以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両用ドアの側面図、図2はシリンダ錠およびドアロック機構の連結状態を示す斜視図、図3はハンドルケースの一部を背面側から示す図、図4は図3の4−4線断面図、図5はシリンダ錠およびギヤケースの分解斜視図、図6は図4の6−6線断面図、図7はトルクケーブルとの連結部分を切欠いて示すドアロック機構の一部切欠き正面図、図8はドアロック機構の収納ケース内の一部を図7の8−8線矢視方向から見た図、図9は図7の9−9線断面図、図10はトルクケーブルのドアロック機構への連結部を分解して示す斜視図、図11はトルクケーブルをドアロック機構に連結する前の状態での図9に対応した断面図、図12は挿入阻止部材をケーシングに取付ける際の状態を示す斜視図、図13は嵌入筒部が嵌合筒部から離脱した状態での挿入阻止部材の状態を示すための図12に対応した斜視図である。
先ず図1および図2において、たとえば乗用車両における右側のドアDには、シリンダ錠21と、シリンダ錠21のキー操作に応じて前記ドアDのロック状態およびアンロック状態を切換えるドアロック機構22とが設けられており、前記シリンダ錠21のキー操作に伴う回動力がトルクケーブル23を介してドアロック機構22に伝達される。
図3および図4を併せて参照して、ドアDの外面側にはハンドルケース24が取付けられており、そのハンドルケース24にアウトサイドハンドル25が回動可能に取付けられる。またシリンダ錠21のシリンダボディ26は、金属製のプロテクタ27に一対のねじ部材28…で取付けられており、プロテクタ27の下部には、前記ハンドルケース24の内面側に設けられた係合孔29に係合し得る係合突部27aが突設される。さらにハンドルケース24の内面側には金属製の支持板30が取付けられており、前記係合孔29に係合突部27aを係合した状態でプロテクタ27の上部が前記支持板30にねじ部材31によって締結される。これによりシリンダ錠21のシリンダボディ26が、ハンドルケース24に設けられる開口部32にその内方で同軸に対応するようにしてハンドルケース24に取付けられる。
前記シリンダボディ26内には、キー孔35を有するロータ36が回動可能に挿入されており、キー孔35に正規のキー37を挿入することにより前記シリンダボディ26との係合を解除する複数のタンブラー38…がロータ36の軸方向に間隔をあけた複数箇所に配設される。またロータ36およびシリンダボディ26間にはロータ36を中立位置に戻す戻しばね39が設けられる。
前記キー孔35に正規のキー37を挿入して前記ロータ36をその中立位置から右側にたとえば70度回動操作すると、アンロック状態にあるドアロック機構22がロック状態へと切換えられ、キー37に加えていた操作力を解放するとロータ36は前記中立位置に戻る。またキー孔35に正規のキー37を挿入して前記ロータ36をその中立位置から左側にたとえば70度回動操作すると、ロック状態にあるドアロック機構22がアンロック状態へと切換えられ、キー37に加えていた操作力を解放するとロータ36は前記中立位置に戻る。
図5を併せて参照して、前記シリンダボディ26の後部にはギヤケース40が取付けられる。このギヤケース40は、合成樹脂製の第1ケース半体41と、第1ケース半体41の一部を嵌合せしめる合成樹脂製の第2ケース半体42とから成るものであり、第1ケース半体41の両側に一対ずつ突設される係合突起43,44…が第2ケース半体42の両側に一対ずつ設けられる係止孔45,46…に係合することによって、第1および第2ケース半体41,42が相互に連結される。
相互に連結された第1および第2ケース半体41,42は、第1ケース半体41を第2ケース半体42およびシリンダボディ26間に挟むようにして配置され、3つのねじ部材47…によってシリンダボディ26に締結される。しかも第1ケース半体41には、1個の位置決めピン48と、一対の上下に延びる位置決め突条49,49とが一体に設けられ、シリンダボディ26には、位置決めピン48を嵌合させる位置決め孔63と、前記両位置決め突条49,49を嵌合させる位置決め溝64,64とが設けられており、位置決めピン48を位置決め孔63に嵌合するとともに両位置決め突条49,49を位置決め溝64,64に嵌合することで、シリンダボディ26に対するギヤケース40の位置が一定に定められる。
トルクケーブル23は、前記ギヤケース40に一端部が連結されるアウターケーシング50にインナーケーブル51が挿通されて成るものであり、アウターケーシング50の一端から突出したインナーケーブル51の一端が、ギヤケース40に収容されるギヤ伝達機構52を介して前記ロータ36に連結される。
前記アウターケーシング50およびインナーケーブル51は、その一端部をロータ36の軸線と直交させてギヤケース40から下方に延びるように配置されており、アウターケーシング50の一端部は、ギヤケース40の下部において第1および第2ケース半体41,42間に挟持される。
前記ギヤ伝達機構52は、ロータ36の回動運動をインナーケーブル51の捩じれ運動に変換して伝達するものであり、ロータ36に同軸に連結されるフェースギヤ53と、前記インナーケーブル51の一端部に固定されてフェースギヤ53に噛合するピニオンギヤ54とで構成される。
