JP3884668B2 - ヌメリ除去部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、流しのゴミ受けカゴのヌメリと、この受けカゴの上部に設けられる菊割れフタのヌメリを除去できるヌメリ除去部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、流しの排水によって溶解されたヌメリ除去剤の溶解液が、流しのゴミ受けカゴの上部に設けられる菊割れフタの底部に至り、この底部上に排水の一部が滞留して菊割れフタのヌメリも除去できるとともに、菊割れフタの排水用長孔を経てゴミ受けカゴに至ることでゴミ受けカゴのヌメリを除去できるヌメリ除去部材を開発中である。
【0003】
そして、それは、菊割れフタに対し着脱自在に設置できる割りリング体の撓み変形を利用することによって底部の径が異なるタイプの菊割れフタにも適用できるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ヌメリ除去剤を収容する収容部に流入する排水の流量にばらつきが多い等が原因で、ヌメリ除去剤の溶解が安定しなかった。
【0006】
この発明は、ヌメリ除去効果の大きな溶解液を常時確保できるヌメリ除去部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、流しのゴミ受けカゴの上部に設けられる菊割れフタに対し着脱自在に設置されるヌメリ除去部材であって、ヌメリ除去剤を収容する複数の収容部が設けられたリング体を有し、更に、前記各収容部は、当該収容部に流入し溜まった排水によって予めヌメリ除去剤の一部を溶解させるよう構成されていると共に、当該収容部内に流入する排水の流入孔を有し、また、当該収容部は、前記ヌメリ除去剤を載置するとともに収容可能な凹み部を有し、この凹み部は、前記流入孔から収容部内に流入 した排水の一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水によってヌメリ除去剤の一部が溶解した溶解液を徐々に外部に流出させる多孔質性の軟質樹脂によって形成されている。
【0008】
また、この発明は別の観点から、流しのゴミ受けカゴの上部に設けられる菊割れフタに対し着脱自在に設置されるヌメリ除去部材であって、ヌメリ除去剤を収容する複数の収容部が設けられたリング体を有し、更に、前記各収容部は、当該収容部に流入し溜まった排水によって予めヌメリ除去剤の一部を溶解させるよう構成されていると共に、当該収容部内に流入する排水の流入孔を有し、また、当該収容部は、ネット部材によって覆われる下方開口を有し、前記ネット部材は、前記流入孔から収容部内に流入した排水の一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水によってヌメリ除去剤の一部が溶解した溶解液を徐々に外部に流出させるように構成されていることを特徴とするヌメリ除去部材を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明する。なお、この発明はそれによって限定されるものではない。
【0010】
図1〜図8は、排水の流入孔41と多孔質部材14を有する収容部20を設けたこの発明の第1の実施形態を示す。
【0011】
図1〜図8において、1は、菊割れフタで、流しWの排水口Hにはめ込まれるゴミ受けカゴ60の上部に設けられる。菊割れフタ1は、複数の菊割れ舌片3で構成される平面視円形の底部と、上方開口4aを形成する環状枠部4とより主としてなる。菊割れフタ1の前記底部は、中心部に丸孔7を有するとともに、ゴミ受けカゴ60に連通する複数の排水用長孔6を中心部から離れた環状枠部4の側に有する。そして、排水用長孔6は、円周方向よりも径方向に長い。8は、内周面5のほぼ中間の高さ位置に設けた環状突条部である。
【0012】
以下、この発明の特徴的構成について説明する。
【0013】
10は、ヌメリ除去部材で、菊割れフタ1に対し着脱自在に設置される。前記ヌメリ除去部材10は、例えば塩素系酸化剤を主成分とするヌメリ除去剤12を収容する複数の収容部20が設けられたリング体11を有する。この発明で用いるヌメリ除去剤12の形状は、図9に示すように略円板状であったり、図10に示すように円板状のものが好ましい。球形あるいは略球形のヌメリ除去剤を用いるよりも前記ヌメリ除去剤12の方が成形等の理由で安価である。
【0014】
前記リング体11は、上下リング部材13,14よりなり、両者13,14を接合することにより複数の収容部20を有する状態で形成されている。9は、上リング部材13と下リング部材14の接合面を示している。前記上リング部材13は、所定幅Bを有する上リング部材本体13aを備えている。Nは、上リング部材本体13aの下面である。
【0015】
