JP3734624B2 - シュレッダーダスト等からの銅回収方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃棄された自動車、家庭用電化製品、各種家庭金属製品の廃棄物、工場廃棄物等の金属混合物中から銅材等の有価金属を選別回収するための金属回収方法および金属回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、使用済みの自動車や電化製品等の廃棄物の処理に際しては、一般に廃棄物をシュレッダーマシンに投入し、破砕する。このシュレッダー処理にかけて得られるシュレッダーダストおよび選別残渣について、物理選別により比較的再資源化が容易な金属類を回収する試みはなされている。
【0003】
例えば、使用済みの自動車、電化製品等の廃棄物をシュレッダーで破砕し、磁力選別機によって鉄分を回収した後、移動磁界を利用した非鉄金属選別機または重液選別機によって非鉄金属分を回収した後のダストやシュレッダー処理過程で発生する集塵ダストについて、その中に含まれる金属を押圧破砕機で破砕すると共に、含まれる金属を偏平にした後、スクリーンにより偏平金属分を回収する方法が特開平8-19771号公報に開示されている。また、シュレッダーダストを焼却し、その焼却灰を処理する方法としては、この焼却灰を押圧破砕機で破砕するとともに、含まれる金属を偏平にした後、風力選別、磁力選別あるいは非鉄金属選別機により金属分を回収する方法が特開平9-75853号公報に開示されている。一方、傾斜したベルトコンベアを用いて複合材料から有価物を分離回収する方法として、特開平7-100436号公報に開示されているような、プリント基板などの金属材料と非金属材料からなる複合材料の不良品や廃材を粉砕して、傾斜したベルトコンベアで金属と非金属に分離する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の分別方法、すなわち押圧破砕後スクリーンで分離する方法または押圧破砕後風力等で分離する方法では、金属と非金属類、あるいは、金属類どうしの分離に、粒度、密度、電気的性質、磁気的性質を利用した選別方法が行われていたが、これらの性質にあまり大きな差が見られないときは、金属と非金属類、特に非鉄金属と非金属との分別が十分でなかった。また、傾斜したベルトコンベアを用いてプリント基板等の複合材料から金属を回収する方法は、プリント基板表面の銅板を粉砕段階で球状の粒子にしてから分離するもので、20μmから50μm程度の銅の厚さの廃基板を対象としたものであり、分別回収できる金属の大きさに制限があった。
以上の状況に鑑み、本発明は、廃自動車、廃家電製品、各種家庭金属製品の廃棄物、工場廃棄物等の金属混合物中から銅材等の有価金属を選別回収し、有価物たる金属をそのまま製錬工程に導入可能な状態で回収して効率的にその再資源化を図ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる課題を解決するために鋭意研究した結果、被処理物をボールミルまたはロッドミルまたはロールクラッシャで処理して得られた非鉄系金属と鉄系金属および非金属の展性の差から生じる産物の形状の違いを利用して、形状が偏平になる非鉄系金属と偏平になりにくい鉄系金属および偏平にならない非金属とに精度よく分離できる方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は第1に、銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法;第2に、銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法;第3に、銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、2mm目振動篩で分級処理し、その篩上分を傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法;第4に、銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、2mm目振動篩で分級処理し、その篩上分を傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法;第5に、前記傾斜ベルトコンベアの傾斜角度が10〜50度であって、該コンベアの搬送速度が100〜300mm/秒である前記第1〜4のいずれかに記載の方法;第6に、前記傾斜ベルトコンベアの傾斜角度が25度であって、該コンベアの搬送速度が180mm/秒である前記第1〜4のいずれかに記載の方法;第7に、銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、解砕または粉砕し銅含有金属部を偏平状にするためのボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャと、解砕または粉砕して得られた粉粒体を篩上粒体と篩下粉体に篩い分けする2mm目振動篩と、供給された前記2mm目篩上粒体からヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