ギヤケース40における第1ケース半体41には、ロータ36と同軸の貫通孔55が設けられており、フェースギヤ53は、外周部一面に多数の歯部56…が設けられる円板部53aと、該円板部53aの一面中央部に一体に連なって前記貫通孔55に嵌合される支持筒部53bとから成る。
図6を併せて参照して、フェースギヤ53の前記支持筒部53bは、ロータ36側に臨む嵌合凹部57を形成するものであり、この嵌合凹部57の閉塞端には、ロータ36側に突出する突部58がその裏側に支持凹部59を形成するようにして一体に突設される。而して前記支持筒部53bの周囲で円板部53aの一面は第1ケース半体41の内面に摺接、支持され、第2ケース半体42には、前記支持凹部59に嵌合する支持軸部42aが一体に突設される。
ところで、前記嵌合凹部57は、その軸直角断面を非円形として形成されるものであり、この実施例では略楕円状の軸直角断面を有するように嵌合凹部57が形成され、前記突部58も、その軸直角断面が嵌合凹部57にほぼ対応した楕円形となるように形成され、該突部58の表面は曲面状に形成されている。
一方、ロータ36の後端には、連結軸部36aが同軸にかつ一体に突設されており、この連結軸部36aの軸直角断面形状は、前記嵌合凹部57に相対回動不能に嵌合するとともに前記突部58を嵌合せしめるべく、略楕円状の軸直角断面形状を有するように形成される。
ピニオンギヤ54は、インナーケーブル51の一端部にかしめ結合等で固着されるケーブルエンド60に一体に設けられるものであり、ケーブルエンド60には、ギヤケース40における第2ケース半体42に設けられた有底の支持穴61に嵌合される軸部62もピニオンギヤ54と同軸かつ一体に設けられる。しかもピニオンギヤ54は、フェースギヤ53との噛合状態を維持しつつ制限された範囲での軸方向変位を可能としてギヤケース40に収納されるものであり、前記軸部62は支持穴61にスライド可能に嵌合される。
このようなギヤケース40およびギヤ伝達機構52の構成によれば、プロテクタ27に取付けられた状態にあるシリンダボディ26にギヤケース40を取付けることにより、シリンダボディ26で支承されているロータ36の連結軸部36aにギヤ伝達機構52のフェースギヤ53が相対回動不能に連結され、ギヤ伝達機構52は、シリンダ錠21のロータ36がキー操作で回動するのに応じた回動力をトルクケーブル23におけるインナーケーブル51の捩じり運動に変換することになる。而してギヤケース40がシリンダボディ26に取付けられた後に、プロテクタ27がハンドルケース24に取付けられることになる。
再び図2において、ドアロック機構22のケーシング66には、車体側のストライカ(図示せず)を進入させ得る進入溝67が設けられており、ドアDを閉じたときに進入溝67に進入した前記ストライカに係合して回動すべく前記ケーシング66に回動可能に支承されたラッチ65の回動を阻止することによりドアDが閉じ状態でロックされ、前記ラッチ65の回動を許容することで前記ドアDのロック状態が解除されてアンロック状態となり、このアンロック状態でドアDを開くことが可能となる。
図7を併せて参照して、ケーシング66は、前記進入溝67が設けられている金属製のケーシング主体68と、該ケーシング主体68を覆う収納ケース69とから成り、該収納ケース69は、合成樹脂から成る一対のケース半体70,71を相互に結合して構成される。
前記収納ケース69は、ケーシング主体68側を開放した箱形に形成されてケーシング主体68を覆うカバー部69aと、該カバー部69aから立ち上がるケース主部69bとを構成するようにして略L字状に形成され、ケース主部69b内には作動室72が形成される。
図8において、前記作動室72内には、ドアロックモータ75と、該ドアロックモータ75の出力軸に同軸に連結されるウォーム76と、該ウォーム76に噛合するウォームホイル77と、該ウォームホイル77との制限された範囲での相対回動を可能としてウォームホイル77に同軸に連結されるギヤ78と、前記ギヤ78に噛合するセクタギヤ79を一体に有する駆動部材80と、一端部が前記駆動部材80に連結されるドアロックレバー74と、キー操作入力レバー81と、前記ドアロックレバー74の他端部および前記キー操作入力レバー81間に設けられる第1リンク82とが収容される。
前記ドアロックレバー74は、前記進入溝67が延びる方向と平行な軸線を有して前記ケース主部69bに回動可能に支承されるドアロックレバー軸73に固定される。而してドアロック機構22のロック状態およびアンロック状態は、ドアロックレバー74すなわちドアロックレバー軸73がロック位置およびアンロック位置間で回動することにより切換えられる。
ドアロックモータ75は、正逆回転可能なものであり、前記ドアロックレバー軸73の軸線と直交する平面と平行な回転軸線を有してケース主部69b内に固定的に収納される。またウォームホイル77およびギヤ78は、前記ドアロックレバー軸73と平行な軸線を有してケース主部69bで支持される支軸83で回動可能に支承される。しかもウォームホイル77およびケース主部69b間には、図示しないばねが設けられており、そのばねは、ドアロックモータ75の作動停止時に、ウォームホイル77を正逆両方向への回動前の位置に戻す働きをする。また駆動部材80も前記ドアロックレバー軸73と平行な軸線まわりの回動を可能としてケース主部69bに支承される。
セクタギヤ79および前記ギヤ78の組付け時の相対位置を一定に定めるために、セクタギヤ79にはギヤ78側に突出した位置決め突起84が突設され、ギヤ78には、位置決め突起84を嵌合可能な位置決め凹部85が設けられる。
