JP3889264B2 - 補機駆動用プーリー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばエンジンのクランクシャフトの回転に生じる角速度変動に起因するベルトの張力変動を吸収する補機駆動用プーリーに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の補機駆動用プーリーとしては、例えば自動車におけるエアーコンディショナ、パワーステアリング、オルタネータ、ウォータポンプ等の補機の入力軸(回転軸)に取り付けられたものが知られている。即ち、補機駆動用プーリーは、エンジンのクランクシャフトに取り付けられた駆動用プーリーからベルトを介して回転力の供給を受けて補機を回転駆動するようになっている。
【0003】
ところで、クランクシャフトは、所定の方向に回転すると共に、その回転に重畳するようにして、軸回りに振動するような回転変動が生じている。このため、クランクシャフト側の回転変動に対して、補機内に設けられた回転部材は慣性により一定の回転数で回転しようとするので、ベルトには張力の変動が生じることになる。この張力変動は、ベルトの寿命を早める一つの原因になるので、取り除くことが好ましい。
【0004】
そこで、現在では、回転変動吸収機能を有する補機駆動用プーリーを補機に設けることによって、ベルトの張力変動を吸収することができるようになっており、ベルトの寿命が早まることがない。
【0005】
この補機駆動用プーリーとしては、例えばワンウエイクラッチを所定のプーリーに組み込むことによって、上述した回転変動を吸収するように構成したものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ワンウエイクラッチを組み込んだ補機駆動用プーリーにおいては、そのワンウエイクラッチの構造が複雑になるため、部品点数、重量、占有容積、コスト等の増加を招くという問題があった。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、部品点数、重量、占有容積及びコストの低減を図ることのできる回転変動吸収機能を有する補機駆動用プーリーを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
回転軸に同軸状に固定されるハブと、このハブの外周に回動可能に設けられたプーリー本体と、このプーリー本体とハブとの間の回転力の伝達を行う回転力伝達手段とを備えてなり、前記回転力伝達手段は、前記プーリー本体に設けられた複数の穴部又は孔内のそれぞれに挿入された弾性部材と、この弾性部材を介して前記プーリー本体とハブとの間の回転力の伝達を行う伝達部材とを備え、前記プーリー本体は、中抜き円板状のウエブ部と、このウエブ部の外周側に形成された円筒状のリム部とを有し、ハブに一体的に設けた支持部と、この支持部と一体的に固定されるストッパープレートとでウエブ部を軸受部材を介して回動可能に挟持すると共に、ウエブ部に設けた孔内に弾性部材を配置したことを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ハブに設けた支持部の外周面及びストッパープレートの外周面に、リム部の内周面をそれぞれ軸受部材を介して回動可能に支持したことを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記リム部の内周面が、全周面に亙って前記軸受部材によって支持されていることを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記弾性部材は発泡弾性体であって、この弾性部材はウエブ部に形成した複数の孔とストッパープレート及び支持部とで形成された空間内にそれぞれ一対で配置されると共に、支持部に突設した軸ピンが一対の弾性部材の間を貫通するように配置されていることを特徴としている。
【0015】
そして、上記のように構成された請求項1記載の発明においては、例えば、エンジンからの回転力がベルトを介してプーリー本体に伝達され、更に弾性部材及び伝達部材を介してハブ及び回転軸に伝達されることになる。このため、回転軸が例えば補機の入力軸であれば、その補機を駆動することができる。そして、エンジン等の回転駆動源側の回転に、軸回りに振動するような回転変動が重畳している場合でも、その回転変動を弾性部材の弾性変形によって吸収することができる。従って、プーリー本体に巻回するベルトにかかる張力の変動を低減することができるので、ベルトの寿命の向上を図ることができる。
【0016】
また、弾性部材を用いて回転変動を吸収する構造になっているので、ワンウエイクラッチをプーリーに組み込むようなものと比較して、構造を大幅に簡単化することができる。従って、部品点数、重量、占有容積及びコストの低減を図ることができる。
【0019】
