JP3886332B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、インクヘッドのインク吐出ノズル内に残留しているインクを吸引してインクヘッドのメンテナンスを行う機能を備えたインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図7に示すように、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクヘッド71c、71m、71y、71kからなるインクヘッドユニット71と、4色分のインクを収容したインクタンク72とを備えたインクカートリッジ73を主走査方向に延びるガイドシャフト74に沿って移動させつつ、各インクヘッド71c、71m、71y、71kから各々異なる色のインクを選択的に吐出させて、副走査方向(主走査方向と直交する方向)に搬送される記録用紙に付着させることにより、記録用紙にカラー画像をプリントするカラーインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
この種のカラーインクジェットプリンタは、非使用時(非記録動作時)には、インクカートリッジ73のインクヘッドユニット71を密封してインクヘッド71c、71m、71y、71kを保護するとともに、インクの乾燥によるインク吐出ノズルの目詰まりを防ぐために、キャップ75によって大気との接触を遮断するようにしている。すなわち、非使用時には、インクカートリッジ73はその移動可能範囲の一方の終端部のホームポジションに位置し、このホームポジションにおいてインクヘッドユニット71と対向配置されたキャップ75が退避位置(図示の位置)から接触位置に移動することによって、キャップ75がインクヘッドユニット71に密着する。このため、キャップ75は、図中の矢印A方向に移動可能な構成となっている。
【0004】
また、インクヘッド71c、71m、71y、71kのインク吐出ノズルが目詰まりを起こしたり、あるいは、インク吐出ノズル内に気泡が混入したりして性能が低下した場合には、キャップ75に接続されているチューブポンプ(吸引ポンプ)76を作動させてインク吐出ノズル内のインクを吸い出すことによって性能を回復させるようにしている。キャップ75は、C、M、Y、Kの全てのインクヘッド71c、71m、71y、71kに対して同時にインク吸引力を作用させる構造になっている。チューブポンプ76により吸い出されたインクは廃インクユニット77に回収される。
【0005】
従来のインクジェットプリンタにおけるチューブポンプ76の構成を図8(a)、(b)に示す。
チューブポンプ76は、複数のチューブ圧迫ローラ81を軸支して回転するローラホルダ(ロータ)82を、ポンプケース84の一部をなす略円筒形状のガイド壁83内に収容している。ローラホルダ82はその上方に配置されたモータ85によって図中の矢印Aの向きに回転駆動される。チューブ圧迫ローラ81とガイド壁83との間には、インク吸引用チューブ86がガイド壁83の周方向に沿って配置されている。
【0006】
このチューブポンプ76は、チューブ圧迫ローラ81とガイド壁83間でインク吸引用チューブ86を圧迫しながらローラホルダ82を矢印Aの向きに回転させることにより、インク吸引用チューブ86の吸引側に負圧を発生させてインクを吸引するとともに、吸引したインクを排出側に送り出す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
カラーインクジェットプリンタでは、C、M、Yのカラーインクについては染料インクが用いられ、黒(K)インクについては顔料インクが用いられることが一般的であり、顔料インクである黒インクの方が粘性が高いため、インク吸引のために多くの時間を必要とする。
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、C、M、Y、Kの全てのインクヘッド71c、71m、71y、71kに対して同時にインク吸引を行っているため、黒インクに対して必要なインク吸引時間に設定すると、カラーインクにおいて必要以上のインクが吸引されて廃棄されるため、インクの無駄が発生するといった問題がある。
【0009】
