JP3890752B2 - 浴槽内残湯量検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽に自動的に設定湯量の湯張りを行なう機能を有する風呂給湯機に用いられる、浴槽内残湯量検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱源によって加熱された温水を熱媒として循環させ、液−液型の風呂用熱交換器を介して浴槽内の湯水を加熱したり、該温水を床暖房用の温水マットや温水暖房放熱器のような暖房端末器に流し室内の暖房を行なう加熱循環システムがある。
【0003】
一方、浴槽に自動的に設定湯量の湯張りを行なう際に、浴槽内に残湯がある場合には、設定湯量と残湯量の差分の容量のみを浴槽に注湯する必要があり、そのためには浴槽内の残湯量を検知しなければならない。浴槽内の残湯量を検知するには上記風呂用熱交換器を介して浴槽内の湯水に伝達された熱量と、風呂用熱交換器の上流部における湯水の温度変化を検知して得られる浴槽内湯水の上昇温度がわかればよい。しかしながら、熱媒である温水の一部が暖房端末器にも使用されている場合と使用されていない場合とでは熱媒として風呂用熱交換器に循環される温水の循環流量が変動するため浴槽内の湯水に伝達される熱量も一定ではなくなる。このため、正確に浴槽内の湯水に伝達される熱量を求めるためには風呂用熱交換器に循環される浴槽内の湯水の循環流量と風呂用熱交換器の上流部と下流部の湯水の温度差を用いて演算する。ただし、浴槽内の湯水にはごみ等が混入しているため水車等の機械式流量センサを循環路内に取り付けることはできないため、循環流量は風呂用熱交換器以外の暖房端末器等に熱媒である温水の循環がなく、すべての温水が風呂用熱交換器に循環される状態で、熱源の発熱量及び熱交換器の効率から、風呂用熱交換器を介して浴槽内の湯水に伝達される熱量を求め、風呂用熱交換器を通過することによる昇温温度を基に湯水の循環流量を求めるようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱媒としての温水がすべて風呂用熱交換器に循環される状態でなければ正確な循環流量が求められないため、器具設置直後から暖房端末器の運転が行なわれ、風呂の追いだき運転を単独で行なうことができない場合には、単独運転を行なうまで循環流量を求めることができない。そのため予め設定された循環流量により浴槽内の残湯量検知を行なわなければならず、正確な残湯量の演算ができないという課題を有していた。
【0005】
また、暖房端末器の中には熱媒である温水の循環路中の弁を手動で開閉する方式のものがある。このような暖房端末器の場合には、弁の開閉の状態を器具側で検出することができないため、弁が開いている状態で風呂の追いだき運転が行われた場合、器具側は風呂単独運転と判断し循環流量の演算を行ない、正確ではない循環流量を記憶してしまうという課題を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、器具設置後の試運転時に浴槽に一定量の湯水を注湯後、浴槽内湯水を循環し一定温度上昇するまで熱交換器を介して熱を加え、その間の熱交換器上流部と下流部での湯水の温度差と浴槽内の湯水に熱を加えた時間と熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから循環流量を演算し記憶しておき、この記憶循環流量と浴槽内残湯量検知時点における熱交換器の上流部と下流部での湯水の温度差と熱交換器を介して湯水に熱が加えられた時間とから求まる浴槽内湯水へ伝達された熱量と、熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから浴槽内の残湯量を検知するようにしたものである。
【0007】
上記発明によれば、器具設置後の試運転時に循環流量を記憶するため、器具使用開始時より暖房端末器の使用状況に関わらず浴槽内の残湯量を正確に検知することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1は、循環路を介して浴槽内の湯水を加熱する熱交換器と浴槽内の湯水を循環させる循環ポンプとを備えた加熱循環システムで、浴槽内の湯水に対し熱交換器を介して伝達された熱量と浴槽内湯水の上昇温度から浴槽内の残湯量を検知する装置であって、器具設置後に制御基板上の風呂試運転スイッチを押し風呂試運転を実施すると、浴槽に一定量の湯水を注湯し、その後浴槽内湯水を循環して一定温度上昇するまで熱交換器を介して熱を加え、その間の熱交換器上流部と下流部での湯水の温度差と浴槽内の湯水に熱を加えた時間と熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから循環流量を演算し記憶しておき、この記憶循環流量と浴槽内残湯量検知時点における熱交換器の上流部と下流部での湯水の温度差と熱交換器を介して湯水に熱が加えられた時間とから求まる浴槽内湯水へ伝達された熱量と、熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから浴槽内の残湯量を検知することを特徴とする浴槽内残湯量検知装置である。
【0009】
上記残湯量検知装置によれば、器具の設置及び試運転終了後すぐに浴槽内に残湯がある状態で設定湯量の湯を自動的に浴槽に注湯する場合でも暖房端末器の使用状況に関わらず正確に残湯量の検知ができ、設定湯量と残湯量との差分の容量のみを注湯するため設定湯量のお湯張りができる。
【0010】
