JP3894142B2 - 流路分岐装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気調和機などに用いられ、ひとつの流路を複数に分岐するとともに各流路の流量を制御する流量制御手段を有して構成される流路分岐装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、多室形空気調和機に用いられる冷媒分岐ユニットについて説明する。多室形空気調和機は1台の室外ユニットと複数の室内ユニットとを冷媒配管で接続して構成されるものであり、その接続形態としては、室外ユニットに多数の接続部を有して構成されるもの、室外ユニットに1系統の接続配管が接続されており、ここに並列的に室内ユニットが接続されるものなどが既に商品化されている。
【0003】
近年多室形空気調和機は家庭1軒など、多数の室に対して空調を行うことができるように要求されているが、3、4台の室内ユニットであれば対応できるが、それ以上の室内ユニットを接続するには室外ユニットにて構成される接続部の数の制約、据付のために引き回す配管の総延長がかなり大きくなることに配慮し、接続経路途中において1系統の流路を複数に分岐し、さらには各流路の流量制御を行う電動膨張弁を配置した冷媒分岐ユニットが開発されている。
【0004】
この冷媒分岐ユニットについて図6〜8を用いて説明する。図6、図7は従来の分岐ユニットの概略構造を示す。同図に示すように、分岐ユニット本体は天板1、底板2、右側板3、左側板4、後板5により外箱を構成し、室内、室外ユニットよりの冷媒配管を接続するための接続口6と各室内ユニットへ冷媒を分配する分配冷媒管7及び冷媒量を調節する電磁膨張弁8と膨張弁を制御するための電磁コイル9が複数個冷媒分岐ユニット本体内に配置され、図8に示すように底板2の背面に配管固定金具10と固定用防振ゴム11により前記電磁膨張弁8が固定され、分岐ユニット本体内を発泡断熱材でモールドされている(例えば特許文献1参照)。即ち、冷媒分岐ユニットの組み立て構成時には冷媒流路を構成する管路を電磁膨張弁8とともに溶接固定して構成しておき、これを外箱に収納するとともに、電磁膨張弁8に対して着脱可能に取りつけられて電磁膨張弁に流量制御動作を誘引する電磁コイル9も装着した上で、外箱の筐体内に配置されたこれら全ての構造物を覆い断熱性を有して固定するように発泡断熱材を充填してモールド固定するようにしている。これにより、外箱内部の構造物を一括して保持するともに、流路に冷熱冷媒が流入した時等に発生しうる結露水の発生を防止するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−281595号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、電磁膨張弁8が底板背面に配置固定され、しかも配管固定金具穴に固定用防振ゴムなどを嵌合させて固定するように構成されており、構成部品点数が多くなるとともに、固定用防振ゴムは腰が弱く本体奥に配置されているため取り付け時の組立て作業性に課題を有していた。
【0007】
また外箱の内部全体を発泡断熱材でモールドすることで、電磁コイルも同時にモ−ルドされるため、電磁コイルの交換サ−ビスが困難であるとともに、発泡断熱材の発泡圧力により膨張弁取り付け部と電磁コイルの隙間に発泡断熱材が浸入して電磁コイルが動作不良を起こす可能性があった。またこのように発泡断熱材を外箱内に充填注入するときに、電磁膨張弁が傾斜したまま固定されていたり、注入圧力で傾斜したりしていても、外面からそれを確認することが困難であった。もし、電動膨張弁が傾斜したまま配置されていれば、装置の設計時に対して制御される流量が変化してしまう可能性もあるという課題が発生する。
【0008】
