JP3765371B2 - バルブポジショナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブポジショナに関し、特に、バルブポジショナの信号変換部に特有なヒステリシスを除去するように改善するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における、調整弁の弁開度を所定の信号に応じた値に制御するバルブポジショナにおいて、調整弁を制御するアルゴリズムの開発はその製品の性能を決めることになるので極めて重要である。
【0003】
以前にあっては、バルブポジショナは機械式のものが多いため、制御アルゴリズムはその機械機構によって決まり、圧倒的にP(比例)制御が多かった。逆に、P制御以外のアルゴリズムは、機械機構では実現できなかった。
【0004】
しかし、近年では、電子式のバルブポジショナが開発され、更には、CPU等の演算機能をバルブポジショナに搭載するようになった。このような演算機能を持つことにより、制御アルゴリズムをソフトウェアで実現できるため、ほぼ全ての方式の制御演算が可能になってきた。制御アルゴリズムは、P(Proportion;比例)制御からPID(Proportion IntegrateDifferential;比例、積分、微分)制御に発達してきた。この結果、調整弁の制御性は格段に向上した。
その一方、技術革新が進めば、市場の要求も更に厳しくなるのは当然であって、現在では、更に優れた制御性を持つポジショナが求められている。このような背景により、各ポジショナ・ベンダーでは、調整弁の制御アルゴリズムの開発が活発に進められている。採用されているアルゴリズムは、PID制御アルゴリズムが最もポピュラーであるが、このPID制御アルゴリズムだけでは調整弁が持っている非線形性を十分吸収することができないため、PID制御に種々の機能を付加することにより、調整弁の制御性を向上させようとしている。
【0005】
このようなPID動作機能を有するバルブポジショナは、図6に示すように、電気的な信号に基づいて空気流量を制御してバルブをコントロールする電空ポジショナであり、調整弁12の弁開度目標値を設定する入力信号SPを入力し、かつこの入力信号SPと調整弁12の弁開度のフィードバック信号である弁開度信号PVに基づいて制御信号MVを演算出力する制御演算部11と、この制御演算部11からの制御信号MVに基づいて空気圧を制御するI/Pモジュール13と、I/Pモジュール13の信号により調整弁12に供給する空気流量を制御するパイロット・リレー14と、パイロット・リレー14からの空気流量によりステムを変位させて流体を制御する調整弁12と、調整弁12のステム変位を検出する弁開度位置センサ15とから構成される。
このうち、I/Pモジュール13とパイロット・リレー14とで電空変換部16を構成する。
【0006】
このような構成からなるバルブポジショナの最も一般的なディジタルPID制御の演算アルゴリズムは下記の式のようになる。
【0007】
P(n)=SP(n)−PV(n)
I(n)=Δt/Ti*P(n)+I(n−1)
D(n)=Td/(Δt+I/γ*Td)*(P(n−1)−P(n)+1/γ*D(n−1)
MV(n)=Kp*(P(n)+I(n)+D(n))
ここで、SP;目標値(入力信号),PV(n);弁開度信号(調整弁のフィードバック信号),P(n);比例器,I(n);積分器,D(n);微分器,MV(n);制御信号,Δt;制御周期,Ti;積分時間,Td;微分時間,γ;微分ゲイン,Kp;比例ゲインである
【0008】
このようなPID制御アルゴリズムは、図7のブロック図で示すことができ、バルブポジショナのPID制御アルゴリズムの動作は、比例器(P)、積分器(I)、微分器(D)から構成され、制御信号MVはP,I,Dの値を加算した値に、比例ゲインKpを乗算して得られる。
【0009】
比例器(P)は、バルブポジショナの入力信号SPと、調整弁12の弁開度を弁開度位置センサ15で検出してA/D変換器でディジタル値に変換した弁開度信号PVの値との差、即ち、偏差値で表す。
【0010】
積分器(I)は、積分時間Tiで設定されるパラメータで決まる値で偏差値を積分するものである。
【0011】
微分器(D)は、微分時間Td、微分ゲインγで設定されるパラメータで決まる値で偏差値を微分するものである。
