JP3886104B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の車両における車体と車輪との間に介装され、路面からの振動を減衰するフロントフォーク等への使用に適する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の車体と車輪の間に介装されるフロントフォークは、図3に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とが摺動自在に嵌合され、車輪側チューブ2の中心部にダンパー3が起立され、車体側チューブ1のキャップ4側とダンパー3のシリンダ5との間に懸架ばね6が介装されるようにして構成されている。
【0003】
更に、キャップ4には懸架ばね6のばね荷重を調整するアジャスタ7が螺合され、また、このアジャスタ7内にダンパー3のピストンロッド8の上端が螺合されて、このピストンロッド8内に減衰調整用のコントロールロッド9の位置を調整するアジャスタ10が設けられている。
【0004】
また、ピストンロッド8の下端側はシリンダ5の上端を塞ぐロッドガイド11を貫通してシリンダ5内に案内され、図4に示すようにその下端外周に筒状のセンターロッド13の上端部内周がねじ結合されている。
【0005】
このセンターロッド13は、そのねじ結合部分12が他の部分より径が大きく形成され、そのねじ結合部分12とは反対側に、すなわちセンターロッド13の下端部には、シリンダ5内周を摺動するピストン14が取り付けられている。また、上記センターロッド13の筒孔13a内には、ニードルバルブ15が軸方向摺動自在に設けられ、その筒孔13a内に収納したスプリング16によって、その上端面がコントロールロッド9の下端面に接触する方向に付勢されている。
【0006】
更に、シリンダ5内は、ピストン14によってロッド側油室17と反ロッド側油室18とに区画され、これらの各油室17、18は、ピストン14に設けられたポート
この減衰バルブ20は、多孔リーフバルブと、この多孔リーフバルブの孔を開閉するように当該多孔リーフバルブに重ねられたリーフバルブとからなり、圧縮時はこれらの二つのバルブが一体となってピストンに設けられたポートを開き、一方、伸長時にはリーフバルブのみを開かせて、上記ポートに作動油を通過させる。
【0007】
なお、図示しないが、シリンダ5の下端と車輪側チューブ2の下端を塞ぐベース部(図示しない)にはベースバルブが設けられ、これが反ロッド側油室18とシリンダ5及び車輪側チューブ2間の油室(リザーバ室)に連通するポートを開閉するように機能する。
【0008】
上記センターロッド13には筒孔13aの内外にかつ径方向に貫通する油孔21と、筒孔13aと反ロッド側油室18とに軸方向に連通する中心油孔22が設けられ、これらの油孔21及び中心油孔22は、減衰バルブ20及びポート19を迂回する作動油のバイパスを構成している。
【0009】
そして、中心油孔22の開口内端にニードルバルブ15の先端が臨み、コントロールロッド9の操作によって、ニードルバルブ15が中心油孔22に対する開閉作動を行うことによって、その中心油孔22を流れる油量を調整可能にしている。
【0010】
従って、車体側より運転者がアジャスタ10を回転操作することによりコントロールロッド9が上下動し、ダンパー3内のニードルバルブ等によりバイパスの流路面積、つまり中心油孔22の開口面積が調整され、減衰力の高・低調整が行われる。
【0011】
また、アジャスタ7を回転して上下動操作することにより、懸架ばね6が伸縮することにより、油圧緩衝器としての初期ばね荷重が調整される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフロントフォークは、以上のように構成されているので、センターロッド13内のニードルバルブ15や減衰バルブ20により作動油の流路面積を調整して減衰力調整ができると共に、懸架スプリング6の初期ばね荷重の調整ができるものの、特に、上記ニードルバルブ15を収容するセンターロッド13とピストンロッド8とがねじ結合されている構成を採用しているため、これらの噛合部間に結合ガタが生じ、ピストンロッド8とセンターロッド13及びシリンダ5との同軸度を精度良く出すのは困難であり、結果的にピストン14とシリンダ5との摺動抵抗が一部に偏って大きくなり、切粉の発生及びこれに伴う減衰力特性の劣化を招く要因となっていた。
【0013】
