JP3894827B2 - 電動開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動開閉装置の制御装置に関し、特に、ブラインド,ロールスクリーンなどの電動開閉装置の開閉動作を制御するための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、複数の電動開閉装置の高さを採光と冷暖房費用の節約のために集中的に制御でき、建物全体の美観を維持するのに役立つ電動開閉装置システムが市販されている。
【0003】
その一つとして、開閉エンコーダにより開閉高さを検出するとともに、上限設定スイッチおよび下限設定スイッチを設けた電動ロールスクリーンがある。操作者は、これらの設定スイッチを操作することにより、上限高さを原点として下限高さおよび現在高さをEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)に記憶させ、これらの記憶データに基づいて開閉高さを管理している。この電動ロールスクリーンシステムは、開閉操作とともに、任意の高さ位置操作が可能である。この関連技術として、特開平11−141251号公報に開示された発明がある。
【0004】
特開平11−141251号公報に開示された発明は、ロールスクリーンを設置して初めて使用する場合に、必要となる上限高さおよび下限高さの設定に関するものを含んでいる。上限設定スイッチまたは下限設定スイッチを操作して上下限設定モードとし、開スイッチまたは閉スイッチを操作して駆動用電動機を正転駆動または逆転駆動させてロールスクリーンを開または閉させる。そして、ロールスクリーンが所望の上限高さあるいは下限高さとなったときに停止スイッチを操作して電動機を停止させ、上限設定スイッチまたは下限設定スイッチを操作することにより、その時のロールスクリーンの高さを上限高さまたは下限高さとしてマイクロコンピュータのレジスタであるRAM(RANDOM ACCESSMEMORY)に記憶している。また、上下限位置の正確な設定を容易に行うことができるように、上下限高さを微小補正する操作の技術も開示している。
【0005】
なお、市販のロールスクリーンシステムでは電源遮断時においても上下限位置が消去されないように上述したEEPROMにも下限高さを記憶させている。また、現在高さも消去されないようにする必要があり、これについては電源遮断時にEEPROMに現在高さを記憶させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、開閉動作中は常時変化する現在高さを変化する毎にEEPROMに記憶させることはEEPROMの書込寿命特性から避ける必要がある。また、設置場所の電気ノイズが強い場合、マイクロコンピュータがソフト的に暴走、あるいはハード的にリセットされる場合がある。マイクロコンピュータのリセット時すなわち通電時処理時には、上述の電源遮断時にEEPROMに書き込みがなく、EEPROMに現在高さが記憶されていないことから、現在高さが消去されていることになり、改めて上下限高さを設定する必要が発生する。
【0007】
さらに、開閉動作中にマイクロコンピュータがリセットされると、通電時処理として通常は停止モードとすることから停止状態、すなわち表面的には強制停止となり、操作者の意図に反することになってしまう。このような事態にならないように最悪事態を想定してノイズフィルタなどを組み込んで耐ノイズ性を確保している。その結果、高価な電動開閉装置となっているという問題がある。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、通電時にリセットが発生して擬似的に電源投入状態となったとき、不揮発性メモリに現在位置データが記憶されていない場合でも正しく現在位置データを取得して、開閉動作に支障をきたさないようにし得る電動開閉装置の制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は電動機の回転によって開閉対象を開閉する電動開閉装置の制御装置であって、電動機の回転をパルス信号に変換して出力するための変換手段と、電源遮断を検知する電源遮段検知手段と、電源遮断検知手段が電源遮断を検知したときの開閉対象の現在位置データを記憶する不揮発性メモリと、変換手段からのパルス信号を計数して現在位置データを出力する計数手段と、情報を記憶する揮発性メモリとを有し、電源投入時には、不揮発性メモリから現在位置データを前記計数手段に設定する電動開閉装置において、擬似的に電源投入状態となったとき、不揮発性メモリが現在位置データを損傷もしくは消失していることを判別したことに応じて、揮発性メモリの記憶内容を確認し、それが正当であれば計数手段が保持している現在位置データを継続して使用することにより現在位置を管理する管理手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
