JP3885295B2 - 水切り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷配線板の製造工程で使用される水切り装置、特に、レジストの除去工程において、被剥離板を乾燥する前に、付着している洗浄液を水切りするための水切り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷配線板は、銅張積層板に、穴あけ加工、スルーホールめっき、レジスト形成、露光、現像、エッチッグ、レジスト除去の各工程を施して製造される。
【0003】
これらの工程のうち、現像及びレジスト除去の各工程では、レジストを部分的に又は全部を剥離する作業がある。すなわち、現像工程では、エッチングしようとする銅はく表面のレジストが部分的に剥離され、レジスト剥離工程では、エッチングで残された回路部分を覆って残っているレジスト全部が剥離される。
レジストの剥離は、被剥離板にレジストを剥離するための剥離液をスプレーすることにより行われ、この後、洗浄装置において被剥離板に洗浄液をスプレーし、さらに、水切り装置において表面に付着した洗浄液の水切りを行い、最後に、温風を吹き付けて乾燥するようにしている。
従来の水切り装置は、上下1対の円柱状の水切りロールの間に被剥離板を送りこみ、この水切りロールにより洗浄液の水切りを行うようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近、電子機器が小型化しており、電子機器に用いられる印刷配線板すなわち被剥離板も薄型化してきている。被剥離板が薄くなると小さな力でも容易に撓むようになる。そうすると、付着している洗浄液を媒介として上下いずれかの水切りロールに被剥離板が吸着して巻き付いてしまうことがあり、その都度装置の運転を止めて被剥離板を外さなければならず、作業効率を低下させるとともに、巻き付いた被剥離板は不良品として無駄になっていた。
【0005】
本願請求項1に記載の発明は、非剥離板が薄いときに、水切りロールに被剥離板が吸着して巻き付かず、水切りの効率が良好な水切り装置を提供することを目的とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、水切りの効率がさらに良好な水切り装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
被剥離板が巻き付かないようにするために、洗浄液スプレー後の被剥離板1を上下の水切りロール3で挟んで移動させながら前記水切りロール3により水切りを行うようにしてなる水切り装置において、表面に溝4を形成した水切りロール3が使用される。
【0007】
被剥離板1が接触する水切りロール3には溝4が設けられており、被剥離板1と水切りロール3との間にこの溝4の部分においては空気層が形成され、水分が水切りロール3と被剥離板の媒介として作用しないため、被剥離板1が前記水切りロール3に巻き付かないようにできる。
【0008】
このように、被剥離板1が水切りロール3に巻き付く現象は、付着している水分に媒介されることから、溝4は水切りロール3の円周方向にそった溝とすることが好ましく、また、溝4の部分では水切りが行われないことから、水切り装置2の入り口側最初の上下1対の水切りロール3aに溝4aを形成し、その次の上下1対の水切りロール3bには、前記最初の上下1対の水切りロール3aの溝4aとは位置を変えて溝4bを形成して、最初の上下1対の水切りロール3aで水切りされなかった部分の水切りを行うようにするのが好ましい。そして、この2対の水切りロール3a及び3bでおおよその水切りが行われ、その後の水切りロール3cに被剥離板1が巻き付くことがなくなることから、前記水切りロール3bに続く水切りロール3cには溝を形成しないで水切りロール3cの全面で水切りを行うように構成される。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、洗浄液スプレー後の印刷配線板1を上下の水切りロールで挟んで移動させながら前記水切りロールにより水切りを行うようにしてなる水切り装置において、水切り装置2の入り口側から上下2対の水切りロール3a、3bが表面に円周方向にそった溝4a、4bを形成されてなり、かつ、最初の上下1対の水切りロール3aに形成された溝4aと次の上下1対の水切りロール3bに形成された溝4bとが長さ方向において互いに重ならない位置に形成されてなる水切り装置である。
