JP3889320B2 - 加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Siウエハ等の被加熱物を加熱する加熱装置に関し、特に、加熱装置を構成する材料の材質選定を容易化することができ、また、発熱体素子が断線した際においても、この断線した発熱体素子を容易に交換することができる加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、Siウエハ等の被加熱物を加熱し、プラズマ処理等を行う加熱装置として、図8に示すような加熱装置が知られている。
この加熱装置100は、表面に凹溝101が設けられた支持板102と、この凹溝101に装填される発熱体素子103と、これら支持板102及び発熱体素子103の全領域を覆い、被加熱物(図示せず)を載置する載置板104と、一端が発熱体素子103に接続される少なくとも1対の給電用端子105、105と、被加熱物を載置する載置板104の温度を制御するために発熱体素子103の温度を測定する熱電対106とを少なくとも備えている。そして、載置板104と支持板102とは、各種の耐熱性接合剤により形成された接合層107を介して接合一体化されている。
【0003】
この載置板104及び支持板102は、酸化アルミニウム焼結体、窒化アルミニウム焼結体などの耐熱性セラミックスにより構成され、また、発熱体素子103はタングステン(W)、モリブデン(Mo)等の耐熱性金属、あるいは炭化珪素(SiC)焼結体等の導電性セラミックスにより構成されている。
また、載置板104と支持板102とは、接合層107を介して接合、一体化されているので、発熱体素子103がプラズマ雰囲気等に露出することはなく、したがって、発熱体素子103に含有されている各種不純物が揮発して被加熱物の汚染源となる虞もない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の加熱装置においては、次のような様々な問題点があった。
(1)耐熱性接合剤には、耐熱性は勿論のこと、耐プラズマ性も要求されるが、優れた耐熱性及び耐プラズマ性を備えた耐熱性接合剤は極めて少なく、要求に見合った耐熱性接合剤を選定するのは極めて困難である。
(2)耐熱性接合剤としては、載置板と支持板との中間の熱膨張係数を有するものが必要であるが、このような熱膨張係数を有する耐熱性接合剤は極めて少なく、要求に見合った耐熱性接合剤を選定するのは極めて困難である。
【0005】
(3)載置板の熱膨張係数は、支持板のそれと同一または近似していることが望ましいが、このような特性を備えた材料は極めて少なく、要求に見合った材料を選定するのは極めて困難である。
(4)発熱体素子は、異常発熱や熱サイクルの負荷等により断線することもあるが、この場合、載置板と支持板とが接合一体化されているため、発熱体素子を交換することは実質的に不可能である。
【0006】
そこで、支持板102と載置板104とを接合一体化しない構造の加熱装置が検討されているが、この構造では、発熱体素子103がプラズマ雰囲気等に曝露されて消耗してしまうために、加熱装置としての耐久性がなく、しかも、発熱体素子103に含有されている各種不純物が揮発して被加熱物の汚染源となるという問題点を解決することができないものであった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、加熱装置を構成する材料の材質選定を容易化することができ、また、発熱体素子が断線した際においても、この断線した発熱体素子を容易に交換することができ、しかも、発熱体素子の消耗がなく、耐久性に優れ、被加熱物の汚染源とならない加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の技術が有する問題点を解決すべく鋭意検討した結果、発熱体素子を特殊な材料で構成すれば、載置板と支持板とを接合一体化する必要がなく、もって、これら載置板及び支持板を構成する材料の選定を容易化することができ、また、発熱体素子が断線した際においても、断線した発熱体素子を容易に交換することができ、しかも、発熱体素子の消耗がなく、したがって、加熱装置の耐久性が向上し、被加熱物の汚染源とならないことを知見し、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、本発明の加熱装置は、被加熱物を載置するセラミックスからなる載置板と、該載置板を下方より支持するセラミックスからなる支持板と、前記載置板と前記支持板との間に設けられ通電により発熱する発熱体素子とを備えてなる加熱装置であって、前記発熱体素子は、導電性セラミックス、耐熱性金属、炭素のうちのいずれか1種からなる基材と、この基材の表面を被覆する被膜とを備え、前記被膜は、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜からなることを特徴とする。
【0010】
ここで、「下方より支持する」とは、前記載置板と前記支持板とが耐熱性接合剤で接合される等して接合一体化されたものではなく、ただ単に、前記載置板が前記支持板上に載置されている状態を称する。
【0011】
前記基材と前記炭素系被膜との間には、層間膜を形成するのが好ましい。この層間膜を形成したことにより、炭素系被膜を成膜する際に、下地層である基材表面からの影響が阻止され、成膜される炭素系被膜は、結晶構造の乱れや欠陥等のない所望の結晶構造となる。
【0012】
前記層間膜は、炭素拡散防止膜とするのが好ましい。この炭素拡散防止膜を形成したことにより、炭素系被膜を構成する炭素の一部が前記基材の内部に拡散することにより基材と炭素系被膜との界面に介在層が形成されるのを防止することができ、前記基材と前記炭素系被膜との間の密着性が改善される。これにより、発熱体素子の耐久性が向上し、よって、加熱装置の耐久性が向上する。