これにより、周辺ノイズにより擬似的に電源が再投入状態になって管理手段を構成するマイクロコンピュータがリセットされても現在位置は正しく管理されていることから、上下限設定の再設定も不必要となり継続しての開閉操作が可能となる。
【0011】
また、揮発性メモリは、予め定める値を記憶するレジスタ手段を含み、管理手段はレジスタ手段に記憶している値が予め定める値であれば、計数手段が保持している現在位置データを継続して使用することを特徴とする。
【0012】
これによりレジスタ手段に任意の値を設定しておき、この値が保たれていれば計数手段が保持している現在位置データを継続して使用できる。
【0013】
また、電源投入後の動作モードを記憶する動作モード記憶手段を含み、管理手段は動作モード記憶手段に電源投入後の動作モードを記憶させるとともに、電源投入時に現在位置として計数手段の計数値を継続使用するときには、動作モード記憶手段に記憶している動作モードにしたがって動作を再開させることを特徴とする。
【0014】
これにより、管理手段がリセットされる前の開閉動作を再開して操作者の意図を実現する。
【0015】
さらに、電源投入時に現在位置として計数手段の計数値を継続使用することを報知する報知手段を含み、管理手段は電源投入時に現在位置データとして計数手段の計数値を継続使用することを報知手段から報知させることを特徴とする。
【0016】
このように、異常を報知することにより、動作中の強制停止理由を明確にするとともに、発生頻度が大きい時にはノイズフィルタ等を追加して耐ノイズ性を大きくするなど適切な耐ノイズ性確保に貢献できる。
【0017】
さらに、不揮発性メモリは開閉対象の下限位置を記憶していて、管理手段は計数手段の計数値が不揮発性メモリに記憶している下限位置に一致したことに応じて電動機の回転を停止させることを特徴とする。
【0018】
これにより、管理手段がリセットされても開閉対象を不揮発性メモリに記憶している下限位置で停止させることができる。
【0019】
さらに、管理手段はマイクロコンピュータによって構成され、計数手段と揮発性メモリとレジスタ手段はマイクロコンピュータに内蔵され、不揮発性メモリはマイクロコンピュータに外付されることを特徴とする。
【0020】
これにより、マイクロコンピュータは、リセットされて不揮発性メモリに現在位置が記憶されていない場合でも、正しく現在位置を取得して開閉動作に支障をきたすことがない。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施態における電動開閉装置の外観を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。以下の説明では、電動開閉装置として電動ロールスクリーンを例として説明するが、電動横型ブラインドなどに応用することも可能である。
【0022】
電動ロールスクリーン1は、下面が開口している長尺状のケース2、ケース2の開口部から垂下される開閉部材たる矩形シート状のスクリーン3、スクリーン3を巻き取るためのパイプ4、パイプ4を回転させるための駆動ユニット5、および駆動ユニット5の駆動を制御するための制御ユニット10を含む。また、駆動ユニット5は、正逆回転可能な電動機6、電動機6の回転をパイプ4に伝えるための減速機構7、電動機6の回転軸に連結されたブレーキ装置8、および電動機6の回転位置すなわちスクリーン3の昇降高さを示す高さ信号を発生するためのロータリエンコーダ9を含む。
【0023】
制御ユニット10は、上下限設定モードまたは異常を報知するLED11を含む。なお、LED11は制御ユニット10の端部に組み込まれ、制御ユニット10はロールスクリーン1の下側から視認可能なようにケース2に取り付けられる。
【0024】
図2は、電動ロールスクリーン1とコントローラ12との接続を示す図である。コントローラ12は、ロールスクリーン内の制御ユニット10に通信線13を介して接続されている。コントローラ12は、操作者による操作を操作信号に変換し、通信線13を介して制御ユニット10に送信する。制御ユニット10は、受信した操作信号に応じて駆動ユニット5を駆動し、スクリーン3の昇降高さを制御する。
