JP3893710B2 - オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 - Google Patents
オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3893710B2 JP3893710B2 JP35332897A JP35332897A JP3893710B2 JP 3893710 B2 JP3893710 B2 JP 3893710B2 JP 35332897 A JP35332897 A JP 35332897A JP 35332897 A JP35332897 A JP 35332897A JP 3893710 B2 JP3893710 B2 JP 3893710B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- thin film
- pressure
- deposited
- evaporator
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンデンサ用金属蒸着フィルム等を製造する際に利用されるオイルマージンの形成、あるいは蒸着金属膜の腐蝕防止のための保護オイルの形成等に適したオイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真空蒸着機内でオイルを基材上に蒸着する方法として、特公平8ー26449号公報に記載されたものが提案されている。この方法は、コンデンサ用金属蒸着フィルムのマージンを形成するために基材フィルム上にオイルを蒸着し、フィルム上に細幅のオイルの薄膜を形成する方法である。又、特開昭59ー227115号公報や特公昭63ー15737号公報には、蒸着金属膜の腐蝕を防止するために蒸着金属膜上にオイルを蒸着する方法が提案されている。これらの方法はマージン形成、あるいは蒸着金属膜の腐蝕防止という目的には優れた方法であるが、通常オイルは分子量分布をもっているため、蒸着時にオイル蒸発器の温度を経験的に徐々に上げていくか、できるだけ分子量分布の揃った高価な拡散ポンプ用オイルを用い、経験的に温度設定をする方法でオイル薄膜のオイル量を制御しようとしていた。
【0003】
オイル薄膜のオイル量が少ないとマージンが形成されなかったり、腐蝕防止能が不十分になり、一方オイル量が多いと金属蒸着フィルムをコンデンサ素子に巻回する際、芯抜けと呼ばれる不都合な現象や、プレス性が悪化したり、コンデンサのフィルム同士の密着が不十分で電圧をかけた時コンデンサが唸りを発するという困った現象がおきる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題発生をなくすため、基材フィルム上に常に必要最低量のオイルの薄膜を形成する方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法等を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、真空蒸着装置に設けられたオイル蒸発器内の圧力を測定し、該圧力をもとにオイル蒸発器に付設した加熱装置の熱出力を制御し、該オイル蒸発器内の温度を制御することによって、該前記オイル蒸発器内の圧力を設定圧力に制御し、一定量のオイル薄膜を基材上に蒸着することを特徴とするオイル薄膜の形成方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
【0007】
図1は、マージンを形成するためのオイル薄膜を形成する方法について説明するための概略図であり、本発明方法に用いられる真空蒸着装置の断面図を示している。尚、本発明は本実施態様例に限定されるものではない。
【0008】
図において、真空蒸着装置1は、円筒形をした密封耐圧容器であり、図示しない真空発生装置から容器内ガスが吸引されることにより、容器内圧力が約0.1〜1×10-5Torr程度の真空度が維持できるようになっている。容器内には、巻き出しロール1b、冷却ロール1c、巻取ロール1dが設けられており、容器内または容器外に設けられた図示しない駆動装置により、基材フィルム2が巻き出しロール1bから冷却ロール1cを経て、巻取ロール1dに巻き取られるようになっている。
【0009】
また、真空蒸着装置1内には、基材2とオイル蒸発器3および金属蒸発源8等が設置されている。図では基材2は連続したフィルム状物を示しているが、これに限定されるものではなく、表面にオイル薄膜を形成する対象物であれば特に限定されない。本発明でいう基材とは、天然、半合成、合成高分子樹脂をフィルム状に成形したもので、中でも合成高分子樹脂からなる高分子フィルムが耐熱性、機械特性、電気特性、物理特性、物理化学特性の点からより好ましい。上記好ましい合成高分子樹脂として、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリレート樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂等を用いることができる。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネイト、ポリスチレンが機械特性、電気特性の点からより好ましい。中でもポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレートが交流耐電圧(AC耐電圧)が高いことから特に好ましい。
【0010】
金属蒸着源8から蒸発される金属は、Al、Zn、Cu、Ag、Au、Sn、Si、Ti、Co、Niあるいはこれらの合金など導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、Al、Zn、Cu、Snなどが耐コロナ劣化性が少なく好ましい。中でもAl−Znの合金が耐湿性、耐コロナ劣化性、および自己回復特性の点でより好ましい。
【0011】
マージン部をオイルで充満させるため、および電気特性の点からオイルはシリコーンオイルが好ましい。中でも電気特性の点からジメチルポリシロキサン、またはメチルフェニルシリコーンオイルが好ましく、なかでもメチル・フェニル・ジメチルポリシロキサンがマージンを形成する点、および電気特性などから優れている。
【0012】
