JP3885622B2 - シートの製造装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未加硫ゴムコンパウンドなどのゴム材料などで構成されるシートの製造装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、未加硫ゴムコンパウンドなどのゴム材料を、所定の厚みと幅のリボン状に圧延(分出し)する方法は知られている。この方法は、たとえば次に示すような工程を経る。まず、押出機にて混練・均質化され、平板状に成形されたゴム材料を、供給台から一対の圧延ロールの間に供給し、所定の厚みの分出し前シートを得る。次に、この分出し前シートを、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展させながら当該圧延ロールとともに前記供給部に向けて移動させる。この移動途中に分出し前シートに対して切り込みが入れられる。この切り込みは、分出し前シートのたとえば両端を切り落とし(トリミング)、残りの部分を所定の幅のリボン状に取り出すためのものである。そして、切り込みの内側部分は分出しシートとして圧延ロールから引き離されて取り出され、後工程の冷却・乾燥へと送られる。その一方、切り込みの外側部分(シートの両端)は、圧延ロール上に延展しながら当該圧延ロールとともに前記供給部に向けて戻される。戻された圧延後のゴム材料は、一対の圧延ロールの間に供給されようとしている圧延前のゴム材料に混合され、次の圧延工程に使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の方法では、切り込みの外側部分である圧延後のゴム材料は圧延ロールの両端付近に接触して延展するから、このままの配置で供給部に向けて移動させると、圧延前のゴム材料の端部分からはみ出して戻されることがある。圧延前のゴム材料からはみ出して戻されると、圧延前のゴム材料と混合されずに長い時間に亘って供給部で滞留し、その一部の加硫が進みやすくなる。一部加硫した圧延後のゴム材料が圧延前のゴム材料と混合されて次の圧延工程に供されると、得られるシートのスコーチ(早期加硫)時間に変動を来し、製品不良を生じることもある。また、ゴム部品に成型される際の成型不良を発生させるおそれもある。
【0004】
また、圧延後のゴム材料には既に熱履歴がかかっているので、このような圧延後のゴム材料が圧延前のゴム材料の端部分に混合されると、全体として熱履歴がかかっている部分が偏在することになって加硫が進み易い。その結果、得られるシートのスコーチ時間に変動を来すおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、スコーチ時間などの特性変動の少ないシートを長い時間に亘って安定して製造することができるシートの製造装置および方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係るシートの製造方法は、
成形用材料を供給部から一対の圧延ロールの間に供給し、圧延して分出し前シートを得る工程と、
得られた分出し前シートを、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展させながら当該圧延ロールとともに供給部に向けて移動させる工程と、
移動している分出し前シートに、当該分出し前シートの移動方向に沿って連続的に切り込みを入れ、当該分出し前シートの少なくとも両端を残りの分出しシートから切離部分として切り離す工程と、分出しシートから切り離された切離部分を供給部の中央側に戻す工程とを、有する。
【0007】
この発明によると、分出しシートから切り離された圧延後の切離部分は、供給部の中央側に戻される。このため、供給部に戻される圧延後の切離部分が圧延前の成形用材料からはみ出すことはなく、圧延前の成形用材料と混合されずに長い時間に亘って供給部で滞留することはない。また、圧延後の切離部分には熱履歴がかかっているが、この圧延後の切離部分は、上述のように供給部の中央側に戻されるゆえに、圧延前の成形用材料の中央側に混合される。このため、圧延後の切離部分を圧延前の成形用材料に混合して得られた混合後の成形用材料の内部で、熱履歴がかかっている部分が偏在するおそれは少ない。したがって、混合後の成形用材料を次の圧延工程に供しても、得られるシートのスコーチ(早期加硫)時間などの物性変動を来すおそれは少なく、製品不良が効果的に防止され、長い時間に亘って安定してシートを製造することができる。
【0008】
(2)本発明に係るシートの製造方法では、
前記切り離された切離部分を供給部の中央側に戻す工程が、
前記切り離された切離部分を圧延ロールから引き離す工程と、
圧延ロールから引き離された切離部分を、前記一対の圧延ロールと離間して配置された戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させる工程と、
戻し位置調整ロールの両端部付近に接触した切離部分を、当該戻し位置調整ロールの中央部付近に移動させる工程と、
戻し位置調整ロールの中央部付近に移動した切離部分を、再び圧延ロール上に引き戻し、前記供給部の中央側に戻す工程とを、含むことが好ましい。
【0009】
