JP3894670B2 - 検査治具の接続方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試験或いは検査のための治具或いはテストアダプタ(以下、検査治具と称する)の接続装置に関する。
例えばプリント配線板等の製造工程において、被検査対象であるその配線、即ちプリントパターンが当初の設計通りに製造されているか否か等を検査するために、配線試験装置にて試験が行われる。この場合に、検査用の治具は、被検査対象であるプリントパターンに電気的に接触される。
【0002】
近年のコンピュータ等の電子装置において、製品の高密度化に伴い、プリント配線板のパターンの複雑化や、立体構造物へのパターン形成の傾向も高まっているが、これらのパターンの適否を検査するためには、プリント(テスト)パターンと電気的に接続するための検査治具が必要となる。
【0003】
【従来の技術】
従来、被検査対象であるプリント配線板等の平面構造のパターン面には、図1に示すように、一方向の圧力によって、圧力面又は反対面のパターンに接触する検査治具が多かった。即ち、図1において、平面構造の試験対象(A)に対して、当該平面と直角な方向に検査治具(B)が試験対象側に移動され、検査治具と試験対象との接続が行われる。
【0004】
立体構造の検査対象に対処する場合には、図2に示すように、接触したい面に合わせた圧力機構が必要である。このような場合、検査対象のプリントないしテストパターンによっては大きな治具を必要とする。即ち、図2において、例えば、被検査対象(A)直方体状であって、その前面と側面がテストパターンの接触面(A1 ,A2 )であるとすると、前面(A1 )に対しては当該前面と直角な方向に該前面側へ移動する第1の検査治具(B1 )が、側面(A2 )に対しては当該側面と直角な方向に該側面側へ移動する第2の検査治具(B2 )が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年のプリント配線板等の複雑化、小型化により、被検査対象であるテストパターンへの効率の良い接触技術が必要である。立体構造のテストパターンへの接触は、従来の平面接触方法と同じような、検査パターン面だけ圧力機構ではうまく接続できない。また、検査治具の機構を簡略化しないと、機構部が大きくなりがちである。装置開発等において大きな障害となる。
【0006】
また、年々、被検査対象と外部とのインターフェイスの信号・電源・グランドの数が増加する中、試験設備の信号数も比例して伸びてきている。そのため検査治具とのインターフェイス部分のピン数が増加し、手動で電気的に接続させるのが容易でなくなってきて、自動化の傾向にある。接続の作業は自動化になってきてはいるが、試験治具の装着それ自体は未だ作業者の手によるところが多い。そのため、試験治具の装着ミスがあった場合、接触作業が自動化になっている関係上、試験装置の装着が不十分等の装着ミスを感知せずに機械が自動的に接合しようとする。そのようなことが起これば、コンタクト部分の破損は免れず、修理のための費用等を要することとなる。
【0007】
上記のことから、本発明では、立体構造上に形成されたパターンへの接触のし易さ、並びに機構の小形化を目的として、将来のプリント配線板等の立体化、小型化に対応可能な検査治具の接続装置を提供するものである。
また、本発明では、検査治具を被検査対象に装着する場合において、装着ミスがあった時は、試験装置が作動する前に、自動的に装置ミスを感知して、コンタクト部分の破損等を未然に防ぐことのできる検査治具の接続装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、試験対象物のコネクタ部分に検査治具を機械的に嵌合させて、該機械的な嵌合を確認してから該検査治具と試験対象物のコネクタ部分との間で電気的な導通を開始する検査治具の接続装置において、前記検査治具と、該検査治具が取付けられ且つ軸を中心に回転可能なプローブと、該プローブを前記軸を中心に回転させて前記検査治具を試験対象物のコネクタ部分に嵌合せしめる圧力機構と、を具備し、前記プローブは、前記軸をはさんで一方の側に前記検査治具が取付けられ、他方の側には斜面が形成されており、前記圧力機構は該プローブの斜面に対応する斜面を有すると共に、該圧力機構の斜面が前記プローブの斜面に当接し、前記プローブを前記軸を中心に回転させて前記検査治具を試験対象物のコネクタ部分に嵌合せしめるように直線に移動し、検査治具の試験対象物のコネクタ部分への嵌合状態を検出するセンサを複数の位置に設け、該複数のセンサのすべてが嵌合状態を確認した後、検査治具と試験対象物との間で電気的な導通を開始することを特徴とする検査治具の接続装置が提供される。
【0015】
これによると、検査治具とのインターフェイス部分のピン数が増加した場合でも、検査治具の装着は、その検査治具の全体が完全に試験対象物のコネクタ部に嵌合して始めて、検査治具と試験対象物との間で電気的な導通が開始されるので、装着ミス等が起こったとしても、コンタクト部分が破損することは未然に防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図3〜図7に検査治具の種々の実施形態を示し、図8に装置化実施の構成例を示す。
