JP3894140B2 - カラーホイールとそれを用いた色順次表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間光変調素子(SLM:Spatial Light Modulation)またはライトバルブを用いた表示装置に関するものであり、時分割、色順次でカラー表示を行うためのカラーホイールとそれを用いた色順次表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホームシアター、プレゼンテーションといった大画面表示が近年にわかに注目を集めており、最近では小型の液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)の表示画像を投写レンズなどにより拡大投影し、大画面の表示画像を得る液晶プロジェクタまたはDMDプロジェクタが商品化されている。
【0003】
DMDはSLMの1タイプであり、主に投写型ディスプレイとして用いられる。DMDは、1画素に相当する極めて微小なミラーを、1個のチップに数十万または百万個以上を有する。このミラーを傾斜させて、ミラーへ入射する光線の出射角度を変えることで、オン/オフを制御する。そのために、それぞれのミラーを、支持柱に取り付けられた1つまたはそれ以上のヒンジに取り付け、下にある制御回路上へエアギャップにより隔離する構造になっている。この制御回路は、それぞれのミラーを選択的に傾斜させる静電気力を作用させる。ディスプレイへの応用においては、画像データがDMDのメモリセルへロードされ、ミラーはこのデータによって、光をオン方向へ反射、またはオン方向からそらせるように反射するように傾斜させられる。
【0004】
プロジェクタの方式として、主にSLMを3枚用いる3板式と1枚用いる単板式とがある。特に単板式プロジェクタの例としては、時分割による混色を利用した色順次方式が挙げられる。色順次方式とは、それぞれの画素は赤、緑、および青の値を有し、それぞれのフレーム期間中において、そのフレームの各画素は、該各画素の赤、青、次に緑のデータにより、順次アドレス指定される。一方でこれらと同じ色のフィルタが円盤状に構成され、少なくとも3つの異なる色領域を有するカラーホイールが、このデータに同期され、それによって、それぞれの色に対するデータがSLMにより表示される時、SLMに入射する光はカラーホイールにより帯域制御される。以上のように時分割でカラー表示が可能となり、60画像毎秒の標準ディスプレイ速度以上に時分割レートが速くなれば、目は画像を本来の色を有するものとして知覚する。
【0005】
このような時分割色順次方式のカラー表示装置において、カラーホイールの色周期(1フィールド間に出現するR・G・Bの色順で、例えばR・G・B・R・G・B・R・G・BのようにR・G・Bの順で周期的に3回繰り返す、以下色シーケンスと呼ぶ)や色分割速度、フィルタの色純度が、その表示画像の品位や明るさなどに非常に大きな影響を及ぼす。
【0006】
以下に従来の色順次表示装置を例に挙げて説明する。
【0007】
従来、色順次表示装置は特開平08−21977号公報に記載されたものが知られている。図10にその概略図を示す。図10において91はカラーホイール、92はDMD素子、93はランプ、94は投写レンズ、95はスクリーン、96はモータ、97はフィールドレンズである。DMD素子92はSLMの1つであり、マトリクス状の微小ミラーを有し、映像信号によって高速で表示の切り替えが可能である。
【0008】
従来の色順次表示装置の動作について説明する。ランプ93はキセノン、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などの放電タイプの高出力ランプであり、凹面鏡97のほぼ焦点位置に配置し、ランプ93より出射する白色光が楕円形状の凹面鏡97によりカラーホイール91のカラーフィルタ上に集光するように配置する。カラーホイール91は、赤、青、緑の各色の色フィルタが円盤状に配置されるように構成され、それぞれのフィルタがランプより出射する白色光線を遮るのに同期してDMD素子92は光線の色に対応する画像フレームを表示する。単一画像フレーム、通常は1/60秒に対してカラーホイール91を画像フレーム毎に1回転、または毎分3600回転(r.p.m)で回転している。この様なシステムでは、1フレーム周波数間に6つのカラーサブフレームが存在し、その各々は赤、緑、青、赤、緑、青であって、このように色分離された光線がフィールドレンズ96により平行光となってDMD素子92に照射される。それぞれの色に対してDMD素子92は非常に高速に表示画像を切り替え、変調された各色光線は投写レンズ94を用いてスクリーン95に拡大投影される。スクリーンに投写された表示は1/60秒の間にR・G・B、R・G・Bの各色の映像が順次表示されるため、目では残像として見え、フルカラーの映像が認識される。
【0009】
【特許文献1】
特開平08−21977号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のカラーホイールを用いた色順次表示装置では、色純度はカラーホイールのフィルタで一義的に決まってしまう。例えば、映画やテレビの映像表示では忠実な色再現性が求められるために、明るさを犠牲にしても、純度の濃いフィルタを用いて、色純度の高いR・G・Bを再現する必要がある。
【0011】
ところが同じ色順次表示装置でパソコンなどのデータを表示する場合に色再現性はあまり重要ではなく、むしろ明るい環境でも視認性が求められる。従ってカラーホイールのフィルタの色純度は多少劣っても、明るいものが好ましい。
【0012】
また、動画表示の場合は、色順次表示特有の色が別れて見える現象が問題になる。これを目立ちにくくするためには、1フレーム周波数間に現れるカラーサブフレームを多くすることが有効である。例えば、カラーホイールのフィルタが赤、緑、青、赤、緑、青の6分割であって、これを1フレームに3回転、すなわち60×3×60=10800rpmの回転数で回転したときに、表示ではR・G・Bが6回出現する。本来はこのR・G・Bの出現回数が多ければ多いほど、色が分かれて見える課題は解消される。その為の1つの方法として、カラーホイールを非常に高速回転させることがあげられるが、モータなどの駆動装置を用いて回転させても回転数には限界がある。またもう1つの方法として、カラーホイールのフィルタを9分割、12分割とフィルタの分割数を大きくすることがあげられる。ただし分割数が大きくなるに従い、混色を避けるために色の切り替わりでオフを取る時間が長くなり、時間開口率が低下し、表示が暗くなる。
【0013】
