JP3888837B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、外観がきれいであり、実質的に無架橋で、均一微細な気泡径を有し、特に高密度発泡体にあっては熱伝導率が低い特長を有するポリプロピレン系樹脂発泡成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
型内成形による発泡成形体の基材樹脂としてポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂が汎用されている。
ところが、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂として用いた場合には、得られる発泡成形体はとても脆く、耐薬品性にも劣るという問題がある。
この問題を解決するものとして、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂とした発泡成形体が提案されているが、ポリエチレン系樹脂を基材樹脂として用いた場合には、柔軟かつ強靱な発泡成形体が得られるけれども、低密度化のためには架橋工程が必須である。その結果、リサイクル性が劣るという問題がある。
【0003】
さらに、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とした発泡成形体も提案されているが(特公昭56−1344号公報)、このような成形体は、実質的に無架橋であり、低密度化が可能である反面、一般的に知られる製造方法、すなわち、発泡剤を含有した樹脂粒子を低圧の雰囲気下に放出するドカン法(特公昭59−23731号公報)のような方法では、樹脂粒子のビカット軟化温度以上の温度下で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるため、高圧に耐え得る含浸設備が必要となり、設備費用が高額になるという問題がある。
【0004】
また、ドカン法により得られる発泡粒子は、いずれも該樹脂粒子のビカット軟化温度以上の温度下で含浸が行われるため、樹脂粒子同士が合着しやすくなり、固/液比を上げることができず、工業的に1バッチの製造で得られる発泡粒子の量は満足できるものではなかった。
さらに、この方法では、得られる発泡粒子の低密度化には適しているものの、高密度の発泡密度では未発泡粒子が混在し、発泡密度のばらつきが大きく、発泡粒子の製造効率が極端に低くなる問題もある。しかも、このような発泡粒子を用いて型内成形すると、加熱温度の僅かな変化により、収縮の大きな発泡成形体が得られたり、部分的に密度の異なるものが得られたりすることになる。
【0005】
また、特公昭59−193932号公報および特公昭60−82333号公報によっても、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法が提案されているが、この方法では、得られる発泡成形体には未発泡粒子が混在し、発泡ばらつきが大きく、製造効率が極端に低くなるという問題がある。また、得られる発泡成形体は、熱伝導率が極端に高く、加熱調理用食器等の容器として使用するには不十分である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような現状に鑑み、本発明者らは鋭意研究した結果、発泡成形体が特定の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を有し、吸熱ピーク温度と吸熱量とが特定の関係にあるポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、実質的に無架橋であって、均一微細な気泡径を有し、外観がきれいで、しかも高密度発泡体にあっては、熱伝導率が低いことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
かくして、本発明によれば、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、走査型示差熱量計を用いて得られるDSC曲線から求めた前記プロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内で加熱処理し、次いで、加熱処理温度から前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで0.1〜1℃/分の冷却速度で冷却して得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、この発泡性樹脂粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で予備発泡させて発泡粒子とし、次いで、この発泡粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することにより得られる、
プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を発泡成形させたポリプロピレン系樹脂発泡成形体であって、該発泡成形体を走査型示差熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱して得られるDSC曲線(1)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求め、次いで10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで再び加熱して得られるDSC曲線(2)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求めたとき、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピークの数が、DSC曲線(2)における発泡成形体の吸熱ピークの数より1つ多く、かつ、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲外に存在し、さらに、前記発泡成形体の吸熱ピーク温度と吸熱量が式:
【数2】