図3は本発明の検査治具の接続装置の1実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図である。試験対象物10は立体構造のもので、その側面が検査対象面11でありプリント配線板(図示せず)のテストパターン等を有する。軸21を中心に回転可能なプローブ20は、軸の一方の側に検査治具25が取付けられ、他方の側は斜面22を有する。圧力機構30はプローブの斜面に対応する斜面31を有し、圧力機構30を図の下方から上方へ直線状に移動すると、圧力機構30の斜面31がプローブ20の斜面22に当接し、更に上方へ移動すると、プローブ20は軸21を中心に図の時計方向に回転する。これにより、プローブ20に取付けられた検査治具25は試験対象物10の被検査パターン面11であるテストパターンに接触する。なお、図には詳細に示していないが、接触時において、検査治具25の接触面がテストパターン11の全面に均等に接触するように、試験対象物10及びプローブ20が配置されている。
【0017】
図4は本発明の検査治具の接続装置の他の実施形態を示すもので、立体構造の被試験対象物10の両側面が検査対象面11,11となる場合である。即ち、試験対象物は立体構造のもので、その両側面にプリント配線板(図示せず)のテストパターン11,11等が配置されている。軸21を中心に回転可能な1対のプローブ20は試験対象物10の両側に対称に配置される。各プローブ20は、軸21の一方の側に検査治具25が取付けられ、他方の側は斜面22を有する。圧力機構30は、その両側に1対のプローブの斜面22にそれぞれ対応する斜面31,31を有し、圧力機構を図の下方から上方へ移動すると、圧力機構30の1対の斜面が各プローブ20の斜面22にそれぞれ当接し、更に上方へ移動すると、各プローブはそれらの軸を中心に回転、各プローブに取付けられた1対の検査治具が試験対象物の両側面にあるテストパターンにそれぞれ接触する。この場合にも、接触時において、各検査治具の接触面が各テストパターンの全面に均等に接触するように、予め試験対象物及び1対のプローブが配置されている。
【0018】
図5は複数の立体構造物が並列して配置され、各立体構造物に側面パターン11が形成された場合の検査治具の構成例を示す。図示のように、各試験対象物10の被検査面11には、それぞれ、側面パターンが形成されている。検査治具25を各側面パターン11に接触させる場合において、被検査対象面間隔が狭い場合に、図1及び図2に示したような、従来通り方法では、側面に圧力機構を設けるのは難しい。
【0019】
このように、検査治具25の接触時に検査対象面11の間隔が狭い場合でも、図5のように、軸21を中心に回転可能なプローブ20を複数並列に並べ、これらの各プローブ20を複数の斜面部を有する単一の圧力機構により同時に作動させるようにする。圧力機構30を図の下方から上方へ移動すると、圧力機構30の各斜面31が各プローブ20の斜面22にそれぞれ当接し、更に上方へ移動すると、各プローブ20はそれらの軸21を中心に図の時計方向に回転し、各プローブ20に取付けられた検査治具25が試験対象物10の側面にある複数のテストパターン11にそれぞれ接触する。この場合にも、接触時において、各検査治具25の接触面が各テストパターン11の全面に均等に接触するようにされていることは勿論である。
【0020】
図6は更に他の構成例で、立体構造の試験対象物10の両側面と前面(場合によっては背面も)が検査対象面となる場合である。即ち、試験対象物は立体構造のもので、その両側面と前面にはプリント配線板(図示せず)のテストパターン等が配置されている。図4と同様に、軸21を中心に回転可能な1対のプローブ20が対称に配置され各プローブ20はその一方の側に検査治具25が取付けられると共に、圧力機構30の前面にも検査治具25が取付けられる。したがって、圧力機構30を図の下方から上方へ移動すると、圧力機構30の1対の斜面31,31が各プローブ20の斜面22にそれぞれ当接し、更に上方へ移動すると、各プローブ20はそれらの軸21を中心に回転し、1対の検査治具25が試験対象物10の両側面にあるテストパターンにそれぞれ接触する。また同時に圧力機構30の前面にある検査治具25が試験対象物10の前面にあるテストパターン等に接触する。
【0021】
場合によっては、試験対象物10の背面も検査対象面とすることができ,この場合、別の検査治具25を設け、前述の圧力機構と異なる別の圧力機構により作動される検査治具25がこの背面のテストパターンに接触される。このように、立体構造の試験対象物の合計4つの面でテストパターンに接触させることも可能となる。また、この場合において、第1の圧力機構と第2の圧力機構とを機械的に連結しておけば、1つの駆動源でもって同時に4つの面の接触も可能となる。
【0022】
図7は基板等の平面状の構造物に形成されたパターンでの参考例を示す。平面プリント板等におけるパターンへの検査治具の接続は従来例の図1に示したように、一方の側の検査パターン面に対して一方向の圧力機構が必要になる。この方法では、一度に数枚のテストパターンへの接触を実現するために、大きな機構を必要とする。図7に示すような本発明の機構を応用することで、構造を簡略化し、検査治具を小形化することができる。なお、図7では、プリント板の両面のテストパターンへの検査治具の接触の例を示したが、小さいスペースで同時に検査パターンへの接触が可能となっている。
【0023】
