JP3890765B2 - コジェネレーション装置 - Google Patents

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  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン発電設備を含むコジェネレーション装置に関し、特に、エンジン発電設備の運転効率を高めることができるコジェネレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の必要性が喧伝され、自家発電設備としてのコジェネレーション装置や分散型電源が注目されている。これらのコジェネレーション装置や分散型電源を有効に活用するためには、商用電力系統や他の大規模な発電系統(以下総合的に、「商用電力系統」という)との連系により電力需要の平準化がなされている。
【0003】
この種のコジェネレーション装置において、商用電力系統からの受電電力を一定に設定した状態で、コジェネレーション装置の発電電力制御を行う場合がある。この場合、夜間と日中との負荷電力の差が大きいために、前記受電電力の設定値を一日の間において複数段階で切換えることが行われていた。しかし、前記設定値の切換えに人手を要することになり不便である。そこで、このような不便を解消するため、前記設定値の切換えを簡素化することができる電力制御装置が提案されている(特開平5−300652号公報)。この電力制御装置では、負荷電力に対する商用電力系統からの受電電力の割合が常に一定になるように発電電力を制御している。
【0004】
また、特開平5−125905号公報には、熱需要が低下したときに、コジェネレーション装置が分担する電気負荷のうち優先度の低いものから順番に商用電力側で分担させるように切換えを行う装置が開示されている。この装置では、熱需要が低下したときにコジェネレーション装置の負荷を減らすことによって余分な熱量の発生を抑えることができるので放熱装置が不要になるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された従来装置のうち前者のものでは、電気負荷の大きさに対応してコジェネレーション装置を運転しているため、エンジン発電装置から回収される廃熱が熱需要を上回ったときは余分な熱量を放熱装置等で捨てることになる。また、電気負荷の増減に対応して運転状態を制御するためエンジン発電装置を常に高い効率の領域で運転し続けることは容易ではなかった。
【0006】
一方、後者の装置では、余分な熱量を放熱装置等で廃棄するという問題点は解消されている。しかし、熱需要に合わせてコジェネレーション装置の発電出力を制限して運転しているので、エンジン発電装置を高い運転効率で運転し続けることは前者の装置以上に困難であった。このように運転効率が低い状態でエンジン発電装置を使用すると、燃料消費量が多くなり、また、排気ガス中のCOやNOx濃度に悪影響を及ぼす要因になる。
【0007】
本発明の目的は、エンジン発電装置から回収した熱エネルギを無駄なく使用するとともに、高い運転効率が得られる状態でエンジン発電装置を運転することができるようにしたコジェネレーション装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のコジェネレーション装置は、商用電力系統と連系させたエンジン発電機から回収された熱エネルギを消費する熱負荷から熱要求信号が供給されたときにエンジン発電機を定格運転し、前記熱要求信号が消滅したときにエンジン発電機を停止させるコントローラを具備した点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、エンジン発電機から回収された熱エネルギを消費する熱負荷からの熱要求信号と、エンジン発電機に接続された電気負荷からの電力要求信号とが供給されたときにエンジン発電機を定格運転し、前記熱要求信号および電力要求信号の少なくとも一方が消滅したときにエンジン発電機を停止させるように構成した点に第2の特徴がある。
【0010】
上記特徴によれば、熱負荷および電気負荷、または熱負荷のみからの要求があった場合にのみエンジン発電機は運転される。また、このときの運転状態は、エンジン発電機が、高い運転効率となるように適当に設定された定格運転である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1はエンジン発電機を商用電力系統に連系させたコジェネレーション装置の構成を示すブロック図である。エンジン発電機10は、互いに機械的に連結された(内燃)エンジン11と発電機12を含み、エンジン11が発電機12を駆動してエンジン回転数に応じた周波数および電圧の交流電流を発生する。前記電力変換装置13で変換された発電機12の出力交流は商用電力系統14と連系して電気負荷15に接続されている。
【0012】