一方、下リング部材14は、上リング部材本体13aと同じ所定幅Bを有する下リング部材本体14aを備え、菊割れフタ1の環状枠部4の前記内周面5に係止する複数の係止片15を円周方向に適宜間隔をおいて外周面Mに有する。この係止片15は、外周面Mから径方向外側に適宜間隔をおいて放射状に突出した例えば二つの突起15a,15bによって構成される。そして、環状枠部4の前記内周面5に複数の係止片15が食い込み、それによって、菊割れフタ1の上方開口4a内にリング体11を弾性的に嵌合保持させることができる。
【0016】
また、下リング部材14は、所定幅Bを有する下リング部材本体14aの下面N’’よりも遙に細い幅を持った外周部分14bを残す形で下リング部材本体14aを内側から切欠いた平面視矩形の切欠部17を係止片15,15間に有する。N’は、外周部分14bの下面である。
【0017】
前記リング体11は、ヌメリ除去剤12を収容する複数の収容部20をそれぞれ前記切欠17の上下位置に有する。この実施形態では、各収容部20は、袋状で、一個のヌメリ除去剤12が収容可能な空間Sを有する大きさに形成されて係止片15,15間に位置している。収容部20内では、当該収容部20に流入し溜まった排水Jによって予めヌメリ除去剤12の一部が溶解する。
【0018】
更に、前記外周部分14bは、上面Uに凹所19を有する。この凹所19は、収容部20に形成される排水流入孔41を構成する。
【0019】
前記下リング部材14は、ポリエチレンや発泡スチロールのような多孔質性の軟質樹脂を材料とする薄肉の多孔質樹脂製下リング部材で構成される一方、前記上リング部材13は、硬質樹脂製で可撓性のある薄肉の硬質樹脂製上リング部材で構成されている。以下、下リング部材14を多孔質樹脂製下リング部材と言い、上リング部材13を硬質樹脂製上リング部材と言う。
【0020】
多孔質樹脂製下リング部材14は、収容部20の排水流入孔41から流入した流しWの排水Jの一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水Jによってヌメリ除去剤12の一部が溶解して形成される溶解液J’を、排水流入孔41から新たに流入した排水Jによって流出させたり、排水Jがない場合でも収容部20内の前記溶解液J’を徐々に流出させうる機能を有する。
【0021】
前記リング体11は、ヌメリ除去剤12を収容する複数の収容部20をそれぞれ前記切欠17の上下位置に有する。この実施形態では、各収容部20は、袋状で、一個のヌメリ除去剤12が収容可能な空間Sを有する大きさに形成されて係止片15,15間に位置している。収容部20は、当該収容部20に流入し溜まった排水Jによって予めヌメリ除去剤12の一部を溶解させる。
【0022】
そして、収容部20は、横断面ほぼU字形で、ヌメリ除去剤12を載置するとともに収容可能な凹み部30aを前記下リング部材14に有する。この凹み部30aは、前記下リング部材14の一部であるから、ポリエチレンや発泡スチロールのような多孔質性の軟質樹脂を材料としている。そして、この凹み部30aは、ヌメリ除去剤12を横置きに載置するのではなく、図9、図10に示すように、周面12aを平坦なヌメリ除去剤載置面(以下、単に載置面という)Gに当接させる縦置き状態でヌメリ除去剤12を載置できる程度の幅Cを有するのが好ましい。
【0023】
更に、排水Jに溶かしていない新しいヌメリ除去剤12を凹み部30aに収容した状態において凹み部30a内で転がったり傾いたりしないように、図9に示したヌメリ除去剤12は、ヌメリ除去剤12を平坦な載置面Gに安定的に載置できるよう周面12aにカット面55を有するのが好ましい。図9に示したヌメリ除去剤12は、カット面55からヌメリ除去剤12の中心O’を通る垂直溝56を一方面Rに有する。この実施形態では、凹み部30a内に流入し凹み部30a内に溜まった排水Jが毛細管現象で垂直溝56を介してヌメリ除去剤12の上部まで浸透していき、垂直溝56が無い場合に比して排水Jとの接触面積が増加することでヌメリ除去剤12をより溶解し易くできる。そのため、濃い濃度の溶解液を常時確保できる利点を有する。
【0024】
また、図10に示したヌメリ除去剤12には、ヌメリ除去剤12への排水Jの浸透効果を上げるために、直径Vのヌメリ除去剤12の周面12aに深さd(<V/2)の環状深溝58を全周にわたって設けている。この場合、図9に示したヌメリ除去剤12のようにカット面55は設けられておらず、縦置き状態で転がったり回転しても凹み部30a内に流入し凹み部30a内に溜まった排水Jが毛細管現象で環状深溝58を介してヌメリ除去剤12の上部および内部まで浸透していく。
【0025】
収容部20は、排水流入孔41を硬質樹脂製上リング部材13の内側面上部に有するが、排水流入孔41から収容部20内に流入し溜まった排水Jによって収容部20内のヌメリ除去剤12の一部を溶解してなる溶解液J’を流出させる役目は、ポリエチレンや発泡スチロールのような多孔質性の軟質樹脂を材料とする前記凹み部30aが行う。
【0026】