収する傾斜ベルトコンベアとからなることを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収装置;第8に、銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、解砕または粉砕し銅含有金属部を偏平状にするためのボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャと、解砕または粉砕して得られた粉粒体を篩上粒体と篩下粉体に篩い分けする2mm目振動篩と、供給された前記2mm目篩上粒体からヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収する傾斜ベルトコンベアとからなることを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収装置を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明方法適用の対象となる金属含有混合物としては、廃棄された自動車、家庭用電化製品、各種家庭金属製品の廃棄物、工場廃棄物、あるいは都市ごみ、産業廃棄物などの廃棄物を処理する焼却炉から排出される焼却灰、その他あらゆる形態の金属混合物が全て本発明方法による処理の対象となり得る。
固体を相互に分離する場合、粒径、密度、磁気的性質、電気的性質、表面的性質、色彩等の差を利用するが、これらの性質にあまり差がなくかつ粒子の形に大きな差が見られるときは、形状分離法が有効である。形状分離法の多くは、形状に起因する粒子の運動の軌跡の違いを利用している。上記の非常に広い範囲の被処理材を、ボールミルおよびロッドミル等の磨砕機により磨砕する際、展性の大きい非鉄系有用金属部分は偏平状粒子となるのに対し、鉄系金属部分の偏平化は非鉄有用金属ほど促進されない。また、ガラス、廃石等は球状の粒子に粉砕される。このように得られた粉砕産物は、分離精度を上げるために篩で篩い分けして得られた篩上粒体を対象とし、この篩上粒体を次の工程で選別機により分離を行う。
【0007】
この場合、粉砕産物を進行方向に対して直角の方向に任意の角度で傾斜したベルトコンベア上に連続的に供給すると、粒子はベルトコンベア上を斜面の下方へと転がり落ちながら前方へと運ばれ、転がり落ちる速度の大きいものは手前に、小さいものは前方に、そして転がらないものはベルトコンベアの進行方向のヘッド部に排出される。
転がり落ちる速度は、形状が球に近くなるほど、また密度が大きいほど速度が大となることから、これらの特性を有するガラス、廃石および鉄系金属粒子はより手前に落下し、逆に形状が偏平に近い非鉄有用金属はベルトコンベアのヘッド部に排出される。
【0008】
この場合、ある大きさの摩擦係数をもった材質のベルトを選択し、傾斜角度θおよびベルトスピードを適切に設定することにより高い精度で非鉄金属粒子を金属含有混合物から分離することができる。
傾斜角度が10度より小さく搬出速度が300mm/秒より大きい場合、銅と非金属、銅と鉄系金属の分離効果が小さくなる。また傾斜角度が50度より大きく搬送速度が100mm/秒より小さい場合、銅の回収率が悪くなる。従って、好ましい傾斜角度は10〜50度、搬送速度は100〜300mm/秒、さらに好ましくは傾斜角度25度、搬送速度180mm/秒である。
以下実施例をもって詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0009】
【実施例1】
図1は本実施例で傾斜ベルトコンベアを用いた処理工程のフローシート、図2、図3は本実施例で使用する傾斜ベルトコンベアおよびその断面図であって、これらの図を参照して以下説明する。産業廃棄物のシュレッダーダストを、ボールミル(径0.9m、長さ1.8m、定格15kW、ボール装入量260kg、回転数22rpm)で磨砕し、その粉体を次の選別・分離工程で分離精度が向上するように2mm目の振動篩に供給して篩い分けした。2mm篩下については全体の20%程度でほとんどが細かなガラス、セラミックス等の非金属類であった。2mm篩上粒子をベルトの材質が導電性ゴムベルトで傾斜角θが25度、ベルト幅1m、ベルト長さ1.6m、ベルトスピード180mm/秒の速さで走る傾斜ベルトコンベア1に連続的に供給し、磨砕工程で偏平になった銅粒子を中心とした非鉄金属をベルトコンベアヘッド部に設けた銅非鉄金属回収箱3に回収し、球状の非金属粒子を中心としたものをベルト上を転がり落としてベルトコンベア側面に設けた非金属回収箱2に排出させた。なお図中白抜き矢印はベルトの進行方向を示す。
【00010】
上記の試験によって得られた結果を表1に示した。処理前の銅品位が11.25%のシュレッダーダストから、銅品位が28.69%の銅産物粒体を86.5%の実収率で回収した。回収された銅産物粒体は直接銅製錬工程に投入可能なものであった。また、非金属回収箱2に排出されたものは重量比で全体の66%を占めたが、そのうち2−1部にはセラミックス、ガラス等の非金属類が多く見られ、2−2部にはステンレス系金属類が多く見られた。
【0011】
【表1】
Figure 0003734624
【0012】
【比較例1】