前記切り離された切離部分を供給部の中央側に戻す工程を、このように細分化して行うことにより、圧延後の切離部分を圧延前の成形用材料からはみ出させることなく、圧延前の成形用材料と確実に混合させることができる。
【0010】
(3)本発明に係るシートの製造方法では、圧延ロールから引き離された切離部分を反転させた後、前記戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させることが好ましい。
【0011】
圧延後の切離部分は、切り込み端面側よりも反切り込み端面側の方が、より熱履歴がかかっていることが多い。したがって、圧延ロールから引き離された切離部分を反転させた後、戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させると、圧延ロールから引き離されたときの切り込み端面側は戻し位置調整ロールの両端部付近外側に接触し、圧延ロールから引き離されたときの反切り込み端面側は戻し位置調整ロールの両端部付近内側に接触する。そして、戻し位置調整ロールの中央部付近に移動し、再び圧延ロール上の中央部付近に引き戻されて、前記供給部の中央側に戻される。すなわち、この方法によると、圧延後の切離部分を圧延前の成形用材料と確実に混合させることができる他に、その混合がより均一と成り、熱履歴がかかっている部分の偏在がより一層確実に防止される。
【0012】
(4)上述した本発明に係るシートの製造方法を実現するためには、たとえば以下に示すシートの製造装置を用いることが好ましい。
【0013】
本発明に係るシートの製造装置は、
供給部から供給される成形用材料を圧延し、分出し前シートを得るための一対の圧延ロールと、
前記供給部に向けて移動する分出し前シートに切り込みを入れる切断手段と、分出しシートから切り離された切離部分を供給部の中央側に戻すように仕向ける戻し位置調整手段とを、有する。
【0014】
本発明では、一対の圧延ロールにより得られる分出し前シートを、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展しながら当該圧延ロールとともに前記供給部に向けて移動させてもよく、あるいはいずれの圧延ロール上にも延展させず、その他のロールに接触させつつ前記供給部に向けて移動させてもよい。
【0015】
より好ましくは、本発明に係るシートの製造装置は、
供給部から供給される成形用材料を圧延し、分出し前シートを得るための一対の圧延ロールと、
得られた分出し前シートの少なくとも両端を残りの分出しシートから切離部分として切り離すために、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展しながら当該圧延ロールとともに前記供給部に向けて移動する分出し前シートに切り込みを入れる切断手段と、
分出しシートから切り離された切離部分を供給部の中央側に戻すように仕向ける戻し位置調整手段とを、有する。
【0016】
(5)本発明に係るシートの製造装置では、前記戻し位置調整手段は、前記一対の圧延ロールと離間して配置された戻し位置調整ロールを含み、該戻し位置調整ロールは、中央部のロール径を両端部のロール径より大きくし、両端部から中央部付近にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状を持つことが好ましい。
【0017】
戻し位置調整手段としての戻し位置調整ロールを前記一対の圧延ロールと離間させて配置することにより、圧延ロールから引き離された切離部分を、戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させ、再び当該圧延ロール上に引き戻すことができる。ここで戻し位置調整ロールは、中央部のロール径を両端部のロール径より大きくし、両端部から中央部付近にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状を持つ。このような特殊形状のロールを回転させた場合の周速は、その両端部より中央部の方が速い。このため、当初、戻し位置調整ロールの両端部付近に接触した切離部分(特に分出し前シートの両端)は、該戻し位置調整ロールの回転とともに周速の遅い両端部から周速の速い中央部に向けて駆け上がるように移動する。その後、戻し位置調整ロールの中央部付近に移動した切離部分は、再び圧延ロール上の中央部に引き戻され、供給部に向けて戻される。
【0018】
すなわち、このような特殊形状のロールを戻し位置調整手段として用いることにより、圧延後の切離部分を供給部の中央側に向けて戻すことが実現可能となる。
【0019】
(6)本発明に係るシートの製造装置では、前記切断手段は、圧延ロールの軸方向に沿って並ぶ少なくとも2つの切り出しナイフを含むことが好ましい。
【0020】
切断手段としての切り出しナイフを圧延ロールの軸方向に沿って少なくとも2つ配置することにより、圧延ロール上に延展しながら移動する分出し前シートに、その移動方向に沿って連続的に切り込みを入れることが可能となる。
【0021】
(7)本発明に係る製造装置および方法に適用可能な成形用材料としては、特に限定されないが、未加硫ゴム材料などを挙げることができる。未加硫ゴム材料は、原料ゴムと配合剤により構成される。
