JP3886236B2 - パウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物 - Google Patents

パウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車内装品等を成形するための樹脂組成物に関し、さらに詳しくは難燃性のパウダースラッシュ成形品用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インスツルメントパネルやコンソールボックス、ピラーカバー等の自動車内装品の表皮材の成型方法の一つとしてパウダースラッシュ成型法が行われている。
パウダースラッシュ成形は、熱した金型表面にパウダー状の原料樹脂を接触させ、溶融させることによって、薄層レザーを成型するものである。従って、原料樹脂には溶融時に高流動性が求められるため、従来、これに適した粉末塩化ビニル樹脂が材料として使用されてきた。
【0003】
また、自動車内装品としては、上記の表皮に弾性を付与し、かつ全体の形状保持と堅牢性を与えるため、表皮の内面(裏面)にウレタンフォームをモールド発泡させた一体成型品が使用されている。上記の表皮や一体成型品等は、パウダースラッシュ成形や押出成型等で加工されている。また、座席シートも主に塩化ビニル樹脂素材を用い、押出成形の加工で得た表皮とウレタンフォームとの組み合わせで製作されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
塩化ビニル樹脂は、安価で物性も優れ、しかも自消性のある素材であるが、自動車内装品として使用される場合、インサート材料(コア材)とウレタンフォームとの一体成型品となっている。
【0005】
自動車が耐用年数を越え、あるいは事故等により廃車処分とする場合、自動車の構成各部品を取り外し、リサイクルのために分別が行われる。しかし、内装品である表皮がウレタンと一体成形されているため、分別処理が困難であり、リサイクルできず、廃材としてやむなく焼却等の処分がなされる。しかし、これにはゴミ処理に伴う環境問題があるため、今日では焼却処分も完全にできない状態である。
【0006】
また、これら成形品の成形行程は、パウダースラッシュ成形によって得られた表皮に別加工で製造されたコア材を嵌合させ、間にウレタンを注入しモールド発泡させるといった作業が伴い、工程数が多く作業が煩雑なものとなり、コスト的にも負要因となっている。
【0007】
特にパウダースラッシュ成形は、加熱した金型に原料樹脂パウダーを自然落下に近い状態で接触させ、金型の熱によって原料樹脂パウダーを金型表面に溶融付着させた後、余分の原料樹脂パウダーは回収し、金型を冷却して薄層成形された成形品を脱型し、一定厚の表皮を得る方法であり、従って、原料樹脂パウダーには外部からの圧力が加わらないため、原料樹脂パウダーは、金型表面に対して溶融時に高い流動性が要求される。
【0008】
本発明は、従来の自動車内装品を成形する材料や成形方法等の種々の問題点を考慮し、金型に対し溶融時に高流動性を示し、ピンホール等の発生を見ない優れた加工性を持ち、分別処理が容易で、リサイクル可能なパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、パウダースラッシュ成形により形成される表皮層(A)と内層(B)からなる難燃性薄層成形体に用いられるパウダースラッシュ成形用樹脂組成物であって、表皮層(A)のメルトインデックスが10〜120g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)の範囲であり、かつ表皮層(A)が、
(A−1)直鎖状低密度ポリエチレン:20〜36wt%
(A−2)エチレン系共重合体:30〜40wt%
(A−3)オレフィン系エラストマー:8〜16wt%
(A−4)水素添加スチレン系樹脂:8〜15wt%
(A−5)メタロセン系ポリエチレン:3〜7wt%
(A−6)炭酸カルシウム:3〜6wt%
(A−7)トリメリット酸エステル:1〜2wt%
(A−8)酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の添加剤:0.2〜0.5wt%
(A−9)有機過酸化物:0.04〜0.2wt%
からなり、全体が100Wt%となる樹脂組成物、
内層(B)のメルトインデックスが2〜130g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)の範囲であり、かつ内層(B)が、
(B−1)直鎖状低密度ポリエチレン:8〜15wt%
(B−2)エチレン系共重合体:45〜60wt%
