JP3886028B2 - 焼結含油軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質性焼結体の内部側に潤滑油が含浸された軸受部材を、軸受ホルダによって保持した構造を有する焼結含油軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、焼結含油軸受軸部材によって軸部材を相対回転可能に支持するようにした焼結含油軸受装置が、多種多様な装置において広く採用されている。この焼結含油軸受装置は、例えば図5に示されているような中空円筒状の軸受部材1が、多数の空孔を有する多孔質性焼結体から形成されたものであって、その多孔質性焼結体の内部側には、適宜の潤滑油が含浸させられている。このような軸受部材1では、当該軸受部材1の外周側が固定部になされており、その外周側の固定部が、軸受ホルダー2の内周面側に対して圧入等により固定されている。
【0003】
一方、上記軸受部材1の内周面側には、例えば2箇所の軸受部1a,1aが設けられていて、それらの各軸受部1aの軸受面と、図示を省略した軸部材の外周面側に設けられている軸受面との間に、上述した潤滑油が介在されていることによって、上述した軸受部材1の内部側に軸部材が相対回転可能に支承されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、焼結含油軸受装置では、軸部材と軸受部材との間に潤滑油を常時介在させておくことが前提となっていることから、軸受部内に潤滑剤を長期にわたって保持させておく必要がある。しかしながら、上述した従来装置では、軸受部の近傍に十分な量の潤滑剤を溜めておくことが難しく、たとえ潤滑剤を溜めておくような構成を採用したとしても、その潤滑剤を軸受部側に供給することができないという問題がある。
【0005】
このような問題は、潤滑油に対して動圧を発生させるようにした動圧軸受装置において極めて重要なものとなっており、潤滑油が蒸発や劣化することによって軸受寿命が大きく左右されることから、十分な量の潤滑油を保持させておくことが望まれている。特に、軸方向の外方漏れを生じやすいテーパ動圧軸受装置や、ステップ動圧軸受装置軸受などにおいては、潤滑油の確保が難しいことから大きな課題となっている。
【0006】
そこで本発明は、簡易かつ小型の構成で、潤滑油を十分に蓄えることができるとともに、その蓄えられた潤滑油を軸受部側に良好に供給することができるようにした焼結含油軸受装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の焼結含油軸受装置では、軸部材の外周面側の軸受面に対して、中空円筒状の軸受部材の内周面側の軸受面が軸受隙間を介して対向配置されていることにより、これら軸部材と軸受部材とを相対回転可能に支承する軸受部が構成されたものであって、上記軸受部材は、多数の空孔を有する多孔質焼結体の内部に潤滑油が含浸された含油軸受からなるとともに、その軸受部材の外周面側に、軸受ホルダの内周面側に圧入されて当該軸受部の全体を保持する固定部が設けられた焼結含油軸受装置において、上記軸受部材の固定部を軸方向に挟んだ両側部分には、該軸受部材の外周面と前記軸受ホルダの内周面との間に形成された隙間によって2つの油溜部が画成されているとともに、当該2つの油溜部内のそれぞれには、外気との間で気液界面を形成するように注入された潤滑油が保持され、これら2つの油溜部における径方向の隙間寸法が、上記軸受部材を構成している多孔質焼結体の空孔の直径よりも大きく形成されていることにより、上記各油溜部内に貯留されている潤滑油が、上記軸受部材の内部側に向かって供給され、かつ、それら2つの油溜部における径方向の隙間寸法が、当該2つの油溜部における毛細管力を互いに異ならせるように一方側が他方側より大きく形成され、その油溜部における毛細管力の差によって一方側の油溜部から他方側の油溜部に向かって潤滑油が移動されるように構成されている。
【0008】
また、請求項2記載の焼結含油軸受装置では、前記請求項1記載の軸受部材の固定部には、前記2つの油溜部どうしを連通させる油通路が設けられている。
【0009】
さらに、請求項3記載の焼結含油軸受装置では、前記他方側の油溜部における径方向の隙間寸法が、前記軸受部材を構成している多孔質焼結体の空孔の直径よりも大きく形成されていることにより、その他方側の油溜部内に貯留されている潤滑油が、前記軸受部材の内部側に向かって供給されるように構成されている。
【0010】