最終的な、制御信号MVは、比例器(P)、積分器(I)、微分器(D)の値を加算したものに対し、比例ゲインKpを乗算した値で算出する。
【0012】
図6に戻り、ここに示す制御演算部11は、弁開度信号PVを入力信号SPに高速かつ正確にトラッキングさせるため、上述のような演算を行って制御信号MVを求めている。例えば、入力信号SPと弁開度信号PVとに差がある場合は、制御演算部11は弁開度信号PVと入力信号SPを近づける方向に制御信号MVの値を変化する。また、入力信号SPと弁開度信号PVに差がない場合は、制御信号MVの値は変化しない。
【0013】
このようなPID制御アルゴリズムは、単純であるため、本質的に優れているが、制御対象に非線形性が存在する場合、制御性が著しく悪化する場合がある。ここで、制御演算部11によって制御対象となるものは、制御信号MVの値が供給される電空変換部16から調整弁12までを指す。
【0014】
次に、具体的な制御対象で発生する非線形性現象について説明する。図6に示すような調整弁12とバルブポジショナの閉じたループにあって、制御演算部11から調整弁12の間にはさまざまな信号変換機構部分が存在し、これらの変換機構の入出力特性にはヒステリシス特性が存在する。
ここでは、特に、制御演算部11で演算した制御信号MVをD/A変換した信号を受け、空気信号に変換するI/Pモジュール13のヒステリシス特性を対象とする。
I/Pモジュール13は、通常、ノズル−フラッパ機構でノズル背圧を空気信号として出力し、ノズル−フラッパの位置関係を変化させる駆動部には電磁アクチュエータが使用される。電磁アクチュエータは、流れる電流に比例した電磁力を発生し、その電磁力でフラッパを駆動するものである。ここで、電磁アクチュエータが発生する電磁力には、電磁アクチュエータの磁性材が有するB−Hカーブにより引き起こされるヒステリシスが存在し、このヒステリシス幅は、電磁アクチュエータに入力される電流信号の履歴に大きく依存する。つまり、I/Pモジュール13に入力される電流信号の基礎となる制御信号MVと、I/Pモジュール13の出力信号であるノズル背圧との関係にあって、制御信号MVの履歴に大きく依存したヒステリシスが存在する。
【0015】
図8は制御信号MVによる入力電流とノズル背圧との関係において発生するヒステリシスを示したものであり、バルブポジショナの性質から供給される電気的なパワーは少ないので、電空変換機構は小さい信号で大きな空気圧の変化、つまり高変換ゲインが求められる。また、耐環境性、耐外乱性、更に電空変換機構の出力を受けて空気流量の振幅を行うパイロット・リレーの流量ゲインを確保するための操作マージン等を考慮すると、実際の制御限界スパンに対して、静的な動作スパンは非常に小さく設計されている。
【0016】
このようなゲイン配分になっているため、静的スパンに対して、フラッパの変化は非常に少ない。ポジショナに10〜90%応答など大きなステップ変化が与えられた場合は、制御信号MVは一旦飽和した後、静的スパンのどこかでバランスするので、電磁アクチュエータが持つB−Hカーブのヒステリシスは、制御信号MVが最大に変化した場合、静的スパンに対し数100%相対的に大きくなる。つまり、制御信号MVの値とノズル背圧間に発生するヒステリシスは、静的な制御信号MVのスパンに対して数100%相対的に大きくなる。
【0017】
【発明が解決するための課題】
しかしながら、電空変換機構を使用した場合、電空変換機構で生じるヒステリシスは、調整弁の弁開度制御において、制御ループのループゲイン分の1となり、定常偏差として現れる。例えば、ループゲインが100倍であったしても、その定常偏差の値は、最大数パーセントとして現れる。この偏差を除去するには、PID制御機能を有する制御演算部の積分器で補償するしかない。定常偏差を補償し、ステムを目標値まで素早く持っていくには、積分時間を短くすればよいが、通常積分器の積分時間は系の安定性を考慮すると極端に短くできないので、積分器でヒステリシスを戻す間は、調整弁のステムはゆっくりと目標値に近づき整定性が悪くなるという問題がある。
また、ステップ応答等で行き過ぎが生じると制御演算部はこれを戻そうとするための制御演算を行うが、ここでもヒステリシスが生じ、戻すためには長い時間が必要となる。
また、ヒステリシスが大きくかつ遅れ時間が長い系になると最悪の場合行き過ぎを戻す際に、更に逆方向に行き過ぎが生じ、これを繰り返す発振現象を起こす場合がある。