また、センターロッド13に設けられた油孔21は筒孔13aの内外に径方向に貫通するように、つまりニードルバルブ15の軸方向に対して直交(交差)する方向に設けられているため、この油孔21を高圧の噴流となって流れる作動油がニードルバルブ15に対し径方向に直接作用するため、このニードルバルブ15自体の微振動を招き、結果的に上記のようにして得られる減衰力が不安定になるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題を解決するものであり、センターロッドとピストンロッドとの同軸度及びピストンロッドとピストンとの同軸度を確保して、ピストンのシリンダに対する摺動を円滑化すると共に、減衰力特性の劣化を回避可能にし、更に、作動油の噴流によるニードルバルブの振動発生を防止して、減衰力の安定化を実現できる油圧緩衝器を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のために、請求項1の発明にかかる油圧緩衝器は、シリンダ内にピストンを介して中空のピストンロッドが移動自在に挿入され、シリンダはピストンによりロッド側油室と反ロッド側油室とに区画され、これらのロッド側油室と反ロッド側油室はピストンに設けられたポートとこのポートの開口端に設けた減衰バルブを介して開閉され、更にピストンは当該ピストンの中央に設けられたセンターロッドを介してピストンロッドに結合され、センターロッドには上記減衰バルブを迂回するバイパスが形成され、このバイパスがピストンロッド内に移動自在に挿入されたニードルバルブにより開口面積が調整される油圧緩衝器において、上記センターロッド端の差し込み部がピストンロッド内に嵌合されて両者がカシメ結合され、更にセンターロッドの外周に、上記バイパスの一部を形成すると共にロッド側油室とピストンロッド内とを連通する切欠き通路を形成したことを特徴とする。
【0016】
これにより、センターロッドに対してピストンロッドが同軸度を維持した状態にて固定され、これらの間に結合ガタが発生することがなくなり、ピストンとピストンロッドとの同軸度の確保、並びにピストンのシリンダに対する円滑な摺動を確保できる。
【0017】
また、バイパスを形成する油路を、作動油の噴流が直接ニードルバルブに対し、これの軸方向に交差する方向に衝突しないセンターロッド外周側の切欠き通路としたことで、ニードルバルブの振動の発生及びこれに伴う減衰力の不安定化を防止できる。
【0018】
また、請求項2の発明にかかる油圧緩衝器は、上記センターロッドがピストンの中央に挿入される本体と、本体に一体に連設されたフランジと、フランジから起立する差し込み部とからなり、本体とフランジと差し込み部の中心部に反ロッド側油室とピストンロッド内とを連通する油孔が形成され、フランジのロッド側油室に臨む面と差し込み部の外周に切欠き通路が形成され、上記油孔と切欠き通路とでバイパスが形成されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、センターロッドとピストンロッドの同軸度をこれらの簡単な挿入構造にて確保できると共にこれらの結合部の重量を軽減でき、更にバイパスを形成する油孔の一部を差し込み部の外周に設けることで、作動油の噴流がニードルバルブの先端部に径方向に直接干渉するのを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図について説明するが、図1は、本発明の要部構成を拡大して示す断面図であり、図4に示したものと同一構成部分には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0021】
但し、後述するシリンダ5は、ダンパー内蔵型フロントフォークにおけるダンパ用のシリンダとして説明しているが、一般的な油圧緩衝器のシリンダとしても適用できる。
【0022】
同図において、8Aは、ピストンロッドであり、このピストンロッド8A内には、上記アジャスタ10によって出入量が調整される減衰量調整用のコントロールロッド9が挿通されている。
【0023】
このコントロールロッド9の下端面にニードルバルブ15の上端面が図示のように接触しており、このニードルバルブ15は、ピストンロッド8A端(下端)の小径筒孔23内に軸方向摺動自在に設けられている。
【0024】
更に、ピストンロッド8A最下端の大径筒孔24内には、図2に示すようなセンターロッド25の本体28に続く差し込み部26が密嵌され、両者が図中に符号27で示すカシメ結合部によってカシメ結合されている。