さらにまた、請求項4記載の焼結含油軸受装置では、前記請求項1記載の軸受部は、前記一方側及び他方側の油溜部にそれぞれ対応して配置された一方側及び他方側の2つの軸受部を含み、上記一方側の軸受部を構成している部位における軸受部材の多孔質焼結体の密度が、上記他方側の軸受部を構成している部位における多孔質焼結体の軸受部材の密度より大きく形成され、上記軸受部材の内部において、大きい空孔を有する上記他方側の軸受部から小さい空孔を有する上記一方側の軸受部に向かって潤滑油が移動されるように構成されている。
【0011】
一方、請求項5記載の焼結含油軸受装置では、前記請求項1記載の油溜部は、前記固定部を軸方向に挟んだ両側部分において、軸受部材の外周径が固定部よりも小さくなされた当該軸受部材の小径部によって画成されている。
【0012】
また、請求項6記載の焼結含油軸受装置では、前記請求項1記載の油溜部は、前記固定部を軸方向に挟んだ両側部分に対応する部位における軸受ホルダの内周径が、上記固定部に対応する部位における軸受ホルダの内周径よりも大きくなされた当該軸受ホルダの大径部によって画成されている。
【0013】
このような構成を有する請求項1にかかる焼結含油軸受装置によれば、周長が大きい軸受部材の外周側を利用して油溜部が画成されていることから、その油溜部内に、十分な量の潤滑油が貯留されているとともに、その軸受部材の外周側に蓄えられた潤滑油は、当該油溜部よりも大きな毛細管力を有する軸受部材の内部側に向かって吸収されていき、軸受部側に供給されるようになっている。
さらに、大きな隙間寸法を備えていることにより潤滑油を蓄える量は大きいが外部漏れを比較的生じやすい一方側の油溜部から、小さな隙間寸法を有することによって潤滑油の外部漏れを生じ難くした他方側の油溜部に向かって、潤滑油が移動されることとなり、十分な量の潤滑油を蓄えつつ外部漏れが防止されるようになっている。
【0014】
また、請求項2にかかる焼結含油軸受装置によれば、2つの油溜部のうちの一方側の潤滑油が消費された場合には、他方側の油溜部内の潤滑油が油通路を通して供給されるようになっている。
【0016】
さらにまた、請求項4にかかる焼結含油軸受装置によれば、小さな隙間寸法を有する他方側の油溜部に集められた潤滑油が、軸受部材の内部側に移動した後に、大きい空孔を有する他方側の軸受部側から小さい空孔を有する一方側の軸受部に向かって移動していき、他方側の軸受部のみでなく、一方側の軸受部のに対しても潤滑油が良好に供給されるようになっている。
【0017】
一方、上述した請求項1記載の油溜部は、請求項5又は請求項6にかかる焼結含油軸受装置のいずれによっても画成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、CD−ROMなどのような各種メディアディスクの回転駆動装置に用いられるスピンドルモータに対して本発明を適用した場合の実施形態について説明する。
【0019】
図1に示されている軸回転型のディスク駆動装置用スピンドルモータの全体は、固定部材としてのステータ組10と、そのステータ組10に対して軸方に組み付けられた回転部材としてのロータ組20とから構成されている。このうちステータ組10においては、固定基板(ベースプレート)11の略中央部分に固定された軸受ホルダー12の内部側に、動圧軸受部材としての略中空円筒状の軸受スリーブ13が挿入されており、図示を省略した接着剤により固定されている。なお、この軸受スリーブ13は、上記軸受ホルダー12に対して圧入又は焼バメによって接合させることもできる。
【0020】
また、前記軸受ホルダー12の外周側壁面に設けられた取付面には、電磁鋼板の積層体からなるステータコア14が嵌着されている。このステータコア14に設けられた各突極部には、駆動コイル15がそれぞれ巻回されている。
【0021】
さらに、上記軸受スリーブ13の中心軸に沿って貫通形成された軸受孔内には、上述したロータ組2を構成する回転軸21が回転自在に挿入されている。本実施形態における回転軸21は、ステンレス鋼から形成されている。
【0022】
そして、上記軸受スリーブ13における軸受孔の内周面には、軸方向の2箇所に凸状部分として動圧面が形成されており、それらの各動圧面が、上記回転軸21の外周面に形成された動圧面に対して半径方向に対面するように配置されていて、当該両動圧面どうしの間の微小な軸受隙間空間に、ラジアル動圧軸受部RB1,RB2がそれぞれ形成されている。これらの各ラジアル動圧軸受部RB1,RB2における軸受スリーブ13側の動圧面と、回転軸21側の動圧面とは、例えば、数μm程度の微少隙間を介して周状に対向配置されており、その微少隙間からなる軸受隙間空間内に、潤滑オイルや磁性流体等からなる所定の潤滑油が注入されている。
