吹出口33から空気を主に車室内足元部に吹き出し、且つ、少量の空気をデフロスタ吹出口31から車室内の窓ガラス内側に吹き出す吹出モードである。
【0066】
また、四角印はデフロスタ吹出口31から空気を車室内の窓ガラス内側に吹き出すデフロスタモードにて、窓ガラス(車両フロントガラス)が曇り始めるときの実車評価値である。なお、フットモードもデフロスタモードも風量はともに150m3/h程度の小風量(Lo)状態に設定している。また、蒸発器吹出空気の相対湿度は90%である。
【0067】
図4(a)の線Aは、この相対湿度:90%の蒸発器吹出空気が露点に達する窓ガラス温度Twsのライン、すなわち、曇り限界ラインであり、この曇り限界ラインAの上側が窓ガラスの曇り領域で、下側が晴れ領域となる。
【0068】
従って、蒸発器保水量があるときに、上述したように、蒸発器吹出温度Teを窓ガラス温度Tws以下の温度に維持することにより、蒸発器吹出温度Teが常に曇り限界ラインAの下側の晴れ領域に位置し、窓ガラスの曇りを確実に防止できる。
【0069】
なお、窓ガラス温度Twsが−8℃付近よりも低い領域では、ホットガス暖房モードを実行しても蒸発器18での凝縮水の蒸発量が減少するので、曇り限界ラインAが蒸発器吹出温度Teに対して高温側に折れ曲がり、曇り領域が狭くなる。
【0070】
図4(b)は窓ガラスが曇り始めるときの蒸発器吹出温度Teと窓ガラス温度Twsとの関係を示すもので、ラインAは図4(a)の曇り限界ラインAと同じである。蒸発器吹出温度Teを窓ガラス温度Twsの変化に対してこのラインAの温度以下となるように制御すれば、窓ガラスの曇りを防止できる。ラインA上の蒸発器吹出温度Teは窓ガラス温度Twsより僅か高い温度であるから、蒸発器吹出温度Teを窓ガラス温度Tws以下となるように制御すれば、窓ガラスの曇りをより確実に防止できる。
【0071】
図4(a)(b)から分かるように、窓ガラス温度Twsが−8℃付近よりも低い領域では、窓ガラスが曇り始めるときの蒸発器吹出温度Teが窓ガラス温度Twsに対してより高温側に変化するから、図3のステップS40における曇り止め目標温度TEOとして窓ガラス温度Twsを用いる場合に、上記低温領域では実際の窓ガラス温度よりも高温側に補正した値をTEOとし用いてよいことになる。
【0072】
次に、図3のステップS30について捕捉説明すると、ステップS30では電磁クラッチ11を単に接続(ON)したままとするのではなく、実際には、圧力センサ27dにより検出される圧縮機10の吐出圧Pdが所定圧力(例えば、20kg/cm2 G)以下となるように、電磁クラッチ11を断続制御して圧縮機10の作動を断続する。
【0073】
すなわち、圧縮機10の吐出圧Pdが所定圧力以下であれば、電磁クラッチ11に通電し、圧縮機10を作動させる。これに対し、圧縮機10の吐出圧Pdが所定値より高いときは、電磁クラッチ11の通電を遮断し、圧縮機10を停止させる。このように圧縮機10を断続制御することにより、ホットガスヒータサイクルHの暖房モード時に圧縮機10の吐出圧Pdの上限を上記所定圧力以内に制御することができ、これにより、圧縮機10の吐出圧Pdの異常上昇を未然に防止して、圧縮機10の耐久寿命を向上できる。
【0074】
なお、本第1実施形態において、上記ステップS20は、蒸発器18における保水量の有無を判定する判定手段を構成し、また、ステップS40、S30、S50は、暖房モード時における蒸発器18の吹出空気温度を制御する制御手段を構成する。
【0075】
次に、蒸発器18の保水量算出の考え方を図5により説明する。図5(a)は車両エンジン運転時における空調用冷凍サイクルの作動形態の変化とそれに伴う蒸発器保水量の変化との関係を示すもので、車両エンジン運転時において冷房モードが設定されたときには蒸発器18の冷却除湿作用により凝縮水が発生するので、蒸発器保水量は冷房モードの作動時間(圧縮機作動時間)に比例して増加する。
【0076】
図5(b)の▲1▼は冷房モード時における凝縮水量の具体例を示している。この凝縮水量は単位時間当たりの量(cc/min)であり、蒸発器18での凝縮水発生量から空調ケース22の排水口22aからの凝縮水排水量を減算した値である。図5(b)の▲1▼において、下段の温度は蒸発器吸い込み空気の温度であり、%は蒸発器吸い込み空気の相対湿度である。蒸発器吸い込み空気の温度が高くなると、蒸発器吸い込み空気の絶対湿度が増大して凝縮水量が増加する。
