JP3885876B2 - 車両操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体に対して変位可能に設けられて車両の運転を操作するために運転者により操作される操作部材を備えた車両操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、特開平11−192960号公報に開示されているように、ジョイスティックを用いて、その操作位置に応じて車両の操舵および加減速操作を行う車両がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなジョイスティックを用いた車両においては、操作性を良くするために、運転者によるジョイスティックの操作に対して、ジョイスティックを中立位置に戻そうとする反力がジョイスティックに付与される。したがって、運転者がジョイスティックから手を放すとジョイスティクは中立位置に復帰してしまう。このため、例えば、坂道等の傾斜路面で、ジョイスティックを制動操作することによって車両を停止させても、運転者がジョイスティックから手を放すとジョイスティックは中立位置に復帰し、車両はその坂道の下方に向かって移動してしまうという問題がある。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、車両速度が所定値以下になった場合には、自動的にまたは運転者の操作により操作部材が車両を停止させる方向に移動し、かつその状態を維持させて車両を停止状態にすることのできる車両操作装置を提供することである。
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる車両操作装置の構成上の特徴は、車両の速度を検出する車両速度検出手段と、車体に対して変位可能に設けられて運転者により操作される操作部材と、操作部材の変位位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段が検出する操作部材の位置が、中立位置から前後方向に変位するにしたがって車両を加速・制動させる出力発生手段と、電動モータを備え位置検出手段が検出する操作部材の前後方向の変位位置に応じて電動モータを作動させて操作部材に対して反力を付与する反力発生手段と、車両速度検出手段が検出する車両速度が所定値以下になると、出力発生手段を制御して車両を停止させるとともに、反力発生手段の電動モータを制御して、操作部材を、車両を停止させる方向に移動させ、かつ、その位置に操作部材を維持させ車両を停止状態に維持する停止制御手段とを備えたことにある。
【0006】
前記のように構成した本発明の車両操作装置によれば、車両速度が所定値以下、すなわち車両が停止状態になろうとしているか、または停止したときに、停止制御手段が反力発生手段を制御することにより、操作部材が自動的に車両を停止(制動)させる方向に移動し、かつその状態を維持するようになっている。この場合、停止制御手段が、出力発生手段を制御することによって車両を停止させるとともに、反力発生手段を制御することによってその停止状態に応じた位置に操作部材を移動させることもできる。したがって、水平路面で車両を停止させた場合は言うまでも無く、坂道等の傾斜路面で車両を停止させた場合でも自動的に車両は停止状態になり、安全性が確保できるようになる。また、運転者が、車両を停止状態にするための操作をする必要がなくなり、車両操作の簡易化が図れる。
【0007】
また、本発明にかかる車両操作装置の他の構成上の特徴は、車両の速度を検出する車両速度検出手段と、車体に対して変位可能に設けられて運転者により操作される操作部材と、操作部材の変位位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段が検出する操作部材の位置が、中立位置から前後方向に変位するにしたがって車両を加速・制動させる出力発生手段と、電動モータを備え位置検出手段が検出する操作部材の前後方向の変位位置に応じて電動モータを作動させて操作部材に対して反力を付与する反力発生手段と、車両速度検出手段が検出する車両速度が所定値以下のときに、車両を停止させる方向に操作部材を移動させると、反力発生手段の電動モータを制御して、その位置に操作部材を維持させて車両を停止状態にする停止制御手段とを備えたことにある。
【0008】
これによると、車両速度が所定値以下になったときに、運転者が車両を停止させる方向に操作部材を移動させると、停止制御手段が反力発生手段を制御することにより、操作部材がその制動方向への変位状態を維持して車両が停止状態になる。これによっても、安全性の向上と操作の簡易化が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による車両操作装置の一実施形態を図面を用いて説明する。この車両操作装置は、図1に示した操作部材としての操作レバー(ジョイスティック)10を備えている。操作レバー10は、車両の運転席近傍に設けられ、図1に矢印で示したように、運転者の操作により全体を前後方向および左右方向に傾動(回動)される。