を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、走査型示差熱量計を用いて得られるDSC曲線から求めた前記プロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内で加熱処理し、次いで、加熱処理温度から前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで0.1〜1℃/分の冷却速度で冷却して得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に、前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、この発泡性樹脂粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で予備発泡させて発泡粒子とし、次いで、この発泡粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を、走査型示差熱量計を用いて得られるDSC曲線から求めた前記プロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内で加熱処理し、さらに、加熱処理を行なった温度から前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで0.1〜1℃/分の冷却速度で、冷却して得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を、前記ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で含浸させて発泡性樹脂粒子とし、この発泡性樹脂粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で予備発泡させて発泡粒子とし、次いで、この発泡粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することにより得られる。
【0010】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂粒子は、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を主成分とするものである。
プロピレン共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えばブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、オクテン−1、デカン−1等の炭素数4〜12のものが挙げられる。
【0011】
プロピレン共重合体は、二元共重合体、三元共重合体および多元共重合体でもよい。また、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれでもよいが、ランダム共重合体が好ましく、より具体的には、プロピレンとエチレンあるいはブテン−1とのランダム共重合体が特に好ましい。
プロピレン共重合体における、エチレンおよび(または)α−オレフィン成分の含有量は、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。エチレンおよび(または)α−オレフィン成分が0.1重量%未満ではホモプロピレン樹脂に近似となり、得られる発泡成形体の柔軟性が低下しやすくなる。また、発泡成形温度が高くなり、発泡機および成形機金型の耐久性の点で好ましくない。
【0012】
また、エチレンおよび(または)α−オレフィン成分が20重量%を超えると、発泡成形体の低密度化のためには架橋工程が必須となり、その結果、リサイクル性の点で好ましくない。
また、プロピレン共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、プロピレンあるいはエチレンおよび(または)α−オレフィンと共重合し得る他の単量体を改質等の目的に応じて共重合してもよい。
そのような単量体としては、環状オレフィン、ジエン系単量体およびその他の単量体から選ばれる一種または二種以上のものが挙げられる。
環状オレフィンとしては、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられ、ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン等が挙げられ、その他の単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のビニル単量体が挙げられる。
【0013】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂粒子は、70〜145℃のビカット軟化温度を有するものが好ましい。ビカット軟化温度が70℃未満であると、発泡直後に発泡粒子の収縮が起こりやすくなるので好ましくない。その上、このような樹脂粒子から得られる発泡粒子を用いて型内成形すると、成形後の収縮が起こりやすく、寸法安定性のよい発泡成形体が得られ難くなるので好ましくない。
他方、ビカット軟化温度が145℃を超えると、発泡粒子の密度が不均一になりやすい。その上、このような樹脂粒子から得られる発泡粒子を用いて型内成形すると、1つの発泡成形体の中に発泡粒子と未発泡粒子が混在し、所望の緩衝性を備えた発泡成形体が得られ難いので好ましくない。
【0014】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂粒子には、リサイクル性等を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を一種または二種以上溶融混練することもできる。
そのような溶融混練し得る熱可塑性樹脂としては、例えば、
プロピレン単独重合体;
プロピレンとエチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル系単量体から選ばれる一種または二種以上の単量体との二元共重合体、三元共重合体あるいは多元共重合体であって、ランダム共重合またはブロック共重合しているもの、例えば、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンランダム三元共重合体等;