原料ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR、NIR、NBIR、NBXR、HNBR)などのジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FFKM、FKM)、多硫化ゴム(OT、EOT)などの非ジエン系ゴム;が挙げられる。これらの原料ゴムは、単独で用いることもできるし、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。また、熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)などを組み合わせてもよい。
【0022】
配合剤としては、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤(または焼け防止剤)、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、滑剤、しゃく解剤、着色剤、発泡剤(膨張剤)、硬化剤、分散剤、加工助剤、溶剤などが挙げられる。これらの配合剤は、目的に応じ、適宜選択して用いることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明に係るシートの製造装置の一実施形態を示す概略図、図2は図1をII方向から見たときの概略図、図3は図2の戻し位置調整ロールの拡大図、図4は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す概略図、図5は図4をV方向から見たときの概略図、図6(A)および図6(B)は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す一工程の部分拡大図、図7は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す一工程の部分拡大図である。
【0024】
図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る装置2は、図4に示す成形用材料としての未加硫ゴム材料4を、所定の厚みと幅のリボン状に圧延(分出し)し、各種成形機(圧縮成形機、トランスファ成形機、射出成形機または押出成形機など)に投入し易い形状に成形するための装置である。この装置2は、一対の圧延ロールとしての第1ロール6および第2ロール8を有し、これら第1ロール6および第2ロール8の間には所定の空隙9が形成されている。第1ロール6および第2ロール8は、金属などで構成される。
【0025】
第1ロール6の下部表面付近には、その先端がX方向に向いた切断手段としての切り出しナイフ12がY方向に所定間隔で4つ配置してある。切り出しナイフ12の材質は、第1ロール6を構成する材質よりも軟質で、ロール表面に接しても傷つけないものが好ましい。
【0026】
本実施形態では、戻し位置調整手段としての戻し位置調整ロール14が、Y方向と平行に、かつ一対の圧延ロール6,8と離間した位置に配置してある。
【0027】
図3に示すように、本実施形態では、戻し位置調整ロール14として、中央部142のロール径R1を両端部144のロール径R2より大きくし、両端部144から中央部142にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状のロールを用いる。ロール径R1は、たとえば45〜240mm程度であり、ロール径R2は、たとえば30〜70mm程度である。戻し位置調整ロール14の軸長Lは、たとえば300〜1000mm程度である。戻し位置調整ロール14は、たとえばステンレス、鉄、ナイロンなどで構成される。
【0028】
なお、図1、図2および図4に示すように、分出し前シート50の第1〜3切離部分502,504,506が切り離された後に残された所定幅の分出しシート60を取り出し側へ導くタッチロール16と、戻し位置調整ロール14の中央部142に移動した第1〜2切離部分502,504を上方から第1ロール6に押さえつける押さえロール18とが配置してある。
【0029】
次に、本発明の一実施形態に係る製造方法について説明する。
図4および図5に示すように、まず、未加硫ゴム材料4を、供給台10から、5〜30rpm程度で回転している第1ロール6と第2ロール8の間に形成された空隙9(図1参照)に供給し、圧延して所定厚み(たとえば3〜25mm程度)の分出し前シート50を得る。このとき、第1ロール6のロール温度は15〜80℃程度に調整され、第2ロール8のロール温度は15〜80℃程度に調整される。未加硫ゴム材料4としては、原料ゴムに配合剤を配合したゴム配合物を、ロールミル、バンバリーミキサー、インターミックス、加圧型ニーダー、スクリューミキサーなどの密閉型混練機、各種押出機などで混練りした未加硫ゴム材料を用いることができる。このような未加硫ゴム材料4のムーニー粘度(ML1+4 100℃)は、30〜80の範囲が好ましい。
【0030】
得られた分出し前シート50は、第1ロール6上に延展しながら当該第1ロール6とともに前記供給台10に向けて戻るように移動する。この移動途中の分出し前シート50に切り出しナイフ12の先端を圧接して連続的に切り込みを入れ、分出し前シート50の両端部を第1切離部分502および第2切離部分504とし、分出し前シートの中央部を第3切離部分506として、残りの分出しシート60から切り離す。