さらに、プーリー本体のウエブ部をハブの支持部とストッパープレートとで挟持すると共に、ウエブ部に設けた孔内に弾性部材を配置しているので、軸方向(幅)を薄く成形でき、小型化、コンパクト化を図れる。
【0020】
請求項2記載の発明においては、ハブの支持部とストッパープレートとの外周面に、リム部の左右の内周面をそれぞれ軸受部材を介して支持しているので、プーリー本体と支持部及びストッパープレートの間の隙間を無くすことができて、ダストや水分等の侵入を防止することができる。従って、内装されている弾性部材の劣化を阻止することができ、耐久性の向上が図れる
また、リム部の左右の内周面が、支持部の外周面及びストッパープレートとの外周面に当接され支持されているので、軸受部材によりプーリー本体の保持力を向上することができる。従って、プーリー本体の倒れを防止でき、対ベルト荷重を大幅に向上することができる。
【0021】
請求項3記載の発明においては、リム部の内周面が、全周面に亙って軸受部材によって支持されているので、軸受部材によりプーリー本体の保持力を大幅に向上することができると共に、プーリー本体を軸方向にも十分支持することができる。従って、プーリー本体の対モーメント荷重を大幅に向上することができる。
【0022】
請求項4記載の発明においては、弾性部材に発泡弾性体を用いることによって、弾性部材が変形するための空間を設ける必要がなく、ウエブ部に形成した孔とハブの支持部及びストッパープレートにより形成された閉じた空間内に配置できるため、小型コンパクト化ができると共に、ダストや水等の侵入を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を実施例に基づき、図1〜図16を参照して説明する。
【0024】
まず、この発明の第1実施例を図1〜図5を参照して説明する。この実施例で示す補機駆動用プーリーPは、図示しない自動車(移動手段)におけるエアコン、パワステ、オルタネータ、ウォータポンプ等の補機の入力軸(回転軸)(図示せず)に設けられたものである。即ち、補機駆動用プーリーPは、自動車のエンジン(内燃機関)におけるクランクシャフトの出力軸部に固定されたプーリーからベルトを介して回転力を受け、この回転力を補機に伝えるようになっている。
【0025】
そして、補機駆動用プーリーPは、図1〜図4に示すように、上述した補機の入力軸に同軸状に固定される筒状のハブ1と、このハブ1の外周に相対的に回動可能に設けられたプーリー本体2と、このプーリー本体2とハブ1との間の回転力の伝達を行う回転力伝達手段3とを備えている。
【0026】
回転力伝達手段3は、前記プーリー本体2に設けられた複数の穴部22a内のそれぞれに挿入された弾性部材4と、この弾性部材4を介してプーリー本体2とハブ1との間の回転力の伝達を行う伝達部材5とを備えている。伝達部材5は、ハブ1に固定される支持部51と、回転力を弾性部材4に作用させる作用突部(作用部)52とを有している。また、ハブ1とプーリー本体2との間には、軸受部材6が介在している。
【0027】
以下、上記構成について更に詳細に説明する。即ち、ハブ1は、軸方向の一方の側に設けられた小径円筒部11と、軸方向の他方の側に設けられ、小径円筒部11と同一軸上に配置された大径円筒部12とを段部13を介して一体に形成したもので構成されている。小径円筒部11は、補機の入力軸に嵌合して固定されるようになっている。大径円筒部12は、その外周に軸受部材6を介してプーリー本体2を保持するようになっている。また、大径円筒部12には、軸方向の他方の端部外周に環状のリブ12aが形成されている。なお、小径円筒部11の内面には、図示を省略するが、キー溝やセレーション等の補機の入力軸にトルクを伝達するための手段が設けられている。
【0028】
プーリー本体2は、最も内側に位置する円筒状のボス部21と、このボス部21の外周側に形成された円板状のウエブ部22と、このウエブ部22の外周側に形成された円筒状のリム部23とにより一体に形成されている。ウエブ部22の一側面には、図2及び図5に示すように、上述した穴部22aが周方向に4等分する位置に設けられている。各穴部22aは、ボス部21の外周面及びリム部23の内周面に沿って一定の幅で円弧を描くように長く延び、かつ有底の溝状に形成されている。なお、穴部22aは、軸方向の他方の側に開口している。また、リム部23の外周には、ベルトを巻回するためのV字状の溝23aが複数設けられている。
【0029】
回転力伝達手段3における弾性部材4は、図1及び図2に示すように、穴部22aに沿うように円弧状に形成されており、その幅が穴部22aに嵌まるような寸法に形成されている。また、弾性部材4の円弧方向の長さは、穴部22a内に挿入される2つの弾性部材4の間に伝達部材5の作用突部52が隙間なく入るような寸法に形成されている。そして、弾性部材4は、穴部22aの底に当接するように挿入された状態において、その上面がウエブ部22の他方の端面に面一状となるような厚さに形成されている。なお、弾性部材4としては、発泡ウレタンや発泡ラバー等の発泡弾性体、合成ゴム、シリコンゴム等の材料で成形したものが採用可能であるが、特に耐熱性を有するもので構成することが好ましい。