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリブテン−1,ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1等の炭素数4〜12のα−ポリオレフィン;
シクロペンテン等のような環状ポリオレフィン;
1,2−ポリブタジエン、1,3−ポリブタジエン、ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン等の単独ジエン系重合体;
ブタジエンとスチレンとのブロック共重合体およびその水添物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のビニル系単独または共重合体等が挙げられる。
【0015】
上記のような熱可塑性樹脂は、例えば、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機等の混練機により、180〜250℃でポリプロピレン系樹脂粒子に、均一に溶融混練される。これらの混練機の中では、生産性の点から単軸または2軸押出機が好ましい。
溶融混練は、各成分を十分均一に混合するため、複数回行ってもよい。
このようにして得られたポリプロピレン系樹脂粒子には、所望により、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、気泡調整剤等を、溶融混練時、熱処理時および(または)発泡剤の含浸時にさらに添加することもできる。
【0016】
ポリプロピレン系樹脂粒子の加熱処理は、例えば、水に難溶性の無機塩を含む水性懸濁液に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させた後、攪拌機で攪拌しながら系内を加温することにより行われる。
水に難溶性の無機塩を含む水性懸濁液中に分散させるべきポリプロピレン系樹脂粒子の量は、水性懸濁液100重量部に対して、20〜100重量部程度が好ましく、50〜70重量部程度がさらに好ましい。
水に難溶性の無機塩としては、例えば第3燐酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0017】
水に難溶性の無機塩の含量は、無機塩の種類により異なり、特に限定されないが、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子に対して、0.5〜5重量%が好ましい。例えば、水に難溶性の無機塩として第3燐酸カルシウムを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂粒子に対して、通常0.5〜2重量%が好ましい。
【0018】
また、水性懸濁液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン系界面活性剤を添加することもできる。
加熱処理が行なわれる温度は、プロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内であり、主吸熱ピーク温度より5℃高い温度から10℃高い温度までの範囲内であるのがより好ましい。加熱処理の温度が主吸熱ピーク温度より15℃高い温度よりもさらに高い場合は、発泡剤の含浸時に、樹脂粒子同士が合着しやすくなり、製造上好ましくない。また、加熱処理の温度が主吸熱ピーク温度より低い場合には、低密度の発泡粒子が得られ難くなるので好ましくない。
【0019】
なお、プロピレン共重合体の「主吸熱ピーク温度」とは、プロピレン共重合体からなる粒子3〜7mgを走査型示差熱量計(SEIKO DSC 200型)を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱し、10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで再び加熱したときに得られるDSC曲線(2)から求められ、DSC曲線(2)において吸熱ピークが1つしかないときはそのピークの温度を、吸熱ピークが複数ある場合は最も高いピークの温度をいう。
【0020】
なお、プロピレン共重合体の吸熱ピーク温度は、DISC STATION(SEIKO SSC-5200H Ver.2.9)で求めた。
加熱処理の時間は、特に限定されず、ポリプロピレン系樹脂粒子の大きさ(体積)、形状等により異なる。例えば、ポリプロピレン系樹脂粒子の体積が3.0mm3 程度である場合、加熱処理時間は所望の温度に達してから0.5時間以上が好ましい。加熱処理時間が0.5時間より短いと、ポリプロピレン系樹脂粒子の中心部分と表面部分との間に加熱処理のむらが発生する場合がある。そして、このような発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子を予備発泡して得られる発泡粒子は、一つの発泡粒子内に気泡径のばらつきが生じ、そのような発泡粒子から得られる発泡成形体は所望の緩衝性を備えないおそれがある。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱処理した後、所定の冷却速度で加熱処理温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで冷却して、発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子が得られる。
このときの冷却速度は、0.1〜1℃/分であり、0.3〜0.7℃/分がより好ましい。冷却速度が1℃/分を上回ると、気泡径・気泡ばらつきが大きくなるばかりか、最終的に得られる発泡成形体が熱伝導率の高いものになる。このような発泡成形体を容器として使用する場合には、容器が肉厚となり、材料のコストが嵩むので好ましくない。
また、冷却速度が0.1℃/分を下回ると、製造時の工程時間が長くなり、生産コストが嵩むので好ましくない。その上、樹脂が熱にさらされている時間が長くなるため、樹脂が黄色に変色し、得られる発泡成形体の平均気泡径が大きくなり、気泡径のばらつきも大きくなるという、いわゆる熱負け現象が発生する。