【0010】
図2は、操作レバー10を含む操作レバー装置の概略斜視図を示している。操作レバー10は、円柱棒状のロッド10aと、ロッド10aの上部外周に固定された円柱状の把持部10bとを備えており、ロッド10aは、略中央部に球状部10cを備えて、この球状部10cによって車体に対して左右および前後方向に回動可能に支持されている。そして、操作レバー10の把持部10bには、把持部10bを運転者が握ったときに、運転者の手が接触する部分に感圧センサ11が設けられている。この感圧センサ11による手の検出により、運転者が把持部10bを握って操作レバー10を操作しているか、運転者が把持部10bを放しているかを判定できるようになっている。
【0011】
また、操作レバー装置は、操作レバー10の車両前後方向の傾動に対する反力(中立位置から車両前後方向に傾動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する反力発生手段としての前後方向反力発生機構20を備えている。この前後方向反力発生機構20は、ガイドプレート21、回転軸22、第1歯車23、第2歯車24、前後反力用の電動モータ25および位置検出手段としての操作位置センサ26を備えている。
【0012】
ガイドプレート21は、L字状に屈曲された板状体からなり、回転軸22に固定された面が鉛直面になるように配置され、水平方向に配置される面に車両左右方向に長手方向を有する溝21aが設けられている。そして、水平方向の面は鉛直面の下端に位置するように配置され、その溝21a内をロッド10aの下部側部分が移動可能な状態で貫通している。回転軸22は、その軸線が車両左右方向に沿うとともに、操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持され、中央部に第1歯車23を一体的に備えている。この第1歯車23は電動モータ25の回転軸に固定された第2歯車24に噛合している。
【0013】
操作位置センサ26は、回転軸22の端部位置において車体側に固定され、回転軸22の回転角を操作レバー10の前後方向の操作位置として検出する。この操作位置センサ26の出力である操作位置の値は、操作レバー10が前後方向の中立位置にあるときに「0」となるように調整されている。
【0014】
さらに、操作レバー装置は、操作レバー10の車両左右方向の傾動に抗する反力(中立位置から車両左右方向に傾動させようとする運転者の操作力に抗する力)を発生する左右方向反力発生機構30も備えている。この左右方向反力発生機構30は、ガイドプレート31、回転軸32、第3歯車33、第4歯車34、前後反力用の電動モータ35、および操作位置センサ36を備えており、前後方向反力発生機構20とは、球状部10cを中心として水平面上で90度角度を変えた位置に配置されている。
【0015】
ガイドプレート31は、ガイドプレート21と同様、L字状に屈曲された板状体からなり、回転軸32に固定された面が鉛直面になるように配置され、水平方向に配置される面に、車両前後方向に長手方向を有する溝31aが設けられている。そして、水平方向の面は鉛直面の上端に位置するように配置され、その溝31a内をロッド10aが移動可能な状態で貫通している。また、回転軸32は、その軸線が車両前後方向に沿うとともに、操作レバー10の球状部10cの中心を通るように車体に対して回転可能に支持され、中央部に第3歯車33を一体的に備えている。この第3歯車33は電動モータ35の回転軸に固定された第4歯車34に噛合している。
【0016】
操作位置センサ36は、回転軸32の端部位置において車体側に固定され、回転軸32の回転角を操作レバー10の左右方向の操作位置として検出する。この操作位置センサ36の出力である操作位置の値は、操作レバー10が左右方向の中立位置にあるときに「0」となるように調整されている。
【0017】
つぎに、車両操作装置の電気制御部について、図3を用いて説明する。この電気制御部40は、前述した感圧センサ11および操作位置センサ26,36に加えて、車速センサ41、傾斜センサ42を備えている。車速センサ41は車両の前後方向の速度を検出し、傾斜センサ42は車両前後の傾きから道路の傾斜角度を検出する。各センサ11,26,36,41,42は、電気制御装置43に接続されている。
【0018】
電気制御装置43は、CPU43a、ROM43b、RAM43cなどを有するマイクロコンピュータによって構成され、車速センサ41,傾斜センサ42および操作位置センサ26が検出する検出値に基づいて前後方向反力発生機構20,エンジン制御装置44およびブレーキ制御装置45を制御する。また、操作位置センサ36が検出する検出値に基づいてステアリング制御装置46および左右方向反力発生機構30を制御する。
