JP3894528B2 - えび、かになどの甲殻類を赤色に発色させる方法 - Google Patents

えび、かになどの甲殻類を赤色に発色させる方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、えび、かになどの甲殻類を赤色に発色させる方法に関するものであり、さらに詳しくはカロテノプロテインを有するえび、かになどの甲殻類を高温加熱せずに、生鮮状態で赤色に発色させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
えび、かになど多くの甲殻類は、生鮮状態では暗赤色、青色、紫色、緑色を呈しており、高温加熱することにより、鮮やかな赤色に発色せしめている。えび、かになどの甲殻類の色は、カロテノイド類のアスタキサンチンと呼ばれる色素によるものであるが、高温加熱前は蛋白質と結合した状態でえび、かになどの甲殻類に存在している。蛋白質と結合した状態のものはカロテノプロテインと呼ばれており、青ないし紫色を呈している。高温加熱による発色は、高温加熱により蛋白質との結合が切れ、遊離したアスタキサンチンがアスタシンになるためであると考えられている。
【0003】
しかし、えび、かになどの甲殻類を発色させるために水煮、蒸煮などにより凡そ60℃を超える高温で加熱すると、その肉中の蛋白質が変性して、特有の甘味と旨味を有する肉質が全く変質してしまう問題がある。
従来、短時間の煮沸により海老の殻のみを発色させ、内部の肉質をできるだけ生鮮状態に保つ所謂ブランチング発色法(特開昭61−242565号公報)やえび、かになどの甲殻類を水蒸気の存在下で遠赤外線で加熱する方法(特開昭63−129973号号公報)、あるいは、殻付き又は殻を除いたえび、かになどの甲殻類をpH10〜13のアルカリ性水溶液で処理して赤色に発色させる方法(特許第2607204号公報)などが提案されている。
その他、関連の技術としてほや塩蔵品の変色防止方法(特公昭36−5785号公報)、大正蝦(高麗蝦)の黒変防止方法(特公昭38−9906号公報)、生おきあみを亜硫酸塩溶液などで処理するオキアミを食品に加工処理する方法(特公昭52−47023号公報)、水中油滴型の乳化液に漬けて、次に加熱し乾燥する甲殻類の発色方法(特開平5−168441号公報)、L−アルギニンを含む処理液にて生エビ類を接触処理するエビ類の発色及び食感改良のための製剤並びに方法(特開平10−57019号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開昭61−242565号公報に開示の発色法は、殻のみを発色させる発色法であり、ウシエビ(ブラックタイガー)などのように生鮮状態の剥き身が暗色を呈するえびでは、内部の肉質を生鮮状態に保ったまま、剥き身表面を赤色に発色するように煮沸処理することはできず、内部の剥き身表面まで発色させようとすると肉質が加熱変性して生鮮状態に維持できないので生の食感が失われてしまう。上記特開昭63−129973号公報に開示の赤外線加熱法では、内部の肉質まで加熱変性して生鮮状態を保つことはできないので、やはり生の食感が失われてしまう。
また、上記特許第2607204号公報に開示のアルカリ性水溶液で処理して赤色に発色させる方法によれば、内部の肉質を変性させず、生鮮状態を保ちながらえび、かになどの甲殻類を赤色に発色させることはできるが、アルカリ性水溶液で処理するために殺菌が不十分で一般生菌、大腸菌などの菌数が減少しない、長期保存中に尻尾などが黒変して商品価値を低下させるなどの問題がある。
また上記のその他関連の技術によっては、えび、かになどの甲殻類を生の食感を維持した生鮮状態で赤色に発色させ、しかも同時に充分な殺菌が行え、かつ黒変の問題がない製品を得ることはできなかった。
【0005】
本発明の目的は、カロテノプロテインを有するえび、かになどの甲殻類を高温加熱せずに、生の食感を維持した安全な生鮮状態を保ったまま鮮やかな赤色に発色させる処理方法であって、この処理により殺菌が十分に行われて大腸菌などの菌数が減少する上、長期保存中に尻尾などが黒変して商品価値が低下する問題がない発色方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究した結果、えび、かになどの甲殻類を、食用有機酸などを添加して特定のpH値に調整した酸性水溶液により処理した後、中和および/または水洗することにより、容易に剥き身表面を赤色に発色せしめることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明の請求項1は、表面近傍にカロテノプロテインを有するえび、かになどの甲殻類を、食用無機酸、食用グルコノデルタラクトン、食用有機酸あるいはこれらの2以上の混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を添加してpH4以下に調整した酸性水溶液により処理した後、中和および/または水洗して、生鮮状態を保ったままその表面を赤色に発色させることを特徴とするえび、かになどの甲殻類を赤色に発色させる方法に関する。
【0008】