【0022】
また、上記の温度範囲外の冷却速度で冷却した場合は、後記のDSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲内に存在したり、前記の発泡成形体の吸熱ピーク温度と吸熱量が次の式を満足させなかったりするので好ましくない。
【数3】
【0023】
このように加熱処理後の冷却速度を制御することは、気泡径をより均一にし、発泡成形体の熱伝導率を低くするために極めて重要であり、この冷却速度の制御によって、発泡成形体の収縮が抑制されて、発泡成形体がより低密度になるため、コストダウンを図ることができる。
上記のような熱処理によって得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を、ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で含浸させることにより、発泡性樹脂粒子が得られる。
【0024】
発泡剤としては、常圧沸点が−50〜100℃の範囲にある揮発性有機発泡剤、例えば、プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、ペンテン、ヘキサン等の炭化水素、メチレンクロライド、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、あるいは二酸化炭素、空気等の無機ガス系発泡剤等が挙げられ、これらの発泡剤の一種、または二種以上を使用することができる。
【0025】
上記発泡剤の中でも発泡性樹脂粒子および発泡粒子の発泡剤の保持性と発泡性において、特にイソブタンを主成分とするものが好ましい。
発泡剤の添加量は、発泡剤の種類によっても異なるが、通常、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子に対して10〜50重量%程度が好ましく、20〜30重量%程度がさらに好ましい。
発泡剤を、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子に含浸させる方法は、特に限定されず、水性懸濁液系でも気相系でも可能であるが、製造工程(脱水工程、乾燥工程)の簡素化のためには、水性懸濁液中で含浸させるよりも、実質的に無水雰囲気下で攪拌下に含浸させる方が好ましい。なお、ここでいう「実質的に無水雰囲気下」とは、含浸において従来の水懸濁法のような水系媒体を用いないことを意味するものである。
【0026】
実質的に無水雰囲気下での含浸方法は、限られた水分量を有する密閉された容器内で行なわれる。このときの水分量は、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子に対して、0.01〜3重量%程度であるのが好ましく、0.02〜1重量%程度であるのがさらに好ましい。発泡剤含浸時の水分量が、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子に対して3重量%を上回ると、発泡性樹脂粒子が付着する水分によって流動性が低下し、計量、発泡等の機器などへの輸送ラインが発泡性樹脂粒子で閉塞されやすくなるので好ましくない。また、予備発泡させて発泡粒子とする際に、予備発泡機内で発泡性樹脂粒子が均一に撹拌されず、発泡粒子と未発泡粒子が混在し、いわゆる発泡粒子のばらつきが発生しやすい。そのような発泡粒子から得られる発泡成形体は所望の緩衝性を備えない場合があるので好ましくない。
【0027】
一方、発泡剤含浸時の水分量が0.01重量%を下回ると、樹脂粒子の表面が帯電し、静電気発火のおそれがあるため、安全上好ましくない。
発泡剤の含浸時間は特に限定されず、発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の大きさ(体積)、形状等によっても変動する。例えば、発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の体積が3.0mm3 程度である場合、所望の温度に達してから3時間以上、好ましくは4時間以上である。含浸時間が3時間より短いと、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子の中心部分に芯と呼ばれる未含浸部分ができやすく、発泡粒子とした際に、一つの発泡粒子内に発泡部分と未発泡部分が混在し、そのような発泡粒子から得られる発泡成形体は所望の緩衝性を備えない場合があるので好ましくない。
【0028】
実質的に無水雰囲気下で発泡剤を含浸させる方法においては、帯電防止剤、結合防止剤等を用いるのが好ましい。
また、発泡剤の含浸時には、通常用いられる各種の添加剤、例えば、発泡助剤(溶剤、可塑剤)、気泡調整剤等を添加することもでき、気泡調整剤の代わりに水と界面活性剤の混合物を若干量添加することもできる。
発泡助剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、イソパラフィン等が挙げられる。これらの発泡助剤は、通常、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子に対して0.1〜5重量%程度添加される。
【0029】
得られた発泡性樹脂粒子を加熱して予備発泡することにより発泡粒子が得られる。
予備発泡は、例えば、発泡性樹脂粒子を予備発泡装置内で、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内に相当する加熱媒体温度で発泡性樹脂粒子を予備発泡することによって行うことができる。
【0030】
加熱媒体の圧入時間は、特に限定されないが、通常、20〜90秒である。
得られる発泡粒子は、常温で一日程度放置した後、さらに常圧沸点が−50〜100℃の範囲にある揮発性有機発泡剤、ハロゲン性炭化水素発泡剤または無機ガス系発泡剤等の雰囲気下に5.0kgf/cm2Gの状態で4時間程度保持した後に、発泡成形に供するのが好ましい。
【0031】