【0013】
また、本発明者は、炭素系被膜を化学気相法によりフッ素化処理、塩素化処理またはヨウ素化処理することにより、炭素系被膜を構成する一部の炭素にC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を導入した特殊な炭素系被膜とすると、耐プラズマ性及び耐酸化性に優れた発熱体素子を廉価に提供することができることを究明した。
【0014】
すなわち、前記被膜は、炭素系被膜に、化学気相法によりフッ素化処理、塩素化処理またはヨウ素化処理を施し、前記炭素系被膜の一部の炭素を、C−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素とすることが好ましい。
【0015】
また、本発明者等は、前記炭素系被膜が、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体、ダイヤモンド様カーボン、グラファイト、非晶質カーボンから選択された1種または2種以上を含有するものであれば、その表面を化学気相法により容易にフッ素化処理、塩素化処理またはヨウ素化処理し得て、発熱体素子の耐プラズマ性及び耐酸化性をさらに向上させ得ることを究明した。
【0016】
すなわち、前記炭素系被膜は、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体、ダイヤモンド様カーボン、グラファイト、非晶質カーボンから選択された1種または2種以上を含有することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱装置の各実施の形態について説明する。
なお、これらの実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態の発熱体素子を示す平面図、図2は、この発熱体素子を備えた加熱装置を示す断面図、図3は、この加熱装置の各構成要素を示す断面図であり、この加熱装置1は、被加熱物(図示せず)を載置する円板状のセラミックスからなる載置板2と、この載置板2を下方より支持する円板状のセラミックスからなる支持板3と、これら載置板2と支持板3とにより挟持され通電により発熱する発熱体素子4と、この発熱体素子4に一端が接続された少なくとも1対の給電用端子5、5と、載置板2の上面の温度を制御するために発熱体素子4の温度を測定する熱電対6とを備えている。
【0019】
支持板3の周縁部には、載置板2の位置決め用の円環状の凸部11が形成され、この円環状の凸部11の内周壁部11aと載置板2の円環状の外周壁部2aとの間の空隙は、熱膨張を吸収するための円環状のクリアランス12とされている。
この支持板3の凸部11で囲まれた凹部13には、発熱体素子4を装填するための溝14が形成されている。また、この支持板3には、給電用端子5、5を挿通するための貫通孔15、15及び熱電対6を装填するための孔16が形成されている。
【0020】
支持板3の溝14に装填された発熱体素子4の上面は、上記の凹部13の溝14を除く上面と同一平面とされ、これら発熱体素子4の上面及び凹部13の上面に接するように載置板2が載置されている。
このように、支持板3は載置板2の下面に当接し、かつこれを下方より支持しており、これら支持板3と載置板2とは連結一体化されてはいない。
【0021】
以下、本実施形態に係る加熱装置を、「載置板、支持板」、「発熱体素子」、「給電用端子」の3つに項分けして更に詳細に説明する。
【0022】
「載置板、支持板」
載置板2及び支持板3を構成する材料としては、絶縁性、熱伝導性、機械的強度、耐プラズマ性に優れた窒化アルミニウム焼結体、酸化アルミニウム焼結体、酸化マグネシウム焼結体、酸化イットリウム焼結体、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)等のセラミックスを使用することができる。セラミックスの選定に際しては、上述のとおり載置板2と支持板3とは連結一体化されておらず、ただ単に当接・支持されているのみであるから、載置板2の熱膨張はクリアランス12で吸収できればよく、熱膨張係数を従来の接合タイプの加熱装置ほど考慮する必要はない。
なお、加熱装置1の熱効率を考慮すると、支持板3を構成する材料は、載置板2を構成する材料よりも、熱伝導性が優れたものを使用するのがよい。
【0023】
「発熱体素子」
発熱体素子4は、導電性セラミックス、耐熱性金属、炭素のうちのいずれか1種の材料で形成された基材と、この基材の表面を被覆する被膜とを備え、この被膜は、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜からなっている。
【0024】
この基材を構成する耐熱性材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭化珪素、炭化タンタル、炭化モリブデン等の導電性セラミックス、導電性セラミックスの1種である金属−セラミックス複合焼結体等の導電性金属複合セラミックス、タングステン、モリブデン、イリジウム等の耐熱性金属、グラファイト(黒鉛)、無定形炭素等の炭素材料が適宜用いられる
【0025】
これらの耐熱性材料のうち、炭化珪素焼結体、炭化タンタル焼結体、炭化モリブデン焼結体等の導電性セラミックスは、耐熱性、耐酸化性、導電性の点で優れた材料である。特に、高純度かつ緻密な炭化珪素焼結体は、下記のいずれかの製造方法により得ることができる。
【0026】
(製造方法1)
平均粒子径が0.1〜10μmの炭化珪素粉末(第1の炭化珪素粉末:β型が好ましい)と、Ar等の非酸化性雰囲気のプラズマ中に、シラン化合物またはハロゲン化珪素と炭化珪素とからなる原料ガスを導入し、反応系の圧力を1.01×10Pa(1気圧)未満から1.33×10Pa(0.1torr)の範囲で制御しつつ気相反応させることにより合成された平均粒子径が0.1μm以下の炭化珪素微粉末(第2の炭化珪素粉末:β型が好ましい)を、所定の配合比となるように秤量・混合し、この混合物を所定の形状に成形し、この成形体を所定の温度で焼成し、炭化珪素焼結体とする方法。