【0030】
伝達部材5における支持部51は、中空円板部51aと、この中空円板部51aの外周縁部から軸方向の一方の側に延びる円筒部51bとにより一体に形成されている。中空円板部51aは、上記リブ12aの他方の側の端面に当接して、複数のボルトBによりリブ12aに固定されるようになっている。円筒部51bは、リブ12aの外周面を囲むような大きさに形成されていると共に、その一方の側の端面が穴部22aに対向するように形成されている。作用突部52は、円筒部51bの一方の端面から突出し、各穴部22a内の各弾性部材4間に入るように形成されている。即ち、作用突部52は、円筒部51bの一方の端面の周方向に4等分する位置に設けられ、かつその断面形状が各弾性部材4の互いに対向端面と密接するように四角形状に形成されている。また、円筒部51bの一方の端面は、中空円板部51aがリブ12aに固定された状態において、弾性部材4から、即ちウエブ部22の他方の側の端面から所定量(0.5〜2mm程度)離れた位置となるように形成されており、弾性部材4が後述する弾性変形によって外側に膨らむのを許容すると共に、同弾性部材4が穴部22aから脱落するのを防止するようになっている。ただし、弾性部材4に発泡弾性体を用いた場合には、この弾性部材4が膨らむための空間を設ける必要がないので、円筒部51bの一方の端面を弾性部材4に当接させるようにしてもよい。
【0031】
軸受部材6は、第1のメタルベアリング61と、この第1のメタルベアリング61とは別体の第2のメタルベアリング62とによって構成されている。第1のメタルベアリング61は、大径円筒部12の外周面に嵌合するとと共に、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の一方の端面に摺動自在に当接する中空状の円板によって形成されている。なお、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の一方の端面は、軸方向に直交すると共に、面一状に形成されている。第2のメタルベアリング62は、大径円筒部12の外周面とボス部21の内周面との間にあって、これらと摺動自在に嵌合する円筒部62aと、この円筒部62aの軸方向の他方の端部から半径方向外側に突出し、ボス部21の他方の端面に摺動自在に当接するリブ部62bとにより形成されている。
【0032】
そして、プーリー本体2は、ハブ1の大径円筒部12の外周に軸受部材6を介して嵌合され、リブ12aと、ストッパリング71によって軸方向への移動が拘束されるようになっている。ストッパリング71は、第1のメタルベアリング61に当接した状態で、ハブ1に固定されるようになっている。なお、ストッパリング71はハブ1に対して着脱が可能になっている。また、このストッパリング71に軸方向位置の調整機能を持たせてもよい。
【0033】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPを組み立てるには、まず弾性部材4をプーリー本体2の各穴部22aに挿入する。この際、弾性部材4は、穴部22aの長手方向の両側に押し付けるように挿入する。これにより、2つの弾性部材4の間に作用突部52を挿入する空間が生じる。そして、プーリー本体2及び軸受部材6をハブ1の大径円筒部12に嵌合してから、ストッパリング71をハブ1に固定する。次に、作用突部52を上記弾性部材4の間の空間に挿入しながら、中空円板部51aを大径円筒部12の外周面に嵌合し、同中空円板部51aをボルトBでリブ12aに固定する。これにより、補機駆動用プーリーPの組立が完了する。なお、弾性部材4は、プーリー本体2をハブ1に取り付けた後に、各穴部22aに挿入するようにしてもよい。
【0034】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、図示しないエンジンの回転力がベルトを介してプーリー本体2に伝達され、更に弾性部材4、作用突部52及び支持部51を介してハブ1に伝達されることになる。そして、クランクシャフトの回転に生じる角速度変動に起因するベルトの回転変動を、プーリー本体2からハブ1に回転力が伝達する間に弾性部材4の弾性変形により吸収することができる。従って、プーリー本体2に巻回するベルトにかかる張力の変動を低減することができるので、ベルトとV溝23aの摩耗や異音の発生を防止できると共にベルトの寿命を向上させることができる。
【0035】
また、ウエブ部22の一側面と、ボス部21の外周面及びリム部23の内周面で形成される穴部22に配置した弾性部材4を用いて回転変動を吸収する構造になっているので、ワンウエイクラッチをプーリーに組み込む場合に比べて、構造が極めて簡単で組立てが容易になる。このため、部品点数の低減、軽量化、小型化、コストの低減等を図ることができる。しかも、支持部51がハブ1にボルトBで確実に固定されているので、支持部51を介してハブ1に回転力を確実に伝達することができる。
