JP2024024194A - 軸構造 - Google Patents

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Masanori Isogai
和正 渡辺
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優 赤井
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Abstract

【課題】弾性部の寿命の向上を図ることができる軸構造を提供する。【解決手段】軸構造(バランスシャフト10)は、軸C周りに回転するシャフト部20と、シャフト部20の外周に配置されるギヤ部30と、弾性変形可能な弾性部43を有し、シャフト部20とギヤ部30との間に配置されるギヤダンパ40と、を備える。シャフト部20は、外周から張り出してギヤ部30と軸C方向に接触する鍔部23を有する。弾性部43は、自身の弾性復元力による付勢力によってギヤ部30を鍔部23に軸C方向で押し付けている。【選択図】図2

Description

本開示は、軸構造に関する。
従来の軸構造として、例えば、特許文献1に開示された装置が知られている。軸構造は、従動ギヤとバランスシャフトとを備えている。従動ギヤは、内燃機関のクランクシャフトのギヤと噛み合う。バランスシャフトは、内燃機関におけるハウジングに回転可能に支持されており、従動ギヤの回転に伴って回転する。この軸構造は、従動ギヤとバランスシャフトの間に弾性体を配置している。弾性体は、クランクシャフトから伝達されるトルクの変動を吸収するダンパとして機能する。
特開2022-026420号公報
特許文献1の弾性体は、入力されるトルクの変動を吸収するにあたり、負荷に応じて弾性変形を生じさせる。弾性体は、弾性変形を繰り返すことによって徐々に疲労し、いずれはダンパとしての十分な機能を発揮できなくなってしまう。このような弾性体の寿命向上は、装置の寿命向上に繋がる。
そこで、本開示は、弾性部の寿命の向上を図ることができる軸構造を提供することを目的とする。
本開示の軸構造は、軸周りに回転するシャフト部と、前記シャフト部の外周に配置されるギヤ部と、弾性変形可能な弾性部を有し、前記シャフト部と前記ギヤ部との間に配置されるギヤダンパと、を備え、前記シャフト部は、外周から張り出して前記ギヤ部と前記軸方向に接触する鍔部を有し、前記弾性部は、自身の弾性復元力による付勢力によって前記ギヤ部を前記鍔部に前記軸方向で押し付けている。
軸構造は、弾性部によってギヤ部が鍔部に押し付けられる。これによって、ギヤ部に対してトルクが入力されると、ギヤ部と鍔部との間には摩擦が生じる。この摩擦力は、シャフト部を回転させようとする力として作用する。すなわち、ギヤ部に入力されるトルクは、弾性部のみならず、ギヤ部と鍔部との間の摩擦によってもシャフト部に伝達される。本開示に係る軸構造は、ギヤ部からシャフト部へのトルクを弾性部のみで受ける場合と比較して、弾性部に作用するトルクを軽減でき、弾性部の寿命の向上を図ることができる。
図1は、実施例1に係る軸構造を示す斜視断面図である。 図2は、実施例1に係る軸構造を示す要部拡大断面図である。 図3は、実施例1に係る軸構造を示す更なる要部拡大断面図である。 図4は、実施例1に係る軸構造において、ギヤダンパを組み付ける前の状態を示す要部拡大断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の好ましい形態を以下に示す。
前記付勢力は、自然状態よりも伸長した状態からの弾性復元力であるのが好ましい。この構成によれば、付勢力として、弾性部が自然状態よりも収縮した状態からの弾性復元力を利用する場合と比較して、簡易な構成とすることができる。
前記ギヤダンパは、前記弾性部の内周側に連結される内環部と、前記弾性部の外周側に連結される外環部と、を有し、前記内環部は、前記シャフト部における前記軸方向を向いたシャフト側接触面に接触する内フランジを具備し、前記外環部は、前記ギヤ部における前記軸方向を向いたギヤ側接触面に接触する外フランジを具備し、前記シャフト側接触面と前記ギヤ側接触面との間には、前記シャフト側接触面を前記ギヤ側接触面よりも前記軸方向に引っ込ませた段差が形成されており、前記弾性部は、前記内環部と前記外環部との間において、前記段差に対応して斜めに掛け渡された状態にされているとよい。この構成によれば、弾性部による軸方向の付勢力によってギヤ部を鍔部に押し付ける構成を、簡易な構成で実現することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、一部の部材の形状を特定する際に用いる「円環状」との用語は、「円筒状」または「円管状」と言い換えることができる。