駆動部材80には、ドアロックレバー74の一端側に延びるアーム部80aが一体に設けられており、このアーム部80aの先端部が連結軸86を介してドアロックレバー74の一端部に連結される。また第1リンク82の一端部は、連結軸87を介してドアロックレバー74の他端部に連結される。さらにドアロックレバー74およびケース主部69b間には、図8で示すアンロック位置と、そのアンロック位置から図8の反時計方向に回動したロック位置との間でドアロックレバー74を節度的に回動させるためのクリックばね88が設けられる。
キー操作入力レバー81は扇形に形成されるものであり、前記ドアロックレバー軸73と平行な軸線を有してケース主部69bで回動可能に支承されるキー操作入力軸90が、前記扇形の要部に対応する位置でキー操作入力レバー81に一体に設けられ、このキー操作入力軸90に、前記シリンダ錠21のキー操作に応じた回動力がトルクケーブル23を介して入力される。またキー操作入力レバー81には、前記キー操作入力軸90の軸線を中心とした円弧状の長孔91が設けられ、第1リンク82の他端部に植設された係合ピン92が長孔91に挿通される。
而して、シリンダ錠21をアンロック側にキー操作したときには、キー操作入力レバー81が図8の時計方向に回動し、長孔91の一端側でキー操作入力レバー81が係合ピン92に係合し、第1リンク82を介してドアロックレバー74を図8の時計方向に回動せしめる。またシリンダ錠21でのアンロック位置側への操作力解除に応じたトルクケーブル23の捩じれ解消側への回動により、キー操作入力レバー81も図8で示すように中立位置に戻る。この際、長孔91の他端側でキー操作入力レバー81が第1リンク82に力を及ぼすことはなく、ドアロックレバー軸73およびドアロックレバー74はアンロック位置のままである。またドアロックレバー74の回動に応じて駆動部材80すなわちセクタギヤ79およびギヤ78も回動するが、この際のギヤ79は、ウォームホイル77に回動力を及ぼすことなく回動する。
次いでシリンダ錠21をロック位置側にキー操作したときには、キー操作入力レバー81が図8の中立位置から反時計方向に回動し、長孔91の他端側でキー操作入力レバー81が係合ピン92に係合し、第1リンク82を介してドアロックレバー74を図8の反時計方向に回動せしめる。このときもシリンダ錠21でのロック位置側への操作力解除に応じたトルクケーブル23の捩じれ解消側への回動により、キー操作入力レバー81も図8で示す中立位置に戻り、ドアロックレバー軸73はロック位置のままとなる。
またドアロックモータ75の作動によってドアロック機構22のロック状態およびアンロック状態を切換える際には、ドアロックモータ75からの動力がウォーム76、ウォームホイル77、ギヤ78および駆動部材80のセクタギヤ79を介してドアロックレバー74に伝達されることになり、ドアロックレバー74がアンロック位置およびロック位置間で回動するが、この際の第1リンク82の他端部の係合ピン92は、キー操作入力レバー81の長孔91内を移動するだけであり、ドアロックレバー74から第1リンク82を介してキー操作入力レバー81に動力が伝達されることはない。
駆動部材80のセクタギヤ79には、スライドプレート93の一端が連結される。このスライドプレート93は、セクタギヤ79の回動軸線に直交する平面に沿って延びるようにして合成樹脂により形成されるものであり、ケース主部69bの内面に摺接される。しかもスライドプレート93には、その長手方向に沿って延びる長孔94が設けられており、ケース主部69bに植設されたピン95が該長孔94に挿通されることにより、スライドプレート93がその長手方向に沿って移動するようにガイドされる。
スライドプレート93には、相互に導通した一対の可動接点96…が固定されており、図8において鎖線で示すようにケース主部69bに固定される複数の固定接点との前記両可動接点96…の導通・遮断がスライドプレート93のスライド作動すなわちセクタギヤ79、ドアロックレバー軸73およびドアロックレバー74の回動によって切り換わることで、ドアロックレバー軸73およびドアロックレバー74のロック位置およびアンロック位置が検出されることになる。
またキー操作入力レバー81には、相互に導通した一対の可動接点97…が固着され、図8において鎖線で示すようにケース主部69bに固定される固定接点との前記両可動接点97…の導通・遮断により、キー操作入力レバー81がロック位置およびアンロック位置に回動したこと、すなわちシリンダ錠21による施・解錠操作が行なわれたことが検出される。
またケース主部69bには、回動軸線を前記駆動部材80と同軸にしたノブレバー98が、前記駆動部材80との相対回動を可能として配置されており、ドアロック機構22のロック状態およびアンロック状態を切換えるために車室側でロック操作ノブ99(図1参照)を操作したときの操作力がプッシュ・プルケーブル100を介して、ノブレバー98に入力される。
而してロック操作ノブ99をロック側に操作したときにはノブレバー98が図8の時計方向に回動し、ロック操作ノブ99をアンロック側に操作したときにはノブレバー98が逆方向に回動して図8で示す位置となる。
ロック操作ノブ99および前記駆動部材80間には、ロック操作ノブ99および駆動部材80間の連結および非連結を切換可能なスーパーロック機構101が介設される。
