JP3895493B2 - 故障判定機能を有するセンサ装置及びサーボ制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のスロットル弁等の機械的可動部の現在位置を検出するセンサ装置及びその現在位置が目標位置になるように制御するサーボ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーボ制御装置として車載内燃機関のスロットル弁の開度を目標開度に制御する装置がある。このサーボ制御装置は、モータによって可動されるスロットル弁の現在位置である開度を位置検出器によって検出し、位置検出器から出力されるその開度を示す開度検出信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換器によってディジタル信号に変換し、その変換したディジタル信号値とスロットル弁の目標開度を示すディジタル値との偏差を減少させるようにコントローラが上記のモータを駆動するように構成されている。
【0003】
かかる車載内燃機関のサーボ制御装置においてA/D変換器としては、10ビット(bit)の分解能を有するものを用いることが一般的である。これは、10ビットより大きい分解能を有するA/D変換器を用いると装置全体のコストをかなり上昇させることになるからである。ところが、スロットル弁でアイドル運転時等の軽負荷運転時の微小の空気量を制御するためには10ビットの分解能では十分でなく、11ビット以上の高分解能が要求されるのである。
【0004】
そこで、10ビットの分解能を有するA/D変換器を用いてそれより高分解能の変換結果を得るために、位置検出器から出力される開度検出信号にディザ信号を加算器で重畳して得られた重畳信号をA/D変換器に供給するサーボ制御装置が既に公知である(例えば、特開平10−222205号公報)。通常、開度検出信号が示すアナログ値がA/D変換器の変換閾値iとそれより1つ高い変換閾値i+1との間の値であれば、A/D変換器による変換出力値はiとなる。しかしながら、かかる従来のサーボ装置においては、開度検出信号にディザ信号を加算器で重畳して得られた重畳信号がA/D変換器に供給されるので、開度検出信号が示すアナログ値が変換閾値iとi+1との間の値であってもi+1に近い値であれば、A/D変換器の変換出力値はiとi+1とを交互に生成する。よって、単位時間当たりに平均値としては変換閾値iとi+1との中間値となり、10ビットより高分解能の変換結果を得ることができるのである。
【0005】
このような従来のサーボ制御装置においては、位置検出器としては可変抵抗器が用いられている。可変抵抗器の2つの固定端子の一方に所定の直流電圧Vcが印加され、他方の固定端子がアース接続され、スロットル弁の回転シャフトに連動して可変抵抗器の摺動子が抵抗器上を摺動し、摺動子からは電圧Vcの分圧電圧が開度検出信号として得られるようになっている。加算器は、可変抵抗器の摺動子からの接続ラインとアースとの間に抵抗とスイッチング素子との直列回路を備えている。スイッチング素子はディザ信号に応じて周期的にオンオフを繰り返すように駆動され、これによりスロットル部の開度が一定でも可変抵抗器の摺動子からの接続ラインのレベルがディザ信号に応じて上下に変動し、これのレベル変動を有する信号が重畳信号としてA/D変換器に供給されるのである。
【0006】
ところで、可変抵抗器の上記した他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合には位置検出器からは正確な開度検出信号が得られなくなり、スロットル弁の開度を目標開度にサーボ制御することが不可能になる。このようなアース接続ラインの断線による位置検出器の故障に備えてコントローラにおいては、A/D変換器の出力値が断線判定閾値(電圧Vcが5Vならば、4.75Vに相当するディジタル値)を越えたか否かを判別することが行われている。これは、他方の固定端子のアース接続ラインが断線すると、可変抵抗器の摺動子からA/D変換器への接続ラインの電圧はほぼ電圧Vcに等しくなるので、A/D変換器の出力値を断線判定閾値と比較することにより断線判定ができるためである。A/D変換器の出力値が断線判定閾値を越えた場合にはサーボ制御動作が禁止され、アイドル運転時には例えば、スロットル弁開度が一定開度にされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加算器において開度検出信号にディザ信号を重畳する際にディザ信号に応じてスイッチング素子がオンとなったときには、摺動子の接続ラインの電圧を降下させるので、可変抵抗器の他方の固定端子のアース接続ラインが断線している場合であっても摺動子の接続ラインの電圧はほぼ電圧Vcまで達することがない。よって、このような摺動子の接続ラインの電圧が供給されるA/D変換器の出力値から断線判定を正確に行うことができなくなるという問題点があった。
【0008】
このことは、スロットル弁を機械的可動部とする場合に限らず、高分解能が要求される他の機械的可動部の現在位置を検出するセンサ装置、また、その現在位置に基づいてモータ等の誘導負荷を駆動することにより制御するサーボ制御装置において同様である。
そこで、本発明の目的は、A/D変換器の分解能で得られる制御精度より高い精度で機械的可動部の現在位置を検出すると共に位置検出器等の位置検出手段の断線故障を正確に判別することができるセンサ装置及びサーボ制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のセンサ装置は、所定の電圧が両端に印加され機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、分圧抵抗による所定の電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、センサ値が故障判定閾値を越えたとき位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるセンサ装置であって、重畳手段は、センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って検出信号にディザ信号を重畳することなく検出信号をそのままアナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴としている。
【0010】
また、本発明のサーボ制御装置は、機械的可動部の現在位置を目標位置に向けて制御するサーボ制御装置であって、所定の電圧が両端に印加され機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、分圧抵抗による所定の電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、センサ値と目標位置を示すディジタル値との偏差に応じて機械的可動部を動作させる制御手段と、センサ値が故障判定閾値を越えたとき位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるサーボ制御装置であって、重畳手段は、センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って検出信号にディザ信号を重畳することなく検出信号をそのままアナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明によるサーボ制御装置を示しており、車載内燃機関のアイドル運転時のエンジン回転数を調整するためにスロットル弁開度を制御する装置である。なお、本発明によるセンサ装置はサーボ制御装置の一部として構成されている。
【0012】
このサーボ制御装置において、DC(直流)モータ1は車載内燃機関の吸気管9内のスロットル弁10と機械的に接続されたシャフト(図示せず)を有し、そのシャフトの回転によりスロットル弁10の開度を変化させる。スロットル弁10の開度(すなわち、現在開度位置)は位置検出器2によって検出される。位置検出器2はスロットル弁10の開度を示す電圧等のアナログ信号を開度検出信号として発生する。位置検出器2の出力には重畳手段として加算器3が接続されている。加算器3はマイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1に接続されている。この出力ポートからは例えば、500Hzの矩形波のディザ信号が生成されるようになっているので、マイクロコンピュータ4からのディザ信号と位置検出器2からのアナログの開度検出信号とが加算器3によって加算される。
【0013】
加算器3の出力にA/D変換器5が接続されている。A/D変換器5は従来と同様に例えば、10ビットの分解能を有し、加算器3から出力される加算結果のアナログ信号をディジタル信号に変換する。A/D変換器5にはサンプルクロックがマイクロコンピュータ4のクロック出力ポートCKから供給される。A/D変換器5の出力はマイクロコンピュータ4の入力ポートINに接続されている。マイクロコンピュータ4は、上記のようにディザ信号生成手段として動作する他にコントローラとして動作する。すなわち、マイクロコンピュータ4は、スロットル弁の目標開度を示す目標値を内燃エンジンの運転状態に応じて演算している。例えば、エンジンのアイドル運転時のエンジン回転数を所望の回転数に制御するためにエンジンの冷却水温、吸入空気量等のエンジンパラメータを検出するセンサ(図示せず)による検出値に応じてスロットル弁の目標開度を示す目標値が演算設定される。また、マイクロコンピュータ4は、A/D変換器5の出力ディジタル値である後述のセンサ値TPSから目標値を差し引いて偏差を求めてその偏差を累算し、その累算結果である制御量に応じたデューティ比の駆動信号を出力ポートOUT2から発生する。駆動信号はDCモータ1に供給され、DCモータ1を回転動作させる。
【0014】
図2は位置検出器2及び加算器3の具体的構成を示している。位置検出器2は可変抵抗器21を備えている。可変抵抗器21の固定端子の一方には電源電圧Vcが印加され、他方の固定端子はアース接続されている。可変抵抗器21の摺動子21aは位置検出器2の出力端子として機能し、機械的にはスロットル弁10の回転シャフトと連動して抵抗器上を摺動するようにされている。
【0015】
一方、加算器3は抵抗R1〜R4、コンデンサC1及びNPN型トランジスタQ1からなる。トランジスタQ1のベースは抵抗R4を介してマイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1に接続され、エミッタはアース接続されている。トランジスタQ1のコレクタは抵抗R2を介して可変抵抗器21の摺動子21aの接続ラインLに接続されている。摺動子21aの接続ラインLは抵抗R1を介してアース接続されている。また、摺動子21aの接続ラインLは抵抗R3とコンデンサC1からなる積分回路31を介してA/D変換器5に接続されている。
【0016】
かかる図1及び図2に示したサーボ制御装置の構成においては、位置検出器2からスロットル弁10の開度を示す開度検出信号が検出されると、開度検出信号はマイクロコンピュータ4から出力されるディザ信号と加算器3にて重畳される。
ディザ信号は、マイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1が論理“0”を示す低レベルと、論理“1”を示す高レベルとをサンプルクロックに同期したタイミングで繰り返すことにより生成される。論理“0”を示す低レベルの時にはトランジスタQ1はオフ状態である。トランジスタQ1のオフは摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsに影響を与えないので、その電圧Vsがそのレベルのまま上記の積分回路31を介してA/D変換器5に供給される。なお、このときの接続ラインLの電圧Vsは可変抵抗器21における摺動子21aの位置と抵抗R1とで定まる。