次いで、発泡粒子を、発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することにより、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体が得られる。
発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温型ピーク温度および高温型ピーク温度とは、次のようにして求めた温度のことをいう。
【0032】
発泡用改質プロピレン系樹脂粒子3〜7mgを走査型示差熱量計(SEIKO DSC 200型)を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱したときに得られるDSC曲線(1)から吸熱ピークを求め、さらに、10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで再び加熱したときに得られるDSC曲線(2)から、前記と同様にして主吸熱ピークを求める。DSC曲線(1)における吸熱ピークのうち、DSC曲線(2)の吸熱ピークのピーク温度を基準として、変化する2つの吸熱ピークの中で、DSC曲線(2)における主吸熱ピークの高温側にある吸熱ピークを高温側ピークとし、そのときの温度を高温側ピーク温度とする。また、DSC曲線(2)における主吸熱ピークの低温側にあるDSC曲線(1)における吸熱ピークを低温側ピークとし、そのときの温度を低温側ピーク温度とする。
【0033】
なお、発泡用改質プロピレン系樹脂粒子の吸熱ピーク温度は、DISC STATION(SEIKO SSC-5200H Ver.2.9)で求めた。
発泡成形は、例えば、所望の形状を有し、発泡粒子を閉鎖しうるが、密閉し得ない金型内で、発泡粒子を加熱することによって行うことができる。このとき、プロピレン共重合体の低温側温度よりも低い温度で発泡成形すると、外観のきれいな発泡成形体が得られ難く、満足な強度を有する成形体にならない。一方、プロピレン共重合体の高温側温度を超える温度で発泡成形すると、得られる成形体の収縮が大きく、外観のきれいな発泡成形体が得られ難くなるばかりか、発泡成形体の熱伝導率が劣ったものになる。
【0034】
その上、上記の範囲外の温度で発泡成形を行うと、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲内に存在したり、発泡成形体の吸熱ピーク温度と吸熱量が以下の関係式を満足させなかったりするので好ましくない。
【数4】
【0035】
得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、水冷あるいは空冷後、型から取り出される。
以上のようにして得られる本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、密度が0.07〜0.3g/cm3であるのが好ましい。また、平均気泡径が40〜300μmであるのが好ましく、70〜250μmがさらに好ましい。このような発泡成形体は、即席麺のような加熱調理用食品の容器として好適に用いられる。
【0036】
平均気泡径が300μmを上回ると、熱伝導率が高いものになり、食品等の容器として使用する場合、容器が肉厚となるので、材料のコストが嵩み好ましくない。また、平均気泡径が40μmを下回ると成形品の収縮が大きくなり、得られる発泡成形体の密度が高くなり、やはりコストが嵩むという面で好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、走査型示差熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱して得られるDSC曲線(1)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求め、さらに、10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで再び加熱して得られるDSC曲線(2)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求めたとき、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピークの数が、DSC曲線(2)における発泡成形体の吸熱ピークの数より1つ多い。
【0037】
また、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度は、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲外に存在するが、該主吸熱ピーク温度±7℃の範囲外にDSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が存在することがより好ましい。
DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲内に存在すると、不均一な気泡径を有し、外観のきれいな発泡成形体が得られ難い。また、特に高密度発泡成形体においては、熱伝導率が極端に高くなる。
さらに本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、その発泡成形体の吸熱ピーク温度と吸熱量が次の式を満足する。
【数5】
【0038】
上記の値が0.2未満、あるいは6.0を超える場合は、成形蒸気圧が高くなり、設備費用が高額になるばかりか、得られる発泡成形体は均一に発泡しておらず、部分的に密度の異なる発泡成形体になりやすい。その上、気泡径のばらつきが大きくなり、特に樹脂層において熱が伝わりやすく、熱伝導率が極端に高くなる。
なお、上記の式における低温側吸熱量および高温側吸熱量は、低温側ピークおよび高温側ピークそれぞれのピークの開始点、終了点を接線で結び、得られる閉鎖した吸熱量を低温側吸熱量および高温側吸熱量として求めることができる。なお、吸熱量は、DISC STATION(SEIKO SSC-5200H Ver.2.9)で求めた。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
以下の方法により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造した。