【0025】
図3は、制御ユニット10とコントローラ12とをより詳細に示すブロック図である。制御ユニット10は、コントローラ12から受信した操作信号に応じて駆動ユニット5を制御するためのマイクロコンピュータ14、マイクロコンピュータ14からの出力により駆動ユニット5を駆動するための駆動回路15と、上下限の設定モード時および異常時を報知するためのLED11と、コントローラ12から受信した操作信号をマイクロコンピュータ14に出力するための受信回路16と、回路電源電圧の低下により電源遮断を検知する電源遮断検知回路17と、ロールスクリーンの下限高さデータおよび電源遮断時の現在高さデータを記憶しておく不揮発性メモリであるEEPROM18とを含む。
【0026】
また、マイクロコンピュータ14は、処理単位を8ビットとする8ビットマイクロコンピュータであり、ロータリエンコーダ9からのパルス信号を計数し現在高さデータを出力する計数手段としてのカウンタ19と、駆動ユニット5における上昇/下降/停止の動作モードを記憶する揮発性メモリとしてのレジスタ20と、電源遮断中のデータ化けの是非を判別するために、電源投入時に書込まれる複数の異なる固定値(「0」、「1」、「2」・・・「256」の256個)を記憶するレジスタ群21とを含む。また、EEPROM18は、ロールスクリーンの下限高さデータを記憶するメモリエリア22、電源遮断時すなわち再通電時の現在高さデータを記憶するメモリエリア23を含む。なお、上限高さは、高さデータ“0”として定義しているため、このデータを格納するためのメモリは必要ない。
【0027】
図4は、現在位置を記憶しているカウンタ19、メモリエリア23、および下限高さを記憶しているメモリエリア22のビット構成を示すデータ構成図である。現在高さまたは下限高さだけでなく、上位2ビットにはフラグが埋め込まれている。上限高さが設定された時は、図4(a)に示すように最上位ビット(MSB)の確定フラグがセット(「1」)され、現在高さを記憶しているカウンタ19およびメモリエリア23に反映される。同様に、下限高さが設定された時は、図4(b)に示すように最上位ビット(MSB)の確定フラグがセット(「1」)され、下限高さを記憶しているメモリエリア22に反映される。また、電源遮断時にEEPROM18のメモリエリア23にカウンタ19を複写記憶させるときは、最上位ビットの1桁下位側ビットの電源遮断時書込フラグがセット(「1」)される。なお、電源投入時にはメモリエリア23の電源遮断時書込むフラグはリセット(「0」)されている。
【0028】
コントローラ12は、操作者による操作を判別し、制御ユニット10に操作信号を送出するためのマイクロコンピュータ24、上昇操作スイッチ25、下降操作スイッチ26、停止操作スイッチ27、およびマイクロコンピュータ24から出力される信号を、通信線13を介して制御ユニット10に送信するための送信回路28を含む。マイクロコンピュータ24は、上昇操作スイッチ25、下降操作スイッチ26、および停止操作スイッチ27が操作者によって押下されたことを検出し、どのスイッチが押下されたかによって操作を決定する。
【0029】
上昇操作スイッチ25、下降操作スイッチ26および停止操作スイッチ27は、単独で操作された場合にはそれぞれスクリーン3の上昇、下降、または停止と判別される。
【0030】
また、上昇操作スイッチ25、下降操作スイッチ26および停止操作スイッチ27が組み合わされて操作された場合には、以下のように判別される。
【0031】
(1)「停止操作スイッチ27」+「上昇操作スイッチ25」・・・上限高さの設定操作
(2)「停止操作スイッチ27」+「下降操作スイッチ26」・・・下限高さの設定操作
また、上述した停止操作スイッチ27を5秒以上押下げたときは、上下限設定モード時または異常発生を報知しているLED11を消灯とし、上下限設定モードおよび異常報知のリセット操作と判別される。
【0032】
送信回路28は、マイクロコンピュータ24が分析した操作者による操作に基づいて出力する操作信号を入力し、操作信号を増幅して通信線13を介してロールスクリーン1内の受信回路16へ送信する。操作信号はバイナリコードからなるシリアル信号で構成され、シリアル信号には所定のビット数によって定義された操作内容などが含まれている。