【0031】
次に、分出しシート60をタッチロール16の上側に接触させて取り出し側へ連続的に移動させるとともに、第1〜2切離部分502,504を第1ロール6から引き離し、第1ロール6と離間して配置された戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触させる。
【0032】
本実施形態では、図3に示すように、戻し位置調整ロール14として、中央部142のロール径R1を両端部144のロール径R2より大きくし、両端部144から中央部142にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状のロールを用いている。このような特殊形状のロール14を回転させた場合の周速は、両端部144より中央部142の方が速い。このため、図6(A)に示すように、当初、戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触した第1〜2切離部分502,504は、該戻し位置調整ロール14の回転とともに周速の遅い両端部144から周速の速い中央部142に向けて駆け上がるように移動する(図6(B)参照)。その後、ロール14の中央部142付近に移動した第1〜2切離部分502,504を、再び第1ロール6上に引き戻し、第1ロール6とともに供給台10の中央側に戻す。第3切離部分506については、第1ロール6から引き離すことなく、第1ロール6の中央部付近に延展させ、当該第1ロール6とともに供給台10の中央側に向けて移動させる。なお、第3切離部分506については、第1ロール6から引き離して、供給台10の中央側に向けて移動させてもよい。すなわち、第1〜3切離部分502,504,506のいずれも供給台10の中央側に戻されるゆえに、圧延前の未加硫ゴム材料4の中央側に混合されて、次の圧延工程に供される。
【0033】
本実施形態によれば、第1〜2切離部分502,504は、特殊形状の戻し位置調整ロール14を介して、供給台10の中央側に戻されるから、供給部に戻される第1〜2切離部分502,504が圧延前の未加硫ゴム材料4からはみ出すことはなく、圧延前の未加硫ゴム材料4と混合されずに長い時間に亘って供給台10で滞留することはない。また、第1〜2切離部分502,504には熱履歴がかかっているが、この第1〜2切離部分502,504は、供給台10の中央側に戻されるゆえに、圧延前の未加硫ゴム材料4の中央側に混合される。このため、第1〜2切離部分502,504を圧延前の未加硫ゴム材料4に混合して得られた混合後の未加硫ゴム材料の内部で、熱履歴がかかっている部分が偏在するおそれは少ない。したがって、混合後の未加硫ゴム材料を次の圧延工程に供しても、得られる分出しシート60のスコーチ(早期加硫)時間の変動を来すおそれは少なく、製品不良が効果的に防止され、長い時間に亘って安定して分出しシート60を製造することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0035】
たとえば、図7に示すように、第1ロール6から引き離された第1〜2切離部分502a,504aを反転させた後、前記戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触させることも好ましい。第1〜2切離部分502a,504aは、切り込み端面側よりも反切り込み端面側の方が、より熱履歴がかかっていることが多い。したがって、第1ロール6から引き離された第1〜2切離部分502a,504aを反転させた後、戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触させると、第1ロール6から引き離されたときの切り込み端面側は戻し位置調整ロール14の両端部144付近外側に接触し、第1ロール6から引き離されたときの反切り込み端面側は戻し位置調整ロール14の両端部144付近内側に接触する。そして、戻し位置調整ロール144の中央部142付近に移動し、再び第1ロール6上の中央部付近に引き戻されて、供給台10の中央側に戻される。すなわち、この方法によると、第1〜2切離部分502a,504aを圧延前の未加硫ゴム材料4(図4参照)と確実に混合させることができる他に、その混合がより均一と成り、熱履歴がかかっている部分の偏在がより一層確実に防止される。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は特記しない限り重量基準である。
【0037】
実施例1
まず、アクリロニトリル(AN)含有量が31〜35%の中高NBR(原料ゴム)100部に、硫黄(加硫剤)0.5部と、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(第1加硫促進剤)1.5部およびテトラメチルチウラムジスルフィド(第2加硫促進剤)1.5部と、カーボンブラック(補強剤)60部および亜鉛華(加硫促進助剤)5部と、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(可塑剤)5部と、ステアリン酸(分散剤)1部とを添加した原材料を混練した未加硫ゴム材料4を得た。この未加硫ゴム材料4のムーニー粘度を測定したところ、(ML1+4 100℃)=78.6であった。