また、本発明の請求項2は、請求項1記載の方法において、食用無機酸が塩酸、燐酸あるいはこれらの混合物であり、食用有機酸がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、アスコルビン酸あるいはこれらの混合物であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の方法において、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、ポリ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム、メタ燐酸カリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、ピロ燐酸四カリウムから成る群から選択される少なくとも1つの食用化合物を添加してpH9.5〜13に調整したアルカリ性水溶液により中和することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において処理される甲殻類としては、えび、かになど食用の甲殻類を全て包含する。しかし、特に生鮮状態で暗色のブラウン系のえび、例えば、ウシエビ、クマエビ、シンチュウエビ、クルマエビなどの処理に適している。
【0011】
本発明において用いる酸性水溶液は、食用無機酸、食用グルコノデルタラクトン、食用有機酸あるいはこれらの2以上の混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物をそれぞれ所定量添加してpH4以下に調整した酸性水溶液である。これらの化合物は万一食品中に微量に残留した場合でも、食品として安全に安全性を保つことができるものである必要がある。pHが4を超えると、えび、かになど食用の甲殻類の生鮮状態を保ったまま鮮やかな赤色に発色させることが困難である。
【0012】
本発明で用いるグルコノデルタラクトンは食品添加物であり、本発明において好ましく用いることができる。
本発明において用いる食用無機酸、食用有機酸は食品添加物として認められている食用酸であり、安全性を保つことができるものであれば特に限定されるものではない。しかし、食用無機酸としては塩酸、燐酸あるいはこれらの混合物が好ましく使用でき、食用有機酸としてはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、アスコルビン酸あるいはこれらの混合物が好ましく使用できる。食用無機酸として塩酸を使用した場合は食品中に残存しないように中和、水洗などにより完全に除去することが好ましい。
【0013】
これらの化合物の濃度はその種類によって異なるが凡そ0.001重量%以上である。本発明において用いるpH4以下に調整した酸性水溶液は、使用する食用無機酸、食用グルコノデルタラクトン、食用有機酸などにより処理に適するpH値などが異なる。約20分以内に原料えび(ブラックタイガー)を処理して剥き身の表面を鮮やかな赤色に発色させるのに適するpH値としては、具体的には例えば、塩酸の場合は処理温度約5〜50℃程度において、pH≒1〜2.5、酢酸の場合は同処理温度において、pH≒1〜3、また処理温度約15℃で行った場合、クエン酸の場合pH≒2.2、乳酸の場合pH≒2.3、酒石酸の場合pH≒2.1、グルコノデルタラクトンの場合pH≒2.1、アスコルビン酸の場合pH≒2.3、リンゴ酸の場合pH≒2.2、燐酸の場合pH≒2.1などの例を挙げることができる。
【0014】
低い処理温度を用いる場合はpH値を低く調整することによって処理時間を短縮することができ、高い処理温度を用いる場合はpH値を高めに調整することによって適当な処理時間内に処理を行うことができる。
実際の処理時間は酸性水溶液の種類、濃度により異なるが、1秒〜20時間(一晩)の間、通常1秒〜60分の間、好ましくは10秒〜30分の間、さらに好ましくは60秒〜20分の間である。肉質の変性、旨味成分の流出などを防ぐためになるべく短時間で処理することが好ましい。
【0015】
処理温度は約0℃〜60℃の範囲で行うのが好ましい。60℃を超える温度で長時間処理すると、熱による蛋白質の変性が起こり、生鮮状態で発色させるという本発明の目的を達成することができない。
【0016】
本発明においては使用する酸性水溶液の量と処理する甲殻類の量の比率は生鮮状態で発色させることが出来るような比率であればよく特に限定されない。具体的な比率(重量比)としては(酸性水溶液/甲殻類)≒0.1〜10、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.8〜2である。
【0017】
甲殻類の酸性水溶液による処理は殻のままでもよいが、剥き身表面を発色させるためには、殻を除いて剥き身の状態で処理するのが好ましい。酸性水溶液を甲殻類に噴霧するか、酸性水溶液に甲殻類を浸漬することが好ましい。
気温、処理する甲殻類の種類、甲殻類の処理量、甲殻類の殻の有無などにより食用酸の種類、酸性水溶液のpH、処理温度、処理時間などを適宜選定して処理することが好ましい。
【0018】
本発明においては上記のようにえび、かになどの甲殻類を酸性水溶液により処理した後、中和および/または水洗することが必要である。
甲殻類を酸性水溶液により処理すると甲殻類の剥き身の表面は鮮やかな赤色に発色するが、同時に肉質がやや白色に変色する。しかし、酸性水溶液で処理後、中和および/または水洗することにより、好ましくは中和した後、水洗することにより、白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復する。