産業廃棄物のシュレッダーダストをボールミルで磨砕しない他は、実施例と同様の操作によって分離選別した試験結果を表2に示した。この結果、処理後の銅産物粒体は銅品位が14.36%で銅の実収率は22.7%であった。
【0013】
【表2】
Figure 0003734624
【0014】
【実施例2】
シュレッダーダスト焼却灰を用い、実施例1と同様の操作によって分離選別した試験結果を表3に示した。表3から明らかなように、処理前の銅品位が28.10%のシュレッダーダスト焼却灰から、銅品位が40.03%の銅産物粒体を92.6%の実収率で回収することができた。回収されたものは直接、銅製錬工程に投入可能なものであった。
【0015】
【表3】
Figure 0003734624
【0016】
【比較例2】
シュレッダーダスト焼却灰を用いた他は、比較例1と同様の条件で分離選別した試験を行った場合を表4に示した。この結果、処理後の銅産物粒体は銅品位が28.95%で銅の実収率は47.1%であった。
【0017】
【表4】
Figure 0003734624
【0018】
【発明の効果】
上述のように本発明法によれば、簡単な手段によって金属含有混合物から、物理選別で銅系非鉄金属材を製錬工程に導入可能な程度に濃縮した形で回収してその再資源化が図れる効率的な処理方法およびそのための装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属含有混合物からの金属回収工程を示すフローシートである。
【図2】本発明方法で使用するベルトコンベアの平面図である。
【図3】図2のX−X線断面概略図である。
【符号の説明】
1 傾斜ベルトコンベア
2 非金属回収箱
3 銅非鉄金属回収箱

Claims (8)

  1. 銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法
  2. 銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法
  3. 銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、2mm目振動篩で分級処理し、その篩上分を傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法
  4. 銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、ボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャに供給した後、2mm目振動篩で分級処理し、その篩上分を傾斜ベルトコンベアに供給して、該傾斜ベルトコンベアのヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、該傾斜ベルトコンベアの斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収することを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収方法
  5. 前記傾斜ベルトコンベアの傾斜角度が10〜50度であって、該コンベアの搬送速度が100〜300mm/秒である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記傾斜ベルトコンベアの傾斜角度が25度であって、該コンベアの搬送速度が180mm/秒である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 銅を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、解砕または粉砕し銅含有金属部を偏平状にするためのボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャと、解砕または粉砕して得られた粉粒体を篩上粒体と篩下粉体に篩い分けする2mm目振動篩と、供給された前記2mm目篩上粒体からヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を斜面下方側面で球状の非金属粒子をそれぞれ分離して回収する傾斜ベルトコンベアとからなることを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収装置
  8. 銅及び鉄系金属を含有するシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰を、解砕または粉砕し銅含有金属部を偏平状にするためのボールミルまたはロッドミルあるいはロールクラッシャと、解砕または粉砕して得られた粉粒体を篩上粒体と篩下粉体に篩い分けする2mm目振動篩と、供給された前記2mm目篩上粒体からヘッド部で偏平状の銅含有金属粒子を、斜面下方側面における前記供給箇所の近部、遠部でそれぞれ球状非金属粒子、鉄系金属粒子を分離して回収する傾斜ベルトコンベアとからなることを特徴とするシュレッダーダスト又はシュレッダーダスト焼却灰からの銅回収装置
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