【0077】
図5(b)の▲1▼において、下段のMe2は、空調用送風機23の風量が第2中間風量(本例では280m3/h程度)であることを示している。なお、空調用送風機23の風量は低風量(Lo)、第1中間風量(Me1)、第2中間風量(Me2)、大風量(Hi)の4段階にマニュアル操作で切替可能になっており、第2中間風量(Me2)は、大風量(Hi)の次に大きい風量レベルである。
【0078】
次に、放置時は圧縮機10を停止させ、冷房モードおよびホットガス暖房モードをいずれも設定しないときであり、この放置時では、空調ケース22の排水口22aから凝縮水が排水されるので、この排水口22aからの排水量によって蒸発器保水量が減少することになる。図5(b)の▲2▼は蒸発器保水量がこの排水量によって放置時の経過時間とともに減少していくことを示している。ここで、放置時とは、空調用送風機23の作動時、停止時の両方を含んでおり、要は圧縮機10の停止状態を選択している状態である。
【0079】
放置時の排水量は蒸発器保水量が増加するほど増加する関係にあるから、放置(圧縮機停止)モードの排水量算出時点の保水量に基づいて算出できる。
【0080】
次に、ホットガス暖房モードが設定されたときには蒸発器18の放熱作用により蒸発器18にて凝縮水が蒸発するので、その蒸発量の分だけ保水量が減少する。ここで、ホットガス暖房モード時にも、空調ケース22の排水口22aから凝縮水が排水されるので、図5(b)の▲3▼の蒸発量は排水口22aからの排水量を含む値である。ホットガス暖房モード時の蒸発量は蒸発器吹出空気温度Teが高くなるほど、増加する関係にある。
【0081】
以上の図5による検討から、蒸発器保水量は基本的には次の数式1により表すことができる。
【0082】
【数1】
蒸発器保水量=凝縮水量−蒸発量−放置時の排水量
なお、図5においては、蒸発器18における凝縮水の最大保持量(満水量)が250ccである場合の保水量変化を示している。蒸発器18は車両用空調装置において一般的に使用される積層型蒸発器であり、積層プレートにより構成された偏平チューブとコルゲートフィンとを組み合わせた熱交換器構造からなり、凝縮水はフィン表面等に付着して保持される。
【0083】
次に、蒸発器保水量の具体的算出方法を図6により説明すると、図6の制御ルーチンは車両エンジン12の始動(イグニッションスイッチの投入)によりスタートし、車両エンジン12の運転中は常時、蒸発器保水量の算出を行い、所定の時間間隔で(例えば、1分毎に)蒸発器保水量の算出値を更新するようになっている。
【0084】
図6において、先ず、ステップS100にて記憶保水量を読み込む。この記憶保水量は、前回のエンジン運転時の停止直前に算出され、ECU26の記憶手段にて記憶されている蒸発器保水量である。
【0085】
次のステップS200にて冷房モードが設定されているか判定する。具体的には、エアコンスイッチ29aの投入有無等により冷房モードの設定有無を判定できる。冷房モードの設定時にはステップS300に進み、冷房モード時の保水量を、保水量=記憶保水量+凝縮水量の式にて算出する。
【0086】
ここで、冷房モード時の凝縮水量は具体的には、蒸発器吸い込み空気の絶対湿度が高い程、また、冷房モード時における圧縮機(電磁クラッチ)ON時間が大きい程、増加する関係にあるので、蒸発器吸い込み空気の絶対湿度に関連する情報と圧縮機ON時間とにより凝縮水量を算出することができる。ここで、蒸発器吸い込み空気の絶対湿度に関連する情報は、具体的には、空調の内外気吸入モードと外気温度であり、内外気吸入モードが内気モードである場合は常に、蒸発器吸い込み空気の絶対湿度が最も高い場合に該当し、単位時間当たりの凝縮水量を最大量(例えば、8.3cc/min)とする。
【0087】
外気モードである場合は、外気温が20℃以上であるとき、内気モードと同様に単位時間当たりの凝縮水量を最大量(例えば、8.3cc/min)とする。外気モード時に外気温が低下すると、凝縮水量は順次減少し、外気温が20℃未満で、10℃以上の場合は、単位時間当たりの凝縮水量を例えば、4.2cc/minとする。そして、外気モード時に外気温が10℃未満で、5℃以上である場合は、単位時間当たりの凝縮水量を例えば、2.8cc/minとし、外気モード時に外気温が5℃未満である場合は、単位時間当たりの凝縮水量を最小量(例えば、2.1cc/min)とする。