(B−3)低密度ポリエチレン:16〜25wt%
(B−4)メタロセン系ポリエチレン:0〜7wt%
(B−5)無機赤燐:2〜6wt%
(B−6)水酸化マグネシウム:1〜5wt%
(B−7)酸化チタン:1〜5wt%
(B−8)カーボンブラック:0.2〜0.8wt%
(B−9)酸化防止剤:0.05〜0.2wt%
(B−10)有機過酸化剤:0.3〜1.2wt%
(B−11)アゾジカルボンアミド系発泡剤:2〜8wt%
からなり、全体が100Wt%となる樹脂組成物であることを特徴とするパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0010】
内層(B)は表皮層(A)に一体的に積層させるため、つまり金型面で表皮層(A)が溶融付着している上に、内層(B)を重ねて連続パウダリングにより成形するため、金型の温度が初期より表皮層(A)によって奪われ降下しているために、表皮層(A)に内層(B)を重ねた時に、容易に溶融するように、内層(B)のメルトインデックスを高く設定するものである。
【0011】
パウダースラッシュ成形における金型面で、溶融した樹脂がピンホールの発生もなく、ムラなく均一に薄層とするためには、本発明者らの実験配合に基づき、オレフィン系樹脂を用いた場合の混合系による樹脂組成物のメルトインデックスは、表皮層(A)で10〜40g/10min(190℃、2.16Kg)を必要とし、無機難燃剤を含有する内層(B)では発泡剤を除いた樹脂のみの測定で20〜60g/10min(190℃、2.16Kg)を必要とする。
【0012】
特に内層(B)は一体成形で表皮層(A)に積層させ溶融させねばならないことと、無機成分を含有していることによる断熱が生じ熱伝導性が劣るため、均一に溶融し、かつフォーム(発泡体)を形成するために、より高いメルトインデックスが求められる。
【0013】
本発明では、表皮層(A)、内層(B)の配合比と原料樹脂のメルトインデックスに説明する如く、この範囲による組み合わせで、上記溶融時における流動性を解決した。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によるパウダースラッシュ成形用材料は、オレフィン系樹脂よりなる表皮層(A)とオレフィン系樹脂および無機難燃剤からなる内層(B)の2種類の樹脂組成物を一体に成形し、内層(B)を難燃性の発泡体とすることにより、全体の難燃機能を持たせることを特徴としている。
【0015】
次ぎに本発明の樹脂組成物を構成する配合原料について、さらに詳細に説明する。
【0016】
表皮層(A):メルトインデックス10〜120g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)
(A−1)直鎖状低密度ポリエチレン
一般的なLLDPEもしくはメタロセン系LLDPEであって、メルトインデックス30〜90g/10min(190℃、2.16Kg)のもので、樹脂の軟化温度が105℃以上が必要である。
【0017】
(A−2)エチレン系共重合体
エチレン−エチルアクリレート共重合体でメルトインデックスが10〜120g/min(190℃、2.16Kg)、コモノマー(エチルアクリレートもしくはビニルアセテート)含有量10〜20wt%が好ましい。しかし、望む範囲で適合するものが得られない場合は、2種以上のエチレン−エチルアクリレート共重合体を組み合わせ、メルトインデックスおよびコモノマー(エチルアクリレートもしくはビニルアセテート)含有量を調整してもよい。
【0018】
(A−3)オレフィン系エラストマー
樹脂の軟化温度が115℃以上のオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0019】
(A−4)水素添加スチレン系樹脂
スチレン含量が8〜15wt%の熱可塑性エラストマーであり、水添水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体またはスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体が好ましい。
【0020】
(A−5)メタロセン系ポリエチレン
シングルサイト触媒のメタロセン触媒を用いて重合したポリオレフィンの1種であり、密度0.880g/cm3以下のメルトインデックス20〜35g/10min(190℃、2.16Kg)が好ましい。
【0021】
内層(B):メルトインデックス2〜130g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)
(B−1)直鎖状低密度ポリエチレン
(A−1)の直鎖状低密度ポリエチレンと同様のものを使用すればよい。