【0033】
図5は、この発明の一実施形態における電動ロールスクリーン1内の制御ユニット10のコントローラ12からの入力信号受信の処理手順を説明するためのフローチャートである。まず、マイクロコンピュータ14は、ステップ(図示ではSと略称する)S1において、コントローラ12から送信された操作信号を、受信回路16を介して入力し、操作信号の種別を判定する。
【0034】
操作信号が「上昇」と判定された場合、ステップS2において上下限設定モードの是非を判定し、上下限設定モードでない場合、ステップS3において上限高さが確定しているか否かを判定し、上限高さが確定している場合、ステップS4において上限高さか否かを判定する。ステップS3において、上限確定でない場合は、無効操作として何も処理せずに終了する。この処理は、上限高さが設定されていない場合に上昇動作が行われると、電動ロールスクリーン1の破損等につながるので、この危険な上昇動作を防止するためのものである。
【0035】
また、ステップS4において、上限高さである場合も無効操作として何も処理せずに終了する。しかし、ステップ2において、上下限設定モードの場合、またはステップS4において、上限高さでない場合は、ステップS5において駆動ユニット5を駆動してスクリーン3の上昇動作を行うとともに、ステップS6においてレジスタ20に「上昇」を示すモード値を書き込む。
【0036】
同様に、ステップS1において入力された操作信号が「下降」と判定された場合、ステップS7において上下限設定モードの是非を判定し、上下限設定モードでない場合、ステップS8において下限高さが確定しているか否かを判定し、下限高さが確定している場合(Yes)、ステップS9において下限高さか否かを判定する。ステップS8において、下限確定でない場合(No)、無効操作として何も処理せずに終了する。
【0037】
この処理は、下限高さが設定されていない場合に下降動作が行われると、電動ロールスクリーン1の破損等につながるので、この危険な下降動作を防止するためのものである。また、ステップS9において、下限高さである場合(Yes)も無効操作として何も処理せずに終了する。しかし、ステップS7において、上下限設定モードの場合(Ye)、またはステップS9において、下限高さでない場合(No)は、ステップS10において駆動ユニット5を駆動してスクリーン3の下降動作を行うとともに、ステップS11においてレジスタ20に「下降」を示すモード値を書き込む。
【0038】
ステップS5における上昇動作またはステップS10における下降動作が行われると、上述したようにロータリエンコーダ9からパルス信号が出力され、カウンタ19がカウントダウンまたはカウントアップされる。なお、図示しないが、上昇動作中にカウンタ19が上限高さ値となれば、または下降動作中にカウンタ19が下限高さ値となれば、駆動ユニット5によるスクリーン3の昇降動作を停止する、とともにレジスタ20に「停止」を示すモード値を書き込む。
【0039】
ステップS1において、操作信号が「停止」と判定された場合、ステップS12において駆動ユニット5によるスクリーン3の昇降動作中のときは昇降動作を停止するとともに、ステップS13においてレジスタ20に「停止」を示すモード値を書き込む。
【0040】
また、操作信号が「上限設定」または「下限設定」と判定された場合、ステップS14またはS15にて上下限設定モードの是非が判定され、上下限設定モードでない時は、ステップS16において上下限設定モードがセットされるとともに、ステップS17においてLED11が連続点灯させる。上述したように、上下限高さが設定されていない場合には昇降動作が不可能であったが、上下限設定モードがセットされると上下限高さが設定されていない場合でも昇降動作が可能となる。この状態で、上述した上昇操作あるいは下降操作を行い、所望する上限高さあるいは下限高さにスクリーン3を移動させることができる。
【0041】
操作者が、ステップS5において上昇動作およびステップS12において停止動作をさせることによりスクリーン3を上限高さに停止させた後、停止操作スイッチ27および上昇操作スイッチ25を同時に押圧操作することにより、上限高さが設定される。すなわち、操作信号が「上限設定(停止+上昇)」と判定された場合、ステップS14において上下限設定モードと判定され(Yes)、ステップS18において上限高さがセットされる。すなわち、現在高さを示すカウンタ19に上限高さである「0」がセットされるとともに、最上位ビットである上限高さ確定フラグがセット(「1」)される。そして、ステップS19において上下限設定モードがリセットされ、ステップS20においてLED11が消灯される。