この現象を従来のPIDで解決するには、比例ゲインを極端に下げ、積分時間を極端に長く設定するしかなく、この調整は調整弁の応答特性を著しく悪化させるという問題もある。
【0018】
従って、制御対象が持つヒステリシス、例えば、I/Pモジュールが持つ、磁性材のB−Hカーブ等のヒステリシスを低減する機能を制御演算部に適宜加えることができる点に課題を有するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本願発明は、次の通りである。
(1)調整弁(12)の弁開度の目標値を設定する入力信号SPを受信する受信手段と、前記弁開度を検出する弁開度位置センサ(15)と、前記弁開度位置センサ(15)で作成された弁開度信号PVと前記入力信号SPとの偏差に基づいて弁開度位置を制御する制御信号MVを演算出力する制御演算部(11)と、前記制御信号MVに基づいて前記調整弁(12)の駆動信号を送出する電空変換部(16)とからなるバルブポジショナであって、前記制御演算(11)は、前記弁開度信号PVと前記目標値との間に一定値以上の偏差が生じた際に、前記制御信号MVの履歴にかかわらず、前記制御信号MVの最終目標値で整定する方向同一方向になるようなヒステリシス除去信号(HR)を前記制御信号MV常に重畳し、前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記調整弁(12)のステムが整定する前に、前記電空変換部(16)における空気圧が影響しない程の短い電流変化であることを特徴とするバルブポジショナ。
(2)調整弁(12)の弁開度の目標値を設定する入力信号SPを受信する受信手段と、前記弁開度を検出する弁開度位置センサ(15)と、前記弁開度位置センサ(15)で作成された弁開度信号PVと前記入力信号SPとの偏差に基づいて弁開度位置を制御する制御信号MVを演算出力する制御演算部(11)と、前記制御信号MVに基づいて前記調整弁(12)の駆動信号を送出する電空変換部(16)とからなるバルブポジショナであって、前記入力信号SPの変化を検出してこの変化検出の時点から前記制御信号MVの履歴を観測してヒステリシス除去信号(HR)を演算し、前記入力信号SPと前記弁開度信号(PVとの偏差に基づいて前記ヒステリシス除去信号(HR)を前記制御信号MVに重畳するか否かを判定する判断手段を有し、前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記調整弁(12)のステムが整定する前に、前記電空変換部(16)における空気圧が影響しない程の短い電流変化であることを特徴とするバルブポジショナ。
(3)前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記制御信号(MV)が整定する前に重畳され、給気側に出力圧が変化しない程度の短いパルス信号であることを特徴とする(1)または(2)記載のバルブポジショナ。
(4)前記制御演算部(11)の制御演算において、前記入力信号(SP)の変化が排気方向であるかどうかを検出するステップ(ST110)、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きいか否かを検出するステップ(ST120)、前記入力信号(SP)の変化が排気方向であり、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きい場合に、フラグをセットし、前記ヒステリシス除去信号(HR)を演算するステップ(ST130)、前記偏差が設定値よりも小さいいか否かを判定するステップ(ST140)、前記偏差が設定値よりも小さい場合に前記ヒステリシス除去信号(HR)を出力し、前記フラグをリセットするステップ(ST160)、を備えることを特徴とする(3)記載のバルブポジショナ。
(5)前記入力信号(SP)の変化が排気方向でない場合、または、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きくない場合であって、前記フラグがセットされていて、前記偏差が設定値よりも小さい場合に、前記ヒステリシス除去信号(HR)を出力し、前記フラグをリセットするステップ(ST150)を備えることを特徴とする請求項4記載のバルブポジショナ。
【0020】