一方、静止画表示の場合は、視線の移動がなければ、特に色別れの問題は起こらない。従って、明るさの観点からR・G・Bの分割数は極力小さい方が好ましい。
【0014】
また、パソコンなどのデータ表示では明るさを得るためにカラーホイールのセグメントに白色光線を透過するホワイトセグメントを一部に採用して、明るさを向上させる方法が採られている。
【0015】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、動画表示においても、静止画表示においても、各々の場合に必要な特性を切り替えて提供可能なカラーホイールおよびこれを用いた色順次表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の請求項1のカラーホイールは、円盤形状で円の中心を軸にして回転し、複数種のカラーフィルタの領域に分割され、円盤形状の回転方向に分割、配置されたフィルタの色周期が径の大きさによって複数の異なる色周期で配置されることを特徴としたものである。
【0017】
また、本発明の請求項2のカラーホイールは、請求項1記載のカラーホイールであり、回転方向に分割、配置された複数種のカラーフィルタのうち少なくとも1つは光を透過する透明な領域を有することを特徴としたものである。
【0018】
また、本発明の請求項3のカラーホイールは、請求項1記載のカラーホイールであり、径の大きさがより内周部に配置されたR・G・Bカラーフィルタのうち、特性が外周部に配置されたフィルタに比べて色純度が低く、光透過率が高いことを特徴としたものである。
【0019】
また、本発明の請求項4のカラーホイールは、円盤形状で円の中心を軸にして回転し、複数種のカラーフィルタの領域に分割され、円盤形状の回転方向に分割、配置されたフィルタの色周期が径の大きさによらず同じ色周期で配置され、径方向に対して内周部に配置されたR・G・Bフィルタの特性が外周部に配置されたR・G・Bフィルタに比べて色純度が低く、光透過率が高いことを特徴としたものである。
【0020】
また、本発明の請求項5の色順次表示装置は、白色光を出射する光源と、光源より出射する白色光線を時系列でR・G・B光線に周期的に変換するカラーホイールと、画像を形成する空間光変調素子と、前記光源より出射する光線を前記空間光変調素子へ集光する照明光学系と、前記空間光変調素子に形成された画像をスクリーンへ拡大投影する投写光学系とを具備し、前記カラーホイールは請求項1から4に記載のいずれかのカラーホイールであり、前記カラーホイールを径方向にスライドさせて、前記白色光線のカラーホイール通過位置が異なる色周期を有する領域間で可変可能であるとともに、該色周期に応じた前記空間光変調素子の駆動を行うことを特徴としたものである。
【0021】
また、本発明の請求項6の色順次表示装置は、白色光を出射する複数の光源と、光源より出射する白色光線を時系列でR・G・B光線に周期的に変換するカラーホイールと、画像を形成する空間光変調素子と、前記光源より出射する光線を前記空間光変調素子へ集光する照明光学系と、前記空間光変調素子に形成された画像をスクリーンへ拡大投影する投写光学系とを具備し、前記カラーホイールは請求項1から4に記載のいずれかのカラーホイールであり、前記複数光源から出射した白色光線が前記カラーホイールの径方向に異なる位置を透過することを特徴としたものである。
【0022】
また、本発明の請求項7の色順次表示装置は、請求項6記載の色順次表示装置であり、前記複数光源はそれぞれ別々に点灯され、それぞれの光源から出射された光線が前記カラーホイールで変換される色周期に応じた前記空間光変調素子の駆動を行うことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の請求項8の色順次表示装置は、白色光を出射する光源と、前記光源より出射する白色光線を時系列でR・G・B光線に変換するカラーホイールと、画像を形成する空間光変調素子と、前記光源より出射する光線を前記空間光変調素子へ集光する照明光学系と、前記空間光変調素子に形成された画像をスクリーンへ拡大投影する投写光学系とを具備し、前記カラーホイールは複数の異なる色周期のカラーホイールを選択可能であり、選択された色周期に応じた前記空間光変調素子の駆動を行うことを特徴とするものである。
【0024】
このような構成により、本発明のカラーホイールおよびこれを用いた色順次表示装置によれば、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能な色シーケンスが容易に切替できる。
【0025】
映画やテレビ画像のような動画表示では、1フィールド間で色の周期が多い色シーケンスを選択することで色分離作用を抑え、色純度の濃いフィルタを選択することで忠実な色再現性が表示できる。またパソコンなどのデータ表示では、色純度が低くて透過率の高いフィルタを選択する、あるいは白色のフィルタを持つ色シーケンスを選択することで、明るさを優先した表示ができる。本発明ではこれらの異なる表示が1台の表示装置で実現できる。
【0026】
さらに本発明のカラーホイールを用いれば、1枚のカラーホイールで色優先と明るさ優先の色表示が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0028】
本発明における第1の実施形態であるカラーホイールの概略図を図1に示す。カラーホイール1は1枚のガラス基板2上に赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが光学薄膜としてコートされた構成である。カラーフィルタは径方向に領域が2分割されており、外周部ではフィルタ3r、3g、3bはいずれも内角が60゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが6分割されている。これらのカラーフィルタ3r、3g、3bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが6回切り替わるように順次表示される。
【0029】
一方、カラーフィルタの内周部ではフィルタ4r、4g、4bはいずれも内角が120゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが3分割されている。これらのカラーフィルタ4r、4g、4bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが3回切り替わるように順次表示される。
【0030】