【0019】
エンジン制御装置44は、操作位置センサ26が検出する操作レバー10の操作位置に基づいて電気制御装置43によって制御され、スロットル開度を制御するスロットルアクチュエータ47を駆動させることによって車両を加速制御する。操作レバー10は、車両の前後方向において、その中立位置を境に後方に変位するに従って車両の加速度を大きくし、中立位置側に変位するに従って車両の加速度を小さくするように設定され、中立位置においては、加速度を「0」にするように設定されている。
【0020】
したがって、運転者の操作により、操作レバー10が中立位置よりも後方の部分で前後方向に変位すると、その操作位置を操作位置センサ26が検出し、その操作位置に応じた信号が電気制御装置43に送信され、電気制御装置43は、エンジン制御装置44に、スロットルを開成するための制御信号を出力する。そして、エンジン制御装置44がスロットルアクチュエータ47を制御することにより、操作レバー10の操作位置に応じて車両は前進走行を加減速する。
【0021】
ブレーキ制御装置45は、操作位置センサ26が検出する操作レバー10の操作位置または車速センサ41が検出する車両速度に基づいて電気制御装置43によって制御され、車両に制動力を付与するブレーキアクチュエータ48を駆動させる。操作レバー10は、車両の前後方向において、その中立位置を境に前方に変位するに従って車両の制動力を大きくし、中立位置側に変位するに従って車両の制動力を小さくするように設定され、中立位置においては、制動力を「0」にするように設定されている。
【0022】
したがって、運転者の操作により、操作レバー10が中立位置よりも前方の部分で前後方向に変位すると、その操作位置を操作位置センサ26が検出し、その操作位置に応じた信号が電気制御装置43に送信され、電気制御装置43は、演算処理によって操作位置に応じた制動力の値を算出し、その制御信号をブレーキ制御装置45に出力する。そして、ブレーキ制御装置45がブレーキアクチュエータ48を制御することにより、操作レバー10の操作位置に応じて車両は前進走行を制動する。
【0023】
また、車両が停止状態に入ろうとして車両速度が所定値以下になると、その車両速度を車速センサ41が検出し、その検出値に応じた信号が電気制御装置43に送信される。そして、電気制御装置43が、車両が停止状態に入ろうとしていると判定すると、ブレーキ制御装置45を制御して車両を停止状態にする。この場合の制動力は、傾斜センサ42が検出する傾斜角度や感圧センサ11が検出する手の有無によって適宜変更される。なお、エンジン制御装置44とブレーキ制御装置45とで、本発明の出力発生手段が構成される。
【0024】
ステアリング制御装置46は、運転者による操作レバー10の操作に従った車体左右方向の変位量により操舵アクチュエータ49を駆動して車両を左右に操舵する。すなわち、電気制御装置43は、操作位置センサ36からの操作レバー10の左右方向の変位位置を入力して、この入力した変位位置に対応した操舵角を計算する。この操舵角は、操作レバー10の変位位置が中立位置であるとき「0」に設定され、操作レバー10が、その中立位置を境に車両右側に変位するに従って操舵角が右側に大きくなり、中立位置を境に車両左側に変位するに従って操舵角が左側に大きくなるように設定されている。そして、電気制御装置43は、算出した操舵制御信号をステアリング制御装置46に出力し、テアリング制御装置46は、この操舵制御信号に応じて操舵アクチュエータ49を制御することにより車両を左右方向に操舵する。
【0025】
つぎに、以上のように構成した電気制御部40を備えた車両操作装置において、走行する車両を停止させるときの動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。図4は、図3に示した電気制御装置43のCPU43aが実行するプログラムを示したものであり、このプログラムは、電気制御装置43に備わったメモリのROM43bに記憶されており、運転者の操作によりイグニッションスイッチがオン状態にされたのちに、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。
【0026】
まず、プログラムは、ステップS100において開始され、CPU43aは、ステップS102において、車速センサ41によって検出された車両速度Vを入力する。ついで、ステップS104に進み、ステップS104において、車速センサ41が検出した車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かが判定される。所定値αは車両の通常の走行速度と比較すると極めて小さな値に設定され、車両速度Vが、この所定値α以下であれば、車両は停止状態に入る寸前であると判定できる閾値である。
【0027】
