JP3891418B2 - レーザドップラ振動計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を測定対象に照射し、その反射レーザ光からドップラ効果により付加される振動成分を取り出すことにより、測定対象の振動状態を測定するレーザドップラ振動計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
測定対象物にレーザビームを照射して非接触で振動測定を行うこの種の装置は、例えば特開平11−281471号公報に開示されるように、干渉計のレンズ−ミラー系がモータまたは圧電素子或いはその両方で動かされて、複数の測定点において振動測定を行うことができるよう構成されている。図4は、この種の振動計の構成を示す図であり、図において1は振動センサ、2は一対のガルバノメータミラーよりなる光学系、3は凸レンズ、4は測定対象物、5はCCDカメラユニットである。
振動センサ1は、図示しない光源から発生されたレーザ光を基準光と測定光に分割し、この測定光を測定対象物に照射してその反射光を基準光と重ねて干渉させることにより、測定対象物の振動に応じた周波数シフト量を検出し、これにより振動状態を測定するよう構成されている。光学系2は、可動型反射ミラーである一対のガルバノメータミラー21,22よりなり、このガルバノメータミラーはそれぞれミラーを保持しているガルバノメータ(またはガルバノモータ)に所定の電圧(制御信号)を印加してその回転角度を変位させ、レーザ光の反射角度を調整するよう構成されている。また、Xガルバノメータミラー21は、制御信号に応じてレーザ光のX方向の反射角度を調整し、このXガルバノメータミラー21のモータに対して90度の角度をもって配置されるYガルバノメータミラー22は、制御信号に応じてレーザ光のY方向の反射角度を調整する。したがって、X,Yガルバノメータミラー21,22を制御することにより、振動センサ1から出力される測定光の照射位置をX,Y軸方向に任意にコントロールすることが出来るよう構成されている。
【0003】
Xガルバノメータミラー21,Yガルバノメータミラー22が、各々反射角度が90度、即ち図においてはそれぞれ振動センサ1からの出力光に対して45度をなす角度に位置づけられる状態を中立の位置(基準位置)とし、ミラーM2はこの状態でYガルバノメータミラー22からのレーザ光を測定対象物4に対して垂直に照射するように位置づけられている。また、この中立状態において、測定対象物4から反射するレーザ光は、入射したレーザ光と同じ経路で振動センサ1に測定光として入力される。
【0004】
レンズ3は、光学系2の素子がそれぞれ中立位置にある状態で測定対象物に照射され、反射するレーザ光が、その中心に入射するよう位置づけられるとともに、この状態におけるXガルバノメータミラー21のレーザ光反射点が焦点となるように位置づけられている。これにより、光学系2が中立位置にある状態での測定光の経路が、レンズ3の光軸となる。これにより、ミラーM2からレンズ3に照射されるレーザ光は、レンズ3を通過するとこの光軸に平行となり、測定対象物4に対して垂直に照射される。すなわち、Xガルバノメータミラー21およびYガルバノメータミラー22の姿勢を変化させて反射角度を変更しても、測定光は測定対象物4に垂直に照射され、その反射光は入射光と同じ経路で振動センサ1に入力されるよう構成されている。これにより、安定した測定が行えるよう構成されている。
【0005】
また、この装置においては、測定対象物4にレーザ光が照射されている状態を視認するためのCCDユニット5が設けられており、このCCDユニット5は、ミラーM1とXガルバノメータミラー21のレーザ光経路上にハーフミラー51を設置しこのハーフミラー51より照射される光をミラーM3を介してCCDカメラ50に入射するよう構成されている。CCDカメラ50には測定対象物4に照射されているレーザ光のビームスポットが映し出されるが、輝度が極めて高いこのビームスポットによるハレーションの発生を防ぐため、ハーフミラー51から照射される光は、振動センサ1で使用されるレーザの波長のみを減光する減光フィルタ52を介してCCDカメラ50に入力されるよう構成されている。
【0006】
この装置において測定対象物4の振動状態を測定する場合、操作者は振動センサ1からのレーザスポットの照射位置をCCDカメラ50からの映像により確認しながらXガルバノメータミラー21およびYガルバノメータミラー22を調整し、これにより測定対象物4上の任意の位置にレーザ光を照射して、その振動状態を測定するよう構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の装置において、ミラーM2を介してレンズ3に入射される振動センサ1からのレーザ光は、一部レンズ3を透過しないでその表面で反射することとなるが、レンズ3の表面に対して角度を有して入射するレーザ光の場合は、このレンズ3の表面で反射する光は入射した経路に戻ることはないが、X,Yガルバノメータミラー21,22の何れもが中立状態にある場合においては、振動センサ1からのレーザ光はレンズ3に対して垂直に入射することになり、この時レンズ3の表面で反射する光は入射したした経路をそのまま戻ることになる。即ち、この状態においては、振動センサ1には測定対象物4から反射された反射光のみならず、このレンズ3の表面で反射した光も入力されることとなり、測定対象物4と同時にレンズ2の表面を検出することとなる。この測定対象物を検出した信号に対する不要なノイズ成分を、測定光の残留キャリア成分と呼び、この残留キャリア成分が大きい場合には、測定対象物4からの検出信号との比、即ちS/N比が小さくなり、測定そのものが十分行えなくなるといった不具合が生じることとなる。