また、本発明の請求項2は、試運転時の循環流量演算時に器具内に設けた温度センサにて温度検知を行ない、検知温度が低いほど演算により求まった循環流量を多くする補正を行ない記憶させると共に、浴槽残湯量検知時には器具内に設けた温度センサにて温度検知を行ない、検知温度が低いほど記憶循環流量を少なくする補正を行ない、補正後の循環流量を用いて浴槽内の残湯量を検知することを特徴とする浴槽内残湯量検知装置である。
【0011】
上記残湯量検知装置によれば、試運転時と残湯量検知時で器具、配管、浴槽等の周囲温度の差が大きく放熱ロスが大きく変動した場合においても循環流量を温度で補正するため正確に残湯量の検知ができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0013】
(実施例1)
図1は、請求項1の発明の浴槽内残湯量検知装置の実施例1を示す構成図である。
【0014】
図において、1は浴槽であり、内部に湯水14が張られる。湯水14は循環ポンプ4によって循環され風呂用熱交換器である液−液型の熱交換器3を通過した後、再び浴槽1に戻される。一方、熱源であるバーナ2が燃焼し、気−液型熱交換器7により加熱される熱媒は熱媒ポンプ8によって循環され開閉弁11を介して熱交換器3に供給され湯水14を加熱する。そして、熱交換器3に循環される湯水14の入口温度と出口温度は各々温度センサ9・10によって検知される。
【0015】
ところで、熱媒は熱交換器3に供給され浴槽1内の湯水14を加熱するだけではなく、循環路途中で暖房端末器5に分岐され室内暖房にも使用される。暖房端末器5による暖房のオン・オフは開閉弁13によって行われ、開閉弁13を開弁すると暖房端末器5内を熱媒が循環し室内暖房が行われ、開閉弁13を閉弁すると暖房端末器5内への熱媒の循環が停止される。また、循環ポンプ4と熱交換器3との間には開閉弁12を介して湯張り機構6が接続されており、開閉弁12を開弁すると湯張り機構6により加熱された湯が浴槽1へ供給され、自動的に浴槽1へ設定湯量の湯張りが行われるように構成されている。
【0016】
上記構成において、湯張り機構6を用いて自動的に設定湯量の湯張りを行なうには、浴槽1内に湯水14がどれくらい残っているかを検知する必要があるが、熱媒が暖房端末器5内へ循環している状態でも湯水14の量を正確に検知するためには熱交換器3を循環する湯水14の循環流量が必要なため器具設置後の風呂試運転時に求め、EEPROM(消去可能な電気的書換式読取専用メモリ)に記憶させる。
【0017】
風呂試運転時には、まず浴槽1内を空にした後、確実に栓をし、制御基板15上の風呂試運転スイッチを押すことで自動的に浴槽1内に一定温度、一定量V(l)の湯水を湯張り機構6により注湯する。その後、浴槽内湯水を熱交換器3により温度センサ9が一定温度上昇ΔT(deg)を検知するまで追いだきする。また、追いだきを行なっている間、一定時間ごとに温度センサ9・10にて検知される温度の差ΔTup(deg)を計測し記憶しておくと共に、追いだき時間t(min)も計測し記憶しておく。これらの結果を用い、湯水14の循環流量q(l/min)は(1)式により求められる。
【0018】
q=V×ΔT/(ΔTupAvr×t)・・・・(1)
(ただし、ΔTupAvr(deg):ΔTup(deg)の平均値)
残湯量検知時には、まず浴槽内湯水14をTs(℃)まで追いだきする。その後、さらにTe(℃)まで追いだきを行ない、その間一定時間ごとに温度センサ9・10にて検知される温度の差ΔTup(deg)を計測し記憶しておくと共に、追いだき時間t(min)も計測し記憶しておく。これらの結果と試運転時に記憶した循環流量q(l/min)より、浴槽内湯水14の量W(l)は(2)式により求められる。
【0019】
W=ΔTupAvr×t×q/(Te−Ts)・・・・(2)
(ただし、ΔTupAvr(deg):ΔTup(deg)の平均値)
(実施例2)
図2は、請求項2の発明の浴槽内残湯量検知装置の実施例2を示す構成図である。
【0020】
実施例1と異なる点は器具内に周囲の空気温度を検出する温度センサ18を取り付け、試運転時に循環流量を記憶する際、演算により求まった循環流量を温度センサ18により検出された温度によって補正してから記憶するようにしたところと、残湯量検知時に記憶している循環流量を温度センサ18により検出された温度によって補正してから残湯量の演算に用いるようにしたところである。
【0021】
風呂試運転時、熱交換器3から浴槽内湯水に与えられた熱量の一部は配管や浴槽からの放熱ロスにより失われてしまう。また、この放熱ロスの割合は周囲の温度が低いほど大きくなる。このため(1)式により求まる循環流量は実際に配管内を流れる循環流量より小さくなり、その割合は周囲温度が低くなるほど大きくなる。この放熱ロスの影響を少なくするため放熱ロスによる演算上の循環流量の減少割合と周囲温度T(℃)の関係F1(T)を求めておき循環流量を記憶する際には試運転時に温度センサ18により検出された温度Th(℃)にて(3)式により補正を行なってから記憶するようにする。
【0022】
q1=q/F1(Th)・・・・(3)
(ただし、q1(l/min):補正後の循環流量)
残湯量検知時も試運転時と同様に放熱ロスによる影響を受けるため、記憶している循環流量q1(l/min)をそのまま用いたのでは特に周囲温度が低い場合などには大きな誤差を生じてしまう。そこで放熱ロスによる演算上の循環流量の減少割合と周囲温度T(℃)の関係F2(T)を求めておき、記憶循環流量を残湯量検知時に温度センサ18により検出された温度Ti(℃)にて(4)式により補正を行なってから(2)式にて浴槽内湯水14の量を演算するようにする。
【0023】
q2=q1×F2(Ti)・・・・(4)
(ただし、q2(l/min):補正後の循環流量)