【0088】
ステップS300では、上記のようにして冷房モード時の凝縮水量を算出し、この凝縮水量を記憶保水量に加えることにより、冷房モード時の保水量を算出する。なお、冷房モード時の凝縮水量は蒸発器吸い込み空気の風量とも相関があり、この風量が増加すれば凝縮水量が増加する関係にある。従って、凝縮水量算出の精度を高めるために、上記のように算出された凝縮水量を風量の増加により増加するよう補正してもよい。
【0089】
一方、ステップS200の判定がNOであると、ステップS400に進み、ホットガス暖房モードが設定されているか判定する。具体的には、ホットガススイッチ29bの投入有無等によりホットガス暖房モードの設定有無を判定できる。ホットガス暖房モードの設定時にはステップS500に進み、ホットガス暖房モード時の保水量を、保水量=記憶保水量−蒸発量の式にて算出する。
【0090】
ここで、ホットガス暖房モード時には、蒸発器吹出温度Teが高くなれば、相対湿度が低下するので、単位時間当たりの蒸発量(cc/min)は蒸発器吹出温度Teの上昇に比例して増加する関係にある。従って、ホットガス暖房モード時の蒸発量は図5の▲3▼に示すように蒸発器吹出温度Teの上昇に比例して増加するマップに基づいて算出することができる。
【0091】
一方、ステップS400の判定がNOであるときは、冷房モードでもホットガス暖房モードでもないとき、すなわち、圧縮機10が停止している放置時であり、このときはステップS600に進み、放置時の保水量を、保水量=記憶保水量−排水量の式にて算出する。ここで、放置時の排水量は排水口22aから空調ケース22外へ排水される凝縮水量であり、そして、排水口22aからの単位時間当たりの排水量(cc/min)は、前述のように蒸発器保水量が多いほど増加するので、放置モードの排水量は排水量算出時点での蒸発器保水量に基づいて算出できる。
【0092】
なお、放置時の排水量として、図5では車両エンジン運転時における放置時の排水量のみを説明したが、車両エンジン停止時における放置時の排水量をも算出すれば、蒸発器保水量の算出精度を向上できる。
【0093】
また、車両エンジン12の運転中に冷房モードとホットガス暖房モードと放置モードとを切り替える場合があるが、その場合は、ステップS300、S500、S600において、記憶保水量としてそれ以前のモードにおいて算出した最後の保水量を用いればよい。
【0094】
ところで、図3のステップS40の判定において、曇り止め目標温度TEOとして用いる窓ガラス温度Twsは、窓ガラス内面に専用の温度センサを設置して、専用の温度センサにより直接検出するようにしてもよいが、この方式ではセンサ追加によるコストアップが生じる。そこで、本実施形態では、空調装置の既存のセンサ信号を利用して窓ガラス温度Twsを算出(推定)するようにしている。
【0095】
すなわち、窓ガラス温度Twsは、空調始動前の初期状態では外気温Tamと同一温度になっている。その後、暖房モードの実行により温風が車室内へ吹き出されると、その温風吹出によって窓ガラス温度Twsが上昇する。従って、温風吹出による窓ガラス温度の上昇分をΔTwsとすると、窓ガラス温度Twsは、Tws=Tam+ΔTwsの式で算出できる。
【0096】
ここで、ホットガス暖房モード時に車室内へ吹き出す温風は蒸発器18を通過後に温水式暖房用熱交換器24にて加熱されるので、温風温度は温水温度に大きく依存する。そのため、温風吹出による窓ガラス温度の上昇分ΔTwsは、図7に示すようにエンジン水温(温水式暖房用熱交換器24を循環する温水温度)の上昇に比例して増加する関係がある。従って、温風吹出による窓ガラス温度の上昇分ΔTwsはエンジン水温(温水温度)に基づいて算出することができる。
【0097】
温風吹出による窓ガラス温度の上昇分ΔTwsは、温風の温度の他に窓ガラス内側への温風風量の影響も受けるので、窓ガラス温度の上昇分ΔTwsの算出精度を高めるためには、温風の風量が増加するほど上昇分ΔTwsが増加するように補正した方がよい。温風の風量の影響度は空調用送風機23の送風レベルと吹出モードとにより判定できる。
【0098】
ところで、以上は本実施形態による全体的な作動説明であるが、本実施形態では、低車速時と高車速時とで、車両窓ガラスに対する防曇性能と、車室内暖房性能に対する優先度が異なるという点に鑑みて、ホットガス暖房モード時における蒸発器18の吹出空気温度Teを低車速時と高車速時とに場合分けして切替制御している。