内容積100Lのオートクレーブに、水50L、分散剤としての第3燐酸カルシウム600g、活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30gを入れて水性媒体とした。また、エチレン成分4重量%、走査型示差熱量計で得られるDSC曲線におけるプロピレン成分の主吸熱ピーク温度が134℃であり、ビカット軟化温度が117℃のエチレン−プロピレンランダム共重合樹脂を単軸押出機にて、長さ0.8mm、直径0.5mmのペレット状としたポリプロピレン系樹脂粒子30kgを、上記の水性媒体に懸濁させ、撹拌速度150rpmで撹拌した。次いで、混合物を145℃まで昇温し、その温度で1時間以上保ち、1.0℃/分の冷却速度で145℃から117℃まで冷却し、次いで、2℃/分の冷却速度で117℃から40℃まで冷却し、脱水して発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
【0040】
次いで、内容積35Lの攪拌機に、上記で得られた発泡用改質プロピレン系樹脂粒子10kg、帯電防止剤としてのポリエチレングリコール5g、水5gおよび発泡時の結合防止剤としての炭酸カルシウム30gを入れ、回転速度30rpmで撹拌した。次いで、イソブタン200gを窒素圧を利用して圧入し、混合物を60℃まで加熱し、その温度で4時間以上保った後、25℃まで冷却して、発泡性樹脂粒子を得た。
得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡機で151℃の雰囲気下で30秒程度加熱することによって発泡させ、嵩密度0.010g/cm3の発泡粒子を得た。
【0041】
得られた発泡粒子を5.0kgf/cm2Gの空気雰囲気下で1日間内圧付与を行い、次いで151℃で30秒程度加熱して、密度0.11g/cm3のポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
走査型示差熱量計にて得られる発泡成形体の吸熱ピーク温度は、低温側ピーク温度が123℃、高温側ピーク温度が154℃であり、低温側吸熱量は43.5J/g、高温側吸熱量は12.9J/gであった。
得られた発泡成形体は、低密度で均一な気泡径を有し、外観がきれいで、熱伝導率も非常に良好な値を示した。
【0042】
なお、ビカット軟化温度は、JIS−K−7206に準拠した方法によって得た。すなわち、射出成形機で作成した縦30mm、横40mm、厚さ5mmの板状試験片から、縦10mm、横10mm、厚さ5mmの試験試料を切り出し、ヒートデストーションテスター[(株)東洋精機製作所製]を用いて、加熱槽中の試験片に垂直に置いた針状圧子を通じて、250gの加重を加えながら10℃/分で伝熱媒体を昇温させ、針状圧子が1mm進入したときの伝熱媒体の温度をビカット軟化温度とした。
また、発泡粒子の嵩密度は、JIS−K−6767に準拠した方法により、以下の算式により求めた。
嵩密度(g/cm3)=W/V
V:発泡粒子の嵩体積(cm3)
W:発泡粒子の重量(g)
【0043】
発泡粒子の平均気泡径は、ASTM−D2842−69に準拠した方法により求めた。すなわち、顕微鏡にて撮影した写真より、切断面の一直線(60mm)上にかかる気泡数から平均弦長(t)を測定し、(t)を以下の式に代入して算出した。
また、気泡ばらつきは、顕微鏡にて撮影した写真より、最小の気泡と最大の気泡の径を測定した。
【0044】
顕微鏡装置:走査型電子顕微鏡[日本電子(株)製 JSM−T−300]
倍率 :100倍
平均弦長(t)=60/気泡数
平均気泡径(d)=t/0.606
発泡成形体の表面外観は、目視により、次の基準にて評価した。
○:溶融した粒子はなく、粒子間の間隙もなく、見栄えがよい。
△:溶融した粒子が表面にあるか、または粒子間に間隙があり、見栄えが悪い。
×:溶融した粒子があるか、または粒子間に間隙があり、見栄えが著しく悪い。
【0045】
発泡成形体の熱伝導率(λ)は、JIS−A−1412に準拠した方法により熱伝導率計を用いて測定し、平板比較法(測定温度20℃)により求めた。
熱伝導率計:英弘精機(株)製 AUTO−AHC−072
試験片:200w×200L×25t
【0046】
実施例2〜4
加熱処理を行なった温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度までの間の冷却速度を表1に示すとおりに変更し、発泡成形体の密度を表1のとおりにした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。
【0047】
実施例5・6
加熱処理を行なった温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度までの間の冷却速度および発泡成形時の蒸気温度を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。
【0048】
実施例7
熱処理温度および加熱処理を行なった温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度までの間の冷却速度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。
【0049】
比較例1・2
加熱処理を行なった温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度までの間の冷却速度を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。また、比較例2におけるポリプロピレン系樹脂発泡成形体のDSC曲線(1)を図2に示す。
【0050】
比較例3・4
加熱処理を行なった温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度までの間の冷却速度および発泡成形時の蒸気温度を表1のとおりにした以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。
【0051】
比較例5
熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得た。