本発明のようなカラーホイールの製造方法の1例として、マスキングを用いた蒸着法によって選択的なコーティングが可能である。例えば本発明のカラーホイールでは、まず赤フィルタ3r、4rをコーティングする部分のみ開口しており、その他の部分は遮光されたマスクをガラス基板上に接するように配置し、その状態でNbとSi等の酸化膜を交互に積み重ねることで、赤色光のみ透過し、他の光は反射する赤透過フィルタを指定した場所にのみコートすることができる。同様に緑フィルタ3g、4gについても選択的にコーティングし、最後に青フィルタ3b、4bも同様にコートする。このように同じガラス基板上に選択的にフィルタをコーティングすることで、本発明のような、少なくとも外周部と内周部で異なる色シーケンスを有するカラーホイールが簡単に提供できる。
【0031】
マスキングは加工した金属板等を用いて物理的に遮光してもよいが、レジスト写真法などを用いて化学的に遮光して順番に必要な膜をあらかじめ指定した場所へ蒸着する方法を用いても構わない。
【0032】
本発明のようなカラーホイール1を高速回転させるためにはモータを用いる。モータはボールベアリングタイプのDCブラシレスモータを一般的にはよく用いるが、より高速な回転数が要求される場合は、オイルや空気などの流体軸受けモータを用いてもよい。本発明のようなカラーホイールはドーナツ状のガラス基板1枚で構成されるために、軽く、飛び散る危険性が少ないので、接着剤などで直接モータのロータ部へ貼り付けて回転させてもよい。当然ながらロータ部と接合されたカラーホイール1も一緒に回転する。
【0033】
色順次表示装置において、本発明のカラーホイールを用いる場合、カラーホイールとこれを回転させるモータとをカラーホイールの径方向にスライドまたはシフトさせて、ランプより出射した光線がカラーホイール上で集光し、光源スポットを形成する位置を外周部のフィルタ3r、3g、3bと、内周部のフィルタ4r、4g、4bとの2通り選択することが可能である。
【0034】
例えば、表示が映画やテレビ画像のように動画表示が主な場合は、カラーホイール1の外周部のフィルタ3r、3g、3bを用いると、赤、緑、青、赤、緑、青の6分割であって、これを1フレームに3回転、すなわち60×3×60=10800rpmの回転数で回転したときに、表示ではR・G・Bが6回出現するので、色順次表示特有の色が別れて見える現象は目立ちにくくなる。
【0035】
一方、表示がパソコンの表示のように静止画中心の場合は、よほどの高速な視線の移動がなければ、特に色別れの問題は起こらない。従って、明るさの観点から、カラーホイール1の内周部のフィルタ4r、4g、4bを用いると、赤、緑、青の3分割であって、これを1フレームに3回転、すなわち60×3×60=10800rpmの回転数で回転したときに、表示ではR・G・Bが3回しか出現しないので、明るさは向上する。さらにR・G・Bの分割数は極力少なくしたい場合は、同時にカラーホイールの回転数を3600rpmに下げることで1フレームにR・G・Bが1回だけの出現にすることが可能である。
【0036】
本発明における第2の実施形態であるカラーホイールの概略図を図2に示す。本発明では第1の実施形態で示したカラーホイール21のさらに外周部に赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ25r、25g、25bをいずれも内角が40゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが9分割されている。これらのカラーフィルタ25r、25g、25bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが9回切り替わるように順次表示される。このように第1の実施例では外周部と内周部の2パターンでの切替であったが、本実施例ではさらに1パターン追加されて、3パターンでの切替も可能になった。
【0037】
本発明における第3の実施形態であるカラーホイールの概略図を図3に示す。
カラーホイール31は1枚のガラス基板32上に赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが光学薄膜としてコートされた構成である。カラーフィルタは径方向に領域が2分割されており、外周部ではフィルタ33r、33g、33bはそれぞれ内角が65゜、55°、60°の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが6分割されている。これらのカラーフィルタ33r、33g、33bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが6回切り替わるように順次表示される。
【0038】
一方、カラーフィルタの内周部ではフィルタ34r、34g、34bはそれぞれ内角が120゜、80゜、100゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが3分割と、加えて何もコーティングされていないホワイトセグメント34wとよぶここでは約60゜の略扇形形状の領域を有している。これらのカラーフィルタ34r、334g、34b、34wには透過した白色光がそれぞれR・G・B・Wの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが3回切り替わるように順次表示される。
【0039】
マスキングは加工した金属板等を用いて物理的に遮光してもよいが、レジスト写真法などを用いて化学的に遮光して順番に必要な膜をあらかじめ指定した場所へ蒸着する方法を用いても構わない。
【0040】
本発明のようなカラーホイール31を高速回転させるためにはモータを用いる。モータはボールベアリングタイプのDCブラシレスモータを一般的にはよく用いるが、より高速な回転数が要求される場合は、オイルや空気などの流体軸受けモータを用いてもよい。本発明のようなカラーホイールはドーナツ状のガラス基板1枚で構成されるために、軽く、飛び散る危険性が少ないので、接着剤などで直接モータのロータ部へ貼り付けて回転させてもよい。当然ながらロータ部と接合されたカラーホイール31も一緒に回転する。
【0041】
色順次表示装置において、本発明のカラーホイールを用いる場合、カラーホイール31とこれを回転させるモータとをカラーホイール31の径方向にスライドまたはシフトさせて、ランプより出射した光線がカラーホイール上で集光し、光源スポットを形成する位置を外周部のフィルタ33r、33g、33bと、内周部のフィルタ34r、34g、34b、34wとの2通り選択することが可能である。
【0042】
例えば、表示が映画やテレビ画像のように動画表示が主な場合は、カラーホイール31の外周部のフィルタ33r、33g、33bを用いると、赤、緑、青、赤、緑、青の6分割であって、これを1フレームに3回転、すなわち60×3×60=10800rpmの回転数で回転したときに、表示ではR・G・Bが6回出現するので、色順次表示特有の色が別れて見える現象は目立ちにくくなる。