このスーパーロック機構101は、スーパーロックモータ102と、該スーパーロックモータ102の出力軸に同軸に連結されるウォーム103と、前記駆動部材80の回動軸線と平行な軸線を有してウォーム103に噛合するウォームホイル104と、該ウォームホイル104との制限された範囲での相対回動を可能としてウォームホイル104に同軸に連結されるスーパーロックレバー105と、前記ノブレバー98とともに回動するようにしてノブレバー98に同軸に連結されるガイドレバー106と、一端部がスーパーロックレバー105に連結されるとともに駆動部材80およびガイドレバー104側に延びる第2リンク107とを備え、作動室72に収容される。
スーパーロックモータ102は、たとえばシリンダ錠21の施錠操作を設定時間内に2回実行することによって、前記ノブレバー98および前記駆動部材80間の連結を解除する側に作動するものであり、ケース主部69bに固定的に支持される。またウォームホイル104およびスーパーロックレバー105はケース主部69bで支持される支軸108で回動可能に支承される。しかもウォームホイル104およびケース主部69b間には、図示しないばねが設けられており、そのばねは、スーパーロックモータ102の作動停止時に、ウォームホイル104を原位置に戻す働きをする。
スーパーロックレバー105には、駆動部材80の回動軸線を中心とする円弧状の長孔109が設けられており、駆動部材80に植設された係合ピン110が該長孔109に挿通される。またスーパーロックレバー105およびケース主部69b間には、図8で示す連結位置と、その連結位置から図8の反時計方向に回動した連結解除位置との間でスーパーロックレバー105を節度的に回動させるためのクリックばね111が設けられる。
第2リンク107の一端部は連結軸112を介してスーパーロックレバー105に連結されており、第2リンク107の他端部に設けられた係合ピン113が、ガイドレバー106に設けられた第1ガイド孔114、ならびに駆動部材80に設けられた第2ガイド孔115に挿通される。しかも第1ガイド孔114が、ガイドレバー106の回動軸線に対する半径方向に沿って長く延びるように形成されてガイドレバー106に設けられるのに対し、第2ガイド孔115は、駆動部材80の回動軸線に対する半径方向に沿って延びる部分と、その部分の内端から駆動部材80のロック位置からアンロック位置への回動時に前記回動軸線まわりに係合ピン113をガイドするように延びる部分とを有する略L字状に形成されて、駆動部材80に設けられる。
このようなスーパーロック機構101において、駆動部材80がアンロック位置からロック位置に回動する際に、駆動部材80が備える係合ピン110はスーパーロックレバー105が備える長孔109内をその一端側から他端側に移動するだけであり、スーパーロックレバー105に駆動部材80からの回動力が作用することはない。さらに第2リンク107の係合ピン113が、ガイドレバー106の第1ガイド孔114および駆動部材80の第2ガイド孔115に挿通されており、駆動部材80のアンロック位置からロック位置への回動によって駆動部材80から係合ピン113に作用する力により、第2リンク107は連結軸112を支点として図8の反時計方向に回動し、またガイドレバー106が駆動部材80とともに回動するのに応じて、ノブレバー98もロック位置に回動することになる。
またロック操作ノブ99をアンロック状態からロック状態に切換操作しても、ドアロック機構22およびスーパーロック機構101は、上述と同様に作動する。
このようなロック状態において、たとえばシリンダ錠21の施錠操作を設定時間内に2回実行することによって、スーパーロックモータ102を作動せしめると、スーパーロックレバー105が図8の反時計方向に回動する。これにより、駆動部材80が備える係合ピン110はスーパーロックレバー105の長孔109内をその他端側から中間部まで戻るだけであり、スーパーロックレバー105から駆動部材80に回動力が作用することはない。また第2リンク107は、その係合ピン113をガイドレバー106の第1ガイド孔114に沿って移動させるように回動し、係合ピン113が、駆動部材80の第2ガイド孔115の中間部まで移動する。
このようなスーパーロック状態で、ロック操作ノブ99からプッシュ・プルケーブル100を介してノブレバー98に、アンロック側への回動力が作用すると、ノブレバー98およびガイドレバー106が反時計方向に回動し、ガイドレバー106の第1ガイド孔114に挿通されている係合ピン110も第2リンク107の一端部を中心として回動するが、駆動部材80の第2ガイド孔115は、スーパーロック状態では駆動部材80に係合させることがないように係合ピン110を空振りさせる形状に形成されており、ノブレバー98から駆動部材80に回動力が伝達されることはない。すなわちスーパーロック機構101の作動により、ノブレバー98および駆動部材80間の連結が解除された状態となっている。
