JP3888104B2 - 液晶装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶セルを構成する素子基板と対向基板との貼り合わせ処理に好適な液晶装置、その製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブ等の液晶装置は、ガラス基板、石英基板等の2枚の基板間に液晶を封入して構成される。液晶ライトバルブでは、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)等の能動素子をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に封止した液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能にする。
【0003】
TFTを配置したTFT基板と、TFT基板に対向配置される対向基板とは、別々に製造される。両基板は、パネル組立工程において高精度に貼り合わされた後、液晶が封入される。
【0004】
パネル組立工程においては、先ず、各基板工程において夫々製造されたTFT基板と対向基板との対向面、即ち、対向基板及びTFT基板の液晶層と接する面上に配向膜が形成され、次いでラビング処理が行われる。次に、一方の素子基板上の端辺に接着剤となるシール部が形成される。TFT基板と対向基板とをシール部を用いて貼り合わせ、アライメントを施しながら圧着硬化させる。シール部の一部には切り欠きが設けられており、この切り欠きを介して液晶を封入する。
【0005】
ところで、液晶セルの貼り合わせ工程においては、シール材は、描画、或いはスクリーン印刷によって形成するようになっている。スクリーン印刷の場合には、配向膜表面にスクリーンが接触することで、配向に悪影響を与えると共に汚染の問題もあるので、現在はディスペンスによる描画方式が主流である。
【0006】
貼り合わせ工程では、描画方式によりシール材を形成した後、対向基板を貼り合わせ、所定ギャップ長を与えるように圧着を行い、アライメントを施した後、固着するようになっている。シール材としては紫外線等の光で硬化可能な光硬化型接着材料、あるいは、光硬化且つ熱硬化可能な熱併用型接着材料を用いる。
【0007】
貼り合せの方式としては、多数の素子基板を形成したマザーガラス基板と多数の対向基板を形成したマザーガラス基板同士を貼り合せる方法がある。このような大板組立方式は、高い生産性を得られる反面、複数の表示ユニットを一括でアライメントすることから、貼り合せ精度が低いという欠点がある。また、高度なセル厚制御も困難であった。
【0008】
また、各マザーガラス基板に夫々形成された複数の素子基板又は対向基板を分断して、単体の素子基板と対向基板同士を貼り合わせる方式が採用されることがある。このような単板組立方式は、高度なセル厚制御が可能で貼り合せ精度に優れているが、生産性が悪いという欠点がある。
【0009】
そこで、素子基板については、マザーガラス基板投入時のサイズのままで処理を進めるアレイ製造を採用し、単体に分断した対向基板をマザーガラス基板上の複数の素子基板に貼り合わせるチップマウント方式が採用されることがある。チップマウント方式は、高い生産性、高度なセル厚制御及び高い貼り合わせ精度を得ることができるという利点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、チップマウント方式の貼り合わせ工程においては、マザーガラス基板上の各素子基板全てにスクリーン印刷又は描画によってシールを形成する。シールが形成されたマザーガラス基板上の各素子基板に対して、夫々対向基板をマウントして圧着しシールを硬化させる。ところが、マザーガラス基板上の最初の素子基板にシールを形成してから最後の素子基板にシールを形成するまでに比較的長時間が経過する。このため、1枚のマザーガラス基板上の素子基板相互間でシール形成から硬化までの時間にばらつきが生じる。
【0011】
即ち、アライメントが行われて貼り合わされた加工チップと、貼り合わせが行われていない未加工チップとで作業終了までの時間差が大きく、シール部材の経時変化の差が大きくなって、1枚のマザー基板内で形成される液晶セルの品質のばらつきが大きくなってしまう。
【0012】
近年、マザーガラス基板は大型化し、マザーガラス基板上に構成するプロジェクタ用の液晶パネルは小型化されてきており、1枚のマザーガラス基板からの取れ個数は増加している。即ち、マザーガラス基板上にマウントする対向基板の数が増加することから、マザーガラス基板上の素子基板相互間でシール形成から硬化までの時間のばらつきによる影響は大きい。
【0013】
また、シール形成から仮硬化までの滞留時間が長くなると、シールが流れて表示エリアにシールが浸透し、表示不良になることもある。また、シールの流れにより低粘度成分が表示領域に浸透し、配向膜と反応して表示不良を発生させることもある。1枚の基板からの液晶セルの採れ個数が増加するほど、表示不良の発生率が大きくなってしまう。