電力変換装置13は前記出力交流を商用電力系統と同じ品質(ノイズ等に関して)の交流に変換し、商用電力系統の位相と同期をとって連系させる機能を有する。具体的には、発電機12の出力交流を直流に変換するコンバータ、およびコンバータで変換された直流を商用電力系統の周波数に合致した交流に変換するインバータ、ならびにノイズフィルタおよび連系スイッチ等の機能を有している。特公平4−10302号公報に系統連系用電力変換装置の一例が開示されている。
【0013】
エンジン11は発電機12を駆動すると熱を発生する。この熱はエンジン11に設けられた熱交換器16で回収されて熱負荷17に供給される。熱負荷17は、例えば貯湯タンクであり、熱交換器16を通過する管路18内の冷却水を媒体として該熱負荷17に熱量が運搬される。熱負荷17には温度検出器19が設けられていて、この温度検出器19によって熱負荷17の熱需要が管理される。コントローラ20はエンジン11に起動指令および停止指令を供給する。温度検出器19は予め設定した基準温度よりも熱負荷17の温度が低い場合に熱要求信号HRQをコントローラ20に供給する。
【0014】
図1とともに、図2のフローチャートを参照してコントローラ20の動作を説明する。コントローラ20は熱要求信号HRQが入力したか否かを監視しており(ステップS1)、該ステップS1は、熱要求信号HRQが入力したならば肯定であり、熱要求信号HRQが入力されていないならば否定である。ステップS1が肯定ならばステップS2に進んでエンジン11に対して定格出力起動指令を出力する。エンジン11はこの定格出力起動指令に応答し、定格運転を行う。なお、ここで、定格運転とは次のように自動制御された運転状態をいう。すなわち、エンジン11の熱効率が高い運転領域と、発電機12の発電効率の高い運転領域との均衡点ゾーンを予め設定し、かつ、このゾーンの中で、NOxやCOの発生を抑制する観点から選定した回転数を定速回転目標値として制御される運転状態である。例えば、エンジン回転数2000rpm、発電出力1.0kw、熱量2000kcalとなるように制御される。ステップS1が否定ならばステップS3に進んでエンジン11に対して停止指令を出力する。エンジン11はこの停止指令に応答して運転を停止する。
【0015】
エンジン発電機10の定格出力が電気負荷15での要求電力と同じである場合は、商用電力系統14からの電力供給は必要ない。また、要求電力が定格出力よりも大きい場合は不足分が商用電力系統14から電気負荷15に供給され、定格出力が要求電力よりも大きい場合は、余剰電力は商用電力系統14に逆潮流される。
【0016】
この実施形態によれば、次の効果を奏する。
(a1)熱需要が発生したときにのみエンジン11が定格運転されるので制御が簡単である。
(a2)熱需要に応じてエンジン11が駆動されるので、エンジン11で発生した熱は有効に利用され、特に、熱負荷が貯湯タンク等であれば廃棄される熱が生じない。
(a3)エンジン11および発電機12の出力ならびにエンジン11の熱出力の組合わせの最高効率に設定した定格運転とすることも可能である。
(a4)熱需要の大きい寒冷地での使用等、熱需要の多い利用形態においては、起動・停止は頻繁でないので本実施形態のコジェネレーション装置は特に有効に利用できる。
【0017】
上記実施形態では、商用電力系統との連系のために電力変換装置13を使用したシステムを構成した。しかし、本発明はこれとは異なる電力変換手段を使用したシステムとして構成することもできる。次に、本発明の第2実施形態としての、他の電力変換手段を使用したシステムを説明する。
【0018】
図3は、第2実施形態に係るコジェネレーション装置の構成を示すブロック図であり、図1と同符号は同一または同等部分を示す。エンジン発電機10の発電機12の出力交流はコンバータ21で第1電圧Vegの直流に変換され、逆流防止ダイオード22を介してインバータ23の入力に供給される。
【0019】
ゲート制御部28は予め与えられた目標または設定電圧Veg0 (例えば190ボルト)と前記第1電圧Vegとを供給され、コンバータ21の、計測された実出力電圧Vegが前記設定電圧Veg0 に等しくなるように、公知の適宜の手法で、コンバータ21を構成するサイリスタの導通を制御する。このような構成により、コンバータ21の、ある予定の出力電流範囲においては、コンバータ21の出力電圧Vegが前記設定電圧Veg0 に保持される。
【0020】
一方、商用電力系統14からの交流もコンバータ24で第2電圧Vac(例えば180ボルト)の直流に変換され、逆流防止ダイオード25を介してインバータ23の入力に供給される。インバータ23の入力には平滑コンデンサ26が接続される。インバータ23に入力された直流電流は所望周波数(例えば50ヘルツ)の交流電流に変換され、その出力は電気負荷15に接続される。ゲート制御部27は前記ゲート制御部28と同様にして整流直流電圧Vacが設定電圧Vac0 に等しくなるように、コンバータ24のサイリスタの導通を制御する。