【0022】
(B−2)エチレン系共重合体
エチレン−エチルアクリレート共重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体で、メルトインデックスが2〜130g/10min(190℃、2.16Kg)、コモノマー(エチルアクリレートもしくはビニルアセテート)含有量が6〜23wt%のものが好ましい。ただし、原料に相当する樹脂がない場合は、2種以上の樹脂を組み合わせて調整すればよい。
【0023】
(B−3)低密度ポリエチレン
一般的なLDPEであって、高流動性、柔軟性を持ったメルトインデックス50〜80g/10min(190℃、2.16Kg)のものを使用すればよい。ただし、このLDPEは無機赤燐のマスターバッチのベースとして用いるので、無機赤燐の含有量と添加量の関係から必然的に配合量が決定される。
【0024】
(B−4)メタロセン系ポリエチレン
(A−5)のメタロセン系ポリエチレンと同様のものを使用すればよい。
【0025】
以上、配合する樹脂は、求められる組成物(A),(B)の目標とするメルトインデックスの30〜40g/10min(190℃、2.16Kg)、40〜60g/10min(190℃、2.16Kg)に対して、各種樹脂の保有するメルトインデックスから配合比に応じて、混合系における見掛けのメルトインデックスを、物性バランスおよび溶融混練後の機械粉砕または微細ペレット化における加工性を考慮して、あらかじめ計算によって推定することが必要である。
【0026】
見掛けメルトインデックスの計算は、片対数を用い、各樹脂のメルトインデックスを配合比で乗じた和を、総樹脂量で100分率すれば求めることができる。
しかし、この方法では、実測のメルトインデックスとの間では他のファクターが重なることで差が生じるのが普通であり、これはあくまでも予想メルトインデックスとして参考とするものである。
【0027】
本発明による樹脂組成物の表皮層(A)組成物と内層(B)組成物は、上記する樹脂原料に基づき構成され配合を行ったものである。以下、表皮層(A)組成物、内層(B)組成物それぞれにつき、各原料樹脂、添加剤、無機難燃剤等の配合目的を説明する。
【0028】
1.表皮層(A):メルトインデックス10〜120g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)
(A−1)直鎖状低密度ポリエチレン
メタロセン系ポリエチレンとの相乗効果により、混合系で樹脂間の相溶性を高め、物性上、引張強さ、伸びの向上を促す。また比較的樹脂の軟化温度が高いので、樹脂組成物の全体的な軟化点を向上させる。
【0029】
(A−2)エチレン系共重合体
特に、エチレン−エチルアクリレート共重合体はコモノマー(エチルアクリレートもしくはビニルアセテート)含有量の高いものは柔軟性があり、物性面で伸び特性が優れている。また、エチレン−エチルアクリレート共重合体はエチレン−酢酸ビニル共重合体に比較して耐熱特性も優れている。
【0030】
(A−3)オレフィン系エラストマー
レザーの表面傷を防止する目的で配合する。さらに比較的樹脂の軟化温度が高いので、組成物全体の耐熱特性を向上させる。
【0031】
(A−4)水素添加スチレン系樹脂
組成物全体の柔軟性を高める。直鎖状低密度ポリエチレンとの組み合わせで、真空成形などに適した溶融時における、溶融張力が向上する。
【0032】
(A−5)メタロセン系ポリエチレン
樹脂混合系において、ソフト系の樹脂とハード系の樹脂間でバインダーの働きをする。物性面で特に伸びを発現させ、柔軟性や屈曲性にも寄与する。
【0033】
(A−6)炭酸カルシウム
この配合系における目的は、樹脂組成物をパウダー形状に加工する時、主に機械粉砕の場合、粉砕機内部で樹脂組成物がブレード(翼や刀)等に高速で接触し、衝突することによって熱エネルギーが生じ、融点の低い樹脂などが一度粉砕されても、この発生した熱によって再び溶融し、融点の高い粉砕された粒子に付着凝縮し、パウダー化を妨げることがある。この時少量の無機粉末が存在していると、粉砕された粒子相互間の付着凝縮を防止することができる。また、このほかに添加剤などのブリードを防ぐ効果もある。
【0034】
(A−7)トリメリット酸エステル
成型時に金型からの脱型を容易とする目的で配合する。また組成物が燃焼する時、2層構造の内層(B)の発泡体に含有される難燃剤と相乗効果を発現し、組成物全体の難燃性に寄与する。
【0035】
トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸混合エステルの他、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエステルが挙げられるが、揮発分が少なくかつ難燃配合に適合したトリメリット酸混合エステルが好ましい。