【0014】
なお、これらの点を考慮して、スクリーン印刷が採用されることもあるが、この場合には、配向膜面にスクリーンが接触してしまい、配向ダメージが生じるという問題がある。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、チップマウント方式による貼り合わせ時に対向基板側にシールを形成して、シール形成、貼り合わせ、圧着、アライメント、シール仮硬化を連続処理することで、表示品質を向上させることができる液晶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、複数の素子基板が配置されたマザー基板に対向基板を複数搭載し、液晶の封入および分断をして素子基板と対向基板との間に液晶が封入された液晶装置を得るための製造方法であって、(a)単品の対向基板に、紫外線および加熱により硬化する熱併用光硬化型のシール材を形成する工程と、(b)マザー基板における所定の素子基板に、シール材が形成された対向基板を搭載する工程と、(c)シール材に紫外線を照射する工程と、を含み、(a)〜(c)工程をマザー基板の複数の素子基板について順次行うとともに、各工程においてマザー基板が加熱されていることを特徴とする。
【0017】
この製造方法によれば、シール材として熱併用光硬化型接着材料を用い、(a)単品の対向基板に熱併用光硬化型シール材を形成し、(b)マザー基板の素子基板に搭載した後、(c)紫外線を照射することにより、当該シール材を仮硬化してシール流れなどを防ぎ表示品質を確保するとともに、(a)〜(c)工程においてマザー基板を加熱することにより、本硬化を平行して行い生産性を高めた液晶装置の製造方法を提供することができる。
特に、シール材形成から仮硬化までに要する一つの素子基板あたりの時間は従来の製造方法に比べて短時間であることから、対向基板にシール材を形成した後、搭載工程を経て、速やかに光が照射され、シール材の仮硬化がなされるため、シール流れなどを防ぐことができる。
また、マザー基板が加熱されている状態において、シール材形成工程→搭載工程→紫外線照射工程をマザー基板の複数の素子基板について順次行うことにより、搭載された素子基板のシール材は、仮硬化された後、マザー基板の熱により本硬化が促進されることから、本硬化が平行して行われることとなり、本硬化に要する時間を短縮することができる。
さらに、マザー基板の加熱によって、仮硬化後のシール材の硬度が高まるため、シール流れをより確実に防止することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、複数の素子基板が配置されたマザー基板に対向基板を複数搭載し、液晶の封入および分断をして素子基板と対向基板との間に液晶が封入された液晶装置を得るための製造方法であって、(a)単品の前記対向基板に、紫外線および加熱により硬化する熱併用光硬化型のシール材を形成する工程と、(b)マザー基板における所定の素子基板に、シール材が形成された対向基板を搭載する工程と、(c)シール材に紫外線を照射する工程と、を含み、(a)〜(c)工程を所定の数量ずつの対向基板により並列に行うとともに、各工程においてマザー基板が加熱されていることを特徴とする。
【0019】
この製造方法によれば、シール材形成工程→搭載工程→紫外線照射工程を所定の数量ずつの対向基板により並列に行うことにより、より生産性を向上させることができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、複数の素子基板が配置されたマザー基板に対向基板を複数搭載し、液晶の封入および分断をして素子基板と対向基板との間に液晶が封入された液晶装置を得るための製造方法であって、(a)単品の対向基板に、紫外線および加熱により硬化する熱併用光硬化型のシール材を形成する工程と、(b)マザー基板における所定の素子基板に、シール材が形成された対向基板を搭載する工程と、(c)シール材に紫外線を照射する工程と、を含み、前記(a)〜(c)工程をマザー基板の複数の素子基板について順次行うとともに、各工程においてマザー基板が加熱されていることを特徴とする。
または、前記(a)〜(c)工程を所定の数量ずつの対向基板により並列に行うとともに、各工程においてマザー基板が加熱されていることを特徴とする。
【0021】
この製造方法によれば、(a)工程にて単品の対向基板に熱併用光硬化型シール材を形成し、(b)工程にてマザー基板の素子基板に搭載し、(c)工程にて紫外線を照射することにより、当該シール材を仮硬化し、シール流れなどを防ぐことができる。
よって、表示品質を向上させた液晶装置の製造方法を提供することができる。
特に、シール材形成から仮硬化までに要する一つの素子基板あたりの時間は従来の製造方法に比べて短時間であることから、対向基板にシール材を形成した後、搭載工程を経て、速やかに紫外線が照射され、シール材の仮硬化がなされるため、シール流れなどを防ぐことができる。
