JP3892289B2 - レンズ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯型小形カメラに用いられ、被写像をズームするレンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のレンズ駆動装置としては、ステッピングモータと送りねじ伝動機構との組合せによる装置が知られており、このレンズ駆動装置を図6に示す。図6に示す様に、レンズ駆動装置100は、回転するステッピングモータ101のシャフトを歯車102を介して送りねじ103に伝達して、回転運動を直進運動に変換している。送りねじ103上を案内駆動されるナット104上には、レンズ105が固定されている。従って、ステッピングモータ101の回転角度に従って、レンズ105の直線位置が決定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の技術では、ステッピングモータ101、歯車102、送りねじ103及びナット104と言った複雑な伝動機構が必要となるので、装置が大形となり且つ、高価になるという課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、小型軽量で且つ、廉価なレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前方レンズと、前方レンズを支持する前方支持枠と、前方支持枠の後方に取り付けられた前方コイルと、前方支持枠の後部と前方コイルとに跨って且つこれらの内周面上に取り付けられた前方金属片と、後方レンズと、後方レンズを支持する後方支持枠と、後方支持枠の後方に取り付けられた後方コイルと、後方支持枠の後部と後方コイルとに跨って且つこれらの外周面上に取り付けられた後方金属片と、マグネットと、ヨークとを備え、ヨークは各々リング状を成す外壁と内壁と、外壁と内壁を繋ぐ底面とを有し、マグネットはヨークの外壁と内壁との間に配置してあり、前方コイルは、マグネットとヨークの外壁との間の外側ギャップに配置し、後方コイルは、マグネットとヨークの内壁との間の内側ギャップに配置し、前方金属片と後方金属片は、共に前方側に頂角を持ち、後方側に底辺を持つ三角形状であり、前方コイルに電流を印加することによって、前方レンズを前方に移動させ、後方コイルに電流を印加することによって、後方レンズを前方に移動させ、前方レンズの移動量は、前方金属片に働く吸引力と、前方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定さ れ、後方レンズの移動量は、後方金属片に働く吸引力と、後方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定されることを特徴とする。
【0006】
この請求項1に記載の発明では、前方コイルをマグネットとヨーク間の外側ギャップに配置し、後方コイルをマグネットとヨーク間の内側ギャップに配置しているので、前方コイルに電流を印加すると、外側ギャップの電磁力の作用で前方レンズを前方に移動することができ、後方コイルに電流を印加すると内側ギャップの電磁力の作用で、後方レンズを前方に移動することができる。これによって、装置の構造を簡便で小形なものにすることができる。
【0007】
【0008】
前方レンズの移動量は、前方金属片に働く吸引力と、前方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定され、後方レンズの移動量は、後方金属片に働く吸引力と、後方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定されるので、前方レンズ及び後方レンズのそれぞれを、容易に所望の量だけ移動させることができる。これによって、装置の構造を更に小形で廉価なものにすることができる。
【0009】
【0010】
前方金属片と後方金属片は、前方側に頂角を持ち、後方側に底辺を持つ三角形状であるので、前方及び後方金属片に働く吸引力を、それぞれ前方及び後方レンズの移動量に比例させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るレンズ駆動装置を示す断面図であり、図2は図1のレンズ駆動装置の分解斜視図であり、図3は、図1、2に示す金属片の平面図であり、図4は、図1のレンズ駆動装置の動作を示す断面図である。
【0012】