【0036】
更に、ハブ1とプーリー本体2との間に軸受部材6を介在させているので、弾性部材4の弾性変形に伴って生じるハブ1とプーリー本体2との間の相対回転が極めて滑らかになる。従って、摩擦によるエネルギの損失、寿命の低下を防止することができる。
【0037】
次に、この発明の第2実施例を図6〜図11を参照して説明する。ただし、第1実施例の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。この第2実施例が第1実施例と異なる点は、ハブ1、軸受部材6、ウエブ部22等の構造が異なる点である。
【0038】
即ち、ハブ1は、円筒部14と、この円筒部14の軸方向の一端外周から半径方向外側に円形状に突出する支持板(支持部)15とにより一体に形成されている。支持板15には、周方向に3等分する位置に軸ピン(作用部)53を挿通固定するための貫通孔15aが形成されている。
【0039】
軸受部材6は、2つのメタルベアリング63を同軸線上に配置したもので構成されている。即ち、各メタルベアリング63は、円筒部63aと、この円筒部63aの軸方向の一端外周から半径方向外側に突出するリブ部63bとにより一体に形成されている。そして、各メタルベアリング63は、円筒部63aが円筒部14の外周面とボス部21の内周面との間に挿入されてこれらと摺動自在になっており、リブ部63bがボス部21の一端面又は他端面に摺動自在に当接されるようになっている。
【0040】
プーリー本体2のウエブ部22には、軸方向に貫通する孔からなる3つの穴部22bが形成されている。各穴部22bは、プーリー本体2の周方向に3等分する位置にあって、その周方向に円弧状に長く形成されている。また、各穴部22bは、軸心からの半径方向の位置が支持板15の貫通孔15aと一致している。
【0041】
従って、貫通孔15aを挿通する軸ピン53の先端がそのまま穴部22bを挿通するようになっている。ただし、軸ピン53は、2つの弾性部材4の互いに対向する端部に当接した状態で穴部22b内を挿通するようになっている。更に、穴部22bの周方向の各端部は、半円状の凸状に丸められており、ベルトからプーリー本体2に作用する回転力に対して応力集中の緩和を図るようになっている。
【0042】
弾性部材4は、穴部22bにおいて互いに対向する位置となる端面が半円状の凹状に形成されていて、断面円形状の軸ピン53の外周面に確実に密着するようになっている。そして、弾性部材4は、ウエブ部22の軸方向の一方及び他方の端面に面一状となるような厚さに形成されている。
【0043】
また、円筒部14の外周には、ボス部21及び軸受部材6を挟んで支持板15と反対側の位置にストッパプレート54が嵌合されている。ストッパプレート54は、中空の円板状に形成されており、その外周寄りの位置には支持板15における各貫通孔15aに対応する位置に貫通孔54aが形成されている。
【0044】
軸ピン53は、図7に示すように、支持板15の貫通孔15aに圧入固定されると共に、穴部22bにおける弾性部材4の間及びストッパプレート54の貫通孔54aを貫通した後、その先端部がかしめられることによって、ストッパプレート54及び支持板15に固定されるようになっている。また、軸ピン53は、支持板15の外面に当接する頭部53aを有し、その支持板15の外面からストッパプレート54の内面までの部分が円形断面形状の主ピン部53bになっており、更にストッパプレート54の貫通孔54aを貫通する部分が段部53dを介してより小径に形成され、この小径部がかしめ部53cになっている。
【0045】
そして、支持板15及びストッパプレート54は、それぞれの半径方向内側の部分の内面がメタルベアリング63のリブ部63bに摺接していると共に、それぞれの半径方向の外側の部分の内面がウエブ部22の穴部22bを覆う位置にあって、同ウエブ部22の一方の端面及び他方の端面に近接した状態になっている。支持板15及びストッパプレート54の半径方向の外側の部分の内面は、ウエブ部22及び弾性部材4から所定量(0.25〜1mm程度)離れた状態に維持されるようになっており、弾性部材4が弾性変形によって外側に膨らむのを許容すると共に、同弾性部材4が穴部22bから脱落するのを防止するようになっている。ただし、弾性部材4に発泡弾性体を用いた場合には、この弾性部材4が膨らむための空間を設ける必要がないのでウエブ部22の両側面に支持板15及びストッパプレート54の外周部分内面をそれぞれ当接させるようにしてもよい。この場合、弾性部材4や軸受部材6へのダストや水等の侵入を防止でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