【0021】
エンジン発電機10に設けられた熱交換器16にはポンプ27によって冷却水が循環されていて、エンジン発電機10の主としてエンジン11で発生した熱を管路18を通じて熱負荷17に回収する。温度検出器19は熱負荷17の温度が設定温度(例えば80°C)以下にあるときにはコントローラ20に、熱要求信号HRQを供給し、熱負荷17の温度が設定温度以上にあれば熱要求信号HRQを供給しない。コントローラ20の動作は上述の第1実施形態と同じである。
【0022】
このように、熱負荷17の温度が設定値以上であればエンジン発電機10は駆動されない。この場合、エンジン発電機10の出力電圧は「0」であり、したがってコンバータ21の直流出力電圧Vegが商用電源の出力Vacよりも低いので、ダイオード22は逆バイアス状態であり、エンジン発電機10は電気負荷15を全く負担しない。
【0023】
熱負荷17の温度が設定値以下になってエンジン発電機10が定格出力で駆動されると、上述のように、商用電源の直流出力電圧Vac0 よりもエンジン発電機10の直流出力電圧Veg0 の方が高く設定されている場合には、コンバータ21の直流出力電圧Vegが商用電源の出力Vacよりも高くなり、商用電源側のダイオード25が逆バイアスになってその導通が阻止される一方、ダイオード22が順バイアスとなるので、インバータ30を介する電気負荷15への電力供給は専らエンジン発電機10でまかなわれ、不足のみが商用電力系統14から電気負荷15へ供給される。このような構成は、電気負荷15の大きさがエンジン発電機10の出力よりも大きいときに発電出力が無駄とならないため、きわめて有用である。
【0024】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。上述の実施形態では熱需要があったときにエンジン発電機10を駆動するようにした。さらに、この第3実施形態では、熱需要に加えて電力需要があったときにエンジン発電機10を駆動する。図4は、第3実施形態に係るコジェネレーション装置の構成を示すブロック図であり、図1と同符号は同一または同等部分を示す。同図において、電力需要検出装置29は予め設定した基準値よりも電気負荷15が大きい場合に電力要求信号ERQをコントローラ20に供給する。なお、電気負荷15の大きさは、例えば、電気負荷15の電源供給ラインに流れる電流を検出することで判断することができる。温度検出器19は第1実施形態と同じに動作する。
【0025】
図4とともに、図5のフローチャートを参照してコントローラ20の動作を説明する。コントローラ20は熱要求信号HRQおよび電力要求信号ERQが入力したか否かを監視している(ステップS10)。ステップS10は、熱要求信号HRQが入力したならば肯定であり、熱要求信号HRQが入力されていないならば否定である。ステップS10が肯定ならばステップS20に進み、電力要求信号ERQが入力したか否かを判定する。電力要求信号ERQが入力したならば肯定であり、電力要求信号ERQが入力されていないならば否定である。
【0026】
ステップS20が肯定ならばステップS30に進んでエンジン11に対して定格出力起動指令を出力する。エンジン11はこの定格出力起動指令に応答し、最大の効率が得られるように予め設定した定格エンジン回転数で定格運転を行う。ステップS10およびステップS20の少なくとも一方が否定ならばステップS40に進んでエンジン11に対して停止指令を出力する。エンジン11はこの停止指令に応答して運転を停止する。
【0027】
この第3実施形態では、電気負荷15と熱負荷17の双方から要求信号が入力されなければエンジン発電機10は駆動されない。したがって、前記電力需要検出のための基準値よりも小さい電力需要に関しては、商用電力系統14がこの電気負荷を負担する。また、エンジン発電機10が駆動された場合でも、エンジン発電機10の定格出力よりも電気負荷15の方が大きい場合は商用電力系統14からの電力によってバックアップされる。
【0028】
さらに、エンジン発電機10の定格出力よりも電気負荷15の方が小さい場合は、余剰分の電力は商用電力系統14に逆潮流する。なお、余剰分の電力を発生させないため、電力負荷15がエンジン発電機10の定格電流より小さい場合には、電力要求信号ERQが出力されないように前記電力需要検出器29での判断のための基準値を設定することもできる。
【0029】
一方、この第3実施形態においては、熱需要があっても電力需要が予定値以上でない場合はエンジン発電機10は駆動されないので、熱需要に応じるため追焚きボイラ30を設けることが望ましい。ボイラ30を設けた場合には、前記熱要求信号HRQが出力されていて、電力要求信号ERQが出力されていない場合に起動信号を出力するようにした回路31を設ける。
【0030】