【0027】
(製造方法2)
製造方法1における炭化珪素微粉末(第2の炭化珪素粉末)を所定の形状に成形し、この成形体を所定の温度で焼成し、炭化珪素焼結体とする方法。
これら製造方法1、2の詳細については、特許第2726694号、特許第2732408号に開示されており、容易に製造可能である。
【0028】
これらの製造方法により得られた炭化珪素焼結体は、1Ωcm以下、例えば、1×10−2〜1×10−1Ωcm程度の優れた導電性と耐熱性とを兼ね備えているので、これらの炭化珪素焼結体を、発熱体素子の基材として用いれば、耐熱性及び導電性に優れた発熱体素子となる。
【0029】
これらの炭化珪素焼結体からなる基材は、所望の形状に加工した後、大気中で熱処理を施すことで基材表面の余分な遊離炭素を燃焼させて除去し、その後、フッ酸への浸漬処理等により基材表面に形成されたSiO等の不純物を溶解、除去するのが好ましい。
上記の熱処理温度は400〜1500℃、特に600〜1000℃が好ましい。その理由は、400℃未満では、基材表面の遊離炭素が充分に除去されず、また、1500℃を越えると、基材の表面が酸化されて表面の一部または全部が酸化物となり、炭化珪素焼結体の純度が低下するからである。
【0030】
上記の熱処理時間は、特に限定されるものではないが、通常、1〜40時間である。ここで、1〜40時間が好ましいとされる理由は、熱処理時間が1時間未満では、基材表面の遊離炭素の除去効率が低く、一方、熱処理時間が40時間を超えても、基材表面の遊離炭素の除去効率が向上する訳ではなく無意味だからである。
【0031】
また、基材を構成する導電性金属複合セラミックスとして、Pt−Al、Ag−Si−Ni−SiO、Mo−ZrO等の金属−セラミックス複合焼結体も好適に用いられる。
また、基材を構成する耐熱性材料として、タングステン、モリブデン、イリジウム等の耐熱性金属材料も好適に用いられる。
これらの耐熱性金属材料を基材に用いる場合、この基材表面に後述する「炭素系被膜」を成膜する際に、炭素が基材内部に拡散し、基材と炭素系被膜との界面に介在層が形成されて密着性が低下するおそれがある。これを防ぐためには、この基材の表面に予め炭素拡散防止膜を成膜しておくのがよい。
【0032】
この炭素拡散防止膜としては、例えば、チタン膜、上記の耐熱性金属材料の金属成分の炭化物膜等を例示することができる。その膜厚は、通常、0.01〜1μm程度で充分である。なお、膜厚が0.01μm未満になると、炭素の拡散防止効果が不十分なものとなり、一方、膜厚が1μmを越えると、基材と炭素系被膜との密着性が低下するおそれがある。
その成膜法は、特に制限されないが、例えば、スパッタリング法、蒸着法等が好適に用いられる。
【0033】
また、基材を構成する耐熱性材料として、グラファイト(黒鉛)、無定形炭素等の炭素材料も好適に用いられる。
基材としての炭素材料は、導電性セラミックスや耐熱性金属と比較して加工性に優れている点で有利である。
【0034】
ところで、基材を構成する炭素材料は、後述する炭素系被膜を成膜する際に用いられるプラズマに対しては、耐性が充分でなく損耗し易い。したがって、基材の表面が炭素系被膜で充分に被覆されるまでは、基材の表面状態、形状、寸法等が変化する虞がある。また、炭素系被膜が成膜される際に、プラズマに励起された炭素成分は、基材表面に沈着する際に基材の結晶構造と同一の結晶構造を取り易く、特に、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体等の炭素系被膜を成膜する際に、ダイヤモンド構造が形成されない虞がある。
そのため、耐熱性金属を基材として用いる場合と同様、基材の表面に予めチタン膜等の中間膜(層間膜)を形成しておくのが好ましい。
【0035】
前記基材の少なくとも一部、例えば表面を被覆するC−X結合導入炭素系被膜は、例えば、炭素系被膜を、フッ素ガス、塩素ガス、ヨウ素ガス等の臭素を除くハロゲン系腐食性ガスや、そのプラズマガスに曝すことでフッ素化、塩素化またはヨウ素化し、この炭素系被膜にC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を導入したものである。
【0036】
上記の炭素系被膜は、特に限定されるものではないが、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体、ダイヤモンド様カーボン、グラファイト、非晶質カーボンから選択された1種または2種以上を含有することが好ましく、例えば、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体、ダイヤモンド様カーボン、グラファイト、非晶質カーボンのいずれか1種、あるいはダイヤモンド様カーボンおよび/またはカーボンを含むダイヤモンド多結晶体が好適に用いられる。
これらの材料は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法等を用いて基材表面に容易に成膜することができるので好適である。とりわけ、ダイヤモンド単結晶体やダイヤモンド多結晶体は、導電性の他、優れた耐磨耗性をも併せ持つので好適である。
【0037】
なお、上記のダイヤモンド様カーボンおよび/またはカーボンを含むダイヤモンド多結晶体とは、ダイヤモンド結晶粒子間、あるいは基材とダイヤモンド結晶粒子との間(粒界)に、ダイヤモンド様カーボンおよび/またはカーボンが偏析したものである。
【0038】