また、X,Yガルバノメータミラー21,22の何れもが中立状態にある場合に、レンズ3から戻る反射光がハーフミラー51を介してCCDカメラ50に入射されると、同じく入射される測定対象物4の表面からの反射光と干渉してレーザ光の波長の色(例えばHe-Ne,赤色)のニュートンリングが現れ、画像の品質が損なわれるといった不具合も生じていた。
【0008】
本発明はこれらの不具合を解決するためになされたもので、測定光の残留キャリア成分を低減し、精度よい振動状態の測定を行うことができるとともに画像品質を損なうことなくこれを視認することが出来るレーザドップラ振動計を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のレーザドップラ振動計においては、光源から発生されたレーザ光を基準光と測定光に分割し、この測定光を測定対象物に照射してその反射光を基準光と重ねて干渉させることにより、測定対象物の振動に応じた周波数シフト量を検出し、これにより振動状態を測定する振動センサと、この振動センサから出射される測定光を、制御信号に基づいてX軸方向についての反射角度が調整される第1の可動型反射ミラーと、この第1の可動型反射ミラーより反射された振動センサからの測定光を、制御信号に基づいて上記X軸方向に直交するY軸方向についての反射角度が調整される第2の可動型反射ミラーとからなる光学系と、その光軸が測定対象物に対して垂直となるとともに、上記第1の可動型反射ミラーが振動センサからの測定光を反射する点を焦点とするよう位置づけられ、この焦点からの光を光軸と同一方向に反射するとともに、測定対象物からの反射光を焦点に集光する放物面よりなる光反射面を有する反射手段を設けて構成した。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明のレーザドップラ振動計を詳細に説明する。
図1は本発明のレーザドップラ振動計の構成を示す図で、上述の従来のレーザドップラ振動計と同等な構成については同一符号を以て示されている。
本発明のレーザドップラ振動計も、従来のレーザドップラ振動計と同様に、図示しない光源から発生されたレーザ光を基準光と測定光に分割し、この測定光を測定対象物4に照射してその反射光を基準光と重ねて干渉させることにより、測定対象物4の振動に応じた周波数シフト量を検出し、これにより振動状態を測定するよう構成された振動センサ1と、それぞれミラーを保持しているガルバノメータに所定の制御信号を印加してその回転角度を変位させ、レーザ光の反射角度を調整するよう構成された可動型反射ミラーである一対のX,Yガルバノメータミラー21,22よりなる光学系2、ならびに、測定対象物4にレーザ光が照射されている状態を視認するためのCCDユニット5を有しており、Xガルバノメータミラー21は、制御信号に応じてレーザ光のX方向の反射角度を調整し、このXガルバノメータミラー21のモータに対して90度の角度をもって配置されるYガルバノメータミラー22は、制御信号に応じてレーザ光のY方向の反射角度を調整するよう構成されており、X,Yガルバノメータミラー21,22を制御することにより、振動センサ1から出力される測定光の照射位置をX,Y軸方向に任意にコントロールすることが出来るよう構成されている。操作者は振動センサ1からのレーザスポットの照射位置をCCDカメラ50からの映像により確認しながらXガルバノメータミラー21およびYガルバノメータミラー22を調整し、これにより測定対象物4上の任意の位置にレーザ光を照射して、その振動状態を測定するよう構成されている。
【0011】
本発明のレーザドップラ振動計においては、光学系2から照射される測定光を反射して測定対象物4にこれを照射するとともに、測定対象物4より反射される反射光を光学系2に照射する反射手段6として、放物面よりなる光反射面を有する光学素子を用いており、図1に示す本願発明の第1実施例においては、この光学素子として非軸パラボラリフレクタ61を用いている。この非軸パラボラリフレクタ61はパラボラリフレクタの一部分を切り取って形成されたものであり、図2に示されるように、その反射部から離れた光軸上に焦点を有し、光軸と平行に反射面へ入射される光をこの焦点に集光するとともに、この焦点から反射面へ入射される光を光軸と平行(同一方向)に反射するよう構成されている。
【0012】
今、このパラボラリフレクタの光軸上の焦点が、非軸パラボラリフレクタ61の機械軸、即ち放物面よりなる反射面の中心位置より距離dだけ離れているものとすると、本願発明のレーザドップラ振動計は、図1に示すように、Xガルバノメータミラー21,Yガルバノメータミラー22が各々反射角度が90度、即ち振動センサ1からの出力光に対して45度をなす角度に位置づけられる中立の位置にある場合に、振動センサ1から出力された測定光が、ミラーM1,Xガルバノメータミラー21,Yガルバノメータミラー22を介して非軸パラボラリフレクタ61の放物面よりなる反射面の中心位置に照射されるように、且つ、この時のレーザ光の経路におけるXガルバノメータミラー21−Yガルバノメータミラー22−非軸パラボラリフレクタ61の距離が上記dと同じになる、即ちXガルバノメータミラー21のレーザ光反射点が、光学系2が中立の位置にある場合における非軸パラボラリフレクタ61の焦点となるように、それぞれ位置づけられている。これにより、非軸パラボラリフレクタ61の反射面に、その光軸と平行に入射された光はXガルバノメータミラー21の中心位置に集光され、且つ、Xガルバノメータミラー21の中心点から放射状に発散した光は、非軸パラボラリフレクタ61の反射面よりその光軸と平行に照射されることとなる。