またスーパーロック状態で、ドアロックモータ75をアンロック側に作動せしめると、駆動部材80が図8の反時計方向に回動し、それによりロック位置にあったドアロックレバー74が時計方向に回動してアンロック位置となる。この際、ドアロックレバー74に一端部が連結されている第1リンク82も図の下方に移動するが、第1リンク82の他端部の係合ピン92はキー操作入力レバー81の長孔91内を移動するだけであり、第1リンク82からキー操作入力レバー81に影響が及ぶことはない。また駆動部材80がロック位置からアンロック位置に回動する際に、駆動部材80が備える係合ピン110はスーパーロックレバー105の長孔109の一端側でスーパーロックレバー105に係合し、スーパーロックレバー105は時計方向に回動する。それに伴い第2リンク107の係合ピン113は第1および第2ガイド孔114,115内を図8で示す位置まで戻ることになり、またガイドレバー106は駆動部材80とともにアンロック位置側に回動し、ノブレバー98もアンロック位置に回動することになる。この際、ノブレバー98および駆動部材80間は、いずれか一方のロック位置側への回動に他方を追随させるようにして相互に連結された状態となる。
すなわち、スーパーロック機構101の作動によりノブレバー98および駆動部材80が非連結状態にあるときに、ドアロックモータ75の作動により駆動部材80をアンロック側に回動せしめることにより、ノブレバー98および駆動部材80間が連結された状態となる。
さらにスーパーロック機構101の作動状態で、シリンダ錠21の解除操作を行ったときには、キー操作入力レバー81が図8の時計方向に回動し、キー操作入力レバー81が備える長孔91の一端側で係合ピン92がキー操作入力レバー81に係合することにより、第1リンク82を介してドアロックレバー74が時計方向に回動し、それによりロック位置にあったドアロックレバー74がアンロック位置となる。このドアロックレバー74のアンロック位置側への回動時に、駆動部材80が備える係合ピン110がスーパーロックレバー105の長孔109の一端側でスーパーロックレバー105に係合し、スーパーロックレバー105が時計方向に回動する。それに伴い第2リンク107の係合ピン113は第1および第2ガイド孔114,115内を図8で示す位置まで戻ることになり、ガイドレバー106は駆動部材80とともにアンロック位置側に回動し、ノブレバー98もアンロック位置に回動する。これによっても、ノブレバー98および駆動部材80間は、いずれか一方のロック位置側への回動に他方を追随させるようにして相互に連結された状態となる。
すなわち、スーパーロック機構101の作動によりノブレバー98および駆動部材80が非連結状態にあるときに、シリンダ錠21の解錠操作により駆動部材80をアンロック側に回動せしめることにより、ノブレバー98および駆動部材80間が連結された状態となる。
このようにして、ドアロック機構22のロック状態で車室に臨む側でドアDに配設されるロック操作ノブ99を不正操作しても、ドアロック機構22がアンロック状態とはならないようにするためのスーパーロック機構101は、該スーパーロック機構101が備えるスーパーロックモータ102の作動に応じてノブレバー98および駆動部材80間の連結を解除する状態と、ノブレバー98および駆動部材80が非連結状態にあるときの駆動部材80のアンロック側への作動に応じてノブレバー98および駆動部材80間を連結する状態とを切換可能として構成されており、ドアロック機構22のケーシング66に連設された収納ケース69に収容されている。
したがってドアロック機構22とは別にスーパーロック機構を配設するようにしたものと比べると、部品点数の低減が可能となるとともに、組立ライン上での部品管理の簡略化が可能となり、ドアDへの組付け工数も低減することができる。しかもスーパーロック機構101を備えない機種であってもスーパーロック機構101の構成部品を除くだけで、収納ケース69をそのまま用いることができる。
ドアロック機構22のケーシング66におけるケーシング主体68には、ドア開放操作力の入力に応じて回動するようにしてオープンレバー116(図2参照)が支承される。該オープンレバー116の長手方向に沿う一端部はケーシング主体68から突出されており、その一端部には、ドアDの外面側に設けられるアウトサイドハンドル25の操作に応じた操作力がロッド117(図1参照)を介して入力される。またドアロック機構22の前記カバー22には、ドアDの内面側に設けられるインサイドハンドル118(図1参照)の操作に応じたケーブル119の牽引作動によって回動する入力レバー120が回動可能に支承されており、この入力レバー120から前記オープンレバー116に開扉方向の動力が伝達される。
図9および図10を併せて参照して、前記ケース主部69bの下部においてケース半体70側には、前記キー操作入力レバー81の一面に摺接する円板状の摺接支持部125と、該摺接支持部125の外周に内端を同軸に連ならせた円筒部126と、該円筒部126の外端に小径端を同軸に連ならせたテーパ部127とが、全体として内方に凹んだ凹部128を形成するようにして一体に設けられるとともに、前記摺接支持部125の中央部に内端を同軸に連ならせた嵌合筒部129がその外端を前記凹部128から外方に突出させるようにして一体に設けられる。一方、ケース主部69bのケース半体71側には前記嵌合筒部129と同軸の支持凹部130が設けられており、一面を摺接支持部125の内面に摺接せしめたキー操作入力レバー81と一体のキー操作入力軸90は、その一端部を前記嵌合筒部129の内端部に嵌合するとともに他端部を前記支持凹部130に嵌合することでケース主部69bに回動可能に支承される。