また、このような不具合を無くすために、カラーインクと黒インクとでインク吸引によるメンテナンス機構を別にすることも考えられるが、この場合には、インクを吸引するためのポンプが複数必要となり、装置の大型化を招来するといった問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、インクを吸引するためのポンプの数を増加させることなくカラーインクと黒インクの吸引を別々に実施可能とすることで、インクヘッドのメンテナンス時における無駄なインク吸引を防止することができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、次の構成を有する。
本発明の第1の要旨は、複数のインクヘッドを有するインクヘッドユニットを記録用紙に沿って移動させつつ、該インクヘッドユニットの各インクヘッドから各々異なる色のインクを選択的に吐出させて該記録用紙に付着させることにより、該記録用紙にカラー画像をプリントするインクジェットプリンタであって、前記インクヘッドユニットの全インク吐出ノズルを一括して覆うようにして前記インクヘッドユニットに着脱可能に密着するキャップと、前記インク吐出ノズル内に残留しているインクを吸い出すための吸引力を前記インクヘッドユニットに密着した前記キャップの内部空間に発生させるための吸引ポンプとを備え、前記キャップの内部空間を、カラーインク用の吸引空間と黒インク用の吸引空間とに区画するとともに、各吸引空間毎に、前記吸引ポンプの吸引部から延びる各々別々の吸引用チューブを接続し、前記吸引ポンプは、外周部にチューブ圧迫ローラを保持して回転するロータとこれを包囲する略円筒形状のガイド壁との間に、前記カラーインク用の吸引用チューブおよび前記黒インク用の吸引用チューブを該ロータの回転方向に沿わせて挿通し、該チューブ圧迫ローラと該ガイド壁間で前記カラーインク用の吸引用チューブおよび前記黒インク用の吸引用チューブを圧迫しながら該ロータを回転させることにより両チューブによる吸引動作を実現するチューブポンプであって、前記チューブ圧迫ローラは、前記黒インク用の吸引用チューブのみに圧接する第1の位置と、前記カラーインク用の吸引用チューブのみに圧接する第2の位置と、前記カラーインク用の吸引用チューブと前記黒インク用の吸引用チューブの両方に圧接する第3の位置とに選択的に移動可能であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の要旨は、前記ロータは、軸方向に沿って移動可能な回転軸に固定されており、該回転軸を3通りの異なる位置に移動させることにより、前記ロータに保持された前記チューブ圧迫ローラを前記第1、第2、第3の位置へ選択的に移動可能としたことを特徴とする第1の要旨に記載のインクジェットプリンタにある。
【0013】
本発明の第3の要旨は、前記チューブ圧迫ローラには、少なくとも一方の吸引用チューブに圧接可能な幅を有する第1の圧接領域、一方の吸引用チューブを圧接している状態の時にもう一方の吸引用チューブを圧接しない非圧接領域、および両方の吸引用チューブを同時に圧接可能な幅を有する第2の圧接領域が、軸方向に沿って形成されていることを特徴とする第1の要旨に記載のインクジェットプリンタにある。
【0014】
本発明の第4の要旨は、前記チューブ圧迫ローラを複数備え、そのうちの2つ以上のチューブ圧迫ローラが同時に1本の吸引用チューブに圧接するように形成したことを特徴とする第1から第3の要旨のいずれかに記載のインクジェットプリンタにある。
【0015】
本発明の第5の要旨は、前記チューブ圧迫ローラを3つ備え、これらが前記ロータの回転方向に等間隔に保持されていることを特徴とする第4の要旨に記載のインクジェットプリンタにある。
【0016】
本発明の第6の要旨は、黒インクに対する吸引時間を、カラーインクに対する吸引時間よりも長くすることを特徴とする第1から第3の要旨のいずれかに記載のインクジェットプリンタにある。
【0017】
本発明の第7の要旨は、黒インクに対する吸引力を、カラーインクに対する吸引力よりも強くするようにしたことを特徴とする第1から第3の要旨のいずれかに記載のインクジェットプリンタにある。
【0018】
