JP3893294B2 - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリカーボネート樹脂組成物に関し、更に詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、難燃剤、フッ素系樹脂及び無機充填材からなる相溶性がよく、層状剥離や外観不良のない耐溶剤性と摺動特性に優れた難燃性のポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性及び耐衝撃性を有するエンジニアリングプラスチックであるが、吸湿性が大きく、有機溶剤等に侵され易い欠点を有している。
かかる欠点を改良するため、ポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂とのブレンド物に関する発明が提案されている。
例えば、特公昭40−13663号公報ではポリカーボネート系樹脂とポリエチレン系樹脂とのブレンド物、特公昭40−13664号公報ではポリカーボネート系樹脂とポリプロピレン系樹脂とのブレンド物が挙げられる。
しかし、この2つの樹脂は互いに相溶性が低いため、単純なブレンドでは層状剥離が起こり、成形外観が不良であるため実用化されていない。
【0003】
そこで、これら両成分の相溶性を向上させるために、相溶化剤を共存させる試みがなされている。
例えば、特開昭59−223742号公報では変性ポリプロピレン系樹脂を用いる方法及び特開平3−269034号公報では変性ポリプロピレン系樹脂とオキサゾリン基含有樹脂を用いる方法が提案されている。
特開昭63−215750号公報ではビスフェノールA型ポリカーボネート系樹脂とポリプロピレン系樹脂のブレンドに際し、エポキシ変性ポリプロピレン系樹脂と末端にカルボキシル基を有するポリカーボネート系樹脂を用いる方法及び特開平6−220262号公報ではポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂のブレンドに際し、カルボン酸変性ポリカーボネート系樹脂とエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を用いる方法が提案されている。
しかしながら、ポリカーボネート系樹脂末端にカルボン酸等の官能基を付与することにより相溶性は向上するものの、逆に、熱安定性が低下し、成形時にポリカーボネート系樹脂の分子量低下や着色の原因となることがある。
又、ポリカーボネート系樹脂とポリオレフィン系樹脂に無機充填材を添加する技術が特開平7−102165号公報に開示されているが、相溶化については述べられていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐溶剤性、相溶性(層状剥離や外観不良がない)、高流動性、摺動性及びウエルド強度等に優れた難燃性のポリカーボネート系樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形品を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意努力検討した結果、特定のポリカーボネート系樹脂の選択とポリオレフィン系樹脂、難燃剤、フッ素系樹脂及び無機充填材との組み合わせからなる樹脂組成物が、層状剥離や外観不良のない耐溶剤性、摺動特性及び難燃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
1.(A)分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するフエノキシ基で封止されたポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)ポリオレフィン系樹脂3〜40質量%からなる樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤0.05〜30質量部、(D)フッ素系樹脂0〜2質量部及び(E)無機充填材0〜20質量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物、
2.ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂から選ばれる一種以上の樹脂である上記1.に記載のポリカーボネート樹脂組成物、
3.難燃剤が、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩及びシリコーン系難燃剤から選ばれる一種以上の難燃剤である上記1.に記載のポリカーボネート樹脂組成物、
4.フッ素系樹脂が、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンである上記1.に記載のポリカーボネート樹脂組成物、
5.無機充填材が、板状フィラーである上記1.に記載のポリカーボネート樹脂組成物、
6.板状フィラーがタルク、マイカ及びワラストナイトから選ばれる一種以上の板状フィラーである上記5.に記載のポリカーボネート樹脂組成物、
7.上記1.〜6.のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品及び
8.上記1.〜6.のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる電気・電子機器のハウジング又は部品。
に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するフエノキシ基で封止されたポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)ポリオレフィン系樹脂3〜40質量%からなる樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤0.05〜30質量部、(D)フッ素系樹脂0〜2質量部及び(D)無機充填材0〜20質量部を含有してなるものである。
【0008】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の、構成成分(A)としてのポリカーボネート系樹脂として、分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するフエノキシ基で封止された(「末端アルキルフェノキシ変成」と略称する。)ポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート系樹脂を用いることを特徴とするものである。
【0009】
ここで末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の製造において、末端停止剤として、炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールを用いることにより得ることができる。
これらの炭素数10〜35のアルキルフェノールとしては、特に制限はなく、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、ノナデシルフェノール及びエイコシルフェノール等が挙げられる。
【0010】
これらの炭素数10〜35のアルキルフェノールのアルキル基は、水酸基に対して、o−、m−、p−のいずれの位置であってもよいが、p−の位置が好ましい。又アルキル基は、直鎖状、分岐状又はこれらの混合物であってもよい。