【0036】
(A−8)添加剤
耐熱性、耐候性を目的として、フェノール系抗酸化剤+ホスファイト系加工安定剤およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系、光・熱安定剤を用いることができる。また、さらに加工助剤として脂肪酸エステルを用いることもできる。
【0037】
(A−9)有機過酸化物
溶融混練される樹脂成分のポリマーアロイを形成するための触媒であり、ポリマー改質剤として機能するものである。ここでは耐熱性の向上、レザー表面の傷防止を目的として配合する。有機過酸化物としては、パーヘキシン、パーヘキサ系のものを挙げることができるが、比較的反応が速いパーヘキサ系を用いることが好ましい。
【0038】
2.内層(B):メルトインデックス2〜130g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)
(B−1)JIS K7210によるメルトインデックスが2〜130g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)の直鎖状低密度ポリエチレン
耐熱性の向上を目的として配合する。発泡層に主として用いる樹脂がエチレン系共重合体であり、その軟化点が低いため比較的軟化点の高いものを配合する必要がある。
【0039】
(B−2)エチレン系共重合体
エチレン−エチルアクリレート共重合体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体は他のオレフィン類と比較して、無機フィラーに対する充填性がよいことと、無機難燃剤との組み合わせで、コモノマー(エチルアクリレートもしくはビニルアセテート)含有量の多いものほど難燃性に相乗効果が期待できる。また、パウダースラッシュ成形で行う発泡体の形成は、エチレン−エチルアクリレート共重合体よりエチレン−酢酸ビニル共重合体のほうが容易である。
【0040】
(B−3)低密度ポリエチレン
LDPEは組成物のメルトインデックスの調整と物性バランスを取るための目的として配合する。
【0041】
(B−4)メタロセン系ポリエチレン
エチレン系共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンのバインダーとして用いる。しかし発泡体の場合は、低密度ポリエチレンを配合するので、配合量によっては必要がない。
【0042】
(B−5)無機赤燐、(B−6)水酸化マグネシウム、(B−7)酸化チタン
エチレン系共重合体を主原料とし、アゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤を用いる組成では、無機赤燐2〜6wt%、水酸化マグネシウム1〜5wt%、酸化チタン1〜5wt%の組み合わせで、自動車内装材等の目的とする難燃性が得られる。
【0043】
(B−8)カーボンブラック
主に着色を目的として用いるが、0.2〜0.8wt%の微量でも、この組成系では難燃助剤として効果がある。
【0044】
(B−9)酸化防止剤
樹脂の熱劣化を防止する目的として配合する。
【0045】
(B−10)有機過酸化剤
成型時に金型上で組成物が溶融し、発泡剤の熱分解によって発泡体となる時、形成されたセルを架橋させることで、崩壊を防ぎ固定することを目的とする。また添加量によっては架橋後の樹脂物性において耐熱性を向上させる。
【0046】
(B−11)アゾジカルボンアミド系発泡剤
発泡体を形成することと、組成物の難燃成分の1種として配合する。アゾジカルボンアミド系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(分解ガス:N2、CO、CO2、NH3)、ヒドラゾジカルボンアミド(分解ガス:N2、NH3)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(分解ガス:N2)などが挙げられるが、分解発泡時に有害な生成物を発生しない点で、アゾジカルボンアミドやヒドラゾジカルボンアミドが好ましい。また、発泡剤を用いて形成する発泡体の発泡倍率範囲は、1.5〜10倍が好ましく、たとえば2〜8wt%の配合量がこれに該当する。
【0047】
本発明の組成物における難燃性のメカニズムは、以下のように考えられる。
【0048】