【0013】
本願発明のレーザドップラ振動計においては、以上の構成により測定対象物4に対して振動センサ1の測定光を垂直に照射することができ、その反射光はもとのレーザ光と同じ経路で振動センサ1に測定光として入力されるよう構成されている。また、従来の装置と違い、凸レンズといった透過型屈折の光学部品を用いないので、振動センサ1から出力された測定光が反射手段6に反射して直接振動センサ1に入力されることがなく、従来問題であった測定対象物4からの反射光以外の反射光が入力されることによる残留キャリア成分を抑えることが可能となる。
また、レンズ表面によるレーザ光の表面反射がないので、CCDカメラユニット5に入力される反射光の干渉によるニュートンリングの発生といった画像品質の低下という問題を生じることもない。
【0014】
図3は、反射手段6の光学素子として凹面鏡62を用いた本発明の第2実施例を示している。
凹面鏡は一般に、無限遠方向より入射される平行光をその光軸上の焦点に集光する用途で用いられるものであるが、本願発明の場合、凹面鏡62は上述の第1実施例と同じく光学系2が中立の位置にある場合におけるXガルバノメータミラー21のレーザ光反射点がその焦点となるとともに、この場合におけるレーザ光の経路に対して光軸が所定の角度θを有するように位置づけられる。これにより、凹面鏡62の反射面に、その光軸と平行に入射された光はXガルバノメータミラー21の中心位置に集光され、且つ、Xガルバノメータミラー21の中心点から放射状に発散した光は、凹面鏡62の反射面よりその光軸に対してθ度の角度を有して反射して、測定対象物4に垂直に照射されることとなる。
【0015】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明のレーザドップラ振動計においては、光源から発生されたレーザ光を基準光と測定光に分割し、この測定光を測定対象物に照射してその反射光を基準光と重ねて干渉させることにより、測定対象物の振動に応じた周波数シフト量を検出し、これにより振動状態を測定する振動センサと、この振動センサから出射される測定光を、制御信号に基づいてX軸方向についての反射角度が調整される第1の可動型反射ミラーと、この第1の可動型反射ミラーより反射された振動センサからの測定光を、制御信号に基づいて上記X軸方向に直交するY軸方向についての反射角度が調整される第2の可動型反射ミラーとからなる光学系と、その光軸が測定対象物に対して垂直となるとともに、上記第1の可動型反射ミラーが振動センサからの測定光を反射する点を焦点とするよう位置づけられ、この焦点からの光を光軸と同一方向に反射するとともに、測定対象物からの反射光を焦点に集光する放物面よりなる光反射面を有する反射手段を設けて構成したので、測定光の残留キャリア成分を低減し、精度よい振動状態の測定を行うことができるとともに画像品質を損なうことなくこれを視認することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザドップラ振動計の構成を示す図である。
【図2】非軸パラボラリフレクターを示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す図である。
【図4】従来のレーザドップラ振動計の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 振動センサ
2 光学系
3 凸レンズ
4 測定対象物
5 CCDカメラユニット
6 反射手段

Claims (3)

  1. 光源から発生されたレーザ光を基準光と測定光に分割し、この測定光を測定対象物に照射してその反射光を基準光と重ねて干渉させることにより、測定対象物の振動に応じた周波数シフト量を検出し、これにより振動状態を測定する振動センサと、
    上記振動センサから出射される測定光を反射する、制御信号に基づいてX軸方向についての反射角度が調整されるよう設けられた第1の可動型反射ミラーと、この第1の可動型反射ミラーより反射された振動センサからの測定光を反射する、制御信号に基づいて上記X軸方向に直交するY軸方向についての反射角度が調整されるよう設けられた第2の可動型反射ミラーと、からなる光学系と、
    その光軸が測定対象物に対して垂直となるとともに、上記第1の可動型反射ミラーが振動センサからの測定光を反射する点を焦点とするよう位置づけられ、この焦点からの光を光軸と同一方向に反射するとともに、測定対象物からの反射光を焦点に集光する放物面よりなる光反射面を有する反射手段と、
    を有することを特徴とするレーザドップラ振動計。
  2. 上記反射手段は、上記第1の可動型反射ミラーが振動センサからの測定光を反射する点を焦点とするよう位置づけられたパラボラリフレクタよりなることを特徴とする、請求項1記載のレーザドップラ振動計。
  3. 上記反射手段は、上記第1の可動型反射ミラーが振動センサからの測定光を反射する点を焦点とするよう位置づけられた凹面鏡よりなることを特徴とする、請求項1記載のレーザドップラ振動計。
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