ここで、車両は、制動されて停止状態に入ろうとしているときで、車両速度Vが所定値αよりも小さいとすると、ステップS104において「YES」と判定して、ステップS106に進む。そして、ステップS106において、車両が停止する場所(路面)の傾斜角θを入力する。この入力値は、傾斜センサ42が検出する車両前後の傾斜角度に基づくものである。ついで、ステップS108に進んで、入力された傾斜角θから、その傾斜角θに応じた制動力(ブレーキ量)Bを決定する。
【0028】
この制動力Bは、図5に示したグラフから求めることができ、図5は、傾斜角θと、その傾斜角θの路面に車両を停止させるために必要な制動力Bを求めてマップ化したものである。この傾斜角θと制動力BのマップはROM43bに予め記憶されている。図5の横軸に示した傾斜角θは、傾斜角θがプラス側に大きくなるにしたがって、車両は傾斜面の上方側を向いてその傾斜角度が大きくなることを示し、傾斜角θがマイナス側に小さくなるにしたがって、車両は傾斜面の下方側を向いてその傾斜角度(絶対値)が大きくなることを示している。なお、車両が停止する位置が水平面であれば、制動力Bが「0」でも車両は停止状態を維持できるが、安全性を考慮して、この場合でも、小さな制動力Bが発生するように設定される。
【0029】
つぎに、ステップS110において、制動力Bに対応する操作レバー10の位置Xを決定する。この位置Xは、図6に示した操作レバー10の位置Xと制動力Bとの関係から求めることができ、位置Xは制動力Bと略比例関係にある。図6は、操作レバー10の位置Xに対応する制動力Bを求めてマップ化したもので、このマップはROM43bに予め記憶されている。ついで、ステップS112において、操作レバー10を位置Xに変位させるために操作レバー10に付与する反力Fを決定する。反力Fは、図7に示した操作レバー10の位置Xと反力との関係から求めることができ、反力Fは、位置Xが小さいときには位置Xと略比例関係になり、位置Xが大きくなるとそれ以上に大きくなるように設定されている。図7は、操作レバー10の位置Xに対応する反力Fを求めてマップ化したもので、このマップはROM43bに予め記憶されている。
【0030】
そして、ステップS114に進み、ステップS114において、反力Fの出力が行われる。この反力Fの出力は、電気制御装置43の制御によって前後方向反力発生機構20の電動モータ25が駆動することによって行われ、この出力によって、操作レバー10は位置Xに移動する。つぎに、ステップS116において、制動力Bの出力が行われる。この制動力Bの出力は、操作レバー10の位置Xを検出する操作位置センサ26の検出値、またはステップS108の処理で求めた制動力Bの値に基づいて、電気制御装置43がブレーキ制御装置45を制御することによって行われ、これによって、ブレーキ制御装置45がブレーキアクチュエータ48を駆動させ、車両に制動力Bが付与される。これによって、車両は、傾斜角θの路面に停車するために必要な制動力Bが付与されて停止する。
【0031】
そして、プログラムは、ステップS118に進み、ステップS118において操作レバー10が車両を加速させる方向に操作されていないか否かが判定される。ここで、操作レバー10が操作されていなければ「YES」と判定してステップS120に進み、プログラムは一旦終了する。
【0032】
所定時間後、ステップS100からプログラムの実行を再び開始し、CPU43aは、ステップS102において車速センサ41により検出した車両速度Vを入力したのち、ステップS104に進み、車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かを判定する。車両速度Vが所定値αよりもまだ小さければ、ステップS104において「YES」と判定してステップS106に進み、以下、前述したステップS106〜S116の処理を行う。そして、ステップS118において操作レバー10が加速側に操作されていないか否かが判定される。ここで、「YES」と判定すると、プログラムはステップS120に進んで終了する。
【0033】
また、繰り返しプログラムを実行しても、ステップS104において「YES」と判定し、ステップS118において「YES」と判定する限り、CPU43aは、前述したステップS100〜S120の処理を繰り返し、その間車両は停止状態に維持される。そして、運転者が操作レバー10を操作することにより操作レバー10が車両を加速させる方向に移動して、ステップS118において「NO」と判定すると、ステップS122において操作位置センサ26が検出する操作レバー10の位置Xを入力する。つぎに、ステップS124において、変位した操作レバー10の位置Xに応じた出力を車両に対して行ったのち、プログラムは、ステップS120に進んで一旦終了する。
【0034】