【0042】
同様に、操作者が、ステップS10において下降動作およびステップS12において停止動作することによりスクリーン3を下限高さに停止させた後、停止操作スイッチ27および下降操作スイッチ26を同時に押圧操作することにより、下限高さが設定される。すなわち、操作信号が「下限設定(停止+下降)」と判定された場合、ステップS15において上下限設定モードと判定され(Yes)、ステップS21において下限高さがセットされる。すなわち、メモリ22にカウンタ19が複写され、メモリエリア22の最上位ビットである下限高さ確定フラグがセット(「1」)される。そして、ステップ19において上下限設定モードがリセットされ、ステップS20においてLED11が消灯される。
【0043】
なお、LEDの異常報知については後述するが、ステップS1において操作信号が「リセット操作」と判別された場合は、上下限設定モードがセットされている時はステップS19においてリセットされ、ステップS20においてLED11が消灯される。
【0044】
図6は、この発明の実施形態における電動ロールスクリーン1内の制御ユニット10の電源遮断時における処理手順を説明するためのフローチャートである。マイクロコンピュータ14は、ステップS21において電源遮断検知回路17からの検知信号を入力し、電源遮断を判定する。
【0045】
電源が通電されている期間は、回路電源電圧は定格電圧(例えば、DC5V)であることから、電源遮断検知回路の検知電圧(例えば、DC4.5V)以上となり、マイクロコンピュータ14への入力電圧は検知電圧以上であることを示す「H(例えば、DC5V)」となっている。ステップS21の電源遮断判定では入力信号が「H」であることから電源通電中と判定される(No)のみで、何も処理せずに終了する。
【0046】
ここで、電源が遮断されれば、マイクロコンピュータ14を含む回路負荷による通電消費により回路電源電圧は降下していき、そして検知回路17の検知電圧以下となれば、検知回路17からマイクロコンピュータ14に「L(例えば、0.5V以下)」信号が入力される。ステップS21の電源遮断判定では入力信号が「L」であることから電源遮断と判定される(Yes)。そして、ステップS22において、現在高さデータであるカウンタ19をEEPROM18のメモリエリア23に複写させるとともに、最上位ビットの下位側ビットである電源遮断時書込フラグがセット(「1」)される。なお、後述するように、電源投入時の初期化処理にてメモリ23の電源遮断時書込フラグはリセット(「0」)されている。そして、何も処理しないステップS23を無限に繰り返すことになる。しかし、回路電源電圧はさらに降下していき、マイクロコンピュータ14は動作しなくなる。
【0047】
図7は、この発明の実施形態における電動ロールスクリーン1内の制御ユニット10の初期化ルーチン、すなわち電源投入時の処理手順を説明するためのフローチャートである。すなわち、電源投入時は図示しないが、リセット回路によりマイクロコンピュータ14はリセットされる。
【0048】
ここで、電源投入時とは通常の電源遮断を行った後の投入と、稼動状態において外部からノイズなどが混入して再起動されて制御ユニット10が初期化されてしまう擬似的な電源投入も含むものとする。
【0049】
マイクロコンピュータ14は、初期化のためにリセットされるとステップS31などからなる初期化処理を行う。まず、マイクロコンピュータ14に内蔵されているRAMをクリアする。ただし、本発明ではカウンタ19、レジスタ20、レジスタ群21として配置しているRAMについてはクリアしない。
【0050】
次に、ステップS32にてEEPROM18のメモリエリア23に埋め込まれている電源遮断時書込フラグがセットされているか否かが判別される。通常は、上述しているように電源遮断時に電源遮断時書込フラグはセットされていることから、セットと判定され(Yes)、ステップS33において電源遮断時の現在高さであるEEPROM18のメモリエリア23の値が通電後の現在高さとなるカウンタ19に複写される。このことにより、電源遮断時に上下限高さが設定されていた場合は、メモリ23に埋め込まれていた上限高さ確定フラグも上述のようにカウンタ19に複写され、下限高さについてもEEPROM18のメモリエリア22に下限高さ確定フラグとともに保持されていることから、電源遮断前と同様な昇降操作が可能となっている。