レンズ駆動装置1は、前方レンズ2と、前方支持枠3と、前方コイル4と前方金属片5と、後方レンズ6と、後方支持枠7と、後方コイル8と、後方金属片9と、マグネット10とヨーク11とを備えており、前方コイル4に直流電流を印加することにより、前方レンズ2を前方に移動し、後方コイル8に直流電流を印加することにより、後方レンズ6を前方に移動する様になっている。尚、本明細書においては、前方及び後方の文言を適宜、使用するが、これはカメラから被写体に向って、相対的に前方及び後方の位置関係を表わすものである。
【0013】
リング状の前方支持枠3は合成樹脂等の電気的絶縁体であり、中央部で前方レンズ2を支持し、外周凸部上の後方に前方コイル4を備え、凸部の内周面3個所には磁性体である前方金属片5が固着されている。
【0014】
同様に、リング状の後方支持枠7は、合成樹脂等の電気的絶縁体であり、中央部で後方レンズ6を支持し、外周凸部上の後方に後方コイル8を備え、凸部の外周面上前方金属片5と対向する3個所に磁性体である後方金属片9が固着されている。
【0015】
リング状のヨーク11は、外壁11aと内壁11b及び底面11cから成る形状を有し、外壁11aは内壁11bより壁高が大であり、底面11c上にはリング状のマグネット10が固着されている。マグネット10は、径方向に磁化されており、外壁11aと内壁11b及び底面11cによる磁路が構成されている。
【0016】
前方コイル4は、マグネット10と外壁11aから成るギャップ間に配置されており、同様に後方コイル8は、マグネット10と内壁11bから成るギャップ間に配置されている。
【0017】
図3(a)、(b)は、それぞれ前方金属片5及び後方金属片9の平面図であり、前方支持枠3の内周円弧と後方支持枠7の外周円弧面に沿って湾曲されており、それぞれ120°間隔で固着されている。
【0018】
前方金属片5及び後方金属片9は、磁性体なので、外力が加わらない時は、マグネット10の吸引力によって、図1に示す位置に保持される。
【0019】
尚、図1に示す様に、ヨーク11の内壁11b、外壁11a、マグネット10と前方金属片5及び後方金属片9の最上端位置は一致させている。これによって、ズームしない図1に示す状態では、マグネット10とヨーク11間の内側及び外側のギャップに径方向の一様な磁界を造り出している。
【0020】
前方コイル4への給電は、前方支持枠3の上端部からヨークの外壁11aの外側を経由して伸縮性の電線(図示されていない)で行ない、後方コイル8への給電は、同様に後方支持枠7の上端部からヨークの内壁11bのマグネット10側に沿って伸縮性の電線(図示されていない)を用いて行なう。
【0021】
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。レンズ駆動装置1を組立てるには、まず最初に、前方レンズ2を前方支持枠3に組込み、前方支持枠3の凸部に前方コイル4を固着(接着)し、次いで、3個の前方金属片5を所定の120°間隔で、前方支持枠3と前方コイル4の内周面上に固着する。
【0022】
引き続いて同様に、後方レンズ6を後方支持枠7に組込み、後方支持枠7の凸部に後方コイル8を固着(接着)し、次いで、3個の後方金属片9を所定の120°間隔で、後方支持枠7と後方コイル8の外周面上に固着する。
【0023】
ヨーク11の底面11cには予め位置決めして、マグネット10を固着(接着)する。マグネット10と内壁11b間のギャップに後方コイル8を挿入しながら、伸縮性電線の結線と配線を行なう。
【0024】
同様に、マグネット10と外壁11a間のギャップに前方コイル4を挿入しながら、伸縮性電線の結線と配線を行なう。
【0025】
図4は、前方コイル4及び、後方コイル8に直流電流を印加して、レンズ駆動装置1をズーム状態に作動させた時の断面図を示している。
【0026】
前方コイル4に電流が印加されると、前方レンズ2に前方(図4では、上方)への電磁力が働くが、前方金属片5とマグネット10の間には吸引力が、後方(図4では、下方)へ働く。この吸引力は、主にマグネット10の上端部と対向する前方金属片5の面積に比例する。図3(a)(b)に示す様に、金属片5,9は三角形状としているので、吸引力は前方への変位量に比例する。従って、前方レンズ2の位置即ち前方への移動距離は、電磁力と吸引力が釣合った点となる。
【0027】
これによって、前方コイル4に印加する電流量によって、前方レンズ2の移動量を決定することができる。同様に、後方コイル8に印加する電流量によって、後方レンズ6の移動量を決定することができる。
【0028】
即ち、前方コイル4及び後方コイル8に印加するそれぞれの電流量によって、前方レンズ2及び後方レンズ6それぞれの移動量を決定することができるので、後方レンズ6の更に後方(図4では下方)のカメラ内部に位置する固定レンズ14の作用と共に、CCDなどによる像平面15上に、被写体像をズームしてフォーカスさせることができる。