なお、支持板15と軸ピン53によって伝達部材5が構成され、伝達部材5と弾性部材4によって回転力伝達手段3が構成されている。
【0047】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、ウエブ部22に設けた孔内に弾性部材4を配置し、支持板15とストッパプレート54で挟むようにしているので、軸方向の幅を薄く成形でき、部品点数の低減、小型化、軽量化、組立性の向上等を更に図ることができる。また、同一形状の2つのメタルベアリング63によって軸受部材6を構成しているので、部品の種類の低減を図ることができる。その他、上記第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【0048】
次に、この発明の第3実施例を図12及び図13を参照して説明する。ただし、第2実施例の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。この第3実施例が第2実施例と異なる主な点は、プーリー本体2におけるボス部21とウエブ部22の軸方向の幅を同一にし、これに伴いメタルベアリング63等の構造を変更している点である。
【0049】
即ち、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の厚さを同一に形成したのに伴い、メタルベアリング63のリブ部63bをボス部21及びウエブ部22の一方及び他方の端面に摺動自在に当接するように形成している。なお、リブ部63bは、図13に示すように、その外周縁がリム部23の内周面に近接する位置まで延びており、支持板15の貫通孔15aに対応する位置には軸ピン53の主ピン部53bが嵌合する貫通孔63cが形成されている。
【0050】
また、支持板15及びストッパプレート54は、上記リブ部63bの外面に摺動自在に当接するように平板状に形成されている。なお、弾性部材4は、ウエブ部22の一方及び他方の端面から所定量(0.25〜1mm程度)穴部22bの内側に入るように、その軸方向の寸法(厚さ)が設定されており、軸ピン53からの外力によって外側に膨らむのが許容されるようになっている。ただし、弾性部材4に発泡弾性体を用いた場合には、この弾性部材4膨らむための空間を設ける必要はない。
【0051】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、支持板15及びストッパプレート54を平板状に形成するだけでよいので、軸方向の幅を更に薄く成形でき、構造の簡素化、小型化、軽量化等を更に図ることができる。その他、上記第2実施例と同様の作用効果を奏する。
【0052】
次に、この発明の第4実施例を図14を参照して説明する。ただし、第3実施例の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。この第4実施例が第3実施例と異なる主な点は、軸受部材6の構造が異なる点である。
【0053】
即ち、軸受部材6は、第1のメタルベアリング64と、この第1のメタルベアリング64とは別体の第2のメタルベアリング65とによって構成されている。
【0054】
第1のメタルベアリング64は、ハブ1における円筒部14の外周面とボス部21の内周面との間にあって、これらと摺動自在に嵌合する円筒部64aと、この円筒部64aの軸方向の一方の端部から半径方向外側に突出し、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の一方の端面に摺動自在に当接するリブ部64bとにより一体に形成されている。第2のメタルベアリング65は、円筒部14の外周面に所定の間隔をあけて嵌合するとと共に、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の他方の端面に摺動自在に当接する円環状の板によって形成されている。なお、ボス部21及びウエブ部22の軸方向の一方及び他方の端面は、第3実施例と同様に軸方向に直交すると共に、面一状に形成されている。尚、第1のメタルベアリング64の円筒部64aとリブ部64bを別体として、軸受部材4を3部品で構成してもよい。
【0055】
また、リブ部64b及び第2のメタルベアリング65のそれぞれには、支持板15の貫通孔15aに対応する位置に、軸ピン53の主ピン部53bが嵌合する貫通孔64c及び貫通孔65aが形成されている。
【0056】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、円筒部14の外周面とボス部21の内周面との間に介在される軸受メタルが一つの円筒部64aによって構成されることになるので、円筒部14の外周面及びボス部21の内周面を偏りなく安定的に支持することができる。
【0057】