【0043】
一方、表示がパソコンの表示のように静止画中心の場合は、色純度の低下よりも高輝度化が重要である。従って、明るさの観点から、カラーホイール1の内周部のフィルタ34r、34g、34b、34wを用いると、特にホワイトセグメント34wを透過した光線が明るさ向上と色純度低下に寄与する。
【0044】
本実施例は、回転方向にR・G・Bのフィルタ領域を略均等に配置されている前述の第1の実施形態、第2の実施形態とは異なり、R・G・Bのフィルタ領域を異なる大きさにて配置している。さらに内周部にはR・G・Bのフィルタ領域フィルタ34r、34g、34b以外にホワイトセグメント34wを配置している。ホワイトセグメント領域34wを最適な配分をすることで明るさと色純度を向上させることができる。
【0045】
外周部ではフィルタ33r、33g、33bはホワイトバランスを考慮して、あらかじめR・G・Bの光量が最適になるように内角がそれぞれ異なる略扇形形状で円周方向にR・G・Bが6分割されている。一方、カラーフィルタの内周部も、フィルタ34r、34g、34bはホワイトバランスを考慮して、内角がそれぞれ異なる略扇形形状で配置されており、さらに明るさを高めるためにホワイトセグメント34wを他のカラーフィルタとは異なる角度で配置している。
【0046】
本発明における第4の実施形態であるカラーホイールの概略図を図4に示す。
カラーホイール41は1枚のガラス基板42上に赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが光学薄膜としてコートされた構成である。カラーフィルタは径方向に領域が2分割されており、外周部ではフィルタ43r、43g、43bはいずれも内角が60゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが6分割されている。これらのカラーフィルタ43r、43g、43bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが6回切り替わるように順次表示される。
【0047】
一方、カラーフィルタの内周部ではフィルタ44r、44g、44bもいずれも内角が120゜の略扇形形状で円周方向にR・G・Bが3分割されている。これらのカラーフィルタ44r、44g、44bには透過した白色光がそれぞれR・G・Bの光に変調され、1フィールドにR・G・Bが3回切り替わるように順次表示される。
【0048】
外周部のフィルタ43r、43g、43bの分光透過特性と、内周部のフィルタ44r、44g、44bの分光特性はそれぞれ異なり、これらの分光透過特性のグラフをそれぞれ図5に示す。図5のグラフにおいて、それぞれカットオフの半値を示す波長は43rにおいては580nm、43gにおいては480nm、560nm、43bにおいては515nmである。一方、それぞれカットオフの半値を示す波長は44rにおいては610nm、44gにおいては460nm、580nm、44bにおいては495nmである。このグラフからも明らかなように内周部のフィルタ44r、44g、44bを透過した光線は、外周部のフィルタ43r、43g、43bを透過した光線に比べて色純度は劣り、そのかわり明るさでは勝る特性となる。
【0049】
本発明のようなカラーホイールの製造方法の1例として、マスキングを用いた蒸着法によって選択的なコーティングが可能である。例えば本発明のカラーホイールでは、まず赤フィルタ43rをコーティングする部分のみ開口しており、その他の部分は遮光されたマスクをガラス基板上に接するように配置し、その状態でNbとSi等の酸化膜を交互に積み重ねることで、赤色光のみ透過し、他の光は反射する赤透過フィルタを指定した場所にのみコートすることができる。その後44rをコーティングする部分のみ開口し、その他の部分は遮光されたマスクをガラス基板上に接するように配置し、その状態でNbとSi等の酸化膜を交互に積み重ねることで、赤色光のみ透過し、他の光は反射する赤透過フィルタを指定した場所にのみコートすることができる。以降同様に緑フィルタ43g、44gについても選択的にコーティングし、最後に青フィルタ43b、44bも同様にコートする。このように同じガラス基板上に選択的にフィルタをコーティングすることで、本発明のような、少なくとも外周部と内周部で異なる色シーケンスを有するカラーホイールが簡単に提供できる。
【0050】
色順次表示装置において、本発明のカラーホイールを用いる場合、カラーホイールとこれを回転させるモータとをカラーホイールの径方向にスライドまたはシフトさせて、ランプより出射した光線がカラーホイール上で集光し、光源スポットを形成する位置を外周部のフィルタ43r、43g、43bと、内周部のフィルタ44r、44g、44bとの2通り選択することが可能である。
【0051】
例えば、映画やテレビ画像のように忠実な色再現性が必要な表示の場合は、カラーホイール41の外周部のフィルタ43r、43g、43bを用いるとよい。
【0052】
一方、表示がパソコンの表示のようにさほど色再現性が必要としない場合は、明るさの観点から、カラーホイール41の内周部のフィルタ44r、44g、44bを用いると、色純度はさほどよくないが、明るさは向上する。
【0053】
なお、第1,2、4の実施形態のカラーホイールは、回転方向に分割、配置された各R・G・Bのフィルタ領域を略均等に示したが、実際にはホワイトバランスなどを考慮した上で最適な配分がなされるべきであり、必ずしも各R・G・Bのフィルタ領域を均等に配置する必要がないことは言うまでもない。
【0054】
本発明における第1の実施形態である色順次表示装置の概略図を図6に示す。
図6において61は図1に示したカラーホイール、62はDMD素子、63は光源である凹面鏡を含むランプ、64は投写光学系である投写レンズ、65はスクリーン、67は照明光学系であるフィールドレンズ、66、68はモータであり、69はラックとピニオンである。空間変調素子であるDMD素子62はSLMの1つであり、1つのミラーが1画素に対応し、これがマトリクス状に配列された構成で、映像信号によって高速でミラーの傾きが変化して表示の切り替えが可能である。ビデオレートの動画を表示するためには1フィールド内に60フレームの映像を表示できることが必要であり、例えばDMD素子は高速応答可能な液晶パネルであっても構わない。そのためには液晶の応答速度としては少なくとも1/60=16.7m秒以下が要求される。好ましくはさらにこの間にR・G・B3色の表示が可能であるためには、応答速度として5.6m秒が要求される。このような高速応答の液晶は例えば強誘電液晶、反強誘電液晶、OCB(Optically Compensated Bend)液晶などが挙げられる。前記において、OCB液晶とはベンド配向セルを用い、液晶の複屈折により視野角方向の変化を自己補償する方式であり、負の光学補償フィルムと組み合わせることで、広視野角にできることに加え、高速応答が可能となる液晶である。