また単純に電磁コイルを本体の外側に配置した場合、分岐ユニット本体が大きくなるという課題を有していた。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、配管固定金具および固定用防振ゴム等の固定部材を極力廃止することで部品点数の削減によるコスト削減と組立て作業性を向上させるとともに、膨張弁を制御させる電磁コイルを本体外側に配置することにより電磁コイルの交換サ−ビスが可能となり、膨張弁取り付け部と電磁コイルの隙間に発泡断熱材の浸入による電磁コイルの動作不良防止を図り、さらに外箱に電磁コイル収納空間を設けることにより分岐ユニット本体の大型化を抑制した分岐ユニットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の流路分岐装置は、流量制御手段を具備し、枠体の一部を構成するとともに少なくとも流量制御手段固定部を有して構成される第1の外殻部と、この第1の外殻部と当接または嵌合して固定されるとともに第1の外殻部とともに流量制御手段を保持固定する第2の流量制御手段固定部を有する第2の外殻部とにより流量制御手段の本体部を固定して、少なくとも駆動部が本体部に係合する部位が枠体外に配置されるように構成され、少なくとも第1の流量制御手段固定部及び第2の流量制御手段固定部のいずれか一方は外殻部から延出して折り曲げた形状に構成された固定面部を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本願発明の請求項1記載の流路分岐装置は、1つの流路を複数に分岐するとともに、分岐された流路にそれぞれ流量制御手段を枠体内に具備して構成される流路分岐装置であって、前記流量制御手段は、通過する流体の流量を制御する本体部と、この本体部に着脱可能に装着されて前記本体部に流量制御動作を行わせる駆動部で構成され、前記枠体の一部を構成するとともに少なくとも流量制御手段固定部を有して構成される第1の外殻部と、この第1の外殻部と当接または嵌合して固定されるとともに前記第1の外殻部とともに前記流量制御手段を保持固定する第2の流量制御手段固定部を有する第2の外殻部とにより前記本体部を固定して、少なくとも前記駆動部が前記本体部に係合する部位が枠体外に配置されるように構成され、少なくとも第1の流量制御手段固定部及び第2の流量制御手段固定部のいずれか一方は外殻部から延出して折り曲げた形状に構成された固定面部を有することを特徴とする。これにより特別の固定部材を用いずとも容易に流量制御手段の位置を面で固定することができ、設計通りの姿勢を保持させることができる。さらに、少なくとも通電されて作用する駆動部を着脱可能に配置することができ、部品交換などのサービス性が向上する。
【0012】
また、本願発明の請求項2記載の流路分岐装置では、固定面部は枠体の外側方向に向けて起立して構成されているとともに、第1の流量制御手段固定部および第2の流量制御手段固定部の配置された第1の外殻部と第2の外殻部の表面から、流量制御手段の駆動部が本体部に係合した状態での前記駆動部の位置を規制する高さになるように構成されていることを特徴とする。これにより、駆動部の取りつけ位置が容易に規定できるため、組み立て時に好適となる。
【0013】
また、本願発明の請求項3記載の流路分岐装置では、流量制御手段は、緩衝手段を介して第1の外殻部と第2の外殻部によって固定されるように構成されていることを特徴とする。緩衝手段は例えば発泡ウレタンやエラストマ−などの材料で構成されて流量制御手段固定部が直接流量制御手段を保持して、振動による破損の可能性を抑制するとともに、流量制御手段固定部と流量制御手段との固定時の隙間を容易に埋めることができるため、枠対内部への空気の侵入や、枠体内部に発泡性断熱材を充填させた場合の枠体外面側への断熱材の漏出も容易に防止できる。
【0014】
流量制御手段に冷熱が流入する可能性のある場合、緩衝手段は少なくとも流路となる管及び極力本体部の冷熱流体の流れる部分を覆うように配置すると結露防止の効果もあり好適である。
【0015】
また、本願発明の請求項4記載の流路分岐装置は、枠体内には断熱性を有するとともに、枠体内部に配置される構造物を固定する機能を有する充填材を充填することを特徴とする。これにより、一方で流量制御手段を固定するものの、枠体内部では保持されず、枠体外部に突出して配置される接続管が枠体の一部に固定される程度での保持になるため、充填材の充填により枠体内部の構造を固定することが好適である。
【0016】