【0051】
そして、ステップS34において、電源遮断時に備えて有効可否判別データ群であるレジスタ群21に予め定める値として「0」、「1」、「2」、…「255」のデータを書き込み(S34)、レジスタ20に「停止」を示すモード値を書き込み(S35)、EEPROM18のメモリエリア23に埋め込まれている電源遮断時書込フラグをリセット(「0」)しておく(S36)。
【0052】
ステップS31にてマイクロコンピュータ14に内蔵されているRAMに配置されたカウンタ19、レジスタ20、レジスタ群21についてはクリアしていないが、電源が遮断されて回路電源電圧が降下する中で、これらのRAM値は書き込まれたビット値を維持できずに不定の値となっている。すなわち、レジスタ群21の「0」〜「255」の固定値は「0」〜「255」から変化している(たとえば、「0」→「7」、「1」→「12」など)。
【0053】
なお、周辺ノイズが強い場合、そのノイズが混入して擬似的に電源が再投入された状態となってマイクロコンピュータ14がリセットされる場合がある。この時は、回路電源電圧が降下しないため、不定値とはならずにリセット前の値を保持している。
【0054】
すなわち、周辺ノイズによりマイクロコンピュータ14がリセットされた場合、ステップS31にてカウンタ19、レジスタ20、レジスタ群21はクリアされずにリセット前の値を保持した状態で、ステップS32にてメモリエリア23の電源遮断時書込フラグが判定される。上述したように通電時には、ステップS36において電源遮断時書込フラグはリセットされており、通電中もリセットのままとなっている。その結果、電源遮断時にステップS32において、書込フラグはリセットと判定され、次にステップS37において、レジスタ群21のデータ保持が判定される。
【0055】
しかし、上述したように256個のデータすべてが電源投入時に予め定めた値として書込まれた「0」、「1」、「2」、…「255」の値を保持し、データ変化がないことからステップS37において、データ保持と判定される(Ye)。そして、ステップS38においてレジスタ20に保持されているリセット前の動作モードが判定されて、「停止」の時はステップS39において、LED11の点滅点灯をセットするのみで初期化処理を終了する。すなわち、カウンタ19、レジスタ20、レジスタ群21、メモリエリア22、メモリエリア23の値はそのままにしてリセット前の停止状態が維持される。この時、上下限高さが設定されておれば、上限および下限確定フラグもセットされたままであることから、リセット前と同様に昇降操作および動作が可能となっている。
【0056】
ステップS38にて「上昇」と判定された場合は、上述のステップS5と同様にしてステップS40において、上昇動作がセットされ、「下降」と判定された場合は、上述のS10と同様にステップS41において、下降動作がセットされ、そして「停止」時と同様にステップS39において、LED11の点滅点灯がセットされ、カウンタ19、レジスタ20、レジスタ群21、メモリエリア22、メモリエリア23の値をそのままにしてリセット前の「上昇」または「下降」状態を維持する。この時、上下限高さは確定フラグも含め、保持されていることから上限高さ(上昇時)または下限高さ(下降時)にて図示しないが、昇降動作を停止するとともに、レジスタ20に「停止」を示すモード値を書き込む。そして、上述の「停止」時と同様に、次の昇降操作および動作が可能となっている。
【0057】
上述したようにLED11は点滅点灯して周辺ノイズによるマイクロコンピュータリセットが発生したことを報知し続けるが、停止操作スイッチ27を5秒以上押圧すれば、「リセット操作」信号がコントローラ12から送信され、制御ユニット10のマイクロコンピュータ14により「リセット操作」と判別され、図5のステップS20においてLED11が消灯される。
【0058】
なお、制御ユニット10の生産時には、電源遮断時書込フラグがリセット、レジスタ群21が固定値でない場合が発生するが、その場合は、ステップS32にて遮断時書込フラグがリセットと判定され、次にステップS37にてレジスタ群21はデータ非保持と判定され(No)、ステップS42にてカウンタ19に「0」すなわち、上限高さ確定フラグはリセットが書き込まれ、上述したように昇降動作を行うためには上下限高さを設定する必要がある。
【0059】