表皮層(A)組成物と内層(B)組成物は、溶融時に高流動性を示す原料樹脂で構成されていること、内層(B)組成物に含有される無機赤燐の燃焼速度が速く発熱量が大きいことで、燃焼面での燃焼形態は樹脂が沸騰するように進行する。また、内層(B)組成物に含有される少量の水酸化マグネシウムは、熱分解し微量の水分子を放出する。これが熱した油に水をたらすように、気化膨張によってさらに燃焼面の樹脂を激しく沸騰させる。この現象は、ローソクの炎が風に煽られてゆらぐことと似ている。この時少量含有する酸化チタンは、樹脂の沸騰する溶解面に薄膜形成と崩壊を繰り返す。一方、発泡体のセルひとつひとつの空隙には、アゾジカルボンアミド系の発泡剤が熱分解時に放出するアンモニアガスや窒素ガス、アミン水などの不活性ガスが封入されている。また、発泡剤の一部は成形時に分解されずに残っており、これらが燃焼面で、セルが破壊される都度、炎のゆらぎに拍車をかけるように露出を繰り返す。
【0049】
従って、上記のそれぞれの現象によって、素材の燃焼面では短く早いサイクルで酸素遮断が生じ、燃焼が寸断されることによって、発生する熱エネルギーが徐々に抑制され、炎のゆらぎが大きくなり、ついには不完全燃焼に至り、燃焼が停止する。
【0050】
以上、説明を行ったように、本発明のパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物は、レザーに要求される特性を2層構造とすることにより充たすものであるが、それぞれが特徴のある複合素材であるとともに、難燃性を付与するにあたり、従来のノンハロゲン系難燃メカニズムと異なった方法を用いており、特にADCA系の発泡剤を難燃助剤として、他の無機難燃剤との配合を構成し、無機難燃剤と発泡剤の総量が8〜17wt%であることを特徴とするものである。
【0051】
本発明の樹脂組成物をパウダースラッシュ成形するには、本発明の樹脂組成物をパウダー化する必要がある。パウダー化するには、まず原料をスーパーミキサーやタンブラーなどの混合装置を用いて、一括ブレンドを行い、次いで単軸押出機または2軸押出機で溶融混練を行い、溶融混練時にカッターを用いてペレット化するか、後工程で機械粉砕すればよい。
【0052】
本発明の樹脂組成物をパウダースラッシュ成形するには、通常行なわれているパウダースラッシュ成形方法でよく、金型の温度を240〜260℃に加熱し、パウダリング設定を表皮は8〜9秒、内装は12〜14秒の条件で行えばよい。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0054】
実施例1〜2、参考例1
表1に示した表皮層(A)組成物は、タンブラーで一括ブレンドしたものを2軸押出機で180〜230℃の温度下で溶融混練し、ストランドカットでペレットとしたコンパウンドを、さらにターボミル粉砕機を用い、10Kg/hrの条件によりパウダー化した。
【0055】
また、表1に示した内層(B)組成物は、同様にして、2軸押出機で125℃〜130℃の温度下で溶融混練し、コンパウンドとしたものをターボミル粉砕機で10Kg/hrの条件によりパウダー化した。
【0056】
上記表皮層(A)組成物パウダーと内層(B)組成物パウダーを用いて、エアーオーブンで250℃に加熱したテスト用のスラッシュ金型を、用意した表皮層(A)組成物パウダーの原料ボックスにセットし、パウダリングによって8〜10秒金型と表皮層(A)組成物パウダーを接触させて表皮を形成し、次に、ただちに内層(B)組成物パウダーのボックスと交換し同じくパウダリングによって、12〜14秒内層(B)組成物パウダーを接触させ、溶融した表皮層の上に内装を積層形成し、金型の熱で発泡層が形成されるまで、さらに40秒間放置し、セットから外して水による冷却を行ない、2層の薄層成形体(表皮層0.5mm、内層(発泡体)3mm、発泡倍率3.5)の試験片を成形した。
【0057】
表皮層(A)組成物および内層(B)組成物のメルトインデックスと、試験片の物性を測定し表1に示した。
【0058】
なお、表面傷付き性と耐熱性は以下のように測定した。
【0059】
(表面傷付き性)
親東化学(株)製「トライボギア」(TYPE:HEIDON−NDR)で測定し、以下のように評価した。
【0060】
・針:サファイア、針径:50μm、試験速度:100m/min、荷重:100〜400g
【0061】
[評価]
◎:荷重400gまで傷が付かない。
○:荷重300g 〃
△:荷重200g 〃
×:荷重100g 〃
【0062】
(耐熱性)
パウダースラッシュ成形した20cm×15cm×5cmのボックス状の成形品を、110℃のエアーオーブン中に入れ96時間後外観の変化(形くずれ)を観察した。
【0063】
[評価]
◎:変化なし
○:変形10%以内
△:変形30%以内
×:変形50%以内
【0064】
【表1】
Figure 0003886236
【0065】
【発明の効果】
