JP3891038B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リレー等の電気部品と嵌合するコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のコネクタに相当するものとして、特開平9−35605号に記載のリレー取付構造を構成するリレー装着部が知られている。図14及び図15に示すように、このリレー装着部1は、一対の外周壁2の間にリレー5を嵌合させるようにしたものであって、その外周壁2の内側には、2対の弾性係止片3が外周壁2と間隔を空けて、底壁4から起立状態で設けられていた。弾性係止片3の先端にはリレー5に備わる係止突部6に係止可能な係止爪7が形成されていた。そして、弾性係止片3は、リレー装着部1内にリレー5が挿入される過程で外側に撓み、係止突部6を乗り越えたときに弾性係止片3が弾性的に復帰して係止爪7が係止突部6に係止して、もってリレー5がリレー装着部1から離脱しないようにしていた。また、外周壁2は、弾性係止片3が外側に撓むときに突き当たり可能な位置にあるため、弾性係止片3の過度の撓みが阻止された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のコネクタに相当するリレー装着部1は、弾性係止片3の外側に間隔を空けて弾性係止片3とは別体の外周壁2を設けていたため、全体として大型化する懸念があった。もちろん、外周壁2を取り除けば、かかる懸念も解消できるが、弾性係止片3の過度の撓みを阻止するという機能が喪失されるため妥当でない。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、弾性係止片の過度の撓みを阻止しつつも、全体として大型化するのを回避したコネクタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、前面に開口した挿入口よりリレー等の端子付きの電気部品を挿入するフード部を備え、このフード部の前端から後方へ向けて形成される一対の切り溝の間に、前記電気部品を係止してその電気部品の離脱を規制する弾性係止片を内外方への撓み可能に設け、さらに、前記フード部に、前記弾性係止片が撓むときに突き当たってその弾性係止片の過度の撓みを阻止することが可能な過度撓み防止部を設け、かつ、前記弾性係止片における一方の側縁でかつ前記フード部の内側に位置する部分には内側凸部を幅方向外方へ向けて張り出し形成して前記弾性係止片が外向きに撓むときには前記切り溝を通過するようにしてあるとともに、前記弾性係止片における他方の側縁でかつ前記フード部の外側に位置する部分には外側凸部を、幅方向外方へ向けてかつ前記切り溝の外側を被覆するように張り出し形成する一方、前記過度撓み防止部は、前記フード部の前記内側凸部に対応する部分において、前記切り溝の外側を被覆するように膨出形成されたものと前記フード部の外側面で前記外側凸部と対応する領域のものとからなり、前記弾性係止片が外方に撓んだときには前記内側凸部がこの内側凸部に対応する側の前記過度撓み防止部に突き当て可能であり、前記弾性係止片が内方に撓んだときには前記外側凸部がこの外側凸部に対応する側の前記過度撓み防止部に突き当て可能であるところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、記弾性係止片は、前記電気部品を前記フード部に対する正規の嵌合位置で係止する係止爪を備えた本体部を有し、前記内側凸部はこの本体部から幅方向に張り出され、かつ前記内側凸部は、前記係止爪の係止面と面一をなす拡張係止面を有しているところに特徴を有する。
【0008】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
弾性係止片がフード部の前端から後方へ向けて形成される一対の切り溝の間に設けられ、また、この弾性係止片の過度の撓みを規制する過度撓み防止部もフード部に設けられている。このように弾性係止片と過度撓み防止部のいずれもがフード部に設けられているため、コネクタ全体として大型化するのを回避できる。
また、弾性係止片の本体部からは幅方向に内側凸部が張り出し、この内側凸部は、弾性係止片が外側に撓むときには、切り溝を通過した後、過度撓み防止部の内側面に突き当たり可能となっているため、弾性係止片の外方向に対する過度の撓みが阻止される。