再度、プログラムを実行しても、ステップS104において「YES」と判定し、ステップS118において「NO」と判定する限り、CPU43aは、前述したステップS100〜S118,S122,S124,S120の処理を繰り返し、その間に車両速度Vは所定値αに近づいていく。そして、ステップS104において、車両速度Vが所定値αよりも大きくなれば、ステップS104において「NO」と判定し、プログラムはステップS122に進んで、ステップS122,S124,S120の処理をして終了する。
【0035】
その後、車両速度Vが所定値αよりも小さくなって車両が停止状態に入るまで、ステップS100〜S104,S122〜S124,S120の処理が繰り返される。その間、車両は操作レバー10の操作位置に応じて走行する。この操作レバー10の操作位置に応じた走行とは、前述した車両を停止させるときの制御とは別の制御によって行われる通常の走行時の制御による走行である。この走行時の制御によって、操作レバー10を、前方に操作することにより車両を制動し、後方に操作することにより車両を加速できる。また、操作レバー10を、左方向に操作することにより車両を左旋回させ、右方向に操作することにより車両を右旋回させることができる。
【0036】
このように、本実施形態による車両操作装置では、車両速度Vが所定値αよりも小さくなって、車両が停止状態に入ろうとすると、路面の傾斜角度から車両を停止させるために必要な制動力Bや、その制動力Bに対応する操作レバー10の変位位置Xが自動的に求められる。そして、その値に基づいて、電気制御装置43が、電動モータ25を駆動させて操作レバー10を位置Xに移動させるとともに、ブレーキ制御装置45を制御してブレーキアクチュエータ48を駆動させて車両を停止させる。したがって、運転者は、操作レバー10を操作して走行する車両を停止させるだけで、車両は傾斜のある坂道でも確実に停止することができる。また、車両操作が簡単になる。
【0037】
なお、前記実施形態では、ステップS114において反力Fを出力したのち、ステップS116において制動力Bを出力しているが、この処理の順序は逆にして、制動力Bを出力したのちに反力Fを出力するようにしてもよい。すなわち、制動力Bの付与は、操作レバー10の位置Xに応じて行うようにしてもよいし、操作レバー10の位置Xとは関係なく独立した制御によって行うこともできる。この場合、制動力Bの付与を独立して行う場合の操作レバー10の位置Xへの移動は、制動力Bが付与されていることを運転者に伝えるための目的で行われる。
【0038】
つぎに、他の例による走行する車両を停止させるときの動作を、図8のフローチャートを用いて説明する。このプログラムは、ステップS200において開始され、CPU43aは、ステップS202において、車速センサ41によって検出された車両速度Vを入力する。ついで、ステップS204において、車速センサ41が検出した車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かを判定する。
【0039】
ここで、車両は、制動されて停止状態に入ろうとしているときで、車両速度Vが所定値αよりも小さいとすると、ステップS204において「YES」と判定して、ステップS206に進む。ステップS206では、操作レバー10が、車両を制動する方向に操作されているか否かを判定する。操作レバー10は制動側に操作されているため、ステップS206において、「YES」と判定して、ステップS208に進む。そして、ステップS208において操作位置センサ26の検出による操作レバー10の位置Xが入力され、ステップS210において、その検出値に基づく制動力Bの決定が行われる。
【0040】
この制動力Bの決定は、図6に示したマップを用いて行われ、操作位置センサ26が検出する操作レバー10の位置Xに対応する制動力Bを求めることによる。ついで、ステップS212において、図7に示した操作レバー10の位置Xと反力のマップから操作レバー10をその位置に維持させるために必要な反力Fを決定する。つぎに、ステップS214に進み、ステップS214において、制動力Bの出力が行われる。これによって車両は停止する。
【0041】
つぎに、ステップS216において、ステップS212において決定した反力Fを操作レバー10に付与することにより、操作レバー10をその位置に維持する。そして、プログラムは、ステップS218に進み、ステップS218において操作レバー10が加速側に操作されていないか否かが判定される。ここで、操作レバー10は操作されてなく位置Xに維持されたままであれば、ステップS218において「YES」と判定して、プログラムはステップS220に進んで一旦終了する。
【0042】