以下本発明の実施の形態について、流路分岐装置として、多室形空気調和機に用いる冷媒分岐ユニットを例に挙げて、図面を参照して説明する。
【0017】
まず本発明の実施の形態における冷媒分岐ユニットの構成について図1〜3を用いて説明する。図1、図2は、多室形空気調和機に用いる冷媒分岐ユニットの構成を示している。なお、同図においては組み立て後の構成に対して、内部構成がわかるように説明上一部切り欠いて示している。
【0018】
冷媒分岐ユニットは外箱の底部と側面の一部を構成する底板2をベースとして、底板と着脱可能に配置される天板1、左側板3、右側板4及び後板5により外郭を構成している。一方流路分岐のための構造としては、室外ユニットから引きまわされた接続配管(図示せず)と連結する配管接続口6が左側板3側へ突出し、外箱右側板4側には、複数の室内ユニットへ冷媒配管を接続するための分岐配管接続口7が複数個突出して設けられているとともに、これらの配管接続口6の間の流路で分岐されるとともに、それぞれの分岐された流路に電動膨張弁8がそれぞれ流路において流量を制御できるように配設されている。さらにこの電動膨張弁8に対して、電磁コイル9が装着されて外部からの信号により電動膨張弁8において流量制御される様に構成されている。
【0019】
ここで、本実施の形態では流量制御手段とは電動膨張弁8とそれを駆動するための電磁コイル9とで構成されるものとしている。
【0020】
また左側板3及び右側板4には、脱着、付け替え可能なようにL字状に折り曲げられた吊板12を有し、吊りボルト用穴12aと木ネジ穴12bを設けることにより現場での柔軟な据付状態に対応できる様に構成されている。
【0021】
電動膨張弁8を固定する部位は、天板1及び底板2を角部で折り曲げて窪み状態にして構成すると、冷媒分岐ユニット自体をコンパクトに構成でき、更にはこの部分に着脱可能な蓋15により覆うようにして、外箱を形成すれば、外観上、取扱い上好適である。
【0022】
次に本願発明の特徴部分である流量制御手段の固定構造について図3、4を用いて説明する。天板1(本実施の形態では「第1の外殻部」に相当)は電磁コイル9(本実施の形態では「駆動部」に相当)を有した電動膨張弁8(本実施の形態では「本体部」に相当)を固定するための凹部1a(本実施の形態では「第1の流量制御手段固定部」に相当)を有し、一方、底板2(本実施の形態では「第2の外殻部」に相当)は電動膨張弁8を固定するための凹部2a(本実施の形態では「第2の流量制御手段固定部」に相当)を有しており、固定部16において天板1とネジで固定可能なように構成されている。
【0023】
この凹部1a、2aには天板1、底板2の板面に対して略垂直に折り曲げて構成した固定面部1b、2bが配置されており、これにより電動膨張弁8の固定をより安定させる。
【0024】
電動膨張弁8にはその冷媒流通部8aに緩衝用断熱材13が巻き付けられ、凹部1a、2aで構成された取り付け穴から膨張弁8の電動膨張弁8の冷媒流通部8aは冷媒分岐ユニットの外箱内部に配置し、電磁コイル取り付け部9aは分岐ユニット本体外部に配置されるように挟み込み膨張弁8本体が固定される。
【0025】
また、図5には電動膨張弁8の固定保持構造を示している。同図(a)に示されるように電動膨張弁8は緩衝用断熱材13を介して固定面部1b、2bにより挟まれているが、同図(b)に示す様に固定面部1b、2bを外箱外面側の電磁コイル9の方に折り曲げて構成し、しかも電磁コイルを位置決めするように配置するようにしてもよい。
【0026】
更に外箱内部は、断熱や防音のために右側板4の注入口4aよりウレタン発泡原液を注入し、分岐ユニット本体内部にできるだけ隙間なくウレタン発泡させる。これにより内部の配管構造もある程度の強度で位置固定される。なお、緩衝用断熱材13は、膨張弁8の緩衝、更にはウレタン発泡時の発泡断熱材の漏れ防止も兼ねることができる。
【0027】
電磁コイル9に接続されている配線17aは側板4の穴を通って筐体外部にある電源箱17に導かれて接続される。なお、電装部17bを備えた電源箱17も電磁コイル9と同様に窪み部分に配置するようにしてもよい。
【0028】