この実施形態においては電動ロールスクリーンの現在高さのみとしているが、スクリーンではなく複数のスラットから構成される横型ブラインドのスラットの現在角度についても、本発明を適用することは可能である。
【0060】
また、昇降範囲を上限高さと下限高さの1組として説明したが、これらを最上下限設定とし、その昇降範囲内にさらに上下限設定を可能にすることは、この発明の上下限設定を複数盛り込むことにより可能である。
【0061】
また、上下限設定モードをセットするのに上下限設定操作を兼用したが、別にスイッチを設けて専用操作とすることも可能であり、操作性は改善される。
【0062】
また、昇降操作として「上昇」「下降」しか説明していないが、任意の高さへの「高さプリセット」操作にも対応させることは可能であり、特に、周辺の電気ノイズによるマイクロコンピュータリセットによる昇降動作を再開させるにあたっては動作モードが「高さプリセット」のみに限定し、単に「上昇」「下降」の時は昇降動作を再開させずに「停止」とすることは安全性面から好ましいことである。
【0063】
また、内蔵RAMのデータ化け判別のために予め定めた値として、「0」、「1」、「2」、…「255」の256個としているが、全ビットが「1」である「255」または、および全ビットが(0)である(0)を各々複数個(たとえば16個)とすることも可能である。
【0064】
また、現在高さデータ(カウンタ19)、動作モードデータ(レジスタ20)を1個としているが、複数個(例えば3個)として、レジスタ群21のデータ判別だけでなく、複数の現在高さデータおよび動作モードデータの一致をもデータが変化していないことの条件にすることは可能であり、信頼性確保の面から好ましいことである。
【0065】
また、異常報知をLEDのみとしたが、その異常の発生カウンタをEEPROMに持ちその値を認識可能にすることは、制御ユニット10に送信回路、コントローラ12に受信回路および表示装置を持ち、バイナリコードからなるシリアル信号である操作信号を拡張定義することにより、可能である。さらに、停止時と動作中とを区別して異常発生カウンタを持ち回答することも可能である。
【0066】
さらに、リセット後からのタイマを持つことにより、異常時にはマイクロコンピュータリセット発生時刻が特定できることから、電気ノイズ源の特定に役立てることが可能である。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、周辺機器等からの電気ノイズにより管理手段がリセットされてしまうという擬似的に電源が投入されたとき、初期化処理時の不揮発性メモリに現在位置データが記憶されていない場合でも、計数手段に保持されているデータを使用することにより、引き続き昇降操作および動作を可能とし、不揮発性メモリが現在位置データを損傷もしくは消失していることを判別したことに応じて、揮発性メモリの記憶内容を確認し、それが正当であれば計数手段が保持している現在位置データを継続して使用することにより現在位置を管理することができる。
【0069】
さらに、昇降動作中に管理手段がリセットされても、レジスタ手段に保持されている動作モードデータから、昇降動作を再開するため、操作者の意図を阻害せずに実現することができる。
【0070】
さらに、管理手段がリセットの発生を報知手段により報知することから、その発生を確認することが可能となり、発生が多い時にはノイズフィルタなどの追加により耐ノイズ性を大きくし、適切な耐ノイズ性とすることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による電動ロールスクリーンシステム本体側の外観図である。
【図2】 図1に示された本体側とコントローラとの接続図である。
【図3】 図2に示されたシステムの電気的概略ブロック図である。
【図4】 現在高さ、下限高さのデータ構成を示す図である。
【図5】 本体側制御部のコントローラ信号受信の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】 本体側制御部の電源遮断時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】 本体側制御部の電源投入時の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 電動ロールスクリーン、2 ケース、3 スクリーン、4 パイプ、5 駆動ユニット、6 電動機、7 減速機構、8 ブレーキ装置、9 ロータリエンコーダ、10 制御ユニット、11 報知LED、12 コントローラ、14,24 マイクロコンピュータ、15 駆動回路、16 受信回路、17 電源遮断検知回路、18 EEPROM、19 カウンタ、20 レジスタ、21 レジスタ群、22,23 メモリエリア、25 上昇操作スイッチ、26 下降操作スイッチ、27 停止操作スイッチ、28 送信回路。

