JP3885946B2 - バルブポジショナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調節弁の弁開度を所定の値に制御するバルブポジショナに関し、特にバルブポジショナに特有なヒステリシス特性の変動を修復するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のバルブポジショナとしては、例えば本出願人による特開2001―141107「バルブポジショナ」に開示されている。このようなバルブポジショナは、図2に示すように、電気的な信号に基づいて空気流量を制御してバルブをコントロールする電空ポジショナであり、調整弁12の弁開度目標値を設定する入力信号SPを入力し、この入力信号SPと調整弁度のフィードバック信号である弁開度信号PVに基づいて制御信号MVを演算出力する制御演算手段11と、制御信号MVに基づいて空気流量を変化させる電空変換手段16と、空気流量によりステムを変位させて流体を制御する調整弁12と、調整弁12のステム変位を検出する位置センサ手段15とから構成される。
【0003】
このような構成からなるバルブポジショナの動作としては、入力信号SPと弁開度信号PVとが一致するように、制御演算手段11は制御信号MVを変化させる。入力信号SPと弁開度信号PVとに差がない場合は、制御演算手段11は制御信号MVの値を一定に保つ。
【0004】
次に、制御演算手段11の制御対象となる、電空変換手段16と調整弁12と位置センサ手段15が有する非線形特性について説明する。図3は、弁開度信号PVに相関がある電空変換手段16のノズル背圧Pnと、制御信号MVに相関がある電空変換手段16の電流Iと、のヒステリシス特性を示す。このヒステリシスの主要因は電空変換手段16の有する磁性体のB―Hカーブによるものである。
【0005】
図3のヒステリシス特性を説明する。通常の特性20に関して、B点を初期値として、電流Iが上昇していくと、C点でノズル背圧PnがPoとなり、更に制御信号MVが上昇するとD点となり、ここから電流Iが減少していくと、A点でノズル背圧PnがPoとなる。
つまり、ノズル背圧PnがPoとなる制御信号MVの値は、制御信号の履歴が大きな影響を及ぼす。
【0006】
このような特性において、例えば、特開2001―141107では、系が必ずA点を使用するような工夫がされる。つまり、系がC点を使用しないような工夫がされる。
入力信号SPが一定で、ノズル背圧PnがPoとなる場合において、通常の特性20では電流IはIoとなり、動作点はA点となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなバルブポジショナをフィールド環境で使用すると、長期間の使用、予期していない外乱、振動、温度変化によって、ヒステリシス特性が変化してしまうことがある。
【0008】
ヒステリシス特性の変化を図3で説明する。ヒステリシス特性がマイナス側にずれた特性10となると系は弁開度信号PVがPoを保つようにフィードバックが働き制御信号MVはI1となり、動作点はE点となる。
ヒステリシス特性がプラス側にずれた特性30となると系は弁開度信号PVがPoを保つようにフィードバックが働き制御信号MVはI2となり、動作点はF点となる。
【0009】
このような場合、I1及びI2が制御信号MVの制御可能な範囲を越えていると、バルブポジショナは動作不能となり、作業員が現場へ出向いて交換作業が必用である。
【0010】
本発明は、上述の交換作業が不用となるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する本発明は、次の通りである。
(1)弁開度信号と入力信号との偏差に基づいて調整弁の弁開度位置を制御する制御信号を演算出力する制御演算手段と、前記制御信号に基づいて前記調整弁の駆動信号を送出する電空変換手段と、からなるバルブポジショナにおいて、前記制御信号が前記制御信号の制御可能な範囲を超える場合に、高エネルギーの修復信号を前記電空変換手段に出力する修復演算手段を備えたことを特徴とするバルブポジショナ
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のバルブポジショナにおける実現例の構成を示したブロック図を示す。同図においてその構成を説明する。図2の従来例と同様の部分は説明を省略する。図1の実施例の特徴は、制御信号MVに基づいて修復信号RFを電空変換手段16に演算出力する修復演算手段17を配置する点である。
【0013】
このようなバルブポジショナにおいて、長期間の使用、予期していない外乱、振動、温度変化によって、ヒステリシス特性が変化する場合を説明する。