【0017】
一方、論理“1”を示す高レベルの時にはトランジスタQ1はオンとなり、摺動子21aの接続ラインLを抵抗R2を介してアース接続させる。よって、このときの接続ラインLの電圧Vsは可変抵抗器21における摺動子21aの位置と抵抗R1,R2とで定まる。すなわち、トランジスタQ1のオンは摺動子21aの接続ラインLの電圧VsをレベルVaだけレベル低下させる。このレベル低下した電圧Vsが積分回路31を介してA/D変換器5に供給される。
【0018】
このようにディザ信号はトランジスタQ1にオンオフを繰り返させるので、可変抵抗器21における摺動子21aの位置、すなわちスロットル弁10の開度が一定していてもA/D変換器5に供給される電圧VsはトランジスタQ1のオンオフに応じて上下にレベル変動する。
A/D変換器5はアナログ電圧Vsの重畳信号をディジタル値のセンサ値TPSに変換してマイクロコンピュータ4の入力ポートINに供給する。
【0019】
マイクロコンピュータ4は入力ポートINからのデータ読取動作を所定の周期(例えば、1msec)で実行する。このデータ読取動作について次に、図3のフローチャートを参照して説明する。
データ読取動作において、マイクロコンピュータ4は、先ず、A/D変換器5の出力ディジタル値であるセンサ値TPSを読み取る(ステップS1)。センサ値TPSを読み取ると、エラーフラグが1に等しいか否かを判別する(ステップS2)。エラーフラグは、0に初期設定されているが、例えば、エラーフラグ設定ルーチン(図示せず)において読み取ったセンサ値TPSが予め定められた規定範囲以外の値であるときには読み取ったセンサ値TPSは通常取り得ないエラー値であるとして、1に等しくされる。
【0020】
ステップS2にてエラーフラグ=0と判別したならば、ステップS1で読み取ったセンサ値TPSが重畳停止閾値TH1(例えば、1.167/1.067)より大であるか否かを判別する(ステップS3)。重畳停止閾値TH1は、例えば、内燃機関のアイドル運転時に取り得るスロットル弁10の最大開度より若干大なるスロットル弁開度にある場合のセンサ値TPSに相当する。すなわち、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得る範囲であるか否かを判別するための閾値である。また、後述するが、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合にセンサ値TPSからその断線判別ができるように閾値TH1が設定されている。
【0021】
ステップS3にてセンサ値TPS≦重畳停止閾値TH1であると判別した場合には、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得るためにディザ信号の出力ポートOUT1からの出力を行う(ステップS4)。そして、ステップS1で読み取ったセンサ値TPSに対してA/D変換器5の最小分解能の1/2の値を加算してその加算結果を今回のセンサ値TPSとする(ステップS5)。この今回のセンサ値TPSが上記の駆動信号の生成演算に用いられる。
【0022】
また、ステップS2にてエラーフラグ=1と判別した場合には、読み取ったセンサ値TPSは通常取り得ないエラー値である可能性があるので、ステップS6に進む。更に、ステップS3にてセンサ値TPS>閾値TH1であると判別した場合には、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得る必要がないので、ステップS6に進む。ステップS6においては、ディザ信号の出力ポートOUT1からの出力を停止させる。よって、ステップS6を実行した場合にはステップS1で読み取ったセンサ値TPSがそのままの今回のセンサ値TPSとして駆動信号の生成演算に用いられる。
【0023】
ディザ信号を位置検出器2からの開度検出信号と加算器3で加算することにより、A/D変換器5の分解能以上の制御精度が得られることを次に図4及び図5を用いて説明する。
図4及び図5において、「9」,「10」,「11」はA/D変換器5の複数の変換閾値のうちの連続する3つの値である。A/D変換器5への入力アナログ値が閾値「9」以上で閾値「10」より小である場合にはA/D変換器5の出力値は「9」を示し、入力アナログ値が閾値「10」以上で閾値「11」より小である場合にはA/D変換器5の出力値は「10」を示す。
【0024】
図4及び図5に共に破線で示す開度検出信号のレベルは閾値「10」と閾値「11」との間にあるが、図4の開度検出信号のレベルより図5の開度検出信号の方が低い。ディザ信号を開度検出信号に加算しないならば、A/D変換器5による変換出力値は図4及び図5のいずれの場合でも同一値「10」となる。
A/D変換器5には開度検出信号とディザ信号との重畳信号が積分回路31を介して供給されるので、A/D変換器5に供給される重畳信号は図4及び図5に実線で示すようにサイン波形の信号となる。図4に示す重畳信号の場合には閾値「10」以上で閾値「11」より小であり続けるので、A/D変換器5はサンプルクロックに応じて10,10,10,10,…のようにセンサ値TPSとして読み取る。一方、図5に示す重畳信号の場合には重畳信号が変換閾値「10」を下回る場合(図5のハッチング部分)が生じる。A/D変換器5は図5に示す重畳信号に対してはサンプルクロックに応じて9,10,9,10,…のようにセンサ値TPSとして読み取る。これら値は単位時間の平均値としては9.5に相当することになる。
【0025】
よって、開度検出信号のレベルが閾値「10」と閾値「11」との間にあってもその開度検出信号のレベルが閾値「9」側に変化すれば、A/D変換器5は「9」と「10」とが交互する出力値となり、単位時間の平均値としてはレベル「9.5」に相当することになるので、A/D変換器5の分解能以上の制御精度を得られるのである。このことは開度検出信号のレベルが他の「11」,「12」,…等の各レベル間にある場合においても同様である。