【0055】
本発明の色順次カラー表示装置の動作について説明する。ランプ63はキセノン、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などの放電タイプの高出力ランプであり、凹面鏡のほぼ焦点位置に配置し、ランプより出射する白色光が楕円形状の凹面鏡によりカラーホイール61のカラーフィルタ上で、外周部の領域に集光するように配置される。カラーホイール61は、赤(R)、緑(G)、青(B)または白(W)の各色の色フィルタが円盤状に配置されるように構成され、それぞれのフィルタが光線を遮るのに同期してDMD素子62は光線の色の画像フレームを表示する。単一画像フレーム、通常は1/60秒に対してカラーホイール61を画像フレーム毎に3回転、または毎分10800回転(r.p.m)でモータ66により回転させている。この様なシステムでは、1フレーム周波数間に18のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・Bが6回繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対してDMD素子62は非常に高速に表示画像を切り替え、変調された各色光線は投写レンズ64を用いてスクリーン65に拡大投影される。スクリーンに投写された表示は1/60秒の間にR・G・Bの各色の映像が順次表示されるため、目にはこれらが残像として見え、フルカラーの映像として認識される。
【0056】
このときカラーホイール61の色と、DMD素子62の表示する映像とが同調しなければならない。信号インターフェースは、様々な種類の入力信号を受けることができ、例えばここでは水平および垂直同期成分を有する標準ビデオ信号であるものと仮定する。以下に説明されるように、垂直同期信号は、カラーホイール61の速度を調節するための基準信号として用いられる。入力信号はPCなどのグラフィックスデータでもよく、基準信号は他の信号源から来るものでもかまわない。
【0057】
画素データプロセッサは、さまざまな処理タスクを行うことにより、DMD素子62上に表示するためのデータを準備する。データプロセッサは、処理に際しデータを記憶する処理メモリを含む。データプロセッサが行う処理には、デガンマ補正、カラースペース変換、およびインターレス補間が含まれる。デガンマ補正は、放送信号に対して行われるガンマ補正の影響を除去し、CRTの非直線動作を補償する。カラースペース変換は、前記データをR・G・Bデータへ変換する。インターレス補間は、インタレースデータフィールドを、奇数または偶数線を満たすための新データを発生させることにより、完全なフレームに変換するために用いられうる。これらの処理が行われる順序は、いずれでも良い。
【0058】
ディスプレイメモリは、データプロセッサから処理された画素データを受ける。ディスプレイメモリは、該データを入力または出力上において「ビットプレーン」形式にフォーマットし、該ビットプレーンをDMD素子62へ供給する。該ビットプレーンフォーマットは、DMD素子62のそれぞれの画素に対し一時に1ビットを供給し、それぞれの画素は、そのビットの値に従ってオンまたはオフが切り替わる。例えば、それぞれの画素が3色のそれぞれに対する8ビットにより表される場合は、3×8=24ビットプレーン毎フレームが存在する。典型的な表示システムにおいては、メモリは二重バッファメモリであり、これは、それが少なくとも2つのディスプレイフレーム用の容量を有することを意味する。1ディスプレイフレーム用のバッファは、もう1つのディスプレイフレーム用のバッファが書込まれている間に、DMD素子62へ読出されうる。これらの2バッファは、データが連続的にDMD素子62へ得られるように、交互に制御される。
【0059】
DMD素子62上に入射する光は、回転するカラーホイール61を通して送られる。それぞれの色に対するデータはシーケンス化され、前記データの表示は、DMD素子62へ送られつつある光を通過させているカラーホイール61の部分が、表示されている前記データに対応するように、同期せしめられる。本説明の例においては、それぞれの画素はR・G・Bデータ値によって表され、これは、それぞれの画素が赤値、緑値、および青値を有することを意味する。フレーム内の全画素の、それぞれの色に対する値が表示されつつある時、カラーホイール61は、光が対応する赤、青、または緑のフィルタを通過するように回転する。これら3つの値の組合せが、それぞれの画素に対する所望の色を生じる。
【0060】
カラーホイールは、ブラシレスDCモータであるモータ66により駆動される。通常、モータ66は多相のものであり、本説明の例においては3相モータである。コンピュータのディスク記憶装置のディスク駆動用にセンサーレス3相Y結線ユニポーラ式モータが主に使用されており、ほぼこれと同じ構成なので詳細説明はここでは省略する。
【0061】
モータ制御装置は、適切な駆動信号をモータ66へ供給することにより、カラーホイール61の速度および位相を制御する。例えば、所望の速度は、60フレーム毎秒のディスプレイ速度に対応する60回転毎秒である。位相は、カラーホイール61の正しいフィルタ(赤、緑、または青)が、そのフィルタに対するデータが表示されつつある時に、DMD素子62へ光が照射されるようにセットされる。前記駆動信号に依存して、モータ66は速度を変えることができ、その位相が正しくなるまで加速または減速する。
【0062】
一般に、モータ制御装置は、誤差制御装置と駆動制御装置の大きく2つの主構成からなる。誤差制御装置は位相誤差を制御し、基準位相および速度データを、位相帰還信号および速度帰還信号から得られるデータと比較することである。この比較は、位相誤差値または速度誤差値を与える。両誤差値は、パルス幅変調された駆動信号のデューティサイクルが、モータ66を加速または減速するために、どれだけ延長または短縮されるべきかを表す。従って、誤差検出器は、カラーホイール61の所望の速度および位相をセットする基準信号を受ける。本説明の例においては、基準信号は、標準テレビジョン信号の垂直同期信号である。そのパルスは約60フィールド毎秒の速度で生じ、それはカラーホイール61の60回転毎秒の速度に対応する。該同期パルスは、カラーホイール61上のある位置が基準時刻に関してある場所になくてはならない該基準時刻を与えることによって、位相をセットする。従って、カウンタは2つの信号が同相であれば、完全な1回転をカウントすべきである。そうでない場合には、カウンタは位相誤差を表す。
【0063】
動作において、最初のモータのスタートアップ中に、カラーホイール61は、ほぼ所望速度である速度にされる。次に、毎回転のインデックスカウントが、毎回転の基準カウントと同じになるまで、速度誤差が検出される。次に、フェーズロックがおこなわれ、フェーズロック中は、インデックス位置と基準位置との間の誤差が検出される。
【0064】
前記のようにカラーフィルタはモータで回転駆動され、このモータはモータコントローラによって位相と回転数が制御されている。一方、画像を表示するDMD素子62は信号インターフェースで入力信号を受け、画像データプロセッサでDMD素子62の時分割駆動に応じた信号形式に変換する。さらにこのデータをディスプレイメモリに蓄えて、所定のタイミングでDMD素子62へデータを出力する。
【0065】
次にカラーホイール61をスライドさせて、色シーケンスを可変する手法の1例を説明する。モータ68はステッピングモータであり、ラックとピニオン69などを用いてモータ68の回転をカラーホイール61およびモータ66の水平方向への移動に変化させる。例えば、信号の入力先が、映像信号入力端子からR・G・B入力端子に切り替わる情報を受けて、モータ67を所定の量だけ回転制御させることにより、ランプ63から出射された光線が集光される位置をカラーホイール61の内周部に来るようにカラーホイール61およびモータ66を径方向に水平移動させる。カラーホイール61の内周部の色シーケンスはR・G・Bが1回、1フレーム周波数の間にモータ66は3回転するので、1フレーム周波数間に9つのカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・Bが3回繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対応したDMD素子62の駆動を行い、変調された各色光線は投写レンズ64を用いてスクリーン65に拡大投影される。このようにすることでモータ66の回転数を変化させることなく、異なる色シーケンスの表示が可能となり、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能となる。
【0066】
もちろんカラーホイール61は実施例2、3、4に例示したものであっても構わない。
【0067】
カラーホイール61が所定の位置に到達する間は、R・G・Bの各色の時間が定まらないのでDMD素子62をオフにするか、あるいはR・G・Bの時間が一定になるようにモータ66の回転を制御する必要がある。
【0068】
本発明における第2の実施形態である色順次表示装置の概略図を図7に示す。図7において71、79はカラーホイール、72は空間変調素子であるDMD素子、73は光源である凹面鏡を含むランプ、74は投写光学系である投写レンズ、75はスクリーン、76はモータ、77は照明光学系であるフィールドレンズであり、78はクランパである。
【0069】
本発明の色順次表示装置の動作について説明する。ランプ73はキセノン、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などの放電タイプの高出力ランプであり、凹面鏡のほぼ焦点位置に配置し、ランプより出射する白色光が楕円形状の凹面鏡によりカラーホイール71のカラーフィルタ上で、外周部の領域に集光するように配置される。カラーホイール71は、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)のいずれかの色フィルタが円盤状に配置されるように構成され、それぞれのフィルタが光線を遮るのに同期してDMD素子72は光線の色の画像フレームを表示する。単一画像フレーム、通常は1/60秒に対してカラーホイール71を画像フレーム毎に3回転、または毎分10800回転(r.p.m)でモータ76により回転させている。この様なシステムでは、1フレーム周波数間に18のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・Bが6回繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対してDMD素子72は非常に高速に表示画像を切り替え、変調された各色光線は投写レンズ74を用いてスクリーン75に拡大投影される。スクリーンに投写された表示は1/60秒の間にR・G・Bの各色の映像が順次表示されるため、目にはこれらが残像として見え、フルカラーの映像として認識される。
【0070】
このときカラーホイール71の色と、DMD素子72の表示する映像とが同調しなければならない。信号インターフェースは、様々な種類の入力信号を受けることができ、例えばここでは水平および垂直同期成分を有する標準ビデオ信号であるものと仮定する。以下に説明されるように、垂直同期信号は、カラーホイール71の速度を調節するための基準信号として用いられる。入力信号はPCなどのグラフィックスデータでもよく、基準信号は他の信号源から来るものでもかまわない。
【0071】
DMD素子72上に入射する光は、回転するカラーホイール71を通して送られる。それぞれの色に対するデータはシーケンス化され、前記データの表示は、DMD素子72へ送られつつある光を通過させているカラーホイール71の部分が、表示されている前記データに対応するように、同期せしめられる。本説明の例においては、それぞれの画素はR・G・Bデータ値によって表され、これは、それぞれの画素が赤値、緑値、および青値を有することを意味する。フレーム内の全画素の、それぞれの色に対する値が表示されつつある時、カラーホイール71は、光が対応する赤、青、または緑のフィルタを通過するように回転する。これら3つの値の組合せが、それぞれの画素に対する所望の色を生じる。
【0072】
モータ76はロータ部分がクランプ構造78になっており、カラーホイール71を容易に取り外して、別の色シーケンスのカラーホイールと交換が可能である。手動でカラーホイールを交換しても構わないが、例えばCDのオートチェンジャのような機構を追加することで、自動的に入力信号ソースに最適な色シーケンスのカラーホイールに交換することが可能になる。信号の入力先が、映像信号入力端子からR・G・B入力端子に切り替わる情報を受けて、ホワイトセグメントを含むカラーホイール79に交換する。カラーホイール79の色シーケンスはR・G・BWが1回、1フレーム周波数の間にモータ76は3回転するので、1フレーム周波数間に12のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・B、Wが3回ずつ繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対応したDMD素子72の駆動を行い、変調された各色光線は投写レンズ74を用いてスクリーン75に拡大投影される。このようにすることにより、異なる色シーケンスの表示が可能となり、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能となる。