【0025】
このセンターロッド25は、ピストン14の中央に挿入される本体28と、この本体28に一体に連設されたフランジ29と、このフランジ29から起立する上記差し込み部26とからなり、本体28、フランジ29及び差し込み部26の中心部には、反ロッド側油室18とピストンロッド8A内とを連通する中心油孔30が形成されている。
【0026】
上記フランジ29のロッド側油室17に臨む面と差し込み部26の外周には、図2にも示すように、連続する切欠き通路31が形成されており、この切欠き通路31及び油孔であるところの中心油孔30は、上記減衰バルブ20及びポート19を迂回するバイパスを形成している。
【0027】
なお、差し込み部26の外周には、図2に示すように、リング状の凹溝32が予め形成されており、この凹溝32内にピストンロッド8A下端部(筒状部)がカシメ込まれて、ピストンロッド8Aに対しセンターロッド25が一体に同軸結合されている。
【0028】
従って、この実施の形態になる油圧緩衝器では、ピストンロッド8Aの圧縮行程時に、ピストンの低速域では中心油孔30と切欠き通路31からなるバイパスを反ロッド側油室18内の作動油がロッド側油室17へ流れ、中高速域になると減衰バルブ20を開いて作動油がロッド側油室17内へ流れ、これによっても圧側減衰力が発生する。
【0029】
そして、ピストンロッド8Aの侵入体積分の作動油がベース部に設けたベースバルブを開いてリザーバ室に流出する。
【0030】
一方、ピストンロッドの伸長行程時には、ピストンロッドの低速域では中心油孔30と切欠き通路31からなるバイパスをロッド側油室17内の作動油が反ロッド側油室18へ流れ、中高速域になると減衰バルブ20を開いて作動油が反ロッド側油室18へ流れ、これにより予め計算された伸側減衰力が発生する。
【0031】
そして、ピストンロッド8Aの退出(上昇)体積分の作動油がリザーバ室からベース部に設けられたベースバルブを通じて反ロッド側油室18に補給される。
【0032】
かかる油圧緩衝器では、ピストンロッド8Aとセンターロッド25とが互いに軸心が合わされてカシメ結合部27でカシメ固定されていることにより、相互の同軸度が保たれるため、ピストンロッド8Aとピストン14との同軸度も保持され、ピストン14は、シリンダ5の内周面に沿って滑らかに軸方向摺動可能となる。
【0033】
この結果、従来のねじ結合したものにおけるような切粉などの発生がなくなり、安定した減衰力特性が得られる。
【0034】
従来のねじ結合したものでは、センターロッド25のねじ部の肉厚を十分に肉厚にする必要があるところ、本発明では、単にかしめ結合するのみであるため、この結合部での肉厚は必要ではなく、十分の軽量化を図ることができる。
【0035】
また、ピストンロッド8Aの圧縮行程時や伸長行程時には、作動油が反ロッド側油室18からロッド側油室17へ流入したり、ロッド側油室17から反ロッド側油室18へ流入したりする際に、その作動油がバイパスを構成する中心油孔30及び切欠き通路31を流れる。
【0036】
しかし、この流れはニードルバルブ15に対し、これの軸方向に対し交差(直交)する方向に衝突することがないため、従来のようなニードルバルブ15の微振動の惹起が防止されることとなり、従って、発生する減衰力の安定化を図ることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態ではフロントフォークにおけるピストンロッド8Aとセンターロッド25との結合構造について説明したが、一般的な油圧緩衝器におけるピストンロッドとセンターロッドとの結合にも、本発明を応用できることはいうまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、センターロッド端の差し込み部をピストンロッド内に嵌合して両者をカシメ結合し、更にセンターロッドの外周に、上記バイパスの一部を形成すると共にロッド側油室とピストンロッド内とを連通する切欠き通路を形成したので、センターロッドに対してピストンロッドが同軸度を維持した状態にて固定でき、これらの間に結合ガタが発生することを防止でき、ピストン及びピストンロッドにおける同軸度の確保並びにピストンのシリンダに対する円滑な摺動を確保できる。
【0039】
また、バイパスを形成する油路を、作動油の噴流が直接ニードルバルブに対し、これの軸方向に交差する方向に衝突しないセンターロッド外周側の切欠き通路としたことで、ニードルバルブの振動の発生及びこれに伴う減衰力の不安定化を防止できるという効果が得られる。