さらに、各工程においてマザー基板が加熱されていることにより、搭載された素子基板のシール材は、仮硬化した後、マザー基板の熱により本硬化が促進されることから、本硬化を平行して行うことができるとともに、硬化度を高めることができる。
また、(a)〜(c)工程をマザー基板の複数の素子基板について順次行うことにより、表示品質を確保しながらも、効率良く製造を行うことができる。また、(a)〜(c)工程を所定の数量ずつの対向基板により並列に行うことにより、生産性を向上させることができる。
【0022】
前記仮硬化は、光照射によって行われることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、仮硬化に要する時間が短く、シール溶出の悪影響が生じることを防止することができる。前記シール材は、光硬化型である光硬化型シール材であることを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、第1,第2の液晶基板同士を、光硬化によって短時間に仮硬化させ、生産性を高めることができる。
【0025】
前記シール材は、光硬化型で且つ熱硬化型である熱併用型光硬化型シール材であることを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、第1,第2の液晶基板同士を、光硬化によって短時間に仮硬化させ、熱硬化によって強い強度で本硬化させることができる。 またシールの硬化率も高く信頼性の高い液晶表示装置を提供できる。
【0027】
前記マザー基板は、前記シール形成工程及び固着工程の少なくとも一方の工程時に加熱されることを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、第2の液晶基板にシール材が形成されるので、マザー基板を加熱した場合でも、第2の液晶基板を第1の液晶基板上にマウントするまではシール材が硬化することはない。マザー基板を加熱することによって、マウント後のシール材を光だけでなく熱によって硬化させるので、熱による本硬化の時間を短縮することができる。
【0029】
前記シール形成工程及び前記固着工程は、並列処理されることを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、シール形成及び固着を短時間に実施することができる。
【0031】
本発明に係る液晶装置は、上記液晶装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、シール材の溶出の悪影響が生じていないので、表示不良が発生しておらず、表示品質が優れている。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。図2は液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。図3はTFT基板等の素子基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図であり、図4は素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図である。また、図5は液晶装置を詳細に示す断面図である。図6はパネル組立工程を示すフローチャートである。
【0034】
本実施の形態は、マザーガラス基板のままで組立工程中の最初に行われる洗浄工程から最後に行われる検査工程までを流動させ、液晶注入・封止後の検査工程終了後に、各液晶セルを分断するアレイ製造によるチップマウント方式を採用した例について説明する。即ち、チップマウント方式においては、貼り合わせ工程もマザーガラス基板のままで行われる。本実施の形態においては、対向基板にシールを形成し、このシール形成から貼り合わせ、圧着、アライメント及びシール仮硬化までを連続処理することより、シール材の滞留による問題を回避するようにしたものである。
【0035】
先ず、図2乃至図5を参照して、液晶パネルの構造について説明する。
【0036】
液晶パネルは、図3及び図4に示すように、TFT基板等の素子基板10と対向基板20との間に液晶50を封入して構成される。素子基板10上には画素を構成する画素電極等がマトリクス状に配置される。図2は画素を構成する素子基板10上の素子の等価回路を示している。
【0037】
図2に示すように、画素領域においては、複数本の走査線3aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線3aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。そして、走査線3aとデータ線6aの各交差部分に対応してTFT30が設けられ、このTFT30に画素電極9aが接続される。
【0038】
TFT30は走査線3aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。また、画素電極9aと並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧はソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