この置換基としては、少なくとも1個が前記の炭素数10〜35のアルキル基であればよく、他の4個は特に制限はなく、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、ハロゲン原子又は無置換であってもよい。
【0011】
この特定の末端変性ポリカーボネート系樹脂は、後述するポリカーボネート系樹脂のいずれの場合でもよく、例えば、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物との反応において、分子量を調節するために、これらの炭素数10〜35のアルキルフェノールを末端封止剤として使用することにより得られるものである。
【0012】
例えば、塩化メチレン溶媒中において、トリエチルアミン触媒、前記炭素数が10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールの存在下、二価フェノールとホスゲン、又はポリカーボネートオリゴマーとの反応により得られる。
ここで、炭素数が10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールは、ポリカーボネート樹脂の片末端又は両末端を封止し末端が変性される。
この場合の末端変性は、全末端に対して20%以上、好ましくは50%以上とされる。
即ち、他の末端は、水酸基末端、又は、下記の他の末端封止剤を用いて封止された末端である。
【0013】
ここにおいて、他の末端封止剤としては、ポリカーボネート樹脂の製造で常用されているフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等のフェノール類であり、これらのフェノール類のみを用いたのでは、本発明のすぐれた相溶性と難燃性を併せて満足する組成物を得ることができない。
【0014】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の(A)成分は、末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート樹脂を含有するものであり、この特定の末端変性ポリカーボネート系樹脂を単独で用いることもできるが、他のポリカーボネート系樹脂との混合物として用いることも可能である。
この場合の特定の末端変性ポリカーボネート系樹脂の含有率は、特に制限はないが、成形性(溶融流動性)の改善のためには、(A)成分としてのポリカーボネート樹脂の全末端を考慮して、通常20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
この含有率は、末端変性ポリカーボネート系樹脂の炭素数10〜35のアルキル基を有するフェノキシ基の比率、他の末端の種類、他のポリカーボネート樹脂の末端の種類、目的とする組成物の溶融流動性等を考慮して適宜決定できる。
【0015】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の(A)成分を構成するポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。
通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
即ち、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法により反応させて製造されたものを用いることができる。
【0016】
二価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
【0017】
特に、好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。
又、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。
これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
尚、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
又、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、又は、前記の炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノール類等が用いられる。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、この分子量調節剤として、少なくとも前記の炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノール類を用いて分子末端を封止してなる末端変性ポリカーボネート系樹脂を含むことに特徴を有するものである。
【0020】
又、本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂としては、テレフタル酸、ポリメチレンジカルボン酸等の2官能性カルボン酸又はそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート共重合体あるいは、種々のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0021】
更に、ポリカーボネート系共重合体及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系共重合体としては、特に、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(以下、ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体と略称することがある。)及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体を挙げることができる。
ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部からなるものであり、例えば、ポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサン部を構成する末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサン(ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等)とを、塩化メチレン等の溶媒に溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミン等の触媒を用い、界面重縮合反応することにより製造することができる。
これらポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体は、例えば、特開平3−292359号公報、特開平4−202465号公報、特開平8−81620号公報、特開平8−302178号公報、特開平10−7897号公報に開示されている。
【0022】
ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体のポリカーボネート部の重合度は、3〜100、ポリジメチルシロキサン部の重合度は2〜500程度のものが好ましく用いられる。