図2の従来例の場合と同様に、ヒステリシス特性がマイナス側にずれた特性10となると系は弁開度信号PVがPoを保つようにフィードバックが働き制御信号MVはI1となり、動作点はE点となる。ヒステリシス特性がプラス側にずれた特性30となると系は弁開度信号PVがPoを保つようにフィードバックが働き制御信号MVはI2となり、動作点はF点となる。
【0014】
I1及びI2が制御信号MVの所定の範囲を越える場合に、作業員が現場へ出向いて修復作業をする。実際には、具体的なバルブポジショナに適用した実験によれば、電流Iの通常の使用範囲が0−2.5mAである場合、+5mAまたは―5mAの高エネルギーの修復信号RFを電空変換手段16へ出力させる。
【0015】
具体的なバルブポジショナに適用した実験によれば、ヒステリシス特性がマイナス側にずれた時に、―5mAの高エネルギーの修復信号RFを出力させることにより、ヒステリシス特性は通常の特性20に修復され動作点はA点となる。
また、ヒステリシス特性がプラス側にずれた時に、+5mAの高エネルギーの修復信号RFを出力させることにより、ヒステリシス特性は通常の特性20に修復され動作点はA点となる。
【0016】
以上のことにより、本発明では交換作業が不用となり、保守作業が容易になる。
【0017】
上述の例では、作業員が修復信号RFを出力させる例であったが、これとは別に、バルブポジショナ自身が修復信号RFを出力させるようにしてもよい。この場合、作業員が現場へ出向く必要がなく、保守作業が容易になる。
また、制御演算及び修復演算のアルゴリズムは、CPU等を用いてはソフトウエアで実現され、開発効率は向上する。
【0018】
また、この時の修復信号RFを調整弁12の動作に影響しない程度の微小時間のパルス信号で形成させると、系の安定性が向上する。
【0019】
更にまた、修復演算手段17は、修復信号RFの出力の後、所定の間、修復信号RFの出力を禁止するようにさせると、修復信号RFが短い周期で繰返し出力されることがなくなり、修復信号RFで修復できない故障時の安全性が高くなる。
【0020】
また、修復演算手段17は、入力信号SPまたは弁開度信号PVが所定の範囲でない場合は、修復信号RFの出力を禁止するようにすると、過渡変動時に修復信号RFが出力されず、定常動作時のみに修復信号RFが出力され、安定性が向上する。
【0021】
一方、上述の例では、制御信号MVが所定の範囲を超える場合に、修復信号RFを出力していたが、これとは別に、所定の周期で修復信号RFを出力するようにしてもよい。この場合、制御信号MVが制御可能な範囲を越えないよいうに予防することができる。
【0022】
また、修復演算手段17は、アンプによって増幅した修復信号RFを出力し、低インピーダンスで電空変換手段16を励起させるようにすると、ヒステリシス特性の修復が促進される。
【0023】
更にまた、修復信号RFを制御信号MVに重畳し、電空変換手段16に出力するようにすると、電空変換手段16の入力端の数が減る。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるバルブポジショナは、フィールド環境での長期間の使用、予期していない外乱、振動、温度変化によるヒステリシス特性の変化に対して、修復信号を前記電空変換手段に出力することで、交換作業が不用となり保守作業が容易できる。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブポジショナにおける実現例の構成を示したブロック図である。
【図2】従来のバルブポジショナの構成を示したブロック図である。
【図3】電空変換手段に固有なヒステリシス特性を示した図である。
【符号の説明】
11…制御演算手段、12…調整弁、15…位置センサ手段、16…電空変換手段、17…修復演算手段、SP…入力信号、MV…制御信号、PV…弁開度信号、RF…修復信号、10…動作点での電流がマイナス側にずれた特性曲線、20…通常の特性曲線、30…動作点での電流がプラス側にずれた特性曲線

Claims (1)

  1. 弁開度信号と入力信号との偏差に基づいて調整弁の弁開度位置を制御する制御信号を演算出力する制御演算手段と、前記制御信号に基づいて前記調整弁の駆動信号を送出する電空変換手段と、からなるバルブポジショナにおいて、
    前記制御信号が前記制御信号の制御可能な範囲を超える場合に、高エネルギーの修復信号を前記電空変換手段に出力する修復演算手段を備えた
    ことを特徴とするバルブポジショナ
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