即ち、図7においては検査対象が平行に配置された複数のプリント板10であり、各プリント板10の両面が被検査面となっている。これに対し、各プリント板10に対して1対ずつのプローブ20がそれぞれ対称的に配置され、それぞれ軸21を中心としてプリント板10側へ回転できるようになっている。圧力機構30はプリント板10毎に複数のV字形の斜面部31,31を有し、圧力機構30が図の上方へ移動することにより各プローブ20の検査治具が同時のプリント板10の両面のパターンに接触するようになる。
【0024】
図8は装置化実施の構成例を示すもので、検査治具25を被検査対象面に接触させて、切り換ユニットを介して測定回路部にて測定を実行する。これらの制御はパソコンにて行う。
図9はセンサを有する本発明の検査治具の接続装置の実施形態を斜視図で示すものである。図示のように、2つのスイッチ41,42を、試験設備(A)の被検査対象の両側位置で、検査治具50の左右両端に対応する位置に取付ける。スイッチ41,42としては、エアースイッチを用い、検査治具50を試験設備の被検査対象のコンタクト部分(C)の嵌合位置付近まで持ってきて、エアースイッチ41,42がONの状態になる位置まで検査治具50を押し込んだ時にコンタクト可能位置として、検査治具50がその状態に押し込まれてスイッチ41,42を押されたときのみ、機構を動かす動力源であるエアー供給部(図示せず)へエアーを供給するようにした。
【0025】
また、エアースイッチ41,42を嵌合面の両端2個所に設置しているので、嵌合面において両端のどちらかが浮いた状態で機構が作動することをなくし、コンタクト可能な状態でのみ機構が作動するようにした。
このセンサ41,42をエアースイッチとしたことにより、自動コンタクト機構に電気駆動部分をなくし、試験中に主電源が落ちたとしても、検査治具が試験設備から急激に外れることがなくなり、試験者の事故をなくした。
【0026】
図10はセンサ40を1個所しか設けていない場合の例である。この場合は、検査治具50を試験設備(A)に嵌合する部分のコンタクト部分の面積が大きく、センサ40の取付け位置によっては、どちらかが浮いた状態になる可能性があり、浮いた方が装着不十分となり、それでもスイッチはONということで作動してしまう可能性もある。
【0027】
図11は嵌合面の両端、2個所にセンサを設けた例である。この場合は、検査治具50を試験設備(A)に嵌合する際コンタクト面の片側が浮いている状態ではON状態とは判断しないので、2個所のセンサ41,42がONとなって始めて機構が作動するようにしている。そうすることにより、不十分な接触状態をなくし、コンタクト時に破損等が起こらない状態での嵌合を可能とする。したがって、図9に示す本発明の実施形態ではこの方式を採用している。
【0028】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神ないし範囲内において種々の形態、変形、修正等が可能であることに留意すべきである。
【0029】
【発明の効果】
以上に説明したような、本発明によれば、立体構造物に形成されたパターンへの接続用の検査治具が、容易に作製可能であり、設備化にも対応しやすくなる。また、本発明では、検査治具の破壊や損傷を防止することができ、確実な接続が補償され、信頼性のある試験が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の平面的な試験対象物に対する検査治具の原理図である。
【図2】従来の立体構造に対する検査治具の概略図である。
【図3】本発明による検査治具の接続装置の1実施形態の概略図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明による検査治具の接続装置の他の実施形態の概略図である。
【図5】多数の被検査面を有する場合の検査治具の構成例を示す。
【図6】多数の被検査面を有する場合の検査治具の他の構成例を示す。
【図7】多数の被検査面を有する場合の検査治具の更に他の構成例を示す。
【図8】本発明による装置化実施の構成例を示す。
【図9】センサを有する本発明の検査治具の接続装置の実施形態を斜視図で示す。
【図10】センサが1個所の場合の接続例を示す。
【図11】センサが2個所の場合の接続例を示す。
【符号の説明】
10…試験対象
11…パターン面(被検査面)
20…プローブ
21…軸
22…斜面
25…検査治具
30…圧力機構
31…斜面
41,42…センサ
50…検査治具

Claims (1)

  1. 試験対象物のコネクタ部分に検査治具を機械的に嵌合させて、該機械的な嵌合を確認してから該検査治具と試験対象物のコネクタ部分との間で電気的な導通を開始する検査治具の接続装置において、前記検査治具と、該検査治具が取付けられ且つ軸を中心に回転可能なプローブと、該プローブを前記軸を中心に回転させて前記検査治具を試験対象物のコネクタ部分に嵌合せしめる圧力機構と、を具備し、前記プローブは、前記軸をはさんで一方の側に前記検査治具が取付けられ、他方の側には斜面が形成されており、前記圧力機構は該プローブの斜面に対応する斜面を有すると共に、該圧力機構の斜面が前記プローブの斜面に当接し、前記プローブを前記軸を中心に回転させて前記検査治具を試験対象物のコネクタ部分に嵌合せしめるように直線に移動し、検査治具の試験対象物のコネクタ部分への嵌合状態を検出するセンサを複数の位置に設け、該複数のセンサのすべてが嵌合状態を確認した後、検査治具と試験対象物との間で電気的な導通を開始することを特徴とする検査治具の接続装置。
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