再度、ステップS200からプログラムの実行が開始されると、プログラムは、ステップS202において車速センサ41が検出した車両速度Vを入力したのち、ステップS204に進む。車両速度Vが所定値αよりもまだ小さければ、ステップS204において「YES」と判定してステップS206に進み、ステップS206において操作レバー10が、車両を制動する方向に操作されているか否かを判定する。ステップS206において、操作レバー10の変位位置Xがまだ制動側に位置していれば、「YES」と判定してステップS208に進み、以下、前述したステップS208〜S216の処理を行う。
【0043】
そして、ステップS218において、操作レバー10が加速側に操作されたか否かが判定される。操作レバー10が位置Xに維持されていれば、ステップS218において「YES」と判定して、プログラムはステップS220に進み終了する。そして、車両速度Vが所定値αよりも小さいためステップS204において「YES」と判定し、操作レバー10の位置Xが制動側に位置しているためステップS206において「YES」と判定し、さらに、操作レバー10が加速側に向って操作されていないためステップS218において「YES」と判定するかぎり、プログラムはステップS200〜S220の処理を繰り返す。その間、車両は停止状態を維持する。
【0044】
そして、運転者が操作レバー10を操作することにより操作レバー10が加速側に移動して、ステップS218において「NO」と判定すると、ステップS222に進み、ステップS222において操作レバー10の位置Xを入力する。そして、ステップS224において操作レバー10の位置Xに応じた出力を車両に対して行ったのち、ステップS220に進んでプログラムは終了する。また、繰り返しプログラムを実行すると、ステップS204,S206において「YES」と判定し、ステップS218において「NO」と判定するかぎり、プログラムはステップS200〜S218,S222,S224,S220の処理を繰り返す。
【0045】
さらに、プログラムを実行する間に、操作レバー10が加速側に操作され、ステップS204において「YES」と判定したのち、ステップS206において「NO」と判定すると、プログラムはステップS222に進む。そして、ステップS222,S224,S220の処理を行って終了する。その後、ステップS204において「YES」と判定し、ステップS206において「NO」と判定するかぎり、プログラムは、ステップS200〜S206,S222,S224,S220の処理を繰り返す。その間に、操作レバー10は制動側部分において、制動大の位置から制動小の位置に徐々に近づいていく。
【0046】
そして、車両速度Vが所定値αよりも大きくなれば、ステップS204において「NO」と判定し、プログラムはステップS222に進む。そして、ステップS222,S224,S220の処理を行って終了する。その後、車両速度Vが所定値αよりも小さくなって車両が停止状態に入るまで、ステップS200〜S204,S222,S224,S220の処理が繰り返される。その間、車両は操作レバー10の操作位置Xに応じた通常の走行制御によって操作される。
【0047】
このフローチャートに従った処理によると、運転者が一旦、車両を停止させるために操作レバー10を操作すると、その後は、操作レバー10を手から放しても、運転者は特に車両を停止状態にするための操作をすることなく車両は停止状態を維持するようになる。したがって、車両操作が簡単になるとともに、安全性も確保できる。
【0048】
つぎに、さらに他の例による走行する車両を停止させるときの動作を、図9のフローチャートを用いて説明する。このプログラムは、車両速度Vが所定値α以下になり、かつ運転者が操作レバー10から手を放して車両操作を中止したときの制動制御に関するものであり、ステップS300において開始され、CPU43aは、まず、ステップS302において、車速センサ41によって検出された車両速度Vを入力する。ついで、ステップS304において、車速センサ41が検出した車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かが判定される。
【0049】
ここで、車両は、制動されて停止状態に入ろうとしているときで、車両速度Vが所定値αよりも小さいとすると、ステップS304において「YES」と判定して、ステップS306に進む。そして、ステップS306において、運転者が操作レバー10を放しているか否かを判定する。この判定は、感圧センサ11による手の有無の検出に基づいて行われ、ここで、運転者は操作レバー10の把持部10bから手を放して車両の操作を行っていない状態であれば、ステップS306において、「YES」と判定して、ステップS308に進み、ステップS308において車両速度Vが「0」であるか否かを判定する。
【0050】
ここで、車両は停止する直前であるか、または、傾斜路面上で後退しているときであるとして、車両速度Vが「0」でなく、ステップS308において「YES」と判定すると、ステップS310に進み、ステップS310において制動力Bが決定される。制動力Bは、図10に示した車両速度Vと制動力Bのマップによって求められる。この車両速度Vと制動力Bのマップは、車両速度Vの車両を停止させるために必要な制動力Bを予め求めてマップ化したもので、ROM43bに記憶されている。