【0023】
さらに、上記軸受スリーブ13側の動圧面には、図示を省略したへリングボーン形状などの形状を有するラジアル動圧発生用溝が、例えば軸方向に2ブロックに分けて環状に凹設されており、回転時には、それら両ラジアル動圧発生用溝のポンピング作用によって上記潤滑流体が加圧されて動圧を生じ、その潤滑流体の動圧により前記回転軸21とともに後述するロータハブ22が、ラジアル方向に浮上されながら軸支持される構成になされている。
【0024】
一方、上記回転軸21の図示下端部分には、球面の一部をなすピボット部21aが設けられているとともに、前記軸受ホルダー12における図示下端側の開口部には、スラスト板16が取り付けられているとともに、そのスラスト板16の内部側に、円盤状のスラスト受部材17が装着されている。そして、上記スラスト受部材17の図示上側表面に対して、上述した回転軸21の図示下端側のピボット部21aが点接触するように配置されており、それによって、上記回転軸21の全体がスラスト方向に支承されるようになっている。
【0025】
また、前記回転軸21の上方突出部分には、薄底の皿形状をなすアウターロータ型のロータハブ22のボス部22aが固定されていて、そのボス部から半径方向外方に向かって延出する当該ロータハブ22の最外周部分には、環状をなす円筒状立壁22bが設けられており、その円筒状立壁22bの内周面に、同じく環状に形成された駆動マグネット(永久磁石)23が取り付けられている。この環状の駆動マグネット23における内外の両周面に沿って形成された駆動着磁面が、前述したステータコア14の各突極部に対して半径方向外方側から近接するように配置されている。
【0026】
さらに、上述したロータハブ22の図示上面側には、ディスク載置部としてのハブ台24が設けられている。このハブ台24は、前記ロータハブ22のボス部22aの外側に挿入されるようにして固定されており、当該ハブ台24に対して、図示を省略したディスクの装着孔が挿通されることにより、当該記録メディアディスク全体が径方向に位置決めされた状態で装着されるようになっている。
【0027】
一方、前述した軸受部材としての軸受スリーブ13は、多数の空孔を有する多孔質焼結体から形成されており、その多孔質焼結体の内部に、上述した動圧発生用の潤滑油が含浸された含油軸受装置を構成している。このような軸受スリーブ13においては、図2,図3及び図4にも示されているように、当該軸受スリーブ13の外周面の軸方向略中央部分に、半径方向外方に突出する大径形状になされた固定部13aが環状に設けられており、その固定部13aが、前述した軸受ホルダー12の内周面側に圧入されていることによって軸受スリーブ13の全体が保持されるように構成されている。
【0028】
また、上記軸受スリーブ13の固定部13aを軸方向に挟んだ両側部分には、軸受スリーブ13の外周面を上記固定部13aよりも小径とした小径形状部分13b,13cが設けられていて、上記固定部13aとの間に段差が形成されている。これらの小径形状部分13b,13cは、前述したラジアル動圧軸受部RB1,RB2にそれぞれ対応した位置に配置されていて、当該小径形状部分13b,13cと、前記軸受ホルダー12の内周面との間に形成された環状の隙間によって、2つの油溜部13d,13eがそれぞれ画成されている。これら2つの油溜部13d,13e内には、特に図4に示されているように、上述した動圧発生用の潤滑油が注入されて蓄えられている。
【0029】
なお、上記油溜部13d,13e内に潤滑油を注入するにあたっては、それらの各油溜部13d,13e内壁面に対して、予め、潤滑油を十分に塗布しておくことが好ましい。
【0030】
さらに、これら2つの油溜部13d,13eにおける径方向の各隙間寸法α1,α2(図2参照)は、上記軸受スリーブ13を構成している多孔質焼結体の空孔の平均直径よりも大きく設定されており、そのような寸法関係によって決定される毛細管力の差に従って、上記各油溜部13d,13e内の潤滑油が、軸受スリーブ13の内部側に向かって供給される構成になされている。
【0031】
一方、前記軸受スリーブ13の固定部13aを含む全長には、前記2つの油溜部13d,13eどうしを連通させる油通路13f,13fが、軸方向に延在するように設けられている。これらの各油通路13fは、円弧状の断面形状をなす溝状に形成されており、それらの各油通路13fを通して、図示上側の油溜部13d内における潤滑油が、図示下側の油溜部13e側に向かって供給されるようになっている。
【0032】