【0026】
ところで、ディザ信号によりトランジスタQ1がオンであるときには接続ラインLの電圧Vsが最小分解能の1/2(図4及び図5の場合、「0.5」)に相当する電圧だけ降下してしまう。すなわち、ディザ信号を開度検出信号に加算した場合にはディザ信号を加算しない場合に比べて読み取ったセンサ値TPSの平均値が最小分解能の1/2だけ低下してしまう。これを補償するためにはディザ信号を開度検出信号に加算した場合にはステップS5では読み取ったセンサ値TPSに対してA/D変換器5の最小分解能の1/2の値を加算して補正することが行われる。図4の例では、A/D変換器5の出力値の読取値は10,10,10,10,…であるが、ステップS5の実行によって10.5,10.5,10.5,10.5,…となり、単位時間当たりの平均値としては10.5となる。図5の例では、A/D変換器5の出力値の読取値は9,10,9,10,…であるが、ステップS5の実行によって9.5,10.5,9.5,10.5,…となり、単位時間当たりの平均値としては10となる。
【0027】
図6はA/D変換器5に供給される重畳信号の変化範囲A〜E毎のA/D変換器5の出力値の読取値の変化と、その平均値と、最小分解能の1/2の値を加算した補正後の値との関係を示している。
また、本発明によるサーボ制御装置においては、ステップS3にてセンサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にはステップS6に進んでディザ信号の出力が停止される。これは、センサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にディザ信号を開度検出信号に加算すると、トランジスタQ1のオン時に摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsの変動幅Vaが大きくなるので、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合でも図7に示すように、センサ値TPSを断線判定閾値TH2(電圧Vcが5Vならば、4.75Vに相当するディジタル値であり、重畳停止閾値TH1より大である)と比較してもセンサ値TPSがその断線判定閾値TH2よりも低下しないこととなり、その断線を判別することができなくなるためである。これに対処するためにセンサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にはディザ信号の出力を停止させることにより、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合に摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsはほぼ電圧Vcに等しくなるので、センサ値TPSからその断線判別が可能となる。
【0028】
なお、上記した実施例においては、機械的可動部として内燃機関のスロットル弁を示したが、これに限定されない。例えば、内燃機関の2次空気量制御弁や排気還流制御弁にも本発明を適用することができる。
また、上記した実施例においては、可変抵抗器のアース側が断線した場合について説明したが、電圧印加側端子が断線した場合にも同様にディザ信号の出力を停止させることにより断線判定を行うことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、A/D変換器の分解能で得られる制御精度より高い精度で機械的可動部の現在位置を検出すると共に位置検出器等の位置検出手段の断線故障を正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の位置検出器及び加算器の具体的構成を示す回路図である。
【図3】図1の装置中のマイク子コンピュータの読み取り動作を示すフローチャートである。
【図4】開度検出信号とディザ信号との重畳信号の読み取り動作を説明する図である。
【図5】開度検出信号とディザ信号との重畳信号の読み取り動作を説明する図である。
【図6】重畳信号の変化範囲A〜E毎のA/D変換出力値の読取値の変化と、その平均値と、最小分解能の1/2の値を加算した補正後の値との関係を示す図である。
【図7】断線判定ルーチンを示すフローチャートである。
【主要部分の符号の説明】
1 DCモータ
2 位置検出器
3 加算器
4 マイクロコンピュータ
5 A/D変換器
10 スロットル弁
21 可変抵抗器
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のスロットル弁等の機械的可動部の現在位置を検出するセンサ装置及びその現在位置が目標位置になるように制御するサーボ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーボ制御装置として車載内燃機関のスロットル弁の開度を目標開度に制御する装置がある。このサーボ制御装置は、モータによって可動されるスロットル弁の現在位置である開度を位置検出器によって検出し、位置検出器から出力されるその開度を示す開度検出信号をA/D(アナログ/ディジタル)変換器によってディジタル信号に変換し、その変換したディジタル信号値とスロットル弁の目標開度を示すディジタル値との偏差を減少させるようにコントローラが上記のモータを駆動するように構成されている。
【0003】
かかる車載内燃機関のサーボ制御装置においてA/D変換器としては、10ビット(bit)の分解能を有するものを用いることが一般的である。これは、10ビットより大きい分解能を有するA/D変換器を用いると装置全体のコストをかなり上昇させることになるからである。ところが、スロットル弁でアイドル運転時等の軽負荷運転時の微小の空気量を制御するためには10ビットの分解能では十分でなく、11ビット以上の高分解能が要求されるのである。