【0038】
次に、得られた未加硫ゴム材料4を、図1に示す装置2の供給台10から、第1ロール6(ロール温度35℃、回転数16rpm)と第2ロール8(ロール温度35℃、回転数16rpm)との間の空隙9に供給し、圧延して厚み8mmおよび幅350mmの分出し前シート50を得た。
【0039】
次に、得られた分出し前シート50を、第1ロール6上に延展させながら当該第1ロール6とともに前記供給台10に向けて移動させた。この移動途中の分出し前シートに切り出しナイフ12の先端を圧接して連続的に切り込みを入れ、分出し前シート50の両端部を第1切離部分502および第2切離部分504とし、分出し前シートの中央部を第3切離部分506として、残りの分出しシート60から切り離した。
【0040】
次に、分出しシート60をタッチロール16の上側に接触させて取り出し側へ連続的に移動させるとともに、第1〜2切離部分502,504を第1ロール6から引き離し、第1ロール6と離間して配置された戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触させた。
【0041】
本実施例では、戻し位置調整ロール14として、中央部142のロール径R1を70mmとし、両端部144のロール径R2を30mmとし、両端部144から中央部にかけて緩やかにロール径が拡大したクラウン形状を持つ軸長L600mmのロールを用いた。このため、図6(A)に示すように、当初、戻し位置調整ロール14の両端部144付近に接触した第1〜2切離部分502,504は、該戻し位置調整ロール14の回転とともに周速の遅い両端部144から周速の速い中央部142に向けて駆け上がるように移動した(図6(B)参照)。その後、ロール14の中央部142付近に移動した第1〜2切離部分502,504を、再び第1ロール6上に引き戻し、第1ロール6とともに供給台10の中央側に戻した。第3切離部分506については、第1ロール6から引き離すことなく、第1ロール6の中央部付近に延展させ、当該第1ロール6とともに供給台10の中央側に向けて移動させた。すなわち、第1〜3切離部分502,504,506のいずれも供給台10の中央側に戻し、圧延前の未加硫ゴム材料4の中央側に混合して、次の圧延工程に供した。
【0042】
以上のような工程を30分間連続して行った後の分出しシート60の一部を取り出し、ムーニー・スコーチ試験に供した。ムーニー・スコーチ試験は、JIS−K6300に準拠して行った。具体的には、ムーニー粘度計(APM−1、東洋精機社製)を用い、加硫前のゴム配合物(分出しシート60)を125℃において最低ムーニー値から5ポイント上昇するまでの時間(ムーニー・スコーチ時間t5。単位は分)を測定することにより行った。その結果、ムーニー・スコーチ時間t5は、スタート直後は18分、30分経過後も16分と、熱履歴によるスコーチ時間の変化幅は2分と小さかった。
【0043】
また、分出しシート60の一部をさらに取り出し、これをプレスで30kg/cmの圧力下、160℃で15分間架橋し、架橋ゴムを作製し、硬さ試験に供した。硬さ試験はJIS−K6253に準拠して行った。その結果、硬さは64であった。
【0044】
実施例2
加硫剤を1.5部、第1加硫促進剤を1.5部、第2加硫促進剤を0.2部とした以外は、実施例1と同様に工程を30分間連続して行った。そして、その後の分出しシート60の一部を取り出し、ムーニー・スコーチ試験を行った。その結果、ムーニー・スコーチ時間t5は、スタート直後は16分、30分経過後も15分と、熱履歴によるスコーチ時間の変化幅は1分と小さかった。また、分出しシート60の一部をさらに取り出し、架橋ゴムを作製して硬さ試験を行った。その結果、硬さは65であった。
【0045】
比較例1
戻し位置調整ロール14を用いなかった以外は、実施例1と同様に工程を30分間連続して行った。そして、その後の分出しシートの一部を取り出し、ムーニー・スコーチ試験を行った。その結果、ムーニー・スコーチ時間t5は、スタート直後は18分、30分経過後は10分と、熱履歴によるスコーチ時間が大幅に変化し、実施例1と比較してスコーチ特性が悪化した。
【0046】
比較例2
戻し位置調整ロール14を用いなかった以外は、実施例2と同様に工程を30分間連続して行った。そして、その後の分出しシートの一部を取り出し、ムーニー・スコーチ試験を行った。その結果、ムーニー・スコーチ時間t5は、スタート直後は16分、30分経過後は9分と、熱履歴によるスコーチ時間が大幅に変化し、実施例2と比較してスコーチ特性が悪化した。
【0047】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、スコーチ時間などの特性変動の少ないシートを長い時間に亘って安定して製造することができるシートの製造装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係るシートの製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】 図2は図1をII方向から見たときの概略図である。