<実施例1>
本実施形態の実施例1は、本開示に係る軸構造として、図1に示すバランスシャフト10を例示する。バランスシャフト10は、内燃機関としてのレシプロエンジンの振動を抑制するものである。バランスシャフト10は、図示しない内燃機関のクランクシャフトの回転が伝達され、クランクシャフトと同期して回転し、クランクシャフトの振動を低減する。バランスシャフト10は内燃機関における図示しないハウジングに回転可能に支持されている。
図1から図3に示すように、バランスシャフト10は、シャフト部20と、ギヤ部30と、ギヤダンパ40と、を有している。シャフト部20は、軸Cに沿って延びている。シャフト部20は、軸C周りに回転する。シャフト部20は、シャフト本体21と、拡径部22と、鍔部23と、を有している。シャフト本体21は軸Cに沿って延びる円柱状である。本実施例において、軸方向とは軸Cに沿った方向、軸周りとは軸C周りと同義である。
拡径部22は、シャフト本体21と一体に連続している。拡径部22は、シャフト本体21から径方向外側に張り出した形態であり、シャフト本体21の外径よりも大きな外径を有する円板状をなしている。拡径部22は、外周面22Aにおいて、ギヤ部30における後述する内周面30Aと摺動可能である。図4に示すように、拡径部22の外周面22Aは、ギヤ部30における後述する大径部33の内周面との間に凹部11を形成する。鍔部23は、拡径部22の外周面22Aから径方向外側に張り出した鍔状に形成されている。鍔部23は、ギヤ部30と軸方向で接触する。鍔部23は、拡径部22の外周面22Aにおける軸C方向の他側の端部に形成されている。鍔部23の軸方向の一側の端面23Aは、ギヤ部30における後述する端面30Cと接触する。
シャフト部20は、シャフト本体21の中心部(軸心部)において軸方向に沿った油路24と、油路24から径方向に分岐した分岐路25と、を有している。油路24を流れる潤滑油は、分岐路25を介して拡径部22の外周面22Aとギヤ部30の内周面30Aとの間に供給される。シャフト部20はウェイト部26を有している。ウェイト部26は、シャフト本体21の軸方向一側の端部に取り付けられている。ウェイト部26は、シャフト本体21の軸心に対して偏心している。シャフト本体21の軸方向他側の端部には、ウェイト部26と同様の図示しないウェイト部が周方向においてウェイト部26と180度反対側の位置に取り付けられている。
シャフト部20はシャフト側接触面20Aを有している。シャフト側接触面20Aは、拡径部22において軸C方向の一側を向いた面である。シャフト側接触面20Aには、後述する内環部41の内フランジ部41Aが接触する。
図1から図3に示すように、ギヤ部30は、円環状をなしており、シャフト部20における拡径部22の外周に配置される。ギヤ部30は、外周側の合成樹脂製の歯部31と内周側の金属製の基部32とをインサート成形によって一体化してなる。ギヤ部30は、歯部31においてクランクシャフトの図示しない駆動ギヤと噛み合う。ギヤ部30の内周面30Aは、シャフト部20における拡径部22の外周面22Aの外径よりも僅かに大きな内径で形成されている。ギヤ部30は、いわゆるすきまばめ程度の嵌め合いで拡径部22に嵌め込まれており、シャフト部20に対して周方向及び軸方向に移動可能である。ギヤ部30は、拡径部22に正規に嵌め込まれた状態では、ギヤ部30における軸方向他側の端面30Cが鍔部23に接触した状態とされる。
ギヤ部30は大径部33を有している。大径部33は、ギヤ部30における軸方向一側の内周に設けられている。大径部33は、内周面30Aの内径よりも大きな内径で形成されている。大径部33の内周には、ギヤダンパ40における後述する外環部42が圧入される。
