JP3890618B2 - 1,3−ジオキサン−4−オン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般式
【化2】
(式中、R1 及びR2 は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、このR1 及びR2 は結合している炭素原子と一体になり結合して4〜7員環の置換又は無置換のアルキル基を形成することができ、R3 は水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、置換カルバモイル基又は置換若しくは無置換のアルキル基である。)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体に関する。
前記一般式(I)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体は、例えばアミン化合物との反応に付すことによりアレルギー疾患の治療に用いる2−ナフタミド化合物に誘導することができる。
【0002】
【従来の技術】
アレルギー反応により引き起こされる気管支喘息、鼻炎、季節性結膜炎、じんましん等の疾患の治療剤として、2−ナフタミド化合物が見出された(特開平4−364156号参照)。この2−ナフタミド化合物は、ナフタレン環の3位に水酸基を有し、さらにアルコキシ基を置換基として有する化合物である。従来、この2−ナフタミド化合物の製造法としては、対応する3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の水酸基を保護した後、酸ハライド、活性エステル或いは混合酸無水物を経由し、アミン化合物と反応させ最終的に脱保護する方法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような製造法においては、煩雑な操作を必要とし工程数が長く、且つ不安定な中間体を経由するため副生物が多い等工業的な方法としては満足できるものではなく、新たな収率の高い簡便な製造法が求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究した結果、前記一般式(I)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体が前記2−ナフタミド化合物を製造するための中間体として有用であることを見出し本発明を完成した。
【0005】
本発明の前記一般式(I)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体は、下記式1に従い製造することができる化合物である。
【0006】
【化3】
【0007】
(式中、R1 及びR2 は前記と同じであり、R4 はアシル基、アルコキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換若しくは無置換のアルキル基であり、Xは水酸基又はハロゲン原子である。)
【0008】
(第1工程)
本工程は、前記一般式(II)で表される2−ナフトエ酸化合物と前記一般式(III)で表されるアルボニル化合物とをアシル化剤及び酸の存在下反応させることにより前記一般式(I−a)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体を製造するものである。
【0009】
前記一般式(II)で表される2−ナフトエ酸化合物は、容易に入手可能な化合物であり、この化合物としては、例えば3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を挙げることができる。
【0010】
また前記一般式(III)で表されるカルボニル化合物は、R1 及びR2 が水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、このR1 及びR2 は結合している炭素原子と一体になり結合して4〜7員環の置換又は無置換のアルキル基を形成することができる。このアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げるとができる。またこのアルキル基には置換基を有していてもよく、置換基として例えば置換若しくは無置換のフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を挙げることができる。また、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等を挙げることができる。
前記一般式(III)で表されるカルボニル誘導体としては、例えばアセトン、2−ブタノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、4−メチル−3−ペンタノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等を挙げることができる。
【0011】
本反応に用いるアシル化剤としては、例えば無水トリフルオロ酢酸、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水プロピオン酸、無水フェニル酢酸、無水トリメチル酢酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水安息香酸等の酸無水物、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ピバロイルクロイド等のハロゲン化アシル化合物、プロペニルアセテート、プロペニルプロピオネート、プロペニルピバロエート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、イソプロペニルピバロエート等のカルボン酸エステル化合物等を使用することができる。このアシル化剤は、前記一般式(II)で表される2−ナフトエ酸誘導体1モルに対して2〜4当量用いることが好ましい。また、反応中に添加する酸としては、例えば硫酸、塩酸等の鉱酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、等の有機酸を用いることもできる。この酸は、反応溶液中に触媒量を添加し行うことができるが、前記一般式(II)で表される2−ナフトエ酸誘導体1モルに対して0.1〜0.5当量用いることが好ましい。
【0012】
また反応は前記原料化合物を溶媒を用いずに混合して反応を行うことができるが、溶媒中で反応を行う場合には、溶媒として例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類等を単独又は混合して用いることができる。
反応は、通常−78℃〜200℃で行うことができるが、効率よく反応を行うには0℃〜50℃で行うことが好ましい。尚本反応を行うには無水条件下でかつ不活性ガス、例えば窒素ガス、アルゴンガス等の雰囲気下で反応を行うことが目的物を収率よく得るためには好ましい。
【0013】
(第2工程)
本工程は、前記一般式(I−a)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体と前記一般式(IV)で表される化合物とを縮合反応に付すことにより前記一般式(I−b)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体を製造するものである。
前記一般式(IV)で表される化合物は、R4 がアシル基、アルコキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜6の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基であり、Xが水酸基又はハロゲン原子で表される化合物である。このアシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トルオイル基、フロイル基等を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、フェノキカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等を挙げることができる。置換カルバモイリ基としては、例えばメチルカルバモイルオキシ基、エチルカルバモイルオキシ基、プロピルカルバモイルオキシ基、ブチルカルバモイルオキシ基、ベンジルカルバモイルオキシ基、ナフチルカルバモイルオキシ基、ジメチルカルバモイルオキシ基、ジエチルカルバモイルオキシ基等を挙げることができる。直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、2−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。又このアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基として例えばフリル基、チエニル基、フェニル基、ピリジル基等の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を挙げることができる。さらにXのハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0014】