【0040】
また、上記センターロッドをピストンの中央に挿入される本体と、本体に一体に連設されたフランジと、フランジから起立する差し込み部とから構成し、本体とフランジと差し込み部の中心部に反ロッド側油室とピストンロッド内とを連通する油孔を形成し、フランジのロッド側油室に臨む面と差し込み部の外周に上記油孔と切欠き通路とでバイパスを形成する切欠き通路を設けたので、センターロッドとピストンロッドの同軸度をこれらの簡単な挿入構造にて確保でき、バイパスを形成する油孔の一部を差し込み部の外周に設けることで、作動油の噴流がニードルバルブの先端部に径方向に直接干渉するのを確実に防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による油圧緩衝器を示す要部の縦断面図である。
【図2】図1におけるセンターロッドを示す斜視図である。
【図3】従来の油圧緩衝器の一部を破断して示す全体を正面図である。
【図4】図3における油圧緩衝器の要部を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
5 シリンダ
8 ピストンロッド
9 コントロールロッド
14 ピストン
15 ニードルバルブ
17 ロッド側油室
18 反ロッド側油室
19 ポート
20 減衰バルブ
25 センターロッド
26 差し込み部
28 本体
29 フランジ
30 中心油孔(油孔)
31 切欠き通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等の車両における車体と車輪との間に介装され、路面からの振動を減衰するフロントフォーク等への使用に適する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の車体と車輪の間に介装されるフロントフォークは、図3に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とが摺動自在に嵌合され、車輪側チューブ2の中心部にダンパー3が起立され、車体側チューブ1のキャップ4側とダンパー3のシリンダ5との間に懸架ばね6が介装されるようにして構成されている。
【0003】
更に、キャップ4には懸架ばね6のばね荷重を調整するアジャスタ7が螺合され、また、このアジャスタ7内にダンパー3のピストンロッド8の上端が螺合されて、このピストンロッド8内に減衰調整用のコントロールロッド9の位置を調整するアジャスタ10が設けられている。
【0004】
また、ピストンロッド8の下端側はシリンダ5の上端を塞ぐロッドガイド11を貫通してシリンダ5内に案内され、図4に示すようにその下端外周に筒状のセンターロッド13の上端部内周がねじ結合されている。
【0005】
このセンターロッド13は、そのねじ結合部分12が他の部分より径が大きく形成され、そのねじ結合部分12とは反対側に、すなわちセンターロッド13の下端部には、シリンダ5内周を摺動するピストン14が取り付けられている。また、上記センターロッド13の筒孔13a内には、ニードルバルブ15が軸方向摺動自在に設けられ、その筒孔13a内に収納したスプリング16によって、その上端面がコントロールロッド9の下端面に接触する方向に付勢されている。
【0006】
更に、シリンダ5内は、ピストン14によってロッド側油室17と反ロッド側油室18とに区画され、これらの各油室17、18は、ピストン14に設けられたポート
この減衰バルブ20は、多孔リーフバルブと、この多孔リーフバルブの孔を開閉するように当該多孔リーフバルブに重ねられたリーフバルブとからなり、圧縮時はこれらの二つのバルブが一体となってピストンに設けられたポートを開き、一方、伸長時にはリーフバルブのみを開かせて、上記ポートに作動油を通過させる。
【0007】
なお、図示しないが、シリンダ5の下端と車輪側チューブ2の下端を塞ぐベース部(図示しない)にはベースバルブが設けられ、これが反ロッド側油室18とシリンダ5及び車輪側チューブ2間の油室(リザーバ室)に連通するポートを開閉するように機能する。
【0008】
上記センターロッド13には筒孔13aの内外にかつ径方向に貫通する油孔21と、筒孔13aと反ロッド側油室18とに軸方向に連通する中心油孔22が設けられ、これらの油孔21及び中心油孔22は、減衰バルブ20及びポート19を迂回する作動油のバイパスを構成している。
【0009】