なお、試運転時は一般的に浴槽のふたは無く残湯量検知時は浴槽のふたがある場合が多いと思われる。浴槽のふたがある場合と無い場合とでは周囲温度が同じであっても放熱ロスは異なるため、補正に用いる関係式は図3に示すように試運転時と残湯量検知時で分けるようにした。ただし、放熱ロスは浴槽の種類や形状、配管の長さ、浴室の状態等によって変化するため、図3に示した数値を変更したり、試運転時に求まる循環流量によって補正式をいくつかの中から選択できるようにしたり、あるいは、補正を行なうか行なわないかを選択できるようにしてもよい。
【0024】
ところで、上記実施例では液−液型の熱交換器3を用いて熱媒を介して湯水14を加熱するものを示したが、気−液型の熱交換器を用いて熱媒を介さずに湯水を熱源により直接加熱するようにしても同様に実施することができる。また、熱源としてはバーナ2を用いたが電気ヒータ等その他の熱源を用いても同様に実施することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、器具設置後に制御基板上の風呂試運転スイッチを押し風呂試運転を実施することで、自動的に浴槽内湯水の循環流量を演算し記憶するようにしているので、器具使用開始時より暖房端末器の使用状況に関わらず浴槽内の残湯量を正確に検知できるという有利な効果を有する。
【0026】
また、試運転時に循環流量を演算し記憶するときと、残湯量検知時に記憶循環流量を用い残湯量演算を行なうときに、それぞれ周囲温度により循環流量の補正を行なうため、周囲温度が変化しても浴槽内の残湯量を正確に検知できるという有利な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の浴槽内残湯量検知装置を示す構成図
【図2】本発明の実施例2の浴槽内残湯量検知装置を示す構成図
【図3】同装置の周囲温度と補正式の関係を示す図
【図4】従来の浴槽内残湯量検知装置を示す構成図
【符号の説明】
1 浴槽
2 バーナ
3 液−液型熱交換器
4 循環ポンプ
5 暖房端末器
6 湯張り機構
9 温度センサ
10 温度センサ
14 浴槽内湯水
15、16 制御基板
18 温度センサ
Claims (2)
- 循環路を介して浴槽内の湯水を加熱する熱交換器と浴槽内の湯水を循環させる循環ポンプとを備えた加熱循環システムで、浴槽内の湯水に対し熱交換器を介して伝達された熱量と浴槽内湯水の上昇温度から浴槽内の残湯量を検知する装置であって、器具設置後に制御基板上の風呂試運転スイッチを押し風呂試運転を実施すると、浴槽に一定量の湯水を注湯し、その後浴槽内湯水を循環して一定温度上昇するまで熱交換器を介して熱を加え、その間の熱交換器上流部と下流部での湯水の温度差と浴槽内の湯水に熱を加えた時間と熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから循環流量を演算し記憶しておき、この記憶循環流量と浴槽内残湯量検知時点における熱交換器の上流部と下流部での湯水の温度差と熱交換器を介して湯水に熱が加えられた時間とから求まる浴槽内湯水へ伝達された熱量と、熱交換器上流部での検知温度の変化から求まる浴槽内湯水の上昇温度とから浴槽内の残湯量を検知する浴槽内残湯量検知装置。
- 試運転時の循環流量演算時に器具内に設けた温度センサにて温度検知を行ない、検知温度が低いほど演算により求まった循環流量を多くする補正を行ない記憶させると共に、浴槽内残湯量検知時には器具内に設けた温度センサにて温度検知を行ない、検知温度が低いほど記憶循環流量を少なくする補正を行ない、補正後の循環流量を用いて浴槽内の残湯量を検知する請求項1記載の浴槽内残湯量検知装置。
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JP17854098A JP3890752B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | 浴槽内残湯量検知装置 |
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JP17854098A JP3890752B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | 浴槽内残湯量検知装置 |
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JP2000018706A JP2000018706A (ja) | 2000-01-18 |
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ID=16050273
Family Applications (1)
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JP17854098A Expired - Lifetime JP3890752B2 (ja) | 1998-06-25 | 1998-06-25 | 浴槽内残湯量検知装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP2002340399A (ja) * | 2001-05-15 | 2002-11-27 | Noritz Corp | 給湯器付き風呂釜の制御方法及び給湯器付き風呂釜 |
-
1998
- 1998-06-25 JP JP17854098A patent/JP3890752B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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