上記の炭素系被膜の厚みも特に限定されるものではないが、通常、1〜100μmの範囲が好ましい。その理由は、厚みが1μm未満であると、基材の表面が完全には被覆されず、耐酸化性が不十分となるからであり、一方、100μmを超えると、基材の表面形状が変化し、不具合が生じる虞、例えば、基材表面に形成された凹凸や溝までが被膜によって埋没してしまうという不具合が生じる虞があり、さらに、成膜に多大な時間を要するために、製造コストの上昇を招き、経済的でないからである。
【0039】
上記の基材の表面に、このような炭素系被膜を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、プラズマ気相法等の化学気相法は、緻密な膜が形成可能であり、また、ダイヤモンド単結晶体やダイヤモンド多結晶体からなる炭素系皮膜を成膜し得るので好適に用いられる。
炭素系被膜の成膜に用いられる原料としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、一酸化炭素、二酸化炭素、アルコール類等、その構造中に炭素原子を含み、容易に気相種とすることができる炭素化合物を用いる。
プラズマ励起源としては、マイクロ波、直流グロー放電、直流アーク放電、高周波、熱フィラメント等、いずれも好適に用いられる。
【0040】
上記の化学気相法としては、特に、マイクロ波プラズマCVD法が好適に用いられる。
このマイクロ波プラズマCVD法は、既に開示されている公知の方法で、プラズマ反応チャンバー内に基材を配置し、マイクロ波をプラズマ反応チャンバー内に印加することで、このチャンバー内に定在波を形成させ、炭素原子を含む原料ガスを予め加熱してある前記基材表面上で分解、プラズマ化させ、該基材表面上に炭素系被膜を成膜する方法である。
【0041】
上記の炭素原子を含む原料ガスとしては、炭素原子を含み、容易に気相種とすることができる化合物であればよく、例えば、メタン、水素の混合ガスが好ましく、より好ましくは、メタンと水素との混合比率がCH:0.1〜10.0v/v%、H:99.9〜90.0v/v%である混合ガスがダイヤモンド単結晶体やダイヤモンド多結晶体からなる炭素系被膜を成膜し得る他、余分な炭素成分が反応チャンバー内壁に付着しないので好適である。
【0042】
原料ガスの流量は、通常1〜500sccm、好ましくは10〜200sccmである。その理由は、原料ガスの流量が1sccm未満であると反応効率が低下し、成膜時のレートが低下するからであり、一方、500sccmを超えるとプラズマ反応チャンバー内でガスの強制対流が生じ、プラズマを安定に保てなくなるからである。
また、反応圧力は、通常7.5×10−4Pa〜4Pa、好ましくは7.5×10−3Pa〜1.5Paである。反応圧力が7.5×10−4Pa未満では、例えば
、ダイヤモンド単結晶体やダイヤモンド多結晶体等の成膜速度が遅くなるからで、一方、4Paを超えるとプラズマが消失してしまうからである。
【0043】
次いで、上記の炭素系被膜にC−F結合を導入する。
炭素系被膜は、その最表面の炭素原子にC−X(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)結合を導入することによって、耐酸化性を付与することができる。このようなC−X結合を導入する方法としては、炭素系被膜で被覆された基材を、フッ化窒素、フッ化炭素、フッ素ガス、四塩化炭素、塩化水素、ヨウ化水素等、臭素以外のハロゲン元素を含む気体物質の存在の下で、定圧で励起した、臭素以外のハロゲン元素を含有するプラズマに暴露する方法等を例示することができる。
【0044】
このような炭素系被膜の表面改質は、炭素系被膜が成膜された直後にチャンバー内のガスをフッ素系ガスと入れ替え、再度プラズマを発生させて行ってもよく、あるいは、炭素系被膜が被覆された基材を一旦系外へ取り出し、検査、確認した後に、別途に行っても良い。
【0045】
この表面改質に用いられるプラズマ励起源発生方法としては、マイクロ波、直流グロー放電、直流アーク放電、高周波等のいずれの方法も用いることができるが、これらの方法に限定されず、放電によってプラズマを発生し、炭素系被膜の表面を改質することができる方法であれば何れの方法でも良い。
また、反応圧力は、通常7.5×10−4Pa〜4Pa、好ましくは7.5×10−3Pa〜1.5Paである。反応圧力が7.5×10−4Pa未満では、炭素系被膜の表面改質の効果が低く、一方、4Paを越えるとプラズマが不安定となるからである。また、反応温度は300〜500℃が好ましい。反応温度がこの範囲を外れると、表面改質の効率が低下するからである。
【0046】
このようにして形成されたC−X結合導入炭素系被膜は、10Ωcm〜10Ωcm程度の体積固有抵抗値を有し、導電性に優れている。そのため、このC−X結合導入炭素系被膜により導電性の基材表面を被覆しても、基材の導電性を大きく損なうことはない。
したがって、導電性の良好な材料を基材に用いると、得られる被覆型の材料は導電性、耐酸化性、耐プラズマ性に優れた材料となり、反応チャンバー雰囲気に露出した状態で使用される本実施形態における発熱体素子として好適なものとなる。
【0047】
「給電用端子」
給電用端子5を構成する材料としては、導電性炭化珪素焼結体等の導電性セラミックス、Ni、Pt、Ag、Au、Ir、Pd、インコネル合金、モネル合金等の耐熱性金属、のいずれかの材料により形成されたものが好ましい。
このような材料で給電用端子5を構成することにより、給電用端子5が耐熱性、耐酸化性に優れたものとなり、より一層、加熱装置の耐久性を向上させることができる。
【0048】
このようにして得られた載置板2、支持板3、発熱体素子4、給電用端子5、5と、熱電対6を用いることにより、本実施形態の加熱装置1を容易に組み立てることができる。