オイル蒸発器3は、内部に注入された例えば、メチルフェニルジメチルポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル等のオイルを、加熱し、表面に多数設けられている極小の円形あるいは矩形の開口部から近くを通過する基材フィルム2上に蒸着させるものである。オイル4は、オイル蒸発器3内に入れられており、オイル蒸発器3自身をヒーターとするか、あるいはオイル蒸発器3内に設けられたヒーターによって加熱され、一部オイル蒸発器3内で蒸気になっている。
【0013】
圧力計5は、オイル蒸発器3内に連結されており、常にオイル蒸発器3内のオイル蒸気圧力を測定している。圧力計5は、隔膜式、あるいはピラニー式等の真空計を用いることができるが、圧力計内や連結管内でオイルが凝縮しないよう工夫することがより好ましい。圧力計5の出力信号は、圧力制御系7に伝達され、設定した圧力との差があればオイル蒸発器3の図示しないヒーターへ電力を供給するための電源6の出力を制御し、オイル蒸発器3内のオイル圧力が常に設定した圧力になるようオイル蒸発器3の温度を制御する。
【0014】
オイル蒸発器3内のオイル蒸気は、オイル蒸発器3内のオイル蒸気圧力と真空装置1内の圧力との差圧によってオイル蒸発器3に設けられた開口部(ノズル)を通じて基材2表面に凝縮する。この時、差圧がほぼ一定になっているため常に一定量のオイル蒸気が開口部を通って基材2表面へ凝縮する。特にオイルの分子量が広く分布しているオイルを用いても、常に一定のオイル蒸気圧に制御しているため、一定量のオイルが基材上に凝縮する特長を有しており、この方法で製造した蒸着製品は、オイル蒸着量が一定に保たれているため、プレス性や耐湿性が良好で且つ、ばらつきが少ない特徴を有している。
【0015】
尚、図1では、オイル蒸発器に開口部(ノズル)が設けられているが、両者を別々に設置し蒸気搬送管で連結してもよい。この場合、オイル蒸発器は真空室外に設置してもよい。
【0016】
【実施例】
実施例1、比較例1
厚さ11μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、Znを抵抗値6Ω/□、製品幅19mm、マージン幅2mmになるように蒸着し、次いでフェニル・メチル・ジメチルポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH702)をZnの上に蒸着した。
【0017】
実施例1ではオイル蒸発器3内の圧力が60Paになるようにコントロールした。
【0018】
一方、比較例1では従来の方法である経時的な温度コントロールで行った。 これらの金属蒸着フィルムを19mm幅にスリットした後、各々の蒸着始め、中間、蒸着終わりの3部分を選び、85℃、85%RHの条件で恒温恒湿槽に3時間入れ耐湿性を評価した。その結果を表1に示す。
【0019】
この表1の通り、比較例1では、耐湿性が良好な部分がある反面膜抵抗変化率のばらつきが大きいが、実施例1では膜抵抗変化率のばらつきが小さく安定した耐湿性能を示した。
【0020】
【表1】
実施例2、比較例2
次に、これらの蒸着フィルムを2枚重ねて巻回し、120℃、60kgf/cm2の圧力で5分間プレスし、0.3μFの素子を作成した。この素子10個を用いてプレス性を評価した。結果を表2に示す。
【0021】
この表から、実施例2は安定して良好なプレス性であるに対し、比較例2はプレス性のバラツキが大きいことが判る。
【0022】
【表2】
なお、上記実施例および比較例で用いた評価方法は次のとおりである。
【0023】
【評価方法】
(1)耐湿性
幅19mm(製品幅)、長さ25cmにカットした金属蒸着フィルムを、各条件共に5サンプル作成し、タバイ(株)製恒温恒湿槽( タイプ: PR−2G)中に入れ、85℃、85%RHの条件で3時間放置し、放置前後の抵抗変化、あるいは蒸着膜の消失程度を目視にて観察して判断した。
【0024】
(2)プレス性評価
2枚の金属蒸着フィルムを重ねて巻回し、プレス成形した素子に、(株)島津製作所製の引張試験機(タイプ:AUTOGRAPH IMー100)で荷重をかけ巻芯が開いた(成形が崩れた)時の荷重を読みとった。荷重が大きい程プレス性は良い。
【0025】
(3)蒸着膜抵抗
テスト前後の蒸着膜抵抗の変化は、蒸着始め、中、終わりの部分を各5ポイント合計15ポイントを、東洋メタライジング(株)製 OHM METERを用いて測定した。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、真空蒸着装置に設けられたオイル蒸発器内の圧力を測定し、該圧力をもとにオイル蒸発器に付設した加熱装置の熱出力を制御し、該オイル蒸発器内の温度を制御することによって、前記オイル蒸発器内の圧力を設定した圧力に制御し、一定量のオイル薄膜を基材上に蒸着するようにしたので、必要最低限のオイル薄膜を安定して形成した蒸着製品を製造できる。
【0027】
そのため、オイル量のばらつきによって生じる問題(マージンの未形成、蒸着金属の腐食、芯抜け、プレス不良等)のない、適切なマージンをもった金属蒸着フィルム、あるいは耐蝕性のある金属蒸着フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオイル薄膜の形成方法に用いられる真空蒸着装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1:真空蒸着装置
2:基材
3:オイル蒸発器
4:オイル
5:圧力計
6:電源
7:圧力制御系
8:金属蒸発源
Claims (2)
- 真空蒸着装置に設けられたオイル蒸発器内の圧力を測定し、該圧力をもとにオイル蒸発器に付設した加熱装置の熱出力を制御し、該オイル蒸発器内の温度を制御することによって、前記オイル蒸発器内の圧力を設定圧力に制御し、一定量のオイル薄膜を基材上に蒸着することを特徴とするオイル薄膜の形成方法。
- 請求項1の形成方法によって、薄膜を用いた蒸着製品を製造することを特徴とする蒸着製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35332897A JP3893710B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-12-22 | オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2806597 | 1997-02-12 | ||
JP9-28065 | 1997-02-12 | ||