【0073】
カラーホイール71が取り外されてカラーホイール79に交換される間は、白色の光線がDMD素子72に照明されるので、DMD素子72をオフにする必要がある。
【0074】
本発明における第3の実施形態である色順次表示装置の概略図を図8に示す。
図8において101はカラーホイール、102は空間変調素子であるDMD素子、103a、103bは光源である凹面鏡を含むランプ、104は投写光学系である投写レンズ、106はモータ、107はレンズ、108は投写光学系であるレンズアレイである。
【0075】
本発明の色順次表示装置の動作について説明する。ランプ103a、103bはキセノン、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などの放電タイプの高出力ランプであり、凹面鏡のほぼ焦点位置に配置し、ランプより出射する白色光が楕円形状の凹面鏡によりカラーホイール101のカラーフィルタ上で集光するように配置される。ランプ103aから出射する光線の集光位置とランプ103bから出射する光線の集光位置はカラーホイール101の半径方向で異なっており、カラーホイール101に形成された別々の色シーケンスを選択する。例えばカラーホイール101は、図3に示すような赤(R)、緑(G)、青(B)または白(W)の各色の色フィルタが内周と外周とで異なる色シーケンスで円盤状に配置されるように構成され、それぞれのフィルタが光線を遮るのに同期してDMD素子102は光線の色の画像フレームを表示する。単一画像フレーム、通常は1/60秒に対してカラーホイール101を画像フレーム毎に3回転、または毎分10800回転(r.p.m)でモータ106により回転させている。ランプ103bが点灯し、外周側の色シーケンスが選択された場合、1フレーム周波数間に18のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・Bが6回繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対してDMD素子102は非常に高速に表示画像を切り替え、変調された各色光線は投写レンズ104を用いてスクリーン(図示せず)に拡大投影される。スクリーンに投写された表示は1/60秒の間にR・G・Bの各色の映像が順次表示されるため、目にはこれらが残像として見え、フルカラーの映像として認識される。
【0076】
カラーホイール101は複数の異なる色シーケンスから構成されるカラーホイールであり、ランプ103a、103bは前記カラーホイール101上の集光位置がそれぞれ別の色シーケンスを選択できるように配置されている。従ってどちらのランプを点灯するかによって、異なる色シーケンスの選択が可能になる。入力信号が、ビデオ信号かデータ信号か、あるいは画質に高色再現性の表示、高輝度の表示など、用途・特性に応じて、使い分けが可能となる。本発明によれば、実施例2に記載したカラーホイールのスライド機構は必要なく、異なる色シーケンスの表示が可能となり、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能となる。
【0077】
本発明ではランプが2灯の場合を説明したが、それ以上の複数ランプでも応用可能であることは言うまでもない。
【0078】
また図4に示したカラーホイールを用いれば、内周と外周で色シーケンスは同じであるので、DMD素子102は1つの色シーケンスに応じた駆動ができるので、ランプ103a、103bを同時に点灯させて使用可能であり、表示により高輝度が求められる場合は上記に示した以外にランプを複数同時に点灯することもできる。
【0079】
本発明における第4の実施形態である色順次表示装置の概略図を図9に示す。
図9において81a、81b、81cはカラーホイール、82は空間変調素子であるDMD素子、83は光源である凹面鏡を含むランプ、84は投写光学系である投写レンズ、85はスクリーン、86a、86b、86c、88はモータ、87は照明光学系であるフィールドレンズである。
【0080】
本発明の色順次表示装置の動作について説明する。ランプ83はキセノン、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯などの放電タイプの高出力ランプであり、凹面鏡のほぼ焦点位置に配置し、ランプより出射する白色光が楕円形状の凹面鏡によりカラーホイール81aのカラーフィルタ上で、外周部の領域に集光するように配置される。カラーホイール81aは、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の色フィルタが円盤状に配置されるように構成され、それぞれのフィルタが光線を遮るのに同期してDMD素子82は光線の色の画像フレームを表示する。単一画像フレーム、通常は1/60秒に対してカラーホイール81aを画像フレーム毎に3回転、または毎分10800回転(r.p.m)でモータ86aにより回転させている。この様なシステムでは、1フレーム周波数間に18のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・Bが6回繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対してDMD素子82は非常に高速に表示画像を切り替え、変調された各色光線は投写レンズ84を用いてスクリーン85に拡大投影される。スクリーンに投写された表示は1/60秒の間にR・G・Bの各色の映像が順次表示されるため、目にはこれらが残像として見え、フルカラーの映像として認識される。
【0081】
このときカラーホイール81aの色と、DMD素子82の表示する映像とが同調しなければならない。信号インターフェースは、様々な種類の入力信号を受けることができ、例えばここでは水平および垂直同期成分を有する標準ビデオ信号であるものと仮定する。以下に説明されるように、垂直同期信号は、カラーホイール81aの速度を調節するための基準信号として用いられる。入力信号はPCなどのグラフィックスデータでもよく、基準信号は他の信号源から来るものでもかまわない。
【0082】