しかもキー操作入力軸90には、該キー操作入力軸90の一端側に開放する嵌合凹部131と、キー操作入力軸90の一直径線に沿うようにして前記嵌合凹部131の内端に連なる係合凹部132とが設けられる。
前記嵌合筒部129の下部側壁には軸方向に延びる切欠き133が設けられており、該切欠き133を両側から挟む一対のリブ134,135が、嵌合筒部129の下部外面および前記凹部128の内面間にわたって設けられ、また両リブ134,135間の中央部に対応する位置で嵌合筒部129の上部外面および凹部128の内面間にはリブ136が設けられる。
前記嵌合筒部129の左右両側壁には、軸方向に延びる一対ずつのスリット137,137…がそれらのスリット137,137…間に、嵌合筒部129の半径方向に弾性的に撓み得る係合部138,138を形成するようにして設けられ、両係合部138,138の中間部内面には係合突起139,139が突設される。
トルクケーブル23におけるアウターケーシング50のドアロック機構22側端部には、インナーケーブル51およびアウターケーシング50のドアロック機構22側端部を、所定の形状に保持する合成樹脂製のホルダ140が取付けられる。
前記ホルダ140は、円弧状に彎曲したホルダ主部140aと、該ホルダ主部140aのドアロック機構22側端部に連なってホルダ主部140aよりも大径に形成される保持部140bと、前記嵌合筒部129の外端部に嵌入し得るようにして保持部140bから突出する嵌入筒部140cとを一体に有し、アウターケーシング50のドアロック機構22側端部を挿入せしめる大径挿入孔141と、大径挿入孔141よりも小径である小径挿通孔142とが相互間に段部143を形成するようにしてホルダ140に設けられる。
而してアウターケーシング50は、そのドアロック機構22側端部を前記段部143に当接せしめるようにして大径挿入孔141に挿入され、アウターケーシング50のドアロック機構22側端部から突出するインナーケーブル51が、小径挿通孔142を貫通してホルダ140における嵌入筒部140cから突出される。
前記ホルダ主部140aの内周側には補強リブ144が突設され、ホルダ主部140aの外周側にはホルダ140へのトルクケーブル23の挿通作業を容易とするための開口部145が設けられる。
また嵌入筒部140cの先端寄り外周には環状に凹んだ係止部146が、前記嵌合筒部129の両係合部138,138が備える係合突起139,139を弾発係合せしめることを可能として設けられ、嵌入筒部140cの先端外周部には、前方に向かうにつれて小径となるテーパ面147が形成される。
前記ホルダ140から突出したインナーケーブル51の端部には、ケーブルエンド150が固着されており、該ケーブルエンド150の先端部は、前記キー操作入力軸90の係合凹部132に係合する偏平係合部150aを形成するように偏平に潰される。
而して図11で示すようにケーブルエンド150を嵌合筒部129内に挿入し、ホルダ140の嵌入筒部140cを嵌合筒部129内に嵌合すると、嵌合筒部129の両係合部138,138は嵌入筒部140cの先端のテーパ面147に係合突起139,139が当接することで押し広げられ、テーパ面147が両係合突起139,139を通過したときには、図9で示すように、嵌入筒部140cの係止部146に両係合部138,138の係合突起139,139が弾発的に係合することになる。この際、前記ケーブルエンド150は、その先端の偏平係合部150aをキー操作入力軸90の係合凹部132に係合するようにして嵌合凹部131に嵌合する。この状態で、インナーケーブル51が捩じれ運動することにより、キー操作入力軸90およびキー操作入力レバー81が回動することになる。
ところで、ホルダ140の保持部140bには、係止部146に対する係合部138,138の係合解除を阻止し得る係合解除阻止部材151が、係合解除を許容する係合解除許容位置ならびに係合解除を阻止する係合解除阻止位置間での変位を可能として装着される。
係合解除阻止部材151は、係合部138,138を係止部146に弾発係合させた状態にある嵌合筒部129を嵌合せしめて両係合部138,138の係止部146への弾発係合状態を保持し得るようにして基本的には円筒状として合成樹脂により形成されるものであり、ホルダ140の前記保持部140bも前記嵌合筒部129の外径と略同一の外径を有するように形成される。
またホルダ140における前記保持部140bの外面には1条のガイド突起152が突設されており、そのガイド突起152を摺動可能に嵌合せしめるガイド溝153が係合解除阻止部材151の内面に設けられる。それにより保持部140bに係合解除阻止部材151を装着したときには、保持部140bすなわちホルダ140と、係合解除阻止部材151との周方向相対位置が一定に保持されることになる。
しかも係合解除阻止部材151に、該係合解除阻止部材151を係合解除許容位置および係合解除阻止位置間で変位操作するためのたとえば一対の操作部154,154が両側方に張り出すようにして一体に設けられ、ホルダ140の保持部140bには、ホルダ140の嵌入筒部140cを嵌合筒部129に押しこむ際の操作を容易とするための操作部155が下方に張り出すようにして一体に設けられる。
またホルダ140の保持部140bおよび係合解除阻止部材151間には、係合解除阻止部材151を係合解除許容位置および係合解除阻止位置でそれぞれ位置決め保持する位置決め保持手段156が設けられる。