JP35332897A JP3893710B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-12-22 | オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10287966A JPH10287966A (ja) | 1998-10-27 |
JP3893710B2 true JP3893710B2 (ja) | 2007-03-14 |
Family
ID=26366091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35332897A Expired - Fee Related JP3893710B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-12-22 | オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3893710B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2848335B1 (fr) | 2002-12-06 | 2005-10-07 | Centre Nat Rech Scient | Procede d'elaboration de diamant de type n a haute conductivite electrique |
DE102007031457A1 (de) * | 2007-07-05 | 2009-01-08 | Leybold Optics Gmbh | Verfahren und Vorrichtung zur Aufbringung einer Schicht eines Trennmittels auf ein Substrat |
WO2010106410A1 (en) * | 2009-03-16 | 2010-09-23 | Applied Materials, Inc. | Evaporator, coating installation, and method for use thereof |
-
1997
- 1997-12-22 JP JP35332897A patent/JP3893710B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10287966A (ja) | 1998-10-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6018454A (en) | Metallized film, a production method thereof, and a capacitor using it | |
WO2004059781A2 (en) | Current collector for electrochemical cells and electrochemical generators thereof | |
WO2004084242A1 (ja) | 扁平型コンデンサ用ポリプロピレンフィルム及びそれからなる扁平型コンデンサ | |
JP3893710B2 (ja) | オイル薄膜の形成方法およびその薄膜を用いた蒸着製品の製造方法 | |
JP3475193B2 (ja) | 電解コンデンサの多孔質被覆およびカソードフィルムを形成するための方法および装置 | |
TW295670B (ja) | ||
WO2023217287A1 (zh) | 多层结构集流体及其制备方法 | |
US4190878A (en) | Self-healing electrical capacitor | |
US4785374A (en) | Zinc-metallized base material for metallized capacitor and process for its production | |
WO1996011485A1 (fr) | Support comprenant du zinc depose, destine a des condensateurs metallises, et sa fabrication | |
JPS634321B2 (ja) | ||
JPH1167580A (ja) | 金属化フィルムコンデンサの製造方法 | |
JP3769842B2 (ja) | 金属蒸着フィルム、その製造方法、およびそれを用いたコンデンサ | |
JPH04196208A (ja) | 電解コンデンサ用電極箔 | |
JP2000164453A (ja) | 金属蒸着フィルムおよびそれを用いたコンデンサ | |
JPH1060643A (ja) | 連続蒸着装置および連続蒸着製造方法 | |
JPH11323535A (ja) | 金属蒸着製品の製造方法および装置 | |
JP3018543B2 (ja) | ポリフェニレンスルフィド積層フィルムおよびそれを用いてなるコンデンサ | |
KAWABATA | Electrical properties of titanium nitride thin films | |
KR19980066792A (ko) | 콘덴서용 아연 증착 플라스틱필름의 제조방법 | |
JPH0397861A (ja) | コンデンサ用金属化フィルムの製造方法 | |
JPH07201648A (ja) | 油浸コンデンサー用フィルム及び油浸フィルムコンデンサー | |
JPH03196510A (ja) | 電解コンデンサ用電極箔 | |
JP3796694B2 (ja) | 金属蒸着プラスチック基材およびその製造方法 | |
JPH02138719A (ja) | コンデンサ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060905 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061016 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061121 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061204 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101222 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111222 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |