JP3892508B2 - 記録用シート及びこれを用いた点灯式スイッチ - Google Patents

記録用シート及びこれを用いた点灯式スイッチ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写、インクジェット、レーザプリンタ及び各種電子写真複写機等による各種記録法、並びに各種印刷法により記録するための記録用シートに関し、透明なプラスチック上に表示を有する表示物を作製するための記録用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種の産業用機器あるいは民生用機器においてはスイッチ部分等においてその機能を示す表示を設ける必要がある。例えば、内部に装着されたランプ等により押圧部分自体が点灯し、押圧部分内部に表示された文字等が認識できるようにした点灯式スイッチの表示は、従来所望の表示の形状をスイッチ押圧部分の内側あるいは外側に彫刻しその部分にインクを載せることにより形成されていた。
【0003】
図2に断面図で示すように従来の点灯式スイッチの表示部分21は、例えば、下側に凹部を有する透明な外側カバー22とその凹部にはめ込まれるプラスチック部材23からなり、プラスチック部材23の上部表面に所望の表示を彫刻し、その彫刻部分にインクをのせることにより表示24を得ていたものである。しかしこの工程は時間を要し、従ってコストも高い。
【0004】
一方、粘着層と剥離層を有するプラスチックフィルムに表示を印刷し、剥離層を剥離して粘着層を有するプラスチックフィルムを表示を所望する位置に貼付することができる記録用材料もある。しかしこのような材料は剥離層を剥離すると粘着層は表示を記録したプラスチックフィルム側に残存するものであり、表示を有するプラスチックフィルムを所望の位置に貼付するのには好適であるが、その際粘着層と被貼付物との間に空気等が残存しやすく、表示物の美観を損ねるという欠点があった。
【0005】
さらに、表示物となるプラスチックフィルム単体に表示を印刷するということも考えられるが、上記のような表示物は比較的小さいものが多いことから、それらを表示に必要な大きさに切断するとバラバラの小さい断片となってしまい、使用までの間極めて取り扱いにくい。一方、切断せずにシート状のままとしておくと使用する際に所望の形状に切断しなければならず、取り扱いが不便になることに加えて美麗な表示を得ることが困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、プラスチックフィルム上に所望の表示を印刷できる記録用シートであって、表示を印刷するプラスチックフィルムは基材層上に粘着層を介して設けられており、プラスチックフィルムの部分を所望の表示物の形状の断片に予め切断しておいてもそれらは粘着層により基材層に接着されていることからシートの形状のまま取り扱うことができ、使用する際には予め所望の形状に切断されたプラスチックフィルムの表示物を基材層から容易に剥離して使用することができ、しかもプラスチックフィルムを剥離すると前記粘着層は基材層上に残存する記録用シートを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は本発明の、基材層上に粘着層、プラスチックフィルム層、記録層をこの順に設けてなる記録用シートであって、粘着層が硬化型の粘着剤からなり、基材層を剥離したときに粘着層が基材層上に残存する記録用シートにより達成される。
【0008】
本発明の記録用シートの好ましい態様においては、記録層が、ガラス転移点が10℃以下の透明性樹脂と有機樹脂微粒子とを混合して、へイズ値が4〜10%となるようにしたトナー易接着層であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、基材層上に硬化型の粘着剤からなる粘着層を形成して所望の程度硬化させた後に、プラスチックフィルム層及び記録層を順次積層するか、または当該所望の程度硬化させた粘着層上に、記録層を設けたプラスチックフィルム層を、記録層を設けた表面とは反対面側のプラスチックフィルム層表面と当該粘着層とが接するように積層することを特徴とする、上記の記録用シートの製造方法を提供する。
【0010】
さらに本発明は、上記本発明の記録用シートの記録層側に所望の表示を形成した後に、基材層及び粘着層を剥離除去して得られた表示物を使用して表示を得た点灯式スイッチも提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の記録用シートの層構成を添付の図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の記録用シートの一例の概略的な部分断面を示す図である。本発明の記録用シート1においては、基材層2上に、粘着層3、プラスチックフィルム層4、記録層5が設けられている。さらに貯蔵時のシートのブロッキング等を防止するため等の目的で設けられる表面処理層6を基材層及び記録層の外側の表面に有していてもよい。本発明の記録用シートにおいては、上記記録層側の表面に感熱転写、インクジェット、レーザプリンタ及び各種電子写真複写機等による各種記録法、あるいは通常のインクを使用する各種の印刷方法により所望の表示が形成される。そしてその形成された表示の周囲を所望の大きさにプラスチックフィルム層までの厚さをオートカッター等により切断し表示物を得る。この表示物は切断した後もその下にある粘着層により基材層上に保持されるので、本発明の記録用シートは所望の表示を形成し、プラスチックフィルム層を切断した後にも製造時の記録用シートの形状のまま取り扱える。そして切断されたプラスチックフィルム層からなる表示物を使用する際には、プラスチックフィルム層の表示物部分を基材層から容易に剥離することができ、しかも粘着層は基材層上に残存し(即ち、図1のAで示した部分から上下に分離する)、所望の表示が形成された記録層を有するプラスチックフィルム層のみからなる表示物が得られる。
【0013】
本発明の記録用シートに使用される基材層は、上記のようにプラスチックフィルム層から形成される表示物を剥離して使用するまでそれらを接着して一定の大きさのシート状の形状に維持しておくために設けられるものであり、そのような目的を達成できるようなシート状材料であれば特に限定されるものではない。但し、この基材層上には例えば、後記するように粘着層を設け、それを所望程度硬化した後にプラスチックフィルム層を積層するが、プラスチックフィルム層を剥離したときに粘着層が基材層に残存するようにするために、上記のようにして形成された粘着層に対して十分な接着力を示すものでなければならない。
【0014】
そのような材料としては例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロース等の材料からなるプラスチックシート、紙、金属、その他の材料のシートが挙げられる。耐熱性、機械的強度、寸法安定性、コスト等の点からポリエステルのフィルムあるいはシートが好ましい。基材層の厚さは特に制限されないが、好ましくは75〜125μm程度である。
【0015】
本発明の記録用シートに使用されるプラスチックフィルム層は、所望の表示物となる部分であって、目的とする表示物に適するものであればその材料は特に限定されるものではない。例えば、上記の基材層の材料として挙げたプラスチック材料からなるプラスチックフィルムとすることができる。同様に、耐熱性、機械的強度、寸法安定性、コスト、透明性等の点からポリエステルフィルムを使用することが好ましい。プラスチックフィルム層の厚さは特に制限されないが、好ましくは25〜100μm程度である。
【0016】
上記の基材層とプラスチックフィルム層は粘着層を介して接合されるが、基材層とプラスチックフィルム層を分離した際に粘着層が基材層側に残存するようにする。このように分離時に粘着層を必ず基材層側に残存させるためには、粘着層の材質として硬化型の粘着剤を使用し、例えば、基材上に当該粘着剤を塗布した後に、光または熱により所望程度硬化させてからプラスチックフィルム層を積層すればよい。
【0017】
このように粘着剤塗布後に光または熱により所望程度硬化させることにより、後に積層するプラスチックフィルム層との接着力を、基材層との接着力より低くして、粘着層とプラスチックフィルム層との界面で剥離できるようにするものである。
【0018】
硬化の程度は、硬化の手段、使用する粘着剤、基材層及びプラスチックフィルム層の材質に応じて適宜変更されるものであるが、レーザプリンタやPPC等による記録時に作業性を害しない程度の接着力を保持している必要がある。例えば、粘着剤として熱硬化型の粘着剤を使用し、基材層及びプラスチックフィルム層としてポリエステルフィルムを使用する場合は、通常、1時間〜4日間程度、30〜60℃程度の温度で熱処理することで所望の性能を得ることができる。
【0019】
粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、ビニルエーテル系、シリコーン系、ポリエステル系等の粘着剤が挙げられ、より具体的には、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル及びアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル及び酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が使用可能である。
【0020】
また必要に応じて、可塑剤、イソシアネート等の硬化剤、ロジン、変性ロジン、ロジンエステル、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の天然物及びその誘導体、クマロン・インデン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂等の合成樹脂等からなるタッキファイヤー等を添加して、粘弾性挙動や界面特性を調節することもできる。
【0021】
このような粘着層は、従来の粘着シートの粘着層を製造する方法と同様の方法で製造でき、上記のような粘着剤を水や適当な有機溶剤に溶解あるいは分散し、基材層の材料の上にロールコーティング、バーコーティング、エアナイフコーティング、スプレーコーティング等の各種コーティング法、あるいはグラビア印刷等を用いて塗布し、乾燥させることにより形成することができる。粘着層の厚さは通常、1〜30μm程度であるが、特に20μm以下とすることが好ましい。また、粘着層用塗布液を塗布した後、プラスチックフィルム層を積層するまでの、乾燥、熱処理等の間に取り扱いやすくするために、一時的に粘着層上に離型シートを設けてもよい。このような離型シートは、従来の粘着シートの離型紙等に用いられている、離型性を有する高分子等、例えば、シリコン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フェノール系樹脂、オクタデシルイソシアネート系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル/シリコーン共重合体樹脂、シリコーン変性4級アンモニウム塩重合体系樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂等から選択された材料を単独であるいは混合物として含む材料からなるシート、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙等のフィルムまたはシートの表面を上記のような離型性を有する材料で処理したものを用いることができる。
【0022】
上記のようにして形成された粘着層上に前記のプラスチックフィルム層を積層する。プラスチックフィルム層は、熱硬化後の粘着層上に、離型シートを設けた場合はそれを除去した後に載置し、圧力を加えて圧着することにより積層できる。圧着の条件はプラスチックフィルム層の粘着層に対する必要な接着が得られるように適宜選択することができるが、通常は室温、または40〜60℃程度の温度に加熱して3〜6kg/m2 程度の圧力を加えることにより行う。
【0023】
さらに上記のようにして積層されたプラスチックフィルム層の上に記録層を設ける。この場合、プラスチックフィルム層を形成するプラスチックフィルムの粘着層に貼り合わせられる表面とは逆の表面に予め記録層を設けたものを上記のように粘着層上に積層することによりプラスチックフィルム層と記録層を同時に積層してもよく、記録層を形成する工程上その方が有利である。
【0024】
本発明の記録用シートの記録層は、感熱転写、インクジェット、レーザプリンタ及び各種電子写真複写機等による各種記録法、あるいは通常のインクを使用した各種印刷法によりプラスチックフィルム上に表示を形成することを可能とするために設けられるもので、従来からこのような目的に使用されるものを用いることができる。
【0025】
本発明の記録用シートの記録層は、例えば、高分子結着剤と無機粒子及び/または有機粒子を含む層とすることができる。
【0026】
このような記録層に使用される高分子結着剤は熱可塑性樹脂または硬化性樹脂から選択できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミドイミド、ケイ素樹脂、フッ素樹脂、これらのポリマーを構成するモノマーの共重合体、これらのポリマーのブレンド物等が挙げられる。
【0027】
硬化性樹脂は、光、熱、酸素等により硬化する樹脂であり、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、架橋型有機ケイ素樹脂、反応型モノマーを含むポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体に架橋剤を加えて架橋したもの等が挙げられる。また、トナーによる表示の形成を意図する場合には、(メタ)アクリル酸エステル/スチレン共重合体やグラフト共重合アクリル樹脂、例えば幹鎖組成としてポリメチルメタクリレート、枝鎖組成としてN−メチロールアクリルアミドやヒドロキシエチルメタクリレート等を共重合したものがトナーとの密着性の点で特に好ましい。
【0028】
無機粒子としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、アルミナ、酸化鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム等の塩類等、有機粒子としては、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等からなるものが挙げられる。これらの粒子は単独の材料からなるものであってもよく2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
これらの粒子の平均粒径は特に限定されないが、一般に0.1〜20μmの範囲が適当である。また高分子結着剤と粒子の重量比は100/1〜100/200程度の範囲にあることが好ましい。また上記の高分子結着剤と粒子、それらの混合比等は、得られる表示物の透明性が損なわれないように選択することが好ましい。
【0030】
さらに、トナーによる表示の形成を意図する場合には、本発明の記録用シートの記録層は、特に良好なトナー接着性とブロッキング防止を両立させるため、本発明者らが先に提案した特開平7−301937号に開示される特定のトナー易接着層とすることが好ましい。
【0031】
特開平7−301937号に開示されるトナー易接着層は、ガラス転移点が10℃以下の透明性樹脂と有機樹脂微粒子とからなり、シート全体のへイズ値が4〜10%の範囲となるようにしたものである。本発明においては、基材層及び粘着層を除いた、プラスチックフィルム層、記録層及びその上の任意の表面処理層を含むシート全体のへイズ値が4〜10%の範囲となるようにする。
【0032】
ベースとなる透明性樹脂は、十分なトナー接着性を得るためにガラス転移点が10℃以下のものを使用する。トナー接着性の点から熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。ガラス転移点が10℃以下の透明性樹脂は、常温において粘着性を有しており、主として接着剤等に用いられているが、この粘着性により良好なトナー接着性が得られる。ガラス転移点が高くなるに従ってトナー接着性は低下するので、使用する透明性樹脂はガラス転移点がなるべく低いものが好ましい。
【0033】
有機樹脂微粒子は耐ブロッキング性を得るために添加され、例えばシリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子等を使用することができる。これらの樹脂微粒子の中でも、ブロッキング防止という点で特にシリコーン樹脂微粒子が好ましい。このような有機樹脂微粒子は無機粒子とは異なり粒径や形状が均一であるため、透明性を失うことなくブロッキングを効果的に防止することができる。さらに、微粒子であるにもかかわらず塗工液での分散性が非常によく、塗工液の作製が容易であるという利点も合わせ持つ。
【0034】
また有機樹脂微粒子の粒径は、トナー易接着層の塗膜面から突出するように選択する。この有機樹脂微粒子の突出によりブロッキングが防止される。従って粒径はトナー易接着層の塗膜の厚さにもよるが、通常は1〜5μmの範囲が好ましい。
【0035】
さらに、透明性樹脂に対して有機樹脂微粒子を多く添加しすぎると透明性に加えてトナー接着性も低下してしまうので、基材層と粘着層を剥離した後にシート全体のヘイズ値が4〜10%の範囲となるように透明性樹脂と有機樹脂微粒子を混合する。ヘイズ値を4〜10%の範囲とすることにより、透明性、トナー接着性、及び耐ブロッキング性といった要件の全てを満足することができる。尚、本発明にいうへイズ値は、JIS K 7105に従って測定した値をいうものである。
【0036】
上記の記録層には、塗膜物性を低下させない範囲で、必要により界面活性剤、滑剤、分散剤等を添加してもよい。
【0037】
上記の記録層は、前記粘着層と同様に、必要な成分を適当な溶媒等に溶解あるいは分散し、上記のような公知の方法で塗布し、乾燥させることにより形成することができる。記録層の厚さは通常、0.4〜4μm程度、好ましくは1〜3μm程度である。
【0038】
また本発明の記録用シートは、基材層及び記録層の外側の表面に表面処理層を有していてもよい。表面処理層は、例えば静電気による貼り付きなどを防止することを目的とした帯電防止層とすることができる。帯電防止層は例えば、バインダー成分中に含まれる公知の帯電防止剤や公知のポリマー帯電防止剤を上記のような塗布方法で塗布することにより形成することができる。そのような帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩等のカチオン系ポリマー、ポリ塩化ビニルやポリエチレングリコール、アルキルアミン等の非イオン系ポリマー、カルボン酸やスルホン酸等のアニオン系ポリマー、ポリアミン誘導体、アルキルホスフェート等の陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン型界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
レーザプリンタ、各種電子写真複写機等で記録する際の良好な印字性能を維持するためには、記録用シートの表面電気抵抗値が1×108 〜1×1010Ω程度であることが望ましい。電気抵抗値を1×108 Ω以上とすることにより良好な印字性能を維持することができ、1×1010Ω以下にすることにより給紙ミスや走行不良を防止することができる。従って、帯電防止層の塗布量は、表面電気抵抗値が上記の範囲になるようにすることが好ましい。尚、上記のような記録層を使用した場合、その上に帯電防止層を積層してもトナー接着性が低下することはない。これは、記録層のトナー接着力が十分に高く、帯電防止層が積層されてもその影響を受けないからである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0041】
厚さ125μmの透明ポリエステルフイルム(ルミラーS10、東レ製)上の一方の面に下記の組成を有する帯電防止層塗布液を乾燥膜厚が0.5μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥させた。
帯電防止層塗布液
帯電防止剤(スタチサイド:A.c.L製) 0.1重量部
イソプロピルアルコール 150重量部
その後、ポリエステルフィルムの帯電防止層を設けた表面とは反対側の表面にポリエチレン粘着剤(B−255、日栄化工製)を熱硬化後の厚さが20μmとなるように塗布し、塗布した粘着層の上に離型シートとして坪量70gのグラシン紙の表面にポリエチレン層を設けたもの(ポリエチレン層側が離型表面)を積層し、40℃に72時間保持して粘着層を熱硬化させた。
【0042】
一方、厚さ100μmの透明ポリエステルフイルム(ルミラーT60、東レ製)の一方の面に下記の組成を有する記録層(トナー易接着層)塗布液を乾燥膜厚が3.0μmとなるようにバーコーターで塗布し乾燥させた。
記録層塗布液
ポリエステル樹脂 40重量部
(バイロン500:東洋紡績製、Tg=4℃)
シリコーン樹脂微粒子 (粒径3μm) 0.1重量部
(トスパール130:東芝シリコーン製)
メチルエチルケトン 100重量部
トルエン 200重量部
さらに上記で設けた記録層上に上記と同様に帯電防止層を設けた。この記録層と帯電防止層とを設けたポリエステルフィルムを、前記のポリエステルフィルム上に形成した粘着層の上に、グラシン紙を除去した後に、前記記録層を設けたのとは反対側のポリエステルフィルムの表面が粘着層の表面に接するように載置し、40℃で全体に4 kg/m2の圧力をかけて両者を接合して本発明の記録用シートを得た。
【0043】
上記で得られた本発明の記録用シートにレーザープリンタ(TN−7270PSJ、東芝製)でトナー画像を形成し、カッティングプロッターで印字の周囲を印字面から帯電防止層と記録層が設けられた方のポリエステルフィルムまでの厚さで適当な大きさにカットして表示物として利用する部分を分離できるようにし、一方基材層のポリエステルフィルムは切断されず、最初の記録用シート全体の寸法のまま取り扱えるようにした。
【0044】
カットした表示物の部分を剥離したところ、粘着層は全て基材層のポリエステルフィルム上に残り、表示物として使用する方のポリエステルフィルムには全く付着せず、透明なフィルム上に印字された美麗な表示物が得られた。
【0045】
また、上記と同じ本発明の記録用シートを5cm×5cmにカットしたものを12枚重ね、約4 kg/m2の圧力をかけて70℃、RH0% で3日間保存したところ、全くブロッキングは観察されず、良好な状態で保存できた。
【0046】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の記録用シートによれば、プラスチックフィルムの部分を所望の表示物の形状に予め切断しておいても粘着層により基材層に保持されていることからシートの形状のまま取り扱うことができ、使用する際には予め所望の形状に切断されたプラスチックフィルムの表示物を基材層から容易に剥離して使用することができるので、極めて取り扱いやすい。
【0047】
また、上記のように表示物部分を剥離した場合に粘着層は表示物に残存しないことから美麗な表示物を得ることができる。
【0048】
本発明の記録用シートから得られる表示物は、例えば点灯式スイッチの押圧部分内部に挿入して点灯式スイッチの表示を得ることができる。例えば、図3に断面図で示すように、点灯式スイッチの表示部分31において、トナー等により形成された表示34を有する本発明の記録用シートから得られた表示物35を従来の点灯式スイッチの表示部分に使用されていたのと同様な形状の外側カバー32と内側プラスチック部材33の間に挟持させることにより点灯式スイッチの表示が得られる。このように本発明の記録用シートによれば、前記従来技術のように彫刻によらず、レーザープリンタ等で表示を印字できることから、特に多種類少量生産が要求される点灯式スイッチの表示を安価に迅速に製造することができる。
【0049】
さらに本発明の記録用シートは、点灯式スイッチの表示に限定されず、各種の表示物を多品種少量生産等のニーズに答えながら低いコストで製造することを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の記録用シートの概略部分断面図である。
【図2】 従来の点灯式スイッチの表示部分の概略部分断面図である。
【図3】 本発明の記録用シートから得られた表示物を使用して得られた点灯式スイッチの表示部分の概略部分断面図である。
【符号の説明】
1...記録用シート
2...基材層
3...粘着層
4...プラスチックフィルム層
5...記録層
6...表面処理層
21、31...点灯式スイッチの表示部分
22、32...外側カバー
23、33...内側プラスチック部材
24、34...表示
35...本発明の記録用シートから得られた表示物

Claims (4)

  1. 基材上に粘着層、プラスチックフィルム層、記録層をこの順に設けてなる記録用シートであって、粘着層は前記プラスチックフィルム層を積層する前に光または熱により所望の程度硬化させた硬化型の粘着剤からなり、基材層を剥離したときに粘着層が基材層上に残存する記録用シート。
  2. 記録層が、ガラス転移点が10℃以下の透明性樹脂と有機樹脂微粒子とを混合して、へイズ値が4〜10%となるようにしたトナー易接着層であることを特徴とする請求項1記載の記録用シート。
  3. 基材上に硬化型の粘着剤からなる粘着層を形成して所望の程度硬化させた後に、当該所望の程度硬化した粘着層上に、プラスチックフィルム層を圧着し、そのプラスチックフィルム層上に記録層を積層するか、記録層を設けたプラスチックフィルム層を、記録層を設けた表面とは反対面側のプラスチックフィルム層の表面と当該粘着層とが接するように圧着することを特徴とする請求項1記載の記録用シートの製造方法。
  4. 請求項1記載の記録用シートの記録層側に所望の表示を形成した後に、基材層及び粘着層を剥離除去して得られた表示物を使用して表示を得た点灯式スイッチ。
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