すなわち、上述した2つの油溜部13d,13eにおける径方向の隙間寸法α1,α2は、当該2つの油溜部13d,13eにおける毛細管力を互いに異ならせるように、図示上側の油溜部13dの隙間寸法α1が、図示下側の油溜部13eの隙間寸法α2よりも大きく形成されていて(α1>α2)、毛細管力が小さくなされた図示上側の油溜部13dと、毛細管力が大きくなされた図示下側の油溜部13eとの間の毛細管力の差に従って、上側油溜部13dから下側油溜部13eに向かって潤滑油が供給される構成になされている。
【0033】
上述した上側油溜部13dにおける径方向の隙間寸法α1は、例えば、片側0.2〜0.3mm程度になされているとともに、下側油溜部13eにおける径方向の隙間寸法α2は、片側0.05〜0.2mm程度になされている。すなわち、これら両油溜部13d,13eにおける隙間寸法α1,α2は、軸受スリーブ13を構成している多孔質焼結体の空孔の平均直径よりも大きく形成されていて、それらの間に生じる毛細管力の差異に従って、上記両油溜部13d,13e内の各潤滑油が、軸受スリーブ13の内部側に向かって供給されるように構成されている。
【0034】
さらにまた、上記軸受スリーブ13を構成している多孔質焼結体は、軸方向に沿って成形密度が変化するように形成されていて、図示上側部分の密度が、図示下側部分の密度よりも大きくなるように形成されている。すなわち、加圧工程を均一に行わないことなどの加工手段を採用することによって、前記軸受スリーブ13の図示上側の小径形状部分13bを構成している多孔質焼結体の空孔の大きさが、図示下側の小径形状部分13cを構成している多孔質焼結体の空孔の大きさよりも小さくなるような成形が行われており、それによって生じる毛細管力の差異に従って、上記軸受スリーブ13の内部において、大きい空孔を有する図示下側のラジアル動圧軸受部RB2側から、小さい空孔を有する図示上側のラジアル動圧軸受部RB1側に向かって潤滑油が移動される構成になされている。
【0035】
一方、前述したラジアル動圧軸受部RB1,RB2における軸受隙間の寸法は、軸受スリーブ13を構成している多孔質焼結体の空孔の大きさよりも小さく形成されていることから、軸受スリーブ13の内部側に存在している潤滑油が、上記両ラジアル動圧軸受部RB1,RB2内に向かってそれぞれ供給される構成になされている。
【0036】
このように、本実施形態では、潤滑油に対する隙間の大きさ、すなわち毛細管力が、ラジアル動圧軸受部RB1,RB2、軸受スリーブ13の上側小径形状部分13b、軸受スリーブ13の下側小径形状部分13c、下側油溜部13e、上側油溜部13dの順に、小さくなるように設定されていることから、特に図4に示されているような潤滑油の移動が循環的に行われるように構成されている。そして、その結果として、上記両ラジアル動圧軸受部RB1,RB2に対して、常時、潤滑油が補給されるようになっている。
【0037】
このような構成を有する本実施形態にかかるスピンドルモータに用いられている焼結含油軸受装置によれば、周長が大きい軸受スリーブ13の外周側を利用して油溜部13b,13cが画成されていることから、その油溜部13,13内に、十分な量の潤滑油が貯留されているとともに、その軸受スリーブ13の外周側に蓄えられた潤滑油は、当該油溜部13,13よりも大きな毛細管力を有する軸受スリーブ13の内部側に向かって吸収されていき、ラジアル動圧軸受部RB1,RB2側に供給されるようになっている。
【0038】
また、本実施形態にかかる焼結含油軸受装置によれば、2つの油溜部13,13のうちの図示下側の油溜部13内の潤滑油が消費された場合には、図示上側の油溜部13内の潤滑油が、油通路13fを通して供給されるようになっている。
【0039】
このとき、図示上側の油溜部13は、大きな隙間寸法α1を備えていることによって、潤滑油の蓄積量は大きくなされているものの、外部漏れを比較的生じやい状態となっている。しかしながら、本実施形態では、上述したように図示下側の油溜部13が小さな隙間寸法α2を有することによって潤滑油の外部漏れを生じ難くい状態になされており、図示上側の油溜部13から図示下側の油溜部13に向かって潤滑油が移動するように構成していることから、十分な量の潤滑油を蓄えつつ、潤滑油の外部漏れが良好に防止されるようになっている。
【0040】
また、本実施形態では、通常の使用で下方側に向けられる部分に、毛細管力が大きい油溜部13が配置されていることから、潤滑油の外部漏れは、一層良好に防止されるようになっている。
【0041】