【0051】
ついで、ステップS312において、制動力Bに応じた位置に操作レバー10を変位させるための反力Fを決定する。この反力Fの決定は、図6に示した操作レバー10の位置Xと制動力Bのマップから操作レバー10の位置Xを求めるとともに、図7に示した操作レバー10の位置Xと反力Fのマップから反力Fを求めることによって行われる。つぎに、ステップS314において、ステップS310の処理で求めた制動力Bの出力が行われる。ついで、ステップS316に進み、ステップS312の処理で求めた反力Fの出力が行われ、これによって、操作レバー10の位置Xが制動力Bに対応した位置になる。そしてプログラムはステップS318に進んで一旦終了する。
【0052】
所定時間後、ステップS300からプログラムが実行され、ステップS302において車両速度Vを入力したのち、ステップS304において、車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かが判定される。ここで、車両速度Vはまだ所定値αに達してなく「YES」と判定すると、ステップS306に進み、ステップS306において操作レバー10から運転者の手が放れているか否かを判定する。ここで、運転者が操作レバー10を操作していない状態がまだ続いて「YES」と判定すると、ステップS308に進む。
【0053】
ステップS308において車両速度が「0」であるか否かを判定する。ここで、車両速度が「0」でなければ「YES」と判定して、ステップS310に進み、ステップS310〜S318の処理を行ってプログラムは終了する。そして、ステップS304,S306において「YES」と判定するかぎり、ステップS308において、車両速度Vが「0」になって「NO」と判定するまで、ステップS300〜S318の処理を繰り返す。この処理の間に車両速度Vは徐々に「0」に近づいていく。
【0054】
制動力Bの出力によって車両速度Vが「0」になり、ステップS308において「NO」と判定すると、プログラムはステップS320に進み、ステップS320において操作レバー10が加速側に操作されたか否かを判定する。ここで、運転者は操作レバー10の操作をしてなく、操作レバー10がステップS316で出力された反力Fに対応する位置Xに維持されたままであれば、ステップS320において「NO」と判定して、プログラムはステップS318に進み終了する。その後プログラムを実行しても、ステップS304,S306において「YES」と判定し,ステップS308において「NO」と判定する間は、ステップS320において「NO」と判定すると、ステップS300〜S308,S320,S318の処理を繰り返す。その間、制動力が付与されることなく車両は停止状態が維持される。
【0055】
また、運転者が操作レバー10を加速側に操作してステップS320において「YES」と判定すると、ステップS322に進み、ステップS322において操作位置センサ26が検出する操作レバー10の位置Xを入力する。そして、ステップS324において、変位した操作レバー10の位置Xに応じた出力を車両に対して行う。そして、プログラムは、ステップS318に進んで一旦終了する。また、つぎのプログラム実行時に、ステップS308において、車両速度Vが「0」でなければ、ステップS308において「YES」と判定して、ステップS310に進み、ステップS310〜S318の処理を行う。
【0056】
このように、車両速度Vが一旦「0」になったのちに、操作レバー10の操作を行っていないにも拘わらず車両速度Vが「0」でなくなる場合としては、車両が傾斜路面に停止したため、傾斜の下方に向って移動し始めた場合等がある。この場合も、ステップS308〜S318の処理を行うことにより車両は停止状態になる。
【0057】
また、再度、車両速度Vが「0」になり、ステップS308において「NO」と判定して、ステップS320に進むと、ステップS320において、操作レバー10が加速側に操作されたか否かが判定される。操作レバー10が操作されてなく、ステップS320において「NO」と判定すると、ステップS318に進んでプラグラムは一旦終了し、その後、前述した処理を繰り返す。また、運転者が操作レバー10を操作してステップS320において「YES」と判定すると、ステップS322に進んで、ステップS322,S324の処理を行ったのちステップS318に進んでプログラムは終了する。
【0058】
再度、ステップS300からプログラムが実行されると、ステップS302において車両速度Vを入力したのち、ステップS304において、車両速度Vが所定値αよりも小さいか否かが判定される。ここで、車両速度Vはまだ所定値αに達してなく「YES」と判定すると、ステップS306に進んで、操作レバー10から運転者の手が放れているか否かを判定する。前回のプログラム実行の際に、ステップ320の処理において運転者は操作レバー10を操作しているため、ここでは「NO」と判定して、ステップS322に進み、ステップS322,S324の処理を行ったのちステップS318に進んでプログラムは終了する。