【0039】
図5は、一つの画素に着目した液晶パネルの模式的断面図である。
【0040】
ガラスや石英等の素子基板10には、素子基板の段差を制御する溝11が形成されている。この溝11上に遮光膜12及び第1層間絶縁膜13を介してLDD構造をなすTFT30が形成されている。溝11によって、TFT基板の液晶50との境界面が平坦化される。
【0041】
TFT30は、チャネル領域1a、ソース領域1d、ドレイン領域1eが形成された半導体層に絶縁膜2を介してゲート電極をなす走査線3aが設けられてなる。なお、遮光膜12は、TFT30の形成領域に対応する領域、後述するデータ線6a及び走査線3a等の形成領域、即ち各画素の非表示領域に対応した領域に形成されている。この遮光膜12によって、入射光がTFT30のチャネル領域1a、ソース領域1d及びドレイン領域1eに入射することが防止される。
【0042】
TFT30上には第2層間絶縁膜14が積層され、第2層間絶縁膜14上には中間導電層15が形成されている。中間導電層15上には誘電体膜17を介して容量線18が対向配置されている。容量線18は、容量層と遮光層とからなり、中間導電層15との間で蓄積容量を構成すると共に、光の内部反射を防止する遮光機能を有する。半導体層に比較的近接した位置に中間導電層15を形成しており、光の乱反射を効率よく防止することができる。
【0043】
容量線18上には第3層間絶縁膜19が配置され、第3層間絶縁膜19上にはデータ線6aが積層される。データ線6aは、第3及び第2層間絶縁膜19,14を貫通するコンタクトホール24a,24bを介してソース領域1dに電気的に接続される。データ線6a上には第4層間絶縁膜25を介して画素電極9aが積層されている。画素電極9aは、第4〜第2層間絶縁膜25,19,14を貫通するコンタクトホール26a,26bにより容量線18を介してドレイン領域1eに電気的に接続される。画素電極9a上にはポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜16が積層され、所定方向にラビング処理されている。
【0044】
走査線3a(ゲート電極)にON信号が供給されることで、チャネル領域1aが導通状態となり、ソース領域1dとドレイン領域1eとが接続されて、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに与えられる。
【0045】
一方、対向基板20には、対向電極(共通電極)21が基板20全面に亘って形成されている。対向電極21上にポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜22が積層され、所定方向にラビング処理されている。
【0046】
そして、素子基板10と対向基板20との間に液晶50が封入されている。これにより、TFT30は所定のタイミングでデータ線6aから供給される画像信号を画素電極9aに書き込む。書き込まれた画素電極9aと対向電極21との電位差に応じて液晶50の分子集合の配向状態が変化して、光を変調し、階調表示を可能にする。
【0047】
図3及び図4に示すように、対向基板20には表示領域を区画する額縁としての遮光膜42が設けられている。遮光膜42は例えば遮光膜23と同一又は異なる遮光性材料によって形成されている。
【0048】
遮光膜42の外側の領域に液晶を封入するシール材41が、素子基板10と対向基板20間に形成されている。シール材41は対向基板20の輪郭形状に略一致するように配置され、素子基板10と対向基板20を相互に固着する。シール材41は、素子基板10の1辺の一部において欠落しており、貼り合わされた素子基板10及び対向基板20相互の間隙には、液晶50を注入するための液晶注入口78が形成される。液晶注入口78より液晶が注入された後、液晶注入口78を封止材79で封止するようになっている。
【0049】
素子基板10のシール材41の外側の領域には、データ線駆動回路61及び実装端子62が素子基板10の一辺に沿って設けられており、この一辺に隣接する2辺に沿って、走査線駆動回路63が設けられている。素子基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路63間を接続するための複数の配線64が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間を電気的に導通させるための導通材65が設けられている。
【0050】
次に、図6を参照して液晶セルの組立て工程について説明する。
【0051】
TFT基板と対向基板とは、別々に製造される。上述したように、本実施の形態においては、TFT基板投入工程から分断工程が行われるまでの間は、マザーガラス基板上に形成された各TFT基板が分断されることなく一体的に処理されるいわゆるアレイ製造によるチップマウント方式が採用される。マザーガラス基板上には図3に示す素子基板(TFT基板)10と同様の素子基板が、組立て工程の前工程であるTFT基板工程において複数形成されている。