DMD素子82上に入射する光は、回転するカラーホイール81aを通して送られる。それぞれの色に対するデータはシーケンス化され、前記データの表示は、DMD素子82へ送られつつある光を通過させているカラーホイール81aの部分が、表示されている前記データに対応するように、同期せしめられる。本説明の例においては、それぞれの画素はR・G・Bデータ値によって表され、これは、それぞれの画素が赤値、緑値、および青値を有することを意味する。フレーム内の全画素の、それぞれの色に対する値が表示されつつある時、カラーホイール71は、光が対応する赤、青、または緑のフィルタを通過するように回転する。これら3つの値の組合せが、それぞれの画素に対する所望の色を生じる。
【0083】
カラーホイール81a、81b、81cはそれぞれ異なる色シーケンスから構成されるカラーホイールであり、カラーホイール81aとモータ86a、81bと86b、81cと86cはそれぞれモータ88から伸びたアームに取り付けられ、モータ88の回転によって交換が可能である。これにより自動的に入力信号ソースに最適な色シーケンスのカラーホイールに交換することが可能になる。信号の入力先が、映像信号入力端子からR・G・B入力端子に切り替わる情報を受けて、ホワイトセグメントを含むカラーホイール87bに交換する。カラーホイール87bの色シーケンスはR・G・BWが1回、1フレーム周波数の間にモータ86bは3回転するので、1フレーム周波数間に12のカラーサブフレームが存在し、その各々はR・G・B、Wが3回ずつ繰り返し出現するのであって、それぞれの色に対応したDMD素子82の駆動を行い、変調された各色光線は投写レンズ84を用いてスクリーン85に拡大投影される。このようにすることで、異なる色シーケンスの表示が可能となり、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能となる。
【0084】
カラーホイール81aからカラーホイール81b、または81cに交換される間は、白色の光線がDMD素子82に照明されるので、DMD素子82をオフにする必要がある。
【0085】
本発明では投写レンズを用いた投写型ディスプレイを色順次表示装置の例に挙げたが、投写レンズの代わりに接眼レンズを用いた直視型の色順次表示装置であっても構わない。
【0086】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明のカラーホイールおよびこれを用いた色順次表示装置によれば、入力信号ソースに応じた最適な表示が可能な色シーケンスが容易に切替できる。具体的には映画やテレビ画像のような動画表示では、1フィールド間で色の周期が多い色シーケンスを選択することで色分離作用を抑え、色純度の濃いフィルタを選択することで忠実な色再現性が表示できる。またパソコンなどのデータ表示では、色純度が低くて透過率の高いフィルタを選択する、あるいは白色のフィルタを持つ色シーケンスを選択することで、明るさを優先した表示ができる。本発明ではこれらの異なる表示が1台の表示装置で実現できる。
【0087】
さらに本発明のカラーホイールを用いれば、1枚のカラーホイールで色優先と明るさ優先の色表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーホイールにおける第1の実施形態を説明する概略図
【図2】本発明のカラーホイールにおける第2の実施形態を説明する概略図
【図3】本発明のカラーホイールにおける第3の実施形態を説明する概略図
【図4】本発明のカラーホイールにおける第4の実施形態を説明する概略図
【図5】本発明のカラーホイールにおける第3の実施形態のフィルタ分光特性を示す図
【図6】本発明の色順次表示装置における第1の実施形態を説明する概略図
【図7】本発明の色順次表示装置における第2の実施形態を説明する概略図
【図8】本発明の色順次表示装置における第3の実施形態を説明する概略図
【図9】本発明の色順次表示装置における第4の実施形態を説明する概略図
【図10】従来のカラーホイールの断面図
【符号の説明】
1 カラーホイール
2 ガラス基板
3r、3g、3b 外周部の色フィルタ
4r、4g、4b 内周部の色フィルタ
61 カラーホイール
62 DMD素子
63 ランプ
64 投写レンズ
65 スクリーン
66、68 モータ
67 フィールドレンズ
69 ラックとピニオン
Claims (5)
- 白色光を出射する複数の光源と、光源より出射する白色光線を時系列でR・G・B光線に周期的に変換するカラーホイールと、画像を形成する空間光変調素子と、前記光源より出射する光線を前記空間光変調素子へ集光する照明光学系と、前記空間光変調素子に形成された画像をスクリーンへ拡大投影する投写光学系とを具備し、前記カラーホイールは、円盤形状で円の中心を軸にして回転し、複数種のカラーフィルタの領域に分割され、円盤形状の回転方向に分割、配置されたフィルタの色周期が径の大きさによって複数の異なる色周期で配置され、前記複数光源から出射した白色光線が前記カラーホイールの径方向に異なる位置を透過することを特徴とする色順次表示装置。
- カラーホイールは、回転方向に分割、配置された複数種のカラーフィルタのうち少なくとも1つは光を透過する透明な領域を有することを特徴とする請求項1記載の色順次表示装置。
- カラーホイールは、径の大きさがより内周部に配置されたR・G・Bカラーフィルタのうち、特性が外周部に配置されたフィルタに比べて色純度が低く、光透過率が高いことを特徴とする請求項1記載の色順次表示装置。
- 白色光を出射する複数の光源と、光源より出射する白色光線を時系列でR・G・B光線に周期的に変換するカラーホイールと、画像を形成する空間光変調素子と、前記光源より出射する光線を前記空間光変調素子へ集光する照明光学系と、前記空間光変調素子に形成された画像をスクリーンへ拡大投影する投写光学系とを具備し、前記カラーホイールは、円盤形状で円の中心を軸にして回転し、複数種のカラーフィルタの領域に分割され、円盤形状の回転方向に分割、配置されたフィルタの色周期が径の大きさによらず同じ色周期で配置され、径方向に対して内周部に配置されたR・G・Bフィルタの特性が外周部に配置されたR・G・Bフィルタに比べて色純度が低く、光透過率が高く、前記複数光源から出射した白色光線が前記カラーホイールの径方向に異なる位置を透過することを特徴とする色順次表示装置。
- 前記複数光源はそれぞれ別々に点灯され、それぞれの光源から出射された光線が前記カラーホイールで変換される色周期に応じた前記空間光変調素子の駆動を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の色順次表示装置。
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