さらにまた、本実施形態にかかる焼結含油軸受装置によれば、小さな隙間寸法α2を有する図示下側の油溜部13に集められた潤滑油が、軸受スリーブ13の内部側に移動した後、その軸受スリーブ13の内部において、大きい空孔を有する図示下側のラジアル動圧軸受部RB2側から、小さい空孔を有する図示上側のラジアル動圧軸受部RB1に向かって移動していき、その下側のラジアル動圧軸受部RB2のみならず、上側のラジアル動圧軸受部RB1に対しても潤滑油が良好に供給される。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0043】
例えば、上述した実施形態における各油溜部13d,13eは、軸受スリーブ13の固定部13aの軸方向両側部分における外周径を、上記固定部13aよりも小さく形成することによって画成されているが、軸受スリーブ13の固定部13aを軸方向に挟んだ両側部分に対応する部位における軸受ホルダー12の内周径を拡大することによって、上記軸受スリーブ13の外周面との間に油溜部を画成するように構成することも可能である。
【0044】
また、上述した軸受スリーブ13の軸方向端面に、半径方向に延びる油溝を設けることによって、内周側のラジアル動圧軸受部RBと、外周側の油溜部13d又は13eとを連通させる構成としておけば、ラジアル動圧軸受部RB側から外部に向かって溢れ出た潤滑油を、無駄なく油溜部13d,13e側に移動させることが可能となり、都合がよい。
【0045】
さらに、軸受スリーブ13の軸方向端面に座金を被せるように配置しておけば、その座金によって画成される狭小空間に生じる毛細管力の作用により、内部に潤滑油が保持され易くなって、ラジアル動圧軸受部RB側への潤滑油の供給が一層円滑に行われることとなる。
【0046】
さらにまた、特に図4に示されているように、ロータハブ22のボス部22aを、軸受スリーブ13の端面に近接配置しておくとともに、軸受ホルダー12の周壁を軸方向に立ち上げて、上記ロータハブ22のボス部22aの外周側壁面に対して半径方向外方側から対面するように配置しておけば、軸受スリーブ13の端面側から漏出した潤滑油を、軸受ホルダー12の周壁を伝わらせるようにして無駄なく油溜部13d,13e側に回収することが可能となる。
【0047】
また、上述した実施形態は、CD−ROMディスク駆動装置用のスピンドルモータに対して本発明を適用したものであるが、本発明は、それに限定されるものではなく、ハードディスク、フロッピーディスク、DVDなどのような各種メディアディスクを回転駆動させるモータや、その他の多種多様な装置に用いられる焼結含油軸受装置に対しても同様に適用することができるものである。
【0048】
さらにまた、本発明を適用する焼結含油軸受装置は、上述した実施形態のような動圧軸受装置に限定されることはなく、メタル軸受等のような滑り軸受部材を用いた装置に対しても同様に適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明にかかる焼結含油軸受装置は、周長が大きい軸受部材の外周側を利用して固定部を挟んだ両側に油溜部を画成して十分な量の潤滑油を貯留させるとともに、その軸受部材の外周側の油溜部内に蓄えられた潤滑油を、当該油溜部よりも大きな毛細管力を有する軸受部材の内部側に吸収させて、軸受部側に潤滑油を円滑に供給させる構成としたものであるから、簡易かつ小型の構成で、潤滑油を十分に蓄えることができるとともに、その蓄えられた潤滑油を軸受部側に良好に供給することができ、軸受装置の軸受特性を、長期にわたって安定的に維持させることができる。
【0050】
また、本発明にかかる焼結含油軸受装置は、2つの油溜部のうちの一方側の潤滑油が消費された場合に、他方側の油溜部内の潤滑油を油通路を通して供給させるように構成したものであるから、上述した効果を更に高めることができる。
【0051】
さらに、本発明にかかる焼結含油軸受装置は、潤滑油を蓄える量は大きいが外部漏れを比較的生じやすい一方側の油溜部から、小さな隙間寸法を有することにより潤滑油の外部漏れを生じ難くした他方側の油溜部に向かって潤滑油を移動させる構成を採用したことによって、十分な量の潤滑油を蓄えつつ潤滑油の外部漏れを防止する構成としたものであるから、上述した効果をさらに向上させるとともに、潤滑油の外部漏れによる問題を解消することができる。
【0052】