さらに、弾性係止片の本体部からは幅方向に外側凸部が張り出し、この外側凸部は、弾性係止片が内側に撓むときには、過度撓み防止部としてのフード部の外側面に突き当たり可能であるため、弾性係止片の内方向に対する過度の撓みが阻止される。
【0009】
<請求項2の発明>
側凸部は、係止爪の係止面と面一をなす拡張係止面を有しているため、係止爪の電気部品に対する掛かり代が増大し、もって電気部品が強固に係止されるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明を車両用リレーのコネクタに適用した第1実施形態について図1ないし図13によって説明する。図中符号10はコネクタであり、このコネクタ10は、雌端子金具11(図13参照、その他の図面は省略)を収容する端子収容部12と、この前部に配され前方へ開口する角筒状をなすフード部20とから構成されている。
【0012】
端子収容部12の内部には長さ方向に沿ってキャビティ13が貫通して形成され、雌端子金具11を挿通可能に形成されている。本実施形態のキャビティ13は、図2において上下方向に3段となっており、上段と中段に夫々1室ずつ、下段に左右並列状に3室、合計5室で構成される。また、キャビティ13内には撓み可能なランス14が形成され、雌端子金具11と係止可能となっている。
フード部20は、前面に開口する挿入口よりリレー50を挿入可能な形状及び大きさに形成されている。このフード部20に装着されるリレー50は、全体として直方体形状をなし、その底面からはキャビティ13内に挿通された各雌端子金具11と対応位置してリレー端子51が突出している。
【0013】
また、図2においてフード部20の上下に配された対向壁21には、夫々、その前端をコの字状に切り欠いて凹部22が凹設されている。この凹部22は、次に詳述するが、導通検査用の検知治具60を挿入案内するガイド縁23(図3において左右で一対)を備えるとともに、各ガイド縁23の終端位置にて検知治具60の係合凸部63を当て止めする当て止め縁24を備えている。
【0014】
ここで検知治具60の構造を簡単に説明すると、図10及び図11に示すように、検知治具60は、直方体形状をなす操作部61と、その前面から前方へ延設される本体部62とから構成されている。本体部62は、その後半部分の外側面がフード部20の内側面と密接可能な形態をなしており、その左右の各側面にフード部20の凹部22と摺接可能な係合凸部63を突設させている。また、本体部62の前面には、キャビティ13内の各ランス14と係合可能な検知ピン64が突出しており、さらに夫々の検知ピン64の近傍には、検知ピン64よりも短寸に形成され、雌端子金具11と接触可能な導電性の導通検知ピン66が突出している。検知ピン64は、先端平板部65を備え、この先端平板部65は、ランス14が雌端子金具11を正規の挿入位置で係止しているときには、このランス14とキャビティ13の内側面との間で形成される差し入れ空間Qに差し入れられるようになっている(図13参照)。
【0015】
続いて検知治具60の作用を説明する。まず、図12に示すように、操作部61を摘んでフード部20の挿入口より検知治具60を差し込み、その係合凸部63を凹部22のガイド縁23に摺接させつつフード部20の奥側へと押し入れる。図13に示すように、検知ピン64の先端平板部65が、前記差し入れ空間Qに差し入れられる位置に達すると、係合凸部63の前端面は、凹部22の当て止め縁23と当接するようになり、且つ導通検知ピン66は、雌端子金具11の先端に突き当たって、雌端子金具11と電気的に導通可能な状態となる。
反対に、雌端子金具11がランス14に係止されず半挿入状態にあるとき、検知ピン64の先端平板部65は、その先端面がランス14と突き当たり、検知治具60の進入が阻止される。これにより、係合凸部63の前端面は、凹部22の当て止め縁23に当接せず、且つ導通検知ピン66も、雌端子金具11の先端にまで到達せず、電気的に非接触な状態となる。かくして、導通検知ピン66による電気的な導通チェックによって雌端子金具11が正規の挿入状態にあるか否かが判り、また、係合凸部63と当て止め縁23の当接状態を視認することで、外観的にも雌端子金具11が正規の挿入状態にあるか否かが判るようになっている。