まず、発熱体素子4に、1対の給電用端子5、5それぞれの一端を接続する。次いで、この発熱体素子4を支持板3の溝14に装填すると同時に接続された給電用端子5、5各々を貫通孔15、15に挿通する。最後に、載置板2を支持板3の凹部13に載置し、孔16に熱電対6を装填する。このとき、発熱体素子4は載置板2及び支持板3により全体が覆われた状態となり、発熱体素子4が外部に露出する虞は無い。
【0049】
発熱体素子4が断線した場合、上記の動作を逆に行って断線した発熱体素子4を溝14から外し、新たな発熱体素子4を用いて再度上記の動作を行う。
このようにして、加熱装置1の組み立て及び分解を容易に行うことができ、発熱体素子4が断線した場合においても、発熱体素子4の交換を容易に行うことができる。
【0050】
本実施形態の加熱装置1によれば、載置板2と支持板3とにより挟持される発熱体素子4を、導電性セラミックス、耐熱性金属、炭素のうちのいずれか1種からなる基材と、この基材の表面を被覆する被膜とを備えた構成とし、この被膜を、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜としたので、載置板2と支持板3とを接合一体化する必要がなく、これら載置板及び支持板を構成する材料の選定を容易化することができる。
【0051】
また、発熱体素子4は、載置板2と支持板3とにより挟持されるだけで接合一体化されていないので、この発熱体素子4が断線した際においても、断線した発熱体素子を容易に交換することができる。
また、発熱体素子4は、基材の表面が、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜により被覆されているので、化学的に非常に安定したものとなり、高温酸化性雰囲気下においても消耗することがない。したがって、加熱装置の耐久性を向上させることができ、しかも、被加熱物の汚染源とならない。
【0052】
「第2の実施形態」
図4は、本発明の第2の実施形態の加熱装置を示す断面図、図5は、本実施形態の加熱装置の各構成要素を示す断面図であり、この加熱装置21は、被加熱物(図示せず)を載置する略円板状のセラミックスからなる載置板22と、この載置板22を下方より支持する円板状のセラミックスからなる支持板23と、これら載置板22と支持板23とにより挟持され通電により発熱する発熱体素子24と、この発熱体素子24に一端が接続された少なくとも1対の給電用端子25、25と、載置板22の表面の温度を制御するために発熱体素子24の温度を測定する熱電対26とを備えている。
【0053】
支持板23の上面には、発熱体素子24を装填するための溝31が形成されている。また、この支持板23には、給電用端子25、25を挿通するための貫通孔32、32及び熱電対26を装填するための孔33が形成されている。
載置板22は、支持板23及び発熱体素子24の全領域を覆っており、この載置板22の下面22aの周縁部には、円環状の凸部34が形成され、この円環状の凸部34の内周壁部34aと支持板23の円環状の外周壁部23aとの間の空隙は、熱膨張を吸収するための円環状のクリアランス35とされている。
【0054】
そして、この発熱体素子24は、支持板23の溝31に装填された状態で載置板22と支持板23とに挟持されている。この発熱体素子24の上面は、支持板23の溝31を除く上面と同一平面とされ、これら発熱体素子24の上面及び支持板23の上面に接するように載置板22が載置され、この載置板22は凸部34により位置決めされている。
このように、支持板23は載置板22の下面22aに当接し、かつこれを下方より支持しており、これら支持板23と載置板22とは連結一体化されてはいない。
【0055】
本実施形態に係る加熱装置21における「支持板」、「載置板」、「発熱体素子」、及び「給電用端子」のその他の点については、上述した第1の実施形態の加熱装置1における「支持板」、「載置板」、「発熱体素子」、及び「給電用端子」のそれぞれと全く同様であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
本実施形態の加熱装置21においても、上述した第1の実施形態の加熱装置1と全く同様の作用・効果を奏することができる。
【0056】
「第3の実施形態」
図6は、本発明の第3の実施形態の加熱装置を示す断面図、図7は、本実施形態の加熱装置の各構成要素を示す断面図であり、この加熱装置41は、被加熱物(図示せず)を載置する略円板状のセラミックスからなる載置板42と、この載置板42を下方より支持する円板状のセラミックスからなる支持板43と、これら載置板42と支持板43とにより挟持され通電により発熱する発熱体素子44と、発熱体素子44の外側に位置しかつ支持板43上に載置される円環状の中間部材45と、発熱体素子44に一端が接続された少なくとも1対の給電用端子46、46と、載置板42の表面の温度を制御するために発熱体素子44の温度を測定する熱電対47とを備えている。
【0057】
支持板43と中間部材45と載置板42とは、円柱状のピン部材48により位置決めされており、このピン部材48と、載置板42と支持板43と中間部材45との間には空隙が形成され、この空隙は熱膨張を吸収するためのクリアランス49とされている。
この支持板43の上面には、ピン部材48を挿入するための孔51が形成されている。また、この支持板43には、給電用端子46、46を挿通するための貫通孔52、52及び熱電対47を装填するための孔53が形成されている。
同様に、載置板42の下面の周縁部にも、ピン部材48挿入用の孔55が形成され、中間部材45の周縁部にも、ピン部材48挿通用の貫通孔56が形成されている。
【0058】
そして、この発熱体素子44が支持板43上に載置され、さらに中間部材45が支持板43の周縁部に載置された状態で、これら発熱体素子44及び中間部材45は載置板42と支持板43とに挟持されている。この発熱体素子44の上面は、中間部材45の上面と同一平面とされ、これら発熱体素子44の上面及び中間部材45の上面に接するように載置板42が載置されている。