又、ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体中(副生するビスフェノールAポリカーボネートを含む)のポリジメチルシロキサンの含有量としては、通常0.2〜30質量%、好ましくは0.3〜20質量%の範囲である。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂、末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は通常10,000〜100,000、好ましくは11,000〜40,000、特に好ましくは12,000〜30,000である。
ここで、これらの粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度 [η]を求め、次式にて算出するものである。
【0023】
[η]=1.23×10-5Mv0.83
本発明のポリカーボネート樹脂組成物としては、(A)成分として、ポリカーボネート樹脂、末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体及び末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート系樹脂−PDMS共重合体等との混合樹脂を用いることもできる。
この場合には、(A)成分中のポリカーボネート系樹脂全体中でのポリジメチルシロキサンの含有量が0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%となるように配合される。
【0024】
(B)ポリオレフィン系樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の、構成成分(B)としてのポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ−1−ブテン系樹脂等の種々のポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
ここで、ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
又、ポリプロピレン系樹脂としては、結晶性のプロピレン単独重合体を始め、結晶性プロピレン−エチレンブロック及びランダム共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体及びこれらの結晶性プロピレン重合体類とエラストマーとの混合物が挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂は、単独でも、又、2種以上の混合物としても用いることができる。
そして、これらのポリオレフィン系樹脂及びその混合物のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg)は、好ましくは0.1〜70g/10分であり、より好ましくは0.1〜50g/10分である。
0.1g/10分以下では成形加工が困難となり、70g/10分以上では耐衝撃性等の機械的物性が著しく低下する。
【0025】
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂にポリオレフィン系樹脂を配合することにより、樹脂組成物の相溶性、耐溶剤性及び摺動性を向上させるものである。
ここで、両樹脂の配合比は、(A)成分のポリカーボネート系樹脂系樹脂が60〜97質量%、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%、(B)成分のポリオレフィン系樹脂が3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。
ここで、(A)成分のポリカーボネート系樹脂が60質量%未満では、耐衝撃性等の十分な機械的物性が得られない。
97質量%を超えると、耐溶剤性や流動性の向上が不十分である。
(B)成分のポリオレフィン系樹脂系樹脂が3質量%未満では、耐溶剤性が不十分である。又、40質量%を超えると、表層剥離及び外観不良が発生する。
尚、この場合の(B)ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
【0026】
又、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(A)末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート系樹脂60〜97質量%及び(B)ポリオレフィン系樹脂3〜40質量%からなる樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤0.05〜30質量部、(D)フッ素系樹脂0〜2質量部及び(E)無機充填材0〜20質量部が配合される。
【0027】
(C)難燃剤としては、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水酸化物、赤リン、酸化アンチモン、膨張性黒鉛等公知のものを、目的に応じて用いることができる。
ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ハロゲン化ポリカーボネート及びハロゲン化ポリカーボネート(共)重合体やこれらのオリゴマー、(TBAオリゴマー)、デカブロモジフェニルエーテル、(テトラブロモビスフェノール)エポキシオリゴマー、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ポリオレフィン等を例示できる。
又、窒素系難燃剤としては、メラミン、アルキル基又は芳香族基置換メラミン等、金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
しかしながら、ハロゲン系難燃剤は比較的難燃化効率はよいが、成形時の有害ガスの発生、金型腐食の恐れや成形品の焼却時に有害物質を排出する恐れがあり、環境汚染、安全性の観点からハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。
【0028】
ハロゲンを含まないリン系難燃剤としては、ハロゲン非含有有機リン系難燃剤がある。
有機リン系難燃剤としては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば特に制限なく用いることができる。
中でも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステル化合物が好ましく用いられる。
有機リン系化合物以外のハロゲン非含有リン系難燃剤としては、赤リン等がある。
【0029】
又、リン酸エステル化合物としては、特に制限はなく、ハロゲンを含まないものが好ましく、例えば、次式(1)
【0030】
【化1】
Figure 0003893294
【0031】
(式中、R1、R2、R3及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を表し、Xは2価以上の有機基を表し、pは0又は1であり、qは1以上の整数であり、rは0以上の整数を表す。)