本発明においては甲殻類を酸性水溶液により処理した後、中和せずに水洗により酸性水溶液からなる処理液を完全に除去することもできるが、処理時間が長くなって肉質の旨味成分の流出のおそれがある場合がある。したがって、中和を行うか、中和した後、水洗することが好ましい。
【0019】
本発明の中和にはアルカリ性水溶液を用いることができるが、アルカリ性水溶液の成分の一例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、ポリ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム、メタ燐酸カリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、ピロ燐酸四カリウムなどを挙げることができる。これらの中でも炭酸ナトリウムは好ましく使用できる。これらの水酸化物又は塩類を単独で、又は2種以上を適宜混合して用いることができる。これらの化合物は万一食品中に微量に残留した場合でも、食品として安全に安全性を保つことができるものである必要がある。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用した場合は食品中に残存しないように水洗などにより完全に除去することが好ましい。
【0020】
これらの水酸化物または塩類水溶液の濃度はその種類により異なるが0.001重量%以上である。アルカリ性水溶液のpHは特に限定されない。しかしpHとして9.5〜13が好ましく、11〜12が更に好ましい。pH9.5未満では中和時間が長くなり実用的でない。又pHが13を超えると甲殻類の肉部の蛋白質が変性するおそれがある。
【0021】
甲殻類のアルカリ性水溶液による中和は、アルカリ性水溶液を甲殻類に噴霧するか、アルカリ性水溶液に甲殻類を浸漬することが好ましい。処理時間はアルカリ性水溶液の種類、濃度により異なるが、通常1分〜16時間、好ましくは10分〜10時間、さらに好ましくは20分〜1時間の間である。肉質の旨味成分の流出を防ぐためになるべく短時間で処理することが好ましい。
【0022】
処理温度は特に限定されず、例えば0℃〜60℃、好ましくは常温〜50℃の範囲で行うのが好ましい。60℃を超える温度で長時間処理すると、熱による蛋白質の変性が起こり、生鮮状態で中和することができない。
【0023】
アルカリ性水溶液で処理した甲殻類はそのまま水洗することが好ましい。水洗によりアルカリ性水溶液からなる中和のための処理液を完全に除去する。水洗時間は処理液の種類と濃度により異なるが、通常5〜60分、数回水洗する程度で略安全に水洗除去しうる。
【0024】
処理の完了した甲殻類は、安全な生鮮状態を保ったまま表面が鮮やかな赤色に発色しているとともに、殺菌が十分に行われて大腸菌などの菌数が減少しており(一般生菌数104 以下、大腸菌群陰性)、長期保存中に尻尾などが黒変して商品価値が低下する問題がない。したがって処理の完了した甲殻類は、通常の包装を行ってそのまま出荷することも、チルド温度で出荷することも、あるいは一旦冷凍して出荷することもできる。
【0025】
【実施例】
以下本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
前日に冷凍ブラックタイガー(Bengal Royal,INDIA) (26/30)(匹数/Lbs)を−1℃の静電気解凍機に入れて解凍し、剥皮(殻)、開き(背腸取り)を行った後、食用クエン酸を用いてpH2.21に調整した15℃の酸性水溶液にブラックタイガーを重量比(ブラックタイガー/酸性水溶液)1:1で浸漬して処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。
酸性水溶液で処理後、炭酸ナトリウムを用いてpH9.5に調整した常温のアルカリ性水溶液に発色したブラックタイガーを重量比1:1で浸漬して約40分間中和処理した。中和した後、常温の水で短時間水洗した。中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0027】
(実施例2)
食用乳酸を用いてpH2.34に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0028】
(実施例3)
食用酒石酸を用いてpH2.10に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
同様にして食用酒石酸を用いてpH2.67に調整した15℃の酸性水溶液を用いて同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、18時間後表面がかなり赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、同様にして、中和、水洗した。中和することにより、白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0029】
(実施例4)
食用グルコノデルタラクトンを用いてpH2.10に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0030】
(実施例5)
食用アスコルビン酸を用いてpH2.31に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0031】
(実施例6)