このように、支持板43は、発熱体素子44及び中間部材45を介して載置板42の下面に当接し、かつこれを下方より支持しており、これら支持板43と載置板42とは連結一体化されてはいない。
【0059】
本実施形態に係る加熱装置41における「支持板」、「載置板」、「発熱体素子」、及び「給電用端子」のその他の点についても、上述した第2の実施形態の加熱装置21と全く同様に、上述した第1の実施形態の加熱装置1における「支持板」、「載置板」、「発熱体素子」、及び「給電用端子」のそれぞれと全く同様であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
本実施形態の加熱装置41においても、上述した第1の実施形態の加熱装置1と全く同様の作用・効果を奏することができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
【0061】
「実施例1」
図1〜図3に示す加熱装置1を作製した。
図3に示す支持板3を従来法により作製した。この支持板3は、周縁部に巾l=3mm、高さh=3mmの円環状の凸部11が形成され、この円環状の凸部11に囲まれた凹部13の底面に、深さd=3mmの発熱体素子4装填用のスパイラル状の溝14が刻設された直径l=230mm、厚みt=15mmの円板状の窒化アルミニウム焼結体である。
【0062】
このスパイラル状の溝14の幅は、中央部で24mm、外周部に向かって徐々に小さくして外周部の一番外側で6mmとした。また、この支持板3の所定位置に、給電用端子5、5装填用の貫通孔15、15(直径5mm)と、熱電対6装填用の孔16(直径3mm)とを、ドリルを用いてそれぞれ形成した。
一方、図3に示す載置板2を従来法により作製した。この載置板2は、直径l=222mm、厚みt=5mmの円板状の窒化アルミニウム焼結体である。
【0063】
上記のスパイラル状の溝14に装填し得る形状の発熱体素子4を次のようにして作製した。
まず、焼結密度が3.1g/cm、室温での電気比抵抗が0.05Ωcmであり、かつスパイラル状の溝14に充分なクリアランスをもって装填し得る形状の炭化珪素焼結体を、上述した「製造方法1」により作製した。
【0064】
次いで、この炭化珪素焼結体を大気中800℃で15時間、加熱処理して表面の炭素分を除去した後、45℃のフッ酸水溶液で5時間、フッ酸処理し、表層のSiO分を溶解した。
この炭化珪素焼結体をプラズマ反応チャンバー内に載置し、基材温度900℃、反応圧力0.6Paの条件下で、このチャンバー内に2モル%のCHを含むHガスを導入し、5時間、マイクロ波出力600Wでプラズマを形成しつつ、前記炭化珪素焼結体上に炭素系被膜を成膜した。
【0065】
この炭素系被膜の厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、その膜厚は中心部、外周部ともに2μmと均一であった。
また、上記の炭素系被膜の組成及び構造をラマン分光分析法にて分析したところ、1333cm−1に現れるダイヤモンドのラマンシフトの半価幅(半値幅)は6cm−1であり、1550cm−1を中心とするダイヤモンド様カーボンのラマンシフトと1333cm−1を中心とするダイヤモンドのラマンシフトの強度比Isp2/sp3が0.1の良質なダイヤモンド多結晶体からなる炭素系被膜であった。
【0066】
次いで、このダイヤモンド多結晶体からなる炭素系被膜で被覆された炭化珪素焼結体を、プラズマ反応チャンバー内に載置し、NFガスとArガスとの混合ガス(混合比;NF:Ar=1:2)を100sccmの流速で流動させながら、雰囲気圧力を7.6×10−4Paとし、この状態で高周波電力RFを500W印加して発生させたプラズマで10分間処理(反応温度:400℃)することにより、ダイヤモンド多結晶体からなる炭素系被膜の表層にC−F結合を形成した。
【0067】
この炭素系被膜の表面構造をESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)により評価したところ、フッ素と炭素の原子数比F/Cが0.9であり、被膜の表層にC−F結合が形成されていることが確認された。
また、この炭素系被膜の体積固有抵抗値を、ガード電極を備えた抵抗測定装置を用いて測定したところ、この炭素系被膜の体積固有抵抗値は4×10Ωcmであった。
【0068】
次いで、図3に示すように、発熱体素子4の所定位置に、Ni金属製の給電用端子5、5をそれぞれ機械的かつ電気的に接続し(接続手段は図示せず)、得られた給電用端子5、5付き発熱体素子4を、スパイラル状の発熱体素子4がスパイラル状の溝14内に、給電用端子5、5が給電用端子装填用の貫通孔15、15内に、それぞれ装着されるように装填した。
【0069】
その後、載置板2を発熱体素子4上及び支持板3の凹部13上に載置するとともに凸部11により位置決めし、載置板2の円環状の外周壁部2aと支持板3の円環状の凸部11の内周壁部11aとの間に熱膨張を吸収するための円環状のクリアランス12が形成されるように、この載置板2と支持板3とを発熱体素子4を介して当接するように嵌め合わせ、支持板3が載置板2の下面に当接しかつこれを下方より支持する実施例1の加熱装置を得た。
【0070】
「実施例2」
図4及び図5に示す加熱装置21を作製した。
図5に示す支持板23を従来法により作製した。この支持板23は、深さd=3mmの発熱体素子4装填用のスパイラル状の溝31が刻設された直径l=222mm、厚みt=15mmの円板状の窒化アルミニウム焼結体である。
このスパイラル状の溝31の形状は実施例1と全く同様である。また、この支持板23の所定位置に、給電用端子25、25装填用の貫通孔32、32(直径5mm)と、熱電対26装填用の孔33(直径3mm)とを、ドリルを用いてそれぞれ形成した。