【0099】
すなわち、所定速度例えば20km/h未満の低車速時には、車両エンジン12の回転数低下→エンジン駆動温水ポンプ(図示せず)の回転数低下→暖房用熱交換器12への温水流量低下が生じて、暖房用熱交換器12の暖房性能が低下する。これに対し、上記所定速度以上の高車速時には、車両エンジン12の回転数上昇により暖房用熱交換器12への温水流量が増加し、暖房用熱交換器12の暖房性能が上昇する。
【0100】
一方、車両窓ガラスの曇りについて検討すると、車両窓ガラスの温度はデフロスタ吹出口31の開口位置に近い下部側で高く、車両窓ガラスの上部になるほど、窓ガラス温度が低下して曇りやすくなる。また、低車速時は高車速時に比較して運転者にとって運転操作の余裕があるので、車両窓ガラスの上部側に曇りが部分的に発生してからでも、窓ガラスの曇り除去操作、例えば、吹出モードのデフロスタモードへの切替等の操作を行って、窓ガラスの曇り除去を行う時間的余裕がある。
【0101】
これに反し、高車速時は運転者にとって運転操作の余裕がなく、且つ、車両窓ガラスの上部側の部分的な曇りであっても、運転視界の狭まりによって危険をもたらす可能性がある。そこで、高車速時では窓ガラスの曇り止めを確実に行う必要がある。
【0102】
つまり、高車速時は窓ガラスの曇り止めを優先し、低車速時は窓ガラスの曇り止めよりもホットガス暖房能力の向上を優先した方がよい。
【0103】
そこで、本実施形態においては、ホットガス暖房モード時の保水量有りの場合における蒸発器18の曇り止め目標温度TEOを、常に窓ガラス温度に対して一定の関係とせずに、図8に示すように車速センサ27gにより検出される車速信号に基づいて低車速時と高車速時とで場合分けし、高車速時の曇り止め目標温度TEOを低めに設定し、低車速時の曇り止め目標温度TEOを高めに切替設定している。
【0104】
具体的には、高車速時(本例では20km/h以上)の曇り止め目標温度TEOは、推定窓ガラス温度TWSと同等の温度に設定して、蒸発器18の実際の吹出空気温度Teを窓ガラス温度TWSと同等の温度に制御する。これにより、前述したように、高車速時には車室内への吹出空気温度が車両窓ガラスと同等温度に冷却されても、露点に到達せず、窓ガラスの曇り発生を確実に防止できる。
【0105】
一方、低車速時(本例では20km/h未満)には、曇り止め目標温度TEOを高車速時より数度高い温度に設定しているため、蒸発器18の実際の吹出空気温度Teをこの目標温度の上昇分だけ上昇させることができ、この吹出空気温度Teの上昇により低車速時におけるホットガス暖房能力を向上できる。
【0106】
なお、低車速時には、蒸発器吹出空気温度Teを窓ガラス温度TWSより高い温度にするため、窓ガラス温度TWSが上昇しにくいガラス上部にて部分的に曇りが発生する可能性があるが、低車速時であるため、上述の理由から実用上支障をきたすことはない。
【0107】
(他の実施形態)
なお、上記の一実施形態では、所定速度の20km/h未満であるときを低車速時であるとしているが、この所定速度は各車種の運転状況等に応じて種々変更してもよいことはもちろんである。従って、所定速度の値を限りなく0に近い値として、低車速時を実質的に停車時(アイドル時)のみとしてもよい。すなわち、本明細書でいう低車速時とは、停車時(アイドル時)のみである場合を含む。
【0108】
また、上記の一実施形態では、空調操作パネル28に乗員より手動操作される専用のホットガススイッチ29bを備え、このホットガススイッチ29bの投入によりホットガス暖房モードを設定しているが、このような手動操作の専用スイッチ29bを設けずに、例えば、ECU26にて最大暖房状態等を判定してホットガス暖房モードを自動的に起動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の電気制御のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるホットガス暖房モード時の圧縮機制御を示すフローチャートである。
【図4】(a)は本発明の一実施形態によるホットガス暖房モード時の蒸発器吹出温度制御の防曇効果を示す実験結果のグラフ、(b)はホットガス暖房モード時の蒸発器吹出温度の制御特性図である。