そして、請求項2に記載の発明は、水切り2対目の水切りロールの次に、溝を形成しない円柱状の水切りロールを配置してなる請求項1に記載の水切り装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて説明する。
本発明に係る水切り装置2は、図1の(a)に示すように、洗浄装置10に隣接して設置される。洗浄装置10に送られた被剥離板1はコンベアロール11の間に挟まって一方向に搬送され、ポンプ14によりスプレーノズル12に送給された洗浄液13をスプレーされ、隣接して設置された水切り装置2に送られる。洗浄装置10内に配置されたコンベアロール11としては、常用の、例えば、硬質ゴム製のロールが用いられる。
【0011】
水切り装置2内の水切りロール3は、液体を吸収できる材質、例えば、発泡ウレタン等で構成されるのが好ましい。水切りロール3の直径は、従来の水切り装置で常用されている直径が30〜50mmのものが使用される。また、隣合うロールの間隔は、装置をコンパクトにし、かつ水切りを効率よく行うために、水切りロール3の間に洗浄液が貯溜しないで下に抜ける程度とされるのが好ましい。
水切り装置2内に配置される最初の1対の水切りロール3aには円周方向にそって溝4aが形成される。また次の水切りロール3bには、前記水切りロール3aの溝4aとは長さ方向に重ならない位置に、同様の溝4bが円周方向にそって形成されることが好ましい。そして、2対目に配置された水切りロール3bの次には、溝を形成しない円柱状の水切りロール3cが配置される。
【0012】
溝4a、4bの深さは、被剥離板1との間に空気層を形成できる深さ、すなわち、およそ2〜3mmあればよい。これより深くても差し支えないが、空気層形成の上からは意味がなく、加工が困難となるので好ましくない。
溝の幅は、広すぎると被剥離板1が薄いとき被剥離板1が溝の底方向に撓んで空気層形成の効果がなくなることがあり、また、水切りロールとしての作用も損なうこと、狭すぎると、空気層を形成できないことがあることから、幅と間隔を等しくし、30〜60mm程度とするのが好ましい。
【0013】
【実施例】
実施例1
直径40mmの発泡ウレタン製ロール2本を上下に組み合わせて一対とした水切りロールを3対、隣合う水切りロール間に5mmの間隔をおいて配置して水切り装置を構成した。そして、被剥離板が最初に接触する1対目の水切りロール3aには、深さが3mmで、幅が50mmの溝を50mmの間隔で形成し、次の2対目の水切りロール3bには、最初の1対目の水切りロール3aと溝の位置が重ならないように同様の溝を形成し、3対目の水切りロール3cには、溝を形成しないで配置した。
スプレー装置で洗浄液をスプレーされた厚さ0.09mmの被剥離板を3m/分の速度で隣接した水切り装置に送りこんだところ、被剥離板が水切りロールに巻きつく事故は全く発生しなかった。
【0014】
比較例
溝を形成しない水切りロールを用いたほかは実施例1と同様にしたところ、被剥離板がロールに巻きついて引っかかる事故の発生が、0.8%あった。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、レジストの剥離及び洗浄後の被剥離板の表面に付着している水分を除去する工程において、被剥離板がロールに巻き付いて引っかかることがなく、スムーズに通過させることができる。このため、レジスト膜の剥離装置への被剥離板の投入を中断することなく、かつ被剥離板を無駄にすることもなく連続して作業でき、作業効率及び歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、(a)は、スプレー装置及び水切り装置の概略断面図、(b)は、ロール配置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 被剥離板
2 水切り装置
3、3a、3b、3c 水切りロール
4、4a、4b 溝
10 洗浄装置
11 コンベヤロール
12 スプレーノズル
13 洗浄液
14 ポンプ
Claims (2)
- 洗浄液スプレー後の印刷配線板を上下の水切りロールで挟んで移動させながら前記水切りロールにより水切りを行うようにしてなる水切り装置において、水切り装置の入り口側から上下2対の水切りロールが表面に円周方向にそった溝を形成されてなり、かつ、最初の1対の水切りロールに形成された溝と次の1対の水切りロールに形成された溝とが長さ方向において互いに重ならない位置に形成されてなる水切り装置。
- 2対目の水切りロールの次に、溝を形成しない円柱状の水切りロールを配置してなる請求項1に記載の水切り装置。
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