JP3894666B2 - ステンレス選別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、破砕資源化プラントにおいて、粗大ごみ、不燃ごみ、家庭電化製品等の廃棄物を破砕処理した後に、破砕物に含まれるステンレス鋼を選別するステンレス選別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、廃棄物処理施設、破砕資源化プラント等における廃棄物の選別装置として、図3に例示されるようなシステムが知られている。この従来システムにおいて、不燃性ごみ1は、受入ホッパ2にて受け入れられた後、高速回転破砕機(もしくは油圧せん断式破砕機)3にて破砕され、次いで磁選機4にて鉄類の分別がなされる。この分別された鉄類は、風力選別機5にかけられることによって軽いダストが分離された後、鉄プレス機6にて圧縮成形されて貯留ストックヤード7に貯留される。一方、前記磁選機4にて鉄類分離後のごみは粒度選別機8にて3種類の大きさのごみ、すなわち粒度の最も小さい土砂・ガラス等の不燃物と、最も粒度の大きいプラスチックフィルム・紙等の軽量可燃物と、中間の粒度のアルミニウム・プラスチック・木片等の重量可燃物とに分けられる。こうして、土砂・ガラス等の不燃物は不燃物貯留ホッパ9に、プラスチックフィルム・紙等の軽量可燃物は可燃物貯留部10にそれぞれ貯留され、アルミニウム・プラスチック・木片等を含む重量可燃物は、アルミ選別機11にてアルミを分離した後やはり可燃物貯留部10に貯留される。また、アルミ選別機11にて分離されたアルミニウムはアルミプレス機12にて圧縮成形されて貯留ストックヤード13に貯留される。
【0003】
ところで、最近、前述のような廃棄物の処理に際して、有価物の回収や資源化の社会的要求が高まりつつあり、また廃棄物中における家庭電化製品のウェイトが増す中で、資源化が可能な廃棄物としてステンレス鋼の含有比率が高まりつつあり、このステンレス鋼を有価物として単独に分別する技術の確立が要求されつつある。
【0004】
このような観点から、廃棄物中に含まれているステンレス鋼を分別するための技術が、例えば特開平8−47927号公報、特開平8−224498号公報などにおいて提案されている。これら既提案の技術はいずれも、鉄系の金属を分離する一般の磁気選別機よりも強力な磁力を発生させる磁気選別機を用いて、弱磁性体となったステンレス鋼を吸引して分離するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記各公報に開示されている技術は、強磁力のマグネットによってステンレス鋼を吸着するという技術思想を示すに留まるものであり、このような技術を用いたとしても、実際には分別対象となるステンレス鋼の形状がまちまちであることから、特に球形に近いような形状のものではいくら強磁力のマグネットを用いたとしても、吸着面積が小さくて十分な吸着力を得ることができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、廃棄物中に含まれているステンレス鋼をその形状に拘わらず確実に選別することのできるステンレス選別装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明によるステンレス選別装置は、
破砕された廃棄物からステンレス鋼を選別する選別装置であって、
(a)破砕物を定量ずつ供給する定量供給装置、
(b)この定量供給装置により供給される破砕物をプレス機へ送り込む上下移動可能な押込装置、
(c)この押込装置により送り込まれる破砕物を押し潰して板状の破片にするプレス機、
(d)このプレス機より排出される破砕物を搬送する高磁力マグネットプーリー付きのベルトコンベアおよび
(e)このベルトコンベアのベルトを介して前記高磁力マグネットプーリーに吸着されたステンレス破砕物をそのベルトコンベアから分離する分離手段
を備え
前記プレス機が、互いに内側に向かって回転する一対のローラーを含むローラープレス機とされ、これら一対のローラー間の間隔が調整可能とされている
ことを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、定量供給装置から破砕物をプレス機に供給する際、上下移動可能な押込装置による押し込み操作を加えながら送り込み、このプレス機により押し潰されて板状の破片に成形され、この成形後に成形物は下方の高磁力マグネットプーリー付きのベルトコンベア上に排出される。次いで、このベルトコンベアの搬出端のマグネットプーリー位置において、ステンレス鋼よりなる破砕物(成形物)がベルトを介してそのマグネットプーリーに吸着されることにより、このステンレス破砕物がその他の破砕物と分別され、この吸着されたステンレス破砕物が分離手段によってベルトコンベアから分離されることによって下方へ落下排出される。こうして廃棄物中のステンレス鋼の単独選別を確実に行うことができる。本発明によれば、廃棄物中に含まれているステンレス鋼を選別するに際して、予め破砕物を押し潰して板状の破片にし、高磁力マグネットに対する接触面積を高めることができるので、この高磁力マグネットにより確実に吸着して分離選別できるのであり、従来、ステンレス鋼と混在して分離されていた銅、アルミニウム等の非鉄金属をそれぞれ単独で分別回収することがさらに容易にできるという副次的な効果をも奏し得るのである。