【0071】
一方、図5に示す載置板22を従来法により作製した。この載置板22は、周縁部に巾l=3mm、高さh=3mmの円環状の凸部34が形成された、直径l=230mm、厚みt=8mmの略円板状の窒化アルミニウム焼結体である

【0072】
上記のスパイラル状の溝31に装填し得る形状の発熱体素子24を次のようにして作製した。
市販のモリブデン金属板の表面に、スパッタリング法を用いてチタン膜(膜厚:0.1μm)を被覆し、このチタン膜付きモリブデン金属板を発熱体素子22の基材とした。このチタン膜はモリブデン金属板への炭素の拡散を抑止するための炭素拡散防止膜である。
次いで、このチタン膜付きモリブデン金属板の表面に、実施例1に準じてC−F結合を有する炭素系被膜を形成した。
【0073】
次いで、図5に示すように、発熱体素子24の所定位置に、Ni金属製の給電用端子25、25をそれぞれ機械的かつ電気的に接続し(接続手段は図示せず)、得られた給電用端子25、25付き発熱体素子24を、スパイラル状の発熱体素子24がスパイラル状の溝31内に、給電用端子25、25が給電用端子装填用の貫通孔32、32内に、それぞれ装着されるように装填した。
【0074】
その後、載置板22を下面22aを下にして発熱体素子24及び支持板23上に載置するとともに凸部34により位置決めし、載置板22の円環状の外周壁部34aと支持板23の円環状の内周壁部23aとの間に熱膨張を吸収するための円環状のクリアランス35が形成されるように、この載置板22と支持板23とを発熱体素子24を介して当接するように嵌め合わせ、支持板23が載置板22の下面22aに当接しかつこれを下方より支持する実施例2の加熱装置を得た。
【0075】
「実施例3」
図6及び図7に示す加熱装置41を作製した。
図7に示す支持板43を従来法により作製した。この支持板43は、直径l=230mm、厚みt=15mmの円板状の窒化アルミニウム焼結体である。
この支持板43の所定位置に、給電用端子46、46装填用の貫通孔52、52(直径5mm)と、熱電対47装填用の孔53(直径3mm)と、ピン部材48挿入用の孔51(直径3mm)を、ドリルを用いてそれぞれ形成した。
【0076】
一方、図7に示す載置板42を従来法により作製した。この載置板42は、直径l=230mm、厚みt=5mmの略円板状の窒化アルミニウム焼結体であり、この載置板42の所定位置に、ピン部材48挿入用の孔55(直径3mm)を、ドリルを用いて形成した。
【0077】
また、図7に示す円環状の中間部材45を従来法により作製した。この中間部材45は、外径l=230mm、内径l=210mm、厚みt=5mmの円
環状の窒化アルミニウム焼結体であり、この中間部材45の所定位置に、ピン部材39を挿通するための貫通孔56(直径3mm)を、ドリルを用いて形成した。
更に、円柱状のピン部材48を従来法により作製した。このピン部材48は、直径2.5mm、長さ15mmの窒化アルミニウム焼結体である。
【0078】
上記の支持板43上に配設され、かつ中間部材45によって形成される内部空間に配設し得る、スパイラル状の発熱体素子44を次のようにして作製した。
なお、この発熱体素子44の幅は、中央部で24mm、外周部に向かって徐々に小さくして外周部の一番外側で6mmとした。
【0079】
まず、市販の炭素(無定形炭素)板の表面に、スパッタリング法を用いてチタン膜(膜厚:0.1μm)を被覆し、このチタン膜付き炭素板を発熱体素子44の基材とした。このチタン膜は、炭素板の表面に形成される炭素系被膜がダイヤモンド構造を有するものとなるようにする中間膜である。
次いで、このチタン膜付き炭素板の表面に、実施例1に準じてC−F結合を有する炭素系被膜を形成した。
【0080】
次いで、図7に示すように、発熱体素子44の所定位置に、Ni金属製の給電用端子46、46をそれぞれ機械的かつ電気的に接続し(接続手段は図示せず)、得られた給電用端子46、46付き発熱体素子44を、給電用端子46、46が給電用端子装填用の貫通孔52、52内に、それぞれ装着されるように装填した。
その後、支持板43と、中間部材45と、載置板42とを、ピン部材48を用いて位置決めし、これらピン部材48と、載置板42と支持板43と中間部材45との間に、熱膨張を吸収するためのクリアランス49が形成されるように、支持板43上に、発熱体素子44及び中間部材45を介して載置板42の下面を当接しかつこれを下方より支持する実施例3の加熱装置を得た。
【0081】
「比較例1」
実施例1に準じて、比較例1の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子はタングステン(W)からなるものであった。
【0082】
「比較例2」
実施例1に準じて、比較例2の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子は、C−F結合を有する炭素系被膜が表面に成膜されておらず、基材が炭化珪素焼結体のみからなるものであった。
【0083】
「比較例3」
実施例2に準じて、比較例3の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子はタングステン(W)からなるものであった。
【0084】
「比較例4」
実施例2に準じて、比較例4の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子は、C−F結合を有する炭素系被膜が表面に成膜されておらず、基材が炭化珪素焼結体のみからなるものであった。
【0085】
「比較例5」
実施例3に準じて、比較例5の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子はタングステン(W)からなるものであった。