【0029】
尚、前方コイル4を固着する前方支持枠3の凸部形状及び、後方コイル8を固着する後方支持枠7の凸部形状は、それぞれの印加電流によって、前方支持枠3及び、後方支持枠7が前方に移動しても、鎖交磁束量が変化しない様な、ショートコイル構造を造り出すための形状である。
【0030】
この様に、レンズ駆動装置1に供給する2つの電流量を制御するだけで、前方レンズ2及び後方レンズ6それぞれの移動量を制御して、被写像をズームすることができるという作用がある。また、印加する電流を零とすれば、ズームしない状態となるので、ズーム時のみ直流電流が必要となり、消費電力を節約できる作用がある。
【0031】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
【0032】
図5は、前方金属片5及び後方金属片9の他の実施の形態を示す平面図であり、三角形の頂角部分に拡大部5aと9aを設けている。
【0033】
図5に示す実施の形態では、頂角部分の面積が拡大されているので、比較的大きな吸引力が作用する。従って、前方及び後方コイル4,8へ印加する電流量が零でズームしない状態の場合、外的要因によるレンズの移動を阻止することができる。
【0034】
尚、図1及び図4において、前方支持枠3及び後方支持枠7は、説明を判り易くするために宙に浮いた形で描いているが実際には、上下方向は、例えばヨーク11に突当てたり、円周方向には、円筒状ガイドを設けたりすれば、容易に位置規制を行なうことができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、前方コイルに電流を印加することによって前方レンズを前方に移動することができ、後方コイルに電流を印加することによって後方レンズを前方に移動することができるので、装置の構造を簡便で小形なものにすることができる。
【0036】
印加する電流量を制御することによって、前方レンズ及び後方レンズそれぞれの移動量を制御できるので、装置の構造を更に小形で廉価なものにすることができる。
【0037】
レンズの移動量をコイルに印加する電流量に比例させることができるので、レンズ移動量の制御を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置を示す断面図である。
【図2】図1のレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】図1、2に示す金属片の平面図である。
【図4】図1のレンズ駆動装置の動作を示す断面図である。
【図5】他の実施の形態の金属片の平面図である。
【図6】従来に係るレンズ駆動装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 レンズ駆動装置
2 前方レンズ
3 前方支持枠
4 前方コイル
5 前方金属片
6 後方レンズ
7 後方支持枠
8 後方コイル
9 後方金属片
10 マグネット
11 ヨーク

Claims (1)

  1. 前方レンズと、前方レンズを支持する前方支持枠と、前方支持枠の後方に取り付けられた前方コイルと、前方支持枠の後部と前方コイルとに跨って且つこれらの内周面上に取り付けられた前方金属片と、後方レンズと、後方レンズを支持する後方支持枠と、後方支持枠の後方に取り付けられた後方コイルと、後方支持枠の後部と後方コイルとに跨って且つこれらの外周面上に取り付けられた後方金属片と、マグネットと、ヨークとを備え、ヨークは各々リング状を成す外壁と内壁と、外壁と内壁を繋ぐ底面とを有し、マグネットはヨークの外壁と内壁との間に配置してあり、前方コイルは、マグネットとヨークの外壁との間の外側ギャップに配置し、後方コイルは、マグネットとヨークの内壁との間の内側ギャップに配置し、前方金属片と後方金属片は、共に前方側に頂角を持ち、後方側に底辺を持つ三角形状であり、前方コイルに電流を印加することによって、前方レンズを前方に移動させ、後方コイルに電流を印加することによって、後方レンズを前方に移動させ、前方レンズの移動量は、前方金属片に働く磁気吸引力と、前方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定され、後方レンズの移動量は、後方金属片に働く磁気吸引力と、後方コイルに印加する電流量に基づく電磁力とが釣合うことによって決定されることを特徴とするレンズ駆動装置。
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