【0059】
そして、ステップ304において「YES」と判定する間は、ステップS300〜S306,S322,S324,S318の処理を繰り返す。また、車両速度Vが大きくなって所定値αを超えると、ステップS304において「NO」と判定して、ステップS322に進み、ステップS322,S324の処理を行ったのちステップS318に進んでプログラムは終了する。その後、車両速度Vが所定値αよりも小さくなって車両が停止状態に入るまで、プログラムは、ステップS300〜S304,S322,S324,S318の処理が繰り返される。その間、通常の操作レバー10の操作位置Xに基づいた車両操作が行われる。
【0060】
このように、本実施形態による車両操作装置では、車両速度Vが所定値α以下で、かつ運転者が操作レバー10の把持部10bから手を放したときには、自動的に車両に制動力が付加され車両は停止するとともにその停止状態が維持される。したがって、運転操作が簡単になるとともに、坂道等の傾斜路面に車両を停止させても安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態による車両操作装置の操作レバーを示す概略斜視図である。
【図2】 図1に示した操作レバーを含む操作レバー装置の概略斜視図である。
【図3】 車両操作装置の電気制御部を示すブロック図である。
【図4】 図3に示した電気制御部のCPUが実行する傾斜路面での車両停止制御を示すフローチャートである。
【図5】 路面の傾斜角度と制動力の関係を示すグラフである
【図6】 操作レバーの変位位置と制動力の関係を示すグラフである。
【図7】 操作レバーの変位位置と反力の関係を示すグラフである。
【図8】 図3に示した電気制御部のCPUが実行する操作レバーに基づく車両停止制御を示すフローチャートである。
【図9】 図3に示した電気制御部のCPUが実行する感圧センサの検出に基づく車両停止制御を示すフローチャートである。
【図10】 車両速度と制動力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…操作レバー、11…感圧センサ、20…前後方向反力発生機構、25…電動モータ、26…操作位置センサ、41…車速センサ、42…傾斜センサ、43…電気制御装置、43a…CPU、44…エンジン制御装置、45…ブレーキ制御装置。

Claims (2)

  1. 車両の速度を検出する車両速度検出手段と、
    車体に対して変位可能に設けられて運転者により操作される操作部材と、
    前記操作部材の変位位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段が検出する操作部材の位置が、中立位置から前後方向に変位するにしたがって車両を加速・制動させる出力発生手段と、
    電動モータを備え前記位置検出手段が検出する操作部材の前後方向の変位位置に応じて前記電動モータを作動させて前記操作部材に対して反力を付与する反力発生手段と、
    前記車両速度検出手段が検出する車両速度が所定値以下になると、前記出力発生手段を制御して車両を停止させるとともに、前記反力発生手段の電動モータを制御して、前記操作部材を、車両を停止させる方向に移動させ、かつ、その位置に前記操作部材を維持させ車両を停止状態に維持する停止制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両操作装置。
  2. 車両の速度を検出する車両速度検出手段と、
    車体に対して変位可能に設けられて運転者により操作される操作部材と、
    前記操作部材の変位位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段が検出する操作部材の位置が、中立位置から前後方向に変位するにしたがって車両を加速・制動させる出力発生手段と、
    電動モータを備え前記位置検出手段が検出する操作部材の前後方向の変位位置に応じて前記電動モータを作動させて前記操作部材に対して反力を付与する反力発生手段と、
    前記車両速度検出手段が検出する車両速度が所定値以下のときに、車両を停止させる方向に前記操作部材を移動させると、前記反力発生手段の電動モータを制御して、その位置に前記操作部材を維持させて車両を停止状態にする停止制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両操作装置。
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