次に、この発明の第5実施例を図15及び図16を参照して説明する。ただし、第4実施例の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。この第5実施例が第4実施例と異なる主な点は、プーリー本体2のウエブ部22からボス部が切除されている点と軸受部材6の構造が異なる点である。
【0058】
すなわち、プーリー本体2のウエブ部22は、図16に示すように、中抜き円板状を有し、その内周面に複数の穴部22bとして3つの切り欠きが扇状に形成されると共に、この切り欠き以外の内周面が軸受部材6の下記する第3のメタルベアリングを介してハブ2の外周面に回動可能に支持されている。
【0059】
また、軸受部材6の外周面をプーリー本体2のリム部23の内周面に当接したことを特徴としている。そして、このように、外周面がリム部23の内周面に当接されている軸受部材6は、図示したように、この当接されている部分Tの内周面が、前記ハブ1の支持部15の外周面と当接され支持されている。さらに、この実施例においては、リム部23の内周面が、全周面に亙って前記軸受部材6の当接部Tによって支持されている。
【0060】
軸受部材6は、第1のメタルベアリング64と、この第1のメタルベアリング64とは別体の第2のメタルベアリング65及び第3のメタルベアリング66とによって構成されている。第1及び第2のメタルベアリング64、65は共に、プーリー本体2のリム部23の内周面に当接される部分Tが形成されている。そして、この当接部Tの一端を半径方向内方へ折り曲げて断面L字状に形成されており、第1及び第2のメタルベアリングは左右対象で同一部品を使用可能である。また、第3のメタルベアリング66は、円筒状に形成され、ハブの外周面とウエブ部の内周面との間に配置されている。
【0061】
また、第1のメタルベアリング64と第2のメタルベアリング65のそれぞれには、支持板15の貫通孔15aに対応する位置に、軸ピン53の主ピン部53bが嵌合する貫通孔が形成されている。
【0062】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、軸受部材6の外周面がリム部23の内周面に当接されているので、プーリー本体2のリム部23と軸受部材6との間の隙間を無くすことができて、ダストや水分等の侵入を防止することができ、内装されている弾性部材4の劣化を阻止することができる。そして、このように、外周面がリム部23の内周面に当接されている軸受部材6は、この当接されている部分Tの内周面が、前記ハブ1の支持部15の外周面と当接され支持されているので、軸受部材6によりプーリー本体2のリム部23の保持力を向上することができ、対ベルト荷重を大幅に向上することができる。
【0063】
さらに、リム部23の内周面を、全周面に亙って軸受部材6の当接部Tによって支持することにより、軸受部材6の当接部Tによりプーリー本体2の保持力を大幅に向上することができると共に、プーリー本体2を軸方向にも十分支持することができる。従って、プーリー本体の対モーメント荷重を大幅に向上することができる。
【0064】
さらにまた、ウエブ部22として必要な半径方向幅を小さくできるので、プーリー本体の小径化が図れ、小型化できる。
【0065】
上記のように構成された補機駆動用プーリーPにおいては、プーリー本体2のリム部23と軸受部材6との間の隙間を無くすことができて、ダストや水分等の侵入を防止することができ、内装されている弾性部材4の劣化を阻止することができる一方、プーリー本体2のリム部23の保持力を向上することができ、対ベルト荷重を大幅に向上することができる。さらに、軸受部材6の当接部Tによりプーリー本体2の保持力を大幅に向上することができると共に、プーリー本体2を軸方向にも十分支持することができ、プーリー本体の対モーメント荷重を大幅に向上することができる。
【0066】
なお、上記各実施例においては、軸受部材6としてメタルベアリング、即ち滑り軸受を採用したが、この軸受部材6としては、ボールベアリングやニードルベアリングなどの転がり軸受を採用するようにしてもよい。転がり軸受を採用した場合には、その転がり軸受を、大径円筒部12とボス部21との間や、円筒部14とボス部21との間に挿入することになる。
【0067】
また、上記各実施例で示したような滑り軸受を採用する場合には、外部からの潤滑油の供給を不要とする含油軸受などの無給油型の滑り軸受を採用することが好ましい。
【0068】
【発明の効果】
請求項1に係る発明においては、弾性部材を用いて回転変動を吸収する構造になっているので、ワンウエイクラッチをプーリーに組み込むようなものに比べて、構造が極めて簡単になる。従って、部品点数、重量、占有容積及びコストの低減を図ることができる。
【0071】
また、プーリー本体のウエブ部をハブの支持部とストッパープレートとで挟持すると共にウエブ部に設けた孔内に弾性部材を配置しているので、軸方向(幅)を薄く成形でき、小型化、コンパクト化を図れる。
【0072】
