JP3892713B2 - 障害物検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自己車両が走行する車線と隣接する車線を走行する他車両等の障害物を検出するための障害物検出装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
車両の走行中は、運転手が適宜インナーミラーやアウターミラーを見て後続車の有無や位置、離間距離等の車両情報を認識しておくことが望ましい。特に、片側2車線以上の道路を走行中に車線の変更を行おうとする場合には、変更しようとする隣接車線を後方から走行してくる他車両の存在を見落とすことがあった。そこで、従来より、車両の後部に超音波センサやレーザレーダなどの測距センサを取付けて、車両後方の障害物(後続車両)を検出する障害物検出装置が知られている。ところが、測距センサは対象物までの距離を精度良く測定することはできるが、対象物の形状を特定することは難しく、道路脇に設けられた看板や標識等を車両と誤検知してしまう場合があった。また、超音波センサやレーザレーダは指向性のよい超音波やレーザ光を利用して障害物を検知するものであるため、検知領域が狭いという欠点がある。
【0003】
これに対して、対象物の形状を特定可能な撮像センサを車両の後部に取り付けて車両後方の画像を撮像し、その画像データに基づいて後続車両等の障害物を検出する障害物検出装置がある。ところが、画像データに基づく障害物の検出処理には時間がかかると共に、対象物についての距離の情報が乏しいため、自己車両から離れている障害物を自己車両に接近している障害物と認識してしまう等の誤認識が起こるという問題があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は車両に接近する障害物を短時間で精度良く検出することができる障害物検出装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の障害物検出装置は、車両に設けられた撮像手段と、前記車両に設けられ前記撮像手段の撮像領域のうち前記車両近傍の近接領域に障害物が進入したことを検出する障害物検出手段と、前記撮像手段により取得された画像データに基づいて障害物の追跡処理を実行する障害物追跡手段と、前記障害物検出手段により障害物が近接領域内に進入したことが検出されたとき、前記撮像手段により取得された画像データに基づき障害物を推定する障害物推定手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、近接領域内に障害物が進入するまでは、撮像手段により取得された画像データに基づき障害物の追跡処理を行い、近接領域内に障害物が進入すると、画像データに基づき障害物の追跡処理及び障害物の推定処理を行い、障害物が車両であるか否か判別する。撮像領域内に近接領域を設けて近接性の高い障害物についてのみ車両であるか否かの判別を行うようにしたので、近接性の低い障害物についての処理時間を省くことができ、処理の高速化を図ることができる。また、近接領域内に進入する前から他車両の追跡処理を開始するため、自車両に接近してくる他車両の存在を迅速且つ確実に認識することができる。
【0007】
前記障害物検出手段は、少なくとも2個の測距センサから構成することができる(請求項2の発明)。上記構成によれば、障害物の近接領域内への進入を簡単な処理で、しかも正確に検出することができる。
【0008】
この場合、前記測距センサは、相互に指向方向が異なるように構成することが好ましい(請求項3の発明)。
上記構成によれば、測距センサの測定領域が広がり、近接領域内に進入する障害物の検知漏れを防止できる。
【0009】
また、前記車両の速度に関する情報を取得する速度情報取得手段と、前記速度情報取得手段が取得した速度情報に基づいて前記近接領域を設定する近接領域設定手段とを備えることも良い構成である(請求項4の発明)。
【0010】
高速道路では一般道路よりも速いスピードで走行するため、より離れた位置に存在する他車両を認識しておくことが好ましい。そして、高速道路を走行しているか一般道路を走行しているかは、自己車両の速度から推定することができる。上記構成によれば、車両の速度情報、つまり、車両が走行する道路に応じた適宜の近接領域を設定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。まず、図2及び図3を参照して障害物検出装置1について述べる。障害物検出装置1は、自動車(車両に相当)2に搭載され、カメラ3と、第1及び第2の測距センサ4及び5とを備えている。カメラ3は撮像手段としての撮像素子6例えばCCDイメージセンサやCMOS型イメージセンサを内蔵している。前記カメラ3は、例えば自動車2のサイドミラー2aに取り付けられており、自動車1の側方から後側方に広がる撮像領域A1を有している。
【0012】
第1の測距センサ4は、例えば2個の近距離用の超音波センサ(図示せず)から構成されている。2個の近距離用の超音波センサは、自動車2のサイドミラー2a及びリアバンパ2bに指向方向が互いに異なるように取り付けられている。具体的には、サイドミラー2aに取り付けられた超音波センサの検知範囲R1は自動車2の斜め後方に延び、一方、リアバンパ2bに取り付けられた超音波センサの検知範囲R2は自動車2から斜め前方に延びており、両検知範囲R1,R2はその端部付近で交差するように構成されている。このような構成により、自動車2の側方であって前記撮像領域A1の前端部付近に、自動車1の側面及び近距離用超音波センサの検知範囲R1,R2に囲まれた三角形状の測定領域A2が形成される。
【0013】
第2の測距センサ5は、例えば2個の遠距離用の超音波センサ(図示せず)から構成されている。2個の遠距離用の超音波センサは、自動車2のサイドミラー2a及びリアバンパ2bに指向方向が互いに異なるように取り付けられている。また、遠距離用の超音波センサは、近距離用の超音波センサと指向方向が異なるように構成されている。具体的には、2個の遠距離用の超音波センサの検知範囲R3,R4は、いずれも自動車2の斜め後方に延びており、両検知範囲R3,R4はその端部付近で交差するように構成されている。このような構成により、自動車の後側方に、自動車2の側面及び遠距離用超音波センサの検知範囲R3,R4に囲まれた三角形状の測定領域A3が形成される。
【0014】
尚、詳しい説明は省略するが、遠距離用の超音波センサは指向方向を変更可能に構成されている。測定領域A3、つまり、検知範囲R3,R4の交差点と自動車2の側面との距離L1及び自動車2の後部との距離L2は、遠距離用の超音波センサの指向方向に応じて設定される。
【0015】
本実施例では、撮像領域A1のうち測定領域A2及びA3を含む測定領域A2及びA3の間の領域が近接領域A4として設定されている。従って、近接領域A4に進入する障害物及び近接領域A4から退出する障害物は、第1及び第2の測距センサ4及び5により検知される。つまり、第1及び第2の測距センサ4及び5が、障害物検出手段として機能する。
【0016】
尚、本実施例では、測距センサ4,5をそれぞれ2個の超音波センサから構成し、超音波センサの検知範囲R1及びR2から測定領域A2を、検知範囲R3及びR4から測定領域A3を構成した。また、測定領域A2及びA3を三角形状に構成した。更に、測定領域A2,A3の幅を自動車の長さよりも短く設定した。このため、近接領域A4に進入する障害物及び退出する障害物の検知漏れを極力防止できる。
【0017】
は、本実施例に係る障害物検出装置1の電気的構成をブロック図にて示すものであり、前記カメラ3及び前記測距センサ4,5は、自動車2に搭載された制御装置7に接続されている。前記制御装置7は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)8を主体として構成されており、画像メモリ9、メモリ10を備えている。また、マイコン8はやカウンタ11を内蔵している。マイコン8は、障害物追跡手段、障害物推定手段として機能する。撮像素子6により撮像された画像データは、画像メモリ9に転送される。マイコン8は、画像メモリ9から画像データを読み取って画像処理を行うようになっている。
【0018】
また、制御装置7には、ディスプレイ12やスピーカ13が接続されている。前記ディスプレイ12及びスピーカ13は、例えばGPSナビゲーション装置14を構成するものであり、通常時は、地図上での自車両の現在位置を知らせるようになっている。そして、前記カメラ3や測距センサ4,5の出力に基づく障害物検出処理の結果、危険であると判断した場合には、運転手に対して注意を促すメッセージ等を前記ディスプレイ12に表示したり、スピーカ13から音声ガイダンスや警報音を発生するようになっている。
【0019】
また、前記制御装置には、GPSナビゲーション装置14のGPSレシーバ15が接続されている。マイコン8には、GPSアンテナ16を介してGPSレシーバ15が取得した現在位置データが入力される。マイコン8は、入力された現在位置データに基づき自動車2の走行速度を判断し、第2の測距センサ5の測定領域A3を変更する。例えば、自動車2が高速道路に位置する場合は走行速度が速いと判断して、測定領域A3の距離L1及びL2がそれぞれm及び30mとなるように超音波センサの指向方向を変更する。一方、自動車2が一般道路に位置する場合は走行速度が遅いと判断し、測定領域A3の距離L1及びL2がそれぞれ3.5m及び15mとなるように超音波センサの指向方向を変更する。従って、マイコン8は近接領域設定手段として機能し、GPSレシーバ15は、速度情報取得手段として機能する。
【0020】
次に、本実施例の作用を図1及び図2を参照しながら説明する。前記制御装置7のメモリ10には、図1にフローチャートで示す障害物検出処理の制御プログラムが格納されている。マイコン9は、所定時間毎に図1のフローチャートに従って障害物検出処理を実行する。まず、ステップS10では、撮像素子6により撮像された初期画像データを読込む。ステップS20では、測距センサ4,5の出力データを読み込む。
【0021】
ステップS30では、測距センサ4,5の出力に基づき障害物が有るか否かを判断する。ここでは、測定領域A2,A3に存在する障害物の有無が判断される。障害物が有るときはステップS40に進み、障害物が無いときにはステップS80に進む。
【0022】
ステップS80では、近接領域A4内に追跡処理を行っている障害物が有るか否かを判断する。つまり、測定領域A2,A3から外れているが近接領域A4内に位置する障害物の有無が判断される。そして、近接領域A4内に障害物が有る場合はステップS40に進み、障害物が無い場合はステップS90に進む。
【0023】
ステップS40では、処理数の加減算処理を行う。ここでは、測距センサ4,5の出力或いは、撮像素子6により撮像された画像データに基づき、近接領域A4内に障害物が新たに進入した場合には処理数を「1」加算し、近接領域A4から障害物が退出した場合には処理数を「1」減算する。
【0024】
ステップS50では、近接領域A4内の障害物追跡処理を行う。ここでは、まず、得られた画像データに基づき、障害物の画像をその他の画像と区別して認識する。障害物の画像認識の手法としては種々の方式があるが、例えば、画像データについて濃度変化処理(微分処理)を行って障害物とその他の道路や背景との輪郭部分、いわゆるエッジを特徴抽出する手法(輪郭線抽出法)が一般的である。
【0025】
そして、エッジが特徴抽出されたエッジ画像から障害物の位置、大きさを推定すると共に、推定された障害物の存在範囲を画像データについて区画し、区画領域にテンプレートを作成する。前回のテンプレートと今回のテンプレートとを比較する(テンプレートマッチング)ことにより、障害物を追跡する。尚、障害物が第1の測距センサ4の測定領域A2に入り、近接領域A4から外れた場合には、障害物の追跡処理を終了する。
【0026】
ステップS60では、近接した障害物があるか否かを判断する。ここでは、エッジ画像が車両の特徴を有するものであるか否かを判断して障害物を推定する。そして、その障害物が車両の特徴を有すると判断した場合には、自己車両にとって近接性が高いと判断し、ステップS70に進む。
【0027】
ステップS70では、車線変更を行うために方向指示器が作動された場合等に、「車線変更を行うことは危険である」旨のメッセージをディスプレイ12に表示したり、音声ガイダンスや警報音をスピーカ13から出力したりして、運転手に対して警告する。
【0028】
ステップS90及びS100の処理は、近接領域A4外の撮像領域A1内に位置する近接性が低い障害物の追跡処理である。即ち、ステップS90では、画像データに基づき近接領域A4外の障害物の有無を判断する。
【0029】
そして、近接領域A4外に障害物が有る場合は、ステップS100にて、その障害物の追跡処理を行う。ここでは、ステップS50と同様の追跡処理が行われる。
【0030】
ステップS110では、新たな画像データを読み込む。
ステップS120では、システムエラーの発生の有無を判断する。そして、エラー無しと判断した場合には、ステップS20に戻り、上記処理を繰り返し実行する。
【0031】
このような本実施例によれば、測距センサ4,5により障害物が近接領域A4に進入したか否かを検知し、障害物が近接領域A4に進入するまでは、画像データに基づき障害物のテンプレートを作成し、そのテンプレートを用いたテンプレートマッチングによる障害物の追跡処理を行う。そして、障害物が近接領域A4に進入すると、障害物の追跡処理と、障害物のエッジ画像に基づく形状判定を行い障害物の推定処理を行う。従って、近接性の低い障害物についての処理時間を省くことができ、処理の高速化を図ることができる。
【0032】
また、近接領域A4に進入する前から画像データの微分処理を行って障害物の輪郭の特徴抽出を行い、その抽出された輪郭情報に基づき障害物のテンプレートを作成しているため、近接領域A4に進入した障害物の追跡処理及び推定処理の時間を短縮することができる。このため、自己車両に接近する他車両の存在を迅速且つ確実に認識することができる。
【0033】
更に、本実施例では、近接領域A4の前端部及び後端部に測定領域A2及びA3を有する測距センサ4,5を設けた。このため、障害物の近接領域A4への進入及び近接領域A4からの退出を確実に検知することができる。
【0034】
更にまた、GPSレシーバ15からの現在位置データに基づき自動車2が走行している道路の種類を判定し、その判定結果に応じて近接領域A4を設定するように構成した。つまり、高速道路を走行しているときは、一般道路を走行しているときよりも大きな近接領域A4が設定される。これにより、自己車両に対して障害物の近接性が高いか否かを、走行している道路の種類に応じて的確に判定することができる。
【0035】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形、拡張が可能である。
近接領域内に他車両が有る場合には、ブザーを鳴動させたり、シートを振動させたりして運転手に対して危険報知を行うように構成しても良い。
【0036】
近接性が高い障害物があるか否かの判断は、前回のテンプレートと今回のテンプレートとの相関からオプティカルフロー(動きベクトル)を算出し、そのオプティカルフローの向きから行っても良い。
【0037】
測距センサは、それぞれ1個の超音波センサから構成しても良い。また、測距センサは、超音波センサの他、赤外線センサやPSD、レーザレーダから構成することも可能である。
【0038】
近接領域から障害物が退出したことの判定は、撮像素子6が取得した画像からその障害物が消失することにより行っても良い。従って、この場合は、第1の測距センサ4は省略することができる。
【0039】
速度情報取得手段は、GPSレシーバの他、自車両の走行速度を検出する車速センサから構成しても良い。
【0040】
障害物検出装置は、車両側方及び後側方の障害物を検出用に限定されない。例えば、車両の前側方や車両後方の障害物検出用にも適用できる
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の障害物検出装置は、撮像手段の撮像領域内に近接領域を設けて、近接領域内に存在する障害物についてのみ他車両であるか否を判定するように構成したので、近接性の低い障害物についての処理時間を省くことができ、処理の高速化をはかることができる。また、近接領域内に進入する前から障害物の追跡処理を開始するため、自車両に接近してくる障害物の存在を迅速且つ確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであり、障害物検出処理のフローチャート
【図2】障害物検出装置の電気的構成を示すブロック図
【図3】車両と撮像領域及び近接領域との位置関係を説明するための図
【符号の説明】
図中、1は障害物検出装置、2は自動車、4,5は測距センサ(障害物検出手段)、6は撮像素子(撮像手段)、8はマイコン(障害物追跡手段、障害物推定手段、近接領域設定手段)、15はGPSレシーバ(速度情報取得手段)を示す。

Claims (4)

  1. 車両に設けられた撮像手段と、
    前記車両に設けられ前記撮像手段の撮像領域のうち前記車両近傍の近接領域に障害物が進入したことを検出する障害物検出手段と、
    前記撮像手段により取得された画像データに基づいて障害物の追跡処理を実行する障害物追跡手段と、
    前記障害物検出手段により障害物が近接領域内に進入したことが検出されたとき、前記撮像手段により取得された画像データに基づき障害物を推定する障害物推定手段とを備えることを特徴とする障害物検出装置。
  2. 前記障害物検出手段は、少なくとも2個の測距センサから構成されていることを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
  3. 前記測距センサは、相互に指向方向が異なるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の障害物検出装置。
  4. 前記車両の速度に関する情報を取得する速度情報取得手段と、
    前記速度情報取得手段が取得した速度情報に基づいて前記近接領域を設定する近接領域設定手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の障害物検出装置。
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