【0086】
「比較例6」
実施例3に準じて、比較例6の加熱装置を得た。ただし、発熱体素子は、C−F結合を有する炭素系被膜が表面に成膜されておらず、基材が炭化珪素焼結体のみからなるものであった。
【0087】
「評価」
「発熱体素子の耐プラズマ性」
実施例1〜3及び比較例1〜6の加熱装置を、プラズマCVD装置のチャンバー内にそれぞれ設置し、次いで、この加熱装置の載置板上に8インチSiウエハを載置し、圧力1PaのCFガスプラズマ雰囲気下にて600℃で10分間、上記のSiウエハを処理するプラズマ処理を10000回実施した。
その後、加熱装置から発熱体素子を取り出し、この発熱体素子から給電用端子を取り外し、この発熱体素子のみの重量減少率を測定した。
評価結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0003889320
【0089】
表1によれば、実施例1〜3では、発熱体素子の重量減少率がいずれも0%であり、耐プラズマ性が極めて優れていることが分かった。
一方、比較例1〜6では、発熱体素子の重量減少率が15〜40%であり、耐プラズマ性が極めて悪いことが分かった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の加熱装置によれば、載置板と前記支持板との間に設けられた発熱体素子を、導電性セラミックス、耐熱性金属、炭素のうちのいずれか1種からなる基材と、この基材の表面を被覆する被膜とを備え、前記被膜を、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜としたので、載置板と支持板とを接合一体化する必要がなく、これら載置板及び支持板を構成する材料の選定を容易化することができる。
また、発熱体素子が断線した際においても、断線した発熱体素子を容易に交換することができる。
【0091】
また、発熱体素子の基材の表面は、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜により被覆されているので、化学的に非常に安定したものとなり、高温酸化性雰囲気下においても消耗する虞がなく、加熱装置の耐久性を向上させることができ、しかも、被加熱物の汚染源とならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の発熱体素子を示す平面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態の加熱装置を示す断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態の加熱装置の各構成要素を示す断面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態の加熱装置を示す断面図である。
【図5】 本発明の第2の実施形態の加熱装置の各構成要素を示す断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態の加熱装置を示す断面図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態の加熱装置の各構成要素を示す断面図である。
【図8】 従来の加熱装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加熱装置
2 載置板
2a 外周壁部
3 支持板
4 発熱体素子
5 給電用端子
6 熱電対
11 円環状の凸部
11a 内周壁部
12 クリアランス
13 凹部
14 溝
15 貫通孔
16 孔
21 加熱装置
22 載置板
22a 下面
23 支持板
23a 外周壁部
24 発熱体素子
25 給電用端子
26 熱電対
31 溝
32 貫通孔
33 孔
34 円環状の凸部
34a 内周壁部
35 クリアランス
41 加熱装置
42 載置板
43 支持板
44 発熱体素子
45 円環状の中間部材
46 給電用端子
47 熱電対
48 ピン部材
49 クリアランス
51 孔
52 貫通孔
53、55 孔
56 貫通孔

Claims (5)

  1. 被加熱物を載置するセラミックスからなる載置板と、該載置板を下方より支持するセラミックスからなる支持板と、前記載置板と前記支持板との間に設けられ通電により発熱する発熱体素子とを備えてなる加熱装置であって、
    前記発熱体素子は、導電性セラミックス、耐熱性金属、炭素のうちのいずれか1種からなる基材と、この基材の表面を被覆する被膜とを備え、
    前記被膜は、主成分とされる炭素のうち一部の炭素がC−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素系被膜からなることを特徴とする加熱装置。
  2. 前記基材と前記炭素系被膜との間に、層間膜を形成してなることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
  3. 前記層間膜は、炭素拡散防止膜であることを特徴とする請求項2記載の加熱装置。
  4. 前記被膜は、炭素系被膜に、化学気相法によりフッ素化処理、塩素化処理またはヨウ素化処理を施し、前記炭素系被膜の一部の炭素を、C−X結合(ただし、XはF、Cl、Iから選択された1種または2種以上)を有する炭素としてなることを特徴とする請求項1、2または3記載の加熱装置。
  5. 前記炭素系被膜は、ダイヤモンド単結晶体、ダイヤモンド多結晶体、ダイヤモンド様カーボン、グラファイト、非晶質カーボンから選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4記載の加熱装置。
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