このように電磁コイル9を本体外側に配置することにより電磁コイル9の交換サービスが可能となり、膨張弁取り付け部8aと電磁コイル9の隙間に発泡断熱材の浸入による電磁コイルの動作不良を防止できる。
【0029】
なお、本実施の形態では、電動膨張弁8の挟み込み固定の構造として天板1および底板2のそれぞれに凹部1a、2aを設けているが、例えば天板1側のみに凹部を設けて底板2側には凹部を設けず固定部15のある折り曲げ面を面一として構成するようにしてもよい。そうすれば、底板加工上好適である。更には底板2側のみに凹部を設けて天板1側には凹部を設けず固定部15のある折り曲げ面を面一として構成するようにしてもよい。この場合には天板加工上好適であるとともに、組み立て時の配管構造物の据付時に容易に電動膨張弁8の固定位置決めができるため、組み立て上も好適である。
【0030】
【発明の効果】
上記から明らかなように、本発明の流路分岐装置によれば、配管固定金具および固定用防振ゴムといった内部構造の固定部材を極力廃止することができ部品点数の削減によるコスト削減と組立て作業性を向上することができ、さらに外箱本体の大型化もせずに電磁コイルなどの流量制御手段における駆動部の交換サ−ビスが可能となる。また外箱内部の発泡断熱材のモールドによる膨張弁取り付け部と電磁コイルの隙間に発泡断熱材の浸入による電磁コイルの動作不良防止を図ることも可能となる。そして、流量制御手段の姿勢も規制することができ、組立精度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す冷媒分岐ユニットの平面図
【図2】 同実施形態の冷媒分岐ユニットの正面図
【図3】 本発明の実施形態の冷媒分岐ユニット構成斜視図
【図4】 本発明の実施形態の冷媒分岐ユニット構成斜視図
【図5】 本発明の実施形態の冷媒分岐ユニットにおける電動膨張弁保持構造を示す構成模式図
【図6】 従来の冷媒分岐ユニットの構成を示す平面図
【図7】 従来の冷媒分岐ユニットの外面構成斜視図
【図8】 従来の冷媒分岐ユニットの電動膨張弁の保持構造を示す要部斜視図
【符号の説明】
1 天板
1a 天板凹穴
1b、2b 固定面部
2 底板
2a 底板凹穴
8 電磁膨張弁
8a 膨張弁取り付け部
9 電磁コイル
13 緩衝断熱材
Claims (4)
- 1つの流路を複数に分岐するとともに、分岐された流路にそれぞれ流量制御手段を枠体内に具備して構成される流路分岐装置であって、前記流量制御手段は、通過する流体の流量を制御する本体部と、この本体部に着脱可能に装着されて前記本体部に流量制御動作を行わせる駆動部で構成され、前記枠体の一部を構成するとともに少なくとも第1の流量制御手段固定部を有して構成される第1の外殻部と、この第1の外殻部と当接または嵌合して固定されるとともに前記第1の外殻部とともに前記流量制御手段を保持固定する第2の流量制御手段固定部を有する第2の外殻部とにより前記本体部を固定して、少なくとも前記駆動部が前記本体部に係合する部位が枠体外に配置されるように構成され、少なくとも第1の流量制御手段固定部及び第2の流量制御手段固定部のいずれか一方は外殻部から延出して折り曲げた形状に構成された固定面部を有することを特徴とする流路分岐装置。
- 固定面部は枠体の外側方向に向けて起立して構成されているとともに、第1の流量制御手段固定部および第2の流量制御手段固定部の配置された第1の外殻部と第2の外殻部の表面から、流量制御手段の駆動部が本体部に係合した状態での前記駆動部の位置を規制する高さになるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の流路分岐装置。
- 流量制御手段は、緩衝手段を介して第1の外殻部と第2の外殻部によって固定されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流路分岐装置。
- 枠体内には断熱性を有するとともに、枠体内部に配置される構造物を固定する機能を有する充填材を充填することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項記載の流路分岐装置。
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