このように、制御対象特有のヒステリシスを考慮し、このヒステリシスを低減する一定の操作量を予め演算しておき、弁開度信号PVと目標値または入力信号SPとの偏差に基づいて、予め演算しておいた操作量を、制御信号MVに重畳させるようにしたことにより、ヒステリシスの削減又は縮小させることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかるバルブポジショナの実施例について図面を参照して説明する。尚、従来技術で説明したものと同じものには、同一符号を付けて説明する。
【0022】
本発明に係る第1の実施例であるバルブポジショナは、基本的には図6で説明した構成と同じであり、その調整弁特有のヒステリシスを低減する方式に特徴を有するものである。従って、従来技術で説明した図6及び図7はそのまま引用する。
【0023】
電空変換部(電空変換手段)16におけるI/Pモジュール13のヒステリシスは、図1に示すように、制御信号MVの履歴に対してノズル背圧への影響が大きい、磁性材のB−Hカーブによるヒステリシスである。このヒステリシスは、初期値(A点)から電磁アクチュエータに与える電流を飽和させ、初期値と同じノズル背圧に戻す場合、入力される電流の変化量に応じるものである。その後、逆側に電流を飽和させ、初期値と同じノズル背圧に戻す場合、初期値の電流に戻る。このように、磁性材のB−Hカーブの特性は、制御信号MVの履歴が大きな影響を及ぼす。
【0024】
このように、制御信号MVがD/A変換された信号である入力電流信号変化の履歴でヒステリシスが生じるので、ステップ応答などで、電流が大きく変化した場合、ステムが整定する前に、空気圧が影響しない程の短い電流変化を、逆側に適切な量だけ入力させることにより、電磁アクチュエータの磁気回路は、常に、同じ履歴を通って出力信号を整定させることができるので、ヒステリシスの発生を大幅に低減することができる。
【0025】
つまり、図2に示すように、ステップ応答等で入力信号SPの値が排気側に変化した場合、制御信号MVの初期値はA点であるが、ステップ入力直後は、入力信号SPと弁開度信号PVの偏差が大きいので、制御演算部11はバルブから空気を排気する方向B点に向かって制御信号MVを大きく変化させる。
制御信号MVの変化に伴い、弁開度信号PVは入力信号SPに近づくので、偏差は減少し、この偏差に比例して制御信号MVはC点に近づく。
ここで、制御信号MVがC点で整定する前に、給気側に出力圧が変化しない程度の短い周期のパルス信号(ヒステリシス除去信号)をD点にて制御信号MVに重畳させ、制御信号をA点付近に整定させることにより、ヒステリシスを減少させることができる。
給気側のステップ入力が与えられた場合、制御信号MVはD点に変化し、A点付近に戻ってくるので問題はない。このように、排気側に制御信号MVが変化したとき、制御信号MVにヒステリシス除去信号を給気側に与えることにより、常に同じ方向から制御信号MVは整正するので、ヒステリシスを減少させることができる。
【0026】
図3(A),(B),(C)は、入力信号SPと弁開度信号PVの推移、偏差の推移、制御信号MVに重畳させるヒステリシス除去信号HRを示す図である。
入力信号SPが変化して、偏差が設定値を超えた場合(図の下方向に偏差が変化した場合)、制御信号MVの履歴を観測し、弁開度信号PVが入力信号SPに近づき、偏差が設定値よりも小さくなったとき、観測した制御信号MVの履歴からヒステリシス除去信号HRを計算し、制御信号MVに重畳させる。
これにより、応答特性には影響を与えず、I/Pモジュール13のヒステリシスのみを除去することができる。
【0027】
このように偏差値に基づいたヒステリシスだけを除去する手法について図3を参照し、図4に示すフローチャートを参照して以下、更に詳細に説明する。
【0028】
まず、制御演算部11の制御演算において、入力値の変化が排気方向であるかどうかを検出する。入力値の変化が排気方向の場合は入力値の変化幅が設定値よりも大きいか否かを検出する(ステップST100,ST110)。
【0029】
入力値の変化幅が設定値よりも大きい場合には、フラグをセットしヒステリシス除去信号HRの演算をする(ステップST120,ST130)。偏差が設定値よりも小さい場合には、演算したヒステリシス除去信号HRを出力しフラグをリセットする(ステップST140,ST150)。
【0030】