【図3】 図3は図2の戻し位置調整ロールの拡大図である。
【図4】 図4は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す概略図である。
【図5】 図5は図4をV方向から見たときの概略図である。
【図6】 図6(A)および図6(B)は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す一工程の部分拡大図である。
【図7】 図7は本発明に係るシートの製造方法の一実施形態を示す一工程の部分拡大図である。
【符号の説明】
2… 装置(シートの製造装置)
4… 未加硫ゴム材料(成形用材料)
6… 第1ロール(圧延ロール)
8… 第2ロール(圧延ロール)
9… 空隙
10… 供給台(供給部)
12… 切り出しナイフ(切断手段)
14… 戻し位置調整ロール(戻し位置調整手段)
142… 中央部
144… 両端部
50… 分出し前シート
502… 第1切離部分(右端)
504… 第2切離部分(左端)
506… 第3切離部分(中央)
60… 分出しシート

Claims (8)

  1. 供給部から供給される成形用材料を圧延し、分出し前シートを得るための一対の圧延ロールと、
    前記供給部に向けて移動する分出し前シートに切り込みを入れ、前記分出し前シートの少なくとも両端を切離部分として切り離す切断手段と、
    分出しシートから切り離された切離部分を供給部の中央側に戻すように仕向ける戻し位置調整手段とを、有し、
    前記戻し位置調整手段は、前記一対の圧延ロールと離間して配置された戻し位置調整ロールを含み、該戻し位置調整ロールは、中央部のロール径を両端部のロール径より大きくし、両端部から中央部付近にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状を持つことを特徴とするシートの製造装置。
  2. 供給部から供給される成形用材料を圧延し、分出し前シートを得るための一対の圧延ロールと、
    得られた分出し前シートの少なくとも両端を、残りの分出しシートから切離部分として切り離すために、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展しながら当該圧延ロールとともに前記供給部に向けて移動する分出し前シートに切り込みを入れる切断手段と、
    分出しシートから切り離された切離部分を供給部の中央側に戻すように仕向ける戻し位置調整手段とを、有し、
    前記戻し位置調整手段は、前記一対の圧延ロールと離間して配置された戻し位置調整ロールを含み、該戻し位置調整ロールは、中央部のロール径を両端部のロール径より大きくし、両端部から中央部付近にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状を持つことを特徴とするシートの製造装置。
  3. 前記切断手段は、圧延ロールの軸方向に沿って並ぶ少なくとも2つの切り出しナイフを含む請求項1または2に記載のシートの製造装置。
  4. 成形用材料を供給部から一対の圧延ロールの間に供給し、圧延して分出し前シートを得る工程と、
    得られた分出し前シートを、前記一対の圧延ロールのいずれか一方の圧延ロール上に延展させながら当該圧延ロールとともに供給部に向けて移動させる工程と、
    移動している分出し前シートに、当該分出し前シートの移動方向に沿って連続的に切り込みを入れ、当該分出し前シートの少なくとも両端を残りの分出しシートから切離部分として切り離す工程と、
    分出しシートから切り離された切離部分を、戻し位置調整ロールにより、前記供給部の中央側に戻す工程とを、有し、
    前記戻し位置調整ロールは、前記一対の圧延ロールと離間して配置され、中央部のロール径を両端部のロール径より大きくし、両端部から中央部付近にかけて緩やかにロール径を拡大させたクラウン形状を持つことを特徴とするシートの製造方法。
  5. 前記切り離された切離部分を供給部の中央側に戻す工程が、
    前記切り離された切離部分を圧延ロールから引き離す工程と、
    圧延ロールから引き離された切離部分を、前記一対の圧延ロールと離間して配置された前記戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させる工程と、
    戻し位置調整ロールの両端部付近に接触した切離部分を、当該戻し位置調整ロールの中央部付近に移動させる工程と、
    戻し位置調整ロールの中央部付近に移動した切離部分を、再び圧延ロール上に引き戻し、前記供給部の中央側に戻す工程とを、含む請求項4に記載のシートの製造方法。
  6. 圧延ロールから引き離された切離部分を反転させた後、前記戻し位置調整ロールの両端部付近に接触させる請求項5に記載のシートの製造方法。
  7. 前記成形用材料が未加硫ゴム材料である請求項1から3までのいずれかに記載のシートの製造装置。
  8. 前記成形用材料が未加硫ゴム材料である請求項4から6までのいずれかに記載のシートの製造方法。
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