本発明の第1の要旨によれば、インクジェットプリンタは、プリンタの非使用時にインクヘッドユニットに密着するキャップの内部空間を、カラーインク用の吸引空間と黒インク用の吸引空間とに区画するとともに、各吸引空間毎に、吸引ポンプの吸引部から延びる各々別々の吸引用チューブを接続し、カラーインク用の吸引空間に接続された吸引用チューブによる吸引動作と、黒インク用の吸引空間に接続された吸引用チューブによる吸引動作とを別々に行うように構成したので、インクを吸引するためのポンプの数を増加させることなく、カラーインクと黒インクの吸引を別々に実施して、インクヘッドのメンテナンス時における無駄なインク吸引を防止することができる。
【0019】
また、前記吸引ポンプとして、外周部にチューブ圧迫ローラを保持したロータと、カラーインク用の吸引用チューブおよび黒インク用の吸引用チューブとを備え、チューブ圧迫ローラとガイド壁間で吸引用チューブを圧迫しつつロータを回転させることにより吸引動作を実現するチューブポンプを用い、該チューブ圧迫ローラを、カラーインク用の吸引用チューブのみを圧迫する第1の位置と、黒インク用の吸引用チューブのみを圧迫する第2の位置とに選択的に移動させて、両吸引用チューブによる吸引動作とを別々に行うようにすることにより、前記吸引ポンプを簡易な構成で実現できる。
【0020】
また、プリンタの非使用時には、チューブ圧迫ローラの上下方向の位置を第3の位置に切り換えることにより、チューブ圧迫ローラで両方の吸引用チューブを同時に圧迫して閉塞状態にすることができるので、インクヘッドユニットに密着させたキャップ内の空間を外気から遮断して、インク吐出ノズル内に残留しているインクの乾燥を防止できる。
【0021】
本発明の第2によれば、前記ロータを軸方向に沿って移動可能として、回転軸を3通りの異なる位置に移動させることにより、簡単にチューブ圧迫ローラを第1、第2、第3の位置へ選択的に移動可能とできる。
【0022】
本発明の第3の要旨によれば、前記チューブ圧迫ローラに、一方の吸引用チューブに圧接している状態の時にもう一方の吸引用チューブに圧接しないようにするべく非圧接領域を形成したことにより、各吸引用チューブを別々に使用して吸引力を効率良く発生させることができる。
【0023】
本発明の第4の要旨によれば、前記チューブ圧迫ローラを複数備え、2つ以上のチューブ圧迫ローラが同時に1本の吸引用チューブに圧接するようにしたことにより、吸引用チューブ中のインクを2つのローラ間で密閉した状態で排出側に移動させて確実に吸引力を発生させることができる。
【0024】
本発明の第5の要旨によれば、前記チューブ圧迫ローラを3つ備え、これらが前記ロータの回転方向に等間隔に保持されていることにより、少ない部品点数でインクの吸引を最も効率良く行うことができる。
【0025】
本発明の第6の要旨によれば、黒インクの吸引時間を、カラーインクの吸引時間よりも長くすることにより、吸引によって無駄にするインクの量を最小限に抑えつつ、インクヘッドのメンテナンスを実施することができる。
【0026】
本発明の第7の要旨によれば、黒インクの吸引時間をカラーインクの吸引時間よりも長くする代わりに、黒インクに対する吸引力をカラーインクに対する吸引力よりも強くするようにしてもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用されるインクジェットプリンタの外観斜視図、図2は、図1に示すインクジェットプリンタの印字機構の概略構成図である。
【0028】
この実施の形態のインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタともいう。)1は、供給トレイ2と排紙トレイ3とをプリンタ本体1aの同一サイド(前面側)に備えている。記録用紙Pは、給紙トレイ2上に記録面側を下にして1枚あるいは複数枚積層した状態で載置されており、パソコン等の上位装置からプリンタ1に対し印字要求が与えられると、ピックアップローラ4が作動し記録用紙Pが1枚ずつプリンタ本体1a内に給紙される。
【0029】
プリンタ本体1a内には、大径の紙送りローラ6とその周面に圧接させて設けられた複数の小径の圧接ローラ7a〜7cとからなる用紙給送機構8が設けられており、ピックアップローラ4により給紙された記録用紙Pは、紙給送機構8の紙送りローラ6と圧接ローラ7a〜7cによってプリンタ本体1aの後部を経て上方に案内され、手前側に方向転換されて印字部9に送り込まれる。
【0030】