Claims (6)

  1. 電動機の回転によって開閉対象を設定範囲内で開閉する電動開閉装置であって、
    前記電動機の回転をパルス信号に変換して出力するための変換手段と、
    前記変換手段からの前記パルス信号を計数する計数手段と、
    揮発性メモリと、
    レジスタ手段を含む揮発性メモリと、
    前記電動開閉装置への電源供給の終了時に、終了時処理として、前記電動機が停止したときの前記計数手段の計数値を前記開閉対象の現在位置データとして前記不揮発性メモリに書込む管理手段とを備え、
    前記管理手段は、前記電動開閉装置の通電開始時に自身が再起動された場合には前記現在位置データを前記不揮発性メモリから読出して前記計数手段に設定するとともに、前記レジスタ手段に予め定めた値を書込み、前記電動開閉装置の通電中に自身が再起動された場合には、前記レジスタ手段に記憶されている値を確認して、前記レジスタ手段に記憶されている値が前記予め定めた値のまま保たれているときには、前記計数手段が保持している計数値を前記現在位置データとして継続して使用することを特徴とする、電動開閉装置。
  2. 前記電動開閉装置は、さらに、通電開始後の動作モードを記憶する動作モード記憶手段を含み、
    前記管理手段は、前記動作モード記憶手段に通電開始後の動作モードを記憶させるとともに、前記電動開閉装置の通電中に自身が再起動された場合に前記現在位置データとして前記計数手段の計数値を継続使用するときには、前記動作モード記憶手段に記憶している動作モードにしたがって動作を再開させることを特徴とする、請求項1に記載の電動開閉装置。
  3. 前記電動開閉装置は、さらに、前記現在位置データとして前記計数手段の計数値を継続使用することを報知する報知手段を含み、
    前記管理手段は、前記電動開閉装置の通電中に自身が再起動された場合に前記現在位置データとして前記計数手段の計数値を継続使用することを前記報知手段から報知させることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の電動開閉装置。
  4. 電動機の回転によって開閉対象を設定範囲内で開閉する電動開閉装置であって、
    前記電動機の回転をパルス信号に変換して出力するための変換手段と、
    前記変換手段からの前記パルス信号を計数する計数手段と、
    不揮発性メモリと、
    報知手段と、
    前記電動開閉装置への電源供給の停止時に、前記電動機が停止したときの前記計数手段の計数値を前記開閉対象の現在位置データとして前記不揮発性メモリに書込む管理手段とを備え、
    前記管理手段は、前記電動開閉装置の通電開始時に自身が再起動された場合には前記現在位置データを前記不揮発性メモリから読出して前記計数手段に設定し、前記電動開閉装置の通電中に自身が再起動された場合に、前記計数手段が保持している計数値が変更されていないと判定したときには、前記計数手段が保持している計数値を前記現在位置データとして継続して使用するとともに、前記現在位置データとして前記計数手段の計数値を継続使用することを前記報知手段から報知させることを特徴とする、電動開閉装置。
  5. 前記不揮発性メモリは、前記開閉対象の下限位置を記憶していて、
    前記管理手段は前記計数手段の計数値が前記不揮発性メモリに記憶している下限位置に一致したことに応じて前記電動機の回転を停止させることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の電動開閉装置。
  6. 前記管理手段はマイクロコンピュータによって構成され、前記計数手段前記マイクロコンピュータに内蔵され、前記不揮発性メモリは前記マイクロコンピュータに内蔵されるかあるいは外付されることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の電動開閉装置。
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