で示されるリン酸エステル化合物である。
式(1)において、有機基とは、置換されていても、いなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等である。
又置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基等がある。
さらに、これらの置換基を組み合わせた基であるアリールアルコキシアルキル基等、又はこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子等により結合して組み合わせたアリールスルホニルアリール基等を置換基としたもの等がある。
【0032】
又、式(1)において、2価以上の有機基Xとしては、上記した有機基から、炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。
例えば、アルキレン基、(置換)フェニレン基、多核フェノール類であるビスフェノール類から誘導されるものである。
好ましいものとしては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフエニルメタン、ジヒドロキシジフェニル及びジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0033】
リン酸エステル化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物であってもよい。
具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合物等が挙げられる。
【0034】
ここで、市販のハロゲン非含有リン酸エステル化合物としては、例えば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、CR−733S〔レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)〕、CR741[フェノールAビス(ジフェニルホスフェート)]、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX202〔4,4'−ビフェニレン−テスラキス)2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル等を挙げることができる。
【0035】
有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類としては、各種のものがあるが、少なくとも一つの炭素原子を有する有機酸又は有機酸エステルのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩である。
ここで、有機酸又は有機酸エステルは、有機スルホン酸,有機カルボン酸等である。
一方、アルカリ金属は、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウム等、又、アルカリ土類金属は、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム等である。中でも、ナトリウム,カリウム,セシウムの塩が好ましく用いられる。又、その有機酸の塩は、フッ素、塩素,臭素のようなハロゲンが置換されていてもよい。
【0036】
上記各種の有機アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩の中では、例えば、有機スルホン酸の場合、一般式(2)
(Cn2n+1SO3mM (2)
(式中、nは1〜10の整数を示し、Mはリチウム,ナトリウム,カリウム,セシウム等のアリカリ金属、又はマグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム等のアルカリ土類金属を示し、mはMの原子価を示す。)
で表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。
これらの化合物としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものがこれに該当する。
【0037】
上記一般式(2)において、パーフルオロアルカンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタンスルホン酸,パーフルオロエタンスルホン酸,パーフルオロプロパンスルホン酸,パーフルオロブタンスルホン酸,パーフルオロメチルブタンスルホン酸,パーフルオロヘキサンスルホン酸,パーフルオロヘプタンスルホン酸,パーフルオロオクタンスルホン酸等を挙げることができる。
特に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
その他、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸;2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸;ジフェニルスルホン−3−スルホン酸;ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸;ナフタレントリスルホン酸等の有機スルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
更に、ビニル系熱可塑性樹脂の芳香環に、スルホン酸塩基、ホウ酸塩基、リン酸塩基等が置換された熱可塑性樹脂も用いることができる。芳香族ビニル系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂等の少なくともスチレン構造を有する熱可塑性樹脂が挙げられ、中でもポリスチレン樹脂が好ましく用いられる。
又、上記酸塩基としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類塩が挙げられるを例示できる。
【0038】
又、有機カルボン酸としては、例えば、パーフルオロギ酸,パーフルオロメタンカルボン酸,パーフルオロエタンカルボン酸,パーフルオロプロパンカルボン酸,パーフルオロブタンカルボン酸,パーフルオロメチルブタンカルボン酸,パーフルオロヘキサンカルボン酸,パーフルオロヘプタンカルボン酸,パーフルオロオクタンカルボン酸等を挙げることができ、これら有機カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が用いられる。
アルカリ金属やアルカリ土類金属は前記と同じである。
【0039】
シリコーン系難燃剤としては、シリコーン油、シリコーン樹脂等がある。
シリコーン系難燃剤としては、アルコキシ基、エポキシ基等の反応性基を含有する特定構造のシリコーン系化合物や繰り返し単位中の酸素量が異なる特定分子量のシリコーン樹脂等がある(特開平6−306265号公報、特開平6−336547号公報、特開平8−176425号公報、特開平10−139964号公報等参照)。
ここでシリコーン系難燃剤としては、種々の化合物があるが中でも、官能基含有シリコーン化合物、たとえば、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類であり、その骨格としては、式R5 a6 bSiO(4-a-b)/2〔R5は官能基含有基、R6は炭素数1〜12の炭化水素基、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3〕で表される基本構造を有する重合体、共重合体である。