【0004】
そこで、10ビットの分解能を有するA/D変換器を用いてそれより高分解能の変換結果を得るために、位置検出器から出力される開度検出信号にディザ信号を加算器で重畳して得られた重畳信号をA/D変換器に供給するサーボ制御装置が既に公知である(例えば、特開平10−222205号公報)。通常、開度検出信号が示すアナログ値がA/D変換器の変換閾値iとそれより1つ高い変換閾値i+1との間の値であれば、A/D変換器による変換出力値はiとなる。しかしながら、かかる従来のサーボ装置においては、開度検出信号にディザ信号を加算器で重畳して得られた重畳信号がA/D変換器に供給されるので、開度検出信号が示すアナログ値が変換閾値iとi+1との間の値であってもi+1に近い値であれば、A/D変換器の変換出力値はiとi+1とを交互に生成する。よって、単位時間当たりに平均値としては変換閾値iとi+1との中間値となり、10ビットより高分解能の変換結果を得ることができるのである。
【0005】
このような従来のサーボ制御装置においては、位置検出器としては可変抵抗器が用いられている。可変抵抗器の2つの固定端子の一方に所定の直流電圧Vcが印加され、他方の固定端子がアース接続され、スロットル弁の回転シャフトに連動して可変抵抗器の摺動子が抵抗器上を摺動し、摺動子からは電圧Vcの分圧電圧が開度検出信号として得られるようになっている。加算器は、可変抵抗器の摺動子からの接続ラインとアースとの間に抵抗とスイッチング素子との直列回路を備えている。スイッチング素子はディザ信号に応じて周期的にオンオフを繰り返すように駆動され、これによりスロットル部の開度が一定でも可変抵抗器の摺動子からの接続ラインのレベルがディザ信号に応じて上下に変動し、これのレベル変動を有する信号が重畳信号としてA/D変換器に供給されるのである。
【0006】
ところで、可変抵抗器の上記した他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合には位置検出器からは正確な開度検出信号が得られなくなり、スロットル弁の開度を目標開度にサーボ制御することが不可能になる。このようなアース接続ラインの断線による位置検出器の故障に備えてコントローラにおいては、A/D変換器の出力値が断線判定閾値(電圧Vcが5Vならば、4.75Vに相当するディジタル値)を越えたか否かを判別することが行われている。これは、他方の固定端子のアース接続ラインが断線すると、可変抵抗器の摺動子からA/D変換器への接続ラインの電圧はほぼ電圧Vcに等しくなるので、A/D変換器の出力値を断線判定閾値と比較することにより断線判定ができるためである。A/D変換器の出力値が断線判定閾値を越えた場合にはサーボ制御動作が禁止され、アイドル運転時には例えば、スロットル弁開度が一定開度にされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加算器において開度検出信号にディザ信号を重畳する際にディザ信号に応じてスイッチング素子がオンとなったときには、摺動子の接続ラインの電圧を降下させるので、可変抵抗器の他方の固定端子のアース接続ラインが断線している場合であっても摺動子の接続ラインの電圧はほぼ電圧Vcまで達することがない。よって、このような摺動子の接続ラインの電圧が供給されるA/D変換器の出力値から断線判定を正確に行うことができなくなるという問題点があった。
【0008】
このことは、スロットル弁を機械的可動部とする場合に限らず、高分解能が要求される他の機械的可動部の現在位置を検出するセンサ装置、また、その現在位置に基づいてモータ等の誘導負荷を駆動することにより制御するサーボ制御装置において同様である。
そこで、本発明の目的は、A/D変換器の分解能で得られる制御精度より高い精度で機械的可動部の現在位置を検出すると共に位置検出器等の位置検出手段の断線故障を正確に判別することができるセンサ装置及びサーボ制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のセンサ装置は、所定の電圧が両端に印加され機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、分圧抵抗による所定の電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、センサ値が故障判定閾値を越えたとき位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるセンサ装置であって、重畳手段は、センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って検出信号にディザ信号を重畳することなく検出信号をそのままアナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴としている。
【0010】
また、本発明のサーボ制御装置は、機械的可動部の現在位置を目標位置に向けて制御するサーボ制御装置であって、所定の電圧が両端に印加され機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、分圧抵抗による所定の電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、センサ値と目標位置を示すディジタル値との偏差に応じて機械的可動部を動作させる制御手段と、センサ値が故障判定閾値を越えたとき位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるサーボ制御装置であって、重畳手段は、センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って検出信号にディザ信号を重畳することなく検出信号をそのままアナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明によるサーボ制御装置を示しており、車載内燃機関のアイドル運転時のエンジン回転数を調整するためにスロットル弁開度を制御する装置である。なお、本発明によるセンサ装置はサーボ制御装置の一部として構成されている。