請求項2記載の発明においては、ハブの支持部とストッパープレートとの外周面にリム部の左右の内周面をそれぞれ軸受部材を介して支持しているので、プーリー本体と支持部及びストッパープレートとの間の隙間を無くすことができて、ダストや水分等の侵入を防止することができる。従って、内装されている弾性部材の劣化を阻止することができ、耐久性の向上が図れる。
【0073】
また、リム部の左右の内周面が、支持部の外周面及びストッパープレートの外周面に当接され支持されているので、軸受部材によりプーリー本体の保持力を向上することができる。従って、プーリー本体の倒れを防止でき、対ベルト荷重を大幅に向上することができる。
【0074】
請求項3記載の発明においては、リム部の内周面が、全周面に亙って軸受部材によって支持されているので、軸受部材によりプーリー本体の保持力を大幅に向上することができると共に、プーリー本体を軸方向にも十分支持することができる。従って、プーリー本体の対モーメント荷重を大幅に向上することができる。
【0075】
請求項4記載の発明においては、弾性部材に発泡弾性体を用いることによって、弾性部材が変形するための空間を設ける必要がなく、ウエブ部に形成した孔とハブの支持部及びストッパプレートにより形成された閉じた空間内に弾性部材を配置できるため小型化、コンパクト化が図れると共に、ダストや水等の侵入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例として示した補機駆動用プーリーの断面図である。
【図2】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図1のIII矢視図である。
【図4】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図1のIV矢視図である。
【図5】同補機駆動用プーリーのプーリー本体を示す正面図である。
【図6】この発明の第2実施例として示した補機駆動用プーリーの断面図である。
【図7】同補機駆動用プーリーの要部断面図である。
【図8】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図6のVIII−VIII線に沿う断面である。
【図9】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図6のIX矢視図である。
【図10】同補機駆動用プーリーを示す図であって、図6のX矢視図である。
【図11】同補機駆動用プーリーのプーリー本体を示す正面図である。
【図12】この発明の第3実施例として示した補機駆動用プーリーの断面図である。
【図13】同補機駆動用プーリーの要部断面図である。
【図14】この発明の第4実施例として示した補機駆動用プーリーの要部断面図である。
【図15】この発明の第5実施例として示した補機駆動用プーリーの要部断面図である。
【図16】図15の断面図。
【符号の説明】
1 ハブ
2 プーリー本体
3 回転力伝達手段
4 弾性部材
5 伝達部材
6 軸受部材
15 支持板(支持部)
22a、22b 穴部(孔)
51 支持部
52 作用突部(作用部)
53 軸ピン(作用部)
Claims (4)
- 回転軸に同軸状に固定されるハブと、このハブの外周に回動可能に設けられたプーリー本体と、このプーリー本体とハブとの間の回転力の伝達を行う回転力伝達手段とを備えてなり、
前記回転力伝達手段は、前記プーリー本体に設けられた複数の穴部又は孔内のそれぞれに挿入された弾性部材と、この弾性部材を介して前記プーリー本体とハブとの間の回転力の伝達を行う伝達部材とを備え、
前記プーリー本体は、中抜き円板状のウエブ部と、このウエブ部の外周側に形成された円筒状のリム部とを有し、ハブに一体的に設けた支持部と、この支持部と一体的に固定されるストッパープレートとでウエブ部を軸受部材を介して回動可能に挟持すると共に、ウエブ部に設けた孔内に弾性部材を配置したことを特徴とする補機駆動用プーリー。 - ハブに設けた支持部の外周面及びストッパープレートの外周面に、リム部の内周面をそれぞれ軸受部材を介して回動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の補機駆動用プーリー。
- 前記リム部の内周面が、全周面に亙って前記軸受部材によって支持されていることを特徴とする請求項2記載の補機駆動用プーリー。
- 前記弾性部材は発泡弾性体であって、この弾性部材はウエブ部に形成した複数の孔とストッパープレート及び支持部とで形成された空間内にそれぞれ一対で配置されると共に、支持部に突設した軸ピンが一対の弾性部材の間を貫通するように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の補機駆動用プーリー。
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