又、官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シアノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基等を含有するものである。
【0040】
これら官能基としては、複数の官能基を有するシリコーン化合物、異なる官能基を有するシリコーン化合物を併用することもできる。
この官能基を有するシリコーン化合物は、その官能基(R5)/炭化水素基(R6)が、通常0.1〜3、好ましくは0.3〜2程度のものである。
これらシリコーン化合物は液状物、パウダー等であるが、溶融混練において分散性の良好なものが好ましい。
例えば、室温での粘度が10〜500,000cst(センチストークス)程度の液状のものが挙げられる。
シリコーン化合物が官能基を有する場合には、シリコーン化合物が液状であっても、組成物に均一に分散するとともに、成形時や成形品の表面にブリードすることが少ない特徴がある。
【0041】
上記の(C)難燃剤一種用いてもよく、又、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
又、その含有量は、(A)成分及び(B)成分からなる樹脂100質量部に対して、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部である。
その含有量が少なすぎると、目標とする難燃性を達成するのが困難であり、多すぎると、量に見合った難燃性の向上効果が認められず、むしろ経済的に不利となる。
(C)難燃剤としては、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩及びシリコーン系難燃剤が特に好ましい。
【0042】
(D)フッ素系樹脂は、燃焼時の溶融滴下防止を目的に添加される。
フッ素系樹脂としては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体が挙げられる。
好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくはは500,000〜10,000,000である。
本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができる。
【0043】
尚、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能を有するものを用いると、更に高い溶融滴下防止性を付与することができる。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンには特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えばテフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業株式会社製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0044】
又、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えば、アルゴフロンF5(モンテフルオス株式会社製)、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
【0045】
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
【0046】
ここで、フッ素系樹脂の含有量は、(A)成分及び(B)成分からなる樹脂100質量部に対して、0.05〜2重量部、好ましくは、0.1〜1重量部である。
ここで、0.05質量部未満であると、目的とする難燃性における溶融滴下防止性が十分でない場合があり、2重量部を超えても、これに見合った効果の向上はなく、耐衝撃性、成形品外観に悪影響を与える場合がある。
従って、それぞれの成形品に要求される難燃性の程度、たとえば、UL−94のV−0、V−1、V−2等により他の含有成分の使用量等を考慮して適宜決定することができる。
【0047】
(E)無機充填材としては、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維及びチタン酸カリウム等が挙げられ、なかでも、タルク、マイカ及びワラストナイトが好ましく用いられる。
これら無機質充填剤は、その形態として板状フィラーであることが好ましい。タルクは、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。
更に、ここで用いるタルクとしては、その平均粒径が0.1〜50μmであるものが用いられるが、平均粒径0.2〜20μmであるものが特に好適に用いられる。
無機充填材の含有量は、(A)成分及び(B)成分からなる樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは、0.1〜15質量部である。ここで、0.05質量部未満であると、目的とする剛性及び難燃性の向上が十分でない場合があり、20重量部を超えても、これに見合った効果の向上はなく、耐衝撃性、成形品外観に悪影響を与える場合がある。
【0048】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、下記の添加剤成分を必要により含有することができる。
例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、本発明の,ポリカーボネート系樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
これらの配合比は、末端変性ポリカーボネート樹脂等の分子量、ポリオレフィン系樹脂系樹脂の種類、メルトフローレートや成形品の用途、大きさ、厚み等を考慮して適宜決定される。
【0049】
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)成分を上記割合で、更に必要に応じて用いられる、上記添加成分を所定の割合で配合し、混練することにより得られる。
このときの配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等で予備混合して、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。
この溶融混練成形としては、押出成形機、特にベント式の押出成形機の使用が好ましい。
尚、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、マスターバッチとして添加することもできる。
【0050】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機を用いて直接成形品を製造したり、又は、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により各種成形品を製造することができる。
しかし、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。