【0012】
このサーボ制御装置において、DC(直流)モータ1は車載内燃機関の吸気管9内のスロットル弁10と機械的に接続されたシャフト(図示せず)を有し、そのシャフトの回転によりスロットル弁10の開度を変化させる。スロットル弁10の開度(すなわち、現在開度位置)は位置検出器2によって検出される。位置検出器2はスロットル弁10の開度を示す電圧等のアナログ信号を開度検出信号として発生する。位置検出器2の出力には重畳手段として加算器3が接続されている。加算器3はマイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1に接続されている。この出力ポートからは例えば、500Hzの矩形波のディザ信号が生成されるようになっているので、マイクロコンピュータ4からのディザ信号と位置検出器2からのアナログの開度検出信号とが加算器3によって加算される。
【0013】
加算器3の出力にA/D変換器5が接続されている。A/D変換器5は従来と同様に例えば、10ビットの分解能を有し、加算器3から出力される加算結果のアナログ信号をディジタル信号に変換する。A/D変換器5にはサンプルクロックがマイクロコンピュータ4のクロック出力ポートCKから供給される。A/D変換器5の出力はマイクロコンピュータ4の入力ポートINに接続されている。マイクロコンピュータ4は、上記のようにディザ信号生成手段として動作する他にコントローラとして動作する。すなわち、マイクロコンピュータ4は、スロットル弁の目標開度を示す目標値を内燃エンジンの運転状態に応じて演算している。例えば、エンジンのアイドル運転時のエンジン回転数を所望の回転数に制御するためにエンジンの冷却水温、吸入空気量等のエンジンパラメータを検出するセンサ(図示せず)による検出値に応じてスロットル弁の目標開度を示す目標値が演算設定される。また、マイクロコンピュータ4は、A/D変換器5の出力ディジタル値である後述のセンサ値TPSから目標値を差し引いて偏差を求めてその偏差を累算し、その累算結果である制御量に応じたデューティ比の駆動信号を出力ポートOUT2から発生する。駆動信号はDCモータ1に供給され、DCモータ1を回転動作させる。
【0014】
図2は位置検出器2及び加算器3の具体的構成を示している。位置検出器2は可変抵抗器21を備えている。可変抵抗器21の固定端子の一方には電源電圧Vcが印加され、他方の固定端子はアース接続されている。可変抵抗器21の摺動子21aは位置検出器2の出力端子として機能し、機械的にはスロットル弁10の回転シャフトと連動して抵抗器上を摺動するようにされている。
【0015】
一方、加算器3は抵抗R1〜R4、コンデンサC1及びNPN型トランジスタQ1からなる。トランジスタQ1のベースは抵抗R4を介してマイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1に接続され、エミッタはアース接続されている。トランジスタQ1のコレクタは抵抗R2を介して可変抵抗器21の摺動子21aの接続ラインLに接続されている。摺動子21aの接続ラインLは抵抗R1を介してアース接続されている。また、摺動子21aの接続ラインLは抵抗R3とコンデンサC1からなる積分回路31を介してA/D変換器5に接続されている。
【0016】
かかる図1及び図2に示したサーボ制御装置の構成においては、位置検出器2からスロットル弁10の開度を示す開度検出信号が検出されると、開度検出信号はマイクロコンピュータ4から出力されるディザ信号と加算器3にて重畳される。
ディザ信号は、マイクロコンピュータ4の出力ポートOUT1が論理“0”を示す低レベルと、論理“1”を示す高レベルとをサンプルクロックに同期したタイミングで繰り返すことにより生成される。論理“0”を示す低レベルの時にはトランジスタQ1はオフ状態である。トランジスタQ1のオフは摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsに影響を与えないので、その電圧Vsがそのレベルのまま上記の積分回路31を介してA/D変換器5に供給される。なお、このときの接続ラインLの電圧Vsは可変抵抗器21における摺動子21aの位置と抵抗R1とで定まる。
【0017】
一方、論理“1”を示す高レベルの時にはトランジスタQ1はオンとなり、摺動子21aの接続ラインLを抵抗R2を介してアース接続させる。よって、このときの接続ラインLの電圧Vsは可変抵抗器21における摺動子21aの位置と抵抗R1,R2とで定まる。すなわち、トランジスタQ1のオンは摺動子21aの接続ラインLの電圧VsをレベルVaだけレベル低下させる。このレベル低下した電圧Vsが積分回路31を介してA/D変換器5に供給される。
【0018】
このようにディザ信号はトランジスタQ1にオンオフを繰り返させるので、可変抵抗器21における摺動子21aの位置、すなわちスロットル弁10の開度が一定していてもA/D変換器5に供給される電圧VsはトランジスタQ1のオンオフに応じて上下にレベル変動する。
A/D変換器5はアナログ電圧Vsの重畳信号をディジタル値のセンサ値TPSに変換してマイクロコンピュータ4の入力ポートINに供給する。
【0019】
マイクロコンピュータ4は入力ポートINからのデータ読取動作を所定の周期(例えば、1msec)で実行する。このデータ読取動作について次に、図3のフローチャートを参照して説明する。
データ読取動作において、マイクロコンピュータ4は、先ず、A/D変換器5の出力ディジタル値であるセンサ値TPSを読み取る(ステップS1)。センサ値TPSを読み取ると、エラーフラグが1に等しいか否かを判別する(ステップS2)。エラーフラグは、0に初期設定されているが、例えば、エラーフラグ設定ルーチン(図示せず)において読み取ったセンサ値TPSが予め定められた規定範囲以外の値であるときには読み取ったセンサ値TPSは通常取り得ないエラー値であるとして、1に等しくされる。