印字部9は、図示しないインクキャリッジに保持されたインクカートリッジ10と、インクキャリッジを主走査方向(紙面に垂直な方向)に案内するガイドシャフト11と、インクキャリッジを主走査方向に往復運動させる図示しない駆動ベルトとを備えて構成される。インクカートリッジ10は、C、M、Y、Kの4色のインクヘッド12c、12m、12y、12kからなるインクヘッドユニット12と、4色分のインクを収容したインクタンク13とを備えている。インクカートリッジ10は、インクヘッドユニット12を下方に向けた姿勢で保持されている。
【0031】
インクカートリッジ10の下方、すなわちインクヘッドユニット12との対向位置には、インクキャリッジの移動方向すなわち主走査方向に沿ってプラテン14が設けられている。給紙トレイ2から給紙された記録用紙Pは、用紙給送機構8によってプラテン14上に送られてくる。
【0032】
記録用紙Pがプラテン14上に送られてくると、インクキャリッジをガイドシャフト11に沿って移動させつつ、印字要求された画像情報に応じて、インクカートリッジ10の各インクヘッド12c、12m、12y、12kから各々異なる色のインクを選択的に吐出させて記録用紙P上に付着させる記録動作が行われる。インク吐出による記録動作が行われている間、記録用紙Pの搬送は休止され、1ライン分の記録動作が終了する度に、インクヘッド12c、12m、12y、12kが有する複数のインク吐出ノズル分に相当する記録用紙Pの送り(副走査方向への搬送)がなされる。このように1ライン分の印字動作と送り動作とが繰り返されることにより、印字要求された画像情報に対応した画像が記録用紙Pに記録される。画像が記録された記録用紙Pは、乾燥装置15で乾燥処理された後、排紙ローラ16を経て排紙トレイ3上に排出されユーザに供される。
【0033】
上記インク吐出による記録動作を繰り返す間に、インクヘッド12c、12m、12y、12kにはゴミ等の不純物の混入、インク吐出時の発熱によるインク組成物変化やインクの乾燥によるインク吐出ノズルの目詰まり、ならびにインク吐出ノズル内への気泡混入が発生する。このような不純物等を除去するために、インクヘッド12c、12m、12y、12kをクリーニングするためのメンテナンス機構が印字範囲外の所定の位置(ホームポジション)に配置されている。
【0034】
図3に、この実施の形態のインクジェットプリンタ1における印字部9およびメンテナンス機構20の概略構成を示す。
【0035】
メンテナンス機構20は、インクヘッド12c、12m、12y、12kの全インク吐出ノズルを一括して覆うようにしてインクヘッドユニット12に着脱可能に密着するキャップ21と、キャップ21をインクヘッドユニット12に対する着脱方向(図中の矢印A方向)に移動させる図示しない移動機構と、インクヘッド12c、12m、12y、12kのインク吐出ノズル内に残留しているインクを吸い出すための吸引力をインクヘッドユニット12に密着しているキャップ21の内部空間に発生させるためのチューブポンプ(吸引ポンプ)23と、吸い出されたインクを回収・貯留するための廃インクユニット23とを有して構成される。
【0036】
メンテナンス機構20は、非使用時(非記録動作時)には、インクカートリッジ10のインクヘッドユニット12をキャップ21で密封してインクヘッド12c、12m、12y、12kを保護するとともに、インクの乾燥によるインク吐出ノズルの目詰まりを防ぐ。すなわち、非使用時には、インクカートリッジ10はその移動可能範囲の一方の終端部のホームポジションに位置し、このホームポジションにおいてインクヘッドユニット12と対向配置されたキャップ21が退避位置(図示の位置)から接触位置に移動することによって、キャップ21がインクヘッドユニット12に密着する。
【0037】
また、インクヘッド12c、12m、12y、12kのインク吐出ノズルが目詰まりを起こしたり、あるいは、インク吐出ノズル内に気泡が混入したりして性能が低下した場合には、キャップ21に接続されているチューブポンプ(吸引ポンプ)22を作動させてインク吐出ノズル内のインクを吸い出すことによって性能を回復させるようにしている。
【0038】