尚、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、又は軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
【0051】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等の電気・電子機器のハウジウング又は部品、更には、自動車部品等他の分野にも用いられる。
【0052】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1
1.モノアルキルフェノール(AP2024)の合成
攪拌装置を備えた260リットル反応槽に、1−エイコセン、1−ドコセン及び1−テトラコセンの混合物[組成比(モル%);53.3:40.2:6.5]57テン3kg、フェノール70kg及び触媒としてガレオナイト♯136[水沢科学工業(株)製]7kgとして、反応原料及び触媒を仕込み、窒素気流中、145℃において、攪拌下に80分間反応を行なった。
反応終了後、触媒をろ別した後に、減圧蒸留により、フェノール及びジアルキルフェノール等の重質分から分離し、モノアルキルフェノール(AP2024)を精製した。
精製したAP2024をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、フェノールを500ppm含有し、ジアルキルフェノールのピークは全く検出されなかった。 得られたAP2024のオルト、パラ及びメタ異性体の組成比(%)は、50:48:2(モル%)であり、APHAは10であった。又、AP2024のアルキル基の平均炭素数は21であった。
【0053】
2.末端AP2024変性ポリカーボネート樹脂の製造
▲1▼ポリカーボネートオリゴマーの合成
5.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液にビスフェノールA濃度が13.5質量%になるようにビスフェノールAを溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液40リットル/hr、塩化メチレン15リットル/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に供給した。
管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液を後退翼を備えた内容積40リットルのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここに、更に、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液2.8リットル/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.07リットル/hr、水17リットル/hr及び1質量%トリエチルアミン水溶液0.64リットル/hr、上記AP2024の10.3質量塩化メチレン溶液2.15リットル/hrを供給して反応を行なった。
槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーの濃度は323g/リットル、クロロホーメート基濃度は0.69モル/リットルであった。
【0054】
▲2▼ポリカーボネートの合成
邪魔板、パドル型攪拌翼2枚及び冷却用ジャケットを備えた50リットル槽型反応器に上記オリゴマー溶液10リットル、塩化メチレン6.15リットル、上記AP2024158g、トリエチルアミンを3.84ミリリットルを仕込み、ここに、亜二チオン酸ナトリウム226mgを溶解した6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1720g攪拌下で添加し20分間反応を行なった。
この反応工程においては、反応温度が20℃以上にならないように冷却により制御した。
次いで、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH331g、亜二チオン酸ナトリウム1.32gを水4.84リットルに溶解した水溶液にビスフェノールA660gを溶解させたもの)を添加し300rpmで撹拝しながら40分間重合反応を行なった。
【0055】
▲3▼洗浄工程
希釈のため塩化メチレン10リットルを加えて、20分間攪拌静置させることによりポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を反応器下部より抜出し単離した。
こうして得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次15容積%の0.03モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液、0.2モル/リットルの塩酸で洗浄し、次いで純水で2回洗浄し、洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になったことを確認した。
【0056】
▲4▼フレーク化工程
洗浄により得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下100℃で乾燥した。
【0057】
製造例2
1.末端p−ドデシルフェノキシ(PDDP)基変性ポリカーボネート樹脂の製造
▲1▼ポリカーボネートオリゴマーの合成
400リットルの5質量%水酸化ナトリウム水溶液に、60kgのビスフェノールAを溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
次いで、室温に保持したこのビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間の流量で、又、塩化メチレンを69リットル/時間の流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して10.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反応させた。ここで用いた管型反応器は二重管となっており、ジャケット部分には冷却水を通して反応液の排出温度を25℃に保った。
又、排出液のpHは10〜11となるように調整した。
このようにして得られた反応液を静置することにより、水相を分離、除去し、塩化メチレン相(220リットル)を採取して、ポリカーボネート系樹脂オリゴマー(濃度317g/リットル)を得た。ここで得られたポリカーボネート系樹脂オリゴマーの重合度は2〜4であり、クロロホーメイト基の濃度は0.7規定であった。
【0058】
▲2▼ポリカーボネートの合成
内容積50リットルの攪拌付き容器に、上記オリゴマー溶液10リットルを入れ、p−ドデシルフェノール(PDDP)(分岐状ドデシル基含有)〔油化スケネクタディ社製〕162gを溶解させた。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム53g、水1リットル)とトリエチルアミン5.8ccを加え、1時間、300rpmで攪拌し、反応させた。
その後、上記系にビスフェノールAの水酸化ナトリウム溶液(ビスフェノールA:720g、水酸化ナトリウム412g、水5.5リットル)を混合し、塩化メチレン8リットルを加え、1時間500rpmで攪拌し、反応させた。