【0016】
さて、フード部20において凹部22が設けられた対向壁21とは別位置の図2における左右に配された対向壁25には、夫々、その前端から後方に向けて一対の切り溝26が形成されている。切り溝26の間には、フード部20と一体に形成されて、リレー50を係止してそのリレー50のフード部20からの離脱を阻止する弾性係止片27が設けられている。弾性係止片27は、本体部27Fを有し、この本体部27Fの先端部には、リレー50が正規の嵌合位置にあるときに(リレー50が正規深さでフード部20内に収容されたときに)、リレー50の後端面を係止する係止爪27Aが内側に向けて突出形成されている。係止爪27Aの上面には、リレー50の誘い込みのためのテーパ面27Bが設けられている。
【0017】
また、本体部27Fからはその内側にて幅方向に内側凸部27Eが張り出している。この内側凸部27Eは、係止爪27Aのリレー50に対する係止面と面一をなす拡張係止面27H(図6参照)を有し、係止爪27Aのリレー50に対する掛かり代を、図7に示す網掛け部の分だけ増大させている。内側凸部27Eは、常には切り溝26(図2における上側の切り溝)の内側に位置しており、弾性係止片27が外側に撓むときには、切り溝26Eを通過した後、さらなる撓みの進行によりフード部20の内側面に突き当たるようになっている。内側凸部27Eと突き当たり可能なフード部20は、過度撓み防止部40として構成されており、フード部20のうち切り溝26(図2における上側の切り溝)に沿う領域を外側に立ち上げ、さらに切り溝26の外側を被覆するように膨出形成されている。本実施形態の過度撓み防止部40は、切り溝26の全長にわたって設けられ、切り溝26の外側のみ被覆して、本体部27Fの外側まで被覆していない。この過度撓み防止部40には、リレー50の引き抜きを可能とすべく内側凸部27Eを逃がす傾斜面40Aが形成されている(図8参照)。
【0018】
また、本体部27Fからはその外側にて幅方向に外側凸部27Gが張り出している。この外側凸部27Gは、平板矩形状をなして弾性係止片27の先端部に外側から一体的に重なっており(図1参照)、また切り溝26(図2における下側の切り溝)の外側を被覆するように形成され、弾性係止片27が内側に撓むときには、過度撓み防止部41としてのフード部20の外側面に突き当たり可能となっている。過度撓み防止部41としてのフード部20の外側面は、外側凸部27Gとの突き当たり箇所を凹ませてなる凹所29として構成される。この凹所29は、外側凸部27Gを成形するに際して成形ピンの抜き取り用に形成されるものであり、成形ピンの強度向上に役立っている。
【0019】
次に、本実施形態の作用について説明すると、まずフード部20の挿入口よりリレー50を挿入する。リレー50の挿入過程で弾性係止片27は、外側に弾性撓みしつつリレー50の外側面に摺接され(図4及び図5参照)、リレー端子51がフード部20の雌端子金具11と結合する正規の嵌合位置に至ると、弾性復帰してリレー50の後端面に係止爪27Aを引掛け状態で係止させるようになる(図6参照)。
【0020】
リレー50をフード部20から取り出すには、係止爪27Aによる係止を解除してリレー50をフード部20から引き抜くようにする。具体的には、図8に示すように、係止爪27Aを手指で摘んで矢印S方向に押し広げ、リレー50の引き抜き方向Zに対して道が空くようにすればよい。このとき、人為的に作業を行なうため、弾性係止片27がその弾性限度を超えてしまう懸念もあるが、本実施形態の場合、内側凸部27Eが過度撓み防止部40(フード部20)の内側面(傾斜面40A)に突き当たり、それ以上の変位を阻止するため、弾性係止片27の外方向への過度撓みが確実に防止できる。
また、弾性係止片27が内方向に撓む場合には、外側凸部27Gが過度撓み防止部41としてのフード部の外側面に突き当たって、それ以上の変位を阻止するため、弾性係止片27の内方向への過度撓みも確実に防止できる。
【0021】
そして、従来におけるリレー装着部1は、弾性係止片3の外側に間隔を空けて外周壁2を設けていたが(図15参照)、本実施形態においては、弾性係止片27と過度撓み防止部40,41のいずれもがフード部20に一体成形されているので、従来と違ってコネクタ全体として大型化するのを回避できる。
【0022】