又、Xがハロゲン原子で表される前記一般式(IV)で表される化合物を用い反応を行うには、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、ヒドラジン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基の存在下に行うことが好ましい。
【0015】
反応は、無溶媒又は不活性溶媒中行うことが好ましく、溶媒を用いる場合には例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等を単独又は混合して用いることができる。
反応は、通常−78〜200℃で行うことができるが、効率よく反応を行うには0℃〜200℃で行うことが好ましい。
【0016】
さらに、Xが水酸基で表される前記一般式(IV)で表される化合物を用い反応を行うには、例えばMitsunobu試薬等の縮合試薬の存在下に行うことが好ましい。反応は、前記Xがハロゲン原子の場合と同じ溶媒、同じ反応温度で行うことができる。
以上の反応により得られた前記一般式(I−b)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体は、アミン化合物を反応させることにより、前記2−ナフタミド化合物に誘導することができる(下記参考例参照)。
【0017】
【実施例】
以下、参考例及び実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
2,2−ジメチル−9−ヒドロキシナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン
【0018】
【化4】
【0019】
窒素気流下、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸1g(4.9mmol)、アセトン1.5ml(19.6mmol)及び無水トリメチル酢酸2.0ml(9.8mmol)の混合物に、氷冷下触媒量の硫酸を加え、室温にて15時間撹拌した。反応終了後、反応液に5%炭酸カリウム水溶液を加え10分撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、2,2−ジメチル−9−ヒドロキシナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン0.9g(収率75%)を得た。
【0020】
IR(cm-1,KBr):1708
NMR(δ,CDCl3 ):1.77(6H,s),5.43(1H,br−s),6.92(1H,d,J=7Hz),7.28(1H,dd,J=7Hz,8Hz),7.52(1H,d,J=8Hz),7.72(1H,s),8.57(1H,s)
質量分析(EI):m/z 244(M+ ),186,158,102
融点(℃):226−227
【0021】
参考例2
2,2−ジメチル−9−(3−ピリジルメトキシ)ナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン
【0022】
【化5】
【0023】
窒素気流下、実施例1で製造した2,2−ジメチル−9−ヒドロキシナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン1g(4.1mmol)のテトラヒドロフラン40ml溶液にトリフェニルフォスフィン1.3g(4.92mmol)、ピリジンメタノール0.46ml(4.7mmol)及びジイソプロピルカルボキシラート0.93ml(5.8mmol)を順次加え、5時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去後、残留物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、2,2−ジメチル−9−(3−ピリジルメトキシ)ナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン1.23g(収率89%)を得た。
【0024】
IR(cm-1,KBr):1744
NMR(δ,CDCl3 ):1.76(6H,s),5.26(2H,s),7.00(1H,d,J=7Hz),7.36(1H,dd,J=7Hz,8Hz),7.39(1H,dd,J=5Hz,7Hz),7.55(1H,d,J=8Hz),7.82(1H,s),7.87(1H,ddd,J=1.5Hz,2Hz,7Hz),8.57(1H,s),8.65(1H,dd,J=1.5Hz,5Hz),8.80(1H,d,J=2Hz)
質量分析(EI):m/z 335(M+ ),277,185,157,101,92
融点(℃):184−185
【0025】
参考例1
N−〔2−〔4−(ベンズヒドリルオキシ)ピペリジノ〕エチル〕−3−ヒドロキシ−5−(3−ピリジルメトキシ)−2−ナフタミド
【0026】
【化6】
【0027】
実施例2で製造した2,2−ジメチル−9−(3−ピリジルメトキシ)ナフト〔2,3−e〕−1,3−ジオキサン−4−オン500mg(1.5mmol)のトルエン5ml溶液に1−(2−アミノエチル)−4−ベンズヒドリルオキシピペリジン555mg(1.8mmol)を加え7時間加熱環流した。溶媒を留去した後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、N−〔2−〔4−(ベンズヒドリルオキシ)ピペリジノ〕エチル〕−3−ヒドロキシ−5−(3−ピリジルメトキシ)−2−ナフタミド800mg(収率90%)を得た。
【0028】
IR(cm-1,KBr):1660
NMR(δ,CDCl3 ):1.70−1.85(2H,m),1.92−2.03(2H,m),2.18−2.30(2H,m),2.63(2H,t,J=6Hz),2.81−2.92(2H,m),3.37−3.57(3H,m),5.23(2H,s),5.54(1H,s),6.88(1H,d,J=7Hz),7.19−7.42(14H,m),7.71(1H,s),7.89(1H,d,J=7Hz),7.94(1H,s),8.62(1H,dd,J=6Hz,2Hz),8.74(1H,d,J=2Hz)
【0029】
【発明の効果】
本発明の前記一般式(I)で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体は、アミン化合物を反応させることにより、簡便な操作で収率よく前記2−ナフタミド化合物に導くことができる。

Claims (3)

  1. 一般式
    で表される1,3−ジオキサン−4−オン誘導体(式中、R1 及びR2 は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基であり、このR1 及びR2 は結合している炭素原子と一体になり結合して4〜7員環の置換又は無置換のアルキル基を形成することができ、R3 は水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、置換カルバモイル基又は置換若しくは無置換のアルキル基である。)。
  2. 1 及びR2 で表されるアルキル基が、置換若しくは無置換の直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜6のアルキル基である請求項1記載の1,3−ジオキサン−4−オン誘導体。
  3. 3 で表される置換アルキル基が、炭素数1〜6のアルコキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基で置換した炭素数1〜6のアルキル基である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の1,3−ジオキサン−4−オン誘導体。
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