結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を走査型示差熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱したときに得られるDSC曲線(1)から発泡成形体の吸熱ピークを求め、10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで再び加熱したときに得られるDSC曲線(2)から発泡成形体の吸熱ピークを求め、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク数がDSC曲線(2)における発泡成形体の吸熱ピーク数より1つ多く存在し、かつ、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度がDSC曲線(2)から得られる発泡成形体の主吸熱ピーク温度を基準として±5℃の範囲外に存在し、かつ、式:
【数6】
を満足させるポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、均一微細な気泡径を有し、外観がきれいである。特に、高密度発泡体においては、熱伝導率に優れていることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、均一微細な気泡径を有し、外観がきれいであり、高密度発泡体は熱伝導率が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1におけるポリプロピレン系樹脂発泡成形体のDSC曲線(1)である。
【図2】 比較例2におけるポリプロピレン系樹脂発泡成形体のDSC曲線(1)である。
Claims (4)
- 走査型示差熱量計を用いて得られるDSC曲線から求めた、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内で、該プロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を加熱処理し、
次いで、0.1〜1℃/分の冷却速度で、加熱処理温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで冷却して得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に、ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、
この発泡性樹脂粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で予備発泡させて発泡粒子とし、
次いで、この発泡粒子を、前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することにより得られる、
該プロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を発泡成形させたポリプロピレン系樹脂発泡成形体であって、
該発泡成形体を走査型示差熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱して得られるDSC曲線(1)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求め、次いで
10℃/分の降温速度で220℃から30℃まで降温した後、さらに、10℃/分の昇温速度で30℃から220℃まで加熱して得られるDSC曲線(2)から発泡成形体の吸熱ピークおよび吸熱ピーク温度を求めたとき、
DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピークの数が、DSC曲線(2)における発泡成形体の吸熱ピークの数より1つ多く、
かつ、DSC曲線(1)における発泡成形体の吸熱ピーク温度が、DSC曲線(2)における発泡成形体の主吸熱ピーク温度±5℃の範囲外に存在し、
さらに、前記の発泡成形体の吸熱ピーク温度と吸熱量が、式:
- ポリプロピレン系樹脂発泡成形体が、0.07〜0.3g/cm3の密度、40〜300μmの平均気泡径、5mm以下の肉厚を有するポリプロピレン系樹脂発泡容器を構成する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- プロピレン共重合体が、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのランダム共重合体である請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- 走査型示差熱量計を用いて得られるDSC曲線から求めたプロピレン共重合体の主吸熱ピーク温度からそれより15℃高い温度までの範囲内で、プロピレンとエチレンおよび(または)α−オレフィンとのプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂粒子を加熱処理し、
次いで、0.1〜1℃/分の冷却速度で、加熱処理温度からポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度まで冷却して得られる発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子に、
ポリプロピレン系樹脂粒子のビカット軟化温度以下で発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子とし、
この発泡性樹脂粒子を前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で予備発泡させて発泡粒子とし、
次いで、この発泡粒子を、前記発泡用改質ポリプロピレン系樹脂粒子の低温側ピーク温度から高温側ピーク温度の範囲内で発泡成形することを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
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