【0052】
ステップS1 においては、このように素子がアレイ状に形成されているマザーガラス基板(TFT基板)が投入される。一方、ステップS6 では、図3の対向基板20と同様のサイズに分断された対向基板が投入される。
【0053】
ステップS1 で用意されたマザーガラス基板(TFT基板)に対して、次のステップS2 では、配向膜16となるポリイミド(PI)を塗布する。次に、ステップS3 において、マザーガラス基板上の各TFT基板表面の配向膜(配向膜16に相当)に対して、ラビング処理を施す。そして、ステップS4 において洗浄を行う。ステップS4 の洗浄工程は、TFT基板のラビング処理によって生じた塵埃を除去するためのものである。
【0054】
一方、対向基板については、ステップS6 で用意された対向基板に対して、次のステップS7 では、配向膜22となるポリイミド(PI)を塗布する。次に、ステップS8 において、対向基板表面の配向膜(配向膜22に相当)に対して、ラビング処理を施す。そして、ステップS9 において、洗浄を行う。ステップS9 の洗浄工程は、対向基板のラビング処理によって生じた塵埃を除去するためのものである。
【0055】
洗浄工程が終了すると、次に、ステップS10で、マザーガラス基板の各素子位置において、夫々対向基板を貼り合わせて固着する。この貼り合わせ工程は後述する図1に示す手順で行われる。次に、ステップS11にてシール材41を本硬化させる。本硬化はシール材の種類に応じて、熱硬化または光硬化の手段がとられる。本実施例は熱併用型シール材を用いた構成であるため、熱による本硬化となる。次にステップS11にて形成された各空セルに、ステップS12において、シール材41の一部に設けた切り欠きから液晶を封入し、切り欠きを塞いで液晶を封止する。液晶封入工程では、圧力の管理を行いながら、液晶封入量を制御し、セルギャップを均一にする。こうして、マザーガラス基板上に複数の液晶パネルがアレイ状に形成されたアレイ基板が得られる。最後に、ステップS13において、検査が行われたアレイ基板を液晶セル毎に分断して、図2及び図3に示す液晶パネルを得る。
【0056】
貼り合わせ工程においては、マザーガラス基板はステージ上に載置され、配向膜16(図5参照)を上にして例えば真空吸着によって固定されている。本実施の形態においては、図1に示すように、先ずステップS21において、対向基板にシール材41、及び導通材65(図3参照)を形成する。シール材41及び導通材65は、配向膜22(図5参照)形成面側に形成する。シール材41は、例えば、ディスペンス塗布によって形成される。なお、シール材をスクリーン印刷法によって形成してもよい。また、シール材41は、熱併用型光硬化型シール材としている。UVの照射によって光硬化すると共に、加熱によって熱硬化する特性を有する。なお、本実施例においては、熱併用型シール材としたが、光のみで硬化可能な光硬化型シール材としても良い。
【0057】
次に、ステップS22において対向基板を反転させてシール材41形成面側を下方に向けて、ステージ上のマザーガラス基板側に搬送し、マザーガラス基板上の対象となる素子基板上に移動させる(ステップS23)。
【0058】
次に、ステップS24においてアライメントヘッドに対向基板を吸着させる。次のステップS25において、アライメントヘッドは、素子基板上にマウントされた対向基板を水平方向に移動させてアライメントしながら、下方に向けて加圧して素子基板に圧着する。なおアライメントヘッドの下方への加圧量は、ギャップ長を所定値に維持するように設定される。アライメント及びセル厚が適正に制御されると、次のステップS27において、光照射によってシール材41を仮硬化させる。
【0059】
1つの素子基板に対する対向基板の貼り合わせ及びUV仮硬化が終了すると、次の素子基板について、ステップS21〜ステップS27の処理を繰返す。即ち、本実施の形態においては、各対向基板に対するシールディスペンスは各対向基板のマザーガラス基板へのマウント直前に行われる。こうして、マザーガラス基板上の全ての素子基板について、貼り合わせ及びUV硬化が行われる。
【0060】
なお、マザーガラス基板上の全ての素子基板について、対向基板の貼り合わせ、アライメント、圧着、UV仮硬化が終了すると、熱硬化による本硬化が行われる。
【0061】