ギヤ部30はギヤ側接触面30Bを有している。ギヤ側接触面30Bは、ギヤ部30において軸C方向の一側を向いた面である。ギヤ側接触面30Bは、大径部33の内周面における軸C方向の一側の端縁から径方向外側に拡がっている。ギヤ側接触面30Bには、後述する外環部42の外フランジ部42Aが接触する。ギヤ側接触面30Bは、シャフト側接触面20Aとの間に段差12を形成している。図4に示すように、段差12は、シャフト側接触面20Aをギヤ側接触面30Bよりも軸C方向の他側に引っ込ませた形態である。
ギヤダンパ40は、シャフト部20における拡径部22の外周面22Aと、ギヤ部30における大径部33の内周面とによって区画される凹部11に嵌め込まれる。ギヤダンパ40はダンパ機能を有している。ギヤダンパ40は、クランクシャフトからバランスシャフト10に伝達されるトルクの変動を吸収(抑制)する役割を有している。また、ギヤダンパ40は、ギヤ部30の歯部31と、これに噛み合う図示しないクランクシャフト側のギヤとの歯打ち音の低減にも寄与する。
ギヤダンパ40は、内環部41と、外環部42と、弾性部43と、を有している。内環部41は、金属製の円環状の部材である。内環部41は内フランジ部41Aを有している。内フランジ部41Aは、軸C方向の一側の端部から内周側に拡がる。これにより、内環部41は断面L字状をなしている。内環部41は、シャフト部20における拡径部22の外周に圧入されている。内環部41は、内フランジ部41Aにおいて、シャフト部20における軸C方向の一側を向いた面であるシャフト側接触面20Aに接触している。
外環部42は、内環部41と同様、金属製の円環状の部材である。外環部42は外フランジ部42Aを有している。外フランジ部42Aは、軸C方向の一側の端部から径方向外側に拡がって形成されている。外環部42は、内環部41がなす断面形状と径方向において対称な断面L字状をなしている。外環部42における軸方向の長さは、内環部41における軸方向の長さと同等である。外環部42は、ギヤ部30における大径部33の内周に圧入されている。外環部42は、外フランジ部42Aにおいて、ギヤ部30における軸C方向の一側を向いた面であるギヤ側接触面30Bに接触している。
弾性部43は、シャフト部20とギヤ部30との間に弾性変形可能に配置される。本実施例の弾性部43は、内環部41及び外環部42を介して、シャフト部20とギヤ部30との間に配置される。弾性部43は、ゴム製またはエラストマ製の円環状の部材である。弾性部43は、内環部41と外環部42との間に径方向に挟まれた状態に配置される。弾性部43は、外環部42の内周面、及び内環部41の外周面のそれぞれに、加硫接着されている。
図4に示すように、ギヤダンパ40は、弾性部43が弾性変形していない自然状態にある場合、内環部41における内フランジ部41Aと外環部42における外フランジ部42Aとが径方向で直列した形態である。ギヤダンパ40は、弾性部43が弾性変形していない自然状態にある場合、内環部41と外環部42の軸方向両側の端面が略面一となっている。図3に示すように、ギヤダンパ40は、凹部11に正規に圧入固定された状態にある場合、内環部41及び外環部42が段差12に対応して配置される。すなわち、凹部11に正規に圧入固定された状態にある場合、ギヤダンパ40は、内環部41が外環部42よりも軸C方向の他側に位置する。この状態において、弾性部43は、内環部41と外環部42との間で斜めに掛け渡された状態にされている。この状態において、弾性部43は、自然状態よりも軸Cの方向に伸長した状態である。この状態において、弾性部43は、弾性復元力による付勢力を軸Cの方向に作用させ、ギヤ部30を鍔部23に押し付けている。
本実施例1のバランスシャフト10の構造は上記のとおりであり、続いて、作用効果を説明する。
バランスシャフト10は、ギヤダンパ40が凹部11に圧入されて固定されることにより、シャフト部20とギヤ部30とがギヤダンパ40を介して一体化される。ギヤ部30に対してクランクシャフトからのトルクが入力されると、ギヤダンパ40を介してシャフト部20にトルクが伝達され、バランスシャフト10が回転する。この時、ギヤダンパ40は、弾性部43においてトルクの変動を吸収しつつ、ギヤ部30からシャフト部20へトルクを伝達する。
バランスシャフト10において、弾性部43は、弾性復元力による付勢力を付与してギヤ部30を鍔部23に押し付けている。この状態においてギヤ部30に対してトルクが入力されると、ギヤ部30における端面30Cと、鍔部23における端面23Aと、の間に摩擦力が生じる。この摩擦力は、ギヤ部30からシャフト部20へのトルクの伝達の一部を負担する。弾性部43は、ギヤ部30からシャフト部20へのトルクの他の一部のみを伝達する。このため、弾性部43は、ギヤ部30からシャフト部20へのトルクの全てを伝達する場合と比較して負荷が軽減され、長寿命化される。