ステップST110に戻って、入力値の変化が排気方向でない場合には、フラグがセットされていて、偏差が設定値よりも小さい場合には演算したヒステリシス除去信号HRを出力してフラグをリセットする(ステップST160,ST140,ST150)。
【0031】
このようにして、入力信号SPと弁開度信号PVを利用してヒステリシスを少なくする方向に制御することができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施例について、図5を参照して説明する。
【0033】
第2の実施例は、弁開度信号PVと入力信号SPとの偏差に基づいて高次の演算手段により得られた信号を制御信号MVに供給するようにしたことである。
【0034】
上述した第1の実施例であるバルブポジショナと同様に、調整弁の空気アクチュエータの容量が大きく、かつヒステリシスが大きい場合、系を安定させるために、比例ゲインKp(図7参照)を下げ、かつ積分器(I)の積分時間を長く設定しなければならない場合がある。このような場合、偏差に対して制御信号MVのゲインが下がっているので、応答性が悪化する。しかし、応答特性を改善しようとすると、系が安定しないので応答特性と安定性とのトレードオフが要求される。この解決法としては、偏差が大きい時は応答特性の改善の為、高ゲインが必要になり、偏差が小さい時は安定性確保の為、低ゲインを実現すればよい。
【0035】
従って、入力信号SPと弁開度信号PVの偏差により、ゲインが変化する演算器を別途追加すればよいことになる。即ち、偏差に対して高次の演算器を設ければ良い。この演算器を高次器と呼びH(Highorder)で表す。具体的には、偏差を二乗した演算器である。偏差を二乗すると極性がなくなるので、極性を考慮した高次器とする。また、高次器Hのゲインは比例ゲインKpとは連動させないように、独自の比例ゲインαとすると高次器Hは次の式で表すことができる。
高次器H=偏差×|偏差|×α
【0036】
従って、制御演算部における制御信号MVは次の式で表すことができる。
制御信号MV=Kp×(P+I+D)+H
【0037】
この積分器Iと微分器Dのような、時間で決まる演算の影響を除いた偏差ゲインは、図5及び次の式で表すことができる。
制御信号MV=Kp×P+P×|P|×α
【0038】
このように、偏差が少ない時は、制御信号MVのゲインは少ないが、偏差が大きくなると制御信号MVのゲインは上がる。従って、ヒステリシスが大きく調整弁の容量が大きい場合、系の安定性のため比例ゲインを上げられない場合でも応答特性が良い制御が実現できる。もちろん偏差の二乗だけでなく、n乗(nは整数)でも良い。また、nが奇数の場合には極性を考慮しなくとも良い。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるバルブポジショナは、ステップ入力等で、操作量MVが大きく変化した時に、変化した方向と逆方向に磁性材のB−Hカーブにより生じるヒステリシスを低減するに足る大きさでかつポジショナの出力圧に大きな影響を与えないような短い信号を電空変換機構に与えることにより、電空変換機構で発生するヒステりシスを低減することができ、良好な制御性を得ることができるという効果がある。
【0040】
また、入力信号SPと弁開度信号PVとの偏差に基づいた高次演算された信号を制御信号MVに加えるようにしたことにより、偏差が小さい時はゲインが低く、制御量が必要な偏差が大きな場合はゲインが高くできることにより、安定性、即応性の両方を満たした優れた制御性を実現できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第1の実施例のバルブポジショナのヒステリシスを減少させた時の制御信号の入力電流とノズル背圧との関係を示したグラフである。
【図2】同制御信号の入力電流とノズル背圧との関係においてヒステリシスを減少させるようすを示したグラフである。
【図3】同制御信号MVと入力信号SPとから設定した設定値に基づいてヒステリシス除去信号を発生させるためのタイミングチャートである。
【図4】同制御信号に重畳させるヒステリシス除去信号を発生させるためのフローチャートである。
【図5】本願発明に係る第2の実施の形態におけるバルブポジショナにおける高次器における制御信号MVの信号を示したグラフである。
【図6】バルブポジショナの略示的な構成を示したブロック図である。