【0011】
また、本発明によれば、破砕物を圧縮成形するプレス機として、ローラープレス機が用いられているので、定量供給装置より供給される破砕物を連続的に板状の破片に圧縮成形して定量ずつ高磁力マグネットプーリー付きベルトコンベア上に供給することができ選別作業の自動化が容易に行えるまた、一対のローラー間の間隔調整可能とされているので、供給される破砕物のサイズ、性状に容易に適合させることができる。
【0012】
本発明において、前記分離手段は、前記ベルトコンベアのベルト表面に突設されるスクレーパであるのが好ましい。こうすることで、前後の各スクレーパ間に載置されたステンレス破砕物をベルトコンベアから分離させるのに、プッシャ等の特別の装置を用いずに容易に分離させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるステンレス選別装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1には、本発明の一実施例に係る廃棄物選別システムが示されている。本実施例は、粗大ごみ、不燃ごみ、家庭電化製品等の廃棄物を選別するシステムに関わるものである。この実施例のシステムの大部分は図3に示される従来システムと共通しているので、この共通部分については図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、本実施例に特有の部分のみについて説明することとする。
【0015】
本実施例の廃棄物選別システムにおいては、粒度選別機8にて分別された廃棄物のうち、プラスチックフィルム・紙等を含む軽量可燃物と、アルミ選別機11にて分別されたプラスチック・木片等を含む重量可燃物とがステンレス選別装置14に供給されるように構成され、このステンレス選別装置14による選別後のステンレス破砕物がステンレス貯留部15に、その他の破砕物が可燃物貯留部10にそれぞれ貯留されるように構成されている。
【0016】
次に、前記ステンレス選別装置14の詳細構造について図2を参照しつつ説明する。
【0017】
このステンレス選別装置14においては、入り口側に定量供給コンベア(もしくは定量供給フィーダ)よりなる定量供給装置16が配され、この定量供給装置16上に破砕物Wが供給されるようにされている。ここで、この破砕物Wは、前工程の破砕機によって破砕された時に、反り返ったりねじれたりした形状になっている。
【0018】
前記定量供給装置16の搬出端の下方には、この定量供給装置16によって定量ずつ供給されてその搬出端から下方へ落下される破砕物Wを受け入れるローラープレス機17が配されている。このローラープレス機17は、電動もしくは油圧駆動によって互いに内側へ向かって下向きに回転駆動される上下一対ずつ計二対のローラー17a,17bよりなり、このローラープレス機17に破砕物Wが受け入れられることにより、破砕物Wは厚さ約30mm以下の平たい板状の破片に成形されるようになっている。ここで、各対のローラー17a,17b間の間隙a,bは、破砕物Wのサイズおよび性状により手動もしくは自動によって調整可能とされている。このローラー17a,17bの寸法(直径)は、破砕物Wのサイズに応じた寸法に設定される。また、ローラー17a,17bは硬鋼製とされ、破砕物Wを取り込み易いように、その表面を粗面とするか、あるいは表面に突起物を設けるようにするのが好ましい。また、このローラー17a,17bは摩耗し易いので、取り替え容易に装着するのが望ましい。
【0019】
前記ローラープレス機17の上方には、定量供給装置16からそのローラープレス機17に供給される破砕物Wが容易に引き込まれるように、上下移動可能な押込装置18が配されている。この押込装置18は、破砕物Wをローラー17a間の間隙へ向けて押込むことにより、ローラープレス機17による破砕作業を補助する役目をする。
【0020】
前記ローラープレス機17への破砕物Wの供給は、定量供給装置16によって定量供給することを原則とするが、ローラープレス機17への過剰供給等によりローラー17aの上部に破砕物Wが過剰に集積してしまうことに備え、例えばマイクロ波センサーをローラープレス機17の上部に取り付けて、このマイクロ波センサーからの検知信号により定量供給装置16を一時停止させるか、あるいは減速させるように制御することもできる。
【0021】
こうして、ローラープレス機17によって平板状の破片になった破砕物Wは、このローラープレス機17の下方に設置されるベルトコンベア19上に落下する。このベルトコンベア19は、ベルトの厚みが約1mmのゴム製で、金属糸もしくは繊維で強化されており、表面に所定間隔でスクレーパ19aが突設されてなる構造とされている。また、このベルトコンベア19の進行方向側(破砕物Wの落下側)のプーリー20は、約10,000〜14,000ガウスの磁力を有する磁性体よりなる高磁力マグネットプーリーとされている。なお、この高磁力マグネットプーリー20の寸法(直径)は、破砕物Wのサイズ、性状に適した寸法が選定される。