さらにまた、本発明にかかる焼結含油軸受装置は、小さな隙間寸法を有する他方側の油溜部に集められた潤滑油を、軸受部材の内部側に移動させた後に、その軸受部材の内部において、大きい空孔を有する他方側の軸受部側から小さい空孔を有する一方側の軸受部に向かって移動させることとし、双方の軸受部に対して潤滑油を良好に供給させるようにしたものであるから、上述した効果に加えて、軸受特性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した動圧軸受装置を備えたCD−ROM駆動用モータの構造例を表した縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたモータに用いられている動圧軸受装置の軸受部分の構造を表した縦断面説明図である。
【図3】図2に示された軸受部材の形状を表した外観斜視説明図である。
【図4】軸受部における隙間寸法の関係と、潤滑油の移動方向を表した部分拡大縦断面図である。
【図5】一般の焼結軸受装置における軸受部分の構造を表した縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 ステータ組
12 軸受ホルダー
13 軸受スリーブ(軸受部材)
13a 固定部
13d,13e 油溜部
13f 油通路
13b,13c 軸受部
20 ロータ組
21 回転軸
α1,α2 隙間寸法
RB ラジアル動圧軸受部

Claims (6)

  1. 軸部材の外周面側の軸受面に対して、中空円筒状の軸受部材の内周面側の軸受面が軸受隙間を介して対向配置されていることにより、これら軸部材と軸受部材とを相対回転可能に支承する軸受部が構成されたものであって、
    上記軸受部材は、多数の空孔を有する多孔質焼結体の内部に潤滑油が含浸された含油軸受からなるとともに、
    その軸受部材の外周面側に、軸受ホルダの内周面側に圧入されて当該軸受部の全体を保持する固定部が設けられた焼結含油軸受装置において、
    上記軸受部材の固定部を軸方向に挟んだ両側部分には、該軸受部材の外周面と前記軸受ホルダの内周面との間に形成された隙間によって2つの油溜部が画成されているとともに、
    当該2つの油溜部内のそれぞれには、外気との間で気液界面を形成するように注入された潤滑油が保持され、
    これら2つの油溜部における径方向の隙間寸法が、上記軸受部材を構成している多孔質焼結体の空孔の直径よりも大きく形成されていることにより、上記各油溜部内に貯留されている潤滑油が、上記軸受部材の内部側に向かって供給され、かつ、それら2つの油溜部における径方向の隙間寸法が、当該2つの油溜部における毛細管力を互いに異ならせるように一方側が他方側より大きく形成され、その油溜部における毛細管力の差によって一方側の油溜部から他方側の油溜部に向かって潤滑油が移動されるように構成されていることを特徴とする焼結含油軸受装置。
  2. 前記軸受部材の固定部には、前記2つの油溜部どうしを連通させる油通路が設けられていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受装置。
  3. 前記他方側の油溜部における径方向の隙間寸法が、前記軸受部材を構成している多孔質焼結体の空孔の直径よりも大きく形成されていることにより、その他方側の油溜部内に貯留されている潤滑油が、前記軸受部材の内部側に向かって供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受装置。
  4. 前記軸受部は、前記一方側及び他方側の油溜部にそれぞれ対応して配置された一方側及び他方側の2つの軸受部を含み、
    上記一方側の軸受部を構成している部位における軸受部材の多孔質焼結体の密度が、上記他方側の軸受部を構成している部位における多孔質焼結体の軸受部材の密度より大きく形成され、
    上記軸受部材の内部において、大きい空孔を有する上記他方側の軸受部から小さい空孔を有する上記一方側の軸受部に向かって潤滑油が移動されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受装置。
  5. 前記油溜部は、前記固定部を軸方向に挟んだ両側部分において、軸受部材の外周径が固定部よりも小さくなされた当該軸受部材の小径部によって画成されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受装置。
  6. 前記油溜部は、前記固定部を軸方向に挟んだ両側部分に対応する部位における軸受ホルダの内周径が、上記固定部に対応する部位における軸受ホルダの内周径よりも大きくなされた当該軸受ホルダの大径部によって画成されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受装置。
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