食用リンゴ酸を用いてpH2.20に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0032】
(実施例7)
食用酢酸を用いてpH2.17に調整した15℃の酸性水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、20分後に表面が鮮やかに赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、実施例1と同様にして、中和、水洗した。
中和することにより白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
同様にして食用酢酸を用いてpH2.68に調整した15℃の酸性水溶液を用いて同様にして処理した。5分以内に赤色に発色しはじめ、18時間後表面がかなり赤色に発色したブラックタイガーが得られた。肉質はやや白色に変色していた。その後、同様にして、中和、水洗した。中和することにより、白色にやや変色した肉質は元の透明な状態に戻り、再び生鮮状態になって生の食感が回復した。
【0033】
上記実施例1〜7で得られたブラックタイガーについて試験した結果、一般生菌数は104 以下、大腸菌群は陰性であった。また、上記実施例1〜7で得られたブラックタイガーは長期保存中に尻尾などが黒変して商品価値が低下する問題がなかった。
【0034】
(実施例8)
冷凍ブラックタイガー(Bengal Royal,INDIA) (41/50)(匹数/Lbs)を用い、−1℃の静電気解凍機に入れて解凍し、剥皮(殻)、開き(背腸取り)を行った後、食用塩酸および食用酢酸を用いてそれぞれpH1.0、2.0、2.5、3.0に調整し、かつそれぞれを5℃、20℃および50℃に制御した酸性水溶液に対してブラックタイガーを重量比(ブラックタイガー/酸性水溶液)1:2で浸漬して発色試験を行った。処理温度、酸性水溶液のpHとともに発色の開始時間、発色の完了時間を表1に示す。
なお、発色の開始時間とはブラックタイガーの一部が発色を開始した時間であり、発色の完了時間とはブラックタイガーの発色がさらに進行して全体が商品価値のある鮮やかな赤色に発色した時間である。表1において、完了時間の欄に例えば1/3発色とあるのは、全体が発色せず1/3程度しか発色が進行しなかったことを示す。
【0035】
【表1】
Figure 0003894528
【0036】
表1から食用酸の種類、酸性水溶液のpH、処理温度により発色の開始時間や発色の完了時間が影響を受けることが判る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の方法により、えび、かになどの甲殻類を高温加熱せずに、生の食感を維持した安全な生鮮状態を保ったまま容易に鮮やかな赤色に発色させることができる。この処理により殺菌が十分に行われて大腸菌などの菌数が減少する上、長期保存中に尻尾などが黒変して商品価値が低下する問題がない。
【0038】
食用無機酸が塩酸、燐酸あるいはこれらの混合物であり、食用有機酸がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、アスコルビン酸あるいはこれらの混合物であると、これらは食品添加物であるので安全性が高い上、入手も容易で安価である。
【0039】
中和するために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、ポリ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム、メタ燐酸カリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、ピロ燐酸四カリウムなどの食用化合物を使用すると、これらは食品添加物であるので安全性が高い上、入手も容易で安価である。

Claims (3)

  1. 表面近傍にカロテノプロテインを有するえび、かになどの甲殻類を、食用無機酸、食用グルコノデルタラクトン、食用有機酸あるいはこれらの2以上の混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を添加してpH4以下に調整した酸性水溶液により処理した後、中和および/または水洗して、生鮮状態を保ったままその表面を赤色に発色させることを特徴とするえび、かになどの甲殻類を赤色に発色させる方法。
  2. 食用無機酸が塩酸、燐酸あるいはこれらの混合物であり、食用有機酸がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アジピン酸、フィチン酸、アスコルビン酸あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、ポリ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム、メタ燐酸カリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、ピロ燐酸四カリウムから成る群から選択される少なくとも1つの食用化合物を添加してpH9.5〜13に調整したアルカリ性水溶液により中和することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の方法。
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