以上の構成は従来のプリンタとほぼ同様であるが、本発明に係るプリンタ1は、キャップ21の内部空間をカラーインク用の吸引空間21aと黒インク用の吸引空間21bとに区画するとともに、各吸引空間21a、21b毎に、チューブポンプ22の吸引部から延びる各々別々の吸引用チューブ24、25を接続することによって、カラーインクの吸引と黒インクの吸引とを別々に実施できるように構成されている点が従来のものと異なっている。すなわち、チューブポンプ22は、カラーインク用の吸引空間21aに接続された吸引用チューブ(以下、カラーインク用チューブと記す。)24による吸引動作と、黒インク用の吸引空間21bに接続された吸引用チューブ(以下、黒インク用チューブと記す。)25による吸引動作とを別々に実施できるように構成されている。
【0039】
図4は、この実施の形態におけるチューブポンプ22の構成例を示している。チューブポンプ22は、外周部に3つのチューブ圧迫ローラ(図4には1つしか示されていないが、実際には図8と同様に3箇所に配置されている)26を保持して水平方向に回転するボビン状のローラホルダ(ロータ)27を、ポンプケース28の一部をなす略円筒形状のガイド壁29内に収容し、チューブ圧迫ローラ26とガイド壁29との間に、カラーインク用チューブ24と黒インク用チューブ25とを互いに上下に離間させてガイド壁29の周方向に沿わせて配置している(図5参照)。この例では、カラーインク用チューブ24が黒インク用チューブ25の下方に配置されている。
【0040】
ローラホルダ27は、円筒状の中空軸27aの上下両端に円形の保持板を27b、27cを一体的に設けてなり、上記3つのチューブ圧迫ローラ26は、上下の保持板27b、27c間に架け渡して設けられた3つの軸34によって各々水平方向に回転可能に支持されている。下側の保持板27cの中心部には中空軸27aの内部に連通する支軸挿入孔27dが形成されている。ポンプケース28の底板36上には支軸37が突設されており、この支軸37によって、ローラホルダ27は水平方向に回転可能かつ軸方向すなわち上下方向に移動可能に支持されている。支軸37の下端部には、コイルスプリング38が設けられており、ローラホルダ27およびポンプ軸30は、このコイルスプリング38の弾性力で常時上方に付勢されている。
【0041】
ローラホルダ27は、モータ31によって回転駆動されるポンプ軸(回転軸)30の下端部に固定されている。
【0042】
モータ31の回転駆動力は、伝達機構32を介してポンプ軸30に伝達される。
伝達機構32は、モータ31の駆動軸33の先端部(下端部)に固定されたギア32aとポンプ軸30の先端部(上端部)に固定されたギア32bとを互いに噛合させてなり、両ギア32a、32bは互いに噛合した状態で軸方向に摺動できるようになっている。
【0043】
ポンプ軸30の上端には、ポンプ軸移動機構39が連結されている。この例のポンプ軸移動機構39は、支軸40により中間部が支持されて上下方向に回動するアーム41を有する。アーム41は、スプリング42によって図中の矢印A方向に付勢されており、この付勢力によってアーム41の一方の端部41aはポンプ軸30の上端面に圧接し、もう一方の端部40bは偏心カム43の下面に圧接している。
【0044】
偏心カム43は、そのカム軸44に連結された回転駆動機構(図示省略)により図中の矢印Cの向きに回転する。偏心カム43が回転することにより、アーム41と圧接するカム面の位置が変化し、それに伴ってアーム41の角度が変化する。その結果、ポンプ軸30とその下端部に連結されているローラホルダ27とが上下に移動する。
【0045】
ローラホルダ27が上下移動することにより、これに保持されている3つのチューブ圧迫ローラ26が同時に上下移動する。チューブ圧迫ローラ26は、上下移動範囲の下限位置(第1の位置)にあるとき(図4(a)参照)には黒インク用チューブ25のみに圧接し、中間位置(第2の位置)にあるとき(図4(b)参照)にはカラーインク用チューブ24のみに圧接し、上限位置(第3の位置)にあるとき(図4(c)参照)には両方の吸引用チューブ24、25に圧接する構造になっている。
【0046】
すなわち、チューブ圧迫ローラ26には、黒インク用チューブ25に圧接する第1の圧接領域26a、黒インク用チューブ25に圧接している状態の時にカラーインク用チューブ24に接触することなく対向する縮径した非圧接領域26b、および両方の吸引用チューブ24、25を同時に圧接する第2の圧接領域26cが軸方向に沿って順に(この例では上から順に)形成されている。
【0047】