【0020】
ステップS2にてエラーフラグ=0と判別したならば、ステップS1で読み取ったセンサ値TPSが重畳停止閾値TH1(例えば、1.167/1.067)より大であるか否かを判別する(ステップS3)。重畳停止閾値TH1は、例えば、内燃機関のアイドル運転時に取り得るスロットル弁10の最大開度より若干大なるスロットル弁開度にある場合のセンサ値TPSに相当する。すなわち、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得る範囲であるか否かを判別するための閾値である。また、後述するが、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合にセンサ値TPSからその断線判別ができるように閾値TH1が設定されている。
【0021】
ステップS3にてセンサ値TPS≦重畳停止閾値TH1であると判別した場合には、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得るためにディザ信号の出力ポートOUT1からの出力を行う(ステップS4)。そして、ステップS1で読み取ったセンサ値TPSに対してA/D変換器5の最小分解能の1/2の値を加算してその加算結果を今回のセンサ値TPSとする(ステップS5)。この今回のセンサ値TPSが上記の駆動信号の生成演算に用いられる。
【0022】
また、ステップS2にてエラーフラグ=1と判別した場合には、読み取ったセンサ値TPSは通常取り得ないエラー値である可能性があるので、ステップS6に進む。更に、ステップS3にてセンサ値TPS>閾値TH1であると判別した場合には、A/D変換器5の分解能以上の制御精度でセンサ値TPSを得る必要がないので、ステップS6に進む。ステップS6においては、ディザ信号の出力ポートOUT1からの出力を停止させる。よって、ステップS6を実行した場合にはステップS1で読み取ったセンサ値TPSがそのままの今回のセンサ値TPSとして駆動信号の生成演算に用いられる。
【0023】
ディザ信号を位置検出器2からの開度検出信号と加算器3で加算することにより、A/D変換器5の分解能以上の制御精度が得られることを次に図4及び図5を用いて説明する。
図4及び図5において、「9」,「10」,「11」はA/D変換器5の複数の変換閾値のうちの連続する3つの値である。A/D変換器5への入力アナログ値が閾値「9」以上で閾値「10」より小である場合にはA/D変換器5の出力値は「9」を示し、入力アナログ値が閾値「10」以上で閾値「11」より小である場合にはA/D変換器5の出力値は「10」を示す。
【0024】
図4及び図5に共に破線で示す開度検出信号のレベルは閾値「10」と閾値「11」との間にあるが、図4の開度検出信号のレベルより図5の開度検出信号の方が低い。ディザ信号を開度検出信号に加算しないならば、A/D変換器5による変換出力値は図4及び図5のいずれの場合でも同一値「10」となる。
A/D変換器5には開度検出信号とディザ信号との重畳信号が積分回路31を介して供給されるので、A/D変換器5に供給される重畳信号は図4及び図5に実線で示すようにサイン波形の信号となる。図4に示す重畳信号の場合には閾値「10」以上で閾値「11」より小であり続けるので、A/D変換器5はサンプルクロックに応じて10,10,10,10,…のようにセンサ値TPSとして読み取る。一方、図5に示す重畳信号の場合には重畳信号が変換閾値「10」を下回る場合(図5のハッチング部分)が生じる。A/D変換器5は図5に示す重畳信号に対してはサンプルクロックに応じて9,10,9,10,…のようにセンサ値TPSとして読み取る。これら値は単位時間の平均値としては9.5に相当することになる。
【0025】
よって、開度検出信号のレベルが閾値「10」と閾値「11」との間にあってもその開度検出信号のレベルが閾値「9」側に変化すれば、A/D変換器5は「9」と「10」とが交互する出力値となり、単位時間の平均値としてはレベル「9.5」に相当することになるので、A/D変換器5の分解能以上の制御精度を得られるのである。このことは開度検出信号のレベルが他の「11」,「12」,…等の各レベル間にある場合においても同様である。
【0026】
ところで、ディザ信号によりトランジスタQ1がオンであるときには接続ラインLの電圧Vsが最小分解能の1/2(図4及び図5の場合、「0.5」)に相当する電圧だけ降下してしまう。すなわち、ディザ信号を開度検出信号に加算した場合にはディザ信号を加算しない場合に比べて読み取ったセンサ値TPSの平均値が最小分解能の1/2だけ低下してしまう。これを補償するためにはディザ信号を開度検出信号に加算した場合にはステップS5では読み取ったセンサ値TPSに対してA/D変換器5の最小分解能の1/2の値を加算して補正することが行われる。図4の例では、A/D変換器5の出力値の読取値は10,10,10,10,…であるが、ステップS5の実行によって10.5,10.5,10.5,10.5,…となり、単位時間当たりの平均値としては10.5となる。図5の例では、A/D変換器5の出力値の読取値は9,10,9,10,…であるが、ステップS5の実行によって9.5,10.5,9.5,10.5,…となり、単位時間当たりの平均値としては10となる。
【0027】
図6はA/D変換器5に供給される重畳信号の変化範囲A〜E毎のA/D変換器5の出力値の読取値の変化と、その平均値と、最小分解能の1/2の値を加算した補正後の値との関係を示している。