この位置決め保持手段156は、係合解除阻止部材151の嵌合筒部129とは反対側の端部に設けられる一対の係合爪157,157と、係合解除阻止部材141が嵌合筒部129を嵌合せしめるように保持部140bから係合解除阻止位置に前進したときに前記両係合爪157,157を弾発係合せしめるようにして保持部140bの外周に設けられる一対の係止凹部158,158と、前記係合解除阻止位置から後退した係合解除許容位置に係合解除阻止部材151が戻ったときに前記両係合爪157,157を弾発係合せしめるようにして保持部140bのホルダ主部140a側端部に設けられる一対の係止面159,159とで構成される。
図12を併せて参照して、ドアロック機構22のケーシング66におけるケース主部69bには、嵌合筒部129からの嵌入筒部140cの離脱に応じて切欠き133から嵌合筒部129内に突入するように変位可能な挿入阻止部材160が取付けられる。
前記挿入阻止部材160は弾性材から成るものであり、前記ケース主部69bに挿入阻止部材160の一端部が固定される。すなわち前記嵌合筒部129の下方でケース主部69bには、嵌合筒部129と平行に延びる支持ボス162が一体に設けられており、その支持ボス162の先端部には、環状凹部163が設けられるとともに環状凹部163で囲まれる支持ピン164が一体に設けられる。而して挿入阻止部材160の一端部は支持ボス162に設けられた切欠き162aに挿通されるとともに支持ピン164を囲繞するようにして環状凹部163に挿入される。しかも挿入阻止部材160の一端部が環状凹部163に挿入された状態で支持ピン164に圧入される閉塞部材165で環状凹部163の開口端が閉塞される。
これにより挿入阻止部材160の一端部がケース主部69bに固定されるが、一端部が固定された状態の挿入阻止部材160は、その他端部を切欠き133から嵌合突部129内に突入させる弾発力を発揮するものであり、挿入阻止部材160の他端部には略U字状に曲げられた係合部160aが形成される。
またケース主部69bにおいて前記切欠き133の一側に配置されたリブ134には、挿入阻止部材160がその他端に備える係合部160aの位置を規制するピン状の位置規制部161が突設されており、この位置規制部161は、前記挿入阻止部材160の中間部に係合可能である。
而して位置規制部161が挿入阻止部材160の中間部に係合した状態では、前記係合部160aの位置は、切欠き133から嵌合筒部129内にわずかに突出した位置に規制されるものであり、この状態で、アウターケーシング50に装着されたホルダ140の嵌入筒部140cが嵌合筒部129内に嵌入されたときには、嵌入筒部140cの先端のテーパ面147で係合部160aが外方に押し出され、嵌入筒部140cを嵌合筒部129に嵌合して係合部138…を係止部146に弾発係合することができる。しかも係合部138…を係止部146に弾発係合した状態で、図7で示すように、前記係合部160aも係止部146に係合することになる。
また係合解除阻止部材151を係合解除許容位置に変位させて前記嵌入筒部140cを嵌合筒部129から引き抜いてアウターケーシング50を嵌合筒部129から離脱せしめたときには、係止部146に係合部160aが係合していたことにより、図13で示すように、挿入阻止部材160の他端側が切欠き133に沿って嵌合筒部129の軸方向外方側に変位することになる。それにより挿入阻止部材160の中間部の位置規制部161への係合が解除され、挿入阻止部材160は、その他端側を嵌合筒部129内により深く突入せしめるように変位した状態となり、この状態では、嵌合筒部129内への工具等の挿入が阻止される。
すなわち位置規制部161は、嵌入筒部140cの嵌合筒部129への嵌合を許容するように挿入阻止部材160の他端部の位置を規制するようにして挿入阻止部材160の中間部に係合するとともに、嵌入筒部140cの嵌合筒部129からの離脱時には挿入阻止部材160との係合を解除して挿入阻止部材160の他端部の嵌合筒部129内に突入する側への変位を許容するすることになる。
次にこの実施例の作用について説明すると、トルクケーブル23におけるアウターケーシング50のドアロック機構22側端部には、該ドアロック機構22のケーシング66に設けられる係合部138,138を弾発係合させ得る係止部146が設けられるとともに、係止部146に対する係合部138,138の係合解除を阻止し得る係合解除阻止部材151が係合解除を許容する係合解除許容位置ならびに係合解除を阻止する係合解除阻止位置間での変位を可能として装着されている。
したがってトルクケーブル23のインナーケーブル51をドアロック機構22のキー操作入力軸90に連結する際に、係合解除阻止部材151を係合解除許容位置に配置しておき、係合部138…を係止部146に弾発係合することでインナーケーブル51を挿通せしめたアウターケーシング50をドアロック機構22に連結することが可能であり、インナーケーブル51およびアウターケーシング50のドアロック機構22側への組付け性を向上せしめることができる。しかも係合解除阻止位置に係合解除阻止部材151を変位させることで、係合部138…および係止部146の係合解除が阻止されるので、外力や衝撃作用にもかかわらずアウターケーシング50がドアロック機構22のケーシング66から離脱してしまうことを阻止することができ、ドアロック機構22の作動をシリンダ錠21側で操作することが不能となってしまう状態が生じることを確実に防止することができる。