【0022】
このように構成されているので、ローラープレス機17を経由してベルトコンベア19上に落下した破砕物Wはそのベルトコンベア19にて搬送されてその搬出端の高磁力マグネットプーリー20に到達する。そして、この搬出端において、破砕物W中の銅などの非磁性金属およびプラスチック、木、紙等の非磁性の可燃物などの破砕物Wは、そのまま落下して前方側の分岐シュート21内を落下する。一方、廃棄物中のステンレス破砕物Wは、高磁力マグネットプーリー20の磁力に引かれてその高磁力マグネットプーリー20の頂部から底部までの略半周に亘って付着したまま移動し、この高磁力マグネットプーリー20の底部において後ろ側のスクレーパ19aに押される形となって後方側の分岐シュート22内へ落とされる。このようにステンレス破砕物Wは、ローラープレス機17にて予め平板状に成形されているので、高磁力マグネットプーリー20に吸引され易く、高い精度でその他の破砕物Wと分離回収できることになる。
【0023】
ここで、前記ベルトコンベア19は、約15m/min以下、望ましくは10m/min程度の移行速度で定速移行されるのが良いが、破砕物Wの搬送量の調整ができるように可変速とするのが望ましい。
【0024】
本実施例において、分岐シュート22内を落下したステンレス破砕物Wの大部分はステンレス鋼となり、有価物として回収・再利用することができる。一方、分岐シュート21内を落下したものは、可燃物と、銅などの非磁性金属であり、銅の回収がより容易に行えることになる。
【0025】
本実施例においては、ローラープレス機のローラー対を上下2段に設けるものとしたが、このローラー対は1段であっても良いし、あるいは3段以上設けても良い。また、本実施例のような連続式のローラープレス機を用いずに、バッチ式のプレス機を用いるようにしても良い。
【0026】
また、本実施例においては、高磁力マグネットプーリーに吸着されたステンレス破砕物Wをベルトコンベア19から分離する手段として、ベルトコンベア19の表面に突設されたスクレーパ19aを利用するものとしたが、このようなスクレーパ19aを設けるのに代えて、ベルトコンベア19の移動と同期して作動されてステンレス破砕物Wを分岐シュート22側へ押し出すプッシャを設けるようにしても良い。
【0027】
本実施例のステンレス選別装置14によれば、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304等を破砕時の加工歪みによって磁化させ、これをローラープレス機17により押し潰して板状の破片にして接触面積を増大させた後に、高磁力マグネットプーリー20により吸着するようにされているので、廃棄物中のステンレス鋼の単独選別を確実に行うことができるのである。また、このようなステンレス鋼の単独選別によって、従来ステンレス鋼と混在して分別されていた銅、アルミニウム等の非鉄金属をそれぞれ単独に分別回収できるという効果も奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る廃棄物選別システムを示すシステム構成図である。
【図2】図2は、本実施例のステンレス選別装置の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、従来の廃棄物選別システムを示すシステム構成図である。
【符号の説明】
14 ステンレス選別装置
15 ステンレス貯留部
16 定量供給装置
17 ローラープレス機
17a,17b ローラー
18 押込装置
19 ベルトコンベア
19a スクレーパ
20 高磁力マグネットプーリー
21,22 分岐シュート
破砕物
非磁性金属、可燃物などの破砕物
ステンレス破砕物

Claims (2)

  1. 破砕された廃棄物からステンレス鋼を選別する選別装置であって、
    (a)破砕物を定量ずつ供給する定量供給装置、
    (b)この定量供給装置により供給される破砕物をプレス機へ送り込む上下移動可能な押込装置、
    (c)この押込装置により送り込まれる破砕物を押し潰して板状の破片にするプレス機、
    (d)このプレス機より排出される破砕物を搬送する高磁力マグネットプーリー付きのベルトコンベアおよび
    (e)このベルトコンベアのベルトを介して前記高磁力マグネットプーリーに吸着されたステンレス破砕物をそのベルトコンベアから分離する分離手段
    を備え
    前記プレス機が、互いに内側に向かって回転する一対のローラーを含むローラープレス機とされ、これら一対のローラー間の間隔が調整可能とされている
    ことを特徴とするステンレス選別装置。
  2. 前記分離手段が、前記ベルトコンベアのベルト表面に突設されるスクレーパである請求項に記載のステンレス選別装置。
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