そして、中心油孔22の開口内端にニードルバルブ15の先端が臨み、コントロールロッド9の操作によって、ニードルバルブ15が中心油孔22に対する開閉作動を行うことによって、その中心油孔22を流れる油量を調整可能にしている。
【0010】
従って、車体側より運転者がアジャスタ10を回転操作することによりコントロールロッド9が上下動し、ダンパー3内のニードルバルブ等によりバイパスの流路面積、つまり中心油孔22の開口面積が調整され、減衰力の高・低調整が行われる。
【0011】
また、アジャスタ7を回転して上下動操作することにより、懸架ばね6が伸縮することにより、油圧緩衝器としての初期ばね荷重が調整される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフロントフォークは、以上のように構成されているので、センターロッド13内のニードルバルブ15や減衰バルブ20により作動油の流路面積を調整して減衰力調整ができると共に、懸架スプリング6の初期ばね荷重の調整ができるものの、特に、上記ニードルバルブ15を収容するセンターロッド13とピストンロッド8とがねじ結合されている構成を採用しているため、これらの噛合部間に結合ガタが生じ、ピストンロッド8とセンターロッド13及びシリンダ5との同軸度を精度良く出すのは困難であり、結果的にピストン14とシリンダ5との摺動抵抗が一部に偏って大きくなり、切粉の発生及びこれに伴う減衰力特性の劣化を招く要因となっていた。
【0013】
また、センターロッド13に設けられた油孔21は筒孔13aの内外に径方向に貫通するように、つまりニードルバルブ15の軸方向に対して直交(交差)する方向に設けられているため、この油孔21を高圧の噴流となって流れる作動油がニードルバルブ15に対し径方向に直接作用するため、このニードルバルブ15自体の微振動を招き、結果的に上記のようにして得られる減衰力が不安定になるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題を解決するものであり、センターロッドとピストンロッドとの同軸度及びピストンロッドとピストンとの同軸度を確保して、ピストンのシリンダに対する摺動を円滑化すると共に、減衰力特性の劣化を回避可能にし、更に、作動油の噴流によるニードルバルブの振動発生を防止して、減衰力の安定化を実現できる油圧緩衝器を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のために、請求項1の発明にかかる油圧緩衝器は、シリンダ内にピストンを介して中空のピストンロッドが移動自在に挿入され、シリンダはピストンによりロッド側油室と反ロッド側油室とに区画され、これらのロッド側油室と反ロッド側油室はピストンに設けられたポートとこのポートの開口端に設けた減衰バルブを介して開閉され、更にピストンは当該ピストンの中央に設けられたセンターロッドを介してピストンロッドに結合され、センターロッドには上記減衰バルブを迂回するバイパスが形成され、このバイパスがピストンロッド内に移動自在に挿入されたニードルバルブにより開口面積が調整される油圧緩衝器において、上記センターロッド端の差し込み部がピストンロッド内に嵌合されて両者がカシメ結合され、更にセンターロッドの外周に、上記バイパスの一部を形成すると共にロッド側油室とピストンロッド内とを連通する切欠き通路を形成したことを特徴とする。
【0016】
これにより、センターロッドに対してピストンロッドが同軸度を維持した状態にて固定され、これらの間に結合ガタが発生することがなくなり、ピストンとピストンロッドとの同軸度の確保、並びにピストンのシリンダに対する円滑な摺動を確保できる。
【0017】
また、バイパスを形成する油路を、作動油の噴流が直接ニードルバルブに対し、これの軸方向に交差する方向に衝突しないセンターロッド外周側の切欠き通路としたことで、ニードルバルブの振動の発生及びこれに伴う減衰力の不安定化を防止できる。
【0018】