また、本発明によるサーボ制御装置においては、ステップS3にてセンサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にはステップS6に進んでディザ信号の出力が停止される。これは、センサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にディザ信号を開度検出信号に加算すると、トランジスタQ1のオン時に摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsの変動幅Vaが大きくなるので、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合でも図7に示すように、センサ値TPSを断線判定閾値TH2(電圧Vcが5Vならば、4.75Vに相当するディジタル値であり、重畳停止閾値TH1より大である)と比較してもセンサ値TPSがその断線判定閾値TH2よりも低下しないこととなり、その断線を判別することができなくなるためである。これに対処するためにセンサ値TPS>重畳停止閾値TH1の場合にはディザ信号の出力を停止させることにより、可変抵抗器21の他方の固定端子のアース接続ラインが断線した場合に摺動子21aの接続ラインLの電圧Vsはほぼ電圧Vcに等しくなるので、センサ値TPSからその断線判別が可能となる。
【0028】
なお、上記した実施例においては、機械的可動部として内燃機関のスロットル弁を示したが、これに限定されない。例えば、内燃機関の2次空気量制御弁や排気還流制御弁にも本発明を適用することができる。
また、上記した実施例においては、可変抵抗器のアース側が断線した場合について説明したが、電圧印加側端子が断線した場合にも同様にディザ信号の出力を停止させることにより断線判定を行うことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、A/D変換器の分解能で得られる制御精度より高い精度で機械的可動部の現在位置を検出すると共に位置検出器等の位置検出手段の断線故障を正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の位置検出器及び加算器の具体的構成を示す回路図である。
【図3】図1の装置中のマイク子コンピュータの読み取り動作を示すフローチャートである。
【図4】開度検出信号とディザ信号との重畳信号の読み取り動作を説明する図である。
【図5】開度検出信号とディザ信号との重畳信号の読み取り動作を説明する図である。
【図6】重畳信号の変化範囲A〜E毎のA/D変換出力値の読取値の変化と、その平均値と、最小分解能の1/2の値を加算した補正後の値との関係を示す図である。
【図7】断線判定ルーチンを示すフローチャートである。
【主要部分の符号の説明】
1 DCモータ
2 位置検出器
3 加算器
4 マイクロコンピュータ
5 A/D変換器
10 スロットル弁
21 可変抵抗器
Claims (5)
- 所定の電圧が両端に印加され機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、前記分圧抵抗による前記所定の電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、
前記検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、
前記重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、
前記センサ値が故障判定閾値を越えたとき前記位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるセンサ装置であって、
前記重畳手段は、前記センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って前記検出信号に前記ディザ信号を重畳することなく前記検出信号をそのまま前記アナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴とする故障判定機能を有するセンサ装置。 - 前記重畳手段が前記検出信号に前記ディザ信号を重畳する期間中においては前記センサ値に前記アナログ/ディジタル変換手段の最小分解能の1/2の値を加算してその加算結果の値を前記センサ値として出力する補正手段を含むことを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
- 前記重畳手段は、前記位置検出手段の出力ラインとアースとの間に直列接続された抵抗及びスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子は前記ディザ信号に応じてオンオフすることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
- 前記故障判定閾値は前記重畳停止閾値より大であることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
- 機械的可動部の現在位置を目標位置に向けて制御するサーボ制御装置であって、
所定の電圧が両端に印加され前記機械的可動部の位置に連動して分圧抵抗比が変化するようにされた分圧抵抗を有し、前記分圧抵抗による前記所定電圧の分圧電圧を検出信号として出力する位置検出手段と、
前記検出信号に周期的にレベル変化するディザ信号をレベル重畳して重畳信号を生成する重畳手段と、
前記重畳信号をディジタル信号に変換してそれをセンサ値として出力するアナログ/ディジタル変換手段と、
前記センサ値と前記目標位置を示すディジタル値との偏差に応じて前記機械的可動部を動作させる制御手段と、
前記センサ値が故障判定閾値を越えたとき前記位置検出手段の故障と判定する故障判定手段と、からなるサーボ制御装置であって、
前記重畳手段は、前記センサ値が重畳停止閾値を越えている期間に亘って前記検出信号に前記ディザ信号を重畳することなく前記検出信号をそのまま前記アナログ/ディジタル変換手段に供給することを特徴とするサーボ制御装置。
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