このように本実施の形態においては、シール材41を対向基板側に形成している。シール材41をマザーガラス基板に形成する場合には、素子基板によってはシール材41の硬化までに長時間を要することがある。これに対し、各対向基板に対するシール材41の形成から貼り合わせ、圧着、アライメント及びUV仮硬化を各素子基板(対向基板)毎に連続して行っており、これらの処理に要する時間は、いずれの素子基板についても同様に比較的短時間である。従って、いずれの素子基板についてもシール材41は形成後比較的短時間でUV仮硬化されることになり、シール材41が溶け出して配向膜に悪影響を与えることが防止される。これにより、不良の発生を防止し、表示品質、信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、シール材41は、UVの照射によって光硬化するだけでなく、加熱によって熱硬化する特性を有する。熱硬化は強い接着強度を有する反面、硬化に比較的長時間を要する。マザーガラス基板にシールを形成した場合には、シール形成からUV仮硬化までに長時間を要することがあり、全てのシールのUV仮硬化が終了するまで熱硬化のための加熱を行うことはできない。しかしながら、本実施の形態においては、対向基板に対してシールディスペンスを施しており対向基板のマウントまでは熱の影響を受けないので、対向基板の貼り合わせ、アライメント、圧着及びUV仮硬化の間においても、熱硬化のための加熱処理を行うことができる。即ち、貼り合わせ工程の開始時からマザーガラス基板に対して本硬化のための加熱処理を開始することができ、本硬化に要する時間を短縮することができる。
【0063】
また、n個(1〜k個)の対向基板毎に繰返し処理を行い、複数のアライメントヘッドを用いた並列処理によって複数の対向基板を同時に貼り合わせるようにしてもよい。
【0064】
(実施例1)
第1の実施の形態による貼り合わせ工程を実施した場合のシール周辺表示不良発生率を測定した結果を表1に示す。また、表2は貼り合わせ工程の開始時からマザーガラス基板に対する加熱を行った場合のシールの硬化度を測定した結果を示す。シールの硬化条件は、UVによる仮硬化を波長365nmにて600mJ/cm2とし、シールの硬化度は、熱による本硬化(ステップS11)投入前の状態を測定した。
【0065】
表1は、1枚のマザーガラス基板に60個の対向基板を貼り合わせる場合において、素子基板側にシールを描画した場合、素子基板側にシールスクリーン印刷した場合及び本実施の形態に従って対向基板にシールを描画した場合の不良発生率測定結果を示している。
【0066】
上記表1及び表2に示すように、対向基板にシールを描画することによって、不良発生率を0%にすることができることが分かる。また、仮硬化終了時におけるシール材の硬化度は、ステージの温度を高くすると、常温の場合に比べて低UVエネルギーで、促進されることが分かる。したがって、生産性を向上できるとともに、シールの硬化状態が促進されているため、シールからの未効果成分の溶出が防止できる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、チップマウント方式による貼り合わせ時に対向基板側にシールを形成して、シール形成、貼り合わせ、圧着、アライメント、シール仮硬化を連続処理することで、表示品質を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図2】液晶装置の画素領域を構成する複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図3】TFT基板等の素子基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。
【図4】素子基板と対向基板とを貼り合わせて液晶を封入する組立工程終了後の液晶装置を、図3のH−H'線の位置で切断して示す断面図。
【図5】液晶装置を詳細に示す断面図。
【図6】パネル組立工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
10…素子基板
20…対向基板
41…シール材
Claims (2)
- 複数の素子基板が配置されたマザー基板に対向基板を複数搭載し、液晶の封入および分断をして前記素子基板と前記対向基板との間に前記液晶が封入された液晶装置を得るための製造方法であって、
(a)単品の前記対向基板に、紫外線および加熱により硬化する熱併用光硬化型のシール材を形成する工程と、
(b)前記マザー基板における所定の前記素子基板に、前記シール材が形成された前記対向基板を搭載する工程と、
(c)前記シール材に紫外線を照射する工程と、を含み、
前記(a)〜(c)工程を前記マザー基板の複数の前記素子基板について順次行うとともに、前記各工程において前記マザー基板が加熱されていることを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 複数の素子基板が配置されたマザー基板に対向基板を複数搭載し、液晶の封入および分断をして前記素子基板と前記対向基板との間に前記液晶が封入された液晶装置を得るための製造方法であって、
(a)単品の前記対向基板に、紫外線および加熱により硬化する熱併用光硬化型のシール材を形成する工程と、
(b)前記マザー基板における所定の前記素子基板に、前記シール材が形成された前記対向基板を搭載する工程と、
(c)前記シール材に紫外線を照射する工程と、を含み、
前記(a)〜(c)工程を所定の数量ずつの前記対向基板により並列に行うとともに、前記各工程において前記マザー基板が加熱されていることを特徴とする液晶装置の製造方法。
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