また、請求項2の発明にかかる油圧緩衝器は、上記センターロッドがピストンの中央に挿入される本体と、本体に一体に連設されたフランジと、フランジから起立する差し込み部とからなり、本体とフランジと差し込み部の中心部に反ロッド側油室とピストンロッド内とを連通する油孔が形成され、フランジのロッド側油室に臨む面と差し込み部の外周に切欠き通路が形成され、上記油孔と切欠き通路とでバイパスが形成されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、センターロッドとピストンロッドの同軸度をこれらの簡単な挿入構造にて確保できると共にこれらの結合部の重量を軽減でき、更にバイパスを形成する油孔の一部を差し込み部の外周に設けることで、作動油の噴流がニードルバルブの先端部に径方向に直接干渉するのを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図について説明するが、図1は、本発明の要部構成を拡大して示す断面図であり、図4に示したものと同一構成部分には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0021】
但し、後述するシリンダ5は、ダンパー内蔵型フロントフォークにおけるダンパ用のシリンダとして説明しているが、一般的な油圧緩衝器のシリンダとしても適用できる。
【0022】
同図において、8Aは、ピストンロッドであり、このピストンロッド8A内には、上記アジャスタ10によって出入量が調整される減衰量調整用のコントロールロッド9が挿通されている。
【0023】
このコントロールロッド9の下端面にニードルバルブ15の上端面が図示のように接触しており、このニードルバルブ15は、ピストンロッド8A端(下端)の小径筒孔23内に軸方向摺動自在に設けられている。
【0024】
更に、ピストンロッド8A最下端の大径筒孔24内には、図2に示すようなセンターロッド25の本体28に続く差し込み部26が密嵌され、両者が図中に符号27で示すカシメ結合部によってカシメ結合されている。
【0025】
このセンターロッド25は、ピストン14の中央に挿入される本体28と、この本体28に一体に連設されたフランジ29と、このフランジ29から起立する上記差し込み部26とからなり、本体28、フランジ29及び差し込み部26の中心部には、反ロッド側油室18とピストンロッド8A内とを連通する中心油孔30が形成されている。
【0026】
上記フランジ29のロッド側油室17に臨む面と差し込み部26の外周には、図2にも示すように、連続する切欠き通路31が形成されており、この切欠き通路31及び油孔であるところの中心油孔30は、上記減衰バルブ20及びポート19を迂回するバイパスを形成している。
【0027】
なお、差し込み部26の外周には、図2に示すように、リング状の凹溝32が予め形成されており、この凹溝32内にピストンロッド8A下端部(筒状部)がカシメ込まれて、ピストンロッド8Aに対しセンターロッド25が一体に同軸結合されている。
【0028】
従って、この実施の形態になる油圧緩衝器では、ピストンロッド8Aの圧縮行程時に、ピストンの低速域では中心油孔30と切欠き通路31からなるバイパスを反ロッド側油室18内の作動油がロッド側油室17へ流れ、中高速域になると減衰バルブ20を開いて作動油がロッド側油室17内へ流れ、これによっても圧側減衰力が発生する。
【0029】
そして、ピストンロッド8Aの侵入体積分の作動油がベース部に設けたベースバルブを開いてリザーバ室に流出する。
【0030】
一方、ピストンロッドの伸長行程時には、ピストンロッドの低速域では中心油孔30と切欠き通路31からなるバイパスをロッド側油室17内の作動油が反ロッド側油室18へ流れ、中高速域になると減衰バルブ20を開いて作動油が反ロッド側油室18へ流れ、これにより予め計算された伸側減衰力が発生する。
【0031】
そして、ピストンロッド8Aの退出(上昇)体積分の作動油がリザーバ室からベース部に設けられたベースバルブを通じて反ロッド側油室18に補給される。
【0032】
かかる油圧緩衝器では、ピストンロッド8Aとセンターロッド25とが互いに軸心が合わされてカシメ結合部27でカシメ固定されていることにより、相互の同軸度が保たれるため、ピストンロッド8Aとピストン14との同軸度も保持され、ピストン14は、シリンダ5の内周面に沿って滑らかに軸方向摺動可能となる。
【0033】
この結果、従来のねじ結合したものにおけるような切粉などの発生がなくなり、安定した減衰力特性が得られる。
【0034】
従来のねじ結合したものでは、センターロッド25のねじ部の肉厚を十分に肉厚にする必要があるところ、本発明では、単にかしめ結合するのみであるため、この結合部での肉厚は必要ではなく、十分の軽量化を図ることができる。
【0035】
また、ピストンロッド8Aの圧縮行程時や伸長行程時には、作動油が反ロッド側油室18からロッド側油室17へ流入したり、ロッド側油室17から反ロッド側油室18へ流入したりする際に、その作動油がバイパスを構成する中心油孔30及び切欠き通路31を流れる。