3つのチューブ圧迫ローラ26は、ローラホルダ27の回転方向に等間隔に配置されており、第1の位置または第2の位置にあるときに、3つのチューブ圧迫ローラ26のうちの2つのローラが一方の吸引用チューブ(カラーインク用チューブ24または黒インク用チューブ25)を同時に圧迫しながらローラホルダ27の回転と共に移動することにより、吸引用チューブ中のインクを2つのローラ間で密閉した状態で排出側に移動させて吸引力を発生させる。チューブ圧迫ローラ26の数は4つ以上でもかまわないが、この例のように3つのチューブ圧迫ローラ26をローラホルダ27の回転方向に等間隔に配置し、そのうちの2つのローラが1つの吸引用チューブを同時に圧迫することで、少ない部品点数でインクの吸引を最も効率良く行うことができる。
【0048】
以上のような構成により、メンテナンス機構20は、チューブ圧迫ローラ26の上下方向の位置を第1の位置または第2の位置に移動させた状態で、チューブポンプ22に吸引動作を行わせることにより、カラーインク用チューブ24と黒インク用チューブ25の一方の吸引用チューブのみに選択的に吸引力を発生させて、染料インクからなる粘性の弱いカラーインクと顔料インクからなる粘性の強い黒インクの吸引を別々に実施することができる。したがって、カラーインク吸引時間と黒インク吸引時間をそれぞれ最適に設定して、吸引によって無駄にするインクの量を最小限に抑えつつ、インクヘッド12c、12m、12y、12kのメンテナンスを実施することができる。すなわち、従来においては、C、M、Y、Kの全てのインクヘッドに対して同時にインク吸引を行っていたため、黒インクに対して必要なインク吸引時間に設定すると、必要以上のカラーインクが吸引されて廃棄されていたが、本発明によれば、黒インクの吸引時間をカラーインクの吸引時間よりも長くすることにより、このような不具合を防止できる。
【0049】
また、複数のチューブポンプを使用することなく、1つのチューブポンプ22でカラーインクの吸引と黒インクの吸引をそれぞれ最適に実施できるので、メンテナンス機構ひいてはプリンタが大型化するといった不具合も生じない。
【0050】
また、プリンタ1の非使用時には、チューブ圧迫ローラ26の上下方向の位置を第3の位置に切り換えることにより、チューブ圧迫ローラ26でカラーインク用チューブ24と黒インク用チューブ25の両方を同時に圧迫して閉塞状態にすることができるので、インクヘッドユニット12に密着させたキャップ21内の空間を外気から遮断することができる。
【0051】
なお、図4に示したチューブポンプ22では、上下に回動するアーム40と、アーム40の回動角度を変化させる偏心カム43とからなるポンプ軸移動機構39によりポンプ軸30を上下に移動させているが、図6に示すように、ラックギヤ51とピニオンギア52とでポンプ軸移動機構を構成してもよい。ラックギヤ51はポンプ軸30の先端に固定されている。この構成の場合、ピニオンギア52を正逆回転させることによりポンプ軸30を上下に移動させることができる。
【0052】
また、インク吸引によるインクヘッド12c、12m、12y、12kのメンテナンスを実施する際、黒インクの吸引時間をカラーインクの吸引時間よりも長くする代わりに、黒インクに対する吸引力をカラーインクに対する吸引力よりも強くするようにしてもよい。また、黒インクの吸引時間をカラーインクの吸引時間よりも長くし、かつ、黒インクに対する吸引力をカラーインクに対する吸引力よりも強くするようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクを吸引するためのポンプの数を増加させることなくカラーインクと黒インクの吸引を別々に実施可能とすることで、インクヘッドのメンテナンス時における無駄なインク吸引を防止することができるインクジェットプリンタとできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの印字機構を作用的に説明する概略構成図である。
【図3】本発明に係るインクジェットプリンタにおける印字部およびメンテナンス機構を作用的に説明する概略構成図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるチューブポンプの構成例とその動作例を示す縦断面図である。
【図5】図4に示すチューブポンプの要部斜視図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタにおけるその他のチューブポンプの構成例とその動作例を示す縦断面図である。