本発明のパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物は、パウダースラッシュ成形用として、高流動性に優れ、物性的にも従来品と比較して同等のものであり、特にリサイクルが可能となった点で、自動車内装材等に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. パウダースラッシュ成形により形成される表皮層(A)と内層(B)からなる難燃性薄層成形体に用いられるパウダースラッシュ成形用樹脂組成物であって、表皮層(A)のメルトインデックスが10〜120g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)の範囲であり、かつ表皮層(A)が、
    (A−1)メルトインデックス30〜90g/10min(190℃、2.16Kg)である直鎖状低密度ポリエチレン:20〜36wt%
    (A−2)メルトインデックスが10〜120g/min(190℃、2.16Kg)であるエチレン−エチルアクリレート系共重合体:30〜40wt%
    (A−3)軟化温度が115℃以上のオレフィン系エラストマー:8〜16wt%
    (A−4)水素添加スチレン系樹脂:8〜15wt%
    (A−5)密度0.880g/cm3以下のメルトインデックス20〜35g/10min(190℃、2.16Kg)であるメタロセン系ポリエチレン:3〜7wt%
    (A−6)炭酸カルシウム:3〜6wt%
    (A−7)トリメリット酸エステル:1〜2wt%
    (A−8)酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の添加剤:0.2〜0.5wt%
    (A−9)有機過酸化物:0.04〜0.2wt%からなり、全体が100Wt%となる樹脂組成物、
    内層(B)のメルトインデックスが2〜130g/10min(190℃、2.16Kg、JIS K7210)の範囲であり、かつ内層(B)が、
    (B−1)メルトインデックス30〜90g/10min(190℃、2.16Kg)である直鎖状低密度ポリエチレン:8〜15wt%
    (B−2)チレン−エチルアクリレート共重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体:45〜60wt%
    (B−3)メルトインデックス50〜80g/10min(190℃、2.16Kg)である低密度ポリエチレン:16〜25wt%
    (B−4)密度0.880g/cm3以下のメルトインデックス20〜35g/10min(190℃、2.16Kg)であるメタロセン系ポリエチレン:0〜7wt%
    (B−5)無機赤燐:2〜6wt%
    (B−6)水酸化マグネシウム:1〜5wt%
    (B−7)酸化チタン:1〜5wt%
    (B−8)カーボンブラック:0.2〜0.8wt%
    (B−9)酸化防止剤:0.05〜0.2wt%
    (B−10)有機過酸化剤:0.3〜1.2wt%
    (B−11)アゾジカルボンアミド系発泡剤:2〜8wt%からなり、全体が100Wt%となる樹脂組成物であることを特徴とする表皮層用組成物(A)と内層用組成物(B)からなるパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物の組合せ
  2. (A−4)の水素添加スチレン系樹脂が、スチレン含有量8〜15wt%の水添スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体またはスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物の組合せ
  3. (B−5)の無機赤燐がチタンコートによって表面処理された無機赤燐であることを特徴とする請求項1に記載のパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物の組合せ
  4. (B−5)無機赤燐、(B−6)水酸化マグネシウム、(B−7)酸化チタンおよび(B−11)アゾジカルボンアミド系発泡剤の配合量が8〜17wt%であることを特徴とする請求項1に記載のパウダースラッシュ成形用難燃性樹脂組成物の組合せ
  5. 請求項1に記載の表皮層(A)組成物および内層(B)組成物を溶融混練したものを、機械粉砕または微細ペレット化により30メッシュ篩通過の粉末としたパウダースラッシュ成形用樹脂組成物パウダー。
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