なお、前記電力要求信号ERQと熱要求信号HRQがコントローラ20に入力するタイミングによっては、エンジン11がチャタリングを起こして運転が不安定となることが考えられる。そこで、コントローラ20に次のような機能を持たせるとよい。第1に、一旦起動信号を出力した後は電力要求信号ERQおよび熱要求信号HRQのいずれか一方が消滅した場合でもエンジン11の運転を予定時間継続する。第2に、電力要求信号ERQおよび熱要求信号HRQが、それぞれ予定時間以上継続したときに有効と判断するようにする。第3に電力要求信号ERQおよび熱要求信号HRQをそれぞれオンにするための基準値と、電力要求信号ERQおよび熱要求信号HRQをそれぞれオフにするための基準値とに差を設けておく。これらの少なくとも一つの処置によってチャタリングを防止することができる。
【0031】
この第3実施形態によれば、第1および第2実施形態による効果に加えて次の効果を奏する。
(b1)エンジン11で発生した熱が有効に利用されて廃棄される熱が生じないだけでなく、電力需要をもエンジン11の駆動条件としているので余剰の電力を生ずることもない。
(b2)熱需要および電気需要がともに大きいような利用形態においては、起動・停止は頻繁に行われないので特に有効に利用できる。
(b3)) 追焚きボイラ30の設置と商用電力系統14との連系とにより、エンジン発電機10が運転されていない場合のエネルギ供給を確保できる。
【0032】
上述の実施形態では商用電力系統14との連系を前提としたが、電気負荷15をエンジン発電機10の定格出力で負担できる大きさに固定したシステムでは、連系は必ずしも必須ではない。また、エンジン発電設備を商用電力系統に連系する場合に限らず、比較的小容量のエンジン発電設備を大規模な自家発電設備などに連系する場合にも本発明が適用できることは明らかである。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、次の効果が期待できる。
(1) 需要が生じたときにのみエンジン発電機を駆動するようにしたので、熱や電力が余ることがなくなる。
(2) エンジン発電機は定格運転するだけなので制御が簡単であるし、エンジンおよび発電機の出力ならびにエンジンの熱出力の組合わせの最適な効率の下で定格運転することができる。
(3) 自家消費するだけのエネルギを出力すればよいので、小出力のコジェネレーション装置とすることができる。特に、商用電力系統との連系により、電力需要にかかわらず熱需要による定格運転をすることができるので、熱需要の大きい寒冷地での使用、例えばセントラルヒーティングを導入する家庭用エネルギ供給源としてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の処理を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】 本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン発電機、 11…エンジン、 12…発電機、 13…電力変換装置、 14…商用電力系統、 15…電気負荷、 16…熱交換器、 17…熱負荷、 19…温度検出器、 20…コントローラ、 29…電力需要検出装置、 30…ボイラ

Claims (2)

  1. 商用電力系統と連系させたエンジン発電機と、
    前記エンジン発電機の廃熱を回収し、外部熱負荷に熱エネルギを供給する熱交換器と、
    前記熱負荷から該熱負荷の温度が予定値以下になったときに出力される熱要求信号が供給されたときに、電気負荷の有無にかかわらず前記エンジン発電機を予め設定した条件で定格運転し、前記熱要求信号が消滅したときに前記エンジン発電機を停止させることで、この停止中の電力需要はすべて商用電力系統で分担させるコントローラとを具備したことを特徴とするコジェネレーション装置。
  2. 出力電気系統を商用電力系統に連系させて外部電気負荷に電力を供給するエンジン発電機と、
    前記エンジン発電機の廃熱を回収し、外部熱負荷に熱エネルギを供給する熱交換器と、
    前記外部熱負荷に熱エネルギを供給するボイラと、
    前記外部熱負荷から該外部熱負荷の温度が予定値以下になったときに出力される熱要求信号および前記外部電気負荷から該外部電気負荷が予定値以上になったときに出力される電力要求信号が供給されたときに前記エンジン発電機を予め設定した条件で定格運転し、前記熱要求信号および電力要求信号の少なくとも一方が消滅したときに前記エンジン発電機を停止させることで、この停止中の電力需要はすべて商用電力系統で分担させるコントローラとを具備し、
    前記熱要求信号および前記電力要求信号のうち熱要求信号のみが出力されたときに前記ボイラを起動するように構成したことを特徴とするコジェネレーション装置。
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