【図7】従来のインクジェットプリンタにおける印字部およびメンテナンス機構を作用的に説明する概略構成図である。
【図8】図8(a)は、従来のインクジェットプリンタにおけるチューブポンプの概略正面図であり、図8(b)は(a)の縦断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
9 印字部
10 インクカートリッジ
12c、12m、12y、12k インクヘッド
12 インクヘッドユニット
13 インクタンク
20 メンテナンス機構
21 キャップ
22 チューブポンプ(吸引ポンプ)
23 廃インクユニット
21a カラーインク用の吸引空間
21b 黒インク用の吸引空間
24 吸引用チューブ(カラーインク用チューブ)
25 吸引用チューブ(黒インク用チューブ)
26 チューブ圧迫ローラ
26a 第1の圧接領域
26b 非圧接領域
26c 第2の圧接領域
27 ローラホルダ(ロータ)
28 ポンプケース
29 ガイド壁
Claims (5)
- 複数のインクヘッドを有するインクヘッドユニットを記録用紙に沿って移動させつつ、該インクヘッドユニットの各インクヘッドから各々異なる色のインクを選択的に吐出させて該記録用紙に付着させることにより、該記録用紙にカラー画像をプリントするインクジェットプリンタであって、
前記インクヘッドユニットの全インク吐出ノズルを一括して覆うようにして前記インクヘッドユニットに着脱可能に密着するキャップと、
前記インク吐出ノズル内に残留しているインクを吸い出すための吸引力を前記インクヘッドユニットに密着した前記キャップの内部空間に発生させるための吸引ポンプとを備え、
前記キャップの内部空間を、カラーインク用の吸引空間と黒インク用の吸引空間とに区画するとともに、各吸引空間毎に、前記吸引ポンプの吸引部から延びる各々別々の吸引用チューブを接続し、
前記吸引ポンプは、外周部にチューブ圧迫ローラを保持して回転するロータとこれを包囲する略円筒形状のガイド壁との間に、前記カラーインク用の吸引用チューブおよび前記黒インク用の吸引用チューブを該ロータの回転方向に沿わせて挿通し、該チューブ圧迫ローラと該ガイド壁間で前記カラーインク用の吸引用チューブおよび前記黒インク用の吸引用チューブを圧迫しながら該ロータを回転させることにより両チューブによる吸引動作を実現するチューブポンプであって、
前記ロータは、回転軸方向に沿って移動可能に構成され、
前記ロータの前記回転軸方向への移動により、前記チューブ圧迫ローラも該回転軸方向に移動することで、前記黒インク用の吸引用チューブのみを圧接する第1の位置と、前記カラーインク用の吸引用チューブのみを圧接する第2の位置と、前記カラーインク用の吸引用チューブと前記黒インク用の吸引用チューブの両方を圧接する第3の位置とに選択的に移動可能であり、
前記チューブ圧迫ローラには、少なくとも一方の吸引用チューブに圧接可能な幅を有する第1の圧接領域と、一方の吸引用チューブが圧接状態の時にもう一方の吸引用チューブを非圧接状態にする非圧接領域と、両方の吸引用チューブを同時に圧接可能な幅を有する第2の圧接領域とが、前記ロータの前記回転軸方向に沿って形成されており、
前記チューブ圧迫ローラは、前記非圧接領域を前記第1,第2の圧接領域よりも縮径して形成していることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記チューブ圧迫ローラを複数備え、2つ以上のチューブ圧迫ローラが同時に1本の吸引用チューブに圧接するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記チューブ圧迫ローラを3つ備え、これらが前記ロータの回転方向に等間隔に保持されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
- 黒インクに対する吸引時間を、カラーインクに対する吸引時間よりも長くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 黒インクに対する吸引力を、カラーインクに対する吸引力よりも強くするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
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