【0036】
しかし、この流れはニードルバルブ15に対し、これの軸方向に対し交差(直交)する方向に衝突することがないため、従来のようなニードルバルブ15の微振動の惹起が防止されることとなり、従って、発生する減衰力の安定化を図ることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態ではフロントフォークにおけるピストンロッド8Aとセンターロッド25との結合構造について説明したが、一般的な油圧緩衝器におけるピストンロッドとセンターロッドとの結合にも、本発明を応用できることはいうまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、センターロッド端の差し込み部をピストンロッド内に嵌合して両者をカシメ結合し、更にセンターロッドの外周に、上記バイパスの一部を形成すると共にロッド側油室とピストンロッド内とを連通する切欠き通路を形成したので、センターロッドに対してピストンロッドが同軸度を維持した状態にて固定でき、これらの間に結合ガタが発生することを防止でき、ピストン及びピストンロッドにおける同軸度の確保並びにピストンのシリンダに対する円滑な摺動を確保できる。
【0039】
また、バイパスを形成する油路を、作動油の噴流が直接ニードルバルブに対し、これの軸方向に交差する方向に衝突しないセンターロッド外周側の切欠き通路としたことで、ニードルバルブの振動の発生及びこれに伴う減衰力の不安定化を防止できるという効果が得られる。
【0040】
また、上記センターロッドをピストンの中央に挿入される本体と、本体に一体に連設されたフランジと、フランジから起立する差し込み部とから構成し、本体とフランジと差し込み部の中心部に反ロッド側油室とピストンロッド内とを連通する油孔を形成し、フランジのロッド側油室に臨む面と差し込み部の外周に上記油孔と切欠き通路とでバイパスを形成する切欠き通路を設けたので、センターロッドとピストンロッドの同軸度をこれらの簡単な挿入構造にて確保でき、バイパスを形成する油孔の一部を差し込み部の外周に設けることで、作動油の噴流がニードルバルブの先端部に径方向に直接干渉するのを確実に防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による油圧緩衝器を示す要部の縦断面図である。
【図2】図1におけるセンターロッドを示す斜視図である。
【図3】従来の油圧緩衝器の一部を破断して示す全体を正面図である。
【図4】図3における油圧緩衝器の要部を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
5 シリンダ
8 ピストンロッド
9 コントロールロッド
14 ピストン
15 ニードルバルブ
17 ロッド側油室
18 反ロッド側油室
19 ポート
20 減衰バルブ
25 センターロッド
26 差し込み部
28 本体
29 フランジ
30 中心油孔(油孔)
31 切欠き通路
Claims (2)
- シリンダ内にピストンを介して中空のピストンロッドが移動自在に挿入され、シリンダ内はピストンによりロッド側油室と反ロッド側油室とに区画され、これらのロッド側油室と反ロッド側油室はピストンに設けられたポート及びポートの開口端に設けた減衰バルブを介して開閉され、更にピストンは当該ピストンの中央に設けられたセンターロッドを介してピストンロッドに結合され、センターロッドには上記減衰バルブを迂回するバイパスが形成され、このバイパスがピストンロッド内に移動自在に挿入されたニードルバルブにより開口面積が調整される油圧緩衝器において、上記センターロッド端の差し込み部がピストンロッド内に嵌合されて両者がカシメ結合され、更にセンターロッドの外周に、上記バイパスの一部を形成すると共にロッド側油室とピストンロッド内とを連通する切欠き通路を形成したことを特徴とする油圧緩衝器。
- 上記センターロッドがピストンの中央に挿入される本体と、本体に一体に連設されたフランジと、フランジから起立する差し込み部とからなり、本体とフランジと差し込み部の中心部に反ロッド側油室とピストンロッド内とを連通する油孔が形成され、フランジのロッド側油室に臨む面と差し込み部の外周に切欠き通路が形成され、上記油孔と切欠き通路とでバイパスが形成されている請求項1に記載の油圧緩衝器。
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