またアウターケーシング50のドアロック機構22側端部に、インナーケーブル51およびアウターケーシング50のドアロック機構22側端部を、所定の形状に保持するホルダ140が取付けられるので、インナーケーブル51およびアウターケーシング50のドアロック機構22への組付け操作が容易となり、しかもドアDの開閉時の衝撃によってインナーケーブル51およびアウターケーシング50に捩れが生じるのを防止することができ、インナーケーブル51およびアウターケーシング50のドアロック機構22への連結部に無用な応力が作用することを抑制することができる。
また係合解除阻止部材151は、係合解除許容位置および係合解除阻止位置間での変位を可能としてホルダ140に組付けられるものであり、ホルダ140および係合解除阻止部材151がユニット化されるので、係合解除阻止部材151の管理が煩雑となることはなく、ドアロック機構22のケーシング66にアウターケーシング50を連結した後に、係合解除阻止部材151を容易にかつ直ちに係合解除阻止位置に変位させることが可能となる。
しかもホルダ140の保持部140bおよび係合解除阻止部材151間に、係合解除阻止部材151を係合解除許容位置および係合解除阻止位置でそれぞれ位置決め保持する位置決め保持手段156が設けられるので、アウターケーシング50のケーシング66への係合、連結状態を確実に維持することができる。
さらに係合解除阻止部材151には、該係合解除阻止部材151を係合解除許容位置および係合解除阻止位置間で変位操作するための操作部154,154が一体に設けられるので、係合解除阻止部材151を係合解除許容位置および係合解除阻止位置間で変位操作することが容易となる。
またドアロック機構22のケーシング66には、アウターケーシング50のドアロック機構22側端部に設けられる嵌入筒部140cを嵌合してケーシング66に連結するための嵌合筒部129が一体に設けられるとともに、嵌合筒部129からの前記嵌入筒部140cの離脱に応じて嵌合筒部129内に突入するように変位可能な挿入阻止部材160が取付けられるので、アウターケーシング50に設けられる嵌入筒部140cが嵌合筒部129から不所望に離脱されてしまっても、嵌合筒部129内に挿入阻止部材160が突入することになり、トルクケーブル23と類似の工具を嵌合筒部129からキー操作入力軸90に連結しようとしても、挿入阻止部材160により工具の嵌合筒部129内への挿入が阻止されるので、キー操作入力軸90が不正に回動操作されることを防止することができる。
また弾性材から成る挿入阻止部材160の一端部が、その他端側の係合部160aを嵌合筒部129に突入させる弾発力を発揮してケーシング66に固定され、ケーシング66には、嵌入筒部140cの嵌合筒部129への嵌合を許容するように挿入阻止部材160の他端部の位置を規制するようにして挿入阻止部材160の中間部に係合する位置規制部161が、前記嵌入筒部140cの嵌合筒部129からの離脱時には挿入阻止部材160との係合を解除して挿入阻止部材160の他端部の嵌合筒部129内に突入する側への変位を許容するするようにして設けられているので、アウターケーシング50に設けられた嵌入筒部140cの嵌合筒部129からの離脱時に、簡単な構造で挿入阻止部材160の他端部を嵌合筒部129内に突入させることができる。
さらにインナーケーブル51の一端部は、シリンダ錠21におけるロータ36の軸線と直交して配置され、ロータ36およびインナーケーブル51間に、ロータ36の回動運動をインナーケーブル51の捩じれ運動に変換して伝達するギヤ伝達機構52が介設されるので、インナーケーブル51をロータ36に連結する構造がシリンダ錠21の後方側に大きなスペースを占めることはなく、シリンダ錠21の後方側に配置されるガラス等との干渉を考慮する必要がない。
しかもギヤ伝達機構52は、ロータ36に同軸に連結されるフェースギヤ53と、該フェースギヤ53の軸線と直交する軸線を有してフェースギヤ53に噛合するピニオンギヤ54とで構成され、シリンダ錠21のシリンダボディ26に取付けられるギヤケース40に収納されるものであり、ピニオンギヤ54が、フェースギヤ53との噛合状態を維持しつつ制限された範囲での軸方向変位を可能としてギヤケース40に収納されるので、シリンダ錠21およびドアロック機構22のドアDへの取付け位置にばらつきが生じても、そのばらつきを前記ピニオンギヤ54の軸方向変位で吸収することが可能であり、シリンダ錠21およびドアロック機構22間のトルクケーブル23の長さを常時ほぼ一定としてトルクケーブル23のドアロック機構22への組付け性を高めることができる。
さらにフェースギヤ53の中央部には、ロータ36を相対回動不能に嵌合せしめる嵌合凹部57が設けられ、該嵌合凹部57の閉塞端には、ロータ36側に突出する突部58が表面を曲面状として突設されるので、ギヤケース40がシリンダボディ26から離脱してしまい、フェースギヤ53およびロータ36の連結が解除されてしまった状態でも、フェースギヤ53の中央部の嵌合凹部57内には突部58が配置されているので、工具等を嵌合凹部57内に挿入し難く、また突部58の表面が曲面状であるので突部58を掴むことも難しい。したがってフェースギヤ53を不所望に回転操作することは困難であり、防盗性を高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。