【図5】本発明の一実施形態による蒸発器保水量算出の考え方の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態による蒸発器保水量の算出方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態におけるガラス温度上昇分とエンジン水温との関係を示す特性図である。
【図8】本発明の一実施形態によるホットガス暖房モード時の蒸発器吹出温度の曇り止め目標温度の具体的設定例を示す特性図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、14…凝縮器(室外熱交換器)、
16…温度式膨張弁(冷房用減圧装置)、18…蒸発器(室内熱交換器)、
20…ホットガスバイパス通路、21a…絞り(暖房用減圧装置)、
C…冷房用冷凍サイクル、H…ホットガスヒータサイクル。

Claims (6)

  1. 圧縮機(10)より吐出された冷媒を、室外熱交換器(14)、冷房用減圧装置(16)および室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を蒸発器として作動させる冷房用冷凍サイクル(C)と、
    前記圧縮機(10)より吐出された冷媒を、前記室外熱交換器(14)をバイパスさせて、前記室内熱交換器(18)を通して前記圧縮機(10)に戻すことで、前記室内熱交換器(18)を放熱器として作動させるホットガスヒータサイクル(H)とを切替可能に構成し、
    前記室内熱交換器(18)を、車室内へ向かって空気が流れる空調ケース(22)内に配置し、
    前記冷房用冷凍サイクル(C)により前記室内熱交換器(18)で冷却された空気を車室内へ吹き出すことにより冷房モードを実行し、また、前記ホットガスヒータサイクル(H)により前記室内熱交換器(18)で加熱された空気を車室内へ吹き出すことにより暖房モードを実行するようになっており、
    更に、前記室内熱交換器(18)における保水量の有無を判定する判定手段(S20)と、
    前記暖房モード時に、前記判定手段(S20)にて保水量があると判定されたときに、前記室内熱交換器(18)の吹出空気の目標温度として、前記空調ケース(22)からの吹出空気が車両窓ガラスにより冷却されても露点に到達しないようにする曇り止め目標温度を設定し、前記室内熱交換器(18)の吹出空気温度を前記曇り止め目標温度以下となるように制御する制御手段(S40、S30、S50)とを備え、
    前記曇り止め目標温度を低車速時には高車速時よりも高温側に補正することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記高車速時には前記曇り止め目標温度を前記車両窓ガラスと同等の温度とし、
    前記低車速時には、前記曇り止め目標温度を前記高車速時より所定値高い温度に補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記車両窓ガラスの温度を、外気温と、前記空調ケース(22)からの吹出空気による温度上昇分とに基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記圧縮機(10)の吐出能力を制御することにより前記室内熱交換器(18)の吹出空気温度を制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 少なくとも、前記冷房モード時における前記室内熱交換器(18)での凝縮水量と、前記暖房モード時における前記室内熱交換器(18)での凝縮水の蒸発量と、前記圧縮機(10)が停止状態にある放置時における前記空調ケース(22)の排水口(22a)からの凝縮水の排水量とに基づいて前記保水量を算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記圧縮機(10)は車両エンジン(12)により駆動され、
    前記空調ケース(22)内において、前記室内熱交換器(18)の下流側に前記車両エンジン(12)からの温水を熱源として空気を加熱する温水式熱交換器(24)を配置することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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