【図7】PID制御器を示した略示的なブロック図である。
【図8】従来における制御信号MVとノズル背圧との間で発生するヒステリシスを示したグラフである。
【符号の説明】
11 制御演算部
12 調整弁
13 入力モジュール
14 パイロットリレー
15 弁開度位置センサ
16 電空変換部(電空変換手段)
SP 入力信号
PV 弁開度信号
MV 制御信号
I 積分器
P 比例器
D 微分器
Kp 比例ゲイン

Claims (5)

  1. 調整弁(12)の弁開度の目標値を設定する入力信号SPを受信する受信手段と、前記弁開度を検出する弁開度位置センサ(15)と、前記弁開度位置センサ(15)で作成された弁開度信号PVと前記入力信号SPとの偏差に基づいて弁開度位置を制御する制御信号MVを演算出力する制御演算部(11)と、前記制御信号MVに基づいて前記調整弁(12)の駆動信号を送出する電空変換部(16)とからなるバルブポジショナであって、
    前記制御演算(11)は、前記弁開度信号PVと前記目標値との間に一定値以上の偏差が生じた際に、前記制御信号MVの履歴にかかわらず、前記制御信号MVの最終目標値で整定する方向同一方向になるようなヒステリシス除去信号(HR)を前記制御信号MV常に重畳し
    前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記調整弁(12)のステムが整定する前に、前記電空変換部(16)における空気圧が影響しない程の短い電流変化である
    ことを特徴とするバルブポジショナ。
  2. 調整弁(12)の弁開度の目標値を設定する入力信号SPを受信する受信手段と、前記弁開度を検出する弁開度位置センサ(15)と、前記弁開度位置センサ(15)で作成された弁開度信号PVと前記入力信号SPとの偏差に基づいて弁開度位置を制御する制御信号MVを演算出力する制御演算部(11)と、前記制御信号MVに基づいて前記調整弁(12)の駆動信号を送出する電空変換部(16)とからなるバルブポジショナであって、
    前記入力信号SPの変化を検出してこの変化検出の時点から前記制御信号MVの履歴を観測してヒステリシス除去信号(HR)を演算し、前記入力信号SPと前記弁開度信号(PVとの偏差に基づいて前記ヒステリシス除去信号(HR)を前記制御信号MVに重畳するか否かを判定する判断手段を有し
    前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記調整弁(12)のステムが整定する前に、前記電空変換部(16)における空気圧が影響しない程の短い電流変化である
    ことを特徴とするバルブポジショナ。
  3. 前記ヒステリシス除去信号(HR)は、前記制御信号(MV)が整定する前に重畳され、給気側に出力圧が変化しない程度の短いパルス信号である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のバルブポジショナ。
  4. 前記制御演算部(11)の制御演算において、前記入力信号(SP)の変化が排気方向であるかどうかを検出するステップ(ST110)、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きいか否かを検出するステップ(ST120)、前記入力信号(SP)の変化が排気方向であり、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きい場合に、フラグをセットし、前記ヒステリシス除去信号(HR)を演算するステップ(ST130)、前記偏差が設定値よりも小さいいか否かを判定するステップ(ST140)、前記偏差が設定値よりも小さい場合に前記ヒステリシス除去信号(HR)を出力し、前記フラグをリセットするステップ(ST160)、を備える
    ことを特徴とする請求項3記載のバルブポジショナ。
  5. 前記入力信号(SP)の変化が排気方向でない場合、または、前記入力信号(SP)の変化幅が設定値よりも大きくない場合であって、前記フラグがセットされていて、前記偏差が設定値よりも小さい場合に、前記ヒステリシス除去信号(HR)を出力し、前記フラグをリセットするステップ(ST150)を備える
    ことを特徴とする請求項4記載のバルブポジショナ。
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