反応後、塩化メチレン7リットル及び水5リットルを加え、10分間、500rpmで攪拌し、攪拌停止後静置し、有機相と水相を分離した。
得られた有機相を5リットルのアルカリ(0.03規定−NaOH)、5リットルの酸(0.2規定−塩酸)及び5リットルの水(2回)の順で洗浄した。
その後、塩化メチレンを蒸発させ、フレーク状のポリマーを得た。
粘度平均分子量は17,500であった。
【0059】
実施例1〜5及び比較例1〜8
第1表及び第2表に示す割合で各成分を配合〔(A)成分と(B)成分は質量%、他の成分は、(A)成分及び(B)成分からなる樹脂100質量部に対する質量部で示す。〕し、ベント式二軸押出成形機(機種名:TEM35、東芝機械株式会社製)に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化した。
なお、すべての実施例及び比較例において、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシヤルティ・ケミカルズ社製)0.2質量部及びアデカスタブC(旭電化工業社製)0.1質量部をそれぞれ配合した。
得られたペレットを、120℃で12時間乾燥した後、成形温度270℃、金型温度80℃で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて性能を下記各種試験によって評価し、その結果を第1表及び第2表に示した。
【0060】
以下に、用いた成形材料及び性能評価方法を次に示す。
(A)ポリカーボネート樹脂
▲2▼PC−1:上記製造例1で得られた末端AP2024変性ポリカーボネート樹脂
▲2▼PC−2:上記製造例2で得られたp−ドデシルフェノキシ(PDDP)基変性ポリカーボネート樹脂
▲3▼PC−3:タフロンA1900(出光石油化学株式会社製):ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MFR=19g/10分(温度:300℃、荷重:11.77N)、粘度平均分子量:19,000、末端p−tert−ブチルフェノキシ基変性ポリカーボネート樹脂
【0061】
(B)ポリオレフィン系樹脂
▲1▼PP:ホモポリプロピレン、出光J−700M(出光石油化学株式会社製)▲2▼PE:低密度ポリエチレン、東ソー291A(東ソー株式会社製)
(C)難燃剤
▲1▼FR−1:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ライオン社製)
▲2▼FR−2:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、CR741(大八化学社製)
▲3▼FR−3:TBAオリゴマー、FG7500,帝人化成社製
▲4▼FR−4:ビニール基メトキシ基含有メチルフェニルシリコーン、KR219,信越化学社製、動粘度=18mm2 /s
(D)フッ素系樹脂
▲1▼PTFE:F201L,ダイセル化学社製
(E)無機充填材
▲1▼タルク:TPA25,富士タルク社製
【0062】
〔性能評価方法]
(1)IZOD(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠、23℃(肉厚:3.2mm)、単位:kJ/m2(2)ウエルド強度
引張強度試験片金型を用いて、2点ゲートで成形し引張強度を測定した。
(3)摩擦係数
摺動特性JIS K7218(プラスチックの滑り磨耗試験方法)のA法に準拠し、板状の試験片を、2kg荷重の下で、回転させた場合の、円盤と円筒の接触面に発生する最大摩擦力を5分間の平均値(kg)を測定した。摩擦係数=摩擦力(kg)/負荷2kgで評価した。
(4)Q値(流れ値)
JIS K7210に準拠して、荷重160kg、温度280℃で測定した。
(5)耐グリース性
耐グリース性耐薬品性評価法(1/4楕円による限界歪み)に準拠した。
図1(斜視図)に示す治具(1/4楕円の面)に試料片(厚み3mm)を固定し、試料片にアルバニアグリース(昭和シェル石油株式会社製)を塗布し、48時間保持した。
クラックが発生する最小長さ(X)を読み取り、下記式より限界歪み(%)を求めた。
限界歪み(%)=(b/2a2)[1−[1/a2−(b2/a4)]X2]-3/2t(t:試験片肉厚)
(6)難燃性
UL94燃焼試験に準拠(試験片厚み:1.5mm)
尚、NGは、V−0、V−1、V−2のいずれにも該当しないことを示す。
(7)表層剥離・外観
成形品の切断面を目視観察した。
〇:表層剥離なく良好、□:表層剥離若干あり、×:表層剥離あり
【0063】
【表1】
Figure 0003893294
【0064】
【表2】
Figure 0003893294
【0065】
第1表の結果から、本発明のポリカーボネート樹脂組成物からの成形品は、難燃性が高く、耐溶剤性、摺動性及び溶融流動性にも優れている。
末端アルキルフェノキシ変性ポリカーボネート樹脂を用いることにより、相溶性が向上し、層状剥離が防止され、衝撃強度とウエルド強度も向上する。
又、第2表の結果から、難燃性が不良となったり、耐溶剤性及び摺動性が不十分である。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、相溶性がよく、層状剥離や外観不良のない耐溶剤性と摺動特性に優れた難燃性のポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物の成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明組成物の耐グリース性を評価するための試験片取り付け治具の斜視図である。

Claims (8)

  1. (A)分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するフエノキシ基で封止されたポリカーボネート樹脂60〜97質量%および(B)ポリオレフィン系樹脂3〜40質量%からなる樹脂100質量部に対して、(C)難燃剤0.05〜30質量部、(D)フッ素系樹脂0〜2質量部および(E)無機充填材0〜20質量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選ばれる一種以上の樹脂である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 難燃剤が、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩およびシリコーン系難燃剤から選ばれる一種以上の難燃剤である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. フッ素系樹脂が、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 無機充填材が、板状フィラーである請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 板状フィラーがタルク、マイカおよびワラストナイトから選ばれる一種以上の板状フィラーである請求項5に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる電気・電子機器のハウジングまたは部品。
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