而して、収容部20の排水流入孔41から流入した流しWの排水Jの一部は収容部20内に一旦溜まる。この状態で溜まった排水Jによってヌメリ除去剤12の一部が溶解して形成される溶解液J’を、排水流入孔41から新たに流入した排水Jによって多孔質性の軟質樹脂を材料とする前記凹み部30aを介して流出させることができる。また、溶解液J’が収容部20内に溜まっている状態において、排水Jがない場合でも収容部20内の前記溶解液J’が多孔質性の軟質樹脂を材料とする前記凹み部30aを介して徐々に外部に流出しうる。そして、前記凹み部30aから溶解液J’が菊割れフタ1の底部に至り、排水用長孔6を経てゴミ受けカゴ60に至るとともに、菊割れ舌片3上に排水の一部が滞留する。そのため、ゴミ受けカゴ60のヌメリを除去できるとともに、このゴミ受けカゴ60の上部に設けられる菊割れフタ1のヌメリも除去できる。
【0027】
そして、収容部20内に一旦溜まった状態で、溜まった排水Jによってヌメリ除去剤12の一部が溶解するので、溶解液J’は飽和液になり易く、ヌメリ除去剤12の溶解が安定する。この状態で排水Jがあると、飽和溶解液J’を薄める形で、かつ、飽和溶解液J’に混じって溶解液J’が前記凹み部30aから収容部20の外部に流出する。よって、ゴミ受けカゴ60のヌメリと、このゴミ受けカゴ60の上部に設けられる菊割れフタ1のヌメリとを効果的に除去できる。
【0028】
図11、図12は、多孔質性の軟質樹脂を材料とする前記凹み部30aの代わりに、この凹み部30aと同等の機能を有するネット部材40を下リング部材14に形成したこの発明の第2の実施形態を示す。なお、図11、図12において、図1〜図10で示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0029】
この場合、ネット部材40は、下リング部材14の一部を構成するもので、収容部20の排水流入孔41から流入した流しWの排水Jの一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水Jによってヌメリ除去剤12の一部が溶解して形成される溶解液J’を、排水流入孔41から新たに流入した排水Jによって流出させたり、排水Jがない場合でも収容部20内の前記溶解液J’を徐々に流出させうる機能を有する。44は、下リング部材14における収容部20の位置に形成した下方開口で、ネット部材40によって覆われている。
【0030】
【0031】
【0032】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明では、ヌメリ除去効果の大きな溶解液を常時確保できるヌメリ除去部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は、この発明の第1の実施形態における使用状態を示す構成説明図である。
(B)は、上記実施形態で用いる菊割れフタとゴミ受けカゴを示す図である。
【図2】 上記実施形態における平面図である。
【図3】 上記実施形態における底面図である。
【図4】 上記実施形態を内側から見た要部縦断面図である。
【図5】 上記実施形態における要部を示す正面図である。
【図6】 上記実施形態における要部を示す背面図である。
【図7】 上記実施形態を示す要部構成説明図である。
【図8】 同じく上記実施形態を示す要部構成説明図である。
【図9】 上記実施形態のヌメリ除去剤を示す斜視図である。
【図10】 上記実施形態のヌメリ除去剤の変形例を示す図である。
【図11】 この発明の第2の実施形態を示す要部構成説明図である。
【図12】 同じく上記第2の実施形態を示す要部構成説明図である。
【符号の説明】
1…菊割れフタ、10…ヌメリ除去部材、11…リング体、12…ヌメリ除去剤、20…収容部、60…ゴミ受けカゴ、W…流し、J…排水。
Claims (2)
- 流しのゴミ受けカゴの上部に設けられる菊割れフタに対し着脱自在に設置されるヌメリ除去部材であって、ヌメリ除去剤を収容する複数の収容部が設けられたリング体を有し、更に、前記各収容部は、当該収容部に流入し溜まった排水によって予めヌメリ除去剤の一部を溶解させるよう構成されていると共に、当該収容部内に流入する排水の流入孔を有し、また、当該収容部は、前記ヌメリ除去剤を載置するとともに収容可能な凹み部を有し、この凹み部は、前記流入孔から収容部内に流入した排水の一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水によってヌメリ除去剤の一部が溶解した溶解液を徐々に外部に流出させる多孔質性の軟質樹脂によって形成されていることを特徴とするヌメリ除去部材。
- 流しのゴミ受けカゴの上部に設けられる菊割れフタに対し着脱自在に設置されるヌメリ除去部材であって、ヌメリ除去剤を収容する複数の収容部が設けられたリング体を有し、更に、前記各収容部は、当該収容部に流入し溜まった排水によって予めヌメリ除去剤の一部を溶解させるよう構成されていると共に、当該収容部内に流入する排水の流入孔を有し、また、当該収容部は、ネット部材によって覆われる下方開口を有し、前記ネット部材は、前記流入孔から収容部内に流入した排水の一部を一旦溜め、この状態で溜まった排水によってヌメリ除去剤の一部が溶解した溶解液を徐々に外部に流出させるように構成されていることを特徴とするヌメリ除去部材。
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