さらに、内側凸部27Eは、係止爪27Aの係止面と面一をなす拡張係止面27Hを有しているため、この拡張係止面27Hの幅寸法分だけ係止爪27Aのリレー50に対する掛かり代が増大し、もってリレー50が確実且つ強固に係止されるようになる。さらにまた、弾性係止片27の外側面は、従来におけるリレー装着部1と異なり、過度撓み防止部40によって完全に覆われていないため、外側からの目視により弾性係止片27の撓み具合を窺い知ることができる。すなわち、弾性係止片27が撓んでいないことを視認すれば、リレー50が正規の嵌合状態にあると判定でき、逆に弾性係止片27が撓んでいることを視認すれば、係止爪27Aがリレー50を正確に係止しておらず、リレー50が半嵌合の状態にあると判定できる。
【0023】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0024】
(1)コネクタの嵌合相手は、リレーに限らず、例えばヒューズであってもよく、端子付きの電気部品であればよい。
(2)内方向への過度撓みを阻止する過度撓み防止部は、凹所として形成される必要はなく、フード部の他の外側面と同一平面上に形成されていても構わない。
(3)内方向への過度撓みを阻止する過度撓み防止部は、必ずしも設けなくてもよく、したがって弾性係止片に外側凸部がない態様であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のコネクタの側面図
【図2】コネクタの正面図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】リレーの挿入過程におけるコネクタの断面図
【図5】図4における正面図
【図6】リレーの挿入後におけるコネクタの断面図
【図7】図6における正面図
【図8】リレーを取り出す際におけるコネクタの断面図
【図9】図8における正面図
【図10】導通検査用の検知治具の側面図
【図11】検知治具の平面図
【図12】検知治具の挿入過程を示す側面図
【図13】検知治具が検知位置に至った状態のコネクタの断面図
【図14】従来のコネクタの斜視図
【図15】従来のコネクタの断面図
【符号の説明】
10…コネクタ
20…フード部
26…切り溝
27…弾性係止片
27A…係止爪
27E…内側凸部
27F…本体部
27G…外側凸部
27H…拡張係止面
40(41)…過度撓み防止部
50…リレー

Claims (2)

  1. 前面に開口した挿入口よりリレー等の端子付きの電気部品を挿入するフード部を備え、このフード部の前端から後方へ向けて形成される一対の切り溝の間に、前記電気部品を係止してその電気部品の離脱を規制する弾性係止片を内外方への撓み可能に設け、さらに、
    前記フード部に、前記弾性係止片が撓むときに突き当たってその弾性係止片の過度の撓みを阻止することが可能な過度撓み防止部を設け、
    かつ、前記弾性係止片における一方の側縁でかつ前記フード部の内側に位置する部分には内側凸部を幅方向外方へ向けて張り出し形成して前記弾性係止片が外向きに撓むときには前記切り溝を通過するようにしてあるとともに、前記弾性係止片における他方の側縁でかつ前記フード部の外側に位置する部分には外側凸部を、幅方向外方へ向けてかつ前記切り溝の外側を被覆するように張り出し形成する一方、
    前記過度撓み防止部は、前記フード部の前記内側凸部に対応する部分において、前記切り溝の外側を被覆するように膨出形成されたものと前記フード部の外側面で前記外側凸部と対応する領域のものとからなり、
    前記弾性係止片が外方に撓んだときには前記内側凸部がこの内側凸部に対応する側の前記過度撓み防止部に突き当て可能であり、前記弾性係止片が内方に撓んだときには前記外側凸部がこの外側凸部に対応する側の前記過度撓み防止部に突き当て可能であることを特徴とするコネクタ。
  2. 記弾性係止片は、前記電気部品を前記フード部に対する正規の嵌合位置で係止する係止爪を備えた本体部を有し、前記内側凸部はこの本体部から幅方向に張り出され、
    かつ前記内側凸部は、前記係止爪の係止面と面一をなす拡張係止面を有していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
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