バランスシャフト10において、弾性部43による付勢力は、自然状態よりも伸長した状態からの弾性復元力である。このため、例えば付勢力として、弾性部が自然状態よりも収縮した状態からの弾性復元力を利用する場合と比較して、簡易な構成とすることができる。
バランスシャフト10において、ギヤダンパ40は、内環部41及び外環部42を有している。内環部41は、弾性部43の内周側に連結される。外環部42は、弾性部43の外周側に連結される。内環部41は、シャフト部20におけるシャフト側接触面20Aに接触する内フランジ部41Aを具備する。外環部42は、ギヤ部30におけるギヤ側接触面30Bに接触する外フランジ部42Aを具備する。シャフト側接触面20Aとギヤ側接触面30Bとの間には、シャフト側接触面20Aをギヤ側接触面30Bよりも軸方向に引っ込ませた段差12が形成されている。弾性部43は、内環部41と外環部42との間において、段差12に対応して斜めに掛け渡された状態にされている。このため、バランスシャフト10は、弾性部43による軸方向の付勢力によってギヤ部30を鍔部23に押し付ける構成を、簡易な構成で実現することができる。
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、軸構造はバランスシャフトの構造であったが、他の実施形態としては、軸構造は、バランスシャフト以外の回転軸の構造であってもよい。
上記実施形態の場合、鍔部は拡径部に設けられていたが、他の実施形態としては、鍔部はシャフト本体の外周に直接的に設けられていてもよい。
上記実施形態の場合、弾性部は、自然状態よりも伸長した状態からの弾性復元力を付勢力として付与したが、自然状態よりも圧縮した状態からの弾性復元力を付勢力として付与してもよい。
上記実施形態の場合、段差は、シャフト側接触面をギヤ側接触面よりも軸方向に引っ込ませて形成したが、ギヤ側接触面をシャフト側接触面よりも軸方向に突出させて形成してもよい。
上記実施形態の場合、弾性部は、内環部と外環部の間に設けられたが、他の実施形態としては、弾性部は、シャフト部及びギヤ部の少なくとも一方に直接的に接触していてもよい。また、弾性部は、シャフト部と前記ギヤ部との間に弾性変形可能に配置され、弾性復元力による付勢力を付与してギヤ部を鍔部に押し付けるものであれば特に限定されず、例えば、コイルばね、皿ばね等であってもよい。
10…バランスシャフト(軸構造)
12…段差
20…シャフト部
20A…シャフト側接触面
23…鍔部
30…ギヤ部
30B…ギヤ側接触面
40…ギヤダンパ
41…内環部
41A…内フランジ部
42…外環部
42A…外フランジ部
43…弾性部
C…軸

Claims (3)

  1. 軸周りに回転するシャフト部と、
    前記シャフト部の外周に配置されるギヤ部と、
    弾性変形可能な弾性部を有し、前記シャフト部と前記ギヤ部との間に配置されるギヤダンパと、
    を備え、
    前記シャフト部は、外周から張り出して前記ギヤ部と前記軸方向に接触する鍔部を有し、
    前記弾性部は、自身の弾性復元力による付勢力によって前記ギヤ部を前記鍔部に前記軸方向で押し付けている、軸構造。
  2. 前記付勢力は、自然状態よりも伸長した状態からの弾性復元力である、請求項1に記載の軸構造。
  3. 前記ギヤダンパは、前記弾性部の内周側に連結される内環部と、前記弾性部の外周側に連結される外環部と、を有し、
    前記内環部は、前記シャフト部における前記軸方向を向いたシャフト側接触面に接触する内フランジ部を具備し、
    前記外環部は、前記ギヤ部における前記軸方向を向いたギヤ側接触面に接触する外フランジ部を具備し、
    前記シャフト側接触面と前記ギヤ側接触面との間には、前記シャフト側接触面を前記ギヤ側接触面よりも前記軸方向に引っ込ませた段差が形成されており、
    前記弾性部は、前記内環部と前記外環部との間において、前記段差に対応して斜めに掛け渡された状態にされている、請求項2に記載の軸構造。
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